【実施例】
【0049】
A.各種試験抽出物の製造
【0050】
1.外用軟膏剤形
【0051】
(1)30%エタノール溶液により抽出した枯黄岑、北柴胡、生甘草、赤芍および北五味子複合薬材抽出物、黄岑単一抽出物、柴胡単一抽出物、ならびに黄岑および柴胡複合薬材抽出物
【0052】
次の4種の異なる複合および単一の漢方薬草処方、(1)黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子複合薬材(重量比1:1:1:1:1)(PT−A)、(2)黄岑単一(SR)、(3)柴胡単一(BR)、ならびに(4)黄岑および柴胡複合薬材(重量比1:1)(SR+BR)に対し、それぞれ下記の抽出工程を行った。
【0053】
漢方薬草処方を、10倍重量の30%エタノール溶液で1時間加熱抽出し、第1の抽出液を得た。第1の抽出液を取り出し、抽出した上記処方を、同様に10倍重量の30%エタノール溶液で再度1時間加熱抽出し、第2の抽出液を得た。次いで、これら2回の抽出液を混合し、得られた抽出液を100メッシュの篩で濾してから、減圧濃縮した後、凍結乾燥を行った。
【0054】
漢方薬草処方凍結乾燥粉末(1g)および95%アルコール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.15g)、ならびに高純度の脱イオン水(deionized water)(2.95ml)を60℃に加熱すると共に均一に混合し、外用軟膏剤形に作製した。
【0055】
すなわち、次の4種の軟膏:(1)黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子複合薬材(重量比1:1:1:1:1)(PT−A)の軟膏、(2)黄岑単一(SR)の軟膏、(3)柴胡単一(BR)の軟膏、ならびに(4)黄岑および柴胡複合薬材(重量比1:1)(SR+BR)の軟膏を得た。
【0056】
(2)30%エタノール溶液で各単一薬材をそれぞれ抽出し、各単一抽出物を混合して得られた混合抽出物
【0057】
次の5種の異なる単一処方の漢方薬草、つまり黄岑、北柴胡、甘草、芍薬、北五味子に対し、それぞれ下記の抽出工程を行った。
【0058】
単一の漢方薬草を10倍重量の30%エタノール溶液で1時間加熱抽出し、第1の抽出液を得た。第1の抽出液を取り出し、抽出した上記処方を、同様に10倍重量の30%エタノール溶液で再度1時間加熱抽出し、第2の抽出液を得た。次いで、これら2回の抽出液を混合し、得られた抽出液を100メッシュの篩で濾した。
【0059】
すなわち、黄岑単一、北柴胡単一、甘草単一、芍薬単一、北五味子単一の濾液を得た。
【0060】
上記5種の濾液を混合して、黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子の混合濾液(PT−A−1)を得た後、減圧濃縮し、次いで凍結乾燥を行った。
【0061】
凍結乾燥粉末(1g)および95%アルコール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.15g)、ならびに高純度の脱イオン水(2.95ml)を60℃に加熱すると共に均一に混合し、軟膏剤形に作製した。
【0062】
すなわち、30%エタノール抽出黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子抽出液混合物(PT−A−1)の軟膏を得た。
【0063】
(3)75%エタノール溶液で抽出した黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子の複合薬材抽出物
【0064】
黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子複合薬材を10倍重量の75%エタノール溶液で1時間加熱抽出し、第1の抽出液を得た。第1の抽出液を取り出し、抽出した上記処方を、同様に10倍重量の75%エタノール溶液で再度1時間加熱抽出し、第2の抽出液を得た。次いで、これら2回の抽出液を混合し、得られた抽出液を100メッシュの篩で濾してから、減圧濃縮した後、凍結乾燥を行った。
【0065】
凍結乾燥粉末(1g)および95%アルコール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.15g)、ならびに高純度の脱イオン水(2.95ml)を60℃に加熱すると共に均一に混合し、外用軟膏剤形に作製した。
【0066】
すなわち、75%エタノール抽出黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子複合薬材(重量比1:1:1:1:1)(PT−A−2)の軟膏を得た。
【0067】
(4)ステロイド軟膏
【0068】
ジプロピオン酸ベタメタゾン(Betamethasone dipropionate)粉末(0.006g)、95%アルコール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.15g)、および高純度の脱イオン水(DI)水(3.944ml)を60℃に加熱すると共に均一に混合し、外用軟膏剤形(BD)に作製した。
【0069】
(5)黄岑、北柴胡、甘草、芍薬および北五味子複合薬材とステロイドとの混合軟膏
【0070】
PT−A乾燥粉末(0.5g)、ジプロピオン酸ベタメタゾン粉末(0.006g)、95%アルコール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.15g)、および高純度の脱イオン水(3.444ml)を60℃に加熱すると共に均一に混合し、外用軟膏剤形(PT−A+BD)に作製した。
【0071】
2.液体剤形
【0072】
PT−A乾燥粉末70mgを溶媒(10%DMSOと90%トリオクタン酸グリセリル(glyceryl trioctanoate))7mlで液体剤形に調製した。濃度は10mg/mlである。
【0073】
B.実験方法と結果
【0074】
1.実施例1
【0075】
複合組成物によるイミキモド(imiquimod, IMQ)誘導類乾癬動物モデル皮膚疾患軽減の効果の評価
【0076】
イミキモド誘導類乾癬動物モデルを用い、抽出物の皮膚疾患軽減への影響を評価した。その実施工程は次のとおりである。
【0077】
先ず、Balb/cマウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および4つの実験群に分けた。4つの実験群はそれぞれPT−A(100mg)軟膏処置群、SR(100mg)軟膏処置群、BR(100mg)軟膏処置群、SR+BR(100mg)軟膏処置群とした。
【0078】
コントロール群では、マウスに何らの処置もしなかった。対照群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布し、マウスの皮膚に乾癬症状の発生を誘導した。4つの実験群では、1日1回連続6日間にわたり、先ずイミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから、各群に対して試験軟膏(100mg)をそれぞれ局所塗布した。
【0079】
次いで、発赤、落屑などの項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価すると共に撮影した。動物を犠牲死させ、その背部炎症部位の皮膚を取り、IL−17A、IL−6、TNF−α、S100A7等を含む組織の遺伝子発現量を測定した。結果は
図1Aおよび
図1Bに示すとおりである。
【0080】
図1Aに示されるように、コントロール群に比して、対照群ではイミキモド投与後、明らかにマウス皮膚の発赤および落屑の現象が引き起こされているが、実験群中、イミキモドとPT−Aの群では、その同時投与後、マウス皮膚疾患の現象が軽減緩和されていた。しかし、他の3つの実験群ではマウスの皮膚疾患の現象は改善されなかった(
図1A)。
【0081】
図1Bに示されるように、コントロール群に比べ、対照群のIL−17A、IL−6、TNF−αおよびS100A7の遺伝子発現量はいずれも顕著に増加しているが、PT−A軟膏を塗布した動物の組織は、その遺伝子発現量に低下の傾向が見られ、このうちIL−6、TNF−αおよびS100A7の発現量は、対照群との比較において有意差に達した(*p<0.05,***p<0.001)。
【0082】
2.実施例2
【0083】
複合組成物抽出方式の、イミキモド誘導類乾癬動物モデル皮膚疾患軽減に対する効果の評価
【0084】
主な実験方法は実施例1と同じであるが(本実施例ではコントロール群は設けていない)、実験群をPT−A(100mg)軟膏処置群、PT−A−1(100mg)軟膏処置群、PT−A−2(100mg)軟膏処置群の3つの群に変え、抽出方式が効果に与える影響を評価した。
【0085】
各実験群に、イミキモドクリームおよび試験軟膏(100mg)を1日1回連続6日間にわたり投与した。
【0086】
次いで、発赤、落屑などの項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価し、かつ落屑と発赤の重症度に基づいて0〜8点のスコアをつけ(最も重症なものには8点、無症状のものには0点を付けた)、撮影した。その結果は
図2Aおよび
図2Bに示すとおりである。
【0087】
図2Aおよび
図2Bからわかるように、対照群のイミキモド投与後の発赤および落屑の現象に比べ、実験群中のイミキモドとPT−A100mgの群では、その同時投与後、マウスの皮膚疾患の現象は軽減緩和されており(
図2A)、かつその落屑改善の状況は有意差を有していた(
図2B)。PT−A−1およびPT−A−2の群では、マウス皮膚疾患の状況は有意に改善されなかった。
【0088】
3.実施例3
【0089】
PT−A−DS腹腔内注射のマウス類乾癬皮膚疾患に対する効果の評価
【0090】
イミキモド誘導類乾癬動物モデルにより、本発明のPT−Aの皮膚疾患に対する影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0091】
先ず、Balb/cマウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および実験群に分けた。
【0092】
コントロール群では、マウスに何らの処置もしなかった。対照群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布して、マウス皮膚乾癬症状の発生を誘導した。実験群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから、腹腔内注射によりPT−A−DS(100mg/kg)(溶媒は10%DMSOと90%トリオクタン酸グリセリル(glyceryl trioctanoate))を投与した。
【0093】
次いで、マウスを犠牲死させ、その炎症部位の皮膚を取り、4%ホルムアルデヒド (formaldehyde)に浸漬して固定した後、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin and eosin)で染色して、上皮の厚さ、角化不全または過形成等を含む皮膚疾患程度を評価した。結果は
図3に示すとおりである。
【0094】
図3に示されるように、コントロール群に比して、対照群ではイミキモド投与後、明らかにマウス皮膚に発赤、落屑および上皮肥厚の現象が生じているが、実験群では、イミキモドと腹腔内注射によるPT−A−DSとの同時投与後、マウス皮膚疾患の現象が軽減緩和されていた。
【0095】
4.実施例4
【0096】
PT−Aのマウス類乾癬皮膚疾患軽減に対する効果の評価
【0097】
本実施例では、イミキモド誘導類乾癬動物モデルによりPT−A軟膏の皮膚疾患に対する影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0098】
先ず、Balb/cマウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および2つの実験群に分けた。2つの実験群はそれぞれPT−A(10mg)軟膏処置群とPT−A(100mg)軟膏処置群である。
【0099】
コントロール群では、マウスに何らの処置もしなかった。対照群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布して、マウス皮膚乾癬症状の発生を誘導した。実験群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してからPT−A(10mgおよび100mg)を局所塗布した。
【0100】
次いで、発赤、落屑等の項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価した。動物を犠牲死させた後、その背部の炎症部位の皮膚を取り、IL−17A、IL−23、IL−22等を含む組織の遺伝子発現量を測定すると共に、その炎症部位の皮膚を取って4%ホルムアルデヒドに浸漬して固定してから、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、CD68、CD4、Neutrophil、Ki−67およびCD31抗体でそれぞれ免疫組織染色を行い、皮膚疾患部位の免疫細胞浸潤、細胞過形成および血管新生等の現象を評価した。結果は
図4A、
図4Bおよび
図4Cに示すとおりである。
【0101】
図4に示されるように、コントロール群に対比して、対照群では、イミキモド投与後、明らかにマウス背部の皮膚肥厚の現象が生じているが、実験群のイミキモドとPT−A100mgとの同時投与後には、マウス皮膚疾患現象が軽減緩和されていた。
【0102】
コントロール群と比較して、対照群のIL−17A、IL−23およびIL−22の遺伝子発現量はいずれも大幅に増加しているが、PT−A軟膏を塗布した動物の組織では、その遺伝子発現量に低下の傾向が見られ、対照群との比較において、PT−A100mgの群のIL−17A、IL−23およびIL−22の発現量は有意差に達し、またPT−A100mgの群のIL−22の発現量では有意差があった(*p<0.05、**p<0.01)(
図4B)。
【0103】
さらに、イミキモド投与の対照群に比べ、実験群のうちイミキモドとPT−A100mgの群では、その同時投与後、マウス皮膚CD68、CD4、Neutrophil、Ki−67およびCD31の発現量または数が低減されていた(
図4C)。
【0104】
5.実施例5
【0105】
PT−Aの1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(1-fluoro-2,4-dinitrobenzene, DNFB)誘導動物接触性皮膚炎軽減に対する作用
【0106】
本実施例では、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン誘導動物接触性皮膚炎モデルにより、PT−Aの接触性皮膚疾患軽減に対する影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0107】
C57BL/6マウスをコントロール群、陽性対照群および実験群に分けて、それぞれ異なる処置を行った。先ず、0.5%DNFBを準備し、各群のマウスに連続5日間にわたって投与して(コントロール群、陽性対照群および実験群の塗布部位はそれぞれ腹部、耳および耳とした)、下記の試験を行った。
【0108】
コントロール群では0.2%DNFBをマウス腹部に塗布し、陽性対照群ではリンデロン(Rinderon)(0.5mg/g)をマウスの耳に塗布し、実験群ではPT−A(50mg)軟膏をマウスの耳に塗布した。
【0109】
これら各々に処置し、18時間経過した後、動物接触性アレルギー反応の程度を評価した。動物を犠牲死させた後、炎症部位の皮膚のCD4免疫組織染色分析を行った。結果は
図5Aおよび
図5Bに示されるとおりである。
【0110】
図5Aおよび
図5Bに示されるように、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン投与のコントロール群に比べ、実験群では、PT−A投与後、マウス皮膚肥厚の程度およびCD4浸潤の数が低減され、陽性対照群でRinderonを投与した試験結果に近かった。
【0111】
6.実施例6
【0112】
PT−Aおよび市販製品のマウス類乾癬皮膚疾患軽減に対する効果の評価と比較
【0113】
本実施例では、イミキモド誘導類乾癬動物モデルによりPT−Aおよび市販製品の効果の評価および比較を行った。実施工程は下記のとおりである。
【0114】
先ず、Balb/cマウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および3つの実験群に分けた。3つの実験群はそれぞれPT−A(100mg)軟膏処置群、Rinderon−V(0.06%、台湾塩野義)軟膏処置群およびDaivonex(0.005%, LEO Pharma)軟膏処置群である。
【0115】
コントロール群では、マウスに何らの処置もしなかった。対照群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布して、マウス皮膚乾癬症状の発生を誘導した。実験群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから、試験軟膏を局所塗布した。
【0116】
次いで、発赤、落屑等の項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価し、撮影した。動物を犠牲死させた後、その背部の炎症部位の皮膚を取り、IL−17A、TNF−α、IL−6、S100A7等を含む組織の遺伝子発現量を測定した。結果は
図6Aおよび
図6Bに示されるとおりである。
【0117】
図6Aに示されるように、コントロール群に比べ、対照群では、イミキモド投与後マウスの皮膚発赤および落屑の現象が明らかに引き起こされているが、実験群のイミキモドとPT−AまたはRinderonの群では、その同時投与後、マウス皮膚疾患の現象が軽減緩和されていた。
【0118】
図6Bは、コントロール群と比較して、対照群のIL−17A、TNF−α、IL−6およびS100A7に遺伝子発現量はいずれも顕著に増加しているが、PT−AまたはRinderon軟膏を塗布した動物の組織は、その遺伝子発現量に低下の傾向が見られ、このうちIL−6、TNF−αおよびS100A7の発現量は、対照群との比較において、有意差に達した(*p<0.05,**p<0.01,***p <0.001)。Daivonexの群は、TNF−αおよびS100A7の発現量が、対照群との比較において有意差に達したが、マウスの皮膚落屑の現象の改善は明らかではなかった。
【0119】
7.実施例7
【0120】
PT−Aとステロイド軟膏併用のマウス類乾癬皮膚疾患軽減に対する効果の評価
【0121】
イミキモド誘導類乾癬動物モデルにより、PT−Aにステロイドを加えた軟膏の皮膚疾患への影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0122】
先ず、Balb/cマウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および3つの実験群に分けた。3つの実験群はそれぞれBD(ステロイド)軟膏処置群、BD+PT−A軟膏処置群(PT−A:BDの重量比は83:1)およびDaivobet(LEO Pharma)軟膏処置群である。各群における各動物に、1度の処置につきそれぞれ軟膏25mgを塗布した。
【0123】
コントロール群では、1日1回連続6日間にわたりイミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布して、マウス皮膚乾癬症状の発生を誘導した。対照群では、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから、軟膏基剤を局所塗布した。実験群では、1日1回連続6日間にわたりイミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから試験軟膏を局所塗布した。
【0124】
次いで、落屑、発赤等の項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価し、かつ落屑と発赤の重症度に基づいて0〜8点のスコアをつけ(最も重症なものには8点、無症状のものには0点を付けた)、撮影した。動物を犠牲死させた後、その炎症部位の皮膚を取り、4%ホルムアルデヒドに浸漬して固定した後、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、ヘマトキシリン・エオジンで染色して、上皮の厚さ、角化不全または過形成等を含む皮膚疾患程度を評価すると共に、Ki−67抗体でそれぞれ免疫組織染色を行って、皮膚疾患部位の細胞過形成の現象を評価した。結果は
図7Aから
図7Dに示すとおりである。
【0125】
図7Aから
図7Dよりわかるように、コントロール群は、イミキモド投与後、明らかにマウスの皮膚に発赤、落屑および上皮肥厚の現象が引き起こされている(
図7Aおよび
図7C)が、実験群のイミキモドとBD+PT−Aの群では、その同時投与後に落屑および発赤の現象が顕著に軽減されるなど、マウス皮膚疾患の現象が軽減され(
図7B)、コントロール群との比較において有意差に達し(*p<0.05,** p<0.01,***p<0.001)、上皮肥厚が減少し(
図7C)、かつKi−67発現量が減少した(
図7D)。一方、BDおよびDaivobetの実験群では、マウス皮膚疾患の現象を明らかに改善することはできなかった。
【0126】
8.実施例8
【0127】
PT−Aと中等度ステロイド軟膏との併用および強力ステロイドのマウス類乾癬皮膚疾患軽減に対する効果の比較
【0128】
イミキモド誘導類乾癬動物モデルによりPT−Aに中等度ステロイド軟膏を加えた時の皮膚疾患に対する影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0129】
先ず、C57BL/6マウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および5つの実験群に分けた。5つの実験群はそれぞれフルオシノニド(fluocinonide)(0.05%;中等度ステロイド)軟膏処置群、フルオシノニド+PT−A(0.25%)軟膏処置群(PT−A:フルオシノニドの重量比は5:1)、フルオシノニド+PT−A(5%)軟膏処置群(PT−A:フルオシノニドの重量比は100:1)、PT−A(5%)軟膏処置群、およびクロベタゾールプロピオン酸エステル(clobetasol propionate)(0.05%)軟膏処置群である。各群における各動物に、1度の処置につきそれぞれ軟膏25mgを塗布した。
【0130】
コントロール群では、1日1回連続6日間にわたりイミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals) 62.5mgをマウス背部に塗布して、マウス皮膚乾癬症状の発生を誘導した。対照群では、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから、軟膏基剤を局所塗布した。実験群では、1日1回連続6日間にわたり、イミキモドクリーム62.5mgをマウス背部に塗布してから試験軟膏25mgを局所塗布した。
【0131】
次いで、落屑、発赤および皮膚の厚さの3項目を含む動物背部皮膚疾患の程度を評価し、かつこれら3項目それぞれの重症度に基づいて0〜12点のスコアをつけ(最も重症なものには12点、無症状のものには0点を付けた)、撮影した。動物を犠牲死させた後、その炎症部位の皮膚を取り、4%ホルムアルデヒドに浸漬して固定した後、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、ヘマトキシリン・エオジンで染色して、上皮の厚さ、角化不全または過形成等を含む皮膚疾患程度を評価した。結果は
図8A−1、
図8A−2、
図8B−1、
図8B−2および
図8Cに示すとおりである。
【0132】
図8A−1および
図8A−2ならびに
図8B−1および
図8B−2からわかるように、コントロール群に比べ、実験群のフルオシノニド+PT−Aの群では、その同時投与後、発赤、落屑および上皮肥厚の現象が軽減されるなど、マウス皮膚疾患の現象が軽減されており(
図8A−1および
図8A−2ならびに
図8B−1および
図8B−2)、かつコントロール群と比較して、有意差を示している(**p<0.01,***p<0.001)(
図8C)。フルオシノニド処置群に比して、実験群のフルオシノニド+PT−Aでは、発赤、落屑および上皮肥厚の現象が軽減されるなど、マウス皮膚疾患の改善の程度を高めることができており(
図8A−1および
図8A−2ならびに
図8B−1および
図8B−2)、それはフルオシノニド+PT−A(0.25%)軟膏処置群で特に顕著であり、かつフルオシノニドの群と比較して有意差を示している(##p<0.01)(
図8C)。フルオシノニド+PT−A(5%)軟膏処置群は、改善の程度を高める傾向はあったが、フルオシノニドの群と比較して、有意差に達しなかった(not significant, ns)。
【0133】
9.実施例9
【0134】
PT−Aのマウス耳の皮膚の厚さへの影響についての分析
【0135】
先ず、ICRマウス(7〜9週齢)をコントロール群(媒介剤(Vehicle))および3つの実験群に分けた。3つの実験群はそれぞれPT−A(含量25mg/g)軟膏処置群、クロベタゾールクリーム(CLOBETASOL Cream,クリーム基剤混合、クロベタゾールプロピオン酸エステル含量は0.25mg/g)処置群、およびトプシムクリーム(TOPSYM Cream、クリーム基剤混合、フルオシノニド含量は0.25mg/g)処置群である。
【0136】
コントロール群の耳に1日1回クリーム基剤(有效成分を含まない)10mgを塗布し、実験群の耳には1日1回試験クリーム10mgをそれぞれ塗布した。それぞれ14日間にわたって塗布した。
【0137】
塗布前および塗布後、2から4日ごとに耳の厚さを測定すると共に、塗薬前の耳の厚さを100%と設定し、耳の厚さの変化状況を観察した。動物を犠牲死させた後、その炎症部位の皮膚を取り、4%ホルムアルデヒドに浸漬して固定した後、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、ヘマトキシリン・エオジンで染色して、上皮の厚さ、角化不全または過形成等を含む皮膚疾患の程度を評価した。結果は
図9Aおよび
図9Bに示すとおりである。
【0138】
図9Aおよび
図9Bからわかるように、PT−A実験群の耳の厚さの変化はコントロール群と一致し、明らかな変化は生じていなかったが、実験群のクロベタゾールクリームおよびトプシムクリームの2組では、塗布後7から14日目に、耳の厚さがそれぞれ塗布前の厚さの71〜79%および80〜81%となっており、明らかに薄くなる傾向が見られた(コントロール群と比較、*p<0.05,**p<0.01)。
【0139】
10.実施例10
【0140】
PT−Aのステロイドにより生じる皮膚の厚さの変化低減に対する影響の分析
【0141】
本実施例では、ステロイドを混ぜたPT−A軟膏を連続して塗布し、その耳の皮膚の厚さに対する影響を評価した。その実施工程は下記のとおりである。
【0142】
先ず、ICRマウス(7〜9週齢)をコントロール群(媒介剤)、対照群(Clobetasol)、および2つの実験群に分けた。2つの実験群はそれぞれPT−A(含量25mg/g)軟膏処置群、およびPT−A(含量25mg/g)にクロベタゾールクリーム(CLOBETASOL Creamの含量は0.25mg/g)を混合した(クロベタゾール+PT−A、PT−A:クロベタゾールの重量比は100:1)軟膏処置群である。
【0143】
コントロール群の耳に1日1回クリーム基剤(有效成分を含まない)10mgを塗布し、対照群の耳にはクロベタゾールクリーム(CLOBETASOL Cream、クリーム基剤混合後のクロベタゾールプロピオン酸エステルの含量は0.25mg/g)10mgを1日1回塗布し、2つの実験群では、耳に試験軟膏10mgをそれぞれ1日に1回塗布した。それぞれ14日間にわたって塗布した。
【0144】
塗布前および塗布後、2から4日ごとに耳の厚さを測定すると共に、塗薬前の耳の厚さを100%に設定し、耳の厚さの変化状況を観察した。動物を犠牲死させた後、その炎症部位の皮膚を取り、4%ホルムアルデヒドに浸漬して固定した後、試料を縦に6μmの厚さに切り、次いで、ヘマトキシリン・エオジンで染色して、上皮の厚さ、角化不全または過形成等を含む皮膚疾患の程度を評価した。結果は
図10Aおよび
図10Bに示すとおりである。
【0145】
図10Aおよび
図10Bからわかるように、実験群のうちPT−Aの群の耳の厚さの変化はコントロール群と一致し、明らかな変化は生じていなかった。実験群のうちPT−Aにクロベタゾールクリームを混合した群は、耳の厚さが明らかに薄くなって、塗布後7から14日目に、塗布前の厚さの77〜83%となっており、対照群の71〜79%に近かった(コントロール群と比較、*p<0.05,**p<0.01)。しかし、PT−Aにクロベタゾールクリームを混合した群は、塗布後3日目、耳の厚さは塗布前の厚さの約86%であり、対照群の73%に比して明らかに厚かった(対照群と比較,#p<0.05)。
【0146】
11.実施例11
【0147】
PT−Aおよび市販製品の皮膚有害反応を引き起こす作用の評価と比較
【0148】
先ず、C57BL/6マウス(6〜8週齢)の背部を剃毛し、マウスをコントロール群、対照群および実験群に分けた。
【0149】
コントロール群では、マウスに何らの処置もしなかった。対照群では、1日1回連続60日間にわたりRinderon軟膏10mgをマウス背部に塗布した。実験群では、1日1回60日間にわたりPT−A軟膏10mgをマウス背部に塗布した。
【0150】
次いで、乾燥、発赤、落屑等の項目を含む動物背部皮膚有害反応の程度を評価し、撮影した。動物を犠牲死させた後、その背部の軟膏を塗布していない部位の皮膚(コントロール群)、軟膏を塗布した部位の皮膚(対照群および実験群)を取り、組織のヘマトキシリン・エオジン染色を行った。結果は
図11Aおよび
図11Bに示すとおりである。
【0151】
図11Aに示されるように、コントロール群に比して、対照群ではRinderon投与後に、マウスの皮膚乾燥および落屑の現象が明らかに引き起こされているが、実験群では、PT−Aを60日間投与した後、マウスの皮膚は正常な外観が維持されており、コントロール群と同じであった。
【0152】
図11Bに示されるように、コントロール群に比して、対照群ではマウスの表皮が薄くなるという現象が明らかに引き起こされているが、実験群では、PT−Aを60日間投与した後、マウスの皮膚表皮は正常な厚さが維持されており、コントロール群と同じであった。
【0153】
12.実施例12
【0154】
ヒト皮膚反復刺激および感作性試験の結果
【0155】
本実施例では合計50人の被験者を試験した。先ず、PT−A(含量25mg/g)軟膏を低刺激性のパッチに塗布してから、被験者の背部肩甲骨の下の領域に貼った。24時間後にパッチを取り除いた。2日おきに試験を繰り返し行い、1週間に3回、3週間にわたって刺激性試験を行った。2〜9回目の試験の前、および感作性試験を行う前に、皮膚の発赤および浮腫の状況を観察し、計9回の結果を得た。
【0156】
10〜14日後、50人の被験者の背部肩甲骨の下の領域に再度PT−A(含量25mg/g)軟膏を塗布した。24時間および48時間後に、皮膚の発赤および浮腫の状況をそれぞれ評価した(感作性試験)。結果は
図12に示すとおりである。
【0157】
図12の結果は、PT−Aがヒトの皮膚刺激およびアレルギー性反応を引き起こさないということを示している。
【0158】
13.実施例13
【0159】
PT−Aのウサギ皮膚反復刺激試験の結果
【0160】
先ず、2.0〜3.0kgのニュージーランドホワイトウサギ3匹の背部をそれぞれ剃毛してから、PT−A(含量25mg/g)軟膏を1×1インチサイズのガーゼ上に塗布し、ドレッシング材で背部右側の領域に固定して24時間貼付した後、ガーゼとドレッシング材を取り除き、蒸餾水で被験皮膚を洗浄した。これを17日間にわたって行った。対照物質(最初の10日間は注射用蒸餾水、後の7日間は試料を含まない軟膏)を同様に同じサイズのガーゼ上に塗布し、ドレッシング材で左側の領域に固定し貼付した。24時間後、ガーゼとドレッシング材を取り除き、蒸餾水で被験皮膚を洗浄した。これを17日間にわたって行った。
【0161】
毎日ドレッシング材およびガーゼを取り除いた後に、動物の皮膚に紅斑および浮腫が生じているか否かを観察し、これを17日にわたって続けた。皮膚の反応に基づいて、基準表により判定して採点し、採点したスコアから皮膚一次刺激性インデックスPII(primary irritation index)を算出し、得られたインデックスから、試験物質反復投与後に生じた皮膚の刺激反応を評価した。結果は表1に示すとおりである。
【0162】
【表1】
【0163】
一次刺激スコア(primary irritation score, PIS)
一次刺激スコア=実験群のスコア−対照群のスコア
コード1001:19−3=16
コード1002:0−0=0
コード1003:8−1=7
【0164】
皮膚一次刺激性インデックスPII
皮膚一次刺激性インデックスPII=一次刺激スコア/試験日数
コード1001:16/17=0.9(軽度刺激)
コード1002:0/17=0(無刺激)
コード1003:7/17=0.4(無刺激)
【0165】
表1の結果に示されるように、PT−A軟膏は、1匹の動物に軽度の刺激性反応を起こし、残り2匹には無刺激性であった。
【0166】
好ましい実施形態により本発明を上のように開示したが、これらは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、いくらかの変更および修飾を加えられるであろうことから、本発明の保護範囲は、後述の特許請求の範囲で定められたものを基準としなければならない。
【0167】
本発明の態様は、以下のとおりであってもよい。
[1]
漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用であって、前記漢方薬草抽出物の製造原料に、甘草、柴胡、黄岑、五味子および芍薬が含まれる、漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[2]
前記製造原料中、前記甘草、前記柴胡、前記黄岑、前記五味子および前記芍薬の重量比が約1〜5:1〜5:1〜5:1〜5:1〜5である、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[3]
前記漢方薬草抽出物が、
(a)前記製造原料中の甘草、柴胡、黄岑、五味子および芍薬を混合して原料混合物を形成するステップ、ならびに
(b)前記原料混合物に対し溶媒で抽出工程を行うステップ、
を含む抽出方法により得られる、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[4]
前記溶媒には水または有機溶媒が含まれる、[3]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[5]
前記有機溶媒にはアルコール類、ケトン類、酸類またはエステル類が含まれる、[4]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[6]
前記アルコール類にはメタノールまたはエタノールが含まれる、[5]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[7]
前記溶媒がエタノールである、[3]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[8]
前記甘草には生甘草または炙甘草が含まれ、前記柴胡には生北柴胡または高氏柴胡が含まれ、前記黄岑には枯黄岑または條黄岑が含まれ、前記五味子には北五味子または南五味子が含まれ、前記芍薬には赤芍、白芍または牡丹が含まれる、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[9]
前記甘草が生甘草であり、前記柴胡が北柴胡であり、前記黄岑が枯黄岑であり、前記五味子が北五味子であり、前記芍薬が赤芍である、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[10]
前記製造原料中、前記生甘草、前記北柴胡、前記枯黄岑、前記北五味子および前記赤芍の重量比が約1:1:1:1:1である、[9]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[11]
前記漢方薬草抽出物が、
前記製造原料中の前記生甘草、前記北柴胡、前記枯黄岑、前記北五味子および前記赤芍を混合して原料混合物を形成するステップ、ならびに
前記原料混合物に対し溶媒で抽出工程を行うステップ、
を含む抽出方法により得られる、[10]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[12]
前記溶媒がエタノールである、[11]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[13]
前記皮膚疾患には自己免疫に関連にする皮膚疾患または感染性皮膚疾患が含まれる、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[14]
前記自己免疫に関連する皮膚疾患には乾癬、アレルギー性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎が含まれる、[13]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[15]
前記皮膚疾患治療薬が局所投与剤形であり、かつ前記局所投与剤形には軟膏、乳剤、液剤またはゲルが含まれる、[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[16]
前記漢方薬草抽出物をステロイドと共に皮膚疾患治療薬の製造のために用いる使用をさらに含む[1]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[17]
前記漢方薬草抽出物と前記ステロイドとの重量比が約5:1〜200:1である、[16]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[18]
前記ステロイドには、デキサメタゾン、フルオロメトロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロンまたはヒドロコルチゾンが含まれる、[16]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[19]
前記皮膚疾患治療薬が局所投与剤形であり、かつ前記局所投与剤形には軟膏、乳剤、液剤またはゲルが含まれる、[16]に記載の漢方薬草抽出物の皮膚疾患治療薬の製造のための使用。
[20]
ステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用であって、前記漢方薬草抽出物の製造原料には甘草、柴胡、黄岑、五味子および芍薬が含まれる、ステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[21]
前記製造原料中、前記甘草、前記柴胡、前記黄岑、前記五味子および前記芍薬の重量比が約1〜5:1〜5:1〜5:1〜5:1〜5である、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[22]
前記漢方薬草抽出物が、
(a)前記製造原料中の甘草、柴胡、黄岑、五味子および芍薬を混合して原料混合物を形成するステップ、ならびに
(b)前記原料混合物に対し溶媒で抽出工程を行うステップ、
を含む抽出方法により得られる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[23]
前記溶媒には水または有機溶媒が含まれる、[22]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[24]
前記有機溶媒にはアルコール類、ケトン類、酸類またはエステル類が含まれる、[23]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[25]
前記アルコール類にはメタノールまたはエタノールが含まれる、[24]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[26]
前記溶媒がエタノールである、[22]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[27]
前記甘草には生甘草または炙甘草が含まれ、前記柴胡には生北柴胡または高氏柴胡が含まれ、前記黄岑には枯黄岑または條黄岑が含まれ、前記五味子には北五味子または南五味子が含まれ、前記芍薬には赤芍、白芍または牡丹が含まれる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[28]
前記甘草が生甘草であり、前記柴胡が北柴胡であり、前記黄岑が枯黄岑であり、前記五味子が北五味子であり、前記芍薬が赤芍である、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[29]
前記製造原料中、前記生甘草、前記北柴胡、前記枯黄岑、前記北五味子および前記赤芍の重量比が約1:1:1:1:1である、[28]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[30]
前記漢方薬草抽出物が、
前記製造原料中の前記生甘草、前記北柴胡、前記枯黄岑、前記北五味子および前記赤芍を混合して原料混合物を形成するステップ、ならびに
前記原料混合物に対し溶媒で抽出工程を行うステップ、
を含む抽出方法により得られる、[29]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[31]
前記溶媒がエタノールである、[30]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[32]
前記皮膚疾患には感染性皮膚疾患または自己免疫に関連にする皮膚疾患が含まれる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[33]
前記自己免疫に関連する皮膚疾患には乾癬、アレルギー性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎が含まれる、[32]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[34]
前記副作用には皮膚の菲薄化および/または血管拡張が含まれる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[35]
前記ステロイドには、デキサメタゾン、フルオロメトロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロンまたはヒドロコルチゾンが含まれる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[36]
前記ステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬が局所投与剤形であり、かつ前記局所投与剤形には軟膏、乳剤、液剤またはゲルが含まれる、[20]に記載のステロイドによる皮膚疾患治療の副作用を改善する薬の製造のための漢方薬草抽出物の使用。
[37]
その製造原料に甘草、柴胡、黄岑、五味子および芍薬が含まれる漢方薬草抽出物と、
ステロイドと
を含む皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物であって、
前記漢方薬草抽出物が、前記ステロイドにより生じる副作用を低減する効果、および/または前記ステロイドの単独使用に比べて前記ステロイドに要される有効量を低減させる効果を有する、皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。
[38]
前記製造原料中、前記甘草、前記柴胡、前記黄岑、前記五味子および前記芍薬の重量比が約1〜5:1〜5:1〜5:1〜5:1〜5である、[37]に記載の皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。
[39]
前記漢方薬草抽出物と前記ステロイドとの重量比が約5:1〜200:1である、[37]に記載の皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。
[40]
前記ステロイドにはデキサメタゾン、フルオロメトロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロンまたはヒドロコルチゾンが含まれる、[37]に記載の皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。
[41]
局所投与剤形または全身投与剤形である[37]に記載の皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。
[42]
前記医薬組成物が局所投与剤形であり、前記局所投与剤形には軟膏、乳剤、液剤またはゲルが含まれる、[37]に記載の皮膚疾患を軽減緩和する医薬組成物。