特許第6738791号(P6738791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738791
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】編地の編成方法、および編地
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/24 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   D04B1/24
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-245464(P2017-245464)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-15012(P2019-15012A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2017-132971(P2017-132971)
(32)【優先日】2017年7月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】上道 和也
【審査官】 橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−011031(JP,A)
【文献】 特開2010−265557(JP,A)
【文献】 特開2016−008364(JP,A)
【文献】 特開2014−201850(JP,A)
【文献】 特開2000−220063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B1/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一側針床と他側針床、およびこれらの針床に編糸を給糸する給糸部材を有する横編機を用いて、両針床に交互に係止される編出し部を編成し、その編出し部を起点にして前後に対向する一側編地部と他側編地部を編成する編地の編成方法において、
前記編出し部を形成していく方向を形成方向、その反対方向を始端方向としたとき、
前記一側針床に第一編目を編成し、前記他側針床に第二編目を編成する工程Aを行った後、
前記第一編目よりも前記形成方向側に、前記第一編目のウエール方向に続く新たな第一編目を編成する工程Bと、
前記新たな第一編目近傍の前記一側針床の空針に一側増し目を編成する工程Cと、
前記第二編目よりも前記形成方向側に、前記第二編目のウエール方向に続く新たな第二編目を編成する工程Dと、
前記新たな第二編目近傍の前記他側針床の空針に他側増し目を編成する工程Eと、を繰り返すことで前記編出し部を編成し、
前記編出し部における複数の前記一側増し目からなる編目列のウエール方向に前記一側編地部を編成すると共に、複数の前記他側増し目からなる編目列のウエール方向に前記他側編地部を編成する編地の編成方法。
但し、前記一側編地部と前記他側編地部の少なくとも一方はリブ組織であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Bの前記新たな第一編目は裏目とし、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Bの前記新たな第一編目は表目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Dの前記新たな第二編目は裏目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Dの前記新たな第二編目は表目とし、
かつ、前記工程Bおよび前記工程Dにおける編目の移動は、その移動させる編目よりも前記給糸部材を前記形成方向側に配置した状態で行う。
【請求項2】
互いに対向する一側針床と他側針床、およびこれらの針床に編糸を給糸する給糸部材を有する横編機を用いて、両針床に交互に係止される編出し部を編成し、その編出し部を起点にして前後に対向する一側編地部と他側編地部を編成する編地の編成方法において、
前記編出し部を形成していく方向を形成方向、その反対方向を始端方向としたとき、
前記一側針床に第一編目を編成し、前記他側針床に第二編目を編成する工程Aを行った後、
前記第一編目のウエール方向に続く第三編目を編成する工程Bと、
前記第三編目に割増やしを行って、前記第三編目から引き出される第一新規編目を形成し、前記第三編目と前記第一新規編目のいずれか一方を前記形成方向側に移動させて新たな第一編目と規定すると共に、他方を一側増し目と規定する工程Cと、
前記第二編目のウエール方向に続く第四編目を編成する工程Dと、
前記第四編目に割増やしを行って、前記第四編目から引き出される第二新規編目を形成し、前記第四編目と前記第二新規編目のいずれか一方を前記形成方向側に移動させて新たな第二編目と規定すると共に、他方を他側増し目と規定する工程Eと、を繰り返すことで前記編出し部を編成し、
前記編出し部における複数の前記一側増し目からなる編目列のウエール方向に前記一側編地部を編成すると共に、複数の前記他側増し目からなる編目列のウエール方向に前記他側編地部を編成する編地の編成方法。
但し、前記一側編地部と前記他側編地部の少なくとも一方はリブ組織であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Bの前記第三編目は裏目とし、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Bの前記第三編目は表目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Dの前記第四編目は裏目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Dの前記第四編目は表目とする。
【請求項3】
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Cでは前記第三編目を前記新たな第一編目、前記第一新規編目を前記一側増し目と規定し、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Cでは前記第一新規編目を前記新たな第一編目、前記第三編目を前記一側増し目と規定し、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Eでは前記第四編目を前記新たな第二編目、前記第二新規編目を前記他側増し目と規定し、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Eでは第二新規編目を前記新たな第二編目、前記第四編目を前記他側増し目と規定する請求項2に記載の編地の編成方法。
【請求項4】
前記工程Aの前記第一編目および前記第二編目の少なくとも一方を捻り目とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の編地の編成方法。
【請求項5】
編出し部と、この編出し部から互いに異なる方向に分岐する一側編地部および他側編地部と、を備え、
前記編出し部は、単数の編糸または複数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットからなる編地において、
各編目ユニットは、
前記一側編地部の編目に対して傾いた第一編目と、
前記第一編目よりも後に編成され、かつ前記第一編目よりも前記第一編目が傾く方向とは反対側に配置される掛け目からなる一側増し目と、
前記一側増し目よりも後に編成され、かつ前記他側編地部の編目に対して傾いた第二編目と、
前記第二編目よりも後に編成され、かつ前記第二編目よりも前記第二編目が傾く方向とは反対側に配置される掛け目からなる他側増し目と、を備え、
nを任意の自然数としたとき、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第一編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第一編目に対して形成され、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第二編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第二編目に対して形成され、
前記一側増し目のウエール方向に前記一側編地部の編目が形成され、前記他側増し目のウエール方向に前記他側編地部の編目が形成される編地。
但し、前記一側編地部および前記他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であり、
各編目ユニットにおいて、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が表目である場合、前記第一編目は裏目であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が裏目である場合、前記第一編目は表目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が表目である場合、前記第二編目は裏目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が裏目である場合、前記第二編目は表目である。
【請求項6】
編出し部と、この編出し部から互いに異なる方向に分岐する一側編地部および他側編地部と、を備え、
前記編出し部は、単数の編糸または複数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットからなる編地において、
各編目ユニットは、
割増やしによって形成される旧編目と新編目からなる第一グループの一方の編目で構成され、前記一側編地部の編目に対して傾いた第一編目と、
前記第一グループの他方の編目で構成され、かつ前記第一編目よりも前記第一編目が傾く方向とは反対側に配置される一側増し目と、
前記一側増し目よりも後に割増やしによって形成される旧編目と新編目からなる第二グループの一方の編目で構成され、かつ前記他側編地部の編目に対して傾いた第二編目と、
前記第二グループの他方の編目で構成され、かつ前記第二編目よりも前記第二編目が傾く方向とは反対側に配置される他側増し目と、を備え、
nを任意の自然数としたとき、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第一編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第一編目に対して形成され、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第二編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第二編目に対して形成され、
前記一側増し目のウエール方向に前記一側編地部の編目が形成され、前記他側増し目のウエール方向に前記他側編地部の編目が形成される編地。
但し、前記一側編地部および前記他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であり、
各編目ユニットにおいて、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が表目である場合、前記第一編目または前記一側増し目は裏目であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が裏目である場合、前記第一編目または前記一側増し目は表目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が表目である場合、前記第二編目または前記他側増し目は裏目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が裏目である場合、前記第二編目または前記他側増し目は表目である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編出し部を編成し、その編出し部を起点にして編出し部から分岐する一側編地部と他側編地部とを編成する編地の編成方法、および編出し部から分岐する一側編地部と他側編地部とを有する編地に関する。
【背景技術】
【0002】
横編機を用いて前後に対向する針床に係止される編出し部を編成し、その編出し部を起点として前後に対向する一側編地部と他側編地部を編成する編地の編成方法として、例えば特許文献1に記載の方法が挙げられる。特許文献1では、最初に一側編目と他側編目を編成した後、以下の編成を繰り返すことで編出し部を編成している。
・一側編目よりも編出し部の形成方向側に、その一側編目に続く新たな一側編目を編成し、一側編目の移動によって形成される空針に一側増し目を形成する。
・他側編目よりも編出し部の形成方向側に、その他側編目に続く新たな他側編目を編成し、他側編目の移動によって形成される空針に他側増し目を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−11031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、編出し部に続く一側編地部と他側編地部が天竺組織の場合には編出し部を目立たなくすることができる。しかし、一側編地部と他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であると、編出し部が波打ったようになり易く、編出し部が目立ってしまう。この現象は、n×mのリブ組織のn,mが小さくなるほど顕著になる傾向にある。例えば、図10(A)に示す写真は、編出し部に続けて2×2のリブ組織の一側編地部と他側編地部とを編成した編地を示す写真であり、写真の下端に配置される編出し部が波打っていることが分かる。これは、縮み易いリブ組織に比べて編出し部が縮み難く、編地部の収縮量と編出し部の収縮量とに差ができるためである。また、図10(B)に示すように編出し部を編幅方向に拡げると、編出し部の屈曲は目立たなくなるものの、編地部のリブ組織と編出し部の編組織との差が明らかになり、編出し部が目立ってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、一側編地部と他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であっても、編出し部を目立たなくできる編地の編成方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、一側編地部と他側編地部の少なくとも一方がリブ組織で、かつ編出し部が目立たない編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の編地の編成方法は、
互いに対向する一側針床と他側針床、およびこれらの針床に編糸を給糸する給糸部材を有する横編機を用いて、両針床に交互に係止される編出し部を編成し、その編出し部を起点にして前後に対向する一側編地部と他側編地部を編成する編地の編成方法において、
前記編出し部を形成していく方向を形成方向、その反対方向を始端方向としたとき、
前記一側針床に第一編目を編成し、前記他側針床に第二編目を編成する工程Aを行った後、
前記第一編目よりも前記形成方向側に、前記第一編目のウエール方向に続く新たな第一編目を編成する工程Bと、
前記新たな第一編目近傍の前記一側針床の空針に一側増し目を編成する工程Cと、
前記第二編目よりも前記形成方向側に、前記第二編目のウエール方向に続く新たな第二編目を編成する工程Dと、
前記新たな第二編目近傍の前記他側針床の空針に他側増し目を編成する工程Eと、を繰り返すことで前記編出し部を編成し、
前記編出し部における複数の前記一側増し目からなる編目列のウエール方向に前記一側編地部を編成すると共に、複数の前記他側増し目からなる編目列のウエール方向に前記他側編地部を編成する編地の編成方法である。
但し、前記一側編地部と前記他側編地部の少なくとも一方はリブ組織であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Bの前記新たな第一編目は裏目とし、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Bの前記新たな第一編目は表目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Dの前記新たな第二編目は裏目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Dの前記新たな第二編目は表目とし、
かつ、前記工程Bおよび前記工程Dにおける編目の移動は、その移動させる編目よりも前記給糸部材を前記形成方向側に配置した状態で行う。
【0007】
ここで、表目は、一側針床側(他側針床側)から見たときに、他側針床側(一側針床側)から一側針床側(他側針床側)に向って旧編目から引き出される編目である。また、裏目は、表目と逆方向に引き出される編目である。また、工程B(D)では、第一編目(第二編目)を形成方向に移動させた後に、第一編目(第二編目)のウエール方向に続く新たな第一編目(第二編目)を編成しても良いし、第一編目(第二編目)のウエール方向に続く新たな第一編目(第二編目)を編成した後、その新たな第一編目(第二編目)を形成方向に移動させても良い。さらに、工程C(E)における新たな第一編目(新たな第二編目)近傍の空針とは、第一編目(新たな第二編目)から編幅方向に3針以内の空針のことである。空針に形成される一側増し目(他側増し目)は掛け目である。工程B〜Eの繰り返しによって形成される複数の新たな第一編目(第二編目)、および一側増し目(他側増し目)は、その形成順に形成方向に向かって並ぶように配置する。
【0008】
本発明の第二の編地の編成方法は、
互いに対向する一側針床と他側針床、およびこれらの針床に編糸を給糸する給糸部材を有する横編機を用いて、両針床に交互に係止される編出し部を編成し、その編出し部を起点にして前後に対向する一側編地部と他側編地部を編成する編地の編成方法において、
前記編出し部を形成していく方向を形成方向、その反対方向を始端方向としたとき、
前記一側針床に第一編目を編成し、前記他側針床に第二編目を編成する工程Aを行った後、
前記第一編目のウエール方向に続く第三編目を編成する工程Bと、
前記第三編目に割増やしを行って、前記第三編目から引き出される第一新規編目を形成し、前記第三編目と前記第一新規編目のいずれか一方を前記形成方向側に移動させて新たな第一編目と規定すると共に、他方を一側増し目と規定する工程Cと、
前記第二編目のウエール方向に続く第四編目を編成する工程Dと、
前記第四編目に割増やしを行って、前記第四編目から引き出される第二新規編目を形成し、前記第四編目と前記第二新規編目のいずれか一方を前記形成方向側に移動させて新たな第二編目と規定すると共に、他方を他側増し目と規定する工程Eと、を繰り返すことで前記編出し部を編成し、
前記編出し部における複数の前記一側増し目からなる編目列のウエール方向に前記一側編地部を編成すると共に、複数の前記他側増し目からなる編目列のウエール方向に前記他側編地部を編成する編地の編成方法である。
但し、前記一側編地部と前記他側編地部の少なくとも一方はリブ組織であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Bの前記第三編目は裏目とし、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Bの前記第三編目は表目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Dの前記第四編目は裏目とし、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Dの前記第四編目は表目とする。
【0009】
本発明の第一の編地の編成方法では、空針に編糸を掛ける掛け目によって増し目を形成しているのに対して、本発明の第二の編地の編成方法では、割増やしによって増し目を形成している。第二の編地の編成方法においても、表目、裏目の定義については第一の編地の編成方法の定義に準じる。
【0010】
本発明の第二の編地の編成方法の一形態として、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Cでは前記第三編目を前記新たな第一編目、前記第一新規編目を前記一側増し目と規定し、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Cでは前記第一新規編目を前記新たな第一編目、前記第三編目を前記一側増し目と規定し、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を表目とする場合、前記工程Eでは前記第四編目を前記新たな第二編目、前記第二新規編目を前記他側増し目と規定し、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目を裏目とする場合、前記工程Eでは第二新規編目を前記新たな第二編目、前記第四編目を前記他側増し目と規定する形態を挙げることができる。
【0011】
本発明の第一及び第二の編地の編成方法の一形態として、
前記工程Aの前記第一編目および前記第二編目の少なくとも一方を捻り目とする形態を挙げることができる。
【0012】
本発明の第一の編地は、
編出し部と、この編出し部から互いに異なる方向に分岐する一側編地部および他側編地部と、を備え、
前記編出し部は、単数の編糸または複数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットからなる編地において、
各編目ユニットは、
前記一側編地部の編目に対して傾いた第一編目と、
前記第一編目よりも後に編成され、かつ前記第一編目よりも前記第一編目が傾く方向とは反対側に配置される掛け目からなる一側増し目と、
前記一側増し目よりも後に編成され、かつ前記他側編地部の編目に対して傾いた第二編目と、
前記第二編目よりも後に編成され、かつ前記第二編目よりも前記第二編目が傾く方向とは反対側に配置される掛け目からなる他側増し目と、を備え、
nを任意の自然数としたとき、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第一編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第一編目に対して形成され、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第二編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第二編目に対して形成され、
前記一側増し目のウエール方向に前記一側編地部の編目が形成され、前記他側増し目のウエール方向に前記他側編地部の編目が形成される編地である。
但し、前記一側編地部および前記他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であり、
各編目ユニットにおいて、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が表目である場合、前記第一編目は裏目であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が裏目である場合、前記第一編目は表目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が表目である場合、前記第二編目は裏目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が裏目である場合、前記第二編目は表目である。
【0013】
本発明の第二の編地は、
編出し部と、この編出し部から互いに異なる方向に分岐する一側編地部および他側編地部と、を備え、
前記編出し部は、単数の編糸または複数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットからなる編地において、
各編目ユニットは、
割増やしによって形成される旧編目と新編目からなる第一グループの一方の編目で構成され、前記一側編地部の編目に対して傾いた第一編目と、
前記第一グループの他方の編目で構成され、かつ前記第一編目よりも前記第一編目が傾く方向とは反対側に配置される一側増し目と、
前記一側増し目よりも後に割増やしによって形成される旧編目と新編目からなる第二グループの一方の編目で構成され、かつ前記他側編地部の編目に対して傾いた第二編目と、
前記第二グループの他方の編目で構成され、かつ前記第二編目よりも前記第二編目が傾く方向とは反対側に配置される他側増し目と、を備え、
nを任意の自然数としたとき、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第一編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第一編目に対して形成され、
n+1番目の前記編目ユニットの前記第二編目は、n番目の前記編目ユニットの前記第二編目に対して形成され、
前記一側増し目のウエール方向に前記一側編地部の編目が形成され、前記他側増し目のウエール方向に前記他側編地部の編目が形成される編地である。
但し、前記一側編地部および前記他側編地部の少なくとも一方がリブ組織であり、
各編目ユニットにおいて、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が表目である場合、前記第一編目または前記一側増し目は裏目であり、
前記一側増し目のウエール方向に続く前記一側編地部の編目が裏目である場合、前記第一編目または前記一側増し目は表目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が表目である場合、前記第二編目または前記他側増し目は裏目であり、
前記他側増し目のウエール方向に続く前記他側編地部の編目が裏目である場合、前記第二編目または前記他側増し目は表目である。
【発明の効果】
【0014】
工程Aを行った後、工程B〜工程Eを1ユニットとする編成を繰り返す本発明の第一の編地の編成方法では、一側編地部と他側編地部の各編目のそれぞれを表目とするか裏目とするかによって、編出し部を構成する第一編目と第二編目を表目とするか裏目とするかを決定している。そうすることで、編地部のリブ組織の形状に沿い、リブ組織の収縮に追従する編出し部を備える本発明の第一の編地を編成することができる。本発明の第一の編地では、リブ組織で構成される編地部の収縮に編出し部が追従する構成となっているため、一側編地部と他側編地部の少なくとも一方がリブ組織で構成されていても、編出し部を目立たなくできる。
【0015】
工程Aを行った後、工程B〜工程Eを1ユニットとする編成を繰り返す本発明の第二の編地の編成方法では、一側編地部と他側編地部の各編目のそれぞれを表目とするか裏目とするかによって、編出し部を構成する第三編目と第四編目を表目とするか裏目とするかを決定している。そうすることで、編地部のリブ組織の形状に沿い、リブ組織の収縮に追従する編出し部を備える本発明の第二の編地を編成することができる。本発明の第二の編地では、リブ組織で構成される編地部の収縮に編出し部が追従する構成となっているため、一側編地部と他側編地部の少なくとも一方がリブ組織で構成されていても、編出し部を目立たなくできる。さらに、本発明の第二の編地の編成方法では割増やしによって増し目を形成しているため、編出し部の編目が詰んだ状態になり、編出し部に孔が空き難く、編出し部の見栄えが良い。
【0016】
割増やしを用いた第二の編地の編成方法において、一側編地部と他側編地部の編目が表目の場合、割増やしによって形成される新規編目を増し目とし、一側編地部と他側編地部の編目が裏目の場合、新規編目が引き出される旧編目(第三編目又は第四編目)を増し目とすることで、編出し部の見栄えをさらに向上させることができる。
【0017】
本発明の第一及び第二の編地の編成方法において、工程Aで編成する第一編目および第二編目の少なくとも一方を捻り目とすることで、編出し部を解れ難くできる。工程Aの第一編目と第二編目は、編出し部の始端となる編目であるため、第一編目および第二編目の少なくとも一方を解れ難い捻り目で構成することで、編出し部が解れることを効果的に抑制できる。特に、第一編目を捻り目とすることが好ましく、第一編目と第二編目の両方を捻り目とすることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に示す編地(スカート)の概略図である。
図2】実施形態1に示す編地の編成方法に係る編成工程の前半部分を示す編成工程第一図である。
図3】実施形態1に示す編地の編成方法に係る編成工程の後半部分を示す編成工程第二図である。
図4】抜き糸を抜く前の実施形態1の編地の編出し部近傍の部分を、編地の内側から見たときのループ図である。
図5】抜き糸を抜いた後の実施形態1の編地の編出し部近傍の部分を、編地の内側から見たときのループ図である。
図6】(A)は、実施形態1の編地の編成方法を用いて編成された編地の編出し部近傍の写真を、(B)は、(A)の編地を編幅方向に拡げたときの編出し部近傍の写真を示す図である。
図7】実施形態2に示す編地の編成方法に係る編成工程の前半部分を示す編成工程第一図である。
図8】実施形態2に示す編地の編成方法に係る編成工程の後半部分を示す編成工程第二図である。
図9】抜き糸を抜いた後の実施形態2の編地の編出し部近傍の部分を、編地の内側から見たときのループ図である。
図10】(A)は、特許文献1の従来の編地の編成方法によって編成された編地の編出し部近傍の写真を、(B)は、(A)の編地を編幅方向に拡げたときの編出し部近傍の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1では、図1に示すスカート(編地)100を編成する例を説明する。このスカート100は、前側編地部(他側編地部)20Fと後側編地部(一側編地部)20Bとが筒状に繋がることで形成されており、その編出し部101と編終り部102はいずれもスカート100の側方に設定されている。つまり、このスカート100は、その側方から編出して、図1に矢印で示す方向に向かって編成を行い、反対側の側方で編み終ることで得られる。編出し部101をフラットに形成し、目立たなくすることで、スカート100の商品価値が上がる。ここで、本例の編出し部101を形成する対象となる編地は着衣に限定されるわけではなく、例えば鞄などの小物や、家具のカバーなどであっても良い。
【0020】
以下、スカート100のうち、特に編出し部101の編成方法を図2,3に示す編成工程図、および図4に示すループ図に基づいて説明する。スカート100の編成に使用する横編機は、左右方向に延びかつ前後方向に互いに対向する前後一対の針床を、二組有する4枚ベッド横編機である。横編機は2枚ベッド横編機であっても良く、その場合、隣接する編目の間に空針を設けた針抜き編成を行なうと良い。
【0021】
図2,3の小欄に記載の「S+数字」は編成工程の番号を示し、小欄の右にある大欄には、各編成工程における編成の様子が示されている。大欄内の黒点は編針を、逆三角形マークは給糸部材を示し、欄外の大文字アルファベットは編針の位置を示している。大欄内の五角形マークは抜き糸の編目を、丸マークは表目を、菱形マークは裏目を、二重マークは重ね目を、塗り潰したマークはその編成工程で編成した編目を示す。また、欄外に矢印で示す紙面左方向および右方向をそれぞれ、形成方向LSおよび始端方向RSとする。形成方向LSとは、編出し部101を編成していく方向、始端方向RSとは、形成方向LSとは逆方向である。
【0022】
一方、図4は、図2,3の編成工程図に従って編成されたスカート100をその内側から見たときの編出し部101近傍の編目の状態を示すループ図である。図4では、図面が複雑になり過ぎないように抜き糸の図示を省略している。
【0023】
図2のS1では、下部後針床(一側針床であって以下BDと表記)の編針A〜Hに第一抜き糸編目列30Bが係止され、下部前針床(他側針床であって以下FDと表記)の編針A〜Hに第二抜き糸編目列30Fが係止された状態から、編出し部101(図1)の編成を開始する。編出し部101は、抜き糸編目列30B,30Fのウエール方向に連続し、BDとFDの編針A〜Hに形成される。また、本例では、編出し部101のウエール方向に続けて2×2のリブ組織の編地部20B,20F(図1参照)を編成することを前提に、編出し部101を編成する。具体的には、BD(FD)の編針A,B,E,Fには、後側編地部20B(前側編地部20F)の表目を、BD(FD)の編針C,D,G,Hには、後側編地部20B(前側編地部20F)の裏目を編成することを前提として編出し部101を編成する。
【0024】
編出し部101の編成は、一つの給糸部材で連続して行なわれる。また、編出し部101を構成する編目および掛け目には、その形成順に符号1〜18を付す。これらの編目および掛け目は、その形成順に繋がっている。
【0025】
図2に示すS1では、BDの編針Aに、抜き糸の編目のウエール方向に続く第一編目1を編成すると共に、FDの編針Aに、抜き糸の編目のウエール方向に続く第二編目2を編成する(第一の編地の編成方法の工程A相当)。さらに、S1では、第一編目1を上部前針床(他側針床であって以下FUと表記)の編針Bに移動させる(工程Bの一部に相当)。編針Bは、第一編目1が係止されていた編針Aよりも形成方向LS側にあり、また第一編目1の移動の際に、給糸部材は第一編目1よりも形成方向LS側に配置されている。
【0026】
第一編目1と第二編目2は、編出し部101の始端となる編目であって、抜き糸を外したときに解れないように編成する。例えば、給糸部材を形成方向LSに移動させて第一編目1を編成した後、給糸部材を始端方向RSに移動させて第二編目2を編成することが挙げられる。この給糸部材の往復に伴う編目1,2の編成は、編成効率を重視した編成であって、抜き糸を外す前の編目1,2は捻られず、捻られていないままだと解れ易い。しかし、後述するように、編目1,2は、抜き糸を外したときに半回転して捻られた状態になり、解れない。もちろん、編目1,2が解れないように第一編目1および第二編目2の少なくとも一方を予め捻っておくこともできる。例えば第一編目1を捻れ目とするのであれば、給糸部材を形成方向LSへ移動させ、FUで第一編目1を編成し、給糸部材を始端方向RSに移動させた後、第一編目1をBDに移動させると良い。第二編目2も捻れ目とするのであれば、給糸部材を始端方向RSに移動させ、上部後針床(一側針床であって、以下BUと表記)で第二編目2を編成した後、第二編目2をFDに移動させると良い。本例では、図4に示すように、第一編目1を捻れ目としている。
【0027】
ここで、本例では抜き糸編目列30B,30Fの編成を行なっているが、針床BD,FDに抜き糸が係止されていない状態から編出し部101の編成を開始することもできる。但し、抜き糸編目列30B,30Fを形成しておくことで、編出し部101の編成が安定し、編出し部101を綺麗に仕上げることができる。
【0028】
S2では、BDの編針Bに係止される抜き糸編目列30Bの編目を、FUの編針Bに移動させる。つまり、抜き糸の編目と第一編目1とが重ねられた重ね目(紙面上は符合1で示している)を形成する。FDに抜き糸編目列30Bを編成しないのであれば、このS2は行う必要がない。
【0029】
S3では、給糸部材を始端方向RSに移動させ、第一編目1のウエール方向(本例では、第一編目1と抜き糸の編目とを重ねた重ね目)に続く新たな第一編目3を編成する(工程Bの残部に相当)。この新たな第一編目3は、BDに対向するFUで編成されるため、BD側から見て裏目である。第一編目3は給糸部材を形成方向LSに移動させて編成することもできる。
【0030】
S4では、給糸部材を形成方向LSに移動させ、空針であるBDの編針Aに掛け目からなる一側増し目4を編成する(工程C相当)。既に述べたように、BDの編針Aには後側編地部20B(図1)の表目を形成する予定であり、従って一側増し目4のウエール方向には表目が形成される予定である。S3において新たな第一編目3を裏目としたのは、一側増し目4のウエール方向に続く編目が表目であるためである。
【0031】
S5では、第一編目3よりも形成方向LS側に給糸部材がある状態で、第一編目3をBDの編針Bに移動させる。
【0032】
S6では、FDの編針Aに係止される第二編目2をBUの編針Bに移動させる(工程Dの一部に相当)。編針Bは、第二編目2が係止されていた編針Aよりも形成方向LS側にあり、また第二編目2の移動の際に、給糸部材は第二編目2よりも形成方向LS側に配置されている。
【0033】
S7では、FDの編針Bに係止される抜き糸編目列30Fの編目を、BUの編針Bに移動させる。つまり、抜き糸の編目と第二編目2とが重ねられた重ね目(符合2参照)を形成する。BDに抜き糸編目列30Fを編成しないのであれば、このS7は行う必要がない。
【0034】
S8では、給糸部材を始端方向RSに移動させ、第二編目2のウエール方向(本例では、第二編目2と抜き糸の編目とを重ねた重ね目)に続く新たな第二編目5を編成する(工程Dの残部に相当)。この新たな第二編目5は、FDに対向するBUで編成されるため、FD側から見て裏目である。第二編目2は給糸部材を形成方向LSに移動させて編成することもできる。
【0035】
S9では、給糸部材を形成方向LSに移動させ、空針であるFDの編針Aに掛け目からなる他側増し目6を編成する(工程E相当)。既に述べたように、FDの編針Aには前側編地部20F(図1)の表目を形成する予定であり、従って他側増し目6のウエール方向には表目が形成される予定である。S8において新たな第二編目5を裏目としたのは、他側増し目6のウエール方向に続く編目が表目であるためである。
【0036】
S10では、第二編目5よりも形成方向LS側に給糸部材がある状態で、第二編目5をFDの編針Bに移動させる。以上説明したS1〜S10により、工程Aと、1サイクルの工程B〜工程Eとが行なわれる。その結果、図4に示すように、工程Aで編成される編出し部101の始端となる編目1,2と、工程B〜Eで編成される第一編目3、一側増し目4、第二編目5、および他側増し目6と、が形成される。
【0037】
既に述べたように、編針Bに形成する編地部20B,20F(図4)の編目は表目となる予定であるため、S1〜S10の編成を再度繰り返す。但し、S1の編目1,2の編成は行なう必要はない。再びS1〜S10を行なうことで、図4に示すような第一編目7、一側増し目8、第二編目9、および他側増し目10が編成される。
【0038】
次に、編針Cに形成する編地部20B,20F(図4)の編目は裏目となる予定であるため、図3に示すS11〜S16を行なう。
【0039】
図3のS11では、BDの編針Cに係止される第一編目7をBDの編針Dに移動させ、編針D上で抜き糸編目列30Bの編目に重ね(工程Bの一部)、S12では、給糸部材を始端方向RS側に移動させ、新たな第一編目11を編成する(工程Bの残部)。新たな第一編目11はBDで編成されるので、BD側から見て表目である。
【0040】
S13では、給糸部材を形成方向LSに移動させ、BDの編針Cに一側増し目12を編成する(工程C)。この一側増し目12のウエール方向に続く編目は裏目となる予定である。
【0041】
S14では、FDの編針Cに係止される第二編目9をFDの編針Dに移動させ、編針D上で抜き糸編目列30Fの編目に重ね(工程Dの一部)、S15では、給糸部材を始端方向RS側に移動させ、新たな第二編目13を編成する(工程Dの残部)。新たな第二編目13はFDで編成されるので、FD側から見て表目である。
【0042】
S16では、給糸部材を形成方向LSに移動させ、FDの編針Cに他側増し目14を編成する(工程E)。この他側増し目14のウエール方向に続く編目は裏目となる予定である。S11〜S16により、1サイクルの工程B〜工程Eが行なわれ、その結果、図4に示すような第一編目11、一側増し目12、第二編目13、および他側増し目14が編成される。
【0043】
本例では再度、BDの編針EとFDの編針Eの抜き糸の編目に対してもS11〜S16と同様の編成を繰り返す。その結果、図4に示すような第一編目15、一側増し目16、第二編目17、および他側増し目18が編成される。以降は、S1(捻り目の編成を除く)〜S10を二回行なうことと、S11〜S16を二回行なうことと、を繰り返し、編出し部101を完成させる。
【0044】
図2,3に示す編成工程図に従って編出し部101を編成した後、編出し部101に続けて一側編地部20Bと他側編地部20Fを編成する。具体的には、図4に示すように、編出し部101における一側増し目4,8,12,16…で構成される第一編目列50Bのウエール方向に一側編地部20Bを編成する。また、一側編地部20Bとは別の給糸部材を用いて、他側増し目6,10,14,18…で構成される第二編目列50Fのウエール方向に他側編地部20Fを編成する。いずれかの編地部20B(20F)は、編出し部101で使用した給糸部材を利用して編成することができる。そうすることで、編地100における糸入れ部の数を減らすことができる。
【0045】
図4に示す編出し部101では、m+1番目(mは1以上の自然数)の第一編目(例えば、第一編目3を参照)の一方のシンカーループが、m番目の第一編目(第一編目1を参照)に巻き付いたようになっている。同様に、m+1番目(mは1以上の自然数)の第二編目(例えば、第二編目5を参照)の一方のシンカーループも、m番目の第二編目(第二編目2を参照)に巻き付いたようになっている。これらシンカーループの巻き付きは、工程Bおよび工程Dにおける編目の移動を、その移動させる編目よりも給糸部材を形成方向LS側に配置した状態で行うために生じる。これらシンカーループの巻き付きによって、第一編目1,3,7,11,15と、第二編目2,5,9,13,17には、これらの編目を紙面左側の円弧矢印の方向に回転させる力が作用している。この状態から、図示しない抜き糸を抜いて、抜き糸により各編目の拘束を解除することで、第一編目1,3,7,11,15と第二編目2,5,9,13,17が円弧矢印の方向に回転し、図5に示す状態になる。図4に示すように編成時に捻れ目であった第一編目1と第二編目2は、図5に示すように更に半回転捻られた状態になる。
【0046】
図5は、スカート100をその内側から見たときの編出し部101近傍のループ図である。スカート100の内側から各編目を見ているので、紙面手前側(スカート100の内側)から奥側(スカート100の外側)に引き出される編目が表目であり、その逆が裏目である。この図5に示すように、スカート100は、編出し部101と、この編出し部101から互いに異なる方向に分岐する一側編地部(後側編地部)20Bおよび他側編地部(前側編地部)20Fと、を備える。
【0047】
編出し部101は、単数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットQ1〜Q4(Q4以降は符合を省略)から構成されている。具体的には、始端となる第一編目1と第二編目2に続けて複数の編目ユニットQ1〜Q4が連続して形成されている。一番目の編目ユニットQ1は、第一編目3、一側増し目4、第二編目5、および他側増し目6で構成され、二番目の編目ユニットQ2は、第一編目7、一側増し目8、第二編目9、および他側増し目10で構成されている。また、三番目の編目ユニットQ3は、第一編目11、一側増し目12、第二編目13、および他側増し目14で構成され、四番目の編目ユニットQ4は、第一編目15、一側増し目16、第二編目17、および他側増し目18で構成されている。
【0048】
各編目ユニットQ1〜Q4を構成する編目・掛け目の形成順と位置関係は共通である。編目ユニットQ1を例にして説明すると、第一編目3は、一側編地部20Bの編目に対してほぼ直交する方向(図2,3の形成方向LS)に傾く。一側増し目4は、第一編目3よりも後に編成され、かつ第一編目3よりも第一編目3が傾く方向とは反対側(図2,3の始端方向RS側)に配置される捻れ目である。第二編目5は、一側増し目4よりも後に編成され、かつ他側編地部20Fの編目に対してほぼ直交する方向(図2,3の形成方向LS)に傾いている。そして、他側増し目6は、第二編目5よりも後に編成され、かつ第二編目5よりも第二編目5が傾く方向とは反対側に配置される捻れ目である。
【0049】
一番目の編目ユニットQ1の第一編目3と第二編目5はそれぞれ、始端の第一編目1と第二編目2に対して形成されている。また、n+1番目(nは1以上の自然数)の編目ユニットの第一編目は、n番目の編目ユニットの第一編目に対して形成され、n+1番目の編目ユニットの第二編目は、n番目の編目ユニットの第二編目に対して形成されている。このように、各編目ユニットQ1〜Q4は連結されている。
【0050】
上記編出し部101の一側増し目4,8,12,16のウエール方向に一側編地部20Bの編目が形成され、他側増し目6,10,14,18のウエール方向に他側編地部20Fの編目が形成される。ここで、一側編地部20Bおよび他側編地部20Fは共にリブ組織であり、図2,3の編成工程図で説明したように、各編目ユニットQ1〜Q4は次の条件を満たす。
・一側増し目4,8のウエール方向に続く一側編地部20Bの編目が表目である場合、第一編目3,7は裏目である。
・一側増し目12,16のウエール方向に続く一側編地部20Bの編目が裏目である場合、第一編目11,15は表目である。
・他側増し目6,10のウエール方向に続く他側編地部20Fの編目が表目である場合、第二編目5,9は裏目である。
・他側増し目14,18のウエール方向に続く他側編地部20Fの編目が裏目である場合、第二編目13,17は表目である。
【0051】
図5に示す編地100の編出し部101近傍の写真を図6に示す。図6(A)に示すように、編出し部が波うつこと無く真っ直ぐに形成されており、極めて見栄えの良い編地となっている。また、図6(B)に示すように、編地100の編出し部101を編幅方向に拡げても、編出し部101の位置で前後のリブ組織同士が綺麗に繋がっていることが分かる。これに対して、図10に示す特許文献1の編地の編成方法を用いた編地では、編出し部がそのウエール方向に続くリブ組織に対して拡がっているため、編出し部が多少波打ってしまっており、この図10に示す従来の編地と比べれば、図6に示す本例の編地の見栄えの良さが際立っていることが分かる。
【0052】
<実施形態2>
実施形態2では、割増やしを利用して編出し部の増し目を形成する例を図7,8の編成工程図、および図9のループ図に基づいて説明する。図7,8の見方、および図9の見方はそれぞれ、図2,3、および図5と同じである。ここで、図7のS1に示すように、本例では抜き糸の図示を省略している。抜き糸の使用・不使用は適宜選択できる。
【0053】
本例では、図7,8のBD(FD)の編針A,B,E,Fに後側編地部20B(前側編地部20F)の表目を、BD(FD)の編針C,D,G,Hに後側編地部20B(前側編地部20F)の裏目を編成することを前提として編出し部101の編成を開始する。具体的には、BDの編針Aに第一編目1を編成すると共に、FDの編針Aに第二編目2を編成する(第二の編地の編成方法の工程A相当)。第一編目1および第二編目2は、実施形態1と同様に編成することができる。
【0054】
S2では、BDの編針Aに係止される第一編目1をFUの編針Aに移動させた後、給糸口を始端方向RSに移動させ、第一編目1のウエール方向に続く第三編目30を編成する(工程B相当)。第三編目30はFUで編成されるので、BD側から見て裏目である。
【0055】
S3では、第三編目30を一旦、BDの編針Aに戻す。そして、S4では、第三編目30に割増やしを行う。割増やしを行うことで、旧編目である第三編目30はFUの編針Aに移動され、その第三編目30から引き出される新編目である第一新規編目31がBDの編針Aに形成される(工程Cの前半部分)。
【0056】
ここで、S3の第三編目30の移動は、上部の針床に係止される編目に対して割増やしを行なうことができないために行なっている。単なる横編機の機構上の問題なので、上部の針床の編目に割増やしを行なうことができる横編機であれば、S3を行なう必要はない。
【0057】
S5では、第三編目30を形成方向LS側に移動させて新たな第一編目3と規定すると共に、第一新規編目31を一側増し目4と規定する(工程Cの後半部分)。具体的には、第三編目30をBDの編針Bに移動させ、第一新規編目31はBDの編針Aに係止させたままとする。
【0058】
ここで、S5とは異なり、S4の第一新規編目31を形成方向LS側に移動させて新たな第一編目3と規定すると共に、第三編目30を一側増し目4と規定することもできる。しかし、一側増し目4のウエール方向に続く編目が表目となる場合、図7のS5に示す通りに行なう方が、編出し部101が綺麗に仕上がる。
【0059】
S6では、FDの編針Aに係止される第二編目2をBUの編針Aに移動させ、S7では、給糸口を始端方向RSに移動させ、第二編目2のウエール方向に続く第四編目40を編成する(工程D相当)。第四編目40はBUで編成されるので、FD側から見て裏目である。
【0060】
S8では、第四編目40を一旦、FDの編針Aに戻す。そして、S9では、第四編目40に割増やしを行う。割増やしを行うことで、旧編目である第四編目40はBUの編針Aに移動させ、その第四編目40から引き出される新編目である第二新規編目41がFDの編針Aに形成される(工程Eの前半部分)。
【0061】
S10では、第四編目40を形成方向LS側に移動させて新たな第二編目5と規定すると共に、第二新規編目41を他側増し目6と規定する(工程Eの後半部分)。具体的には、第四編目40をFDの編針Bに移動させ、第二新規編目41はFDの編針Aに係止させたままとする。S10と異なり、第二新規編目41を新たな第二編目5、第四編目40を他側増し目6と規定することもできるが、S10に示す通りに行う方が、編出し部101が綺麗に仕上がる。
【0062】
既に述べたように、編針Bに形成する編地部20B,20F(図9)の編目は表目となる予定であるため、S2〜S10の編成を再度繰り返す。その結果、図9に示すような第一編目7、一側増し目8、第二編目9、および他側増し目10が編成される。
【0063】
次に、編針Cに形成する編地部20B,20F(図9)の編目は裏目となる予定であるため、図8に示すS11〜S18を行なう。ここで、図9は編地100(図1)をその内側から見たループ図であるので、紙面手前側に引き出される編目(例えば、編目12のウエール方向に続く編目)は、編地100の外側から見たときに裏目である。
【0064】
図8のS0には、第二編目9と他側増し目10の配置が完了した状態が示されている。このS0に続くS11では、給糸口を始端方向RSに移動させ、BDの編針Cに係止される第一編目7のウエール方向に続く第三編目33を編成する(工程B相当)。第三編目33はBDで編成されるので、BD側から見て表目である。
【0065】
S12では、第三編目33に割増やしを行うことで、旧編目である第三編目33がFUの編針Cに移動され、その第三編目33から引き出される新編目である第一新規編目34がBDの編針Cに形成される(工程Cの前半部分)。
【0066】
S13,S14では、目移しとラッキングを用いて、第一新規編目34を形成方向LS側に移動させて新たな第一編目11と規定すると共に、第三編目33を一側増し目12と規定する(工程Cの後半部分)。具体的には、S13で第一新規編目34をFUの編針Dに移動させ、S14で第一新規編目34と第三編目33をそれぞれBDの編針Dと編針Cに移動させる。
【0067】
S15では、給糸口を始端方向RSに移動させ、FDの編針Cに係止される第二編目9(図9参照)のウエール方向に続く第四編目44を編成する(工程D相当)。第四編目44はFDで編成されるので、FD側から見て表目である。
【0068】
S16では、第四編目44に割増やしを行うことで、旧編目である第四編目44がBUの編針Cに移動され、その第四編目44から引き出される新編目である第二新規編目45がFDの編針Cに形成される(工程Eの前半部分)。
【0069】
S17,S18では、目移しとラッキングを用いて、第二新規編目45を形成方向LS側に移動させて新たな第二編目13と規定すると共に、第四編目44を他側増し目14と規定する(工程Eの後半部分)。具体的には、S17で第二新規編目45をBUの編針Dに移動させ、S18で第二新規編目45と第四編目44をそれぞれFDの編針Dと編針Cに移動させる。
【0070】
本例では再度、BDの編針DとFDの編針Dに対してもS11〜S18と同様の編成を繰り返す。その結果、図9に示すような第一編目15、一側増し目16、第二編目17、および他側増し目18が編成される。以降は、図7のS2〜S10を二回行なうことと、図8のS11〜S16を二回行なうことと、を繰り返し、編出し部101を完成させる。
【0071】
図7,8に示す編成工程図に従って編出し部101を編成した後、編出し部101に続けて一側編地部20Bと他側編地部20Fを編成する。具体的には、図9に示すように、編出し部101における一側増し目4,8,12,16…で構成される第一編目列50Bのウエール方向に一側編地部20Bを編成する。また、一側編地部20Bとは別の給糸部材を用いて、他側増し目6,10,14,18…で構成される第二編目列50Fのウエール方向に他側編地部20Fを編成する。いずれかの編地部20B(20F)は、編出し部101で使用した給糸部材を利用して編成することができる。そうすることで、編地100における糸入れ部の数を減らすことができる。
【0072】
図9は、スカート100をその内側から見たときの編出し部101近傍のループ図である。スカート100の内側から各編目を見ているので、紙面手前側(スカート100の内側)から奥側(スカート100の外側)に引き出される編目が表目であり、その逆が裏目である。この図9に示すように、スカート100は、編出し部101と、この編出し部101から互いに異なる方向に分岐する一側編地部(後側編地部)20Bおよび他側編地部(前側編地部)20Fと、を備える。
【0073】
編出し部101は、単数の編糸で連続的に編成された複数の編目ユニットQ1〜Q4から構成されている。具体的には、始端となる第一編目1と第二編目2に続けて複数の編目ユニットQ1〜Q4が連続して形成されている。一番目の編目ユニットQ1は、第一編目3、一側増し目4、第二編目5、および他側増し目6で構成され、二番目の編目ユニットQ2は、第一編目7、一側増し目8、第二編目9、および他側増し目10で構成されている。また、三番目の編目ユニットQ3は、第一編目11、一側増し目12、第二編目13、および他側増し目14で構成され、四番目の編目ユニットQ4は、第一編目15、一側増し目16、第二編目17、および他側増し目18で構成されている。本例における編目ユニットQ1〜Q4の各編目の形成順は、1→2→3→4→5→6→7→8→9→10→12→11→14→13→16→15→18→17となっており、これらの編目はその形成順に繋がっている。
【0074】
本例の編目ユニットQ1,Q2では、第一編目3,7は、割増やしによって形成される旧編目30と新編目31からなる第一グループのうち、旧編目30で構成され、かつ一側編地部20Bの編目に対して形成方向LS側(図7,8)に傾いている。一側増し目4,8は、第一グループの新編目31で構成され、かつ第一編目3,7よりも第一編目3,7が傾く方向とは反対側(図7,8の始端方向RS側)に配置されている。第二編目5,9は、一側増し目4,8よりも後に割増やしによって形成される旧編目40と新編目41からなる第二グループのうち、旧編目40で構成され、かつ他側編地部20Fの編目に対して形成方向LS側(図7,8)に傾いている。他側増し目6,10は、第二グループの新編目41で構成され、かつ第二編目5,9よりも第二編目5,9が傾く方向とは反対側(図7,8の始端方向RS側)に配置されている。
【0075】
本例の編目ユニットQ3,Q4では、第一編目11,15は、割増やしによって形成される旧編目33と新編目34からなる第一グループのうち、新編目34で構成され、かつ一側編地部20Bの編目に対して形成方向側に傾いている。一側増し目12,16は、第一グループの旧編目33で構成され、かつ第一編目11,15よりも第一編目11,15が傾く方向とは反対側(始端方向側)に配置されている。第二編目13,17は、一側増し目12,16よりも後に割増やしによって形成される旧編目44と新編目45からなる第二グループのうち、新編目45で構成され、かつ他側編地部20Fの編目に対して傾いている。他側増し目14,18は、第二グループの旧編目44で構成され、かつ第二編目13,17よりも第二編目13,17が傾く方向とは反対側に配置されている。
【0076】
一番目の編目ユニットQ1の第一編目3と第二編目5はそれぞれ、始端の第一編目1と第二編目2に対して形成されている。また、n+1番目(nは1以上の自然数)の編目ユニットの第一編目は、n番目の編目ユニットの第一編目に対して形成され、n+1番目の編目ユニットの第二編目は、n番目の編目ユニットの第二編目に対して形成されている。このように、各編目ユニットQ1〜Q4は連結されている。
【0077】
上記編出し部101の一側増し目4,8,12,16のウエール方向に一側編地部20Bの編目が形成され、他側増し目6,10,14,18のウエール方向に他側編地部20Fの編目が形成される。ここで、一側編地部20Bおよび他側編地部20Fは共にリブ組織であり、図7,8の編成工程図で説明したように、各編目ユニットQ1〜Q4は次の条件を満たす。
・一側増し目4,8のウエール方向に続く一側編地部20Bの編目が表目である場合、第一編目3,7または一側増し目4,8は裏目である。
・一側増し目12,16のウエール方向に続く一側編地部20Bの編目が裏目である場合、第一編目11,15または一側増し目12,16は表目である。
・他側増し目6,10のウエール方向に続く他側編地部20Fの編目が表目である場合、第二編目5,9または他側増し目6,10は裏目である。
・他側増し目14,18のウエール方向に続く他側編地部20Fの編目が裏目である場合、第二編目13,17または他側増し目14,18は表目である。
【0078】
実施形態2の編地100は、実施形態1の編地と同様、編出し部101が波うつこと無く真っ直ぐに形成されており、極めて見栄えの良い編地となる。そのため、編地100の編出し部101を編幅方向に拡げても、編出し部101の位置で前後のリブ組織同士が綺麗に繋がる。さらに、編出し部101を構成する第一編目3と一側増し目4とが割増やしで繋がり、第二編目5と他側増し目6とが割増やしで繋がっているため、編出し部101の編目が詰んだ状態になり、編出し部101に孔が空き難く、編出し部101の見栄えが良い。
【0079】
<変形例>
実施形態1の編出し部101を編成する給糸部材は複数の給糸口を有するプレーティングキャリアなどであっても良い。その場合、編出し部101を構成する各編目ユニットQ1〜Q4は、複数の編糸で連続的に編成された編目ユニットとなる。その他、編地部20B,20Fのリブ組織は、2×2以外のリブ組織、例えば1×1や1×2のリブ組織であっても良い。
【0080】
その他、いずれか一方の編地部20B(20F)を天竺組織、他方の編地部20F(20B)をリブ組織(例えば4×2のリブ組織)とすることもできる。一側編地部20B(他側編地部20F)を天竺組織とする場合、実施形態1では第一編目3,7,11,15…(第二編目5,9,13,17…)を裏目とし、実施形態2では第三編目33(第四編目44)を裏目とする。このような編成は、ニット製のバッグなど、表側と裏側でデザインを変更したい場合に有効である。また、一側編地部20Bと他側編地部20Fの両端部を繋げるように編成すれば、編出し部101を底とするバッグのような袋状編地を編成することができる。この場合、編出し部101と両編地部20B,20Fとを一つの給糸部材で編成することもできる。
【符号の説明】
【0081】
Q1,Q2,Q3,Q4 編目ユニット
1,3,7,11,15 第一編目 2,5,9,13,17 第二編目
4,8,12,16 一側増し目 6,10,14,18 他側増し目
30,33 第三編目(旧編目) 31,34 第一新規編目(新編目)
40,44 第四編目(旧編目) 41,45 第二新規編目(新編目)
100 スカート(編地)
101 編出し部
102 編終り部
20B 後側編地部(一側編地部) 20F 前側編地部(他側編地部)
30B 第一抜き糸編目列 30F 第二抜き糸編目列
50B 第一編目列 50F 第二編目列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10