特許第6738819号(P6738819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738819
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】薬液投与装置及び薬液投与ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A61M5/168 520
   A61M5/168 550
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-541470(P2017-541470)
(86)(22)【出願日】2016年8月3日
(86)【国際出願番号】JP2016072852
(87)【国際公開番号】WO2017051619
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-186755(P2015-186755)
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 城司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀行
【審査官】 上石 大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−511252(JP,A)
【文献】 特表2013−537844(JP,A)
【文献】 特開2008−264140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
薬液を収容する薬液容器内に摺動可能に設けられた押し子部材を操作する操作部と、
前記駆動部の駆動力を前記操作部に伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に設けられ、前記薬液容器から投与される前記薬液の流路の閉塞を検知する閉塞検知機構と、
前記駆動部の回転を検出する回転検出部と、
前記回転検出部が前記駆動部の回転の停止を検知した際に、使用者に報知する報知部と、を備え、
前記閉塞検知機構は、
前記駆動部側の歯車と歯合する駆動側ギア部と、
前記駆動側ギア部と共に回転し、前記操作部側の歯車と歯合する押し子側ギア部と、
前記押し子側ギア部に掛かる回転抵抗が所定の力よりも大きくなった際に、前記駆動側ギア部の回転を止めるロック機構と、を備え
前記閉塞検知機構は、
前記駆動側ギア部及び前記押し子側ギア部を回転可能に支持する回転軸と、
前記駆動側ギア部を前記回転軸に対して所定の位置で仮保持する仮保持部と、を有する
薬液投与装置。
【請求項2】
前記仮保持部は、弾性を有する部材により形成される
請求項に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記仮保持部は、
前記駆動側ギア部を前記押し子側ギア部に向けて付勢し、
前記ロック機構は、
前記閉塞検知機構が収容された筐体、又は前記駆動側ギア部を収容するギアケースに設けられた突起と、
前記駆動側ギア部に設けられ、前記駆動側ギア部が前記仮保持部の付勢力に抗して前記押し子側ギア部から離反する方向に移動した際に、前記突起に当接する固定突起と、を有する
請求項に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記仮保持部からなり、前記押し子側ギア部に掛かる回転抵抗が所定の力よりも大きくなった際に、前記回転軸を締め付けて前記駆動側ギア部の回転をロックする
請求項に記載の薬液投与装置。
【請求項5】
薬液を収容する薬液容器を有する薬液投与装置と、
前記薬液投与装置が着脱可能に装着されるクレードル装置と、
前記クレードル装置に装着され、生体に穿刺されるカニューレを有すると共に前記薬液投与装置から前記薬液が供給される接続ポートと、を備え、
前記薬液投与装置は、
駆動部と、
前記薬液容器内に摺動可能に設けられた押し子部材を操作する操作部と、
前記駆動部の駆動力を前記操作部に伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に設けられ、前記薬液容器から投与される前記薬液の流路の閉塞を検知する閉塞検知機構と、
前記駆動部の回転を検出する回転検出部と、
前記回転検出部が前記駆動部の回転の停止を検知した際に、使用者に報知する報知部と、を備え、
前記閉塞検知機構は、
前記駆動部側の歯車と歯合する駆動側ギア部と、
前記駆動側ギア部と共に回転し、前記操作部側の歯車と歯合する押し子側ギア部と、
前記押し子側ギア部に掛かる回転抵抗が所定の力よりも大きくなった際に、前記駆動側ギア部の回転を止めるロック機構と、を備え
前記閉塞検知機構は、
前記駆動側ギア部及び前記押し子側ギア部を回転可能に支持する回転軸と、
前記駆動側ギア部を前記回転軸に対して所定の位置で仮保持する仮保持部と、を有する
薬液投与ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬液投与装置に関し、特にはインスリンポンプのように持続的な薬液投与を行うための携帯型の薬液投与装置及び、この薬液投与装置を備えた薬液投与ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液を持続的に投与する治療法が行われている。例えば、糖尿病患者に対する治療法として、患者の体内に微量のインスリンを持続的に注入する治療が実施されている。この治療法では、一日中患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の身体又は衣服に固定して持ち運び可能な携帯型の薬液投与装置(いわゆるインスリンポンプ)が用いられている。
【0003】
このような携帯型の薬液投与装置の一つとして、薬液が貯蔵されるシリンジと、シリンジの内部で駆動される押し子とを有するシリンジポンプ形式のものが提案されている。このような薬液投与装置には、何らかの理由による薬液流路の閉塞を検知するための閉塞センサが設けられている。閉塞センサとしては、例えば押し子を駆動するためのモータの回転を制御するエンコーダ、および薬液の出口側に設けたダイアフラム付きの圧力センサを用いて閉塞を検知する構成が開示されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−537844号公報(図39〜41,図93および関連記載部)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、閉塞を検知するために、モータの回転を制御するエンコーダと、薬液の出口側に設けられた圧力センサの2つのセンサ部を設ける必要があり、センサ部の部品点数が増加していた。また、特許文献1に記載された技術では、精度の高い閉塞検知を行うことが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、センサ部の部品点数を削減し、簡単な構成で閉塞検知を行うことができると共に精度の高い閉塞検知を行うことが可能な薬液投与装置及び薬液投与ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような目的を達成するための本発明の薬液投与装置は、駆動部と、操作部と、伝達機構と、閉塞検知機構と、回転検出部と、報知部と、を備えている。
操作部は、薬液を収容する薬液容器内に摺動可能に設けられた押し子部材を操作する。伝達機構は、駆動部の駆動力を操作部に伝達する。閉塞検知機構は、伝達機構に設けられ、薬液容器から投与される薬液の流路の閉塞を検知する。回転検出部は、駆動部の回転を検出する。報知部は、回転検出部が駆動部の回転の停止を検知した際に、使用者に報知する。
また、閉塞検知機構は、駆動側ギア部と、押し子側ギア部と、ロック機構とを備えている。
駆動側ギア部は、駆動部側の歯車と歯合する。押し子側ギア部は、駆動側ギア部と共に回転し、操作部側の歯車と歯合する。ロック機構は、押し子側ギア部に掛かる回転抵抗が所定の力よりも大きくなった際に、駆動側ギア部の回転を止める。
【0008】
また、本発明の薬液投与ユニットは、薬液を収容する薬液容器を有する薬液投与装置と、薬液投与装置が着脱可能に装着されるクレードル装置と、クレードル装置に装着され、生体に穿刺されるカニューレを有すると共に薬液投与装置から薬液が供給される接続ポートと、を備えている。薬液投与装置は、上述した薬液投与装置が用いられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薬液投与装置及び薬液投与ユニットによれば、センサ部の部品点数を削減し、簡単な構成で閉塞検知を行うことができると共に精度の高い閉塞検知を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与ユニットを示す分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置を示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の伝達機構を示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置のギアケースを示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す分解斜視図である。
図7】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す分解斜視図である。
図8】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構がギアケースに収容された状態を示す説明図である。
図9】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構の閉塞検知動作を説明する説明図である。
図10】本発明の第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構の閉塞検知動作を説明する説明図である。
図11】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与ユニットを示す分解斜視図である。
図12】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置を示す平面図である。
図13】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す斜視図である。
図14】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す分解斜視図である。
図15】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構を示す分解斜視図である。
図16】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構の一部を透過させて示す斜視図である。
図17】本発明の第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置の閉塞検知機構の閉塞検知動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の薬液投与ユニット及び薬液投与装置の実施の形態例について、図1図17を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
1.第1の実施の形態例
1−1.薬液投与ユニットの構成例
まず、図1を参照して、本発明の薬液投与ユニットの第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成例について説明する。
図1は、薬液投与ユニットを示す分解斜視図である。
【0013】
図1に示す装置は、パッチ式のインスリンポンプやチューブ式のインスリンポンプ、さらにその他の携帯型の薬液投与装置のように、患者の体内に持続的に薬液投与を行うための携帯型の薬液投与ユニットに広く適用されるものである。図1に示すように、薬液投与ユニット1は、薬液投与装置2と、薬液投与装置2が着脱可能に装着されるクレードル装置3と、クレードル装置3に装着される接続ポート6とを有している。
【0014】
クレードル装置3には、接続ポート6が装着される装着部5が設けられている。接続ポート6は、カニューレ6aを有している。クレードル装置3を患者の皮膚に貼着し、不図示の穿刺機構を用いることにより、接続ポート6は装着部5に装着される。接続ポート6をクレードル装置3の装着部5に装着した際に、クレードル装置3における薬液投与装置2が装着される側と反対側からカニューレ6aが突出し、カニューレ6aが生体に穿刺・留置される。また、接続ポート6は、クレードル装置3に装着された状態において、薬液投与装置2が装着されると、後述する薬液投与装置2の筐体11の裏面収納部に収納される。そして、接続ポート6は、薬液投与装置2の送液配管19に接続される。
【0015】
[薬液投与装置]
次に、図1図2及び図3を参照して、薬液投与装置2について説明する。
図2は、薬液投与装置2を示す平面図、図3は、伝達機構を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、薬液投与装置2は、筐体11と、蓋体12と、薬液貯蔵部13と、伝達機構14と、駆動部15と、報知部16と、電池収納部17と、押し子部材18と、回転検出部21と、押し子部材18を操作する操作部22とを有している。また、薬液投与装置2は、薬液貯蔵部13に接続された送液配管19と、不図示の制御基板を有している。
【0016】
筐体11は、一面が開口した中空の略直方体状に形成されている。筐体11には、第1収納部11aと、第2収納部11bが形成されている。第1収納部11aには、駆動部15と、電池収納部17と、回転検出部21と、伝達機構14の一部が収納される。第2収納部11bには、薬液貯蔵部13と、押し子部材18と、操作部22と、伝達機構14の一部が収納される。
【0017】
蓋体12は、略平板状に形成されている。蓋体12は、筐体11に形成された第1収納部11a及び第2収納部11bを覆い、筐体11の開口を閉じる。また、蓋体12には、伝達機構14、駆動部15、報知部16、及び回転検出部21が固定される。
【0018】
薬液貯蔵部13は、軸方向の一端が閉塞し、軸方向の他端が開口した筒状に形成されている。この薬液貯蔵部13の筒孔内には、薬液が貯蔵される。薬液貯蔵部13の軸方向の一端部には、送液ポート13aと、充填ポート13bが形成されている。送液ポート13aは、送液配管19に接続されており、薬液貯蔵部13内に貯蔵された薬液が排出される。
【0019】
充填ポート13bには、不図示の充填装置が接続される。そして、充填ポート13bを介して薬液貯蔵部13の筒孔内に薬液が充填される。また、薬液貯蔵部13の筒孔内には、押し子部材18が摺動可能に挿入されている。
【0020】
押し子部材18は、ガスケット18aと、シャフト部18bとを有している。ガスケット18aは、薬液貯蔵部13の筒孔内において摺動可能に配置されている。ガスケット18aは、薬液貯蔵部13の筒孔の内周面に液密に密着しながら移動する。ガスケット18aにおける先端部の形状は、薬液貯蔵部13の筒孔の軸方向の一端側の形状に対応して形成されている。これにより、ガスケット18aが薬液貯蔵部13の軸方向の一端側に移動した際に、薬液貯蔵部13内に充填された薬液が無駄なく送液ポート13aから排出させることができる。
【0021】
ガスケット18aにおける先端部と反対側には、シャフト部18bが設けられている。シャフト部18bは、薬液貯蔵部13の軸方向の他端に形成された開口から外側に延設されている。シャフト部18bにおけるガスケット18aと反対側の端部には、後述する操作部22の連結ナット22cと係合する連結部18cが設けられている。連結部18cが連結ナット22cと連結されて操作部22が駆動すると、押し子部材18は、薬液貯蔵部13の軸方向に沿って移動する。
【0022】
操作部22は、操作歯車22aと、送りねじ軸22bと、連結ナット22cとを有している。操作歯車22aは、後述する伝達機構14の押し子側歯車57と歯合する。送りねじ軸22bは、操作歯車22aの回転軸に接続されている。送りねじ軸22bは、筐体11に設けた軸受けに回転可能に支持された状態で、シャフト部18bに対して平行に配置される。
【0023】
送りねじ軸22bには、連結ナット22cが螺合されている。連結ナット22cは、筐体11の第2収納部11bに収納された際に、送りねじ軸22bの周方向回りの回転が規制される。これにより、操作歯車22aが回転し、送りねじ軸22bが回転すると、連結ナット22cは、送りねじ軸22bの軸方向に沿って移動する。そして、連結ナット22cに押し子部材18の連結部18cが係合されると、押し子部材18は、連結ナット22cと共に送りねじ軸22bの軸方向に沿って移動する。また、操作部22には、伝達機構14を介して駆動部15の駆動力が伝達される。
【0024】
駆動部15は、電池収納部17に収納された電池によって駆動されるものである。駆動部15としては、例えば、ステッピングモータが適用される。駆動部15は、筐体11の開口を蓋体12で閉塞した状態において、筐体11に収納された電池収納部17の電極に接続されて電力が供給される。駆動部15の駆動軸15aには、駆動軸15aの回転を検出する回転検出部21が設けられている。
【0025】
回転検出部21は、検出センサ21aと、スリット円盤21bとを有するロータリーエンコーダである。スリット円盤21bは、駆動部15の駆動軸15aに固定されている。スリット円盤21bは、駆動軸15aの回転に同期して回転する。スリット円盤21bの周縁には、等間隔にスリットが形成されている。
【0026】
検出センサ21aは、筐体11の第1収納部11aに配置されている。検出センサ21aは、光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光する受光部とを有する光学式センサである。検出センサ21aは、スリット円盤21bのスリットを透過した光を検出することで、駆動部15の回転を検出する。
【0027】
駆動部15の駆動軸15aには、伝達機構14の第1歯車31が設けられている。図3に示すように、伝達機構14は、駆動部15の駆動力(回転)を操作部22に伝達するものである。伝達機構14は、第1歯車31と、第2ギア部32と、第3ギア部33と、閉塞検知機構34とを有している。また、伝達機構14は、ギアケース20に収容されている。
【0028】
第1歯車31は、駆動部15の駆動軸15aに設けられている。第1歯車31は、駆動部15の駆動軸15aに同期して回転する。第1歯車31は、減速用の第2ギア部32の歯車と歯合している。第2ギア部32における第1歯車31と歯合した歯車と異なる歯車は、第3ギア部33の歯車と歯合している。第3ギア部33における第2ギア部32の歯車と歯合した歯車と異なる歯車は、閉塞検知機構34の駆動側歯車52と歯合している。また、閉塞検知機構34の押し子側歯車57は、操作部22の操作歯車22aと歯合している。
【0029】
駆動部15が駆動すると、第1歯車31、第2ギア部32、第3ギア部33と、後述する閉塞検知機構34の駆動側ギア部41及び押し子側ギア部42が回転する。これにより、駆動部15の駆動力は、伝達機構14を介して操作歯車22aに伝達される。
【0030】
[ギアケース]
次に、図4を参照してギアケース20について説明する。
図4は、ギアケース20を示す斜視図である。
図4に示すように、ギアケース20は、一面が開口した中空の容器状に形成されている。ギアケース20には、後述する閉塞検知機構34の一部が挿入される挿入部20aが形成されている。挿入部20aは、ギアケース20の一部を開口と反対側に向けて略円錐状に膨出することで形成されている。
【0031】
挿入部20aにおける開口側の外縁部には、複数の突起20cが形成されている。複数の突起20cは、挿入部20aの外縁部の周方向に沿って等間隔に配置されている。複数の突起20cには、後述する閉塞検知機構34が薬液の流路の閉塞を検知した際に、閉塞検知機構34に設けた固定突起53が当接する(図10参照)。
【0032】
また、ギアケース20には、上述した第1歯車31、第2ギア部32及び第3ギア部33と、後述する閉塞検知機構34を回転可能に支持する複数の軸受け部20bが形成されている。
【0033】
[閉塞検知機構]
次に、図5図8を参照して閉塞検知機構34について説明する。
図5は、閉塞検知機構34を示す斜視図、図6及び図7は、閉塞検知機構34を示す分解斜視図である。図8は、閉塞検知機構34がギアケース20に収容された状態を示す説明図である。
【0034】
図5図8に示すように、閉塞検知機構34は、駆動側ギア部41と、押し子側ギア部42と、付勢部材43と、回転軸44とを有している。
【0035】
駆動側ギア部41は、本体部51と、駆動側歯車52と、複数の固定突起53とを有している。本体部51は、円柱状に形成されている。本体部51の半径方向の中心には、貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aは、本体部51を軸方向の一端から他端にかけて貫通している。貫通孔51aには、回転軸44が貫通する。
【0036】
本体部51における軸方向の一端側の一面には、カム溝51bが形成されている。カム溝51bは、貫通孔51aの周囲を囲むように形成されている。また、カム溝51bは、本体部51における一端側の一面を他端側に向けて凹ませることで形成されている。カム溝51bには、回転軸44に設けたカムピン44cが挿入される。
【0037】
複数の固定突起53は、本体部51における軸方向の他端側の一面に形成されている。複数の固定突起53は、本体部51の外縁部において本体部51の周方向に等間隔に配置されている。そして、複数の固定突起53は、本体部51における軸方向の他端側の一面から軸方向に沿って突出している。この駆動側ギア部41に設けた複数の固定突起53と、ギアケース20に設けた突起20cにより、固定機構が構成される。
【0038】
図8に示すように、駆動側ギア部41をギアケース20に収容した際、閉塞状態を検知する前の状態では、本体部51は、挿入部20aの開口に臨む。
【0039】
駆動側歯車52は、本体部51の側周部に形成されている。駆動側歯車52は、第3ギア部33の歯車と歯合する(図3参照)。
【0040】
押し子側ギア部42は、回転軸44と一体に形成されている。押し子側ギア部42は、操作部22の操作歯車22aと歯合する押し子側歯車57を有している。
【0041】
回転軸44は、軸部44aと、ばね受け片44bと、カムピン44cとを有している。軸部44aにおける軸方向の一端部には、押し子側ギア部42が設けられている。軸部44aにおける軸方向の他端には、ばね受け片44bが形成されている。ばね受け片44bは、円盤状に形成されている。ばね受け片44bには、後述する付勢部材43が当接する。
【0042】
カムピン44cは、軸部44aにおける押し子側ギア部42の近傍に形成され、押し子側ギア部42よりも軸方向の他端側に配置されている。カムピン44cは、駆動側ギア部41の本体部51に設けたカム溝51bに挿入される。
【0043】
そして、軸部44aは、駆動側ギア部41の貫通孔51aを貫通する。そして、軸部44aに設けた押し子側ギア部42とばね受け片44bの間には、駆動側ギア部41が配置される。また、図8に示すように、軸部44aにおける軸方向の他端は、ギアケース20の挿入部20aに挿入され、かつ軸受け部20bに回転可能に支持される。
【0044】
仮保持部の一例を示す付勢部材43は、円錐台形状に形成された圧縮コイルばねにより構成されている。付勢部材43は、回転軸44に取り付けられた駆動側ギア部41とばね受け片44bの間に介在される。付勢部材43の一端部は、駆動側ギア部41の本体部51の軸方向の他端側の一面に当接し、付勢部材43の反対側の他端部は、ばね受け片44bに当接する。そして、付勢部材43は、駆動側ギア部41を軸部44aの軸方向の一側、すなわち押し子側ギア部42に向けて所定の力で付勢している。
【0045】
なお、本例では、仮保持部の一例として圧縮コイルばねからなる付勢部材43を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。仮保持部としては、駆動側ギア部41を、固定突起53がギアケース20の突起20cから離反する方向、すなわち軸部44aの軸方向の一側へ付勢できるものであればよく、例えばゴムや、板ばね等その他各種の弾性を有する部材を用いてもよい。
【0046】
[報知部]
ここで、報知部16について説明する。
報知部16は、回転検出部21の検出センサ21aに接続されている。報知部16は、回転検出部21が駆動部15の回転の停止を検出すると、例えば、使用者に対して音、発光、振動等により報知する。なお、報知部16が無線により使用者が保持する不図示のコントローラを動作させて使用者に対して報知することもできる。
【0047】
1−2.閉塞検知動作
次に、上述した構成を有する閉塞検知機構34の閉塞検知動作について図9図10を参照して説明する。
図9及び図10は、閉塞検知機構34の閉塞検知動作について示す説明図である。
【0048】
まず、カニューレ6a等の薬液の流路が閉塞されていない状態では、図5及び図8に示すように、駆動側ギア部41は、付勢部材43により、押し子側ギア部42に向けて付勢されている。そのため、駆動側ギア部41の本体部51がギアケース20の挿入部20aと対向し、固定突起53は、突起20cと当接していない。また、カム溝51bには、カムピン44cが挿入されているため、駆動側ギア部41は、回転軸44及び押し子側ギア部42と共に回転する。そのため、押し子側ギア部42の押し子側歯車57と歯合する操作歯車22aが回転し、操作歯車22aに固定された送りねじ軸22bが回転する。
【0049】
これに対して、何らかの要因によって押し子部材18によって押し出される薬液の流路が閉塞されると、送りねじ軸22bを介して操作歯車22aに掛かる回転抵抗(トルク)が増加する。そして、操作歯車22aを介して、押し子側ギア部42の押し子側歯車57に掛かるトルクも増加するため、押し子側ギア部42の回転が遅くなる。
【0050】
ここで、駆動側ギア部41は、駆動部15からの駆動力が伝達されている。そのため、図9に示すように、駆動側ギア部41と、回転軸44及び押し子側ギア部42との回転に位相差が発生し、カムピン44cがカム溝51b内を摺動する。そのため、駆動側ギア部41は、付勢部材43の付勢力に抗して、軸部44aの軸方向に沿って、軸方向の他端側、すなわちギアケース20の挿入部20aに向けて移動する。
【0051】
図10に示すように、駆動側ギア部41の固定突起53がギアケース20に設けた突起20cに当接する。これにより、駆動側ギア部41の回転がロックされる。駆動側ギア部41の回転がロックされると、駆動側ギア部41の駆動側歯車52と歯合する、第3ギア部33の回転もロックされる。そのため、第2ギア部32及び第1歯車31の回転もロックされ、駆動部15の駆動軸15aの回転も止まり、駆動部15の脱調が誘発される。
【0052】
この駆動部15の回転の停止は、回転検出部21により検出することができる。その結果、報知部16が作動し、使用者に閉塞状態を報知することができる。そして、上述した閉塞検知機構34によれば、実際に伝達機構14に加わるトルクを検知しているため、閉塞検知の精度の向上を図ることが可能となる。
【0053】
また、本例の閉塞検知機構34によれば、駆動部15の回転を検出する回転検出部21を用いて閉塞検知を行うことができる。その結果、新たに閉塞を検知するための検出部を設ける必要がなく、簡単な構成で閉塞検知を行うことができる。
【0054】
なお、本例の薬液投与装置2では、ギアケース20に駆動側ギア部41の固定突起53と当接する突起20cを設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ギアケース20をなくし、筐体11に固定突起53と当接する突起を設けてもよい。
【0055】
さらに、薬液の流路の閉塞が解消され、かつ駆動部15の駆動が停止すると、駆動側ギア部41は、付勢部材43の付勢力により、回転軸44の軸方向の一側へ付勢される。そのため、図9及び図10に示すロック状態から、図5及び図8に示す初期状態に自動的に復帰する。これにより、再度、薬液投与装置2を使用することができる。
【0056】
さらに、本例の閉塞検知機構34では、付勢部材43の付勢力を調整することで、閉塞検知の精度を目的に応じて変更させることができる。
【0057】
なお、上述した薬液投与装置2では、閉塞検知機構34を、伝達機構14における最終段の歯車に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。上述した閉塞検知機構34は、駆動部15の駆動力を操作部22に伝達させる伝達機構14を構成する複数の歯車のうちいずれかに適用すればよい。
【0058】
2.第2の実施の形態例
次に、図11図17を参照して、第2の実施の形態例にかかる薬液投与ユニット及び薬液投与装置について説明する。
図11は、薬液投与ユニットを示す分解斜視図、図12は、薬液投与装置を示す平面図である。
【0059】
この第2の実施の形態例にかかる薬液投与ユニットが、第1の実施の形態例にかかる薬液投与ユニット1と異なるところは、閉塞検知機構の構成である。そのため、ここでは、主に閉塞検知機構について説明し、第1の実施の形態例にかかる薬液投与ユニット1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0060】
図11及び図12に示すように、薬液投与ユニット101は、薬液投与装置102と、クレードル装置3と、接続ポート6とを有している。薬液投与装置102は、筐体11と、蓋体12と、薬液貯蔵部13と、駆動部15と、報知部16と、電池収納部17と、押し子部材18と、回転検出部21と、操作部22とを有している。また、薬液投与装置102は、伝達機構104を有している。
【0061】
伝達機構104は、第1歯車111と、第1歯車111と歯合する駆動側歯車132を有する閉塞検知機構112と、閉塞検知機構112の押し子側歯車137と歯合する第3ギア部113と、第3ギア部113と歯合する第4ギア部114とを有している。第4ギア部114は、操作部22の操作歯車22aと歯合する。
【0062】
次に、図13から図16を参照して閉塞検知機構112について説明する。
図13は、閉塞検知機構112を示す斜視図、図14及び図15は、閉塞検知機構112を示す分解斜視図、図16は、閉塞検知機構112における一部を透過させて示す斜視図である。
【0063】
図13図16に示すように、閉塞検知機構112は、駆動側ギア部121と、押し子側ギア部122と、付勢部材123と、固定軸124とを有している。駆動側ギア部121は、円柱状の本体部131と、駆動側歯車132とを有している。
【0064】
図15に示すように、本体部131における軸方向の一端側の一面には、収容凹部131aが形成されている。収容凹部131aは、本体部131における軸方向の一面を軸方向の他端側に向けて複数段に凹んだ凹部である。また、本体部131には、貫通孔131bと、固定部131cが形成されている。
【0065】
貫通孔131bは、本体部131を軸方向の一端から他端にかけて貫通している。貫通孔131bには、固定軸124が貫通する。そして、本体部131は、固定軸124に回転可能に支持される。固定部131cは、収容凹部131aの底部に設けられている。固定部131cには、付勢部材123の一端部123aが固定される。
【0066】
駆動側歯車132は、本体部131の側周部に形成されている。駆動側歯車132は、第1歯車111と歯合する(図12参照)。
【0067】
押し子側ギア部122は、円柱状の本体部136と、押し子側歯車137と、フランジ部138とを有している。押し子側歯車137は、本体部136の側周部に形成されている。押し子側歯車137は、第3ギア部113と歯合する。
【0068】
本体部136の軸方向の一端部には、フランジ部138が形成されている。フランジ部138は、本体部136の一端部において半径方向の外側に向けて突出している。フランジ部138は、円盤状に形成されている。また、本体部136の軸心には、貫通孔136aが形成されている。貫通孔136aは、本体部136からフランジ部138にかけて軸方向に沿って貫通している。この貫通孔136aには、固定軸124が貫通する。そして、本体部136及びフランジ部138は、固定軸124に回転可能に支持される。
【0069】
フランジ部138における本体部136と反対側の一面には、ばね止め部138bが形成されている。また、フランジ部138は、駆動側ギア部121における本体部131に形成した収容凹部131aに挿入される。
【0070】
付勢部材123は、例えば、ねじりコイルばねにより構成されている。付勢部材123の一端部123aは、駆動側ギア部121における本体部131に形成した固定部131cに固定される。また、付勢部材123の他端部123bは、押し子側ギア部122のばね止め部138bに固定されている。
【0071】
図16に示すように、付勢部材123は、駆動側ギア部121の収容凹部131aに収容されて、駆動側ギア部121の本体部131と押し子側ギア部122のフランジ部138の間に配置される。また、付勢部材123は、駆動側ギア部121と押し子側ギア部122の間において、固定軸124の周囲に配置される。
【0072】
固定軸124は、筐体11に設けた不図示の支持部に固定されている。
【0073】
次に、図17を参照して、上述した構成を有する第2の実施の形態例にかかる閉塞検知機構112の閉塞検知動作について説明する。
図17は、閉塞検知機構112の閉塞検知動作について示す説明図である。
【0074】
まず、カニューレ6a等の薬液の流路が閉塞されていない状態では、駆動側ギア部121は、付勢部材123により付勢された状態で押し子側ギア部122と共に回転する。これに対し、何らかの要因によって押し子部材18によって押し出される薬液の流路が閉塞されると、送りねじ軸22bを介して操作歯車22aに掛かる回転抵抗(トルク)が増加する。そのため、操作歯車22a、第4ギア部114及び第3ギア部113を介して、押し子側歯車137に掛かるトルクが増大する。
【0075】
ここで、駆動側ギア部121は、駆動部15から駆動力が伝達されている。そのため、図17に示すように、駆動側ギア部121と、押し子側ギア部122との回転に位相差が発生する。そして、駆動側ギア部121は、付勢部材123の付勢力に抗して、押し子側ギア部122よりも速く回転する。駆動側ギア部121と押し子側ギア部122との回転の位相差が大きくなると、付勢部材123が、固定軸124を締め付ける。
【0076】
付勢部材123が固定軸124を締め付けることで、駆動側ギア部121の回転がロックされる。すなわち、この第2の実施の形態例にかかる閉塞検知機構112は、付勢部材123がロック機構を構成している。
【0077】
そして、駆動側ギア部121の回転がロックされることで、駆動側ギア部121の駆動側歯車132と歯合する第1歯車111の回転がロックされ、駆動部15の駆動軸15aの回転もロックされる。
【0078】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる薬液投与ユニット1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する薬液投与ユニット101によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる薬液投与ユニット1と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
また、第2の実施の形態例にかかる閉塞検知機構112によれば、付勢部材123の付勢力を調整することで、閉塞検知の精度を目的に応じて変更させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬液投与装置及び薬液投与ユニットは、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0081】
上述した実施の形態例では、仮保持部としては、弾性を有する付勢部材を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。仮保持部としては、例えば、駆動側ギア部を回転軸に対して所定の位置で仮保持し、所定の力以上の荷重が加わると、係合が外れる係合部であってもよい。しかしながら、仮保持部として弾性を有する付勢部材を適用した場合、薬液の流路の閉塞が解消されて、かつ駆動部15の駆動力が停止した際に、自動的に初期状態に戻すことができる。
【符号の説明】
【0082】
1、101…薬液投与ユニット、 2、102…薬液投与装置、 3…クレードル装置、 5…装着部、 6…接続ポート、 6a…カニューレ、 11…筐体、 13…薬液貯蔵部、 13a…送液ポート、 13b…充填ポート、 14、104…伝達機構、 15…駆動部、 15a…駆動軸 16…報知部、 18…押し子部材、 19…送液配管、 20…ギアケース、 20c…突起(ロック機構)、 21…回転検出部、 21a…検出センサ、 21b…スリット円盤、 22…操作部、 31…第1歯車、 32…第2ギア部、 33…第3ギア部、 34、112…閉塞検知機構、 41、121…駆動側ギア部、 42、122…押し子側ギア部、 43、123…付勢部材(仮保持部)、 44…回転軸、 44a…軸部、 44c…カムピン、 51…本体部、 51a…貫通孔、 51b…カム溝、 52…駆動側歯車、 53…固定突起(ロック機構)、 57…押し子側歯車、 124…固定軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17