(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738890
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】安定的減衰要素と減衰要素とを有する防水壁
(51)【国際特許分類】
E02B 3/14 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
E02B3/14 301
【請求項の数】24
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-503454(P2018-503454)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-510987(P2018-510987A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】NL2016050230
(87)【国際公開番号】WO2016159775
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】2014571
(32)【優先日】2015年4月1日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】2014722
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517346451
【氏名又は名称】ヒル イノベーションズ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル, ハンス
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−521424(JP,A)
【文献】
特開2002−004242(JP,A)
【文献】
特開平10−025727(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3045073(JP,U)
【文献】
特公昭42−014370(JP,B1)
【文献】
登録実用新案第3066450(JP,U)
【文献】
特開平09−031941(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/001209(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0250017(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第03235954(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04−3/14
E01C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートで構成された頭部(3)と首部(4)と脚部(5)とを備えた減衰要素(6)であって、
前記頭部(3)と前記首部(4)と前記脚部(5)とが該減衰要素(6)の長手方向(7)に互いに近接するように設けられ、
前記長手方向(7)に対して横向きの前記首部の断面が、前記長手方向に対して横向きの前記頭部(3)の断面より小さく、前記長手方向に対して横向きの前記脚部(5)の断面より小さく、
前記脚部(5)が、前記頭部(3)と前記首部(4)とに向かって徐々に狭まるテーパ状の周面(18)を有するとともに、
前記脚部(5)が、前記周面(18)の少なくとも一部分にわたって前記長手方向に対して横向きの方向を持つ凹所(15,15’,15”)を有する
ことを特徴とする、減衰要素(6)。
【請求項2】
前記凹所(15)が前記脚部(5)のすべての側面に設けられる、請求項1に記載の減衰要素(6)。
【請求項3】
前記凹所(15)が凹溝(15)の形を有する、請求項1または2に記載の減衰要素(6)。
【請求項4】
前記凹所(15’,15”)が前記脚部(5)の周方向に中断されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項5】
前記凹所(15)が前記脚部(5)の周方向における前記周面(18)の全体にわたって連続して延在されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項6】
前記脚部(5)の前記周面(18)が、0°より大きく180°より小さい角度を二つずつで包囲する複数の側面を有する、請求項4または5に記載の減衰要素(6)。
【請求項7】
前記脚部(5)の前記周面(18)の前記複数の側面のうち、互いに横向きの方向を持つ二つの側面がおよそ90°の角度を包囲する、請求項6に記載の減衰要素(6)。
【請求項8】
前記複数の側面が、前記脚部(5)の周方向に凸状とされた形状を有する、請求項6または7に記載の減衰要素(6)。
【請求項9】
前記脚部(5)の底面または基部(17)から距離を置いて、また前記脚部(5)と前記首部(4)との間の移行部から距離を置いて、前記凹所(15)が配設される、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項10】
前記長手方向(7)に延びる境界面(19)を介してともに結合される二つの減衰要素部品(20,21)が設けられている、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項11】
前記二つの減衰要素部品(20,21)が同一である、請求項8に記載の減衰要素(6)。
【請求項12】
前記長手方向に延在する凹所がさらに設けられている、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項13】
前記頭部(3)には、少なくとも一つの開口(9)が設けられている、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項14】
前記長手方向(7)に対して横向きの第1主要方向において、前記頭部(3)の前記第1主要方向での横寸法cが、前記脚部(5)の前記第1主要方向での横寸法aより大きい、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の減衰要素(6)。
【請求項15】
少なくとも前記第1主要方向に対して横向きの方向を持つ前記側面が凹所(15)を備える、請求項14に記載の減衰要素(6)。
【請求項16】
前記長手方向(7)に対して横向きの方向を持つとともに前記第1主要方向に対して横向きの方向を持つ第2主要方向において、前記頭部(3)の前記横寸法cが前記第1主要方向での前記頭部(3)の前記横寸法cと等しい、請求項15に記載の減衰要素(6)。
【請求項17】
前記長手方向(7)に対して横向きの方向を持つとともに前記第1主要方向に対して横向きの方向を持つ第2主要方向において、前記頭部(3)の前記横寸法cが前記第2主要方向での前記脚部(5)の前記横寸法bと等しい、請求項15または16に記載の減衰要素(6)。
【請求項18】
前記脚部(5)には、互いに上下の複数の凹所(15,15’,15”)が設けられている、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の減衰要素(6)を複数含む列であって、
近隣の減衰要素(6)の少なくとも前記脚部(5)が互いに圧接されて粗砂や砂利などの硬質安定化粒子(16)を包囲し、かつ、
互いに圧接された前記脚部(5)の前記凹所(15)に前記安定化粒子(16)が所在することを特徴とする、前記減衰要素(6)の列。
【請求項20】
前記安定化粒子(16)の寸法が前記凹所(15)の奥行寸法より大きい、請求項19に記載の列。
【請求項21】
前記安定化粒子(16)が、複数の減衰要素(6)のうちの一つの減衰要素(6)の前記凹所(15)に達しているとともに、近隣の減衰要素(6)の前記凹溝(15)に達している、請求項19または20に記載の列。
【請求項22】
請求項14ないし17のいずれか一項に記載の減衰要素(6)が設けられ、前記近隣の減衰要素(6)が互いに斜めの方向を持ち、かつ、前記近隣の減衰要素(6)の前記頭部(3)が凹形状を画定する、請求項19ないし21のいずれか一項に記載の列。
【請求項23】
前記凹形状を画定する前記近隣の減衰要素(6)の頭部(3)と前記減衰要素(6)の脚部(5)とが互いに直接的に当接している、請求項22に記載の列。
【請求項24】
請求項19ないし23のいずれか一項に記載の減衰要素(6)の列で構成されるライニング(2)により被覆される防壁体(10)を備えた防水壁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に互いに近接するコンクリートの頭部と首部と脚部と
を備えた減衰要素であって、
減衰要素の長手方向に対して横向きでは首部が頭部および脚部よりも小さい断面を有する
、減衰要素に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の減衰要素は、例えば特許文献1から周知である。減衰要素は、例えば、波の作用の減衰に関連して防水壁で使用されうる。減衰要素の互いに隣接する頭部の間には開口が残り、これを介して、防水壁に衝突する水が浸透する。こうして著しい減衰効果が得られる。このように集められた水は、相互に隣接する細い首部の間に形成される流路システムを介して排出され、こうして減衰がさらに促進される。
【0003】
波の作用により加えられる水力に抵抗可能なように減衰要素の安定化を図るため、脚部の直立側面は通常、上向き方向にいくぶん細くなるように構築されている。こうして形成される楔形状の間隙には、例えば砕石、粗砂、または砂利が詰められる。この種類の材料は、脚部が互いにしっかりと安定することを保証する。脚部の間隙が楔形状であることの結果として、脚部の強力な相互把持効果がこうして得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】オランダ特許発明第2004345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した種類の減衰要素を提供することであり、このような減衰要素の列の一部として、減衰要素はさらに良好な安定性を生む。発明のさらなる目的は、安定性が向上した防水壁を提供することである。以上および他の目的は、減衰要素の脚部が、その周面の少なくとも一部分にわたって、長手方向に対して横向きの方向を持つ凹所を有するという事実によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
脚部の周面にある凹所の重要な効果は、粗砂その他など上述の安定化粒子がその中に入り込むことである。安定化粒子は、凹所に存在すると、周面に沿った上向きまたは下向きの変位が限定的にのみ可能であるか全く可能でない。その結果、安定化粒子は、相互に隣接する減衰要素脚部を波の作用の効果に対してより良好に固定できる。これは、二つの相互隣接する減衰要素が設けられるとすると、一方の減衰要素の凹所と他方の減衰要素の凹所の両方へ安定化粒子が入り込む場合に特に当てはまる。
【0007】
凹所の長手方向に対して横向きの方向は、長手方向での互いに対する減衰要素の変位がこうして防止されるため、重要である。それにもかかわらず、隣接する減衰要素の長手方向に対して横向きである、互いに対する相互ねじれまたは変位を防止するため、実質上または完全に長手方向に延びる凹所を設けることも可能である。
【0008】
好ましくは、脚部の周面すべてに凹所が延在する。脚部は、すべての側面に、好ましくは脚部の外周面の側面に凹所を備える。その場合、近隣の隣接減衰要素に対して、周方向に見てすべての側面で減衰要素が安定化する。好ましくは、凹所は凹溝の形を有する。この凹所または凹溝は、周面の全体にわたって連続的に延在しうるが、これは不可欠ではない。凹所または凹溝はまた、周方向の一つ以上の箇所で中断されてもよい。
【0009】
脚部の形状も変化しうる。好ましくは、その周面は、二つずつで互いに横向きの方向を持つ複数の相互に異なる側面を有する。好ましくは、脚部の周面は、二つずつで0°より大きく180°より小さい角度を包囲する複数の側面を有する。これは、三つの側面、四つの側面、またはそれ以上の側面の場合もありうる。このような形状は多角形に近似している。好ましくは、互いに横向きの方向を持つ二つの側面はおよそ90°の角度を包囲する。この場合、減衰要素の脚部は方形または矩形を形成しうる。
【0010】
さらに、脚部の側面は、
脚部の周方向に凸状である形状を具備しうる。脚部の方形または矩形形状の場合に、このような側面は90°よりいくらか大きい角度を包囲する。この種類の若干凸形状の利点は、望ましくない大きな間隙を形成せずに、互いにいくらかねじれた配置で減衰要素を位置決めする可能性を供えていることである。好ましくは、脚部の底面から、そして脚部と首部との間の移行部から距離を置いて凹所が配設される。この距離は好ましくは0以外である。
【0011】
好ましくは、脚部は底面に基部を具備し、これにより減衰要素は土台にしっかりと設置されうる。脚部の周面はこの基部から長手方向に上向きに延在する。脚部はさらに、長手方向に
おいて頭部と首部とに向かって徐々に狭まるテーパ状
とされた形状を有する。
【0012】
減衰要素は、好ましくは全体がコンクリートで製作されうる。しかしながら、代替的で好適な実施形態によれば、長手方向に延びる境界面を介して結合される、好ましくはコンクリートの二つの減衰要素部品が設けられる。この種類の減衰要素部品は、開放鋳型での生産が容易である。減衰要素部品が同一である場合には、これはなお一層当てはまる。
【0013】
減衰要素は、異なる外部形状で構築されてもよい。こうして例えば、それぞれ長手方向を中心に90°回転された時に同形状の領域が常に存在する設計では、例えば回転対称になりうる。しかしながら、頭部および脚部に例えば異なる形状を与えることも可能である。長手方向に対して横向きの第1主要方向において、この方向での頭部の横寸法がこの方向での脚部の横寸法より大きい実施形態が好ましい。
【0014】
この種類の実施形態において、減衰要素がこの方向に並置される場合には、頭部はそのため互いに当接し、一方で脚部は離間距離に配設されて間隙を包囲する。この実施形態は、近隣の減衰要素を互いに対していくらか斜めに設置することを可能にし、頭部は凹形状を画定し、一方では隣接する減衰要素の頭部と脚部の両方が互いに当接する。このような設置は、例えば堤防の最高部でのように、傾斜部分から平坦部分への防水壁の移行部に適している。
【0015】
相互に隣接する減衰要素の長手方向は、これらの場合には小さい角度を包囲する。しかしながら、湾曲していない直線部分では、減衰要素はしかしながら近くに並置され、その長手方向は相互に平行な向きを持つ。その際に頭部は互いに当接し、一方で上記のように脚部は相互に間隙を包囲する。しかしながら、脚部の凹溝と、凹溝と粗砂粒子の相互作用との結果として、しかしながらこれらの領域にも安定したライニングが得られる。
【0016】
第1主要方向に対して横向きの方向である側面は少なくとも、凹所を備える。そして安定化粒子が入り込む凹所は、湾曲領域と直線領域の両方で列の安定性に所望の貢献を行う。
【0017】
さらに、長手方向に対して横向きの方向であるとともに第1
主要方向に対して横向きの方向である第2主要方向では、頭部の寸法は第1主要方向での頭部の寸法と等しい。さらに好ましくは、長手方向に対して横向きの方向であるとともに第1
主要方向に対して横向きの方向である第2主要方向では、頭部の寸法は第2主要方向での脚部の寸法と等しい。長手方向が平行である減衰要素の位置では、頭部と脚部の両方が互いに当接する。この種類の相互位置は、堤防体の長手方向の区分など大きな湾曲が存在せず直線状である区分では、有益である。
【0018】
本発明はさらに、上述した減衰要素の列に関しており、近隣の減衰要素の少なくとも脚部が互いに圧接されて、粗砂や砂利などの硬質安定化粒子を包囲する。この場合、安定化粒子は、互いに圧接された脚部の凹所に存在する。好ましくは、安定化粒子の寸法は、凹所の奥行寸法より大きい。その利点は、ある減衰要素の凹所と隣接の減衰要素の凹所の両方に安定化粒子が存在することである。これは、安定効果を向上させる。
【0019】
上記のように、各長手方向はゼロより大きい角度を包囲し、そのため近隣の減衰要素は互いに斜めの方向を持って、これらの近隣の減衰要素の頭部は凹形状を画定する。この場合、凹形状を画定する、近隣の減衰要素の頭部とこれらの減衰要素の脚部とは、互いに直接的に当接し、そのため、凹溝と粗砂粒子とにより生じる効果に加えて、安定したライニングが得られる。
【0020】
本発明はさらに、上述したような減衰要素の列で構成されるライニングにより被覆される防壁体を包含する防水壁に関する。
【0021】
上記のように、周面の少なくとも一部分にわたって、長手方向に対して横向きの方向を持つ凹所を備える脚部を有している減衰要素について説明してきた。この凹所は、脚部に局所的に配設されうる。局所的凹所の列も可能である。連続的または局所的に設けられて互いに上下に配設される複数の凹所を脚部が有することが、さらに可能である。連続的凹所と局所的凹所の列との組み合わせも可能である。凹所は脚部の外面で陥凹している。しかしながら、脚部の二つの顕著な隆起部または突出部の間に凹所を形成することも可能である。
【0022】
以下では、図を元にして本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図1のIIIによる減衰要素の脚部の断面を示す。
【
図6】可能である様々な凹所を有する脚部の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図4に参照番号1で図示されている防水壁または堤防は、堤防本体10とともに、多数の減衰要素6で構成されるライニング2で構成される。このライニングは、堤防本体10の長手方向と
図3に図示された横方向の両方で延在する。横方向において、減衰要素6はこの例では列として並置されている。長手方向でも、減衰要素6は列として配置されうる。堤防1の脚に周知の手法で設置されているのは、水塊12の水面より下に配設されるロックフィル11である。
【0025】
水塊12は、ライニング2の所定の高さまで達している。水塊2の上の波が砕けると、ライニング2は水力にさらされる。これは、個々の減衰要素6も負荷を受けることを意味している。ゆえに、ライニング2に存在する減衰要素6が、水の力に抵抗可能なように可能な限り固定されることが重要である。
【0026】
図1および4にも図示されているように、各減衰要素6は頭部3と首
部4と脚部5とで構成される。これらの部分は、参照番号7により概略的に示されている長手方向において互いに近接している。首部4は、頭部3および脚部5よりもかなり小さい断面を有する。その結果、相互に隣接する減衰要素6の間に流路システム8が形成される。脚部5は底面に基部17を具備し、これにより減衰要素6が土台にしっかりと設置されうる。脚部5の周面18は、この基部17から長手方向7の上向きに延在して、長手方向7にいくらかテーパ状である形状を具備している。
【0027】
図示されている例示的実施形態では頭部3は互いに近接しているが、流路システム8へ水が入り込むための相互開口9を包囲している。その結果、一方では水の力が減衰され、他方では流路システム8を介して水が非常に効果的に排出されうる。
【0028】
図4に図示されているように、ライニング2は、堤防体10の直線側面13からその頂部14に達しているため、減衰要素6の列には湾曲が生じる。減衰要素6の互いに対する相互位置はこうして変化し、直線側面13の部位では近隣の減衰要素の長手方向7は相互に平行であるが、一方でこの直線側面13から頂部14までの移行部の部位では、近隣の減衰要素6の長手方向7は小さい角度を包囲している。しかしながら、直線側面の部位と頂部14の部位の両方と、直線側面13と頂部14との間の移行部の部位の両方で、すべての減衰要素6が互いに同じように、緩みに対して充分に安定していることが重要である。
【0029】
この状況では、様々な手段が講じられてきた。まず始めに、周面18の若干テーパ状の形状の結果、これらの粗砂粒子16は隣接の脚部5の間にクランプ効果を提供する。
図2の上面図に図示されているように、頭部3の横寸法cが相互に垂直な方向において等しくなるように、減衰要素6は構築される。しかしながら、
図3の断面に図示されているように、脚部5の二つの対応する相互垂直面での横寸法は異なっている。この場合、一方の横寸法bは頭部3の横寸法cと等しくなるように選択されるが、他方の横寸法aはいくらか小さくなるように選択される。横寸法a,bは脚部5の基部17の近くで測定されるものである。
【0030】
減衰要素6は、その脚部5が低所から高所へ側面13に沿って比較的小さい横寸法で設置されるように堤防体10に設置されるが、脚部5は堤防体10の長手方向の方が大きな横寸法bとなるように設置される。その結果、堤防体10の長手方向に見ると、減衰要素6は、頭部3と脚部5の両方で互いに安定して当接している。しかしながら高所から低所まで直線側面13に沿って見ると、頭部3は互いに当接しているが、脚部5の横寸法の方が小さいため脚部5の間には間隙が形成される。しかしながら、直線側面13と頂部14との間の湾曲移行部の箇所では、特定の減衰要素6の長手方向7が互いに小さい角度を包囲するため、脚部5も互いに当接している。
【0031】
減衰要素を安定させるさらなる手段は、脚部5の外面に設けられる凹溝15に関する。図示された例示的実施形態において、この凹溝15は脚部5の周面の全体に延在するが、これは不可欠ではない。凹溝15は長手方向7に対して垂直の方向を持つ。
図3に、そして特に
図1の拡大図に図示されているように、粒子16で構成される粗砂が、近隣の減衰要素6の脚部5の間に詰められている。
【0032】
これらの凹溝15が粗砂粒子16で充填された結果、直線側面13の部位の減衰要素6も、横寸法が小さい結果として隣接の減衰要素6の間に存在する間隙にもかかわらず、それでも互いに充分に安定している。
図5の拡大図に示されているように、一つの減衰要素の凹溝15と近隣の減衰要素の凹溝15の両方に一つの同じ粒子が突出可能なような寸法を粒子16が有するという事実により、減衰要素6の相互安定がさらに高められる。減衰要素の脚部5はこうして、その長手方向で互いに対して変位不能であり、これは、このような減衰要素から成るライニングに、水の流れやうねりの力に対する非常に高い抵抗を付与する。相互に対向する凹溝15は、相互に隣接する減衰要素6の間に、特に並置された脚部5の間に流路システムを形成する。
【0033】
図1〜3に図示されているように、減衰要素6は好ましくは、境界面19を介して互いに当接する同一の減衰要素部品20,21で構成される。
【0034】
図6の脚部の詳細は、同じ種類が上下に、または異なる種類が上下に、各々が別々に使用されうる様々な形の凹所を示す。上下に設置された二つの凹溝15は連続している。代替例として、または付加的に、隔離された凹所または穴15’,15”の列が使用されうる。この種類のすべての凹所でも、粗砂粒子の侵入の結果として、安定した減衰要素が得られる。
【符号の説明】
【0035】
1 防水壁
2 ライニング
3 頭部
4 首部
5 脚部
6 減衰要素
7 長手方向
8 流路システム
9 開口
10 堤防体
11 ロックフィル
12 水塊
13 堤防体の直線斜面
14 堤防体の頂部
15,15’,15” 脚部の凹溝
16 粗砂粒子
17 脚部の基部
18 脚部の周面
19 境界面
20;21 減衰要素部品
a 脚部の比較的小さい横寸法
b 脚部の比較的大きい横寸法
c 頭部の横寸法