(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738891
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】バックミラーとアンテナを含む車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20200730BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20200730BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20200730BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20200730BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20200730BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20200730BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20200730BHJP
B60R 21/0134 20060101ALN20200730BHJP
【FI】
B60R11/02 A
B60R1/06 D
B60R1/06 Z
H01Q1/44
H01Q1/32 Z
H01Q15/14 A
H01Q9/16
H01Q1/22 D
!B60R21/0134 312
【請求項の数】30
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-510855(P2018-510855)
(86)(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公表番号】特表2018-529563(P2018-529563A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2015070923
(87)【国際公開番号】WO2017045693
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514083018
【氏名又は名称】ボルボ トラック コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】518061605
【氏名又は名称】カプシュ トラフィコム エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,クリスチャン
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−013413(JP,A)
【文献】
特開2010−200160(JP,A)
【文献】
特開昭54−045040(JP,A)
【文献】
特開2015−113643(JP,A)
【文献】
特開2014−017747(JP,A)
【文献】
特開2005−043102(JP,A)
【文献】
米国特許第06861942(US,B1)
【文献】
国際公開第2012/084844(WO,A2)
【文献】
米国特許第06697024(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 1/06
H01Q 1/22
H01Q 1/32
H01Q 1/44
H01Q 9/16
H01Q 15/14
B60R 21/0134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)であって、該車両(1)は、車両の後方向における視野を車両の運転手(3)に与えるために配置される反射面(201)を提供するバックミラー(2)と、電波伝達のための放射を放つように適合されるアンテナ(4)と、を含み、アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、アンテナ(4)によって放たれる放射の少なくとも一部が反射面(201)によって反射されるように配置され、アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、反射面(201)によって反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置され、バックミラー(2)は車両の外側に取り付けられており、アンテナ(4)は、反射面(201)の上下の垂直限界(VLA)、(VLB)内に位置し、該垂直限界(VLA)、(VLB)は、反射面(201)の中心(CR)からのそれぞれの垂直距離によって画定され、各垂直距離は、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)に等しく、アンテナ(4)は反射面(201)の中心(CR)の後方に位置し、かつ、反射面(201)の中心(CR)よりも車両中心線(CL)に近接しており、車両は背もたれ(501)を有する運転席を含み、アンテナ(4)は、車両の直線的な進行方向の、反射面の中心(CR)と背もたれ(501)の間の距離の2倍以上、反射面の中心(CR)の後方には位置せず、アンテナ(4)は背もたれ(501)よりも車両中心線(CL)から遠くに離れて位置することを特徴とする、車両。
【請求項2】
バックミラー(2)は反射面(201)の角度位置を変更するために調整可能であり、アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、反射面(201)の任意の角度位置で、反射面(201)によって反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
車両は、アンテナ(4)に接続されるトランスミッター(405)を含み、トランスミッター、アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、アンテナ(4)の伝達が車車間通信および/または車路間通信用となるように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
車両は、アンテナ(4)に接続されるトランスミッター(405)を含み、トランスミッターおよびアンテナ(4)は、アンテナ(4)の伝達の搬送周波数が5.8−6.0GHz、好ましくは5.855−5.925GHzであるように配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の車両。
【請求項5】
アンテナ(4)は、キャブ(101)の側部(102)または車両の本体に取り付けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の車両。
【請求項6】
アンテナ(4)は車両の外側限界上に取り付けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載の車両。
【請求項7】
アンテナ(4)と反射面(201)との間に、遮られない見通し線が存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載の車両。
【請求項8】
アンテナ(4)は反射面(201)の垂直的な広がり(VER)の限界内に位置することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の車両。
【請求項9】
反射面(201)は背もたれ(501)の前方に、かつ、背もたれ(501)よりも車両中心線(CL)から遠くに離れて位置することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の車両。
【請求項10】
アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、水平面において、反射面(201)が、10〜40度、好ましくは20〜30度のアンテナ放射セクターにわたり伸長するように配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の車両。
【請求項11】
アンテナ(4)は、水平面内でゼロではない指向性を示すように配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載の車両。
【請求項12】
反射面(201)は90度のアンテナ放射セクター内に位置し、該セクターは、伝達中、残りの270度のアンテナ放射セクター内の任意の放射よりも強い放射を含んでいることを特徴とする、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
アンテナ(4)は、アンテナ(4)の最も強い放射が、伝達中に、車両(1)に対して部分的に前方および部分的に側方に向けられるように配置されることを特徴とする、請求項11または12に記載の車両。
【請求項14】
アンテナ(4)およびバックミラー(2)は、アンテナの放射の一部分が反射面(201)によって反射され、かつ、アンテナの放射の別部分が反射面(201)の以外に向けられるように配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の車両。
【請求項15】
アンテナ(4)はおおよそ180度のビーム幅を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の車両。
【請求項16】
アンテナ(4)はダイポールアンテナであることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一つに記載の車両。
【請求項17】
アンテナ(4)は無指向性アンテナであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載の車両。
【請求項18】
アンテナ(4)は第1のアンテナであり、車両は少なくとも1つの追加のアンテナを含み、第1のアンテナおよび少なくとも1つの追加のアンテナはともにアンテナ群を形成し、該アンテナ群において、第1のアンテナおよび少なくとも1つの追加のアンテナは、協働し、同じ無線信号情報を送信および受信するように配置されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一つに記載の車両。
【請求項19】
アンテナ(4)は第1のアンテナであり、第1のアンテナ(4)およびバックミラー(2)は、伝達中に、反射面(201)で反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置され、車両は、主に車両の前方向に伝達の放射を向けるように配置される第2のアンテナ(401)を含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一つに記載の車両。
【請求項20】
バックミラー(2)は車両の運転席側に位置し、車両は、車両の助手席側に位置するさらなるバックミラー(2P)を含み、さらなるバックミラー(2P)は、車両の後方向における視野を車両の運転手(3)に与えるために配置されるさらなる反射面(201P)を提供し、車両は電波伝達用のさらなるアンテナ(402)をさらに含み、さらなるアンテナによって放たれる放射の少なくとも一部がさらなる反射面(201P)によって反射されるように、さらなるアンテナ(402)が配置されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一つに記載の車両。
【請求項21】
電波伝達のための放射を放つように適合されるアンテナ(4)と、車両の後方向における視野を車両の運転手(3)に与えるために配置される反射面(201)を提供する車両のバックミラー(2)の使用であって、該使用は、アンテナ(4)によって放たれる放射の少なくとも一部が、反射面(201)によって反射されるように、アンテナ(4)を配置することを含み、反射面(201)によって反射された放射は少なくとも部分的に車両の後方向に向けられ、バックミラー(2)は車両の外側に取り付けられており、アンテナ(4)は、反射面(201)の上下の垂直限界(VLA)、(VLB)内に位置し、該垂直限界(VLA)、(VLB)は、反射面(201)の中心(CR)からのそれぞれの垂直距離によって画定され、各垂直距離は、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)に等しく、アンテナ(4)は反射面(201)の中心(CR)の後方に位置し、かつ、反射面(201)の中心(CR)よりも車両中心線(CL)に近接しており、車両は背もたれ(501)を有する運転席を含み、アンテナ(4)は、車両の直線的な進行方向の、反射面の中心(CR)と背もたれ(501)の間の距離の2倍以上、反射面の中心(CR)の後方には位置せず、アンテナ(4)は背もたれ(501)よりも車両中心線(CL)から遠くに離れて位置することを特徴とする、使用。
【請求項22】
バックミラー(2)は反射面(201)の角度位置を変更するために調整可能であり、反射面(201)の任意の角度位置で、反射面(201)によって反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるようにアンテナ(4)を配置することを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
アンテナをトランスミッター(405)に接続し、アンテナ(4)を、車車間通信および/または車路間通信における伝達に使用し、該伝達において、アンテナ(4)によって放たれる放射の少なくとも一部は反射面(201)によって反射されることを特徴とする、請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
アンテナ(4)をトランスミッター(405)に接続し、アンテナ(4)を、搬送周波数が5.8−6.0GHz、好ましくは5.855−5.925GHzである伝達に使用し、該伝達において、アンテナ(4)によって放たれる放射の少なくとも一部は反射面(201)によって反射されることを特徴とする、請求項21から23のいずれか一つに記載の使用。
【請求項25】
アンテナ(4)をキャブ(101)の側部(102)または車両の本体に取り付けることを特徴とする、請求項21から24のいずれか一つに記載の使用。
【請求項26】
アンテナ(4)を車両の外側限界上に取り付けることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一つに記載の使用。
【請求項27】
アンテナ(4)と反射面(201)との間に、遮られない見通し線が存在するように、アンテナを配置することを特徴とする、請求項21から26のいずれか一つに記載の使用。
【請求項28】
水平面内でゼロではない指向性を示すように、アンテナ(4)を配置することを特徴とする、請求項21から27のいずれか一つに記載の使用。
【請求項29】
アンテナ(4)がダイポールアンテナであることを特徴とする、請求項21から28のいずれか一つに記載の使用。
【請求項30】
アンテナ(4)が無指向性アンテナであることを特徴とする、請求項21から29のいずれか一つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方向における視野を車両の運転手に与えるために配置される反射面を提供するバックミラーと、電波伝達のための放射を放つように適合されるアンテナと、を含む車両に関する。本発明はまた、電波伝達のための放射を放つように適合されるアンテナと、車両の後方向における視野を車両の運転手に与えるために配置される反射面を提供する車両のバックミラーと、の使用に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バスおよび建設機械などの大型車両に、かつ、自動車またはオートバイなどの軽車両にも適用することができる。
【背景技術】
【0003】
輸送安全性および効率を高めるために、車車間(vehicle−to−vehicle)通信、車路間(vehicle−to−infrastructure)通信、および/または、路車間(infrastructure−to−vehicle)通信、例えば、標準ITS−G5に係るもの、に関するシステムは、ますます一般的になっている。このようなシステムにおいては、通信に信頼性があり、これらの実施の費用対効果が高いことが重要である。
【0004】
前記ITS−G5などのそのような通信システムのための規格は、しばしばITS−G5のために比較的高い搬送周波数(例えば約5.9GHz)を使用する。これは、アンテナの配置が伝達の質に重要な影響を及ぼすことを意味する。大型車両は、それらの形と寸法により、この視点から見て特に難易度が高く、様々な状況で良質な伝達を提供するシステム用のアンテナのための位置を見つけることが非常に困難な場合がある。トレーラーが見通し線を遮ることがあるため、後方への信号は特に遮断される。遮断された信号は、情報が失われることをもたらし、それは、次に、前記種類のシステムの適用において遅延および不確実性の増大をもたらす。
【0005】
国際公開2012/084844は、例えば車車間通信用の、車両の外部ミラーに配置されるアンテナを備える車両アンテナシステムを開示する。しかしながら、これはアンテナ、アダプタおよびRFケーブルを含むバックミラーを複雑にするため、実行するのにコストがかかるソリューションである。加えて、バックミラーは車両の脆弱な部分であり、容易に破損し交換を必要とする場合がある。したがって、バックミラーに通信ハードウェアを含ませると、車両生産およびその維持の両方でコストが増加するだろう。
【0006】
米国特許第4210357号は、バックミラーのためのフレームに位置し、ミラーから後方に間を置いて配置されたレーダーアンテナリフレクターを開示する。しかしながら、このソリューションも、光線を伝達するがレーダー周波数波は反射する特別な構造を提供する必要があるリフレクターを追加して、バックミラーを複雑にし、コストを高くする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、費用対効果の高い方法で、比較的高い搬送周波数を含む、特に車車間通信、車路間通信、および/または、路車間通信のために、車両の無線通信の信頼性および品質を改善することである。
【0008】
目的は請求項1に係る車両によって達成される。
【0009】
したがって、本発明は、車両の後方向における視野を車両の運転手に与えるために配置される反射面を提供するバックミラーと、電波伝達のための放射を放つように適合されるアンテナと、を含む車両を提供し、アンテナおよびバックミラーは、アンテナによって放たれる放射の少なくとも一部が反射面によって反射されるように配置される。
【0010】
有利なことに、アンテナおよびバックミラーは、反射面によって反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置される。より具体的には、反射された放射は、車両の後方向中のその方向のコンポーネントを有するように向けられてもよい。
【0011】
アンテナおよびバックミラーを、アンテナによって放たれる放射の少なくとも一部が反射面によって反射されるように配置することで、車両の後方向における信頼性の高い伝達を提供する非常に費用対効果の高い方法を提供する。特にトラックまたはバスなどの大型車両では、損傷の影響を受けやすく、しばしば交換が必要であるバックミラーにおいて特に、ハードウェアを増やすコストを加える必要性を回避する一方で、車両の形および寸法に起因する後方の障害を伴う問題に対処できるので、これは非常に有利である。バックミラーの現在のデザインを変更する必要はない。
【0012】
本発明は、例えば、周囲環境中で、反射面によって反射され、かつアンテナによって受信されるために、車両から離れたアンテナからの放射を提供する、ことが留意されるべきである。電波が車両に後ろから接近する場合、これは特に有利である。
【0013】
本発明は単一のアンテナで、または、アンテナ群を形成する、2つ以上のアンテナなどの、任意の適切な代替となる数のアンテナで、組み込まれ(be embodied with)てもよく、これらは協働して同じ無線信号情報を送信および受信するように配置されていることが留意されるべきである。そのような群におけるアンテナの1つ以上は、アンテナによって放たれる放射の少なくとも一部がバックミラー反射面によって反射されるように、1つ以上のバックミラーに沿って配置されてもよく、一方で、残りの1つ以上のアンテナは、そのような反射なしに放射を放つのに適合されてもよい。これにより、車両の全方向における放射の特に良好な適用範囲が提供され得る。
【0014】
好ましくは、バックミラーは反射面の角度位置を変更するために調整可能であり、アンテナおよびバックミラーは、反射面の任意の角度位置で、反射面によって反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置される。これにより、伝達における高い性能が、例えば運転手または助手席の乗客によるバックミラーの使用に対し制限を課すことなく維持されうる。例えば、下に例示されるような反射面に対するアンテナの適切な位置によって、様々な反射面の角度位置が可能となる。また、可視光線よりかなり長い波長を有する放射の電波は、反射で拡散する傾向があり、これは、反射面の角度位置に関係なく、車両の後方向に反射された放射を提供するのを支援する。
【0015】
車両は、アンテナに接続されるトランスミッターを含んでもよく、そして好ましくは、トランスミッター、アンテナおよびバックミラーは、アンテナの伝達が車車間通信および/または車路間通信用となるように配置される。また、レシーバーが路車間通信のためにアンテナに接続されてもよい。このような通信は、それらの比較的高い搬送周波数により、特に進歩性のある本ソリューションから利益を得るだろう。例えば、トランスミッターおよびアンテナは、アンテナの伝達の搬送周波数が5.8−6.0GHz、好ましくは5.855−5.925GHzであるように、配置されてもよく、後者の範囲は標準ITS 5Gのために使用される。
【0016】
好ましくは、バックミラーは、車両の外部に取り付けられる。アンテナは、キャブ(cab)の側部または車両の本体に取り付けられてもよい。アンテナは車両の外側限界(an external side of a limitation)上に取り付けられてもよい。例えば、アンテナは、キャブの金属板、窓ガラス、または窓枠に取り付けられてもよい。アンテナを外部に位置づけることで、アンテナと反射面の間に遮られない見通し線が提供されるだろう。これは、伝達の高い信頼性を保証するだろうし、その放射は、少なくとも部分的にバックミラーの反射面で反射される。
【0017】
好ましくは、アンテナは、反射面の上下の垂直限界(vertical limits)内に位置し、垂直限界は、反射面の中心からのそれぞれの垂直な距離によって画定され、各垂直な距離は反射面の垂直的な広がりと等しい。それにより、アンテナの放射のかなりの部分の後方への反射を確保するために、アンテナに有利な垂直位置を提供することが可能である。バックミラーが2つの反射面、好ましくは一方が遠視野用のもの、他方は近くの周囲環境の視野用のもの、を含む場合、遠視野用の反射面が反射面と見なされるべきであり、その中心はアンテナ位置の垂直限界によって決定されることになることに留意されたい。
【0018】
アンテナが反射面の垂直的な広がりの限界内に位置する場合、後方への反射を確保するための、アンテナに特に有利な垂直の位置が提供されうる。
【0019】
好ましくは、アンテナは反射面の中心の後方に位置し、かつ、反射面の中心よりも車両中心線に近接している。これにより、アンテナの放射のかなりの部分の後方反射を確保するために、アンテナに有利な水平位置を提供することが可能である。
【0020】
反射面は、車両の運転席の背もたれの前方に位置してもよい。反射面は、背もたれよりも車両中心線から遠くに位置してもよい。これにより、アンテナは、平均サイズの運転手と反射面との間の見通し線の付近に取り付けられてもよく、これは、アンテナの放射の高度な後方反射を確保する。アンテナは、好ましくは反射面の中心の後方に位置するが、しかし、アンテナは、好ましくは、車両の直線的な進行方向の、反射面の中心と背もたれの間の距離の2倍以上の反射面の中心の後方には位置しない。好ましくは、アンテナと車両中心線との間の距離は、背もたれと車両中心線との間の距離より長いが、反射面の中心と車両中心線との間の距離より短い。
【0021】
いくつかの実施形態では、アンテナが車両の運転席側ではなく、車両の助手席側に取り付けられることに留意されるべきである。これにより、反射面は、車両の助手席側のバックミラーの反射面であってもよい。好ましくは、このようなアンテナは、上述したのと同様に助手席側のバックミラーに対する垂直限界内に配置される。アンテナは、好ましくは助手席側のバックミラーの反射面の中心の後方に位置するが、しかし、アンテナは、好ましくは、車両の直線的な進行方向の、反射面の中心と運転席の背もたれの間の距離の2倍以上の後方には位置しない。好ましくは、アンテナと車両中心線との間の距離は、助手席側バックミラーの反射面の中心と車両中心線との間の距離より短い。
【0022】
アンテナは、背もたれよりも車両中心線から遠くに位置してもよい。それにより、上述のように、アンテナは車両の外部に取り付けられてもよく、アンテナと反射面の間に遮られない見通し線を提供する。
【0023】
好ましくは、アンテナおよびバックミラーは、水平面において、反射面が、10〜40度、好ましくは20〜30度のアンテナ放射セクターにわたり伸長するように、配置される。これにより、アンテナの放射のかなりの部分が反射面によって反射されうる。加えて、車両の動きにより、バックミラーによって一時的に幾分「見えなく」なっている任意の領域に放射が到達することが可能になる。
【0024】
好ましくは、アンテナは、水平面内でゼロではない指向性を示すように配置される。反射面は90度のアンテナ放射セクター内に位置してもよく、そのセクターは、伝達中、残りの270度のアンテナ放射セクター内の任意の放射よりも強い放射を含んでいる。これにより、反射面は最大放射のセクターに位置するだろう。これは、アンテナの放射のかなりの部分が反射面によって反射されることをさらに確実にする。アンテナは、アンテナの最も強い放射が、伝達中に、車両に対し部分的に前方および部分的に側方に向けられるように配置されてもよい。これにより、バックミラーに対する上述したようなアンテナの位置は、放射のかなりの部分が反射されるようにしうる一方で、放射のさらなるかなりの部分が車両に対して前方および側方に向けられる。
【0025】
アンテナおよびバックミラーは、アンテナの放射の一部分が反射面によって反射され、かつ、アンテナの放射の別部分が反射面以外に(besides)向けられるように、配置されてもよい。これにより、アンテナは、反射面を介して、車両に対して後方を加えた方向、例えば前方及び側方など、に放射を向けてもよい。有利なことに、アンテナはおおよそ180度のビーム幅を有する。これにより、反射面の方向に加えて他の方向における放射も可能になりうる。
【0026】
本発明を実施するために様々なアンテナのタイプを使用してもよい。アンテナは、例えば、ダイポールアンテナまたは無指向性アンテナであってもよい。
【0027】
アンテナは第1のアンテナであってもよく、車両は少なくとも1つの追加のアンテナを含み、第1のアンテナおよび少なくとも1つの追加のアンテナは共にアンテナ群を形成し、該アンテナ群において、第1のアンテナおよび少なくとも1つの追加のアンテナは、協働し、同じ無線信号情報を送信および受信するように配置される。上記で示唆したように、そのような群におけるアンテナの1つ以上は、アンテナによって放たれる放射の少なくとも一部がバックミラー反射面によって反射されるように、1つ以上のバックミラーに沿って配置されてもよく、一方で、残りの1つ以上のアンテナは、そのような反射なしに放射を放つのに適合されてもよい。これにより、車両の全方向における放射の特に良好な適用範囲が提供され得る。
【0028】
第1のアンテナとバックミラーは、伝達中に、反射面で反射された放射が少なくとも部分的に車両の後方向に向けられるように配置される場合、車両は、主に車両の前方向に伝達の放射を向けるように配置される第2のアンテナを含んでもよい。
【0029】
バックミラーは車両の運転席側に位置してもよく、および、車両は、車両の助手席側に位置するさらなるバックミラーを含んでもよく、さらなるバックミラーは、車両の後方向における視野を車両の運転手に与えるために配置されるさらなる反射面を提供し、車両は電波伝達用のさらなるアンテナをさらに含み、さらなるアンテナは、さらなるアンテナによって放たれる放射の少なくとも一部がさらなる反射面によって反射されるように、配置されている。これは、車両のまわりの放射の適用範囲をさらに増大させるだろう。
【0030】
本目的も、請求項27から37のいずれか1つに係る車両のアンテナおよびバックミラーの使用によって達成される。
【0031】
本発明のさらなる利点および有利な特徴は以下の説明で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
添付された図面を参照し、以下に、例として引用された本発明の実施形態のより詳細な説明が続く。
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係る車両の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1中の矢印II−IIで示されるように配向された部分の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の車両のアンテナの一方の方向からの図を示す。
【
図4】
図4は、
図1の車両のアンテナの他方の方向からの図を示す。
【
図7】
図7は、セミトレーラー(semitrailer)を有する
図1の車両の平面図を示す。
【
図8】
図8は、セミトレーラーを有する
図1の車両および無線レシーバーの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、上に記載され、図面に示された実施形態に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および修正を行うことができることを認識するであろう。
【0034】
図1は、トラックの形態の車両(1)を示し、より具体的にはセミトレーラー用のトラクターを示す。しかし、本発明は、自動車、バスまたは貨物自動車などのあらゆるタイプの車両に適用可能であることに留意すべきである。車両は、運転手と助手席の乗客のための内部区画を有するキャブ(101)を含む。
【0035】
図2も参照される。車両(1)は、車両の運転席側に配置される第1のバックミラー(2)と、車両の助手席側に配置される第2のバックミラー(2P)と、を含む。第1および第2のバックミラーは、キャブ(101)の外部に取り付けられ、かつ、車両の運転手(3)に車両の後方向の視野を提供するように配置されるそれぞれの反射面(201)、(201P)を含む。
【0036】
車両(1)はまた、第1のアンテナ(4)と、第2のアンテナ(401)と、本明細書ではさらなるアンテナとも呼ばれる第3のアンテナ(402)と、を備え、それぞれ電波伝達用の放射をそれぞれ放つように適合される。第1のアンテナ(4)、第2のアンテナ(401)および第3のアンテナ(402)は、共にアンテナ群を形成し、協働して同じ無線信号情報を送信および受信するように配置される。本発明は、単一のアンテナで、または、アンテナ群を形成する、2、4、またはそれ以上のアンテナなどの、任意の適切な代替となる数のアンテナを、組み込んでもよい(be embodied with)ことに留意されるべきである。
【0037】
図2で見られるように、アンテナ(4)、(401)、(402)は、キャブ(101)の外部に取り付けられている。第1のアンテナ(4)は、キャブ(101)の運転席側(102)に設置され、第3のアンテナ(402)は、キャブ(101)の助手席側(103)に取り付けられている。第2のアンテナ(401)は、キャブ(101)の前方に取り付けられている。あるいは、アンテナの1つ以上をキャブの内部に取り付けてもよい。
【0038】
車両は、アンテナ(4)、(401)、(402)に連結されるトランスミッター(405)とレシーバー(406)とを含む。トランスミッター(405)と、レシーバー(406)と、アンテナ(4)、(401)、(402)とは、車車間通信、車路間通信および路車間通信用に配置される。トランスミッター(405)と、レシーバー(406)と、アンテナ(4)、(401)、(402)とは、標準ITS−G5の搬送周波数、すなわち5.855−5.925GHz用にさらに配置されてもよい。勿論、トランスミッター(405)と、レシーバー(406)と、アンテナ(4)、(401)、(402)とは、他のタイプの無線通信用に、他の周波数帯域で配置されてもよい。
【0039】
図3および
図4は第1のアンテナ(4)の図を示す。この例においては、第1のアンテナ(4)、第2のアンテナ(401)および第3のアンテナ(402)は、すべて同じである。しかしながら、互いに異なるアンテナタイプのアンテナ群のアンテナを提供することが可能である。
【0040】
第1のアンテナ(4)は、プリント回路基板(PCB)を含む、細長い形状のダイポールアンテナである。アンテナは、取り付けられる時、垂直に延びるように配向される。もちろん、アンテナの長さは用途によって異なることがある。一例として、長さは60−100mmとすることができる。
【0041】
図5を参照すると、
図3および
図4におけるアンテナの放射パターンを示すダイアグラムである。放射パターンは、方位角平面、すなわち、アンテナの長手方向に垂直な平面の中で角度に応じた利得として表現される。代替的な実施形態では、第1のアンテナ(4)、第2のアンテナ(401)および第3のアンテナ(402)は、指向性がゼロであってもよく、すなわち無指向性アンテナであってもよい。この実施形態では、アンテナ(4)、(401)、(402)は水平面内でゼロではない指向性を有する。より具体的には、この例におけるアンテナ(4)、(401)、(402)は、おおよそ180度のそれぞれのビーム幅を有する。
図5は、放射強度が、最大強度点からほぼ対称的に両方向においてどのように減少するかを示している。
【0042】
第2のアンテナ(401)は、主に車両の前方向に伝達の放射を向けるように配置されている。第1のアンテナ(4)および第3のアンテナ(402)と、第1のバックミラー(2)および第2のバックミラー(2P)は、第1のアンテナ(4)および第3のアンテナ(402)から放たれる放射の一部が、第1のバックミラー(2)および第2のバックミラー(2P)のそれぞれの反射面(201)、(201P)によって反射されるように配置されている。
【0043】
反射された放射は、少なくとも部分的に車両(1)の後方向に向けられる。より具体的には、反射された放射は、車両(1)の後方向中のその方向のコンポーネントを有するように向けられる。可視光線よりかなり長い波長を有する放射の電波の反射は、いくつかの方向で拡散し、そのうちのいくつかは車両(1)の後方向であるだろう。
【0044】
図1および
図2を参照すると、第1のバックミラー(2)に対する第1のアンテナ(4)の位置がより詳しく記載されているだろう。第3のアンテナ(402)は、第2のバックミラー(2P)に関して同様に位置している。
【0045】
本明細書中で、反射面(201)の中心(CR)(
図2)は、反射面の「表面質量(surface mass)」の中心として画定される。表面質量の中心の座標は、分布面の重み付き位置座標の平均によって画定される。(例えば、四角形の場合、表面質量の中心は、勿論、その対角線の交差点にある。)
【0046】
第1のアンテナ(4)は、反射面(201)の上下の垂直限界(VLA)、(VLB)(
図1)内に位置している。これらの垂直限界(VLA)、(VLB)は、反射面(201)の中心(CR)からのそれぞれの垂直距離によって画定される。このような各垂直距離は、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)に等しい。すなわち、上側垂直限界(VLA)は、反射面(201)の上方に位置し、かつ、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)に等しい反射面(201)の中心(CR)からの垂直距離に位置する。同様に、下側垂直限界(VLB)は、反射面(201)の下方に位置し、かつ、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)に等しい反射面(201)の中心(CR)からの垂直距離に位置する。好ましくは、第1のアンテナ(4)は、反射面(201)の垂直的な広がり(VER)の限界内である。
【0047】
図2に見られるように、第1のアンテナ(4)は、第1のバックミラー(2)の反射面(201)の中心(CR)のさらに後方に位置している。また、第1のアンテナ(4)は、反射面(201)の中心(CR)よりも車両中心線(CL)に近く、運転席(5)の背もたれ(501)よりも車両中心線(CL)から遠くに位置している。第1のアンテナ(4)と反射面(201)との間に、遮られない見通し線が存在する。
【0048】
図6は、キャブ(101)の側部(102)上の第1のアンテナ(4)の位置の特に好ましい境界を画定する長方形(LB)を示す。上記のような第1のアンテナ(4)の位置は、アンテナの放射のかなりの部分が反射面(201)から反射されるようにすることができる。破線(R1)によって
図6に示されるように、第1のアンテナの放射の一部は、第1のバックミラー(2)の反射面から後方に反射される。線(R2)によって示されるように、放射の別部分は、第1のバックミラー(2)の反射面から反射されず、例えば前方および側方など、ほかの方向に向けられる。したがって、第1のアンテナ(4)および第1のバックミラー(2)は、第1のアンテナの放射の一部が反射面(201)で反射され、第1のアンテナの放射の別部分が反射面(201)以外に向けられるように、配置される。
【0049】
図7は、第1のバックミラー(2)の反射面で反射される第1のアンテナの放射の部分(R1)と、第1のバックミラー(2)の反射面で反射されない第1のアンテナの放射の部分(R2)と、を上から示している。
図7はまた、第2のアンテナからの放射(R3)を示しており、大部分は車両(1)の前方向のコンポーネントで向けられている。加えて、第2のバックミラー(2P)の反射面で反射された第3のアンテナの放射の一部(R4)と、第2のバックミラー(2P)の反射面で反射されない第3のアンテナの放射の一部(R5)と、が
図7に示される。
【0050】
好ましくは、第1のアンテナ(4)および第3のアンテナ(402)と、第1のバックミラー(2)および第2のバックミラー(2P)とは、水平面において、反射面が、10〜40度、好ましくは20〜30度のアンテナの放射セクターにわたり伸長するように、配置される。これにより、アンテナの放射のかなりの部分が反射面によって反射されうる。
【0051】
上述したように、アンテナ(4)、(401)、(402)はゼロではない指向性を有する。反射面は、最大放射の各セクター内に位置する。より具体的には、反射面(201)、(201P)は、90度のそれぞれのアンテナ放射セクター内に位置してもよく、そのセクターは、伝達中、残りの270度のアンテナ放射セクター内の任意の放射よりも強い放射を含む。好ましくは、反射面(201)の中心(CR)は、アンテナの放射が最大となる方向と一列に位置する。
図5も参照されたい。
【0052】
第1のアンテナ(4)および第3のアンテナ(402)は、アンテナ(4)、(402)の最も強い放射が、伝達中に、車両(1)に対して部分的に前方および部分的に側方に向けられるように配置される。これにより、バックミラー(2)、(2P)に対して上述されたようなアンテナの位置は、放射のかなりの部分が反射される一方、放射のさらなるかなりの部分が、例えば
図7に示すように、車両に対して前方および側方に向けられる。
【0053】
図2が参照される。第1のバックミラー(2)および第2のバックミラー(2P)は、それぞれの反射面(201)、(201P)の角度位置を変更するために調整可能である。より具体的には、反射面(201)、(201Pは、それぞれのジョイント(202)、(202P)でそれぞれのバックミラーフレームに取り付けられている。上述のように第1のアンテナ(4)および第3のアンテナ(402)を配置することにより、アンテナ(4)、(402)によって放たれる放射のかなりの部分が、反射面(201)、(201P)によって反射され、かつ、反射面(201)、(201P)の任意の角度位置において、車両の後方向に向けられる。また、この利点に寄与するのは、比較的長い波長を有する反射された電波が、反射面の角度位置にかかわらず、一部が車両の後方向である、いくつかの方向に広がる傾向があるということである。
【0054】
図8に示すように、本発明の実施形態は、アンテナ(4)、(402)によって放たれ、バックミラー(2)、(2P)の反射面(201)、(201P)によって反射される放射を提供し、該放射は車両(1)の真後の位置でレシーバー(6)に到達する。反射面(201)、(201P)は、車両(1)の延長部の外側に横方向に延在してもよいので、反射面(201)、(201P)によって反射された放射は、そのような位置に到達してもよい。