【文献】
Eur.J.Org.Chem.,2011年,p.458-462,DOI:10.1002./ejoc.201001509
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程が(b−1)、(a)、(b−2)、次いで(c)の順で行われるか、又は前記工程(b−1)の後、前記工程(a)と(b−2)が同時に行われ、次いで前記工程(c)が行われるか、又は前記工程(a)と(b−1)が同時に行われ、次いで前記工程(b−2)の後、前記工程(c)が行われる、請求項4に記載のアナライトの測定方法。
第1酵素での基質の酸化による過酸化水素の生成に基づいて、カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを電気化学的手法により測定するための、試料前処理用キットであって、
請求項1記載のカタラーゼ阻害剤、及び、
前記アナライトから前記基質を生成させる反応を触媒する第2酵素、
を含む、キット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような状況下、より好ましいカタラーゼ阻害剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、鋭意研究の結果、ある種のアジド化合物がカタラーゼ阻害作用を有することを見出した。よって、本願は下記の態様を提供する。
[1]下記の式(I):
【化1】
[式中、
R
1〜R
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
X
−は、陰イオン化学種を表す。]
で表される化合物を含む、カタラーゼ阻害剤、
[2]式中、R
1〜R
4は、各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、X
−は、ハロゲンイオン、ハロゲンを含む化合物のイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、硫化水素イオン、シュウ酸水素イオン、シアン酸イオン、及びチオシアン酸イオンからなる群から選択されるいずれか1つを表す、[1]記載のカタラーゼ阻害剤、
[3]式中、R
1〜R
4が、各々独立して、水素原子、又は非置換の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基を表し、X
−が、ハロゲンイオン、又はハロゲンを含む化合物のイオンを表す、[1]記載のカタラーゼ阻害剤、
[4]式(I)で表される化合物が2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートである、[1]記載のカタラーゼ阻害剤、
[5]過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法であって、下記の工程を含む方法:
(A)アナライト及びカタラーゼが含まれる試料と、[1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤を混合する工程、
(B)第1酵素により前記アナライトを酸化させて過酸化水素を生成させる工程、及び、
(C)前記過酸化水素を測定する工程、
[6]前記工程(B)は、前記工程(A)の後、又は、前記工程(A)と同時に行われる、[5]に記載のアナライトの測定方法、
[7]過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法であって、下記の工程を含む方法:
(a)アナライト及びカタラーゼが含まれる試料と、[1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤を混合する工程、
(b−1)第2酵素により前記アナライトから基質を生成させる工程、
(b−2)第1酵素により前記基質を酸化させて過酸化水素を生成させる工程、及び、
(c)前記過酸化水素を測定する工程、
[8]前記工程が(b−1)、(a)、(b−2)、次いで(c)の順で行われるか、又は前記工程(b−1)の後、前記工程(a)と(b−2)が同時に行われ、次いで前記工程(c)が行われるか、又は前記工程(a)と(b−1)が同時に行われ、次いで前記工程(b−2)の後、前記工程(c)が行われる、[7]に記載のアナライトの測定方法、
[9]前記工程(C)又は(c)において、前記過酸化水素は、比色法、化学発光法又は電気化学的手法により測定される、[5]〜[8]のいずれかに記載のアナライトの測定方法、
[10]カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを測定する測定キットであって、
前記アナライトを酸化させて過酸化水素を生成させる反応を触媒する第1酵素、及び、
[1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤、
を含む、測定キット、
[11]カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを測定する測定キットであって、
基質を酸化させて過酸化水素を生成させる反応を触媒する第1酵素、
[1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤、及び、
前記アナライトから前記基質を生成させる反応を触媒する第2酵素、
を含む、測定キット、
[12]ペルオキシダーゼをさらに含む、[10]又は[11]に記載のキット、
[13][1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤を含む、電気化学的手法による測定のための試料前処理用試薬、及び
[14]第1酵素での基質の酸化による過酸化水素の生成に基づいて、カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを電気化学的手法により測定するための、試料前処理用キットであって、
[1]〜[4]のいずれかに記載のカタラーゼ阻害剤、及び、
前記アナライトから前記基質を生成させる反応を触媒する第2酵素、
を含む、キット、
[15]第1酵素が酸化酵素であり、第2酵素が分解酵素である、[5]〜[12]及び[14]のいずれかに記載の測定方法又はキット。
【発明の効果】
【0006】
本願により、より好ましいカタラーゼ阻害剤、及び該カタラーゼ阻害剤を用いるアナライトの測定方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態を詳細に説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0009】
1.本願のカタラーゼ阻害剤
本願の第一の態様に係るカタラーゼ阻害剤(以下、「本願のカタラーゼ阻害剤」ともいう)は、下記の式(I):
【化2】
[式中、
R
1〜R
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
X
−は、陰イオン化学種を表す。]
で表される化合物(以下、化合物(I)ともいう)を含む。
【0010】
ハロゲンとしては、ブロモ、クロロ、ヨード、又はフルオロが挙げられる。
【0011】
炭素数1〜4の炭化水素基は、1〜4個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素基を包含する。炭素数1〜4の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基が挙げられる。
【0012】
陰イオン化学種としては、例えば、ハロゲンイオン、ハロゲンを含む化合物のイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、硫化水素イオン、シュウ酸水素イオン、シアン酸イオン、又はチオシアン酸イオン等が挙げられ、好ましくは、ハロゲンイオン又はハロゲンを含む化合物のイオンが挙げられる。ハロゲンを含む化合物のイオンとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン又は過塩素酸イオンが挙げられる。
【0013】
一具体例において、化合物(I)は、式中、R
1及びR
2が、各々独立して、水素原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を表し、R
3及びR
4が、各々独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を表し、前記炭化水素基が、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、X
−が、ハロゲンイオン、ハロゲンを含む化合物のイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、硫化水素イオン、シュウ酸水素イオン、シアン酸イオン、及びチオシアン酸イオンからなる群から選択されるいずれか1つを表す、化合物である。
【0014】
別の具体例において、化合物(I)は、式中、R
1〜R
4が、各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖、分枝鎖又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、前記炭化水素基が、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、X
−が、ハロゲンイオン、ハロゲンを含む化合物のイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、硫化水素イオン、シュウ酸水素イオン、シアン酸イオン、及びチオシアン酸イオンからなる群から選択されるいずれか1つを表す、化合物である。
【0015】
また別の具体例において、化合物(I)は、式中、R
1〜R
4が、各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、前記炭化水素基が、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、X
−が、ハロゲンイオン、ハロゲンを含む化合物のイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、硫化水素イオン、シュウ酸水素イオン、シアン酸イオン、及びチオシアン酸イオンからなる群から選択されるいずれか1つを表す、化合物である。
【0016】
また別の具体例において、化合物(I)は、式中、R
1〜R
4が、各々独立して、水素原子、又は非置換の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、X
−が、ハロゲンイオン、又はハロゲンを含む化合物のイオンを表す、化合物である。
【0017】
さらなる具体例において、化合物(I)は、下記の構造式:
【化3】
で表される化合物、すなわち、2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートである。
【0018】
本願のカタラーゼ阻害剤は、化合物(I)そのものであってもよく、または化合物(I)の他に、必要に応じて、水、溶媒、緩衝液、タンパク質、高分子材料、糖類、塩類、界面活性剤、酸化剤、還元剤等の、化合物(I)のカタラーゼ阻害作用に影響を与えない付加的成分を含んでいてもよい。
【0019】
2.本願の測定方法
本願のカタラーゼ阻害剤は、例えば、過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法に用いることができる。したがって、本願発明の第二の態様として、本願のカタラーゼ阻害剤を用いる過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法(以下、「本願の測定方法」ともいう)が提供される。
【0020】
本願明細書において「アナライト」とは、測定対象物質を意味する。
【0021】
本願明細書において、「測定」とは、「定量」及び「定性」のいずれの測定をも含む。
【0022】
本願の測定方法は、第1酵素により試料に含有される基質を酸化させ、該酸化反応により生成した過酸化水素を測定し、それによりアナライトを測定するものである。前記酸化反応は、本願のカタラーゼ阻害剤の存在下で行われる。前記基質は、アナライトそのものであってもよく、または1以上の酵素反応(第2酵素による反応)を介してアナライトから生成されてもよい。本願の測定方法において、過酸化水素の生成量は、試料に含有されるアナライトの量に比例する。したがって、過酸化水素の量に基づいて、予め作成した検量線を用いて、試料に含有されるアナライトの量を算出することができる。
【0023】
第1酵素は、基質を酸化させて過酸化水素を生成させる反応を触媒する酵素である。第1酵素は、測定したいアナライトの種類によって適宜決定することができる。第1酵素の例として、酸化酵素(オキシダーゼ)が挙げられる。このような酸化酵素の例としては、限定するものではないが、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、EC番号;1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(Hexose Oxidase、EC番号;1.1.3.5)、コレステロールオキシダーゼ(Cholesterol Oxidase、EC番号;1.1.3.6)、アリールアルコールオキシダーゼ(Aryl−alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.7)、L−グロノラクトンオキシダーゼ(L−gulonolactone Oxidase、EC番号;1.1.3.8)、ガラクトースオキシダーゼ(Galactose Oxidase、EC番号;1.1.3.9)、ピラノースオキシダーゼ(Pyranose Oxidase、EC番号;1.1.3.10)、L−ソルボースオキシダーゼ(L−sorbose Oxidase、EC番号;1.1.3.11)、ピリドキシン−4−オキシダーゼ(Pyridoxine 4−Oxidase、EC番号)、アルコールオキシダーゼ(Alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.13)、(S)−2−ヒドロキシ酸オキシダーゼ((S)−2−hydroxy−acid Oxidase、EC番号;1.1.3.15)、エクジソンオキシダーゼ(Ecdysone Oxidase、EC番号;1.1.3.16)、コリンオキシダーゼ(Choline Oxidase、EC番号;1.1.3.17)、第2級アルコールオキシダーゼ(Secondary−Alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.18)、4−ヒドロキシマンデル酸オキシダーゼ(4−hydroxymandelate Oxidase、EC番号;1.1.3.19)、長鎖アルコールオキシダーゼ(Long−Chain−Alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.20)、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(Glycerol−3−Phosphate Oxidase、EC番号;1.1.3.21)、チアミンオキシダーゼ(Thiamine Oxidase、EC番号;1.1.3.23)、ヒドロキシフィタン酸オキシダーゼ(Hydroxyphytanate Oxidase、EC番号;1.1.3.27)、N−アシルヘキソサミンオキシダーゼ(N−Acylhexosamine Oxidase、EC番号;1.1.3.29)、ポリビニルアルコールオキシダーゼ(Polyvinyl−Alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.30)、D−アラビノノ−1,4−ラクトンオキシダーゼ(D−Arabinono−1、4−Lactone Oxidase、EC番号;1.1.3.37)、バニリルアルコールオキシダーゼ -(Vanillyl−Alcohol Oxidase、EC番号;1.1.3.38)、ヌクレオシドオキシダーゼ(Nucleoside Oxidase、EC番号;1.1.3.39)、D−マンニトールオキシダーゼ(D−mannitol Oxidase、EC番号;1.1.3.40)、アルジトールオキシダーゼ(Alditol Oxidase、EC番号;1.1.3.41)、プロソラナピロンIIオキシダーゼ(Prosolanapyrone−II Oxidase、EC番号;1.1.3.42)、パロマミン 6’−オキシダーゼ(Paromamine 6’−Oxidase、EC番号;1.1.3.43)、6−ヒドロキシネオマイシンCオキシダーゼ(6’’’−Hydroxyneomycin C Oxidase、EC番号;1.1.3.44)、アクラシノマイシン−N オキシダーゼ(Aclacinomycin−N Oxidase、EC番号;1.1.3.45)、4−ヒドロキシマンデル酸オキシダーゼ(4−Hydroxymandelate Oxidase、EC番号;1.1.3.46)、5−ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(5−(Hydroxymethyl)Furfural Oxidase、EC番号;1.1.3.47)、アルデヒドオキシダーゼ(Aldehyde Oxidase、EC番号;1.2.3.1)、ピルビン酸オキシダーゼ(Pyruvate Oxidase、EC番号;1.2.3.3)、シュウ酸オキシダーゼ(Oxalate Oxidase、EC番号;1.2.3.4)、グリオキシル酸オキシダーゼ(Glyoxylate Oxidase、EC番号;1.2.3.5)、ピルビン酸オキシダーゼ (CoA−アセチル化)(Pyruvate Oxidase(CoA−acetylating)、EC番号;1.2.3.6)、インドール−3−アセトアルデヒドオキシダーゼ(Indole−3−Acetaldehyde Oxidase、EC番号;1.2.3.7)、ピリドキサールオキシダーゼ(Pyridoxal Oxidase、EC番号;1.2.3.8)、アリールアルデヒドオキシダーゼ(Aryl−Aldehyde Oxidase、EC番号;1.2.3.9)、アブシシンアルデヒドオキシダーゼ(Abscisic−Aldehyde Oxidase、EC番号;1.2.3.14)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(Protoporphyrinogen Oxidase、EC番号;1.3.3.4)、アシルCoAオキシダーゼ(Acyl−CoA Oxidase、EC番号;1.3.3.6)、ジヒドロウラシルオキシダーゼ(Dihydrouracil Oxidase、EC番号;1.3.3.7)、テトラヒドロベルベリンオキシダーゼ(Tetrahydroberberine Oxidase、EC番号;1.3.3.8)、トリプトファンα,β−オキシダーゼ(Tryptophan Alpha,Beta−Oxidase、EC番号;1.3.3.10)、L−ガラクトノラクトンオキシダーゼ(L−galactonolactone Oxidase、EC番号;1.3.3.12)、アルボノウルシンシンターゼ(Albonoursin synthase、EC番号;1.3.3.13)、アクラシノマイシン−A オキシダーゼ(Aclacinomycin−A Oxidase、EC番号;1.3.3.14)、D−アスパラギン酸オキシダーゼ(D−Aspartate Oxidase、EC番号;1.4.3.1)、L−アミノ酸オキシダーゼ(L−amino-acid Oxidase、EC番号;1.4.3.2)、D−アミノ酸オキシダーゼ(D−Amino−acid Oxidase、EC番号;1.4.3.3)、モノアミンオキシダーゼ(Monoamine Oxidase、EC番号;1.4.3.4)、ピリドキサール−5’−リン酸シンターゼ(Pyridoxal 5’−Phosphate Synthase、EC番号;1.4.3.5)、D−グルタミン酸オキシダーゼ(D−glutamate Oxidase、EC番号;1.4.3.7)、エタノールアミンオキシダーゼ(Ethanolamine Oxidase、EC番号;1.4.3.8)、プトレシンオキシダーゼ(Putrescine Oxidase、EC番号;1.4.3.10)、L−グルタミン酸オキシダーゼ(L−glutamate Oxidase、EC番号;1.4.3.11)、シクロヘキシルアミンオキシダーゼ(Cyclohexylamine Oxidase、EC番号;1.4.3.12)、タンパク質−リシン−6−オキシダーゼ(Protein-lysine 6−Oxidase、EC番号;1.4.3.13)、L−リシンオキシダーゼ(L−lysine Oxidase、EC番号;1.4.3.14)、D−グルタミン酸(D−アスパラギン酸)オキシダーゼ(D−Glutamate(D−aspartate) Oxidase、EC番号;1.4.3.15)、L−アスパラギン酸オキシダーゼ(L−aspartate Oxidase、EC番号;1.4.3.16)、グリシンオキシダーゼ(Glycine Oxidase、EC番号;1.4.3.19)、L−リシン−6−オキシダーゼ(L−Lysine 6−Oxidase、EC番号;1.4.3.20)、一級アミンオキシダーゼ(Primary−Amine Oxidase、EC番号;1.4.3.21)、ジアミンオキシダーゼ(Diamine Oxidase、EC番号;1.4.3.22)、7−クロロ−L−トリプトファンオキシダーゼ(7−Chloro−L−Tryptophan Oxidase、EC番号;1.4.3.23)、サルコシンオキシダーゼ(Sarcosine Oxidase、EC番号;1.5.3.1)、N−メチル−L−アミノ酸オキシダーゼ(N−Methyl−L―Amino−Acid Oxidase、EC番号;1.5.3.2)、(S)−6−ヒドロキシニコチンオキシダーゼ((S)−6−Hydroxynicotine Oxidase、EC番号;1.5.3.5)、(R)−6−ヒドロキシニコチンオキシダーゼ((R)−6−Hydroxynicotine Oxidase、EC番号;1.5.3.6)、L−ピペコリン酸オキシダーゼ(L−Pipecolate Oxidase、EC番号;1.5.3.7)、ジメチルグリシンオキシダーゼ(Dimethylglycine Oxidase、EC番号;1.5.3.10)、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ(Dihydrobenzophenanthridine Oxidase、EC番号;1.5.3.12)、N1−アセチルポリアミンオキシダーゼ(N(1)−Acetylpolyamine Oxidase、EC番号;1.5.3.13)、ポリアミンオキシダーゼ (プロパン−1,3-ジアミン形成)(Polyamine Oxidase(Propane−1,3−Diamine−Forming)、EC番号;1.5.3.14)、N8−アセチルスペルミジンオキシダーゼ(プロパン−1,3-ジアミン形成)(N(8)−Acetylspermidine Oxidase(Propane−1,3−Diamine−Forming)、EC番号;1.5.3.15)、スペルミンオキシダーゼ(Spermine Oxidase、EC番号;1.5.3.16)、非特異的ポリアミンオキシダーゼ(Non−Specific polyamine Oxidase 、EC番号;1.5.3.17)、L−サッカロピンオキシダーゼ(L−Saccharopine Oxidase、EC番号;1.5.3.18)、4−メチルアミノブタノアートオキシダーゼ(ホルムアルデヒド形成)(4−Methylaminobutanoate Oxidase(Formaldehyde−Forming)、EC番号;1.5.3.19)、N−アルキルグリシンオキシダーゼ(N−Alkylglycine Oxidase、EC番号;1.5.3.20)、4−メチルアミノブタノアートオキシダーゼ(メチルアミン形成)(4−Methylaminobutanoate Oxidase(methylamine−Forming)、EC番号;1.5.3.21)、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(Fructosyl Amino−acid Oxidase、EC番号;1.5.3)、フルクトシルペプチドオキシダーゼ(Fructosyl Peptide Oxidase、EC番号;1.5.3)、NAD(P)Hオキシダーゼ(過酸化水素形成)(NAD(P)H Oxidase(H
2O
2−Forming)、EC番号;1.6.3.1)、NAD(P)Hオキシダーゼ(水形成)(NAD(P)H Oxidase(H
2O−Forming)、EC番号;1.6.3.2)、NADHオキシダーゼ(過酸化水素形成)(NADH Oxidase(H
2O
2−Forming)、EC番号;1.6.3.3)、NADHオキシダーゼ(水形成)(NADH OxidaseH
2O−Forming、EC番号;1.6.3.4)、ニトロアルカンオキシダーゼ(Nitroalkane Oxid
ase、EC番号;1.7.3.1)、尿酸オキシダーゼ(Uric Acid Oxidase、EC番号;1.7.3.3)、3−aci−ニトロプロパンオキシダーゼ(3−aci−Nitropropanoate Oxidase、EC番号;1.7.3.5)、亜硫酸オキシダーゼ(Sulfite Oxidase、EC番号;1.8.3.1)、チオールオキシダーゼ(Thiol Oxidase、EC番号;1.8.3.2)、グルタチオンオキシダーゼ(Glutathione Oxidase、EC番号;1.8.3.3)、メタンチオールオキシダーゼ(Methanethiol Oxidase、EC番号;1.8.3.4)、プレニルシステインオキシダーゼ(Prenylcysteine Oxidase、EC番号;1.8.3.5)、ファルネシルシステインリアーゼ(Farnesylcysteine lyase、EC番号;1.8.3.6)、3−ヒドロキシアントラニル酸オキシダーゼ(3−Hydroxyanthranilate Oxidase、EC番号;1.10.3.5)、キサンチンオキシダーゼ(Xanthine Oxidase、EC番号;1.17.3.2)、6−ヒドロキシニコチン酸デヒドロゲナーゼ(6−Hydroxynicotinate Dehydrogenaze、EC番号;1.17.3.3)、レチクリンオキシダーゼ(Reticuline Oxidase、EC番号;1.21.3.3)等が挙げられる。
【0024】
第1酵素の基質は、限定するものではないが、例えば、グルコース、ヘキソース、コレステロール、芳香族一級アルコール、一級アルコール、L−グロノラクトン、ガラクトース、ピラノース、L−ソルボース、ピリドキシン、ヒドロキシ酸、エクジソン、コリン、第二級アルコール、4−ヒドロキシマンデル酸、グリセロール−3−リン酸、チアミン、ヒドロキシフィタン酸、N−アセチルグルコサミン、ポリビニルアルコール、D−アラビノノ−1,4−ラクトン、バニリルアルコール、ヌクレオシド、D−マンニトール、アルジトール、プロソラナピロンII、パロマミン、6−ヒドロキシネオマイシンC、アクラシノマイシン−N、4−ヒドロキシマンデル酸、5−ヒドロキシメチルフルフラール、アルデヒド、ピルビン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、ピリドキサール、芳香族アルデヒド、アブシシンアルデヒド、プロトポルフィリノーゲン、アシルCoA、ジヒドロウラシル、テトラヒドロベルベリン、トリプトファン、L−ガラクトノラクトン、アクラシノマイシン−A、D−アスパラギン酸、L−アミノ酸、D−アミノ酸、モノアミン、ピリドキサミン−5’−リン酸、D−グルタミン酸、エタノールアミン、プトレシン、L−グルタミン酸、シクロヘキシルアミン、ペプチジル−L−リシルペプチド、L−リシン、L−アスパラギン酸、グリシン、一級アミン、ジアミン、7−クロロ−L−トリプトファン、サルコシン、N−メチル−L−アミノ酸、ヒドロキシニコチン、L−ピペコリン酸、ジメチルグリシン、ジヒドロサンギナリン、ジヒドロケリルビン、ジヒドロマカルピン、N1−アセチルスペルミジン、N1−アセチルスペルミン、スペルミジン、N8−アセチルスペルミジン、スペルミン、L−サッカロピン、4−メチルアミノブタノアート、N−アルキルグリシン、フルクトシルアミノ酸、フルクトシルペプチド、NAD(P)H、NADH、ニトロアルカン、尿酸、3−aci−ニトロプロパン酸、亜硫酸、チオール、グルタチオン、メタンチオール、プレニルシステイン、ファルネシルシステイン、3−ヒドロキシアントラニル酸、キサンチン、6−ヒドロキシニコチン酸、レチクリン、等が挙げられる。
【0025】
試料は、アナライトを含み、かつ、カタラーゼを含むか又はカタラーゼを含む可能性のある試料である。本願明細書では、前記試料を「アナライト及びカタラーゼが含まれる試料」と称する。前記試料の例として、限定するものではないが、全血、血漿、血清、血球、血液希釈物等の血液試料(例えば、ヒト由来の希釈血液試料)、尿、髄液、汗、涙液、唾液、皮膚、粘膜、毛髪等の生体試料、各種食品又はその抽出液、アルコール及びジュース等の飲料、等が挙げられる。また、生体試料はヒト由来に限らない。血液試料は、好ましくは溶血処理して用いる。溶血処理は常法により行えばよい。
【0026】
カタラーゼは過酸化水素を分解するので、試料中のカタラーゼの存在は、本願のような過酸化水素の生成に基づいてアナライトを測定する方法において、測定精度の低下をもたらす。すなわち、第1酵素による反応で生成した過酸化水素がカタラーゼにより消費されてしまうため、過酸化水素の生成量を測定しようにも、カタラーゼの影響により、アナライトの量に依存して生成された正確な過酸化水素の量を測定できない。そこで、本願の測定方法では、第1酵素による反応をカタラーゼ阻害剤の存在下で行う。例えば、試料を第1酵素で処理する前に、又は第1酵素で処理するのと同時に、試料とカタラーゼ阻害剤を混合する。ここで使用されるカタラーゼ阻害剤は、本願のカタラーゼ阻害剤である。
【0027】
従来技術では、アジ化ナトリウムを反応槽中に共存させることによりカタラーゼによる影響を抑制した。しかしながら、本願発明者らが酸化酵素による反応で生成された過酸化水素を測定する技術を鋭意検討した結果、アジ化ナトリウムは電気化学的手法を用いる系では好適ではないことが分かった。具体的には、本発明者らは、アジ化ナトリウムは、カタラーゼ阻害活性を有するものの、電気化学的手法によるアナライト測定において測定精度の低下を引き起こすことを見出した。アジ化ナトリウムによる測定精度の低下は、測定するアナライトの量が少なくなればなるほど顕著に影響が出た。これは恐らく、アジ化ナトリウムが溶液中で放出するアジ化物イオンが速やかに電極に吸着することにより、電極の触媒活性を低下させ、過酸化水素の酸化還元反応を抑制するためと考えられる。
【0028】
一方、本願のカタラーゼ阻害剤に含まれる化合物(I)は、アジド基が共有結合しているため、溶液中で速やかにアジ化物イオンを放出することがないので、アジ化ナトリウムよりも電極の触媒活性への影響が穏和であると推察される。実際、後述する実施例で示すように、本願のカタラーゼ阻害剤を使用した場合は、アジ化ナトリウムを使用したときのような測定精度の低下は見られなかった。なお、本願のカタラーゼ阻害剤は、過酸化水素を電気化学的手法により測定する技術に限定されず、過酸化水素を比色法や化学発光法等の他の方法により測定する技術にも用いることができることは言うまでもない。
【0029】
本願の測定方法において、試料と混合される本願のカタラーゼ阻害剤の量は、特に限定されず、測定する試料や測定条件に応じて適宜決定される。限定するものではないが、例えば、化合物(I)の反応時終濃度として、約175μM〜約4.5mM、約200μM〜約4mM、約250μM〜約4mM、約300μM〜約3.5mM、又は約350μM〜約3.5mMの範囲が挙げられる。
【0030】
本願の測定方法において、過酸化水素の測定は、当該分野で既知のいずれの方法によって行ってもよい。限定するものではないが、例えば、比色法、化学発光法、又は電気化学的手法を採用することができる。
【0031】
比色法による測定方法の例では、第1酵素により基質が酸化されることに伴い生成される過酸化水素を、ペルオキシダーゼ(Peroxidase、EC番号:1.11.1.7)の存在下で発色試薬と反応させる。発色試薬は、ペルオキシダーゼにより促進される過酸化水素との反応で水素が奪われて発色する物質である。発色試薬の例は、当該分野でよく知られており、限定するものではないが、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム塩、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム塩、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン、3,3−ジアミノベンジジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)トリジン、2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン6−スルホン酸アンモニウム)、オルトフェニレンジアミン、及びフェノール性化合物又はアニリン誘導体と4−アミノアンチピリン又は3−メチル2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾンとの組み合わせ等が挙げられる。発色試薬との反応により、過酸化水素の量に応じた色素を生成させることができる。したがって、発色試薬に対応する波長における吸光度の測定等によって、生成した色素を検出することで、過酸化水素の量を定量することができる。そして、過酸化水素の量はアナライトの量と相関があるため、過酸化水素の量を測定することで、アナライトを定量することができる。この種の測定法では、一般的には、第1酵素による酸化反応とペルオキシダーゼによる反応を同一反応槽で実施する。
【0032】
化学発光による測定方法の例では、第1酵素により基質が酸化されることに伴い生成される過酸化水素を、ペルオキシダーゼ(Peroxidase、EC番号:1.11.1.7)の存在下で発光試薬と反応させる。発光試薬は、ペルオキシダーゼにより促進される過酸化水素との反応で水素が奪われて発光する物質である。発光試薬の例は、当該分野でよく知られており、限定するものではないが、ルミノール、イソルミノール、N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール、ルシゲニン、アクリジニウムエステル、等が挙げられる。発光試薬との反応により、過酸化水素の量に応じた光量を生成させることができる。したがって、発光試薬の発光量を検出することで、過酸化水素の量を定量することができる。そして、過酸化水素の量はアナライトの量と相関があるため、過酸化水素の量を測定することで、アナライトを定量することができる。この種の測定法では、一般的には、第1酵素による酸化反応とペルオキシダーゼによる反応を同一反応槽で実施する。
【0033】
電気化学的手法による測定方法の例では、第1酵素により基質が酸化されることに伴い生成される過酸化水素に、所定の電圧を印加すると、過酸化水素の量に応じた電流値が検出される。したがって、この電流値を検出することで、過酸化水素の量を定量することができる。そして、過酸化水素の量はアナライトの量と相関があるため、過酸化水素の量を測定することで、アナライトを定量することができる。ここで、「所定の電圧」とは、過酸化水素が酸化、もしくは還元する電位をいう。所定の電圧は、電極材料やpHなどの種々の条件により、当業者が適宜設定することができる。例えば、3電極方式(作用極(例えば、白金又はパラジウム)、対極、参照極(例えば、銀/塩化銀(飽和塩化カリウム)電極))の場合、電極材料やpHなどによって異なるが、大抵、0.6V程度の電圧を印加すれば、過酸化水素は酸化する。2電極方式(作用極、対極)の場合は、条件によってかなり異なり、一概には言えないが、例えば、0.2V〜0.5V程度の電圧を印加して過酸化水素を酸化させることが挙げられる。
【0034】
電気化学的手法では、例えば、作用極及び対極を含む電極対、もしくは作用極、対極及び参照極の3電極が使用され、作用極と対極との間に前記の所定の電圧を印加、もしくは作用極に参照極に対する所定の電圧を印加して、過酸化水素の酸化還元反応を生じさせ、作用極に流れる電流値もしくは電荷量を測定する。電極には、例えば、第1酵素を担持させてもよい。電極に第1酵素を担持する場合、試料と本願のカタラーゼ阻害剤の混合液を該電極に点着又は該電極を該混合液に浸漬させることにより、該電極上で過酸化水素が生成される。また、第1酵素及び本願のカタラーゼ阻害剤を電極に担持させて、該電極に試料を点着又は該電極を試料に浸漬してもよい。過酸化水素の定量のための電気化学的手法及び該手法に用いられる電極については、当該分野においてよく知られている。また、前記酵素や阻害剤を電極上に担持させる方法も、所望の酵素または阻害剤を電極上に担持させることが可能ないずれの方法であってもよく、特に限定されない。当該分野において知られた方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式を用いてもよい。
【0035】
以下、本願の測定方法の具体例を挙げて説明する。
【0036】
本願の測定方法の一例は、過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法であって、
(A)アナライト及びカタラーゼが含まれる試料と、化合物(I)を含むカタラーゼ阻害剤を混合する工程、
(B)第1酵素により前記アナライトを酸化させて過酸化水素を生成させる工程、及び、
(C)前記過酸化水素を測定する工程、
を含む方法である。該測定方法において、アナライトは、第1酵素の基質である。
【0037】
工程(B)では、第1酵素と試料を混合して、アナライトを酸化させて過酸化水素を生成させる。ここで、酸化反応条件は特に限定されず、当業者であれば適宜決定することができる。工程(B)は、工程(A)の後で行うか、又は工程(A)と同時に行う。
【0038】
工程(C)では、工程(B)で生成した過酸化水素を測定する。例えば、工程(B)で生成した過酸化水素の量を測定する。
【0039】
工程(C)は、工程(A)及び(B)の後に行ってもよいし、又は工程(B)と同時に行ってもよい。例えば、工程(A)、(B)、次いで(C)の順で行ってもよく、又は工程(A)及び(B)を同時に行った後、工程(C)を行ってもよい。あるいは、工程(A)の後、工程(B)及び(C)を同時に行ってもよく、又は全工程(A)〜(C)を同時に行ってもよい。工程(A)の後、工程(B)及び(C)を同時に行う例としては、試料と本願のカタラーゼ阻害剤を混合した後、該混合液を、第1酵素及び過酸化水素の測定のための試薬(例えば、ペルオキシダーゼ、発色試薬、又は発光試薬等)を含む反応槽に投入する場合、又は、第1酵素を担持した、電圧を印加した電極上に、前記混合液を添加する場合等が挙げられる。全工程(A)〜(C)を同時に行う例としては、試料、本願のカタラーゼ阻害剤、第1酵素、及び過酸化水素の測定のための試薬(例えば、ペルオキシダーゼ、発色試薬、又は発光試薬等)を同時に同一反応槽に投入する場合、又は、本願のカタラーゼ阻害剤及び第1酵素を担持した、電圧を印加した電極上に、試料を添加する場合等が挙げられる。
【0040】
上述の例では、第1酵素によるアナライトの酸化に伴い過酸化水素を生成させる工程(B)と、生成した過酸化水素を測定する工程(C)を含む測定系を示したが、本願の測定方法は、この測定系に限定されるものではなく、複数酵素反応を介したアナライトの測定方法も包含する。複数酵素反応を介した本願の測定方法としては、例えば、第2酵素によりアナライトを反応させて生成物(基質)を得る工程と、上述の第1酵素(例えば、酸化酵素)によりこの生成物(基質)を酸化させることで過酸化水素を生成させる工程と、生成した過酸化水素を測定する工程を含む測定系が挙げられる。
【0041】
したがって、本願の測定方法のさらなる例は、過酸化水素の生成に基づくアナライトの測定方法であって、
(a)アナライト及びカタラーゼが含まれる試料と、化合物(I)を含むカタラーゼ阻害剤を混合する工程、
(b−1)第2酵素により前記アナライトから基質を生成させる工程、
(b−2)第1酵素により前記基質を酸化させて過酸化水素を生成させる工程、及び、
(c)前記過酸化水素を測定する工程、
を含む方法である。
【0042】
該測定方法において、アナライトは、第2酵素の触媒作用により第1酵素の基質を生成する物質である。該アナライトの例として、限定するものではないが、タンパク質、例えば、糖化ヘモグロビン[例えば、ヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」と略す)]、糖化アルブミン等が挙げられる。
【0043】
工程(b−1)では、第2酵素と試料を混合して、試料中に含まれるアナライトから第1酵素の基質を生成させる。第2酵素は、特に限定されず、アナライトの種類によって適宜決定することができる。第2酵素の例としては、分解酵素(例えば、プロテアーゼ、ペプチダーゼ等)等が挙げられる。第2酵素による反応条件は、特に限定されず、当業者であれば適宜決定することができる。例えば、アナライトからの基質の生成を促進させる物質の共存下で反応させてもよい。
【0044】
工程(b−1)における、アナライトから第1酵素の基質を生成する反応は、一段階の反応であってもよく、または多段階の反応であってもよい。多段階の反応によってアナライトから第1酵素の基質が生成される場合、前記第2酵素には複数の酵素が含まれる。
【0045】
工程(b−2)では、第1酵素と試料を混合して、試料中に含まれる基質を酸化させて過酸化水素を生成させる。前記基質は、工程(b−1)により生成されたものである。ここで、酸化反応条件は特に限定されず、当業者であれば適宜決定することができる。
【0046】
工程(c)では、工程(b−2)で生成した過酸化水素を測定する。例えば、工程(b−2)で生成した過酸化水素の量を測定する。
【0047】
工程(b−1)は、工程(a)の前に行ってもよいし、又は工程(a)と同時に行ってもよい。また、工程(b−1)は、工程(b−2)の前に行うか、又は工程(b−2)と同時に行う。工程(b−2)は、工程(a)の後で行うか、又は工程(a)と同時に行う。例えば、工程(a)、(b−1)、(b−2)、次いで(c)の順で行ってもよく、又は工程(b−1)、(a)、(b−2)、次いで(c)の順で行ってもよく、又は工程(a)の後、工程(b−1)と(b−2)を同時に行い、次いで工程(c)を行ってもよく、又は工程(a)の後、工程(b−1)と(b−2)と(c)を同時に行ってもよく、又は工程(b−1)の後、工程(a)と(b−2)を同時に行い、次いで工程(c)を行ってもよく、又は工程(b−1)の後、工程(a)と(b−2)と(c)を同時に行ってもよく、又は工程(a)と(b−1)を同時に行い、次いで工程(b−2)の後、工程(c)を行ってもよく、又は工程(a)と(b−1)を同時に行い、次いで工程(b−2)と(c)を同時に行ってもよく、又は工程(a)と(b−1)と(b−2)を同時に行い、次いで工程(c)を行ってもよく、又は全工程(a)〜(c)を同時に行ってもよい。全工程(a)〜(c)を同時に行う例としては、試料、本願のカタラーゼ阻害剤、第1酵素、第2酵素、及び過酸化水素の測定のための試薬(例えば、ペルオキシダーゼ、発色試薬、又は発光試薬等)を同時に同一反応槽に投入する場合、又は、本願のカタラーゼ阻害剤、第1酵素及び第2酵素を担持した、電圧を印加した電極上に、試料を添加する場合等が挙げられる。
【0048】
前記のような複数酵素反応を介した本願の測定方法の一例として、HbA1cをアナライトとした測定について具体的に説明する。HbA1cの測定では、例えば、試料として血液試料又は血球試料が用いられる。工程(a)において、該試料と本願のカタラーゼ阻害剤を混合する。工程(b−1)において、第2酵素としてプロテアーゼを用いて、試料中のHbA1cから糖化ペプチドとしてのフルクトシル−バリルヒスチジン(Fru−Val−His)を生成させる。次いで、工程(b−2)において、第1酵素としてフルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX)により、工程(b−1)で生成した糖化ペプチドを酸化することで過酸化水素を生成する。次いで、工程(c)において、工程(b−2)で生成した過酸化水素を測定する。前記プロテアーゼとしては、例えば、メタロプロテアーゼ(例えば、サーモリシン等)、システインプロテアーゼ(例えば、パパイン、カスパーゼ等)、セリンプロテアーゼ(例えば、キモトリプシン、スブチリシン等)等が挙げられる。さらに、プロテアーゼによるアナライトの分解を促進させる物質の存在下で工程(b−1)を行ってもよい。このような物質としては、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の界面活性剤、テトラゾリウム化合物等が挙げられる。また、工程(b−1)における第2酵素として、HbA1cから糖化アミノ酸としてのフルクトシル−バリン(Fru−Val)を生成させるプロテアーゼを用い、工程(b−2)における第1酵素として、フルクトシルペプチドオキシダーゼに代えて、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOX)を用いてもよい。
【0049】
本願の測定方法では、化合物(I)を含むカタラーゼ阻害剤と試料を混合しているので、過酸化水素の測定のために比色法、化学発光法、又は電気化学的手法のいずれの手法を用いても、アナライトの酸化により生じた過酸化水素の量、又はアナライトから生成された基質の酸化により生じた過酸化水素の量を正確に測定することができる。
【0050】
3.本願の測定キット
次に、本願の第三の態様に係るカタラーゼが含まれる試料中のアナライトを測定する測定キット(以下、「本願の測定キット」ともいう)について説明する。
【0051】
本願の測定キットは、カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを測定するための測定キットであって、過酸化水素の生成に基づいて前記アナライトを測定するために使用される。本願明細書において、「カタラーゼが含まれる試料」は、カタラーゼが含まれる試料、及びカタラーゼが含まれる可能性のある試料を包含する。
【0052】
本願の測定キットの第一の例は、アナライトを酸化させて過酸化水素を生成させる反応を触媒する第1酵素、及び本願のカタラーゼ阻害剤を含む。本願の測定キットの第二の例は、基質を酸化させて過酸化水素を生成させる反応を触媒する第1酵素、本願のカタラーゼ阻害剤、及びアナライトから第1酵素の基質を生成させる反応を触媒する第2酵素を含む。本願の測定キットの第一の例において、アナライトは、第1酵素の基質である。本願の測定キットの第二の例において、アナライトは、第1酵素の基質を生成する物質である。第1酵素及び第2酵素の例については上述したとおりである。
【0053】
本願の測定キットは、ペルオキシダーゼをさらに含んでいてもよい。ペルオキシダーゼを含む本願の測定キットは、例えば、比色法又は化学発光法によって過酸化水素を測定することによりアナライトを測定するために使用される。
【0054】
4.本願の試料前処理用試薬
次に、本願の第四の態様に係る、化合物(I)を含む、電気化学的手法による測定のための試料前処理用試薬(以下、「本願の試料前処理用試薬」ともいう)について説明する。
【0055】
本願の試料前処理用試薬は、カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを電気化学的手法によって測定する場合に、測定前に試料を処理するために使用される。例えば、本願の試料前処理用試薬は、過酸化水素の生成に基づいてアナライトを測定する方法であって、前記過酸化水素を電気化学的手法によって測定する方法に付すために、試料を前処理するために使用される。この場合、第1酵素によって触媒されるアナライトの酸化によって過酸化水素が生成し、該第1酵素は、電極上に担持されている。本願の試料前処理用試薬は、必要に応じて、水、溶媒、緩衝液、タンパク質、高分子材料、糖類、塩類、界面活性剤、酸化剤、還元剤等の、化合物(I)のカタラーゼ阻害作用に影響を与えない付加的成分を含んでいてもよい。
【0056】
5.本願の試料前処理用キット
次に、本願の第五の態様に係るカタラーゼが含まれる試料中のアナライトを電気化学的手法により測定するための、試料前処理用キット(以下、「本願の試料前処理用キット」ともいう)について説明する。
【0057】
本願の試料前処理用キットとして、本願のカタラーゼ阻害剤、及び第2酵素を含むキットが提供される。第2酵素は、試料中のアナライトから第1酵素の基質を生成させる反応を触媒する酵素である。第1酵素及び第2酵素の例については上述したとおりである。
【0058】
本願の試料前処理用キットは、カタラーゼが含まれる試料中のアナライトを電気化学的手法によって測定する場合に、測定前に試料を処理するために使用される。例えば、本願の試料前処理用キットは、過酸化水素の生成に基づいてアナライトを測定する方法であって、前記過酸化水素が、アナライトから生成した基質の酸化により生じ、かつ、前記過酸化水素を電気化学的手法によって測定する方法に付すために、試料を前処理するために使用される。この場合、第1酵素は、電気化学的手法において使用する電極上に担持されている。
【0059】
さらに、本願の試料前処理用キットとして、第1酵素、本願のカタラーゼ阻害剤、及び第2酵素を含むキットが提供される。第1酵素及び第2酵素については上述したとおりである。該キットは、電気化学的手法において使用する電極上に第1酵素が担持されていない場合に使用できる。
【0060】
さらに、本願の試料前処理用キットとして、第1酵素、及び本願のカタラーゼ阻害剤を含むキットが提供される。第1酵素については上述したとおりである。該キットは、第1酵素によって触媒されるアナライトの酸化により過酸化水素が生成する場合であって、電気化学的手法において使用する電極上に第1酵素が担持されていない場合に使用できる。
【0061】
6.本願のセンサ
さらに、本願の第六の態様として、アナライトを測定するためのセンサであって、作用極及び対極を含む電極を含み、第1酵素及び本願のカタラーゼ阻害剤が前記電極に担持されているセンサを提供する。前記電極は、さらに第2酵素を担持していてもよい。第1酵素及び第2酵素の例については上述したとおりである。電極の構成材料については、特に限定されず、白金、金、銀、パラジウム、カーボン、イリジウム、酸化イリジウム等の過酸化水素の電気化学的定量に通常用いられているいずれの材料であってもよい。好ましくは、白金、又はパラジウムが電極材料として用いられる。前記センサは、さらに参照極を含むものであってもよい。前記酵素、及びカタラーゼ阻害剤を電極上に担持させる方法は、所望の酵素、及びカタラーゼ阻害剤を電極上に担持させることが可能ないずれの方法であってもよく、特に限定されない。当該分野で既知のいずれかの方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式を用いてもよい。
【0062】
例えば、アナライトがHbA1cである場合、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、又はフルクトシルペプチドオキシダーゼに代えてフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、及び本願のカタラーゼ阻害剤が電極上に担持されたHbA1cセンサが提供される。前記HbA1cセンサは、さらにプロテアーゼを電極に担持していてもよい。
【0063】
以下に、実施例に基づいて本願を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0064】
カタラーゼ阻害効果試験(発泡試験)
(方法)
2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート(0.001%(w/v))又はアジ化ナトリウム(0.001%(w/v)と、プロテアーゼ(アクチナーゼE、18000U/mL)、陰イオン性界面活性剤(N−ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、0.5%(w/v))、グルタミン酸カリウム(300mM)、ビストリス緩衝液(10mM、pH6.5)、及びヒト血液(25倍希釈相当)を混合した。血液添加後4分30秒後に、過酸化水素1%(v/v)を前記混合液中に投入した。過酸化水素投入後の発泡(酸素発生)の有無を目視により確認した。なお、各成分の濃度は反応時終濃度を示す。
【0065】
(結果)
2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート又はアジ化ナトリウムのいずれを添加した場合も、過酸化水素投入後の発泡が見られなかった。これは、血液中のカタラーゼを抑制できたことを示す。
【実施例2】
【0066】
カタラーゼ阻害剤を用いたHbA1cの電気化学的測定試験1
(方法)
プロテアーゼ(アクチナーゼE、2250U/mL)、陰イオン性界面活性剤(N−ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、5.0%(w/v))、グルタミン酸カリウム(300mM)、リン酸カリウム緩衝液(30mM、pH8)、カタラーゼ阻害剤、及びHbA1c測定用実試料一次標準物質(検査医学標準物資機構より入手、JCCRM 411、レベル1レベル3、及びレベル5のそれぞれの25倍希釈相当を使用)を混合し、測定溶液を調製した。前記カタラーゼ阻害剤として、アジ化ナトリウム(350μM、又は1750μM)、又は2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート(350μM、又は1750μM)を使用した。
パラジウム電極からなる作用極及び対極を備えたセンサに、フルクトシルペプチドオキシダーゼ(229U/ml)、カルボキシメチルセルロース(0.125%(w/v))、リン酸カリウム緩衝液(25mM、pH8)、グルタミン酸カリウム(10mM)及びトレハロース(0.5%(w/v))を担持させた。
前記センサに前記測定溶液を点着し、0.62Vを1秒間作用極と対極の間に印加し、15秒静止後、0.25Vを作用極と対極に印加し、10秒後の電流値を測定した。
なお、各成分の濃度は測定液中の終濃度を示す。
【0067】
(結果)
結果を
図2に示す。
図2は、アジ化ナトリウム又は2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートをそれぞれ350μM又は1750μM添加した時のHbA1c濃度に対する電流応答を示す。また、各測定結果の線形近似曲線の式を表1に示し、線形近似曲線の傾きを切片で割った値を表2に示す。
なお、表中、「NaN
3」はアジ化ナトリウムを示し、「AIP」は2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
図2ならびに表1及び2から分かるように、350μMではアジ化ナトリウムと2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートで近似曲線の傾きや感度(S/N比)に大きな違いはなかったが、1750μMではアジ化ナトリウムの近似曲線の傾きが大きく下がり、感度の低下が生じた。一方、1750μMの2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートでは、近似曲線の傾きの低下が見られず、かつ切片の値が減少するため、感度(S/N比)の向上が見られた。したがって、カタラーゼ阻害剤として2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを用いると、過酸化水素の電気的な感度が向上し、測定精度が上がることが分かった。
【実施例3】
【0071】
カタラーゼ阻害剤を用いたHbA1cの電気化学的測定試験2
(方法)
実施例2と同じ方法で、HbA1c濃度に対する電流値を測定した。但し、カタラーゼ阻害剤として、2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート(1750μM、又は3500μM)を使用した。
【0072】
(結果)
結果を
図3に示す。
図3は、2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを1750μM又は3500μM添加した時のHbA1c濃度に対する電流応答を示す。また、各測定結果の線形近似曲線の式を表3に示し、線形近似曲線の傾きを切片で割った値を表4に示す。
なお、表中、「AIP」は2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
図3ならびに表3及び4から分かるように、3500μMの2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを使用した場合も、十分な測定感度を有することが分かった。
【実施例4】
【0076】
カタラーゼ阻害剤を用いたHbA1cの電気化学的測定試験3
(方法)
実施例2と同じ方法で、HbA1c濃度に対する電流値を測定した。但し、カタラーゼ阻害剤として、2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート(1750μM、又は250μM)を使用した。
【0077】
(結果)
結果を
図4に示す。
図4は、2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを1750μM又は250μM添加した時のHbA1c濃度に対する電流応答を示す。また、各測定結果の線形近似曲線の式を表5に示し、線形近似曲線の傾きを切片で割った値を表6に示す。
なお、表中、「AIP」は2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを示す。
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
図4ならびに表5及び6から分かるように、250μMの2−アジド−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスファートを使用した場合も、十分な測定感度を有することが分かった。