(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルカリ金属リン酸塩は、モノソジウムホスフェート、ジソジウムホスフェート及びトリソジウムホスフェートからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含む、請求項1に記載の吸湿剤。
総重量に対して、第1無機物10〜70重量%、第2無機物5〜50重量%、アルカリ金属リン酸塩1〜30重量%及びポリマーワックス1〜30重量%を含む、請求項1に記載の吸湿剤。
前記通気性包装材は、天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース系繊維、アクリル繊維及びレーヨン系繊維から選択される何れか一つまたは二つ以上の繊維から製造された通気性フィルム層の一面または両面にシーリング層が形成されたものである、請求項4に記載の自動車ランプ用吸湿パック。
前記水溶性ポリマーは、ゼラチン、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、これらの塩及びこれらの共重合体から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物である、請求項7に記載の複合吸湿構造体。
前記カプセル型吸湿剤は、水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に第3無機物、第4無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマー添加剤から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物を含む吸湿剤が封入されたものである、請求項7に記載の複合吸湿構造体。
前記第3無機物は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含み、
前記第4無機物は、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含む、請求項11に記載の複合吸湿構造体。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明による長期耐久性が良好な自動車ランプ用吸湿パックについてさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形で具現されることができる。
【0036】
また、他に定義されない限り、全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためであり、本発明を制限するものとして意図されない。
【0037】
また、次に紹介される図面は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって、本発明の思想が十分に伝達されるようにするための例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下提示される図面に限定されず、他の形態で具体化されることもでき、以下提示される図面は、本発明の思想を明確にするために誇張して示されることができる。また、明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0038】
また、明細書及び添付された特許請求の範囲で使用される単数の形態は、文脈において特に断らない限り、複数の形態も含むものと意図することができる。
【0039】
本明細書において「吸湿性」は、空気または周囲の大気から水を吸収あるいは吸着する活性成分の性質を意味する。これは、吸湿物質が液体となる範囲まで水を吸収するか吸着する潮解性を含む。
【0040】
従来の吸湿剤は、吸湿性を具現しても吸湿に伴う膨張による更なる損傷が発生し、長期間使用時に吸湿性能が持続されず、使用期限が制限的であることによって、これを解決することができる新たな技術開発の必要性が台頭している。
【0041】
そこで、本発明の発明者らは、吸湿性をさらに向上させるとともに、吸湿による膨張率を著しく低減させることができ、さらには長期耐久性を確保することができる吸湿パックを見出し、本発明を完成するに至った。
【0042】
本発明を具体的に説明すると、以下の通りである。
【0043】
本発明による吸湿剤は、a)塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第1無機物、b)酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第2無機物、c)アルカリ金属リン酸塩及びd)ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス及びポリテトラフルオロエチレンワックスからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上のポリマーワックスを含む。
【0044】
本発明による前記吸湿剤は、吸湿性及び耐放出性に著しく優れるだけでなく、吸湿後に物理的な膨張を抑制して装置内に装着された時、内容物が漏れたり、制限された空間により破損したりすることを防止することができ、優れた安定性を有する。
【0045】
本発明の一態様によれば、前記第1無機物は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含むことができる。好ましくは向上した吸湿性と耐放出性を具現することから、塩化マグネシウムを含むことがさらに効果的である。
【0046】
前記第1無機物を含む場合、第2無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスとともに混合した時、吸湿性を著しく向上させることができるだけでなく、過度な吸湿による吸湿剤の液状化を防止して製品安定性の面で信頼性を確保することができる。
【0047】
本発明の一態様によれば、前記第1無機物は、吸湿剤の総重量に対して、10〜70重量%含むことができる。好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%含むことができる。前記のような含量で含む場合、安定性を確保するとともに、優れた吸湿性及び耐放出性を具現することができる。
【0048】
本発明の一態様によれば、前記第2無機物は、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含む。前記第2無機物を含む場合、第1無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスとともに混合した時、吸湿後に潮解性により液化することを防止することができる。
【0049】
具体的に、前記第2無機物は、好ましくは酸化マグネシウムであってもよく、例えば、KONOSHIMA CHEMICAL社のSTARMAG 50等が挙げられるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0050】
本発明の一態様によって、前記第2無機物は、吸湿剤の総重量に対して、5〜50重量%含むことができる。好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%含むことができる。前記のような含量で含む場合、長期間吸湿性能の持続性を確保しながらも同時に吸湿剤内の成分間の混和性を向上させ、分離現象を抑制することから、さらに効果的である。
【0051】
本発明の一態様によって、前記第2無機物は、平均粒径が1〜500μmであってもよく、好ましくは10〜400μmであってもよい。
【0052】
本発明の一態様によって、前記第2無機物は、平均粒径が1〜150μmの第2無機物aと平均粒径が200〜500μmの第2無機物bを混合したものを含むことができる。好ましくは平均粒径が1〜100μmの第2無機物aと平均粒径が200〜400μmの第2無機物bを混合したものを含むことができる。前記のように平均粒径が異なる第2無機物を含むことにより、吸湿性及び耐放出性をさらに向上させることができるだけでなく、吸湿による膨張率を画期的に低減して吸湿剤の安定性を確保することにおいてさらに効果的である。具体的な一態様として、前記第2無機物aは軽焼(light burn)であってもよく、前記第2無機物bは死焼(dead burn)であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0053】
前述の効果を画期的に向上させるために、より好ましくは前記第2無機物は第2無機物a(IO
a)及び第2無機物b(IO
b)の平均粒径の割合は0.001〜0.75:1のものであってもよい。好ましくは0.01〜0.5:1、より好ましくは0.05〜0.2:1のものであってもよい。
【0054】
本発明の一態様によって、前記アルカリ金属リン酸塩は、リチウム、ソジウム及びポタシウム等から選択されるアルカリ金属イオンを含むことができる。好ましくはソジウム金属イオンを含むアルカリ金属リン酸塩を含むことができる。具体的な例を挙げれば、前記アルカリ金属リン酸塩はモノソジウムホスフェート(monosodium phosphate)、ジソジウムホスフェート(disodium phosphate)及びトリソジウムホスフェート(trisodium phosphate)等からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0055】
前記アルカリ金属リン酸塩を含む場合、第1無機物、第2無機物及びポリマーワックスとともに混合した時、水分を吸湿することにより発生する膨張を効率よく抑制することができるだけでなく、高湿度の条件で湿度制御性能に卓越して吸湿効果を長期間具現することができる長期耐久性を確保することができる。
【0056】
本発明の一態様によって、前記アルカリ金属リン酸塩は、吸湿剤の総重量に対して、1〜30重量%含むことができる。好ましくは2〜25重量%、より好ましくは5〜25重量%含むことができる。前記のような含量で含む場合、吸湿時に膨張率をさらに向上させることができ、これにより吸湿剤が封入された吸湿パックの破損及び内容物の漏れ等を防止することから、さらに効果的である。
【0057】
本発明の一態様によって、前記ポリマーワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス及びポリテトラフルオロエチレンワックスからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含む。前記ポリマーワックスを含む場合、第1無機物、第2無機物及びアルカリ金属リン酸塩を共に混合した時、自動車ランプ内部の温度が増加するか、吸湿剤の環境温度が増加する温度変化によって高粘度の液状に変化して吸湿された水分の放出を抑制することができ、製品の吸湿率を調節する機能を並行することができる。
【0058】
本発明の一態様によって、前記ポリマーワックスは、吸湿剤の総重量に対して、1〜40重量%含むことができる。好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%含むことができる。前記のような含量で含む場合、吸湿された水分の耐放出性を向上させることができ、吸湿率及び吸湿速度も向上して優れた吸湿持続性を与えることから、さらに効果的である。
【0059】
本発明の一態様によって、前記吸湿剤は、第1無機物、第2無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスを含むことにより、向上した吸湿率だけでなく、湿度の調節が求められる環境、特に極限の多湿な条件でも卓越した湿度制御性能を具現し、持続的な吸湿性能を確保することができる。さらには、吸湿に伴う膨張による更なる損傷の発生を防止する安全性を確保することができることから、さらに効果的である。
【0060】
本発明の一態様によって、前記吸湿剤は、カルボキシル基及び水酸化基等から選択される何れか一つまたは二つ以上の官能基を有するアニオン性ポリマーをさらに含むことができる。一具体例として、アルギン酸、アルジネート、カラギナン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、澱粉、酸化澱粉、セルロース及びカルボキシルメチルセルロース等からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上のポリマー添加剤をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。また、A101、NAP701等のような凝集剤をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0061】
本発明の一態様によって、前記アニオン性ポリマーは第1無機物、第2無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスの総含量100重量部に対して、0.1〜10重量部含むことができる。好ましくは0.01〜5重量部含むことができるが、これに制限されない。前記のような含量で含む場合、本発明の目的とする吸湿性能はもちろん、吸湿後、内部物質の安定的な固化と同時に膨張抑制効率をさらに向上させることができる。
【0062】
本発明による前記吸湿剤は、特に自動車ランプに適用時、その効果の極大化を具現する。具体的に、自動車ランプ内で吸湿性能に卓越し、運転環境において吸湿された水分が再放出されない耐放出性が安定的に優れ、自動車ヘッドランプ、リアランプまたはフォグランプ等の自動車ランプ用として有用に使用されることができ、その適用範囲は制限されない。
【0063】
本発明の一態様によって、前記吸湿剤は、結露防止または水分除去等の目的を求める多様な形状の吸湿パックとして提供されることができる。具体的には、本発明の一態様によれば、前記吸湿パックは前記吸湿剤を通気性封筒、容器、袋、包装材等に含んで提供されるものであってもよい。好ましくは、前記吸湿剤は通気性包装材内に封入されるものであってもよい。
【0064】
好ましくは本発明の一態様によって、前記吸湿剤は通気性包装材内に封入された吸湿パックであってもよい。特に、前記吸湿パックは自動車ランプ用吸湿パックとして卓越している。
【0065】
本発明の一態様によって、前記通気性包装材は形状や大きさが特に制限されるものではないが、目的に応じて適宜設計が可能である。好ましくは前記吸湿パックは、通気性包装材を熱シーリング(heat−sealing)することにより、通気性包装材内に本発明による前記吸湿剤を入れて密封したものであってもよい。
【0066】
本発明の一態様によって、前記通気性包装材は、包装材の形状に対しては韓国公開特許第10−2013−0027402号、韓国公開特許第10−2012−0093059号及び日本国特開第2010−076826号等により、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に公知されたものを適切に使用することができるが、これに制限されるものではない。例えば、所望する形状に切断した二枚の包装フィルムを対向させ、対向して向かい合う二枚の包装フィルムの間に吸湿剤を位置させることができる。
【0067】
本発明の一態様によって、前記通気性包装材は断層または2層以上の積層体構造であってもよい。
【0068】
本発明の一態様によって、前記通気性包装材は、通気性フィルム層の一面または両面にシーリング層が形成された二重膜構造であってもよい。前記のように二重膜構造を有する通気性包装材内に吸湿剤を含むことにより、膨張による損傷をさらに防止することができ、吸収された水分に対する再放出をさらに防止することができる。
【0069】
本発明の一態様によって、前記通気性フィルム層は天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース系繊維、アクリル繊維及びレーヨン系繊維等から選択される何れか一つまたは二つ以上の繊維から製造されることができる。
【0070】
具体的な例を挙げれば、タイベック(Tyvek)、ポリプロピレン(PP、polypropylene)不織布、ポリエチレン(PE、polyethylene)不織布、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephalate)不織布、クラフト紙、紙及び布地等からなる群から選択された少なくとも一つ以上を含むことができ、必ずしもこれに制限されるものではない。通気性包装材に耐熱性を確保することから、タイベック(Tyvek)からなる通気性フィルム層で製造されることができる。
【0071】
本発明の一態様によって、前記シーリング層は合成ラテックス、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA、ethylene−vinyl acetate)、溶媒及び添加剤等を含むコーティング液を通気性フィルム層上に公知の方法で塗布して形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0072】
本発明の一態様によって、前記合成ラテックスは例えば、アクリルラテックス粘着剤及びアクリルラテックス樹脂等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0073】
本発明の一態様によって、前記コーティング液は、前記エチレン−ビニルアセテート共重合体を含むホットメルト接着剤であってもよく、前記エチレン−ビニルアセテート共重合体はエチレン(ethylene)とビニルアセテート(vinyl acetate)の共重合反応により生産されるポリマーである。例えば、前記エチレン−ビニルアセテート共重合体は、エチレン含有率50〜97重量%及びビニルアセテート3〜50重量%を含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0074】
本発明の一態様によって、前記添加剤は硬化剤、無機フィラー及び樹脂等から選択される何れか一つまたは二つ以上を含むことができる。具体的な例を挙げれば、前記硬化剤はアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ジシアンジアミド系硬化剤等からなる群から選択された少なくとも一つ以上であってもよい。前記無機フィラーは炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、雲母、高嶺土、黒鉛及びシリカ等からなる群から選択された少なくとも一つ以上であってもよい。前記樹脂は、テルペンフェノール樹脂、水添ロジン、石油樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂等からなる群から選択された少なくとも一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0075】
本発明の一態様によって、前記溶媒はトルエン、アセトン及びメチルエチルケトン等からなる群から選択された少なくとも一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0076】
好ましくは前記 コーティング液は、合成ラテックス15〜50重量%、エチレン−ビニルアセテート共重合体2〜10重量%、溶媒40〜80重量%及びその他の物質1〜5重量%を含むコーティング液を通気性フィルム上に公知の方法で塗布する過程を経て形成されることができ、コーティング液を塗布した後、必要に応じて公知の方法による乾燥過程も経ることができるが、これに制限されるものではない。
【0077】
本発明の一態様によって、前記シーリング層の厚さは3〜20μm、好ましくは3〜10μmであってもよい。前記範囲の厚さに形成される場合、通気性包装材の強度を向上させることができ、加工時にローラ部の汚染を防止することができ、透湿度を向上させることができる。
【0078】
本発明の一態様によって、前記吸湿パックは吸湿性に優れ、40℃、90%相対湿度の恒温恒湿条件で55日以上相対湿度60%以下を保持することができる。好ましくは40℃、90%相対湿度条件の恒温恒湿器において60日以上、より好ましくは70日以上相対湿度60%以下を保持することができる。
【0079】
本発明の一態様によって、前記吸湿パックは、30℃、80%恒温恒湿器において21日間露出して測定したときの吸湿率が100%以上のものであってもよい。具体的には100〜200%であってもよく、好ましくは140〜200%であってもよい。
【0080】
前記のように優れた吸湿特性を有することにより、長期的に吸湿性を保持することができるだけでなく、従来の吸湿剤対比、格段に増大した吸湿率を有することができる。
【0081】
本発明の一態様によって、前記吸湿パックは、30℃、80%恒温恒湿器において21日間露出して測定したときの吸湿後の膨張率が初期体積対比増加率が80%以下のものであってもよい。具体的には20〜80%であってもよく、好ましくは20〜70%であってもよく、より好ましくは20〜60%であってもよい。前記のように吸湿して水分を含有し、さらに多量の水分を吸収したにもかかわらず、著しく低い膨張率を有することは、本発明の構成成分を全て含むことにより達成できるものである。
【0082】
本発明の一態様によって、前記吸湿パックは、自動車ランプの運転環境においてより安定的に吸湿性、耐放出性及び膨張抑制効果を具現することができ、特に長期耐久性が卓越しており、自動車ヘッドランプ、リアランプまたはフォグランプ等の自動車ランプ用として有用に使用されることができる。
【0083】
本発明のまた他の態様は、前述の吸湿パックを介して自動車ランプ内の湿度を制御する方法である。例えば、本発明による前記吸湿パックを自動車ランプ内に装着し、吸湿を誘導してランプ内の湿度を制御するものであってもよく、具体的には、本発明による前記吸湿パックを自動車ランプに具備されたダストカバーに装着し、吸湿を誘導して装置内の湿度を制御することにより、結露の発生を抑制することであってもよい。
【0084】
従来の吸湿剤は初期に吸湿性能に優れ、高い初期吸湿率を有するが、時間が経つほど吸湿率が格段に減少する傾向を有する。これは、吸湿パックが吸湿性能を行いながら水分の飽和水準に近づくと、その性能が低下するためである。これにより、吸湿パックの吸湿性能期間を長期間保持させることから吸湿パックの飽和時点を遅らせることができる方案が求められる。特に、長期間持続的に吸湿性能を優れるように具現させることから重要である。
【0085】
そこで、本発明の発明者は、吸湿される水分の量を結露が発生しない水準に制限的に調節するとともに、吸湿性能の持続性を向上させることにより、装置内の湿度制御機能を長期間保持させることができる複合吸湿構造体を見出し、また他の態様の発明を完成するに至った。
【0086】
本発明のまた他の態様として、本発明は、粉末型吸湿剤を含む第1吸湿パック及びカプセル型吸湿剤を含む第2吸湿パックが内蔵された複合吸湿構造体であって、前記粉末型吸湿剤は前述の吸湿剤からなり、前記カプセル型吸湿剤は水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に前記吸湿剤と同一または異なる吸湿剤が封入されたものである複合吸湿構造体を提供する。
【0087】
具体的に、本発明は、前記複合吸湿構造体は粉末型吸湿剤を含む第1吸湿パック及びカプセル型吸湿剤を含む第2吸湿パックが内蔵された複合吸湿構造体であって、前記粉末型吸湿剤は塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第1無機物と、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第2無機物と、アルカリ金属リン酸塩と、ポリマーワックスと、を含む吸湿剤からなり、前記カプセル型吸湿剤は水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に前記吸湿剤と同一または異なる吸湿剤が封入されたものである。
【0088】
本発明による複合吸湿構造体は、粉末型吸湿剤を含む第1吸湿パック及びカプセル型吸湿剤を含む第2吸湿パックが内蔵されたものである。前記のような構成を有することにより、複合吸湿構造体のうち特に自動車ランプ内に結露を防止可能な優れた吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間持続的に高い吸湿性を具現することができる。これにより、自動車ランプの使用期限の延長及び耐久性を確保することができる。
【0089】
本発明の一態様によって、前記複合吸湿構造体は、前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックが内蔵された多様な形態の製品を意味し得る。具体的に、自動車ヘッドランプ、リアランプまたはフォグランプ等の自動車ランプに装着された形状であってもよく、包装材等により包装された吸湿パック、吸湿布等の形状であってもよく、第1吸湿パック及び第2吸湿パックを含む複合吸湿製品であってもよい。
【0090】
本発明による第1吸湿パックは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第1無機物と、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第2無機物と、アルカリ金属リン酸塩と、ポリマーワックスと、を含む吸湿剤を含む粉末型吸湿剤が内蔵されたものであってもよい。
【0091】
本発明の一態様によって、前記吸湿剤は前述の通りであるため同一の事項は省略する。
【0092】
本発明による前記第1吸湿パックは、吸湿性及び耐放出性に著しく優れるだけでなく、吸湿後、物理的膨張を抑制して第1吸湿パックが内蔵された複合吸湿構造体の内容物が漏れたり、制限された空間により破損したりすることを防止することができ、優れた安定性を有する。特に、第2吸湿パックとともに含むことにより、複合吸湿構造体内に結露を防止可能な優れた吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間の間持続的に高い吸湿性を具現することができる。
【0093】
本発明による前記複合吸湿構造体は、特に自動車ランプに適用されたものである時、運転環境において吸湿された水分が再放出されない耐放出性に安定的に優れる。これにより、自動車ヘッドランプ、リアランプまたはフォグランプ等の自動車ランプ用として有用に使用されることができ、その適用範囲は制限されない。
【0094】
本発明の一態様によって、前記第1吸湿パックは通気性包装材内に粉末型吸湿剤が内蔵されたものであってもよい。また、前記第2吸湿パックも通気性包装材内にカプセル型吸湿剤が内蔵されたものであってもよい。前記のように通気性包装材内に内蔵されることにより、水分の流出入が可能な通気性を具現しながらランプ内の水分に対する吸湿性を向上させることができる。前記通気性包装材は前述の吸湿パックに記載されている通りである。
【0095】
具体的に、一例として、前記第2吸湿パックは水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に吸湿剤を含むカプセル型吸湿剤が内蔵されたものである。前記カプセル型吸湿剤が内蔵された第2吸湿パックは第1吸湿パックと同時に使用することにより、複合吸湿構造体内に吸湿される水分の量を結露が発生しない水準に調整することができ、持続的に優れた吸湿性を具現することにより、湿度制御機能を長期間具現することができる。
【0096】
本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤は、胴体とキャップが結合された形状であるカプセル形状であって、水溶性ポリマーを含むカプセル外層及び前記カプセル外層である胴体とキャップが結合されてカプセルの内部に吸湿剤が封入されたものである。
【0097】
本発明の一態様によって、前記カプセル外層は、水分の流出入が可能な通気性を有することができる。前記通気性は、これを具現するための手段は特に制限されるものではないが、例えば、カプセル成形時に微細ピンホールが形成されて具現することができ、または自体的に微細気孔が形成されて具現することができる。
【0098】
本発明の一態様によって、前記カプセル外層は、KS K0594、塩化カルシウム法に基づいて測定したときの透湿度が40〜400g/m
2・24hr、好ましくは透湿度が50〜350g/m
2・24hr、より好ましくは60〜300g/m
2・24hrのものであってもよい。前記範囲の透湿度を満足することにより、吸湿性能の持続性をさらに向上させることができる。
【0099】
前記のように通気性を具現するために、前記カプセル型吸湿剤のカプセル外層は水溶性ポリマーを含むことができ、前記水溶性ポリマーは熱成形が可能なものであってもよい。具体的な例を挙げれば、前記水溶性ポリマーは、ゼラチン、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、これらの塩及びこれらの共重合体等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。好ましくはゼラチンを必ず含むことができる。
【0100】
この他に、前記カプセル外層は、グリセリン、ソルビトール、マルチトール等から選択される多価アルコール、アルギン酸塩、糖、デキストリン、グリセリン、アラビアゴム及び寒天等から選択される何れか一つまたは二つ以上をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0101】
本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤のカプセル外層は、表面の性質によって硬質または軟質であってもよい。好ましくは通気性を具現するために軟質のカプセル外層を有することができ、具体的に例えば、前記軟質のカプセル外層はゼラチンの他にグリセリン、ソルビトール及びマルチトール等から選択される多価アルコール、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、寒天等を含むことができるが、これに制限されるものではない。好ましくはゼラチンにグリセリン、ソルビトール、マルチトール等から選択される多価アルコールをさらに含む場合、溶解性及び吸湿による湿度制御の面で効果的である。
【0102】
一例として、前記カプセル外層は、ゼラチン100重量部に対して水30〜300重量部、グリセリン、ソルビトール及びマルチトール等から選択される多価アルコール、アラビアゴム、寒天及びポリビニルアルコール等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物を5〜50重量部含んで製造されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0103】
本発明によるカプセル型吸湿剤は、水溶性ポリマーでないポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等のような非水溶性ポリマーを含むカプセル内に封入して使用した時には吸湿性能が低いだけでなく、長期耐久性が水溶性ポリマー対比50%以上低く、持続的な使用に困難がある。
【0104】
本発明の一態様によって、前記カプセル外層はその粘度が大きく制限されるものではないが、30℃で測定したときの粘度が0.1〜1,000cP、好ましくは0.2〜500cP、より好ましくは2〜400cPのものであってもよい。
【0105】
本発明の一態様によって、前記カプセル外層は均一な厚さを有するものであってもよく、その厚さは大きく制限されるものではないが、10〜1,000μm、好ましくは100〜500μmのものであってもよい。
【0106】
本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤は、好ましくは50℃、相対湿度95%の条件で2時間の間測定したときの吸湿率が0.5〜15%のものであってもよく、好ましくは1〜12%、より好ましくは2〜10%のものであってもよい。前記範囲を満足する場合、第1吸湿パックとの組み合わせで長時間の間持続的に高い吸湿性を具現することができ、湿度制御によりランプの耐久性を確保することができる。
【0107】
本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤の内部体積は、内部に封入される吸湿剤の容量に応じて調節することができる。例えば、0.1〜20ml、好ましくは0.2〜10ml、より好ましくは0.3〜5mlのものであってもよいが、本発明が目的とする物性の具現に阻害されない範囲内では、大きく制限されるものではない。
【0108】
本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤に封入された吸湿剤は、前記粉末型吸湿剤の吸湿剤と同一または異なってもよい。前記吸湿剤は優れた吸湿性及び耐放出性を有し、第2吸湿パックの外部へ溶出されたり、第2吸湿パックを損傷させたりしない範囲で制限されずに多様な物質を使用することができる。
【0109】
好ましくは本発明の一態様によって、前記カプセル型吸湿剤は、水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に第3無機物、第4無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマー添加剤等からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物を含む吸湿剤が封入されたものであってもよい。好ましくは第3無機物、第4無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマー添加剤を全て含む吸湿剤が封入されたものであってもよい。
【0110】
本発明の一態様によって、前記第3無機物は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。好ましくは向上した吸湿性を具現することから、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムから選択される何れか一つ以上が挙げられる。前記のような第3無機物を含む場合、優れた吸湿性を具現することができる。特に、第4無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスと共に混合した時、吸湿性を著しく向上させることができるだけでなく、過度な吸湿による吸湿剤の液状化を防止して製品安定性の面で信頼性を確保することができる。
【0111】
本発明の一態様によって、前記第3無機物は吸湿剤の総重量に対して、10〜70重量%含むことができる。好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%含むことができる。前記範囲の含量で含む場合、第2吸湿パックの安定性を確保すると共に、優れた吸湿性及び耐放出性を具現することができる。
【0112】
本発明の一態様によって、前記第4無機物は酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。前記第4無機物を含む場合、優れた吸湿性及び長期的に吸湿効果を具現することができる。特に、第3無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスと共に混合した時、吸湿後、潮解性により液化することを防止することができる。
【0113】
本発明の一態様によって、前記第4無機物は、吸湿剤の総重量に対して5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%含むことができる。前記範囲の含量で含む場合、長期間吸湿性能の持続性を確保することができる。
【0114】
本発明の一態様によって、前記アルカリ金属リン酸塩は、前述した吸湿剤のアルカリ金属リン酸塩と同一であるため種類は省略する。前記のようなアルカリ金属リン酸塩を含む場合、吸湿剤内の他の成分との組み合わせで吸湿時に発生する膨張を効率よく抑制することができるだけでなく、高湿度の条件で湿度制御性能が卓越しており、長期間吸湿性能が保持できることから、効果的である。
【0115】
本発明の一態様によって、前記アルカリ金属リン酸塩は、吸湿剤の総重量に対して、1〜30重量%含むことができる。好ましくは2〜25重量%、より好ましくは5〜25重量%含むことができる。前記範囲の含量で含む場合、吸湿時に膨張率をさらに向上させることができ、優れた吸湿性を確保することができる。
【0116】
本発明の一態様によって、前記ポリマー添加剤は、ワックス類、澱粉類、セルロース類等が挙げられるが、必ずしもこれに制限されるものではない。例えば、前記ワックス類は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合であってもよい。また、前記澱粉類は、澱粉(starch)、加水分解澱粉(Hydrolyzed starch)、架橋澱粉(Cross−linked starch)等の変性澱粉(Modified Starches)等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。前記セルロース類は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びセルロースアセテート等から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってもよいが、これに制限されるものではない。前記ポリマー添加剤を含む場合、吸湿剤内の他の成分との組み合わせにより吸湿性能の上昇効果及び機械的物性を確保することができる。
【0117】
本発明の一態様によって、前記ポリマー添加剤は、本発明の目的を阻害しない範囲でポリマー凝集剤等の成分をさらに含むことができる。具体的に、2−プロペン酸ナトリウム2−プロペンアミド重合体(SODIUM 2−PROPENOATE 2−PROPENAMIDE POLYMER)が挙げられるが、これに制限されるものではない。これは、複合吸湿構造体が吸湿後、膨張時にスポンジ等のような軟質の特性を与えることができるだけでなく、吸湿後、潮解性による吸湿剤の液化を防止することができる。
【0118】
本発明の一態様によって、前記ポリマー添加剤は、吸湿剤の総重量に対して1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%含むことができる。前記範囲の含量で含む場合、吸湿率及び吸湿速度が著しく向上して優れた吸湿性能の持続性を具現することができる。
【0119】
好ましくは長期的に優れた吸湿性能を具現するために、前記カプセル型吸湿剤の吸湿剤は粉末型吸湿剤の吸湿剤と同一であってもよい。
【0120】
具体的に、吸湿剤の区分のために一例として、前記粉末型吸湿剤の吸湿剤は第1吸湿剤、カプセル型吸湿剤の吸湿剤は第2吸湿剤として表記することができる。
【0121】
本発明の一態様によって、前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは1〜5:1重量比で含むことができる。好ましくは前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは1〜4:1重量比、より好ましくは前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは2〜4:1重量比で含むことができる。前記のような割合で共に内蔵することにより、優れた吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間の間持続的に高い吸湿性を具現することができ、自動車ランプの使用期限の延長及び耐久性を確保することができる。
【0122】
本発明の一態様によって、前記複合吸湿構造体は113日間40℃、90%の恒温恒湿器において露出した時、複合吸湿構造体の相対湿度60%となる時点の時間が1,800時間以上、好ましくは2,100〜3,500時間であってもよく、より好ましくは2,300〜3,500時間であってもよい。前記のような時間は、長期間の間吸湿性能を具現可能であることを意味し、これにより湿度を効率よく制御することができ、著しく優れた耐久性を具現することができる。
【0123】
本発明の一態様によって、前記複合吸湿構造体は、結露防止または水分除去等の目的を求める多様な形状として提供されることができる。
【0124】
特に、本発明の一態様によって、前記複合吸湿構造体は、吸湿性に優れるだけでなく、粉末型吸湿剤を含む第1吸湿パック及びカプセル型吸湿剤を含む第2吸湿パックの組み合わせが内蔵されることにより、結露が発生しない水準に吸湿性能を調節することができ、このような性能を長期間持続的に保持することを確保することができる。
【0125】
すなわち、従来の吸湿剤の場合、初期吸湿性は優れるが、時間が経つにつれて吸湿される水分の量が格段に低下していたものとは異なり、本発明による複合吸湿構造体はこれを補完することにより、吸湿率に対して徐放性を有して自動車ランプ内の湿度を効率よく制御する効果を有する。
【0126】
本発明の一態様による前記複合吸湿構造体は自動車ランプ用であってもよい。
【0127】
本発明の一態様によって、前述の複合吸湿構造体は、自動車ランプ内に第1吸湿パック及び第2吸湿パックが内蔵されたものであってもよく、これにより自動車ランプの湿度を制御する方法である。例えば、具体的には本発明による前記複合吸湿構造体は、自動車ランプに具備されたダストカバーに第1吸湿パック及び第2吸湿パックが同時に装着されたものであって、吸湿を誘導して装置内の湿度を制御することにより結露の発生を抑制するものであってもよく、自動車ランプ内の吸湿を誘導してランプ内の湿度を制御するものであってもよい。
【0128】
具体的に前述した粉末型吸湿剤を含む第1吸湿パック及びカプセル型吸湿剤を含む第2吸湿パックが内蔵された自動車ランプであって、前記粉末型吸湿剤は塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第1無機物と、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の第2無機物と、アルカリ金属リン酸塩と、ポリマーワックスと、を含む吸湿剤からなり、前記カプセル型吸湿剤は、水溶性ポリマーを含むカプセルの内部に粉末型吸湿剤の吸湿剤と同一または異なる吸湿剤が封入されたものである自動車ランプを提供することができる。
【0129】
本発明の一態様によって、前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックに関する種類、含量等の内容は前述の通りであるため省略する。
【0130】
本発明の一態様によって、前記第1吸湿パックは通気性包装材内に粉末型吸湿剤が内蔵されたものであってもよい。また、前記第2吸湿パックも通気性包装材内にカプセル型吸湿剤が内蔵されたものであってもよい。前記のような第1吸湿パック及び第2吸湿パックが内蔵された複合吸湿構造体は、自動車ランプ内に吸湿パックが装着された形状である時、自動車ランプに結露が発生しない水準に吸湿性能を調節することができ、このような性能を長期間持続的に保持することができる。
【0131】
本発明の一態様による前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは1〜5:1重量比で自動車ランプに装着することができる。好ましくは前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは1〜4:1重量比、より好ましくは前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは2〜4:1重量比で自動車ランプに装着することができる。前記のような割合で共に自動車ランプに装着することにより、優れた吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間の間持続的に高い吸湿性を具現することができ、自動車ランプの使用期限の延長及び耐久性を確保することができる。
【0132】
本発明による前記自動車ランプは、高い初期吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間の間持続的に高い吸湿性を具現することができる。また、優れた吸湿性で自動車ランプ内に結露を防止することができ、自動車ランプの使用期限の延長及び耐久性を確保することができる。
【0133】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例及び比較例は、本発明をさらに詳細に説明するための一つの例示に過ぎず、本発明が下記の実施例及び比較例により制限されるものではない。
【0134】
また、他に定義されない限り、全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本願において説明に使用される用語は、単に特定の実施例を効果的に述べるためであり、本発明を制限するものとして意図されない。
【0135】
また、明細書において特に記載していない添加物の単位は重量%であり得る。
【0136】
[物性測定方法]
1.吸湿率
実施例及び比較例で製造された吸湿パックを21日間30℃、80%の恒温恒湿器において露出して吸湿率を下記の式1を用いて測定した。
【0137】
[式1]
(21日間露出した後の吸湿パックの重量−最初吸湿パックの重量)/最初吸湿パックの重量×100
【0138】
実施例及び比較例で製造された吸湿パックを113日間40℃、90%の恒温恒湿器において露出して吸湿率を下記の式2を用いて測定した。
【0139】
[式2]
(113日間露出した後の吸湿パックの重量−最初吸湿パックの重量)/最初吸湿パックの重量×100
【0140】
2.安定性
実施例及び比較例で製造された吸湿パックまたは複合吸湿構造体を21日間30℃、80%の恒温恒湿器において21日間露出して内容物の相分離、漏れ、包装紙の損傷等の製品安全性を目視で評価した。
【0141】
実施例及び比較例で製造された吸湿パックまたは複合吸湿構造体を113日間40℃、90%の恒温恒湿器において露出して内容物の相分離、漏れ、包装紙の損傷等の製品安全性を目視で評価した。
【0142】
○:内容物の相分離、内容物の漏れ及び包装紙の損傷が全くなければ、安定性に優れるものと表記する。
×:内容物の相分離、内容物の漏れ及び包装紙の損傷のうち何れか一つでも発生すれば、安定性が確保されていないものと表記する。
【0143】
3.膨張率
最初吸湿パックの体積を基準として21日間30℃、80%の恒温恒湿器に露出した後の体積増加率を測定した。
【0144】
4.耐久性
自動車ヘッドランプ内に実施例及び比較例で製造した吸湿パックを装着した後、40℃、90%の相対湿度条件でランプ内の相対湿度を測定して内部の相対湿度が60%となる時点の時間を測定した。
【0145】
[実施例1〜6及び比較例1]
下記の表1の組成によって、混合機を用いて均一に混合した吸湿剤25gを製造した。
【0146】
この時、吸湿剤の種類は、第1無機物として塩化マグネシウム(MgCl
2、Aldrich社の純度94%)、第2無機物として酸化マグネシウム(MgO−1、日本産軽焼(light burn)、粒度30μm)及び酸化マグネシウム(MgO−2、ドイツ産死焼(dead burn)、粒度220μm)の混合物を使用した。また、アルカリ金属リン酸塩(NaH
2PO
4またはKH
2PO
4、Aldrich社の純度99%)、ポリマーワックスとポリエチレンワックス(PE wax、SFC社のLH1200、軟化点109±3℃)であるものを使用した。含量は、下記の表1に記載された組成によって、混合機を用いて均一に混合してそれぞれの吸湿剤を製造した。
【0147】
また、160mm×145mmの通気性包装材2個を準備し、前記通気性包装材の間に前記製造された吸湿剤を投入した後、熱シーリング機を用いて120℃で加工して吸湿パックを製造した。
【0148】
この時、前記通気性包装材は、ホットメルトコーティング液(株式会社DAGEONGコーティング:アクリルラテックス粘着剤(透明群集体)25重量%、アクリルラテックス(樹脂)8重量%、エチレン−ビニルアセテート樹脂を含んだホットメルト接着剤8重量%、トルエン55重量%及び硬化剤4重量%)をタイベックフィルムの一面に塗布乾燥した二重膜構造(シーリング層/タイベック、シーリング層の厚さ5μm)を使用した。
【0149】
[実施例7]
吸湿剤からなる粉末型吸湿剤35gを通気性包装材に封入して第1吸湿パックを製造した。
【0150】
前記第1吸湿パックは、50℃、相対湿度90%の条件で113日間測定ときの吸湿率は104.6%のものである。
【0151】
また、吸湿剤が内蔵されたカプセル型吸湿剤15gを通気性包装材に封入して第2吸湿パックを製造した。
【0152】
この時、前記カプセル型吸湿剤は、カプセル外層がコラーゲンを熱成形して製造されたゼラチンであり、50℃、相対湿度95%の条件で2時間の間測定したときの吸湿率が12%のものであり、24時間の間測定したときの透湿度が200g/m
2のものを使用し、前記カプセルの内部体積が0.5mlのものを使用した。前記吸湿剤は前記カプセルの内部に封入した。
【0153】
前記第2吸湿パックの50℃、相対湿度90%の条件で113日間測定したときの吸湿率は89.9%である。
【0154】
この時、カプセル型吸湿剤及び粉末型吸湿剤は、実施例1の吸湿剤と同一の種類及び含量を使用した。
【0155】
前記第1吸湿パック及び第2吸湿パックは、それぞれ160mm×145mmの規格を有する通気性包装材2個を準備し、前記通気性包装材の間に前記製造された粉末型吸湿剤及びカプセル型吸湿剤をそれぞれ投入した後、熱シーリング機を用いて120℃で加工した。
【0156】
この時、前記通気性包装材は、ホットメルトコーティング液(株式会社DAGEONGコーティング:アクリルラテックス粘着剤(透明群集体))25重量%、アクリルラテックス(樹脂)8重量%、エチレン−ビニルアセテート樹脂を含むホットメルト接着剤8重量%、トルエン55重量%及び硬化剤4重量%)をタイベックフィルムの一面に塗布乾燥した二重膜構造(シーリング層/タイベック、シーリング層の厚さ5μm)を使用した。
【0157】
[実施例8]
前記実施例7において吸湿剤の構成成分の含量を実施例2と同様にして第1及び第2吸湿パックを製造した。
【0158】
[実施例9]
前記実施例7において吸湿剤の構成成分の含量を実施例3と同様にして第1及び第2吸湿パックを製造した。
【0159】
[実施例10]
前記実施例7において吸湿剤の構成成分の含量を実施例4と同様にして第1及び第2吸湿パックを製造した。
【0160】
[実施例11]
前記実施例7において吸湿剤の構成成分の含量を実施例5と同様にして第1及び第2吸湿パックを製造した。
【0161】
実施例1〜6及び比較例1による吸湿パックの物性を
図1に示したように自動車ヘッドランプに具備されたダストカバー(Dust Cover)に装着して恒温恒湿器内で吸湿率、内容物の安定性、耐放出性、膨張率及び長期耐久性を前記記載された方法により測定した。
【0162】
実施例7〜11による第1吸湿パック及び第2吸湿パックを、下記の
図1に示されたように自動車ヘッドランプに具備されたダストカバー(Dust Cover)に装着して恒温恒湿器内で内容物の安定性及び長期耐久性を前記記載された方法により測定した結果を下記の表3に記載した。
【0165】
前記表2に示したように、本発明による実施例で製造された吸湿パックの場合、比較例1対比著しく優れた吸湿率を有するだけでなく、吸湿後、著しく低い膨張率を有することにより、吸湿による膨張抑制力が画期的に向上したことを確認することができた。
【0166】
具体的に、
図2を参考すれば、実施例1は比較例1対比61.8%向上した吸湿率及び51.4%向上した膨張率により、これをさらに明確に確認することができる。また、長期的に吸湿効果を確認した時、
図3に示されたように、相対湿度60%以下を保持する時間が比較例1の場合、急激に湿度が増加しながら38日となった時に相対湿度60%を超過したが、これと異なって、実施例1及び2の場合55日以上が過ぎても相対湿度60%以下を保持することを確認することができ、これにより、長期的に優れた耐久性を有することを確認することができた。
【0167】
さらに、これは
図4及び
図5に示されたように吸湿剤の結晶構造から確認すると、
図4に示されたものは、実施例1で製造された吸湿剤を
図5に示された比較例1で製造された吸湿剤と比較した時、実施例1で製造された吸湿剤は結晶の間隔が稠密になっていることにより、さらに向上した吸湿性能を有することができ、稠密な構造にもかかわらず、吸湿による体積膨張を抑制することができる卓越した効果を具現することを確認することができた。
【0169】
前記表3に示したように、本発明による実施例において、実施例1〜5で製造された吸湿パックと同一の第1吸湿パックにカプセル型吸湿剤が内蔵された第2吸湿パックと共に含む複合吸湿構造体は初期吸湿率も優れ、自動車ランプ内に装着したとき、湿度制御ができることを試験した結果、著しく向上した湿度制御能力でランプ内の湿度制御を長期間持続的に保持可能であることを確認することができた。
【0170】
すなわち、本発明による実施例7〜11の場合は、第1吸湿パック及び第2吸湿パックの組み合わせで具備することにより、装置内の水分を吸湿する程度がランプに結露が発生しない水準の吸湿率を有しながらも、このような吸湿性能を長期間持続的に保持することを確認することができた。これにより、本発明による複合吸湿構造体は、結露が発生しない吸湿性を具現することができるだけでなく、長期間高い吸湿性を持続的に具現することにより、自動車ランプの使用期限の延長及び耐久性を確保可能であることを確認することができた。
【0171】
以上のように、本発明では、特定された事項と限定された実施例を通じて長期耐久性が良好な自動車ランプ用吸湿パックが説明されたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、かかる記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0172】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的変形のある全てのものは、本発明思想の範疇に属すると言える。
【解決手段】本発明は、第1無機物、第2無機物、アルカリ金属リン酸塩及びポリマーワックスを含む吸湿剤が封入された自動車ランプ用吸湿パックに関するものである。また、本発明は、カプセル型吸湿剤を含む第1吸湿パック及び粉末型吸湿剤を含む第2吸湿パックが内蔵された複合吸湿構造体に関するものである。