【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明のタービンケーシング用の保温装置は、
タービンケーシング本体の表面に設置される保温ブロックと、前記保温ブロックの厚み方向に貫通可能な固定棒と、前記タービンケーシング本体の表面に固定されるソケットと、を備える。前記保温ブロックは、所定の位置に挿通孔が形成された袋体と、前記袋体内に充填された無機繊維と、を有する。前記固定棒は、前記挿通孔から前記保温ブロックに入れられ、前記保温ブロックを厚み方向に貫通する棒状の本体部と、前記本体部の第一端に形成され、棒状の前記本体部に対する径方向外側に突出した一対の突起を含む係合部と、を有する。前記ソケットは、ソケット軸線を中心として、中空円筒状を成し、ソケット軸線が延びる軸線方向の第1側の端が開放端を成す。前記ソケットは、前記ソケットの内周面から外周側に凹み、前記突起が入れるように形成された第1の案内溝と、第2の案内溝と、凹設溝を有する。前記第1の案内溝は、前記開放端中の第1の始端と、第1の終端とを有し、前記第1の始端から前記第1の終端まで軸線方向に延びる。前記第2の案内溝は、前記第1の終端につながる第2の始端と、第2の終端とを有し、前記第2の始端から前記第2の終端まで前記ソケット軸線に対する周方向に延びる。前記凹設溝は、前記第2の終端につながり、前記第2の終端から前記軸線方向に延びる。
【0015】
本態様は、所定の位置に挿通孔が形成された袋体内に無機繊維を充填してなり、タービンケーシング本体の表面に設置される保温ブロックを備える。これにより、タービンケーシング本体からの熱放散を無機繊維により効率的に防止することができる。よって、本態様によれば、タービンケーシング本体の保温性能を高めることができる。
【0016】
本態様は、一対の突起を含む係合部を有する固定棒を備える。これにより、この固定棒を挿通孔から保護ブロック内に挿入し、固定棒とソケットとを係合させることで、保温ブロックをタービンケーシング本体の表面に対して強固に固定することができる。
【0017】
本態様のソケットの内周面には、開放端中の第1の始端から第1の終端まで軸線方向に延びる第1の案内溝が形成されている。これにより、固定棒の突起を第1の始端から第1の案内溝に入れて、第1の始端から第1の終端まで移動させることで、この突起を軸線方向に案内することができる。
【0018】
本態様のソケットの内周面には、第2の始端が第1の終端につながり、第2の始端から第2の終端まで周方向に延びる第2の案内溝が形成されている。これにより、第1の案内溝内の突起を第2の始端から第2の案内溝に入れて、突起を第2の始端から第2の終端まで移動させることで、この突起を周方向に案内することができる。
【0019】
本態様のソケットの内周面には、第2の終端につながり、軸線方向に延びる凹設溝が形成されている。これにより、第2の案内溝の突起を凹設溝に入れ、軸線方向に移動させることで、凹設溝に固定棒の突起を係合する。よって、本態様では、固定棒をソケットに対してロックすることができ、固定棒とソケットが強固に固定される。
【0020】
本態様では、ソケットがタービンケーシング本体の表面に配設されている。これにより、保温ブロックをタービンケーシング本体の表面に設置する際には、ソケットを目印として設置することができる。よって、本態様では、保温ブロックのタービンケーシング本体への位置決めが容易になる。
【0021】
また、凹設溝が第2の終端から軸線方向におけるタービンケーシング本体側に延びている場合には、固定棒をタービンケーシング本体側への押操作という簡単な操作により、突起を凹設溝に係合させて、固定棒をソケットに対してロックさせることができる。
【0022】
また、凹設溝が第2の終端から軸線方向におけるソケットの開放端側に延びている場合には、固定棒を開放端側への引操作という簡単な操作により、突起を凹設溝に係合させて、固定棒をソケットに対してロックさせることができる。
【0023】
ここで、以上の態様において、固定棒の本体部に挿通可能であり、保温ブロックをタービンケーシング本体側に押圧するフランジを有してもよい。この態様では、固定棒をタービンケーシング用の保温ブロックに挿通した状態において、フランジを保温ブロックの表面から押圧することができるため、保温ブロックのタービンケーシング本体への固定が強固になる。
【0024】
フランジを有する態様において、固定棒の本体部には雄ネジが形成され、フランジを本体部の所定の位置で固定するナットが本体部に捩じ込まれていてもよい。この態様では、ナットにより、フランジの移動を規制することができるため、保温ブロックのタービンケーシング本体への固定が強固になる。
【0025】
以上のいずれかの態様において、前記保温ブロックは、前記タービンケーシング本体の表面を被覆する第1の保温ブロックと、前記第1の保温ブロックの厚み方向に板状の補強部材を介して積層された第2の保温ブロックと、を有してもよい。前記第1の保温ブロックは、所定の位置に挿通孔が形成された第1の袋体と、前記第1の袋体内に充填された無機繊維と、を有する。前記第2の保温ブロックは、所定の位置に挿通孔が形成された第2の袋体と、前記第2の袋体内に充填された無機繊維と、を有する。この態様では、第1の保温ブロックと第2の保温ブロックにおいて無機繊維としての材質を変更する等、多様な使用方法が可能となる。例えば、タービンケーシング本体の表面を被覆する第1の保温ブロックを構成する第1の無機繊維として、保温効果の高い生体溶解性繊維を使用する一方で、第2の保温ブロックを構成する第2の無機繊維として、保温効果は劣るものの原材料費が安いロックウールを使用することで、保温性とコストのバランスを保つことができる。
【0026】
また、第1の保温ブロックと第2の保温ブロックが板状の補強部材を介して積層されている場合には、第1の保温ブロックと第2の保温ブロックの剪断変形を防止し、積層状態を長期にわたって保持することができる。
【0027】
また、前記第1の袋体内に前記無機繊維として生体溶解性繊維が充填されている場合には、保温性をより一層高めることができる。
【0028】
また、前記第2の袋体内に前記無機繊維としてロックウールが充填されている場合には、保温性を保持することができるとともに、原材料コストを低額に抑えることができる。
【0029】
また、補強部材は、エキスパンドメタル、またはパンチングメタルである場合には、第1の保温ブロックと第2の保温ブロックの剪段変形を確実に防止することができる。
【0030】
前記の目的を達成するために、本発明のタービンケーシング用の保温ブロックの固定器具は、
固定棒と、ソケット軸線を中心として、中空円筒状を成し、ソケット軸線が延びる軸線方向の第1側の端が開放端を成すソケットと、を備える。前記固定棒は、棒状を成し、雄ネジが形成されている本体部と、前記本体部の第一端に形成され、棒状の前記本体部に対する径方向外側に突出した一対の突起を含む係合部と、前記本体部に挿通可能なフランジと、前記フランジを前記本体部の所定の位置で固定するために前記本体部に捩じ込まれているナットと、を有する。前記ソケットは、前記ソケットの内周面から外周側に凹み、前記突起が入れるように形成された第1の案内溝と、第2の案内溝と、凹設溝を有する。前記第1の案内溝は、前記開放端中の第1の始端と、第1の終端とを有し、前記第1の始端から前記第1の終端まで軸線方向に延びる。前記第2の案内溝は、前記第1の終端につながる第2の始端と、第2の終端とを有し、前記第2の始端から前記第2の終端まで前記ソケット軸線に対する周方向に延びる。前記凹設溝は、前記第2の終端につながり、前記第2の終端から前記軸線方向に延びる。
【0031】
本態様は、一対の突起を含む係合部を有する固定棒を備える。これにより、この固定棒と、後述するソケットを離脱不能となるように係合させることができる。
【0032】
本態様は、固定棒の本体部に挿通可能なフランジ、および本体部に形成された雄ネジに螺合可能なナットを有する。これにより、例えば、固定棒をタービンケーシング用の保温ブロックに挿通した状態において、フランジを保温ブロックの表面から押圧することができるとともに、フランジを固定棒における所定の位置で固定することができる。よって、本態様では、保温ブロックのタービンケーシング本体への取り付けを強固なものとすることができる。
【0033】
本態様のソケットの内周面には、開放端中の第1の始端から第1の終端まで軸線方向に延びる第1の案内溝が形成されている。これにより、固定棒の突起を第1の始端から第1の案内溝に入れて、第1の始端から第1の終端まで移動させることで、この突起を軸線方向に案内することができる。
【0034】
本態様のソケットの内周面には、第2の始端が第1の終端につながり、第2の始端から第2の終端まで周方向に延びる第2の案内溝が形成されている。これにより、第1の案内溝内の突起を第2の始端から第2の案内溝に入れて、突起を第2の始端から第2の終端まで移動させることで、この突起を周方向に案内することができる。
【0035】
本態様のソケットの内周面には、第2の終端につながり、軸線方向に延びる凹設溝が形成されている。これにより、第2の案内溝の突起を凹設溝に入れ、軸線方向に移動させることで、凹設溝に固定棒の突起を係合する。よって、本態様では、固定棒をソケットに対してロックすることができ、固定棒とソケットが強固に固定される。
【0036】
前記の目的を達成するために、本発明のタービンケーシング用の保温ブロックの固定方法は、
保温ブロックをタービンケーシング本体に設置する設置工程と、前記タービンケーシング本体の表面に配設され、ソケット軸線を中心として、中空円筒状を成し、ソケット軸線が延びる軸線方向の第1側の端が開放端を成すソケットに対して、前記保温ブロックの位置を調整する位置調整工程と、係合部を有する固定棒を前記保温ブロックに貫通させる貫通工程と、前記係合部が前記ソケット内に収まるよう、前記固定棒を押操作する押操作工程と、前記固定棒を前記ソケット軸線に対する周方向に回転操作する回転操作工程と、前記係合部を前記ソケットに係合させる係合工程と、を実行する。前記保温ブロックは、所定の位置に挿通孔が形成された袋体と、前記袋体内に充填された無機繊維と、を有すると共に、一面側から他面側にかけて厚みを有する。前記固定棒は、棒状の本体部と、前記本体部の第一端に形成され、棒状の前記本体部に対する径方向外側に突出した一対の突起を含む前記係合部と、を有する。前記ソケットは、前記ソケットの内周面から外周側に凹み、前記突起が入れるように形成された第1の案内溝と、第2の案内溝と、凹設溝を有する。前記第1の案内溝は、前記開放端中の第1の始端と、第1の終端とを有し、前記第1の始端から前記第1の終端まで軸線方向に延びる。前記第2の案内溝は、前記第1の終端につながる第2の始端と、第2の終端とを有し、前記第2の始端から前記第2の終端まで前記ソケット軸線に対する周方向に延びる。前記凹設溝は、前記第2の終端につながり、前記第2の終端から前記軸線方向に延びる。前記設置工程では、前記保温ブロックの前記他面側を前記タービンケーシング本体の表面に接触させる。前記位置調整工程では、前記ソケットが、前記保温ブロックの前記他面側の所定の位置に形成された挿通孔に嵌合するように、前記保温ブロックの位置を調整する。前記押操作工程では、前記第1の案内溝の前記第1の始端から前記第1の案内溝内に前記突起を入れ、前記第1の案内溝の前記第1の終端まで前記固定棒を押操作する。前記回転操作工程では、前記第1の案内溝内の前記突起を前記第2の案内溝の前記第2の始端から前記第2の案内溝内に入れ、前記第2の案内溝の前記第2の終端まで前記固定棒を前記周方向に回転操作する。前記係合工程では、前記第2の案内溝内の前記突起を前記凹設溝に入れる。
【0037】
本態様では、設置工程を実行する。これにより、保温ブロックをタービンケーシング本体の表面に設置することができる。
【0038】
本態様では、位置調整工程を実行する。これにより、保温ブロックを適切な位置に位置調整することができる。
【0039】
本態様では、貫通工程を実行する。これにより、固定棒を保温ブロック内に貫通させることができる。このとき、ソケットに対して保温ブロックの挿通孔が位置調整されているため、保温ブロック内を貫通した固定棒の係合部は、ソケットの開放端からソケット内に入り、固定棒を仮固定することができる。
【0040】
本態様では、押操作工程を実行する。これにより、押操作という簡単な操作により、固定棒の突起をソケット内で軸線方向に案内することができる。
【0041】
本態様では、回転操作工程を実行する。これにより、回転操作という簡単な操作により、固定棒の突起をソケット内で周方向に案内することができる。
【0042】
本態様では、係合工程を実行する。これにより、第2の案内溝の第2の終端位置から凹設溝に固定棒の突起を入れることで、固定棒をソケットに対してロックすることができるため、固定棒とソケットが強固に固定される。
【0043】
また、係合工程が第2の終端から固定棒を押操作する押操作工程を含む場合には、押操作という簡単な操作により、凹設溝に固定棒の突起を入れることで、固定棒をソケットに対してロックすることができるため、固定棒とソケットが強固に固定される。
【0044】
また、係合工程が第2の終端から固定棒を引操作する引操作工程を含む場合には、引操作という簡単な操作により、凹設溝に固定棒の突起を入れることで、固定棒をソケットに対してロックすることができるため、固定棒とソケットが強固に固定される。