特許第6739098号(P6739098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739098
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A63F7/02 316Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-160291(P2016-160291)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-27194(P2018-27194A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠紀
【審査官】 辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−307157(JP,A)
【文献】 特開2005−125042(JP,A)
【文献】 特開2005−111125(JP,A)
【文献】 特開2000−051449(JP,A)
【文献】 特開平10−179874(JP,A)
【文献】 特開平05−228248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設けられ、遊技球が通過する通過口を開閉するユニットを備えた遊技機において、
前記ユニットは、
前記通過口に対して進退可能に設けられ、前記通過口を開閉するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を前記通過口側に常時付勢する付勢手段と、
前記通過口を前記遊技球が通過する方向に対して平行に延びる出力軸を有するモータと、
前記出力軸に設けられた第一ギアと、
前記第一ギアと前記シャッタ部材の間に設けられ、前記出力軸と平行に延びる支軸と、
前記支軸を中心に回転可能に設けられ、前記第一ギアと直接又は間接的に噛合する第二ギアと、
前記第二ギアより径方向外側に向けて突設され、前記モータの駆動に伴い、その駆動力が前記出力軸及び前記第一ギアを介して伝達されることで前記第二ギアが回転する場合に、前記シャッタ部材に設けられた被当接部に当接し、それを前記付勢手段の付勢力に抗して前記通過口側とは反対側に押し込み、前記シャッタ部材を前記通過口を開放する所定位置まで移動させた後に当接状態から離脱する当接部と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通過口は上方に向かって開口し、
前記シャッタ部材は、前記通過口に対して後方から前方に向かって進退可能に設けられ、
前記出力軸及び前記支軸は、前記シャッタ部材に対して横方向に並んで配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記当接部は、前記第二ギアの径方向外側に向かって凸となる円弧面を備えたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ユニットは、
前記通過口と、
前記通過口を通過した前記遊技球が流下する流路と、
前記流路を流下した前記遊技球が入賞する入賞口と
を備えたこと
を特徴とする請求項1から3の何れかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入賞口を開閉する開閉部材と、該開閉部材を開閉動作させるステッピングモータと、該ステッピングモータを駆動制御する制御部とを備えた遊技機(例えば、特許文献1参照)が知られている。この遊技機では、ステッピングモータは駆動軸が水平方向となるように遊技盤に取り付けられ、該駆動軸と開閉部材との間には複数の平歯車が設けられている。それ故、駆動軸の回転力は複数枚の平歯車を介して開閉部材に伝達され、開閉部材が回動することによって入賞口が開閉される。制御部は、入賞口における球詰まりを防止する為、開閉部材を全開手前の所定角度位置に停止させて開放状態を形成し、閉塞する際には該所定角度位置から更に開放させてから閉塞位置に向かわせるように、ステッピングモータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−5775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記制御は、ステッピングモータに負荷がかかるので、開閉部材を長期間安定して動作させる為には、機械構造のみで球詰まりを解消できる入賞口ユニットの開発が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、遊技球の通過口を開閉するシャッタ部材を長期間安定して駆動できると共に、通過口における球詰まりを防止できる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る遊技機は、遊技盤に設けられ、遊技球が通過する通過口を開閉するユニットを備えた遊技機において、前記ユニットは、前記通過口に対して進退可能に設けられ、前記通過口を開閉するシャッタ部材と、前記シャッタ部材を前記通過口側に常時付勢する付勢手段と、前記通過口を前記遊技球が通過する方向に対して平行に延びる出力軸を有するモータと、前記出力軸に設けられた第一ギアと、前記第一ギアと前記シャッタ部材の間に設けられ、前記出力軸と平行に延びる支軸と、前記支軸を中心に回転可能に設けられ、前記第一ギアと直接又は間接的に噛合する第二ギアと、前記第二ギアより径方向外側に向けて突設され、前記モータの駆動に伴い、その駆動力が前記出力軸及び前記第一ギアを介して伝達されることで前記第二ギアが回転する場合に、前記シャッタ部材に設けられた被当接部に当接し、それを前記付勢手段の付勢力に抗して前記通過口側とは反対側に押し込み、前記シャッタ部材を前記通過口を開放する所定位置まで移動させた後に当接状態から離脱する当接部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本態様の遊技機は、遊技球が通過する通過口を開閉するシャッタ部材の動作について、シャッタ部材を開くときはモータの動力、閉じるときは付勢手段の付勢力を利用する。これによって、仮に通過口に遊技球がシャッタ部材に挟み込まれる球詰まりを生じた場合であっても、遊技球に外部衝撃が加えられることによって、シャッタ部材が付勢手段の付勢力に抗して押し開かれるので、遊技球は通過口を通過できる。また、付勢手段の付勢力を、シャッタ部材が遊技球を挟み込むことができない程度に調節することで、通過口における球詰まりの発生を未然に防止できる。さらに、本態様は、通過口を一定の周期で開閉するシャッタ部材の動作について、発熱し易いソレノイドを使わずに、モータを使うことによって、シャッタ部材の長期間の安定した駆動が可能となる。また、ソレノイドは駆動可能な回数が概ね決まっており、その回数を超えると故障して使用できなく可能性もあるが、本態様は、モータを使うことで、シャッタ部材の長期間の安定した常時駆動が可能となる。
【0008】
前記通過口は上方に向かって開口し、前記シャッタ部材は、前記通過口に対して後方から前方に向かって進退可能に設けられ、前記出力軸及び前記支軸は、前記シャッタ部材に対して横方向に並んで配置されていてもよい。この場合、本態様の遊技機では、シャッタ部材に対して支軸と出力軸が横方向に並んで配置されているので、モータの動力がシャッタ部材に向かって横方向に順次伝達される構造にできる。これにより、ユニットが上下方向に大きくならず、コンパクトな構成にできる。
【0009】
前記当接部は、前記第二ギアの径方向外側に向かって凸となる円弧面を備えてもよい。この場合、本態様の遊技機は、当接部が円弧面になっているので、長期間の使用により、被当接部と当接部が互いに接触することによって生じる摩耗を軽減できる。
【0010】
前記ユニットは、前記通過口と、前記通過口を通過した前記遊技球が流下する流路と、前記流路を流下した前記遊技球が入賞する入賞口とを備えてもよい。この場合、本態様の遊技機は、入賞口を備えたユニットを提供できる。
【0011】
本発明は、請求項1〜4に記載された各構成を任意に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】入賞口ユニット30の正面図である。
図4】入賞口ユニット30の正面図(化粧板32に隠れた部分を点線で図示)である。
図5】入賞口ユニット30の右側面図である。
図6】入賞口ユニット30の平面図(シャッタ92閉塞時)である。
図7】入賞口ユニット30の平面図(シャッタ92開放時)である。
図8】ユニット本体部31の正面図である。
図9】シャッタ機構部60の正面図である。
図10】シャッタ機構部60の分解斜視図である。
図11】シャッタ機構部60の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
【0014】
図1図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成を説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、正面視で上下方向に長い矩形状の枠体である外枠10を有する。外枠10の内側には、本体枠11がその左端縁を軸として前方から片開き自在に取り付けられている。本体枠11の前面側における上半分の部分に遊技盤2が設けられている。
【0015】
遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠12によって前面を保護されている。前面枠12は、本体枠11の前面側に対して、その左端縁を軸として前方からら片開き自在に取り付けられている。本体枠11における遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置(図示略)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置によって遊技球が発射される。前面枠12の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。スピーカ48は、BGM等の曲、遊技演出に登場するキャラクタのセリフ等の音声、各種の効果音を出力することで、各種の演出を実行する。
【0016】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。センター飾り8は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の略中央に配置されている。表示画面28は、例えばLCD等によって構成され、様々な映像を表示可能である。本実施形態では、表示画面28は、大当り判定の結果を報知する演出図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(例えば3つ)の演出図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
【0017】
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、普通図柄作動ゲート13が設けられている。普通図柄作動ゲート13の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15及び大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球20は、開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15及び大入賞口17の夫々に入賞できる。第二始動口15の左斜め下方には、入賞口ユニット30が取り付けられている。入賞口ユニット30には、通過口16、シャッタ92、流路54、第三始動口46が設けられている。入賞口ユニット30は、後述するモータ101を駆動源とし、パチンコ機1の電源がオンしている状態では、シャッタ92を通過口16に対して前後方向に一定周期で出退させることによって、通過口16を開閉する。遊技球20はシャッタ92が開放された場合にのみ、通過口16を通過できる。通過口16を通過した遊技球20は、流路54を流下し、そのほぼ全てが第三始動口46に入賞するようになっている。
【0018】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。
【0019】
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり及びはずれのいずれであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において大当たりであると判定されると、大入賞口17の開閉部材が開放される大当たり遊技が実行される。大入賞口17の内部には、特定の領域が設けられている。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球20が特定の領域を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。確率変動状態とは、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率が通常よりも高くなる状態である。
【0020】
普通図柄作動ゲート13を遊技球20が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が開放される。第二始動口15又は入賞口ユニット30の第三始動口46へ遊技球が入賞すると、第二大当り判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、上記と同様の大当たり遊技が実行される。
【0021】
図3図9を参照し、入賞口ユニット30の構造を説明する。入賞口ユニット30は、通過口16をシャッタ92によって一定周期で開閉し、該通過口16を通過した遊技球20のほぼ全てを第三始動口46に入賞させる装置である。入賞口ユニット30は、ユニット本体部31、化粧板32、シャッタ機構部60等を備える。ユニット本体部31は、その前面側に、通過口16、流路54、第三始動口46等を備える。化粧板32は、ユニット本体部31の前面側にネジで固定されている。シャッタ機構部60は、ユニット本体部31の背面上部にネジ68(図6参照)で固定されている。シャッタ機構部60は、通過口16側に対して、シャッタ92を前後方向に出退させることによって、通過口16を一定周期で開閉する。
【0022】
先ず、ユニット本体部31の構造を説明する。図8に示すように、ユニット本体部31は、板部材310を備える。板部材310は面方向を前後方向に有し、例えば透明の樹脂部材で形成される。板部材310は、下側部311と上側部312を備える。下側部311は、板部材310の例えば下側約3/4を占める部分であり、正面視略多角形状に形成されている。上側部312は、板部材310の残りの上側約1/4を占める部分であり、正面視略三角形状に形成されている。
【0023】
下側部311の前面において、右上部には、第一リブ構造体41が前方に突出して設けられている。第一リブ構造体41は、正面視略逆L字の略筒状に形成されている。その第一リブ構造体41の左方には、第一リブ構造体41よりも小さい第二リブ構造体42が前方に突出して設けられている。第二リブ構造体42は、正面視略L字の略筒状に形成されている。更にその第二リブ構造体42の下方には、第二リブ構造体42よりも更に小さい第三リブ構造体43が前方に突出して設けられている。第三リブ構造体43は、正面視略矩形の略筒状に形成されている。
【0024】
第一リブ構造体41の上部には、水平面に対して右方から左方に向かってやや傾斜する平面部411が形成されている。平面部411は、平面視左右方向に延びる略矩形状に形成され(図6参照)、遊技球20が通過する通路を構成する。第一リブ構造体41の左側上部には、湾曲部412が形成されている。湾曲部412は、右側に向かって凹となるように略逆L字状に湾曲して形成されている。他方、第二リブ構造体42の上部には、平面部411と同方向に傾斜し、且つ平面部411よりも左右方向の長さが短い平面部421が形成されている。平面部421も、平面視左右方向に延びる略矩形状に形成され(図6参照)、遊技球20が通過する通路を構成する。第二リブ構造体42の右側部には、湾曲部422が形成されている。湾曲部422は、湾曲部412と対向し、且つ左側に向かって凹となるように略L字状に湾曲して形成されている。
【0025】
第一リブ構造体41に囲まれる内側領域において、右上部と右下部には、固定穴45が夫々設けられている。第二リブ構造体42に囲まれる内側領域の上部にも、固定穴45が設けられている。第三リブ構造体43に囲まれる内側領域にも、固定穴45が設けられている。これら固定穴45には、板部材310の背面側からネジ(図示略)が挿入され、板部材310の前側に位置決めされる化粧板32の3つの固定穴45(図4参照)に夫々締結される。
【0026】
第一リブ構造体41と第二リブ構造体42において、平面部411の左端部と、平面部421の右端部との間には、遊技球20が通過可能な通過口16が形成されている(図6図8参照)。通過口16は上方に向けて開口する。図8に示すように、湾曲部412と421の間には、流路54が形成されている。流路54はクランク状に形成され、具体的には、通過口16から下方に延びた後、正面視略L字状に右方に屈曲し、更に下方に屈曲して形成されている。流路54は、通過口16を通過した遊技球20を流下させる。流路54の下端部の下方には、前後方向に貫通する第三始動口46が設けられている。第三始動口46は正面視略円形状に形成され、遊技球20を入賞可能である。
【0027】
第三始動口46の内縁部における下側略半分の部位に沿って、略半筒状の受け部47が前方に突出して設けられている。受け部47の前端部の位置は、第一リブ構造体41及び第二リブ構造体42の夫々の前端部の位置と同一である。それ故、流路54を流下した遊技球20を受けることができる。そのような受け部47の内面(凹状に湾曲する上面)のうち前後方向に延びる最底部に沿って側面視略三角形状のリブ47Aが立設されている。リブ47Aの上端面は、前方から第三始動口46に向かって下り傾斜している。更に、受け部47の上方に向かって湾曲して延びる右端部と、第一リブ構造体41との間には、隙間49が設けられている。受け部47の上方に向かって湾曲して延びる左端部と、第二リブ構造体42との間にも、隙間50が設けられている。これら隙間49,50は左右方向において互いに対向し、少なくとも遊技球1つ分の径を空けて形成されている。
【0028】
下側部311において、通過口16の直上に対応する部分には、正面視略矩形状のシャッタ用開口53が設けられている。そのシャッタ用開口53を介して、シャッタ機構部60のシャッタ92が前後方向に出退し、通過口16を開閉するようになっている(図6図7参照)。
【0029】
図8に示すように、上側部312の前面において、第一リブ構造体41の平面部411の近傍で、且つ平面部411の長さ方向において所定間隔毎に3本のリブ56が設けられている。リブ56は、上下方向に延び且つ前方に突出して形成されている(図5図8参照)。上側部312の頂上部と左下角部には、固定穴58が夫々設けられている。下側部311の左下角部と右側部にも、固定穴58が夫々設けられている。これら固定穴58には、前方からネジ(図示略)が挿入され、遊技盤2に設けられた固定穴(図示略)に締結することによって、板部材310が遊技盤2に固定される。
【0030】
上側部312の背面において、3本の略筒状の固定台部381〜383が後方に突出して設けられている(図5図6参照)。固定台部381は上側部312の中央部よりやや右側、固定台部382は上側部312の右側、固定台部383は上側部312の左側、に夫々設けられている。これら固定台部381〜383には、シャッタ機構部60の後述する固定片部85と、一対の固定片部79が夫々当接してネジ68で固定される。
【0031】
下側部311の背面側には、カバー120がネジ(図示略)で固定されている(図5参照)。カバー120は前面側が開放された略直方体状に形成され、例えば透明な樹脂部材で形成される。カバー120の背面であって、ユニット本体部31の板部材310に設けられた第三始動口46に対向する位置には、第三始動口46と同形状の球出口(図示略)が設けられ、第三始動口46と球出口との間には、受け部47に対して後方に連続する略半筒状の受け部(図示略)が架け渡されている。
【0032】
図8に示すように、上記構造を備えるユニット本体部31において、例えば遊技球20が平面部411を左方に通過し、通過口16に落下すると、流路54を流下し、受け部47の内側に設けられたリブ47Aの上端面に落下する。リブ47Aの上端面は後方に向かって下り傾斜しているので、遊技球20はリブ47Aの上端面に沿って後方に流れ、第三始動口46を通過する。第三始動口46を通過した遊技球20は、カバー120に設けられた受け部を後方に流れ、球出口から後方に排出されるようになっている。
【0033】
次に、化粧板32の構造を説明する。図3に示すように、化粧板32は、例えば透明な樹脂部材で形成され、正面視多角形状に形成されている。図4に示すように、化粧板32の背面側において、ユニット本体部31の下側部311に設けられた4つの固定穴45に夫々対応する位置には、後方に突出する4本の略円筒状の固定筒部35が設けられている。各固定穴45に対して、ユニット本体部31の背面側からネジ(図示略)が挿入され、化粧板32に設けられた各固定筒部35の軸穴(図示略)に締結することによって、化粧板32がユニット本体部31の前面側に固定される。化粧板32は、ユニット本体部31の前面側において、下側部311と、上側部312の下側の一部とに対して、夫々の前側を覆い隠す。遊技者は、透明な化粧板32を介して、ユニット本体部31の前面側に設けられた通過口16、流路54、第三始動口46等を容易に確認できる(図4参照)。
【0034】
図4図6に示すように、化粧板32の背面側であって、ユニット本体部31の上側部312に設けられた3本のリブ56の夫々の間に対応する位置には、2本のリブ36が設けられている。リブ36は、リブ56と同様に上下方向に延び、且つ後方に突出して形成されている(図5参照)。3本のリブ56と、2本のリブ36は、平面部411の長さ方向において左右方向に互い違いになるように配置されている(図6参照)。これにより、遊技球20が通過口16に向けて平面部411を右方から左方に勢いよく通過する際、リブ56,36に衝突することによって、遊技球20の勢いを弱めて減速させることができる。よって、ユニット本体部31は、平面部411を通過する遊技球20を、通過口16に確実に落下させることができる。
【0035】
次に、シャッタ機構部60の構造を説明する。図5図6に示すように、シャッタ機構部60は、ユニット本体部31の板部材310の背面上部に3本のネジ68(図6参照)で固定されている。図10に示すように、シャッタ機構部60は、筐体70、ギア87、付勢ギア88、シャッタ部材90、バネ97、モータ101、センサユニット110等を備える。
【0036】
先ず、筐体70について説明する。筐体70は、浅底の略直方体状に形成され、下ケース71と上ケース72を備える。下ケース71は筐体70の下側、上ケース72は筐体70の上側に位置する。下ケース71と上ケース72は、例えば透明の樹脂部材で形成される。
【0037】
下ケース71は、上面側が開口する箱状に形成され、前壁73、右壁74、左壁75、背壁76、底壁77等を備える。前壁73の左側には、シャッタ用開口80が設けられている。シャッタ用開口80は、前壁73の上端部から下方に向けて略矩形状に切り欠いたように形成されている。シャッタ用開口80には、シャッタ部材90のシャッタ92が前後方向に出退可能に配置される。右壁74の外面の前端側と、左壁75の外面の前端側とには、右側方及び左側方に張り出した一対の固定片部79が設けられている。各固定片部79の略中央には、前後方向に貫通する固定穴791が設けられている。一対の固定片部79は、板部材310の上側部312の背面側に設けられた固定台部382,383に当接して位置決めされる(図6参照)。各固定穴791に対して、後方からネジ38が挿入され、固定台部382,383に締結することによって、筐体70の下ケース71が板部材310の背面側に固定される。
【0038】
下ケース71の底壁77の上面における左側であって、シャッタ用開口80に対応する位置には、前後方向に延びる一対のガイドレール705A,705Bが設けられている。ガイドレール705Aは右側、ガイドレール705Bは左側に夫々配置され、前壁73の近傍から後方に向け、且つ互いに平行に延びている。ガイドレール705A,705Bは、後述するシャッタ部材90を前後方向に移動可能に支持する。底壁77の内面における右前角部には、ギア支持部81が設けられている。ギア支持部81は上下方向に延びる略短筒状に形成され、後述するギア87を回転可能に支持する。底壁77の略中央で、且つギア支持部81の左隣には、ギア支持部82が設けられている。ギア支持部82は上下方向に延びる略短筒状に形成され、後述する付勢ギア88を回転可能に支持する。
【0039】
ギア支持部82の左斜め前方で、且つ前壁73近傍の位置には、略筒状の固定筒部78が立設されている。ギア支持部82の左斜め後方で、且つ背壁76近傍の位置にも、略筒状の固定筒部78が立設されている。更に、底壁77の内面における右前角部で、且つ前壁73と右壁74が接続する角部近傍にも、略筒状の固定筒部78が立設されている。これら3本の固定筒部78は、上ケース72に設けられた後述する3つの固定穴84に夫々対応する。背壁76の内面で、且つ前壁73のシャッタ用開口80に対向する位置には、前方に突出する略筒状のバネ支持部83が設けられている。
【0040】
上ケース72は、平面視略矩形状の蓋状に形成されている。上ケース72の上面において、下ケース71に設けられた3本の固定筒部78に夫々対応する位置には、上下方向に貫通する3つの固定穴84が設けられている。各固定穴84には、ネジ65が上方から挿入され、下ケース71に設けられた各固定筒部78の軸穴781に締結することで、上ケース72が下ケース71の上部の開口を塞ぐように固定される。さらに、上ケース72の上面における前端部近傍には、上方に突出する固定片部85が設けられている。固定片部85は、前後方向に面方向を有する正面視略半円形状に形成され、その中央には、前後方向に貫通する固定穴851が設けられている。下ケース71に設けられた左右一対の固定片部79が板部材310の背面側にネジ68で固定された状態では、固定片部85は、板部材310の背面に設けられた固定台部381(図6参照)に当接される。そして、固定片部85の固定穴851を介して、固定台部381にネジ68を締結することによって、上ケース72が板部材310の背面側に固定される。これにより、筐体70が一体して板部材310の背面側に強固に固定される。
【0041】
ギア87について説明する。ギア87は平歯ギアであり、上下方向に面方向を向けてギア支持部81に配置される。その中央には、上下方向に貫通する軸穴871(図10参照)が設けられている。その軸穴871に対して、後述するモータ101の出力軸102が下方から挿入され、その軸穴871から上方に延びる出力軸102の端部に対して、ギア87の軸穴871を挿入して固定される。これにより、ギア87は、ギア支持部81の上部において、モータ101の駆動によって回転する。
【0042】
付勢ギア88について説明する。付勢ギア88は、基部881、ギア部882、軸穴883、カム部89等を備える。基部881は略円形板状に形成され、上下方向に面方向を向けてギア支持部82に配置される。ギア部882は、基部881の基部881の下面に設けられ、一般的な平歯ギアである。基部881とギア部882は同軸上に配置されている。軸穴883は、基部881とギア部882の中心を上下方向に貫通して設けられている。カム部89は、基部881の外周面の一部から径方向外側に向けて突出するように設けられている。カム部89は平面視略扇形状に形成されている。カム部89は、当接部891と外周部892を備える。外周部892は径方向外側に向けて凸となる円弧面を備える。当接部891は、外周部892の長さ方向の両端部のうち平面視時計回り方向の下流側の角部に設けられている。
【0043】
ギア支持部82の中央に設けられた孔部82Aには、上下方向に延びる支軸884(図11参照)が挿入固定される。支軸884は、モータ101の出力軸102に対して平行に延びる。その支軸884に対して、付勢ギア88の軸穴883が回転自在に挿入される。それ故、付勢ギア88は、ギア支持部82において支軸884を中心に回転可能に支持される。付勢ギア88のギア部882は、ギア87と噛合する。これにより、モータ101の駆動により、出力軸102と共にギア87が平面視反時計回りに回転すると、付勢ギア88は平面視時計回りに回転する(図11参照)。これに伴い、カム部89も平面視時計回りに回転し、シャッタ部材90を後方に押し込むようになっている。なお、シャッタ機構部60の具体的な動作については後述する。
【0044】
シャッタ部材90について説明する。シャッタ部材90は、下ケース71に設けられたガイドレール705A,705Bによって前後方向に移動可能に支持される。シャッタ部材90は側面視略逆L字状に形成され、基板部91、シャッタ92、被当接部93、バネ支持部94、被ガイド部95等を備える。シャッタ部材90は樹脂部材で形成される。基板部91は、平面視略矩形板状に形成されている。シャッタ92は、基板部91の前端部から前方に突出され、平面視略矩形板状に形成されている。被当接部93は、基板部91の後端部から上方に向けて立設され、背面視略矩形状に形成されている。被当接部93の前面の右側には、付勢ギア88に設けられたカム部89の当接部891が当接するようになっている。なお、被当接部93の前面の右端側の角部は、テーパ状にするとよい。バネ支持部94は、被当接部93の背面に設けられ、該背面から後方に突出する略筒状に形成されている。
【0045】
被ガイド部95は、基板部91の下面に設けられている。被ガイド部95は、長片部951と短片部952を備える。長片部951は、基板部91の右端部から鉛直下方に延設され、側面視略矩形状に形成されている。短片部952は、基板部91の右端部よりもやや左方に離間する位置から鉛直下方に延設され、側面視略矩形状に形成されている。長片部951と短片部952は互いに平行である。長片部951の上下方向長さは、短片部952の上下方向長さよりも長い。長片部951は、ガイドレール705Aの右側に配置され、短片部952は、ガイドレール705Aと705Bの間に配置される。基板部91は、ガイドレール705Aと705Bの夫々の上端部に載置されて摺動する。それ故、シャッタ部材90は、ガイドレール705Aと705Bに沿って前後方向に移動可能に支持される。
【0046】
バネ97について説明する。バネ97はコイル状のバネであって、下ケース71の背壁76の内面に設けられたバネ支持部83と、シャッタ部材90に設けられたバネ支持部94との間に、前後方向に軸方向を向けて配置される。バネ97の後端側はバネ支持部83に外挿され、バネ97の前端側はバネ支持部94に外挿される。バネ97はシャッタ部材90を常時前方に付勢するので、シャッタ部材90はガイドレール705A,705Bに沿って前方に移動する。長片部951と短片部952の夫々の前端部が、下ケース71の前壁73の背面に当接したとき、シャッタ部材90は停止する。このとき、シャッタ92の全部位がシャッタ用開口80から前方に突出した状態となり、通過口16を閉塞する。
【0047】
モータ101について説明する。モータ101は、下ケース71の底壁77の下面であって、ギア支持部81に対応する位置に固定されている。モータ101は、出力軸102と一対の固定片部103を備える。出力軸102は、モータ101の上面から上方に向けて延びる。一対の固定片部103は、モータ101の外周面の上側で、且つ互いに対向する位置から外方に突出して設けられている。これら一対の固定片部103には、上下方向に貫通する固定穴103Aが設けられている。各固定穴103Aに対してネジ66(図5参照)が下方から挿入され、下ケース71に設けられた固定穴(図示略)に締結することによって、モータ101が下ケース71の底壁77の下面に固定される。出力軸102は、ギア支持部81に設けられた孔部(図示略)に下方から挿入され、その上方に突出する端部に対して、ギア87の軸穴871が挿入固定される。
【0048】
センサユニット110について説明する。センサユニット110は、カバー部材111とセンサ112を備える。カバー部材111は、上面が開口する箱状に形成され、その内側にセンサ112を格納する。カバー部材111には、上下方向に貫通する固定穴113が設けられている。固定穴113には、下方からネジが挿入され、下ケース71の底壁77に設けられた固定穴(図示略)に締結することによって、センサユニット110が下ケース71の底壁77に固定される。センサ112は、周知の近接センサであって、シャッタ部材90の位置を検出する。例えばパチンコ機1のサブ統合基板(図示略)に設けられた制御部は、センサ112が出力する信号に基づき、シャッタ部材90の位置を特定することによって、通過口16の開閉状態を検知できる。
【0049】
そして、上記構造を備えるシャッタ機構部60がユニット本体部31の板部材310の背面に固定された状態では、筐体70の前面は、板部材310の背面に当接する。筐体70の前面に設けられたシャッタ用開口80は、板部材310に設けられたシャッタ用開口53に対向して配置される。それ故、シャッタ部材90のシャッタ92は、シャッタ用開口80,53を介して前方に移動し、通過口16の直上を覆い隠すことによって、通過口16を閉じることができる。
【0050】
図11を参照し、シャッタ機構部60による通過口16の開閉動作を説明する。先ず、図11(1)に示すように、シャッタ部材90が前方位置に移動した状態では、シャッタ92は、シャッタ用開口80から前方に突出する。このとき、通過口16はシャッタ92によって覆われて閉塞される(図6参照)。パチンコ機1における遊技が開始すると、モータ101が駆動し、モータ101の出力軸102は、平面視反時計回りに一定速度で回転する。これに伴い、ギア87も反時計回りに回転する。ギア87の回転に伴い、ギア87は時計回りに回転する。ギア87の回転に伴い、カム部89も時計回りに回転する。カム部89は、シャッタ部材90の被当接部93の前面に対して、通過口16側である前方から近接する。付勢ギア88の回転によって、カム部89の当接部891が被当接部93の前面に当接し、バネ97の付勢力に抗して、被当接部93を後方に押し込む。これにより、シャッタ部材90は後方に移動する。
【0051】
次いで、図11(2)に示すように、カム部89の当接部891が被当接部93を更に後方に押し込むことによって、バネ97は圧縮され、シャッタ部材90は更に後方に移動する。シャッタ92がシャッタ用開口80よりも後方に移動したとき、通過口16が完全に開放される。そして、シャッタ部材90が所定の後方位置まで移動したとき、被当接部93の前面は、これまで当接していたカム部89の当接部891を乗り越え、続いて外周部892に当接する。被当接部93の前面は、バネ97の付勢力によって外周部892に押し当てられている。
【0052】
この状態で、付勢ギア88が更に回転し、外周部892の円弧面が被当接部93の前面を摺動することによって、被当接部93は現在の位置に保持される。それ故、外周部892が被当接部93の前面を摺動している間、シャッタ部材90は所定の後方位置で停止するので、通過口16は開放された状態となる。また、外周部892は円弧面を備えるので、長期間の使用により、被当接部93の前面と外周部892が互いに接触することによって生じる摩耗を軽減できる。
【0053】
次いで、図11(3)に示すように、カム部89が時計回りに更に回転し、外周部892が被当接部93の前面を右方に摺動しながら離脱したとき、シャッタ部材90はバネ97の付勢により前方に付勢されるので、勢いよく前方に移動する。これにより、シャッタ92はシャッタ用開口80から前方に突出するので、通過口16は再び閉塞される。シャッタ機構部60は、図11(1)〜(3)を繰り返すことによって、通過口16を一定周期で開閉できる。
【0054】
なお、被当接部93の前面の右端側の角部は円弧状に形成されているので、カム部89の外周部892が削れて摩耗するのを軽減できる。更に、カム部89の外周部892も円弧面であるので、円弧と円弧で互いに摺動させることで、互いの摩耗を軽減できる。即ち、本実施形態では、シャッタ部材90と付勢ギア88は何れも安価な樹脂部品であるので、接触して摺動する部分を円弧形状にすることで、低費用を維持しつつ樹脂の摩耗を軽減できる。
【0055】
このように、入賞口ユニット30では、シャッタ機構部60の上記構成により、シャッタ92を開くときはモータ101の動力、閉じるときはバネ97の付勢力を利用することができる。例えば通過口16において、シャッタ92が遊技球20を挟み込むことによって球詰まりが発生する場合がある。本実施形態のシャッタ部材90は、バネ97の付勢力で閉じる方向に付勢されているだけであるので、例えばシャッタ92に挟まれた遊技球20に他の遊技球20が衝突することによって、シャッタ92は押し開かれるので、球詰まりは自然に解消される。また、バネ97の付勢力を、シャッタ92が遊技球20を挟み込むことができない程度に調節することによって、球詰まりの発生を未然に防止することもできる。これにより、遊技球20は通過口16を良好に通過できる。従って、入賞口ユニット30は、通過口16に生じる球詰まりを防止できる。
【0056】
また、本実施形態では、通過口16を一定の周期で開閉するシャッタ92の動作について、発熱し易いソレノイドを使わずに、モータ101を使うことによって、シャッタ92の長期間の安定した駆動が可能となる。更に、モータ101の駆動速度を調整することによって、シャッタ92による通過口16の開閉速度を調整できるので、第三始動口46に遊技球20が入賞する確率を調節することもできる。また、付勢ギア88のカム部89の大きさ、又は外周部892を変えることによっても、シャッタ92による通過口16の開閉速度を調整できる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は遊技盤2上に、入賞口ユニット30を備える。入賞口ユニット30は、通過口16を一定周期で開閉するシャッタ機構部60を備える。シャッタ機構部60は、シャッタ部材90、バネ97、モータ101、ギア87、支軸884、付勢ギア88等を備える。シャッタ部材90は、通過口16に対して進退可能に設けられ、通過口16を開閉するシャッタ92を備える。バネ97は、シャッタ部材90を通過口16側に常時付勢する。モータ101の出力軸102は、通過口16を遊技球20が通過する上下方向に対して平行に延びる。ギア87は、出力軸102に設けられる。支軸884は、ギア87とシャッタ部材90の間に設けられ、出力軸102と平行に延びる。付勢ギア88は、支軸884を中心に回転可能に設けられ、ギア87と噛合するギア部882を備える。付勢ギア88は、径方向外側に向けて突設されたカム部89を備える。
【0058】
モータ101が駆動すると、モータ101の駆動力が出力軸102及びギア87を介して、付勢ギア88に伝達され、付勢ギア88が支軸884を中心に回転する。このとき、付勢ギア88のカム部89は、シャッタ部材90に設けられた被当接部93の前面に対して通過口16側から当接する。カム部89は、被当接部93をバネ97の付勢力に抗して通過口16側とは反対側の後方に押し込むので、シャッタ92は通過口16を開放する。そして、シャッタ部材90が通過口16を開放する所定の最後方位置まで移動した後で、カム部89は被当接部93から離脱する。これにより、シャッタ部材90は、バネ97の付勢力によって、通過口16側に付勢されるので、通過口16がシャッタ92によって閉塞される。
【0059】
このように、入賞口ユニット30では、シャッタ92を開くときはモータ101の動力、閉じるときはバネ97の付勢力を利用するので、通過口16において仮にシャッタ92が遊技球20を挟み込んでしまっても、遊技球20に外部衝撃が与えられることによって、シャッタ92を押し開くことができるので、球詰まりを自然に解消できる。また、本実施形態では、通過口16を一定の周期で開閉するシャッタ92の動作について、発熱し易いソレノイドを使わずに、モータ101を使うことによって、シャッタ92の長期間の安定した駆動が可能となる。また、入賞口ユニット30の構造もシンプルであるので、部材に係る費用も低減できる。
【0060】
また、本実施形態の入賞口ユニット30では、通過口16は上方に向かって開口する。シャッタ部材90は、通過口16に対して後方から前方に向かって進退可能に設けられている。さらに、出力軸102及び支軸884は、シャッタ部材90に対して横方向に並んで配置されている。これにより、入賞口ユニット30について、モータ101の動力がシャッタ部材90に向かって横方向に順次伝達される構造にできる。即ち、入賞口ユニット30が上下方向に大きくならないので、コンパクトな構成にできる。それ故、遊技盤2における狭い領域であっても、入賞口ユニット30を取り付けることができる。
【0061】
また、本実施形態の付勢ギア88に設けられたカム部89は、付勢ギア88の径方向外側に向かって凸となる円弧面を備えた外周部892を備えている。これにより、長期間の使用により、被当接部93の前面とカム部89の外周部892が互いに接触することによって生じる摩耗を軽減できる。
【0062】
また、本実施形態の入賞口ユニット30は、通過口16、該通過口16を通過した遊技球20を流下させる流路54、該流路54を流下した遊技球20が入賞する第三始動口46を備えている。それ故、本実施形態は、第三始動口46を備えたユニットとして提供できる。
【0063】
以上説明において、入賞口ユニット30又はシャッタ機構部60が本発明の「ユニット」の一例である。バネ97が本発明の「付勢手段」の一例である。ギア87が本発明の「第一ギア」の一例である。付勢ギア88が本発明の「第二ギア」の一例である。
【0064】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0065】
上記実施形態の入賞口ユニット30は、上方向に向かって開口する通過口16を備えるが、通過口の開口する向きは、どの方向であってもよい。また、遊技盤2における入賞口ユニット30の取付位置は、上記実施形態に限定されず、各入賞口を含む種々の通過口にも適用可能である。
【0066】
上記実施形態の入賞口ユニット30において、シャッタ機構部60内に設けられるギアの枚数は2枚に限らず、これより多くてもよい。例えば、ギア87と付勢ギア88の間に、他のギアを介在してもよい。その場合、モータ101の出力軸102に回転方向を適宜変更すればよい。
【0067】
上記実施形態のシャッタ機構部60内に設けられた付勢ギア88において、カム部89の外周部892は円弧形状であるが、これ以外の形状にしてもよく、例えば外周部892に段形状を付与することで、シャッタ92の開閉動作を段階的に行うようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態の入賞口ユニット30のシャッタ機構部60に設けられたセンサユニット110は省略してもよい。
【0069】
上記実施形態の入賞口ユニット30において、ユニット本体部31、化粧板32、シャッタ機構部60の筐体70等は、透明の樹脂部材で形成されているが、透明でなくてもよく、装飾する等、自由に変更可能である。例えば、ユニット本体部31の板部材310の背面に凹凸面を設けることで、周囲から照射される光を乱反射させてもよい。
【0070】
上記実施形態では、遊技機として、遊技機の一種であるパチンコ機1を例に挙げているが、遊技機はパチンコ機に限られず、パチコン機、パチスロ台等の各種の遊技機に適用可能である。
【0071】
なお、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示画面」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0072】
1 パチンコ機
2 遊技盤
16 通過口
20 遊技球
30 入賞口ユニット
46 第三始動口
54 流路
60 シャッタ機構部
87 ギア
88 付勢ギア
89 カム部
90 シャッタ部材
92 シャッタ
97 バネ
101 モータ
102 出力軸
891 当接部
892 外周部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11