特許第6739103号(P6739103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739103
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】切断工具
(51)【国際特許分類】
   B26B 13/00 20060101AFI20200730BHJP
   B26B 13/14 20060101ALI20200730BHJP
   B26B 13/26 20060101ALI20200730BHJP
   B26B 13/28 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   B26B13/00 Z
   B26B13/14
   B26B13/26
   B26B13/28 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-223276(P2016-223276)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-79066(P2018-79066A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019091
【氏名又は名称】東邦工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】水田 力
(72)【発明者】
【氏名】松下 信雄
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05701672(US,A)
【文献】 実開昭47−012586(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3017159(JP,U)
【文献】 特開2007−151889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00−17/02,
B23D 29/00,
A01G 3/02−3/04,
B26D 1/30,
B25B 7/12,
F16C 23/02,
H02G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に被切断材(M)を切断する刃部(3a)を有する一対の切断刃(3)と、この一対の切断刃(3)の中途部(3b)を相対回動自在に支持する枢支部材(4)と、各切断刃(3)の基部(3c)に連結軸(5)を介して先端枢支部(6a)が連結されたハンドル(6)と、両ハンドル(6)の先端枢支部(6a)から対向内方向に突出した支点部(6b)を枢支連結するレバー支軸(9)とを有する切断工具であって、
前記両切断刃(3)は中途部(3b)から刃部(3a)側を基部(3c)に対して屈曲角(α)でくの字状に屈曲しており、
前記両ハンドル(6)は中途部(6c)から自由端(6d)側を先端枢支部(6a)に対して切断刃(3)の刃部(3a)側と同側に屈曲角(β)でくの字状に屈曲していることを特徴とする切断工具。
【請求項2】
先端側に被切断材(M)を切断する刃部(3a)を有する一対の切断刃(3)と、この一対の切断刃(3)の中途部(3b)を相対回動自在に支持する枢支部材(4)と、各切断刃(3)の基部(3c)に連結軸(5)を介して先端枢支部(6a)が連結されたハンドル(6)と、両ハンドル(6)の先端枢支部(6a)から対向内方向に突出した支点部(6b)を枢支連結するレバー支軸(9)とを有する切断工具であって、
前記両切断刃(3)は中途部(3b)から刃部(3a)側を基部(3c)に対して屈曲角(α)でくの字状に屈曲しており、
前記各連結軸(5)は軸受部材(8)を介在して切断刃(3)の基部(3c)の貫通孔(11)に挿通されており、この軸受部材(8)の外周は軸方向両端から中央へ次第に径が大きくなっていて基部(3c)の貫通孔(11)と当接可能な中高外周面(8a)を有していることを特徴とする切断工具。
【請求項3】
先端側に被切断材(M)を切断する刃部(3a)を有する一対の切断刃(3)と、この一対の切断刃(3)の中途部(3b)を相対回動自在に支持する枢支部材(4)と、各切断刃(3)の基部(3c)に連結軸(5)を介して先端枢支部(6a)が連結されたハンドル(6)と、両ハンドル(6)の先端枢支部(6a)から対向内方向に突出した支点部(6b)を枢支連結するレバー支軸(9)とを有する切断工具であって、
前記両切断刃(3)は中途部(3b)から刃部(3a)側を基部(3c)に対して屈曲
角(α)でくの字状に屈曲しており、
前記枢支部材(4)に逃げ防止具(16)を設けており、この逃げ防止具(16)は枢支部材(4)に装着した基部材(17)と、一対の刃部(3a)に対向していて基部材(17)に開閉可能に支持された一対の逃げ防止部材(18)と、この一対の逃げ防止部材(18)を閉鎖方向に付勢する付勢具(19)とを有しており、
前記一対の逃げ防止部材(18)は閉鎖状態でその間に、刃部(3a)間に入る被切断材(M)を収納可能な収納開口(20)と、この収納開口(20)の先端側にあって被切断材(M)が収納開口(20)から逃げるのを規制する逃げ止め部(18a)とを形成していることを特徴とする切断工具。
【請求項4】
前記両ハンドル(6)は中途部(6c)から自由端(6d)側を先端枢支部(6a)に対して切断刃(3)の刃部(3a)側と同側に屈曲角(β)でくの字状に屈曲していることを特徴とする請求項2又は3に記載の切断工具。
【請求項5】
一方のハンドル(6B)は中途部(6c)から自由端(6d)側をハンドル開閉方向でかつ他方のハンドル(6A)から離れる方向に屈曲角(γ)でくの字状に屈曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切断工具。
【請求項6】
前記枢支部材(4)は両切断刃(3)の中途部(3b)を同時に枢支する軸部材(4A)を有しており、
前記両切断刃(3)は、両刃部(3a)の中心線(S)を軸部材(4A)とレバー支軸(9)とを結ぶ中心線(L1)に対して交差角度90〜120度で交差する方向に設定しており、
第1切断刃(3A)は、刃部(3a)の刃先を軸部材(4A)と連結軸(5)とを結ぶ中心線(L2)に対して小挟角(θ1)で交差しており、
第2切断刃(3B)は、刃部(3a)の刃先を軸部材(4A)と連結軸(5)とを結ぶ中心線(L3)に対して前記小挟角(θ1)より大きい大挟角(θ2)で交差していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切断工具。
【請求項7】
前記枢支部材(4)は、連結部材(14)と、この連結部材(14)に間隔をおいて支持されていて両切断刃(3)の各中途部(3b)を個別に枢支する軸部材(4A)とを有しており、
両切断刃(3)の両刃部(3a)の中心線(S)はレバー支軸(9)を通ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金具、棒材、チェーン、ケーブル等の被切断材を切断可能な手動用の切断工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手動用切断工具は、一対の切断刃が連結部材に開閉可能に枢支され、各切断刃の基部に刃枢着部材を介してハンドルの先端が枢着され、前記一対のハンドルがハンドル枢着部材で開閉可能に枢着され、ハンドルの開閉操作によって一対の切断刃間に入れた被切断材を切断するようにしたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、一対の切断刃、連結部材及び一対のハンドルは平坦形状であり、ハンドルの開閉運動面と切断刃の刃部の切断(開閉)運動面とは同一面上に位置しており、目視できる位置にある被切断材の切断は容易にできるが、障害物の後ろに隠れている被切断材の切断はやり難いものになっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした切断工具を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、切断刃の刃部の切断運動面をハンドルの開閉運動面に対して傾斜させることにより、障害物の後ろに隠れている被切断材の切断が容易にできるようにした切断工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、先端側に被切断材Mを切断する刃部3aを有する一対の切断刃3と、この一対の切断刃3の中途部3bを相対回動自在に支持する枢支部材4と、各切断刃3の基部3cに連結軸5を介して先端枢支部6aが連結されたハンドル6と、両ハンドル6の先端枢支部6aから対向内方向に突出した支点部6bを枢支連結するレバー支軸9とを有する切断工具であって、
前記両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しており、
前記両ハンドル6は中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側に屈曲角βでくの字状に屈曲していることを特徴とする。
【0007】
第2に、先端側に被切断材Mを切断する刃部3aを有する一対の切断刃3と、この一対の切断刃3の中途部3bを相対回動自在に支持する枢支部材4と、各切断刃3の基部3cに連結軸5を介して先端枢支部6aが連結されたハンドル6と、両ハンドル6の先端枢支部6aから対向内方向に突出した支点部6bを枢支連結するレバー支軸9とを有する切断工具であって、
前記両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しており、
前記各連結軸5は軸受部材8を介在して切断刃3の基部3cの貫通孔11に挿通されており、この軸受部材8の外周は軸方向両端から中央へ次第に径が大きくなっていて基部3cの貫通孔11と当接可能な中高外周面8aを有していることを特徴とする。
【0008】
第3に、先端側に被切断材Mを切断する刃部3aを有する一対の切断刃3と、この一対の切断刃3の中途部3bを相対回動自在に支持する枢支部材4と、各切断刃3の基部3cに連結軸5を介して先端枢支部6aが連結されたハンドル6と、両ハンドル6の先端枢支部6aから対向内方向に突出した支点部6bを枢支連結するレバー支軸9とを有する切断工具であって、
前記両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しており、
前記枢支部材4に逃げ防止具16を設けており、この逃げ防止具16は枢支部材4に装着した基部材17と、一対の刃部3aに対向していて基部材17に開閉可能に支持された一対の逃げ防止部材18と、この一対の逃げ防止部材18を閉鎖方向に付勢する付勢具19とを有しており、
前記一対の逃げ防止部材18は閉鎖状態でその間に、刃部3a間に入る被切断材Mを収納可能な収納開口20と、この収納開口20の先端側にあって被切断材Mが収納開口20から逃げるのを規制する逃げ止め部18aとを形成していることを特徴とする。
【0009】
第4に、前記両ハンドル6は中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側に屈曲角βでくの字状に屈曲していることを特徴とする。
第5に、一方のハンドル6Bは中途部6cから自由端6d側をハンドル開閉方向でかつ他方のハンドル6Aから離れる方向に屈曲角γでくの字状に屈曲していることを特徴とする。
【0010】
第6に、前記枢支部材4は両切断刃3の中途部3bを同時に枢支する軸部材4Aを有しており、
前記両切断刃3は、両刃部3aの中心線Sを軸部材4Aとレバー支軸9とを結ぶ中心線L1に対して交差角度90〜120度で交差する方向に設定しており、
第1切断刃3Aは、刃部3aの刃先を軸部材4Aと連結軸5とを結ぶ中心線L2に対して小挟角θ1で交差しており、
第2切断刃3Bは、刃部3aの刃先を軸部材4Aと連結軸5とを結ぶ中心線L3に対して前記小挟角θ1より大きい大挟角θ2で交差していることを特徴とする。
【0011】
第7に、前記枢支部材4は、連結部材14と、この連結部材14に間隔をおいて支持
されていて両切断刃3の各中途部3bを個別に枢支する軸部材4Aとを有しており、
両切断刃3の両刃部3aの中心線Sはレバー支軸9を通ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、切断刃の刃部の切断運動面をハンドルの開閉運動面に対して傾斜させることにより、障害物の後ろ側の被切断材の切断が容易にできる。
即ち、請求項1に係る発明は、両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しているので、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の開閉運動面Fに対して傾斜していて、障害物の後ろ側の被切断材Mの切断が容易にできる。しかも、ハンドル6は中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側にくの字状に屈曲して、開閉運動面Fに対して把持運動面Gを切断運動面Eと同側に傾斜しているので、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の把持運動面Gに対してより大きく傾斜して、障害物の後ろに隠れている被切断材Mの切断が容易にできる。
【0013】
請求項2に係る発明は、両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しているので、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の開閉運動面Fに対して傾斜していて、障害物の後ろ側の被切断材Mの切断が容易にできる。しかも、各切断刃3が中途部3bから刃部3a側を基部3cに対してくの字状に屈曲していることにより、基部3が連結軸5廻りに傾動しながら回動しても、軸受部材8の中高外周面8aで確実に支持ができ、両切断刃3の回動を円滑にすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、両切断刃3は中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しているので、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の開閉運動面Fに対して傾斜していて、障害物の後ろ側の被切断材Mの切断が容易にできる。しかも、枢支部材4に開閉可能な一対の逃げ防止部材18を設けているので、両切断刃3で被切断材Mを切断する際に、両刃部3aから被切断材Mが逃げるのを防止できる。
【0015】
請求項4に係る発明は、ハンドル6は中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側にくの字状に屈曲して、開閉運動面Fに対して把持運動面Gを切断運動面Eと同側に傾斜しているので、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の把持運動面Gに対してより大きく傾斜して、障害物の後ろに隠れている被切断材Mの切断が容易にできる。
【0016】
請求項5に係る発明は、一方のハンドル6Bはくの字状に屈曲して中途部6cから自由端6d側がハンドル6Aから離れているので、切断完了まで第1ハンドル6Aと第2ハンドル6Bとを閉鎖するのに力が入れ易になる。
請求項6に係る発明は、切断刃3の中途部3bから基部3cへの延び方向及び両ハンドル6の延び方向に対して、刃部3aは中途部3bから横向きに向けられているので、被切断材Mに対して上下方向から宛がいかつ押し付けることができる。
【0017】
請求項7に係る発明は、両切断刃3の両刃部3aの中心線Sがレバー支軸9を通るので、両刃部3aは両ハンドル6と直線的に配置され、両刃部3aを被切断材Mに押し付ける方向は両ハンドル6の長手方向に略沿ったものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の切断工具の実施形態を示しており、図1(A)は正面図、図1(B)は底面図である。
図2】切断工具の背面図である。
図3】切断工具の平面図である。
図4】切断工具の左側面図である。
図5】切断工具の右側面図である。
図6図1(A)のX−X線断面図である。
図7図1(A)のY−Y線断面図である。
図8】切断工具の切断開始状態の正面図である。
図9】軸受部材の斜視図である。
図10】切断工具の切断刃の支軸の動きを説明する説明図である。
図11】ドアガードのU字金具を切断する切断工具の使用状態説明図である。
図12】切断工具に装着する逃げ防止具の正面図である。
図13】切断工具に装着する逃げ防止具の底面図である。
図14】本発明の切断工具の変形例を示しており、図14(A)は正面図、図14(B)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜11において、棒材、チェーン、管材、ワイヤ、ドアガードのU字金具等の被切断材Mを切断する切断工具1は、先端側に刃部3aを有する一対の切断刃3と、この一対の切断刃3の中途部3bを相対回動自在に支持する枢支部材4と、各切断刃3の基部3cに連結軸5を介して先端枢支部6aが連結されたハンドル6と、両ハンドル6の先端枢支部6aから対向内方向に突出した支点部6bを枢支連結するレバー支軸9とを有している。
【0020】
前記各切断刃3は、軸又はボルト等の軸部材4Aで形成された枢支部材4に嵌合する中途部3bと、この中途部3bから一端側に突出した刃部3aと、中途部3bから他端側に突出して連結軸5に嵌合する基部3cとを有している。第1切断刃3Aの中途部3bは二股形状であって、その内部に第2切断刃3Bの中途部3が挿入されている。軸部材4Aは両切断刃3の中途部3bを同時に枢支している。
【0021】
前記両切断刃3は、図1(B)及び図3に示されるように、中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して鋭角の屈曲角αでくの字状に屈曲(直線配列に対して屈曲)しており、この基部3cに両ハンドル6の先端枢支部6aがボルトで形成された連結軸5を介して連結されている。
両切断刃3は、枢支部材4の軸部材4Aの軸心(回動中心P)を中心として回動して、刃部3aを平坦な切断運動面E上で切断運動させるが、切断刃3の基部3cは中途部3b及び刃部3aに対して屈曲しているが故に、図10に示すように、軸部材4Aの回動中心Pを中心にして円弧運動をし、回動中心Pに対して切断刃3の基部3c及び連結軸5は上下移動する。
【0022】
従って、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eは両連結軸5の遠近移動面(ハンドル6の開閉運動面F)に対して屈曲角αで傾斜している。前記屈曲角αは、45度、45度前後、30〜50度等が好ましい。
図1、2、6において、第1ハンドル6Aの先端枢支部6aは二股形状であり、先端枢支部6aから突出している支点部6bは1枚板状であり、第2ハンドル6Bは先端枢支部6aもこの先端枢支部6aから突出している支点部6bも二股形状になっている。
【0023】
両ハンドル6の支点部6bは先端枢支部6aから対向内方向に突出しており、第2ハンドル6Bの二股形状支点部6b内に第1ハンドル6Aの1枚板状支点部6bが嵌入して、これらをレバー支軸9が貫通しており、レバー支軸9にはストレート円筒の軸受13が嵌合している。
図9、10において、前記各切断刃3の基部3cには貫通孔11が形成され、この貫通
孔11に連結軸5が軸受部材8を介在して挿通されている。軸受部材8は内周側に連結軸5に嵌合する嵌合孔8bが形成され、外周側に基部3cの貫通孔11と当接可能な中高外周面8aを有している。この中高外周面8aは軸方向両端から中央へ次第に径が大きくなっていて、算盤玉形(又はビヤ樽形)になっている。
【0024】
両ハンドル6のレバー支軸9を中心とする先端枢支部6aの開閉は、一対の連結軸5を介して切断刃3の基部3cを遠近移動させるものであり、ひとつの平坦な面(開閉運動面F)上を運動することになる。
両ハンドル6の開閉運動は切断刃3の基部3cを遠近移動させるものであるが、切断刃3は枢支部材4の軸心(回動中心P)を中心として回動するものであるため、図10に示すように、基部3cは遠近移動に伴って上下移動も発生し、かつ傾動することになる。
【0025】
ハンドル6の先端枢支部6aはレバー支軸9と直交したままであるので、一対の連結軸5はレバー支軸9と平行が維持される。そのため、連結軸5の軸心と切断刃3の基部3cとは直交状態が崩れる(連結軸5に対して基部3cの貫通孔11が傾斜する。)。
軸受部材8の中高外周面8aは、外周面が軸方向中央から上下両端に次第に小径になるテーパ面になっているので、切断刃3の刃部3aを閉じるために基部3cを開いたとき、基部3cが傾動すると貫通孔11が中高外周面8aのテーパ面に当接して、隙間を生じることなく支持がなされ、切断刃3の刃部3aを開くために基部3cを閉じたとき、基部3cの貫通孔11は連結軸5と略平行になり、貫通孔11は中高外周面8aの中央頂部に当接して、隙間を生じることなく支持がなされる。
【0026】
前記両切断刃3は、刃部3aの刃先が回動中心Pを通る半径方向の剪断縁となるものであり、両刃部3aの剪断縁が合致するときに被切断材Mを切断する。前記両刃部3aの剪断縁の合致は両刃部3aの中心線S上である。
両刃部3aの中心線Sは、両切断刃3の回動中心Pとレバー支軸9とを結ぶ中心線L1に対して交差する方向に設定されている。即ち、切断刃3の中途部3bから基部3cへの延び方向及び両ハンドル6の延び方向に対して、刃部3aは中途部3bから横向きに向けられている。
【0027】
前記中心線L1に対する刃部3aの中心線Sの交差角度は、100度、100度前後、90〜120度等が好ましく、それぞれの連結軸5(貫通孔11)を基準にすると、第1切断刃3Aは、刃部3aの剪断縁が切断刃3の回動中心Pと連結軸5とを結ぶ中心線L2に対して小挟角θ1で交差しており、小挟角θ1は例えば、85度前後になっている。
第2切断刃3Bは、刃部3aの剪断縁を切断刃3の回動中心Pと連結軸5とを結ぶ中心線L3に対して大挟角θ2で交差しており、大挟角θ2は小挟角θ1より大きく、例えば、117度前後になっている。
【0028】
切断刃3の刃部3aは、中途部3bから横方向に向けられていると、両刃部3aを枢支部材4の下側にして、被切断材Mに対して上下方向から宛がいかつ押し付けることになり、上方から宛がうと切断工具1の重量を被切断材Mに預けながら切断作業ができ、また、被切断材Mの切断完了時に切断工具1が前方へ移動するのを抑制できる。
前記両ハンドル6は、先端枢支部6aと支点部6bと中途部6cと自由端6dとを有している。先端枢支部6aと支点部6bとは鋳造又は鍛造で形成された先端部材で一体成形されており、その先端部材には支点部6bから径方向に離れた位置に支点部6bと同方向に突出する当接突起6eが形成されており、この両当接突起6eは第1ハンドル6Aと第2ハンドル6Bの閉鎖時の間隔を設定する。
【0029】
前記両ハンドル6は中途部6cから自由端6dにかけてはパイプ材で形成し、パイプ材の中途部を屈曲しており、中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側に鋭角の屈曲角βでくの字状に屈曲している。パイプ材の自由端6d側には把持部材22が嵌着されている。前記屈曲角βは、14度、14度前後、10〜20度等が好ましい。
【0030】
前記両ハンドル6の中途部6cから自由端6d側は、把持運動面G上で開閉運動をすることになり、開閉運動面Fに対して切断運動面Eと同側に傾斜しており、把持運動面Gから見ると、把持運動面Gに対して開閉運動面Fが一側に屈曲し、切断運動面Eがさらに一
側に屈曲していることになり、切断工具1が全体として略円弧形状になる。従って、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eがハンドル6の把持運動面Gに対してより大きく傾斜しているので、障害物の後ろに隠れている被切断材Mの切断が可能になる。
【0031】
図1(A)、2において、両ハンドル6の各中途部6cはその中心線が両切断刃3の回動中心Pとレバー支軸9とを結ぶ中心線L1に対して5〜7度傾斜しており、自由端6d側に末広がりになっており、両ハンドル6のうち一方の第1ハンドル6Aの中途部6cから自由端6d側は中心線L1と略平行になっている。
他方の第2ハンドル6Bは、中途部6cから自由端6d側をハンドル開閉方向でかつ一方のハンドル6Aから離れる方向に鋭角の屈曲角γでくの字状に屈曲している。この屈曲角γの屈曲位置は前記屈曲角βの屈曲位置より自由端6d側であり、前記屈曲角γは、18度、18度前後、8〜23度等が好ましい。
【0032】
この第2ハンドル6Bは中途部6cから自由端6d側は中心線L1に対して25度前後で末広がり形状であることにより、両ハンドル6A,6Bは自由端6d側で大きく離れており、両自由端6dが近い場合に比べて、切断完了まで閉鎖する方向の力が入れ易くなっている。
図11は切断工具1の使用状態を示している。
【0033】
マンション家屋は玄関にドア30が開閉自在に枢支され、玄関の外側左右に外側壁31が突出しおり、玄関の内側壁32にドア30のためのドアガードのU字金具33が取り付けられている。前記U字金具33はドア30の自由端内面に設けたロックピンに係合されるので、ドア30を僅かに開いても、ドア30の自由端側が障害物となって、外部から目視し難い。
【0034】
切断工具1は切断刃3の基部3c及びハンドル6の先端部(開閉運動面F)を外側壁31と略平行にすると、切断刃3の中途部3bから刃部3a(切断運動面E)は屈曲角αでくの字状に屈曲しているので、ドア30の自由端の裏側まで入り込むことができ、見え難いU字金具33に上側から押し当てることができ、切断が可能になる。
また、両ハンドル6は中途部6cから自由端6d側(把持運動面G)が先端枢支部6aに対してくの字状に屈曲しているので、自由端6d側が外側壁31から離れる距離が大きく、外側壁31に妨害されることなく両ハンドル6を開閉運動させることが可能になる。
【0035】
図12、13において、切断作業を助けるために切断工具1に装着する逃げ防止具16を示している。
逃げ防止具16は枢支部材4の軸部材4Aに装着した基部材17と、一対の刃部3aに対向していて基部材17に開閉可能に支持された一対の逃げ防止部材18と、この一対の逃げ防止部材18を閉鎖方向に付勢する付勢具19とを有している。
【0036】
前記基部材17は本体部が軸部材4Aに相対回転可能に嵌合されており、本体部の一対の刃部3aと対向する部位には円弧凹部17aが形成され、本体部から突出したガイド突起17bに軸部材4Aを曲率中心とする円弧孔17cが形成され、この円弧孔17cにガイドピン33が挿通され、ガイドピン33は切断刃3Bに固定されており、基部材17は円弧孔17cの範囲内で軸部材4Aを中心に回転可能になっている。
【0037】
即ち、切断刃3A及び切断刃3Bと逃げ防止具16とはそれぞれ相対回転自在であるが、一対の刃部3aと一対の逃げ防止部材18とが常に略対応(大きくずれないように)させるために、円弧孔17cとガイドピン33との係合によって、相対回転する範囲を拘束している。また、逃げ防止具16に対して切断刃3Bの回動を許容している。
一対の逃げ防止部材18は対称形状であり、それぞれ基部が支軸34を介して基部材17に枢支され、先端部は一対の刃部3aから先端方向へ大きく突出しており、一対合わさることによりV字開先を作る傾斜案内面18bが形成されている。
【0038】
各逃げ防止部材18はその基部と基部材17の本体部とがオーバラップしていて、両者間にコイルスプリング製の付勢具19が介在されている。この付勢具19は一対の逃げ防止部材18が開放されても自動的かつ弾力的に閉鎖させるものであり、また、被切断材Mが一方の逃げ防止部材18に片当たりしたときに、被切断材Mに対して両逃げ防止部材18の中央を適合させるようにその逃げ防止部材18を押動させるものである。
【0039】
両逃げ防止部材18は正対向していて閉鎖時に中途部が当接するが、基部は基部材17に設けたピン35と当接してバックアップできるようにしており、切断作業時に逃げ防止部材18の先端が構造物等に当たっても、破損しないようになっている。
前記一対の逃げ防止部材18は合わせ縁側に凹部を形成して、閉鎖状態でその間に刃部3a間に入る被切断材Mを収納可能な収納開口20を形成しており、この収納開口20はその先端側に被切断材Mが収納開口20から逃げるのを規制する逃げ止め部18aを形成している、
前記逃げ防止具16を装着した切断工具1は、一対の切断刃3を開いて被切断材Mに押し当てるとき、逃げ防止具16の逃げ防止部材18が先行して被切断材Mに押し当てられる。一対の逃げ防止部材18は先端部にV字開先の傾斜案内面18bがあるので、この傾斜案内面18bが被切断材Mに押し当てられ、両逃げ防止部材18は付勢具19に抗して押し広げられ、被切断材Mの侵入を許すことになる。
【0040】
被切断材Mが両逃げ防止部材18の収納開口20に入り込むと、両逃げ防止部材18は付勢具19の付勢力により閉じる。両逃げ防止部材18が閉じると、収納開口20内の被切断材Mは逃げ止め部18aによって脱出することができなくなり、一対の刃部3aから切断によって押し出す力を受けても収納開口20内に拘束され、両刃部3aによる切断が確実に行われる。
【0041】
図14(A)及び図14(B)には切断工具1の変形例を示しており、図1(A)及び図1(B)に示す実施形態とは、一対の切断刃3及び枢支部材4が異なる。
切断工具100の一対の切断刃3は対称形状であり、両刃部3aの中心線Sはレバー支軸9を通っており、各切断刃3は刃部3a、中途部3b及び基部3cが略直線状に形成されている。
【0042】
前記枢支部材4は、連結部材14と、この連結部材14に間隔をおいて支持されていて両切断刃3の各中途部3bを個別に枢支する2本の軸部材4Aとを有している。
前記切断工具100において、両切断刃3A、3Bは中途部3bから刃部3a側を基部3cに対して屈曲角αでくの字状に屈曲しており、両ハンドル6は中途部6cから自由端6d側を先端枢支部6aに対して切断刃3の刃部3a側と同側に屈曲角βでくの字状に屈曲しており、一方のハンドル6Bは中途部6cから自由端6d側をハンドル開閉方向でかつ他方のハンドル6Aから離れる方向に屈曲角γでくの字状に屈曲している。
【0043】
即ち、切断刃3の刃部3aの切断運動面Eをハンドル6の先端部の開閉運動面Fに対して傾斜し、この開閉運動面Fに対してハンドル6の把持側の把持運動面Gを傾斜し、かつ一方のハンドル6Bの把持側を他方ハンドル6Aから遠く離している。
前記前記切断工具100は一対の刃部3aを開いて被切断材Mに対して前方移動で押し付けながら、一対の刃部3aを閉じることにより、被切断材Mを切断する。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
例えば、切断工具1は屈曲角βの屈曲又は屈曲角γの屈曲を割愛した構成であってもよい。
軸受部材8の中高外周面8aは、外周面を軸方向中央から上下両端に次第に小径になる円弧面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 切断工具
3(3A、3B) 切断刃
3a 刃部
3b 中途部
3c 基部
4 枢支部材
4A 軸部材
5 連結軸
6(6A、6B) ハンドル
6a 先端枢支部
6b 支点部
6c 中途部
6d 自由端
6e 当接突起
8 軸受部材
8a 中高外周面
9 レバー支軸
14 連結部材
16 逃げ防止具
17 基部材
18 逃げ防止部材
18a 逃げ止め部
19 付勢具
20 収納開口
L1、L2、L3 中心線
S 刃部の中心線
α、β、γ 屈曲角
θ 挟角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14