特許第6739113号(P6739113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6739113
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A63F5/04 651
   A63F5/04 661
【請求項の数】5
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2019-127460(P2019-127460)
(22)【出願日】2019年7月9日
【審査請求日】2019年10月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 季広
【審査官】 金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−137148(JP,A)
【文献】 特開2017−189523(JP,A)
【文献】 特開2017−006413(JP,A)
【文献】 特開2017−217303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能であり、遊技の結果に応じて遊技用価値を付与可能な遊技機であって、
遊技の進行に応じて、遊技者にとって有利な特典を付与する特典付与手段と、
前記特典が付与されることを特定可能な特定事象を発生可能とする特定事象発生手段と、
遊技者からの所定操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定操作を遊技者に促す操作促進画像を表示する複数種類の促進演出のうちのいずれかを実行する演出実行手段とを備え、
前記複数種類の促進演出は、前記操作促進画像が表示される可能性を示唆する示唆演出の画像を表示した後に前記操作促進画像を表示する第1促進演出と、前記示唆演出の画像を表示することなく前記操作促進画像を表示する第2促進演出とを含み、
前記演出実行手段は、前記特定事象が発生していない第1状況において前記促進演出を実行する場合には前記第2促進演出よりも高い割合で前記第1促進演出を実行する一方、前記特定事象が発生している第2状況において前記促進演出を実行する場合には前記第1促進演出よりも高い割合で前記第2促進演出を実行する、遊技機。
【請求項2】
前記操作受付手段は、前記第1促進演出中においては前記操作促進画像が表示されてから以降において前記所定操作を有効に受け付け可能とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記演出実行手段は、前記第2状況においては前記第1促進演出を実行せず、前記第2状況において前記促進演出を実行する場合には前記第2促進演出を実行する、請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出実行手段は、前記示唆演出の画像を表示した後に前記操作促進画像を表示することなく終了する特別終了演出を実行する特別終了演出実行手段を含み、前記第2状況においては前記特別終了演出を実行しない、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記特定事象は、特定画像を表示する特定演出が実行される事象を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能であり、遊技の結果に応じて特典を付与可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例として、複数種類の図柄が配列されたリールを複数備え、メダル等を用いて賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることにより役抽選を行うとともにリールの回転を開始し、役抽選の結果とストップスイッチの操作態様(押し順、操作タイミング等)とに基づいてリールの回転を停止し、すべてのリールが停止したときの入賞ライン上の図柄の組合せに応じてメダル払出等を付与可能なスロットマシンが存在する。また、遊技者にとって特典(例えば有利な状態)として、所定の役(たとえば、小役あるいはリプレイ等)の当選確率を向上させるボーナスやRT(Replay Time)、役抽選の結果が複数の役に当選する結果となったときに特典がより大きな役を入賞させるための遊技者にとって有利となる操作情報を報知するAT(Assist Time)が設けられているスロットマシンも存在する。また、パチンコ球を遊技領域に発射して、遊技領域に設けられている始動入賞口に入賞することにより複数種類の図柄を可変表示させた後に停止させて図柄組合せを表示するパチンコ遊技機などが知られている。
【0003】
また、このような遊技機には、特定の操作部への操作を遊技者に対して促す促進画像を表示する促進演出を実行し、当該操作を受付けることに応じて、例えば大当たり等の特典が付与されるか否かの当否を報知するもの(特許文献1参照)や、促進画像を表示するまでの期間において促進画像を表示するかもしれないことを報知する煽り画像を表示する煽り演出を実行するもの(特許文献2参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−42564号公報
【特許文献2】特開2016−137148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の遊技機においては、特典が付与されるか否かを遊技者が把握している状況であるか否かにかかわらず、一律の割合で促進演出や煽り演出を実行するものであった。このため、例えば、特典が付与されるか否かを遊技者が把握できていない状況であっても、遊技者が把握できている状況と同じ割合で、例えば、促進演出が実行されて操作後において特典が付与されない旨の非当選が報知されてしまうため、促進演出が実行されることに対する遊技者の不信感や操作することへの意欲を低下させてしまう虞があった。また、例えば、特典が付与されることを既に遊技者が把握している状況においても、遊技者が把握できていない状況と同じ割合で煽り演出が実行され得るため、遊技者が把握している状況と異なり、特典が付与されないのではないかといった不信感やストレスを抱かせてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特典が付与されるか否かに関する遊技者の把握状況を考慮して促進演出や煽り演出を実行することにより、不信感やストレスを抱かせてしまうことを極力低減させるとともに、操作することへの意欲を減退させてしまうことを極力防止できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従う遊技機は、遊技を行うことが可能であり、遊技の結果に応じて遊技用価値を付与可能な遊技機であって、遊技の進行に応じて、遊技者にとって有利な特典を付与する特典付与手段と、前記特典が付与されることを特定可能な特定事象を発生可能とする特定事象発生手段と、遊技者からの所定操作を受け付ける操作受付手段と、前記所定操作を遊技者に促す操作促進画像を表示する複数種類の促進演出のうちのいずれかを実行する演出実行手段とを備え、前記複数種類の促進演出は、前記操作促進画像が表示される可能性を示唆する示唆演出の画像を表示した後に前記操作促進画像を表示する第1促進演出と、前記示唆演出の画像を表示することなく前記操作促進画像を表示する第2促進演出とを含み、前記演出実行手段は、前記特定事象が発生していない第1状況において前記促進演出を実行する場合には前記第2促進演出よりも高い割合で前記第1促進演出を実行する一方、前記特定事象が発生している第2状況において前記促進演出を実行する場合には前記第1促進演出よりも高い割合で前記第2促進演出を実行する。
【0008】
この構成によると、特定事象が発生しておらず特典が付与されることを遊技者が把握できていない第1状況においては、第2促進演出よりも高い割合で第1促進演出が実行される。このため、第1状況においては操作促進画像が表示されるまでに極力示唆演出の画像が表示される結果、遊技者の期待感を効果的に高めるとともに、操作促進画像が表示されたときに所定操作を行う意欲を向上させることができる。また、特定事象が発生しており特典が付与されることを遊技者が把握できている第2状況においては、第1促進演出よりも高い割合で第2促進演出が実行される。このため、第2状況においては極力示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像が表示される結果、第2状況において示唆演出の画像が表示されることにより遊技者が抱く不信感やストレスを極力低減できる。
【0009】
好ましくは、前記操作受付手段は、前記第1促進演出中においては前記操作促進画像が表示されてから以降において前記所定操作を有効に受け付け可能とする。
【0010】
この構成によると、第1促進演出中において未だ操作促進画像が表示されていない段階から所定操作が受け付けられてしまうことを防止するとともに、不整合な演出が実行されてしまうことを未然に防止できる。
【0011】
好ましくは、前記演出実行手段は、前記第2状況においては前記第1促進演出を実行せず、前記第2状況において前記促進演出を実行する場合には前記第2促進演出を実行する。
【0012】
この構成によると、第2状況においては示唆演出の画像を表示する第1促進演出が実行されることがないため、不信感やストレスを遊技者に抱かせてしまうことを防止できる。
【0013】
好ましくは、前記演出実行手段は、前記示唆演出の画像を表示した後に前記操作促進画像を表示することなく終了する特別終了演出を実行する特別終了演出実行手段を含み、前記第2状況においては前記特別終了演出を実行しない。
【0014】
この構成によると、特別終了演出が実行されることにより示唆演出の画像が表示される機会を増大させ、遊技者の期待感を高める機会を増大させつつも、第2状況において特別終了演出が実行されることがないため、不信感やストレスを遊技者に抱かせてしまうことを防止できる。
【0015】
好ましくは、前記特定事象は、特定画像を表示する特定演出が実行される事象を含む。
【0016】
この構成によると、特定画像が表示されることにより、特典が付与されることを遊技者が視覚的に特定しやすくでき、気付かずに見逃してしまうことを極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンの前面扉を開放した状態の斜視図である。
図3】リールの展開図である。
図4】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
図5】遊技制御処理を説明するための図である。
図6】役名称および図柄組合せ等について説明するための図である。
図7】当選役グループおよび役構成等について説明するための図である。
図8】遊技状態および有利期間各々の遷移について説明するための図である。
図9】複数種類のチャンスボタン演出の概要を説明するための図である。
図10】(a)はチャンスボタン演出抽選用テーブルを説明するための図であり、(b)は特定事象が発生していない第1状況においてチャンスボタン演出が実行された場合の表示例を示す図であり、(c)は特定事象が発生している第2状況においてチャンスボタン演出が実行された場合の表示例を示す図である。
図11】上空モードに制御されているAT中において「BAR揃いリプレイ」に当選して狙え演出が実行された場合を説明するための図である。
図12】狙え演出により特典の当否にかかわる結果が報知された後においてチャンスボタン演出が実行された場合の演出例を説明するための図である。
図13】3ゲーム目において第1チャンスボタン演出が盛り込まれた連続演出の例を説明するための図である。
図14】チャンスボタン演出を実行することにより操作促進画像が表示されることに対する期待感を抱かせる演出例を説明するための図である。
図15】チャンスボタン演出を開始可能なタイミングを説明するための図である。
図16】チャンスボタン演出が実行されたときの液晶表示器の表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本発明に係る遊技機の具体例として、メダルを遊技媒体として用いて遊技を実行可能なスロットマシンを挙げて説明する。しかし、遊技機は、このようなスロットマシンに限定されず、遊技球を遊技媒体として用いて遊技を実行可能な遊技機や、遊技媒体(メダルなど有体物の価値)を用いるものではなく内部的に付与される得点(電磁的方法により記録された情報など無体物の価値)を用いて遊技を実行可能な遊技機などの他の遊技機であってもよい。
【0019】
<スロットマシンの構成例>
図1および図2を参照してスロットマシンの全体構成を説明する。図1は、スロットマシンの正面図である。図2は、スロットマシンの前面扉が開放された状態を示す斜視図である。
【0020】
スロットマシン1は、前面に開口を有する箱状の筐体3と、筐体3の一辺において開閉自在に取り付けられた前面扉5とを含む部材から構成される。筐体3の前面は、前面扉5が筐体3に対して閉じられることにより閉塞される。前面扉5は、遊技場の管理者が管理する扉用鍵により筐体3に対して施錠・解除が可能となる。前面扉5が筐体3に対して閉じられた状態であるか否かは、扉センサ20により検出される。
【0021】
図1に示すように、前面扉5の中央部分には、表示窓7が設けられている。表示窓7からは、複数種類の図柄が配列されているリール11L、11M、11R(以下、まとめてリール11L〜11Rともいう)を視認できる。リール11L〜11Rが回転すると、表示窓7からは、リール11L〜11R各々に配列されている図柄が可変表示している状態を視認できる。このように、表示窓7およびリール11L〜11Rにより、複数の図柄を可変表示する可変表示部13が形成される。
【0022】
可変表示部13は、複数の可変表示列10を備えている。具体的に、可変表示部13は、表示窓7のうちリール11Lの前方に相当する部分とリール11Lとから構成される左可変表示列10L、表示窓7のうちリール11Mの前方に相当する部分とリール11Mとから構成される中可変表示列10M、および、表示窓7のうちリール11Rの前方に相当する部分とリール11Rとから構成される右可変表示列10Rを備えている。リール11L〜11Rが停止している状態において、左可変表示列10L、中可変表示列10M、および右可変表示列10R各々は、上段・中段・下段に図柄を停止表示できる。このため、表示窓7からは、9つの図柄を視認できる。
【0023】
本実施形態では、役の入賞判定対象となる入賞ラインとして、左可変表示列10Lの中段、中可変表示列10Mの中段、右可変表示列10Rの中段により構成されるいわゆる中段ラインが設定されている。表示窓7には、入賞ラインNLが描かれている。
【0024】
前面扉5の表示窓7の上方には、液晶表示器27が設けられている。液晶表示器27は、遊技(ゲーム)の進行に応じて、所定の画像を表示することにより演出を実行する。また、前面扉5の液晶表示器27の上方には、予め定められた役の図柄組合せや払出枚数等が刷られた説明パネル29が設けられ、さらに、説明パネル29の上方および左右各々には、ランプ部33L、33M、33Rが設けられている。ランプ部33L、33M、33Rは、LEDなどの光源を備え、遊技の進行に応じて発光することにより演出を実行する。
【0025】
前面扉5の表示窓7の左側には、クレジット表示器45と、ペイアウト表示器46と、報知用表示器60と、有利期間報知ランプ80とが配設されている。クレジット表示器45は、遊技者所有のメダルのうち、スロットマシン1内において貯留(記憶)されているメダルの枚数であるクレジットを表示する。クレジットの上限枚数は50に設定されている。
【0026】
ペイアウト表示器46は、役の入賞が発生したときにメダル(遊技媒体)の払出枚数を表示するとともに、エラー情報や設定示唆情報など各種情報の表示にも兼用される表示器である。設定示唆情報とは、設定値1〜6のうちの少なくともいずれかの設定値を特定可能にする情報であって、設定されている設定値を示唆する情報をいう。報知用表示器60は、遊技者にとって有利となる操作態様(例えば、操作タイミング、押し順など。以下、有利操作態様ともいう)や役抽選の結果などを特定するための所定情報を報知する表示器である。有利期間報知ランプ80は、有利操作態様を報知可能なAT遊技を許容できる有利な期間(以下、有利期間という)であることを報知する表示器である。
【0027】
クレジット表示器45、ペイアウト表示器46、および報知用表示器60は、各々、例えば7セグメントLEDにより構成され、各セグメントの点灯態様に応じて情報を報知する。また、有利期間報知ランプ80は、例えばLEDにより構成され、有利期間において点灯し、有利期間ではない通常期間において消灯する。
【0028】
前面扉5の表示窓7の下方には、各種の操作部が設けられている。操作部としては、ベットスイッチ15、最大ベットスイッチ17、演出操作部81、スタートスイッチ19、精算スイッチ23、ストップスイッチ21L、21M、21R(以下、まとめてストップスイッチ21L〜21Rともいう)、および、メダル投入口25が設けられている。
【0029】
ベットスイッチ15は、クレジットを用いて1枚分のメダルを賭数設定するための操作を検出するスイッチである。最大ベットスイッチ17は、クレジットを用いて最大賭け枚数分のメダルを賭数設定するための操作を検出するスイッチである。最大賭け枚数とは、1回の遊技(以下、1遊技ともいう)について賭数設定できる最大の枚数(本実施形態では「3」に設定。)をいう。なお、最大ベットスイッチ17にはLEDが内蔵されており賭数設定できる状態となると所定の態様(点滅状態、点灯状態)で発光するようになっている。
【0030】
演出操作部81は、演出に関わる操作を検出するスイッチである。演出に関わる操作には、演出を実行・発展させるための操作、演出モードやキャラクタ等を選択するための操作、および遊技履歴等を表示させる遊技者メニュー状態や設定履歴等を表示させる管理者メニュー状態へ移行させるための操作等を含む。
【0031】
スタートスイッチ19は、リール11L〜11R各々を回転させて図柄の可変表示を開始させるための操作を検出するスイッチである。精算スイッチ23は、クレジットあるいは設定済の賭数に相当する枚数分のメダルを払い出させるための操作を検出するスイッチである。ストップスイッチ21L〜21Rは、各々、リール11L〜11Rのうちの対応するリールの回転を停止させて図柄の可変表示を停止させるための操作を検出するスイッチである。メダル投入口25は、遊技者がメダルを投入するための開口である。
【0032】
演出操作部81を含む各種スイッチは、各々に対応する操作部(ボタン部)への操作を検出する。各種スイッチに対応する操作部は、光を透過する透過部材から構成されている。また、各種スイッチに対応する操作部の内部には、例えばLEDなどの光源が搭載されており、遊技の進行に応じて操作可能なタイミング(操作を有効に受付けるタイミング)等において発光することにより演出を実行する。
【0033】
前面扉5における各種の操作部の下方には、キャラクタなどが刷られた下部パネル35が設けられている。また、下部パネル35の左右には、それぞれ下部ランプ部37L、37Rが設けられている。下部ランプ部37L、37Rは、例えばLEDなどの光源を備え、遊技の進行に応じて発光することにより演出を実行する。
【0034】
また、下部パネル35の下方には、役入賞の発生等に応じてメダルを払い出すためのメダル払出口39、および、メダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。メダル払出口39の左右には、各々、遊技の進行に応じて効果音や音声などを出力することによる演出を行うためのスピーカ31L、31Rが設けられている。
【0035】
次に、スロットマシン1の筐体3の内部構成について説明する。図2に示すように、スロットマシン1の筐体3内の中央には、リール11L〜11Rを横並びに収容するためのリールユニット9が設けられている。リールユニット9は、筐体3内の後壁に固定されている。リールユニット9は、リールモータ14L、14M、14R(図4参照。以下、リールモータ14L〜14Rともいう。)と、位置センサ55L、55M、55R(図4参照。以下、位置センサ55L〜55Rともいう)とを備えている。
【0036】
リールモータ14L〜14Rは、各々、リールユニット9のフレームに対して横並びに固定されており、その回転軸にリール11L〜11Rのうちの対応するリールが固定されている。これにより、リールモータ14L〜14Rが駆動制御されることにより回転・停止する。リールモータ14L〜14Rは、例えばステッピングモータにより構成されている。
【0037】
位置センサ55L〜55Rは、各々、リール11L〜11Rに設けられた突起部がリール回転に伴って所定位置を通過したことを検出するためのセンサである。位置センサ55L〜55Rは、例えばフォトインタラプタにより構成されている。位置センサ55L〜55Rは、各々対応するリールの突起部を検出したときに、そのリールの所定位置の図柄(例えば、図3の図柄番号19番の図柄)が表示窓7の中段に位置するように構成されている。
【0038】
リールユニット9の上方には、メイン制御基板63およびサブ制御基板73が各々基板ケースに収納された状態で設置されている。基板ケースは、収納されている制御基板などに対して仮に不正が行われた場合、その痕跡を容易に判別可能にするために、たとえば一部の部材を破壊等しなければ制御基板に接触できない構造を有している。また、メイン制御基板63とサブ制御基板73とは、基板間を接続する信号線により電気的に接続されている。
【0039】
リールユニット9の下方には、ホッパーユニット43が設けられている。ホッパーユニット43は、ホッパー容器42と、満タンセンサ58(図4参照)と、ホッパーモータ57(図4参照)と、払出センサ54(図4参照)とを備えている。
【0040】
ホッパー容器42は、メダル投入口25から受け入れられたメダルを貯留するための容器である。満タンセンサ58は、ホッパー容器42の所定位置に設けられ、ホッパー容器42に貯留されたメダルが所定量に達した満タン状態であることを検出するセンサである。
【0041】
ホッパーモータ57は、所定の払出条件が成立したときに駆動し、ホッパー容器42に貯留されたメダルを所定枚数排出するために駆動するモータである。ホッパーモータ57は、たとえばDCモータ(Direct Current Motor)により構成されている。払出センサ54は、ホッパーモータ57によりホッパー容器42から排出されるメダルを1枚ずつ検出するセンサである。払出センサ54により検出されたメダルは、前面扉5の裏面側の下方に設けられたメダルシュート47を介して、メダル払出口39から払い出される。
【0042】
ホッパーユニット43の左側方には、スロットマシン1が備える各種装置に電力を供給するための電源ユニット49が配設されている。電源ユニット49には、電源スイッチ50、リセットスイッチ52、および、変更処理開始スイッチ56が配設されている。
【0043】
電源スイッチ50は、スロットマシン1への電力供給の有無を切り換えるスイッチである。リセットスイッチ52は、設定値を変更可能な設定変更処理中において設定値の切り換え操作を検出するためのスイッチである。リセットスイッチ52は、エラーが発生した際のエラー解除するためのスイッチとしても用いられる。変更処理開始スイッチ56は、設定変更処理用のキーシリンダからなり、設定変更処理に移行させるための操作を検出するスイッチである。変更処理開始スイッチ56を含む筐体3の内部に設けられているスイッチは、前面扉5を開放しているときに操作可能となるスイッチである。このため、基本的には、遊技場の管理者のみが操作可能となる。
【0044】
設定値は、遊技者にとっての有利度合いを特定するための値である。具体的に、設定値は、役抽選において予め定められている役に当選する当選確率を特定するための値である。役抽選においては、設定されている設定値に応じた当選確率を用いることにより役に当選する確率を異ならせることができる。つまり、設定されている設定値が異なるときには、同じ役であっても、役抽選において当選する当選確率が異なる場合が生じる。その結果、設定されている設定値に応じて、遊技を所定回数実行する間に払出されるメダルの枚数が異なり、その結果、払出率を異ならせることができる。このため、設定値は、遊技者にとっての有利度合いを特定するための値であるとともに、払出率を特定するための値であるともいえる。設定値としては、例えば、当選確率が異なる1〜6(本実施形態においては、設定値1、2、5、6の4段階)が設けられており、設定値1が最も低い払出率であり、設定値6が最も高い払出率となっている。なお、設定値は、1〜6の6段階に設けられているものであってもよい。設定値の変更は、遊技場の管理者が管理する設定変更用鍵により変更処理開始スイッチ56をONにした状態で電源を投入することにより設定変更処理に移行させることにより可能となる。
【0045】
設定値は、設定変更処理中にリセットスイッチ52を操作することにより順次切替える(例えば…5→6→1→2→5…)ことができる。設定変更処理中は、ペイアウト表示器46に設定値が表示される。設定変更処理では、スタートスイッチ19への操作が検出された後、変更処理開始スイッチ56をOFFにすることにより、そのときに表示されていた設定値を記憶する。これにより、設定値の変更が完了し、以降の遊技においては、記憶された設定値に基づき後述する役抽選等が行われる。なお、設定変更処理が行われたときには、スロットマシン1のRAM65が初期化される。
【0046】
前面扉5の裏面側には、メダル投入口25の裏側に相当する位置にメダルセレクタ48が配設されている。メダルセレクタ48は、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものであるか否かを物理的に選別し、正規のメダルについてはホッパー容器42に貯留させるための第1流路40側に誘導する一方、非正規のメダルについては外部へ排出させるための第2流路44側に誘導する構造を有する。
【0047】
また、メダルセレクタ48は、切替ソレノイド51(図4参照)と、投入センサ53(図4参照)とを備えている。切替ソレノイド51は、遊技状況(例えばリール回転中、クレジット上限到達時等)に応じて投入されたメダルを強制的に第2流路44側に切替えるためのソレノイドである。投入センサ53は、メダル投入口25から投入されたメダルのうち第1流路40側に誘導されたメダルを1枚ずつ検出するセンサである。投入センサ53により検出されたメダルは、前面扉5が閉じられた状態においてホッパー容器42に貯留される。これに対し、第2流路44側に誘導されたメダルは、メダルシュート47を介してメダル払出口39から排出される。
【0048】
次に、図3を参照して、リール11L〜11R各々の図柄配列の構成について説明する。リール11L〜11Rには、各々、図3(a)に示すとおり複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。複数種類の図柄は、絵柄により構成される。以下においては、複数種類の図柄各々を、図3(b)において対応するように示されている名称(「R7」「B7」「BAR」「BL」「R1」「R2」「BE」「CH」「WM1」「WM2」)を用いて説明する。複数種類の図柄は、他の図柄と識別可能な態様であれば絵柄に限るものではなく、模様や、記号、数字など、どのようなものであってもよい。「R7」および「B7」は、絵柄が「7」を主体としており形状が共通するものの、尖った部分の位置・方向(R7:右上部分において左方向に尖っている+左下部分において上方向に尖っている、B7:右上部分および左下部分左部分において尖っていない)や色合い(R7:赤色、B7:青色)が異なる。また、「R1」および「R2」は、絵柄中央に「Replay」と記載されており、形状や色合いが共通するものの、突出している箇所(R1:上下左右、R2:左上、左下、右上、右下)が異なる。このように、「R1」および「R2」は、外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「R」ともいう。同様に、「WM1」および「WM2」は、絵柄が「スイカ」を主体としており形状や色合いが共通するものの、特殊なデザイン(きらきらをイメージさせるデザイン)の有無(WM1:無し、WM2:切り口に沿って点在)において異なる。このように、「WM1」および「WM2」は、外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「WM」ともいう。
【0049】
図3においては、その左端に、リール11L〜11R各々に図柄が配置されている図柄配置領域に対応させて図柄番号0〜19を示している。図柄番号0〜19は、本実施形態のリール11L〜11R各々において、どの図柄配置領域の図柄であるかを特定するための番号である。
【0050】
本実施形態の場合、例えば、図柄番号0〜19までの図柄が印刷されたリールテープがリール11L〜11R各々の周面に貼り付けられている。このため、リール11L〜11Rが回転すると、図柄番号…19→18→17→…2→1→0→19→18…といったように、予め定められた順に複数の図柄を表示窓7において可変表示させることができる。
【0051】
以上のような構成を備えるスロットマシン1は、まずメダル投入口25へのメダル投入あるいはベットスイッチ15等が操作されて1ゲームの開始に必要な規定数(本実施形態では「3」に設定)分のメダルが賭数設定されることにより回転開始可能な状態になり、スタートスイッチ19が操作されることにより、リール11L〜11Rを回転させて図柄を可変表示して1遊技を開始する。本実施形態においては、遊技状態にかかわらず規定数として「3」が設定されている例について説明するが、これに限らず、遊技状態に応じて異なる規定数が設定(例えば「ボーナス状態」以外の遊技状態の規定数として「3」が設定、「ボーナス状態」の規定数として「2」が設定)されているものであってもよい。
【0052】
1遊技が開始された後においては、リール回転中においてストップスイッチ21L〜21Rが操作されることにより対応するリールの回転を停止させ、リール11L〜11Rすべての回転が停止することにより1遊技を終了する。スロットマシン1は、リール11L〜11Rすべての回転が停止したときの図柄組合せなど(遊技結果)に応じて遊技者に対して所定の遊技用価値を新たに付与する。遊技用価値としては、例えば、所定枚数のメダル払出(あるいはクレジット加算)や、メダル等を新たに用いることなく次回遊技の賭数を自動設定することにより付与される再遊技等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0053】
次に、図4を参照して、スロットマシン1の電気的な構成について説明する。図4に示すとおり、スロットマシン1には、メイン制御基板63、サブ制御基板73、電源ユニット49、および、外部出力基板90などが設けられている。
【0054】
メイン制御基板63は、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装された基板である。サブ制御基板73は、遊技の進行に応じた演出の制御を行うサブCPU71が実装された基板である。電源ユニット49は、外部から供給される電力を用いて、スロットマシン1に搭載された各種電気部品を駆動するための電源を生成する。外部出力基板90は、遊技の進行に応じた信号をスロットマシン1の外部(例えば、ホールコンピュータ、台毎データ表示器等)に出力する基板である。
【0055】
メインCPU61は、遊技の進行を制御するための遊技制御プログラムを記憶するROM67と、遊技に関するデータなどを一時的に記憶するRAM65とを備え、ROM67に格納された遊技制御プログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を有している。
【0056】
メインCPU61は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM67に記憶されている遊技制御プログラムを実行し、メイン制御基板63に接続されたスイッチ(操作手段)やセンサ(検出手段)からの信号に基づいて遊技の進行に関する処理を行う。また、メインCPU61は、スロットマシン1においてエラーが発生しているか否かを判定する。エラーには、例えば、投入センサ53により所定時間以上検知されているセレクターエラー、満タンセンサ58によりホッパー容器42が満タンであることが検知されている満タンエラー、ホッパーモータ57を駆動しているにもかかわらず払出センサ54により所定時間以上検知されていないメダル切れエラーなどを含む。
【0057】
メイン制御基板63に接続されたスイッチやセンサには、図4に示される、投入センサ53、ベットスイッチ15、最大ベットスイッチ17、スタートスイッチ19、扉センサ20、ストップスイッチ21L〜21R、精算スイッチ23、リセットスイッチ52、変更処理開始スイッチ56、位置センサ55L〜55R、払出センサ54、満タンセンサ58などが含まれる。
【0058】
また、メインCPU61は、遊技の進行に関する処理を行って、メイン制御基板63に接続された機器類を駆動制御する。メイン制御基板63に接続された機器類には、図4に示される、切替ソレノイド51、クレジット表示器45、ペイアウト表示器46、報知用表示器60、有利期間報知ランプ80、リールモータ14L〜14R、ホッパーモータ57、および、各種LEDなどが含まれる。また、メイン制御基板63には、7セグメントLEDからなる表示器が搭載されている。メイン制御基板63には、全遊技期間に対して有利期間に滞在している有利期間滞在比率、総払出枚数に対するボーナスでの払出枚数の役物比率、総遊技回数に対するボーナス入賞からボーナス終了までの遊技回数の役物等状態比率、メダルの総払出枚数に対して有利期間中におけるナビ演出(指示)による払出枚数とボーナス状態中における払出枚数との合計払出枚数が占める比率(例えば、指示込役物比率ともいう)などを表示する表示器が搭載されている。なお、有利期間滞在比率、役物比率、役物等状態比率、および指示込役物比率などは、メイン制御基板63に搭載されている表示器に表示するものに限らず、別個に設けられた表示器(例えば、ペイアウト表示器46等)に表示するものであってもよい。この場合、メインCPU61は、例えばリセットスイッチ52が操作されたときに、有利期間滞在比率、役物比率、役物等状態比率、および指示込役物比率などを表示器に表示するようにしてもよい。
【0059】
メイン制御基板63は、遊技の進行に応じて、サブ制御基板73に対して各種のコマンドを送信する。サブ制御基板73は、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて演出の制御を行う。一方、サブ制御基板73からメイン制御基板63に対しては、コマンドを送ることはできない。コマンドは、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して一方向にのみ送信される。
【0060】
サブ制御基板73に搭載されているサブCPU71は、演出を制御するための演出制御プログラムを記憶するROM77と、演出に関するデータなどを一時的に記憶するRAM75とを備え、ROM77に格納された演出制御プログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を有している。
【0061】
サブCPU71は、タイマ割込などの割込機能を有し、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて、ROM77に記憶されている演出制御プログラムを実行し、遊技の進行に応じた演出内容の決定等を行い、その結果に基づいてサブ制御基板73に接続された機器類を駆動制御して演出を行う。サブ制御基板73に接続された機器類には、図4に示される、スピーカ31L、31R、液晶表示器27、各種ランプ・LED、および演出操作部81などが含まれる。液晶表示器27は、表示領域に画像を表示させるための表示処理を実行する表示制御部を含む。表示制御部は、サブ制御基板73からの表示制御用のコマンドに基づいて表示処理を実行して、液晶表示器27の表示領域に所定の画像を表示する。また、表示制御部は、表示内容に応じてコマンドをサブ制御基板73に送信することも可能である。サブ制御基板73は、表示制御部からのコマンドに基づいて、スピーカ31L、31Rおよび各種ランプ・LED等に対応するコマンドを送信することにより、表示領域に表示する画像に対応する音や光による演出を実行させる。サブCPU71により制御される各種ランプ・LEDには、各種スイッチに対応する操作部の内部に搭載されているLEDを含む。サブCPU71は、エコモードであるか否かに応じて、制御されているモードに対応する消費電力となるように当該LED等を制御することより、操作部を光らせることができる。
【0062】
演出操作部81には、決定用の決定スイッチ81aと、選択用の左選択スイッチ81b、右選択スイッチ81c、上選択スイッチ81d、および下選択スイッチ81e(これらをまとめて上下左右スイッチともいう)とが設けられている。サブCPU71は、予め定められた演出を実行させるときや発展させる際に決定スイッチ81aへの操作を促す促進演出を実行し、決定スイッチ81aが操作されることにより予め定められた演出を実行あるいは発展させる制御を行う。また、サブCPU71は、液晶表示器27などにより実行する演出(キャラクタや背景)の種類が異なる複数種類の演出モードのうちからいずれかを設定できる演出モード選択可能状態(演出モード選択画面表示中)において、上下左右スイッチが操作されることによりいずれかの演出モードを選択し、決定スイッチ81aが操作されることにより選択されている演出モードを設定する。
【0063】
さらに、サブCPU71は、変更処理開始スイッチ56が操作されて設定変更処理に移行されているときに決定スイッチ81aが操作されることにより管理者メニュー状態に移行させて、管理者メニュー画面を液晶表示器27において表示可能にする。管理者メニュー画面では、「日時設定」、「設定変更履歴」の表示、「携帯連動サービスON/OFF設定」、および「エコモードの設定」などを行うことができる。エコモードとは、サブ制御基板73に接続された機器類による演出実行により消費される電力を通常時よりも節約するモードをいう。エコモードが設定されているときには、通常時よりも、例えば、液晶表示器27、各種ランプ・LEDの輝度を低くする制御や、駆動時間あるいは点灯時間を短くする制御、スピーカ31L、31Rから出力される音量を低くする制御などが行われる。
【0064】
また、サブCPU71は、リール11L〜11Rのいずれも回転しておらず、かつ遊技の進行に応じて発生する特定の演出(例えば、複数遊技にわたって連続する連続演出、特定のボタンへの操作を促すチャンスボタン演出など)が実行されていないときであって、いずれの操作も検出されることなく所定時間が経過している状態(以下では、待機状態、あるいは遊技待機中ともいう)において決定スイッチ81aが操作されることにより遊技者メニュー状態に移行させて、遊技者メニュー画面を液晶表示器27において表示可能にする。待機状態においては、決定スイッチ81aへの操作を促して遊技者メニュー状態に誘導するための誘導演出(促進演出に含まれる)を実行する。誘導演出中に決定スイッチ81aが操作されることにより、遊技者メニュー状態に移行させて遊技者メニュー画面が表示される。
【0065】
また、遊技者メニュー画面においては、演出操作部81への操作に応じて、例えば、入賞の発生回数や発生確率などの役履歴の確認や、遊技者の遊技履歴を蓄積するための携帯連動サービス(以下では、携帯連動ともいう)の設定、スピーカ31L、31Rから出力される音量設定、液晶表示器27の輝度調整などを行うことができる。なお、エコモードの設定は、管理者メニュー状態において設定可能となる例について説明するが、これに限らず、遊技者メニュー状態において設定可能となるものであってもよい。
【0066】
サブCPU71は、管理者メニュー状態および遊技者メニュー状態において上下左右スイッチが操作されることにより表示する項目や対象を選択し、決定スイッチ81aが操作されることにより選択されている項目や対象に応じた処理を実行する。なお、サブCPU71は、特定の演出を実行しているときであっても、決定スイッチ81aが操作されることにより遊技者メニュー状態に移行させるようにしてもよい。この場合、サブCPU71は、特定のレイヤに特定の演出の画像を描き、決定スイッチ81aが操作されることにより、特定のレイヤよりも優先度が高いレイヤにおいて、遊技者メニュー状態における遊技者メニュー画面の画像を描くことにより、遊技者メニュー画面を優先して表示するようにしてもよい。なお、遊技者メニュー画面表示中においては、特定のレイヤにおける特定の演出を継続して実行するものであってもよく、また特定のレイヤにおける特定の演出を一旦終了するものであってもよい。
【0067】
また、遊技者メニュー画面表示中に特定のレイヤで特定の演出を継続して実行する場合であって、当該演出が特定のボタンへの操作を促すチャンスボタン演出を伴わない連続演出であるときには、決定スイッチ81aの操作で遊技者メニュー画面を表示可能にする一方、当該演出が特定のボタンへの操作を促すチャンスボタン演出であるときには、決定スイッチ81aが操作されたとしても遊技者メニュー画面を表示しないようにしてもよい。このようにすることで、遊技者メニュー画面表示中における決定スイッチ81aの操作によって、意図せずにチャンスボタン演出を次の段階に発展させてしまうことを未然に防止できる。また、遊技者メニュー画面を表示させるためのスイッチと、チャンスボタン演出を発展させるためのスイッチとは、同じスイッチであってもよく、物理的に異なるスイッチであってもよい。なお、遊技者メニュー画面を表示させるためのスイッチと、チャンスボタン演出を発展させるためのスイッチとが異なるスイッチであっても、遊技者メニュー画面表示中においてチャンスボタン演出を発展させるためのスイッチを操作してしまい意図せずに演出を発展させてしまうことを防止できる。
【0068】
<遊技制御処理>
メインCPU61は、ROM67に記憶されている遊技制御プログラムに基づいて、遊技の進行を制御するための遊技制御処理を行う。図5は、遊技制御処理の一例を説明するための図である。
【0069】
(賭数設定処理)
S100の賭数設定処理では、投入センサ53からの検出信号、ベットスイッチ15あるいは最大ベットスイッチ17からの操作信号、および再遊技役の入賞時に設定される再遊技フラグなどに応じて、賭数を設定するための処理が行われる。賭数設定処理では、賭数が設定されたときに賭数設定コマンドを出力する。設定された賭数が規定数に達しているときには、スタートスイッチ19への操作を有効に受け付ける回転開始可能な状態(有効化)にする。
【0070】
また、賭数設定処理では、精算スイッチ23からの操作信号に基づいて、ホッパーモータ57を駆動させる駆動信号を出力して、クレジット分あるいは設定済の賭数分に相当する枚数のメダルを払い出すための精算処理が行われる。賭数設定処理は、回転開始可能な状態においてスタートスイッチ19からの操作信号を受信することにより終了し、S200の内部抽選処理へ移行する。賭数設定処理では、スタートスイッチ19からの操作信号を受信して内部抽選処理へ移行する際に、実際に設定された賭数(メダル枚数)を特定可能なベットコマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においても1遊技に対して賭数設定されたメダル枚数を特定可能となる。
【0071】
(内部抽選処理)
S200の内部抽選処理では、所定範囲(例えば0〜65535)で乱数値を更新する乱数回路から役抽選用の乱数値を抽出し、抽出した値(以下、抽出値という)に基づいて予め定められた複数種類の役のいずれかに当選するか否かを抽選する役抽選が行われる。図6を参照して、スロットマシン1において設定されている役の種別および役名称について説明する。
【0072】
役の種別としては、ボーナス役と、再遊技役と、小役とが設けられている。ボーナス役は、小役の当選確率が高いボーナス状態への移行という特典を伴う移行役である。再遊技役(以下、リプレイともいう)は、入賞したときに前述の再遊技フラグを設定して再遊技の付与を伴う役である。賭数設定処理では、再遊技フラグが設定されている場合、遊技者所有のメダル(あるいはクレジット)を新たに用いることなく、次に(今から)開始される遊技(今回遊技)の規定数に対応した賭数を次回遊技の賭数として自動設定する。小役は、所定枚数のメダルの払い出し(あるいはクレジット加算)を伴う役である。
【0073】
ボーナス役としては、役名称「RBB1」が設けられている。「RBB1」の図柄組合せには、「R7」の3つ揃いとなる組合せが定められている。「RBB1」に入賞したときには、ボーナス状態に制御される。ボーナス状態は、払出されたメダルの枚数が、入賞したボーナス役に対応するメダル枚数(図6の備考欄に記載の200枚)を超えた遊技で終了する。
【0074】
再遊技役としては、役名称「RP1」〜「RP10」が設けられている。「RP1」の図柄組合せには、「R1」の3つ揃いとなる組合せが定められている。「RP2」〜「RP10」についても、各々、図6に記載のとおりの図柄組合せが定められている。「RP1」および「RP2」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、リール11L〜11R各々の中段・中段・中段に「R」図柄が停止し、見た目上は、「R」図柄が入賞ラインNL上に揃う。「RP3」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、リール11L〜11R各々の下段・中段・上段に「R」図柄が停止し、見た目上は、「R」図柄が右上がりライン上に揃う。「RP4」および「RP5」は、再遊技役の当選確率が高い遊技者にとって有利な遊技状態(後述するRT2)に制御する契機となる役であるため、昇格リプレイともいう。「RP4」および「RP5」各々の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、リール11Lおよびリール11M各々の中段・中段に「R」図柄が停止するとともにリール11Rの中段に「BE」図柄が停止し、見た目上は、リール11Lおよびリール11Mにおいて「R」図柄がテンパイしている状態となる。
【0075】
「RP6」および「RP7」各々の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、リール11Mの中段とリール11Rの上段または下段に「BAR」図柄が停止するとともにリール11Lの中段に「BE」図柄が停止し、見た目上は、リール11Mおよびリール11Rにおいて「BAR」図柄がテンパイしている状態となる場合がある。このため、「RP6」および「RP7」は、BARテンパイリプレイあるいはフェイクBARともいう。
【0076】
これに対し、「RP8」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「BAR」図柄がリール11L〜11R各々の下段・中段・上段に停止し、見た目上は、「BAR」図柄が右上がりラインに停止している状態となる場合がある。このため、「RP8」は、右上がりBAR揃いリプレイともいう。また、「RP9」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「BAR」図柄がリール11L〜11R各々の上段・中段・下段に停止し、見た目上は、「BAR」図柄が右下がりラインに停止している状態となる場合がある。このため、「RP9」は、右下がりBAR揃いリプレイともいう。「RP10」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、リール11Lおよびリール11M各々の中段・上段に「CH」図柄が停止している状態になり得る場合がある。
【0077】
小役としては、役名称「PZ1」〜「PZ41」が設けられている。「PZ1」〜「PZ41」についても、各々、図6に記載のとおりの図柄組合せが定められている。このうち、「PZ1」および「PZ2」各々の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「BE」図柄がリール11L〜11R各々の上段・中段・下段に停止し、見た目上は、「BE」図柄が右下がりラインに停止される。このため、「PZ1」および「PZ2」は、右下がりベルともいう。「PZ3」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「BE」図柄がリール11L〜11R各々の中段・中段・中段に停止し、「BE」図柄が入賞ラインNL上に停止される。このため、「PZ3」は、中段ベルともいう。「PZ1」〜「PZ3」は、ボーナス状態以外の状態においては押し順が正解したときに入賞となり、ボーナス状態においては押し順にかかわらず入賞となり、メダルが9枚払い出される。「PZ4」〜「PZ36」は、押し順が不正解(失敗)したときであってストップスイッチ21L〜21Rへの操作タイミングに応じて入賞可能であり、メダルが4枚払出される。「PZ4」〜「PZ36」は、押し順不正解ベルともいう。
【0078】
また、「PZ37」の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「WM」図柄がリール11L〜11R各々の上段・中段・下段に停止し、「WM」図柄が右下がりラインに停止される場合がある。このため、「PZ37」は、スイカともいう。「PZ38」〜「PZ40」各々の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、「CH」図柄がリール11Lおよびリール11M各々の上段あるいは下段に停止される場合がある。このため、「PZ38」〜「PZ40」は、チェリーともいう。「PZ41」は、入賞ラインNL上において「WM」図柄がテンパイするチャンス目を停止し得る役である。「PZ37」〜「PZ41」は、ストップスイッチ21L〜21Rへの操作タイミングに応じて入賞可能であり、メダルが4枚払出される。
【0079】
内部抽選処理では、図6に示す役のうち予め定められた役から構成される複数種類の当選役グループ毎に役抽選が行われる。図7を参照して、本実施形態における当選役グループおよび役構成について説明する。
【0080】
ボーナス役を含む当選役グループとしては、ボーナス役である「RBB1」から構成される「RBB」が設けられている。なお、ボーナス役を含む当選役グループは、ボーナス役のみならず、他の役(例えば「PZ38」〜「PZ41」など)と同時に当選する当選役グループを含むものであってもよい。
【0081】
再遊技役の当選役グループとしては、「通常リプレイ」、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」(以下、まとめて「RT2移行リプレイ」ともいう)、「フェイクリプレイ」、および、「BAR揃いリプレイ」が設けられている。「通常リプレイ」は、「RP1」および「RP2」から構成される当選役グループである。「RT2移行リプレイ1」は、「RP1」「RP2」「RP4」「RP5」から構成される当選役グループである。他の再遊技役の当選役グループについても、図7の役構成欄に記載の役から構成される。
【0082】
小役の当選役グループとしては、「チェリー」、「スイカ」、「チャンス目」、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」、および、「全小役」が設けられている。このうち、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」は、「PZ1」および「PZ2」、または「PZ3」に加えて、「PZ4」〜「PZ36」のうちの複数種類の役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」は、まとめて「押し順ベル」ともいう。「全小役」は、すべての小役から構成される当選役グループである。他の小役の当選役グループについても、図7の役構成欄に記載の役から構成される。
【0083】
これら複数種類の当選役グループのうち役抽選の対象となる当選役グループは、複数種類の遊技状態毎に定められている。また、役抽選における当選確率にかかわる判定値は、当選役グループ、制御されている遊技状態、および設定されている設定値に応じて定められている。
【0084】
スロットマシン1において制御可能となる遊技状態としては、「RT0」〜「RT2」、「RBB1」が当選している、いわゆる持越し遊技状態とも内部当選状態とも言われる「RT3」、およびボーナス役の入賞に伴うボーナス状態である「RBB1」などが設けられている。「RT0」〜「RT2」は、まとめて一般遊技状態ともいう。
【0085】
ボーナス役を含む当選役グループのうち「RBB」は、一般遊技状態において役抽選の対象となる。ボーナス役を含む当選役グループは、例えば設定値1のときには当選確率が1/400となるように判定値が定められている。ボーナス役を含む当選役グループの判定値は、設定値に応じて異なる判定値が定められており、設定値が高くなるに連れて当選確率が高くなる。例えば、設定値6のときには当選確率が1/380となるように判定値が定められている。なお、「RBB」は、設定値にかかわらず一律の確率で当選するように判定値が定められているものであってもよい。また、ボーナス役を含む当選役グループに当選する確率は、例示したものに限るものではなく、他の確率となるように定められているものであってもよい。
【0086】
次に、再遊技役を含む当選役グループのうち「通常リプレイ」は、一般遊技状態、「RT3」において役抽選の対象となる。また、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」は、「RT1」においてのみ役抽選の対象となる。「フェイクリプレイ」および「BAR揃いリプレイ」は、各々、「RT1」および「RT2」において役抽選の対象となる。再遊技役を含む当選役グループの当選確率は、制御されているRTの種類に応じた当選確率となる。
【0087】
「通常リプレイ」「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」「フェイクリプレイ」および「BAR揃いリプレイ」のうちのいずれかに当選する確率は、例えば、「RT1」≦「RT0」<「RT3」<「RT2」の関係となるように判定値が記憶されている。このため、一般遊技状態のうち「RT2」は、他の遊技状態と比較して再遊技役の当選確率が向上するため、遊技者にとって有利な状態であるといえる。また、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」のうちのいずれかに当選する確率は、「RT1」において例えば1/20となるように判定値が記憶されている。また、「フェイクリプレイ」に当選する確率、および、「BAR揃いリプレイ」に当選する確率は、各々、「RT1」において例えば1/20となり、「RT2」において例えば1/10となるように判定値が記憶されている。なお、再遊技役を含む当選役グループに当選する確率は、例示したものに限るものではなく、他の確率となるように定められているものであってもよい。
【0088】
小役を含む当選役グループのうち、「チェリー」「スイカ」「チャンス目」「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」は、各々、一般遊技状態および「RT3」において役抽選の対象となる。また、「チェリー」「スイカ」「チャンス目」「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」各々に当選する確率は、遊技状態や設定値にかかわらず一律の確率となるように判定値が記憶されている。例えば、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選する確率は、遊技状態や設定値にかかわらず例えば1/5となり、かつ「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」各々の当選確率が同一となるように、判定値が均等に振分けられている。「チェリー」「スイカ」「チャンス目」のいずれかに当選する確率は、遊技状態や設定値にかかわらず、例えば1/100となるように、判定値が記憶されている。また、「全小役」は、「RBB1」において役抽選の対象となり、1/1の確率で当選するように判定値が定められており、1遊技毎にすべての小役に当選して9枚払出を伴う「PZ3」に入賞する。このため、「RBB1」は、一般遊技状態などと比較して遊技者にとって有利な状態であるといえる。なお、小役を含む当選役グループに当選する確率は、例示したものに限るものではなく、他の確率となるように定められているものであってもよく、設定値に応じて定められているものであってもよい。
【0089】
内部抽選処理では、現在の遊技状態において役抽選の対象となる当選役グループの判定値(設定されている設定値に応じた判定値)を読み出し、抽出値から減算した値(抽出値を更新)が所定値(例えば0)よりも小さい値になっているか否かを判定する判定処理を行い、小さい値になっていなければ(例えば0以上のとき)次の当選役グループについての判定処理を行うというサイクルを繰り返す。
【0090】
いずれかの当選役グループについての判定処理において所定値よりも小さい値になっていると判定したときには、この当選役グループに当選していると判定し、当該当選役グループに含まれる役の当選フラグをRAM65の所定領域に設定して役抽選を終了する。このため、当選役グループに当選する確率は、「当選役グループの判定値/65536」となる。役抽選において読み出される判定値が大きいほど所定値よりも小さい値になりやすくなるため、当選確率が高い当選役グループであるといえる。一方、役抽選の対象となるすべての当選役グループについて判定処理を行ったが所定値よりも小さい値になっていないと判定されたときには、いずれの当選役グループにも当選していない「はずれ」であると判定する。本実施形態における「はずれ」となる確率は、例えば、「RT1」≧「RT0」>「RT3」>「RT2」となるように定められているものであってもよい。
【0091】
内部抽選処理は、いずれかの当選役グループに当選していると判定されるか、いずれの当選役グループにも当選しておらず「はずれ」であると判定されると役抽選を終了して、S300の有利期間関連処理に移行する。
【0092】
内部抽選処理では、役抽選において当選した当選役グループの種別を特定可能な当選種別コマンドをサブ制御基板73に出力するための処理を行う。例えば、「RBB1」に当選したときにはボーナス役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、再遊技役を含む当選役グループのいずれかに当選したときにはいずれかの再遊技役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選したときには押し順ベルに当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、当選役グループの種別に応じた演出を実行可能となる。
【0093】
(有利期間関連処理)
S300の有利期間関連処理では、有利期間にかかわる処理を行う。本実施形態においては、通常期間において、所定の有利期間移行条件が成立することにより有利期間に制御可能となる。有利期間は、有利一般、チャンスゾーン(以下、CZという)、および、アシストタイム(以下、ATという)を含む。有利一般は、CZに移行するか否かのCZ移行抽選を実行可能な期間である。CZは、AT遊技を実行可能なATに移行するか否かのAT移行抽選を実行可能な期間である。有利一般は、CZあるいはAT遊技を実行可能なATに移行するか否かの移行抽選(CZ移行抽選、AT移行抽選)を実行可能な期間である。CZは、ATに移行するか否かのAT移行抽選を実行可能な期間である。AT移行抽選においてATに移行する旨が決定される割合は、有利一般中であるときよりもCZ中であるときの方が高い。
【0094】
有利期間のうちの有利一般およびCZは、当該期間中の払出率が1を超えない期間(例えば、有利期間中非出玉期間ともいう)であるのに対し、ATは、AT遊技が行われる結果、AT中の払出率が1を超える期間(例えば、有利期間中出玉期間ともいう)であるといえる。このため、ATは遊技者にとって有利な特典である。有利期間においては、まず有利一般に制御される。また、有利一般中においては、所定のCZ移行抽選条件が成立することにより行われるCZ移行抽選において当選することによりCZに制御可能となる。また、有利一般中およびCZ中においては、所定のAT移行抽選条件が成立することにより行われるAT移行抽選において当選することによりATに制御可能となる。よって、有利期間は、ATに制御可能な期間であるといえる。また、有利期間のうちのATは、遊技者にとって有利な有利状態であるといえる。
【0095】
所定の有利期間移行条件は、内部抽選処理における役抽選の結果に基づいて成立する条件であって、例えば再遊技役および小役を含む当選役グループのうちのいずれかに当選することにより成立する条件などを含む。有利期間への移行条件は、当選確率に設定差が設けられている当選役グループに当選することによっても成立し、当選確率に設定差が設けられていない当選役グループに当選することによっても成立する。有利期間への移行条件は、役抽選における当選確率が制御されている状態の種類にかかわらず一律に定められている特定の当選役グループに当選することにより成立するものであってもよい。「役抽選における当選確率が制御されている状態の種類にかかわらず一律に定められている」とは、図8(a)を用いて後述するいずれの状態においても役抽選における当選確率が一律に定められているものをいう。
【0096】
また、所定のCZ移行抽選条件および所定のAT移行抽選条件各々についても、例えば「チェリー」「スイカ」「チャンス目」のいずれかに当選することにより成立する条件や「RBB」当選により成立する条件などを含む。このため、例えば、「チェリー」「スイカ」「チャンス目」や「RBB」に当選したときには、有利移行条件が成立するとともに、CZ移行抽選条件およびAT移行抽選条件が成立する。その結果、通常期間であっても、「チェリー」「スイカ」「チャンス目」や「RBB」に当選することにより、CZ移行抽選およびAT移行抽選で当選することにより、有利期間のうちATに制御される場合も生じ得る。なお、有利期間移行条件、CZ移行抽選条件およびAT移行抽選条件は、全く同じ条件であってもよく、また全く異なる条件であってもよく、さらには共通する条件を含むものであってもよい。
【0097】
有利期間を終了させる条件は、後述するように有利期間の上限値(例えば上限ゲーム数:1500)到達を示す有利期間カウンタ=1500となることにより成立する第1の条件と、有利期間において賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数が有利期間の上限値(例えば上限累計数:2400)に到達することにより成立する第2の条件を含む。累計数は、有利期間中において更新される累計数カウンタの値に応じて特定される。有利期間カウンタおよび累計数カウンタは、ともに、RAM65の所定領域において更新される。なお、第1の条件である上限ゲーム数1500や、第2の条件である上限累計数2400については、必ずしもその数値に到達するとは限らず、これらの条件を超えることのない数値で有利期間が終了されることもあり、例えば、第1の条件においては1450前後で終了したり、第2の条件においては2300前後で終了したりするようにしてもよい。
【0098】
有利期間を終了させる条件としては、さらに、ATゲーム数やATナビ回数が終了したことや、ATが終了した後における有利一般中においてCZあるいはATに移行されることなく遊技を所定回数消化することや、ATが終了した後におけるCZ中においてATに移行されることなく遊技を所定回数消化することなどにより成立する第3の条件などを含む。以下においては、有利期間(有利一般、CZおよびATのいずれか)を終了させる条件をまとめて「有利期間を終了させる条件(有利期間終了条件)」ともいう。有利期間を終了させる条件は、少なくとも第1の条件と第2の条件とを含むものであれば、本実施形態において例示したものに限らず、他の予め定められている事象により成立し得る条件であってもよい。
【0099】
有利期間関連処理では、有利期間中において、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件(例えば所定の当選役グループに当選)、および今回遊技の終了に伴って当該有利期間が終了し得る状況(例えば今回遊技により有利期間の上限遊技回数(1500)あるいは上限累計数(2400)に到達等)であるか否かを判定し、成立させ得る状況であるときには当該条件が成立する可能性があることを煽る演出を実行する。例えば、メインCPU61は、すべてのセグメントを点滅させる態様でペイアウト表示器46、報知用表示器60等を駆動制御する。
【0100】
また、有利期間関連処理では、有利期間中において、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、および今回遊技の終了に伴って当該有利期間が終了し得る状況であるときには、メインCPU61は成立する可能性がある条件を特定可能な条件関連コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、例えば、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、および有利期間を終了させる条件各々について成立する可能性を液晶表示器27により報知することができる。このように、有利期間関連処理は、有利期間にかかわる条件等が成立し得るか否かに応じた処理を実行するものである。実際に有利期間に移行させるための処理、および有利期間を終了させる条件が成立したか否かを判定して有利期間を終了させるための処理等については、後述するS700の有利期間設定処理により行われる。
【0101】
また、有利期間関連処理では、有利期間のうちのAT中における役抽選の結果に応じて、有利操作態様を報知用表示器60により報知するための報知処理を実行可能とする。例えば、当選役グループのうち「左正解ベル1」に当選しているときには、後述するように「PZ1」または「PZ2」を入賞させるために左のリール11Lから停止させるように、報知用表示器60を構成する7セグメントのうちアルファベットの大文字「L」に対応する位置のセグメント(左辺の上下2つ下辺の1つ)を点灯させる態様で報知用表示器60を駆動制御する。さらに、有利期間関連処理では、当該有利操作態様を特定可能な有利操作態様コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においても有利操作態様を報知するための演出を液晶表示器27等において実行可能となる。有利期間関連処理が終了すると、S400のリール制御処理に移行する。
【0102】
(リール制御処理)
S400のリール制御処理では、リールモータ14L〜14Rを駆動制御して、リール11L〜リール11Rを回転させて停止させる処理が行われる。リール制御処理では、ウェイトタイムが経過しているか否かを判定する。ウェイトタイムは、例えば4.1秒に定められており、前回遊技のリール制御処理においてリール11L〜11R各々の回転が開始されてから計測が開始される。
【0103】
リール制御処理では、ウェイトタイムが経過していると判定されたときに、リール11L〜11Rの回転を開始させるリール回転処理が行われる。これにより、前回遊技においてリール11L〜11R各々の回転が開始されてから少なくとも4.1秒経過するまで今回遊技におけるリール11L〜11Rを回転開始させるタイミングを遅延させることができる。リール回転処理においては、リール11L〜11Rの回転が開始すると、リール回転開始コマンドを出力する。
【0104】
リール制御処理では、リール11L〜11R各々の回転を開始させて一定速度に到達した後(例えば、リールモータ14L〜14Rの励磁パターンが一定速度となる励磁パターンとなった後)、リール11L〜11R各々の基準位置が位置センサ55L〜55R各々により検出されることにより停止操作可能な状態となり、ストップスイッチ21L〜21Rへの操作を有効に受け付ける状態(有効化)になる。
【0105】
また、リール制御処理では、停止操作可能な状態においてストップスイッチを操作したときに、例えば当該ストップスイッチに対応するリールの入賞ラインNL上に位置する図柄から予め定められた引込み可能範囲内に配列されている図柄のいずれかを入賞ラインNLに引き込んで当該リールを停止させるリール停止処理を行う。引込み可能範囲は、4図柄先までの範囲であって、ストップスイッチが操作されたときに入賞ラインNL上にある図柄から4図柄先までに配列されている図柄を入賞ラインNL上に停止可能となる。
【0106】
役抽選においていずれかの役に当選している場合は、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ライン上に引き込むことができるときに、当該図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させる。これに対して、いずれの役にも当選していない場合は、いずれの役にも入賞しないはずれ図柄組合せとなる図柄を入賞ライン上に引き込み停止させる。このため、ストップスイッチへの操作が行われたときに、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ラインNL上に引込み可能であれば当該図柄を引込んで入賞ラインNL上に停止させることができる一方、当選していない役の図柄組合せを入賞ラインNL上に停止させてしまうことがない。
【0107】
なお、本実施形態は、上述の通り、「役抽選においていずれかの役に当選している場合は、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ライン上に引き込むことができる」ものである。ここで、役抽選は「当選役グループ」毎に行われるものであるため、前記「当選している役」は、詳しくは、当選した「当選役グループ」を構成するいずれかの役に相当するものとなる。
【0108】
リール停止処理では、引込み可能範囲内の図柄を入賞ラインNL上に停止させることができるものの、引込み可能範囲外の図柄については入賞ラインNL上に停止させることができない。このため、リール11L〜11Rの図柄配列において、役を構成する図柄が引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する役については、役抽選において当選していても、操作タイミングが合わなければ入賞ラインNL上に当該役を構成する図柄を引き込むことができずに、当該役を取りこぼしてしまう場合(非入賞)が生じる。
【0109】
「RBB1」を構成する図柄は、図3に示すとおり、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。例えば、「RBB1」を構成する図柄「R7」は、リール11L〜11Rに1つしか配列されていない。このため、「RBB1」は、当選していてもストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングによっては入賞ラインにボーナス役を構成する図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。よって、図7に示すように、「RBB1」に当選しているときには、当選しているボーナス役を引込み可能範囲内で引込むリール制御を行うものの、いずれの役にも入賞しない場合が生じる。なお、「RBB1」については、当選した遊技において入賞させることができなかった場合、RT3に制御されて当該ボーナス役に入賞するまで当該ボーナス役の当選フラグを持ち越す処理が行われる。
【0110】
「通常リプレイ」に含まれる「RP1」および「RP2」の中図柄および右図柄を構成する「R1」は、図3に示すように、リール11L〜11Rのすべてにおいて引込み可能範囲内に配列されている。一方、「RP1」および「RP2」の左図柄を構成する「R1」および「R2」は、各々、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。しかし、「通常リプレイ」当選時には「RP1」および「RP2」のいずれにも当選する。その結果、「通常リプレイ」に当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、必ず「RP1」および「RP2」のいずれかを入賞させることができる。
【0111】
また、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」各々に含まれる再遊技役を構成する図柄は、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在するが、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」各々に当選したときには対応する再遊技役のすべてに当選する。その結果、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」のいずれかに当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、当選している「RT2移行リプレイ」に含まれる再遊技役のいずれかを必ず入賞させることができる。
【0112】
また、「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」当選時には、第1停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。第1停止とは、すべてのリール11L〜11Rが回転しているときに最初にリールを停止させることをいう。また、第1停止されたリールは、第1停止リールともいう。また、第2停止とは、第1停止により一のリールが停止し残り2つのリールが回転しているときに停止させることをいい、第3停止とは、残り1つのリールが回転しているときに停止させることをいう。第1停止、第2停止、および第3停止のためのストップスイッチへの操作を、第1停止操作、第2停止操作、および第3停止操作ともいう。
【0113】
例えば、「RT2移行リプレイ1」に当選しているときにおいて、左第1停止(左のリール11Lを第1停止)したときには、RT2への移行を伴う「RP4」および「RP5」を他の役よりも優先して引き込むように定められている。「RP4」および「RP5」の中図柄および右図柄を構成する「R1」および「BE」は、いずれもリール11Mおよび11Rにおいて引込み可能範囲内に配列されている。一方、「RP4」および「RP5」の左図柄を構成する「R1」および「R2」は、リール11Lの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在するが、いずれかの図柄を入賞ラインNL上に引込み可能となる範囲内に配列されている。また、「RT2移行リプレイ1」当選時には「RP4」および「RP5」のいずれにも当選する。その結果、「RP4」および「RP5」を他の役よりも優先して引き込んだときには、「RP4」および「RP5」のいずれかを入賞させることができる。よって、「RT2移行リプレイ1」に当選しているときにおいて、左第1停止したときには、「RP4」および「RP5」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0114】
一方、「RT2移行リプレイ1」に当選しているときにおいて、中あるいは右第1停止(中あるいは右のリール11Mあるいは11Rを第1停止)したときには、「RP4」および「RP5」よりも「RP1」および「RP2」を優先して引き込むように定められている。このため、「RT2移行リプレイ1」に当選しているときにおいて、中あるいは右第1停止したときには、「RP1」および「RP2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0115】
また、「RT2移行リプレイ2」に当選しているときにおいて、中第1停止したときには、「RP4」および「RP5」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われ、左あるいは右第1停止したときには、「RP1」および「RP2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。また、「RT2移行リプレイ3」に当選しているときにおいて、右第1停止したときには、「RP4」および「RP5」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われ、左あるいは中第1停止したときには、「RP1」および「RP2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0116】
「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」のいずれかに当選しているときにおいて「RP4」および「RP5」のいずれかを入賞させる押し順は、正解手順ともいう。前述したAT中において「RT2移行リプレイ1」〜「RT2移行リプレイ3」のいずれかに当選したときには、有利操作態様として正解手順を特定可能な情報が報知される。
【0117】
次に、「フェイクリプレイ」に当選しているときにおけるリール制御について説明する。「フェイクリプレイ」に含まれる再遊技役を構成する図柄は、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在するが、「フェイクリプレイ」に当選したときには対応する再遊技役のすべてに当選する。その結果、「フェイクリプレイ」に当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、「フェイクリプレイ」に含まれる再遊技役のいずれかを必ず入賞させることができる。
【0118】
また、「フェイクリプレイ」当選時には、第1停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。例えば、「フェイクリプレイ」当選時において、左第1停止あるいは中第1停止したときには、「RP1」および「RP2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0119】
これに対して、「フェイクリプレイ」当選時において、右第1停止したときには、「RP1」および「RP2」よりも「RP6」および「RP7」を優先して引き込むように定められている。「RP6」および「RP7」の右図柄を構成する「R1」および「BE」は、リール11Rの図柄配列において引込み可能範囲内に配列されている。また、「RP6」および「RP7」の左図柄を構成する「BE」は、リール11Lにおいて引込み可能範囲内に配列されている。一方、「RP6」および「RP7」の中図柄を構成する「BAR」は、リール11Mの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「フェイクリプレイ」当選時において、右第1停止したときには、「RP6」および「RP7」を他の役よりも優先して引き込み、ストップスイッチ21Mが中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されたときには、ストップスイッチ21Lの操作タイミングにかかわらず「RP6」および「RP7」のいずれかを入賞させることができる。
【0120】
ストップスイッチ21Mが中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されなかったときには、「RP1」〜「RP3」のうち既に停止されている図柄に応じて入賞を生じさせる役を優先して引き込むように定められている。例えば、右図柄として「R1」が停止されているときには、「RP1」および「RP2」のいずれかを優先して引き込み入賞させることができる。また、右図柄として「BE」が停止されているときには、「RP3」を優先して引き込むように定められている。「RP3」の左図柄を構成する「BE」は、リール11Lにおいて引込み可能範囲内に配列されており、「RP3」の中図柄を構成する「R1」は、リール11Mにおいて引込み可能範囲内に配列されている。このため、「RP3」を優先して引き込んだときには、「RP3」を必ず入賞させることができる。
【0121】
「フェイクリプレイ」当選時で右第1停止したときには、前述したように、「R1」および「BE」のいずれかを入賞ラインNL上に必ず停止させることができる。このとき、図3の図柄番号0の「R1」と図柄番号1の「BE」とのいずれをも入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されたときには、図柄番号0の「R1」よりも図柄番号1の「BE」を優先して入賞ラインNL上に引き込むように定められている。また、図3の図柄番号5の「R1」と図柄番号6の「BE」とのいずれをも入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されたときには、図柄番号6の「BE」よりも図柄番号5の「R1」を優先して入賞ラインNL上に引き込むように定められている。このため、「フェイクリプレイ」当選時において右第1停止するときに、図柄番号2〜4の「BAR」図柄を狙って停止操作したときに、図柄番号1の「BE」を入賞ラインNL上に停止させて下段に「BAR」図柄を停止させるか、図柄番号5の「R1」を入賞ラインNL上に停止させて上段に「BAR」図柄を停止させることができる。
【0122】
また、「フェイクリプレイ」当選時において右第1停止により「BAR」図柄を上段または下段に停止させた状態で、中第2停止するときに、図柄番号3の「BAR」図柄を狙って停止操作したときには、図柄番号3の「BAR」を入賞ラインNL上に停止させることができる。このように、「フェイクリプレイ」当選時において右第1停止および中第2停止により「BAR」図柄を狙って停止操作することにより、「BAR」図柄を右上がりラインあるいは右下がりラインのいずれかにおいてテンパイさせることができる。なお、「RP6」および「RP7」を構成する左図柄の「BE」が入賞ラインNL上に停止したときには、図3に示すリール11Lの図柄配列から、少なくとも図柄番号2の「BAR」図柄が上段あるいは下段に停止されることがないため、「BAR」図柄がライン上に揃って停止されることはない。
【0123】
次に、「BAR揃いリプレイ」に当選しているときにおけるリール制御について説明する。「BAR揃いリプレイ」に含まれる再遊技役を構成する図柄は、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在するが、「BAR揃いリプレイ」に当選したときには対応する再遊技役のすべてに当選する。その結果、「BAR揃いリプレイ」に当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、「BAR揃いリプレイ」に含まれる再遊技役のいずれかを必ず入賞させることができる。
【0124】
また、「BAR揃いリプレイ」当選時には、第1停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。例えば、「BAR揃いリプレイ」当選時において、左第1停止あるいは中第1停止したときには、「RP1」および「RP2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0125】
これに対して、「BAR揃いリプレイ」当選時において、右第1停止したときには、「RP1」および「RP2」よりも「RP8」および「RP9」を優先して引き込むように定められている。「RP8」および「RP9」の右図柄を構成する「R1」および「BE」は、リール11Rの図柄配列において引込み可能範囲内に配列されている。一方、「RP8」および「RP9」の左図柄を構成する「R1」および「CH」は、リール11Lの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。また、「RP8」および「RP9」の中図柄を構成する「BAR」は、リール11Mの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「BAR揃いリプレイ」当選時において、右第1停止したときには、「RP8」および「RP9」を他の役よりも優先して引き込み、ストップスイッチ21Lが左図柄の「R1」および「CH」のいずれかを入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作され、かつ、ストップスイッチ21Mが中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されたときには、「RP8」および「RP9」のいずれかを入賞させることができる。
【0126】
これに対して、ストップスイッチ21L、21Mへの停止操作のタイミングによって、「RP8」および「RP9」のいずれをも入賞させることができない場合には、以下のようなリール制御が行われる。まず、第2停止操作により、ストップスイッチ21Mが中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されなかったときや、ストップスイッチ21Lが左図柄の「R1」または「CH」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されなかったときには、「RP1」〜「RP3」のうち既に停止されている図柄に応じて入賞を生じさせる役を優先して引き込むように定められている。このため、例えば、右図柄として「R1」が停止されているときには、「RP1」および「RP2」のいずれかを優先して引き込み入賞させることができ、右図柄として「BE」が停止されているときには、「RP3」を優先して引き込み入賞させることができる。
【0127】
次に、第2停止操作により中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み停止された状態において、第3停止操作によりストップスイッチ21Lが左図柄の「R1」または「CH」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されなかったときには、「RP6」および「RP7」のうち既に停止されている図柄に応じて入賞を生じさせる役を優先して引き込むように定められている。このため、例えば、右図柄として「R1」が停止されているときには、「RP6」を優先して引き込み入賞させることができ、右図柄として「BE」が停止されているときには、「RP7」を優先して引き込み入賞させることができる。
【0128】
第2停止操作により左図柄の「R1」または「CH」を入賞ラインNL上に引き込み停止された状態において、第3停止操作によりストップスイッチ21Mが中図柄の「BAR」を入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されなかったときには、「RP1」および「RP10」のうち既に停止されている図柄に応じて入賞を生じさせる役を優先して引き込むように定められている。このため、例えば、左図柄として「R1」が停止されているときには、「RP1」を優先して引き込み入賞させることができ、左図柄として「CH」が停止されているときには、「RP10」を優先して引き込み入賞させることができる。
【0129】
「BAR揃いリプレイ」当選時で右第1停止したときには、前述したように、「R1」および「BE」のいずれかを入賞ラインNL上に必ず停止させることができる。このとき、図3の図柄番号0の「R1」と図柄番号1の「BE」とのいずれをも入賞ラインNL上に引き込み可能なタイミングで停止操作されたときには、「フェイクリプレイ」当選時と同様のリール制御が行われるため、図柄番号2〜4の「BAR」図柄を狙って停止操作したときに、図柄番号1の「BE」を入賞ラインNL上に停止させて下段に「BAR」図柄を停止させるか、図柄番号5の「R1」を入賞ラインNL上に停止させて上段に「BAR」図柄を停止させることができる。
【0130】
また、「BAR揃いリプレイ」当選時において右第1停止により「BAR」図柄を上段または下段に停止させた状態で、第2停止および第3停止において、リール11Lおよびリール11M各々の「BAR」図柄を狙って停止操作したときには、「BAR」図柄を入賞ラインNL上に停止させることができる。このため、「BAR揃いリプレイ」当選時において「BAR」図柄を狙って停止操作することにより、「BAR」図柄を右上がりラインあるいは右下がりラインのいずれかにおいてテンパイさせることや、揃えさせることができる。その結果、「BAR」図柄が右上がりラインあるいは右下がりラインに揃うことにより、「BAR揃いリプレイ」に当選していたことを遊技者に対して確定的に報知できる。また、「BAR」図柄が右上がりラインあるいは右下がりラインにテンパイすることにより、停止操作タイミングが合わなかった場合などにおいて、「BAR揃いリプレイ」に当選していたことに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0131】
小役のうち「チェリー」に含まれる小役を構成する左図柄(「BAR」「BL」「WM1」)は、図3に示すとおり、リール11Lの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「チェリー」は、当選していてもストップスイッチ21Lの操作タイミングによっては、「チェリー」に含まれる小役を構成する左図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。
【0132】
小役のうち「スイカ」に含まれる小役を構成する図柄は、リール11L〜11Rの図柄配列において引込み可能範囲内に配列されている。このため、「スイカ」に当選した場合には、ストップスイッチ21L〜21R各々への操作タイミングにかかわらず、「スイカ」に含まれる小役を引き込み入賞させることができる。
【0133】
小役のうち「チャンス目」に含まれる小役を構成する左図柄(「WM1」)および中図柄(「WM2」)は、図3に示すとおり、リール11Lおよび11Mの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「チャンス目」は、当選していてもストップスイッチ21Lおよび21Mの操作タイミングによっては、「チャンス目」に含まれる小役を構成する左図柄あるいは中図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。
【0134】
次に、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選しているときには、第1停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。
【0135】
例えば、「左正解ベル1」に当選しているときにおいて、左第1停止したときには、9枚払出となる「PZ1」および「PZ2」を他の役よりも優先して引き込むように定められている。「PZ1」および「PZ2」の左図柄を構成する「R1」および「R2」は、リール11Lの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在するが、いずれかの図柄を入賞ラインNL上に引込み可能となる範囲内に配列されている。また、「左正解ベル1」当選時には「PZ1」および「PZ2」のいずれにも当選する。その結果、「PZ1」および「PZ2」を他の役よりも優先して引き込んだときには、「PZ1」および「PZ2」のいずれかを入賞させることができる。よって、「左正解ベル1」に当選しているときにおいて、左第1停止したときには、「PZ1」および「PZ2」のいずれかに必ず入賞するようにリール制御が行われる。
【0136】
一方、「左正解ベル1」に当選しているときにおいて、中あるいは右第1停止したときには、「PZ1」および「PZ2」よりも同時当選している「PZ4」等の他の小役を優先して引き込むように定められている。「PZ4」等の他の小役を構成する図柄は、いずれも、図3に示されるようにリール11L〜11Rの図柄配列から引込み可能範囲内に配列されていない箇所が存在する。このため、ストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞ラインに同時当選している「PZ4」等の他の小役を構成する図柄を引き込むことができず、「左正解ベル1」に当選してもいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる。
【0137】
また、「左正解ベル2」〜「左正解ベル4」当選時においても、左第1停止したときには必ず「PZ1」および「PZ2」を入賞させることができるものの、中あるいは右第1停止したときには「PZ1」および「PZ2」よりも同時当選している他の小役が優先して引き込まれ、かつリール11L〜11Rの図柄配列が当該他の小役を構成する図柄を引き込むことができない箇所が存在する図柄配列であるため、ストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの小役にも入賞させることができない場合が生じる。同様に、「中正解ベル1」〜「中正解ベル4」当選時においても、中第1停止したときには必ず9枚払出となる「PZ3」を入賞させることができる。しかし、左あるいは右第1停止したときには、「PZ3」よりも同時当選している他の小役が優先して引き込まれ、かつリール11L〜11Rの図柄配列が当該他の役を構成する図柄を引き込むことができない箇所が存在する図柄配列であるため、ストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる。また、「右正解ベル1」〜「右正解ベル4」当選時においても、右第1停止したときには必ず9枚払出となる「PZ3」を入賞させることができるものの、左あるいは中第1停止したときには「PZ3」よりも同時当選している他の小役が優先して引き込まれ、かつリール11L〜11Rの図柄配列が当該他の小役を構成する図柄を引き込むことができない箇所が存在する図柄配列であるため、ストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの小役にも入賞させることができない場合が生じる。
【0138】
「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選しているときにおいて9枚払出となる「PZ1」〜「PZ3」のいずれかを入賞させる押し順は、正解手順ともいう。前述したAT中において「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選したときには、有利操作態様として正解手順を特定可能な情報が報知される。
【0139】
「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選しているときにおいて、正解手順で操作できず、かつ同時当選している他の小役のいずれも入賞させることができないタイミングで停止操作されたときには、「はずれ」図柄組合せのうち、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」に当選していないときには入賞ライン上に停止することがない特定の「はずれ」図柄組合せを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。特定の「はずれ」図柄組合せは、「RT0」あるいは「RT2」において入賞ラインNL上に停止すると「RT1」への移行を伴う。このため、特定の「はずれ」図柄組合せは、通常移行出目ともいう。
【0140】
「全小役」に当選しているとき(例えば、「ボーナス状態」中)には、ストップスイッチ21L〜21Rの操作態様にかかわらず、必ず9枚払出となる「PZ1」〜「PZ3」のいずれかに入賞するようにリール制御が行われる。
【0141】
また、ボーナス役の当選が持ち越されている状態(RT3)において再遊技役や小役に当選したときにおけるリール停止処理では、ボーナス役よりも再遊技役や小役を優先して引き込むように定められている。
【0142】
リール停止処理においては、リール11L〜11Rのいずれかが停止する毎に、停止したリール、および停止位置(例えば、中段に停止されている図柄の図柄番号等)などを特定可能なリール停止コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73は、停止したリール、および停止位置が特定可能となり、対応する演出を実行可能となる。リール11L〜11Rすべてが停止すると、S500の出目判定処理に移行する。
【0143】
(出目判定処理)
S500の出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せに基づいて、当該図柄組合せに対応する処理を実行する。例えば、小役が入賞したときには、図6の払出欄に記載のメダルを払い出すか、あるいはクレジット加算するための払出処理を実行する。払出処理では、メダル払出あるいはクレジット加算により遊技者に付与されたメダル枚数(0枚を含む)を特定可能な払出コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においても1遊技の結果として遊技者に付与されたメダル枚数を特定可能となる。また、再遊技役が入賞したときには、再遊技フラグを設定するための処理を実行する。出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せ、入賞の有無、入賞した役の種類等を特定可能な遊技結果コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、入賞ラインNL上の図柄組合せに応じた演出を実行可能となる。また、出目判定処理では、遊技の結果に応じて、有利期間滞在比率、役物比率、および役物等状態比率等を更新してRAM65の所定領域に記憶する。出目判定処理が終了すると、S600の遊技状態設定処理に移行する。
【0144】
(遊技状態設定処理)
S600の遊技状態設定処理では、役抽選あるいは遊技の結果等に基づいて、次回以降の遊技状態を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、RAM65の所定領域に記憶される。メインCPU61は、遊技状態フラグに基づいて、現在制御されている遊技状態を特定する。図8(a)には、遊技状態の遷移が示されている。
【0145】
遊技状態設定処理は、「RT0」または「RT2」において通常移行出目が入賞ラインNL上に停止されたときに、「RT1」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。また、遊技状態設定処理は、「RT1」において昇格リプレイである「RP4」〜「RP5」に入賞したときに、「RT2」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。
【0146】
また、遊技状態設定処理は、「RT0」「RT1」および「RT2」のいずれかにおいて「RBB1」に当選した遊技において入賞しなかったときに、「RT3」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。また、遊技状態設定処理は、「RBB1」に入賞したときに、「ボーナス状態」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態設定処理は、「ボーナス状態」中における払出枚数を計数し、払出枚数が所定枚数を超えたときに「RT0」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。また、スロットマシン1は、設定変更等により初期化されると「RT0」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態設定処理が終了すると、S700の有利期間設定処理に移行する。
【0147】
ここで、図8(a)を参照して、遊技状態の遷移について説明する。以下では、まず、有利期間のうちのATに制御されないとき(以下、非ATともいう)の遊技状態の遷移について説明する。
【0148】
スロットマシン1は、設定変更等により初期化されると遊技状態としてRT0に設定されて遊技が開始される。RT0においては、「押し順ベル」が比較的高確率(1/5)で当選する一方、「押し順ベル」当選時において有利操作態様(正解手順)を報知するAT遊技が行われることがない。このため、比較的早いタイミングで押し順ベルを取りこぼして通常移行出目が停止されることになり、RT1に制御されることになる。
【0149】
RT1では、「RT2移行リプレイ」に当選して「昇格リプレイ」が入賞するとRT2に制御される。しかし、非AT中であるため、「RT2移行リプレイ」当選時において有利操作態様(正解手順)を報知するAT遊技が行われることがない。また、「昇格リプレイ」に入賞してRT2に制御された後においも非AT中であるため、RT0中と同様、「押し順ベル」が比較的高確率で当選する結果、比較的早いタイミングで通常移行出目が停止されて「RT1」に制御されることになる。よって、非AT中においては、遊技の大半をRT1において行うことになる。
【0150】
また、RT1中等において「RBB1」に当選したとしても、当該「RBB1」を構成する図柄を入賞ラインNL上に引き込むことができるタイミングで停止操作しなければ入賞させることができない。その結果、「RBB1」に当選した遊技において入賞させることができなかった場合、「RT3」に制御される。
【0151】
「RBB1」に入賞すると、ボーナス状態に制御される。ボーナス状態中においては、毎遊技において全小役に当選する結果、操作態様にかかわらず9枚払出となる「PZ1」〜「PZ3」のいずれかを入賞させることができるため、効率的にメダルを獲得できる。払出枚数が所定枚数を超えるとボーナス終了となり「RT0」に制御される。
【0152】
一方、有利期間のうちのATに制御されているときには、「RT1」「RT2」中において「押し順ベル」に当選したときに、9枚払出となる「PZ1」〜「PZ3」のいずれかを入賞させるための有利操作態様が報知用表示器60および液晶表示器27により報知される。これにより、停止操作を誤らない限り、確実に「PZ1」〜「PZ3」のいずれかを入賞させることができる。その結果、メダルが9枚払い出される割合が高まる。また、ATに制御されているときにおける「RT1」中において「RT2移行リプレイ」に当選したときには、「昇格リプレイ」を入賞させるための有利操作態様が報知用表示器60および液晶表示器27により報知される。これにより、停止操作を誤らない限り、確実に「昇格リプレイ」を入賞させることができる。その結果、「RT2」に制御させることができる。さらに、ATに制御されているときには、前述したとおり「押し順ベル」当選時に「PZ1」等を入賞させることができることにより、通常移行出目を回避できるため、「RT2」から「RT1」に転落してしまうことも防止できる。その結果、AT中においては、遊技の大半をRT2において行うことができる。
【0153】
また、AT中に当選したRBBが終了した後においては、ATゲーム数等が持ち越されるため再びAT中となり、有利操作態様が報知されて「RT2」に制御される。AT中に当選したRBBが終了した後において「RT2」に制御されるまでの「RT0」および「RT1」に制御される期間は、「RT2」に制御されるまでの準備段階であるため、準備期間ともいう。なお、AT中に当選したRBBが終了した後に制御される「RT0」中において「押し順ベル」に当選したときには、「RT1」へ移行可能となるようにするため、「PZ1」等を入賞させるための有利操作態様が報知されることはない。
【0154】
(有利期間設定処理)
S700の有利期間設定処理では、通常期間において有利期間移行条件が成立したことに基づいて有利期間に制御する。有利期間設定処理では、有利期間中における状態の遷移を制御するための処理を実行する。ここで、図8(b)を用いて、有利期間中における状態遷移の概要を説明する。
【0155】
有利期間設定処理では、通常期間において有利期間移行条件が成立することに基づいて有利期間に制御する。有利期間移行条件は、例えば内部抽選において再遊技役および小役を含む当選役グループのうちのいずれかに当選することにより成立する。このため、遊技の大半は、有利期間において行われる。有利期間中においては、当該有利期間が開始されてからの賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数(いわゆるMY値)や遊技回数がカウントされる。
【0156】
通常期間から有利期間に制御されたときには、図8(b)に示すように有利一般に制御される。有利一般中においては、CZ移行抽選において当選する確率(遊技者にとっての有利度合い)が異なる、低確・通常・高確等の複数種類のモードのうちのいずれかに制御されるようにしてもよく、例えば、通常期間から有利期間に制御されたときには、複数種類のモードのうち、CZ移行抽選において当選する確率が高いモードに制御されてもよい。このようにすることで、AT終了直後の通常期間から有利期間に制御されるときに、遊技者の期待感を持続させることができる。また、有利一般中におけるAT移行抽選の有利度合い(例えばAT当選する割合等)も、低確・通常・高確等のモードの種類に応じて異なるようにしてもよい。なお、CZ移行抽選やAT移行抽選の一方または両方は一定となるように定められていてもよい。
【0157】
また、通常期間から有利期間に制御されるときには、ATに制御するまでに要する天井遊技回数を設定する。ATは、天井遊技回数に到達することやAT当選することにより制御される状態である点において、役抽選においてボーナスに当選することにより制御可能となるRBB等とは異なる。天井遊技回数とは、ATに強制的に制御する回数である。有利期間が開始されてから消化した遊技回数が天井遊技回数に到達することにより、ATに制御される。天井遊技回数は、所定のゲーム数(例えば999回)に一律に定められているものであってもよく、また、通常期間から有利期間に制御されるときに複数のゲーム数(例えば、250回、500回、999回)のうちから抽選により決定されるものであってもよい。
【0158】
有利一般中のCZ移行抽選において当選したときには、所定期間(例えば所定ゲーム数消化する期間等)に亘りCZに制御される。CZにおいてAT移行当選することなく所定期間が経過したときには、再び有利一般に制御される。有利一般またはCZにおけるAT移行抽選において当選したときや天井遊技回数に到達したときには、ATに制御される。ATを開始するときには、有利期間報知ランプ80を点灯させる。
【0159】
AT中は、「押し順ベル」および「RT移行リプレイ」(以下、まとめてナビ対象役ともいう)に当選したときに有利操作態様(正解手順)を報知するナビ演出が実行される。また、AT中においては、ATに制御可能とするATゲーム数を上乗せするか否か(上乗せ抽選)、1回のATの終了条件が成立(1回のATに対応するATゲーム数として抽選で決定されたゲーム数(例えば30〜100ゲーム等)、あるいはATゲーム数に上乗せされたゲーム数(30〜100ゲーム+α)を消化)した後に再度AT(次回AT)に継続して制御するか否か(AT継続抽選)、1回のATの終了条件が成立した後にATストックがない場合に有利一般およびCZのいずれに制御するか(AT終了後状態抽選)などについて抽選する各種AT中抽選が行われる。各種AT中抽選は、例えば、内部抽選において所定の当選役グループ(例えば、BAR揃いリプレイ、チェリー、スイカ、チャンス目など)に当選することにより行われる。
【0160】
AT中においては、1回のAT毎に、有利度合いが異なる複数種類のモード(ステージ)のうちのいずれかのモードに制御される。複数種類のモードは、例えば、上乗せ抽選において当選する上乗せ当選割合、および、AT継続抽選において継続当選する継続当選割合(継続決定割合に相当)および継続当選した場合にATゲーム数として決定されることを期待できる期待ゲーム数各々をモード毎に異ならせることにより、モード毎にAT中の有利度合いが異なるように定められている。モードの種類としては、宇宙モード、上空モード、地上モード、海モード、および地底モードが設けられている。AT中の液晶表示器27における背景画像の種類や、スピーカ31L、31Rから出力される効果音の種類等については、制御されているモードの種類に応じて異なる。例えば、宇宙モードでは、宇宙を想起させる背景画像が表示され、静寂な印象を抱かせる効果音等が出力される。また、海モードでは、海を想起させる背景画像が表示され、波の音を想起させる効果音等が出力される。また、モード間における継続当選割合は、例えば、宇宙モードが最も高く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も低くなるように定められている。また、モード間における期待ゲーム数は、例えば、宇宙モードが最も多く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も少なくなるように定められている。このため、AT継続抽選における遊技者にとっての有利度合いは、宇宙モードが最も高く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も低くなる。
【0161】
AT継続抽選では、当選することにより、ATに制御可能な回数(ATストック回数)を1加算する。これにより、今回制御中のATの終了条件が成立した後においても、次回のATに制御されることが確定する。具体的には、1回のATが終了したときに、ATストック回数が1以上であることを条件として当該ATストック回数を1減算して、次回のATに継続して制御する。当該ATのモードは、当該ATを開始する際に抽選等により決定される。また、AT継続抽選において当選したときには、ストックされた当該ATのATゲーム数を30ゲーム〜100ゲームのうちから抽選により決定される。
【0162】
また、モード間における上乗せ当選割合についても同様に、宇宙モードが最も高く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も低くなるように定められている。このため、上乗せ抽選における遊技者にとっての有利度合いは、宇宙モードが最も高く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も低くなる。よって、モードによる遊技者にとっての有利度合いは、宇宙モードが最も高く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も低くなる。
【0163】
上乗せ抽選では、当選することにより、今回制御中のATのATゲーム数を上乗せする。これにより、今回制御中のATにおいて消化できるゲーム数が多くなり、ATに制御される期間を延長できる。また、上乗せ抽選において当選したときには、上乗せするゲーム数を10ゲーム〜30ゲームのうちから抽選により決定される。上乗せ当選した場合に上乗せするゲーム数として決定されることを期待できる期待ゲームは、例えば、宇宙モードが最も多く、続いて上空モード、地上モード、海モードの順となり、地底モードが最も少なくなるように定められている。
【0164】
各種AT中抽選のうち上乗せ抽選において、ATゲーム数が上乗せされたときには、今回制御中のATの残りATゲーム数に加算される。これにより、今回制御中のATにおいて消化できるゲーム数が多くなり、ATに制御される期間を延長できる。また、制御中のATの終了条件が成立したときであって、ATストック回数が1以上であるときには、再度ATに継続して制御される。また、今回制御中のATの終了条件が成立したときであって、ATストック回数が1以上ではないときには、AT終了後状態抽選の結果に応じて、有利一般およびCZのいずれかに制御される。有利期間中においてATに少なくとも1回制御された後、AT終了後において制御される有利一般およびCZ中のAT移行抽選において当選することなく、所定の終了条件が成立(例えば、予め定められたゲーム数を消化したときなど)したときには、通常期間に制御される。このとき、有利期間報知ランプ80を消灯させ、有利期間中に更新されていた差数や遊技回数等、有利期間に関するすべての情報がリセットされる。
【0165】
また、有利期間は、有利期間中の遊技回数が上限遊技回数の1500に到達することにより第1の条件が成立するか、有利期間中の賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数上限累計数の2400に到達することにより第2の条件が成立することにより終了する。このような、第1の条件および第2の条件が成立するまでの残り遊技回数あるいは累計数が所定値未満となったときには、エンディングに制御される。具体的には、AT中において、有利期間中の遊技回数が1200に到達したときや、有利期間中の差数が2000に到達したときにエンディングに制御される。エンディング中においても、ナビ演出が実行されるように定められている。エンディングは、第1の条件または第2の条件が成立するまで継続し、第1の条件または第2の条件が成立することにより有利期間終了条件が成立したときに、通常期間に制御する。このときにも、有利期間報知ランプ80を消灯させ、有利期間中に更新されていた差数や遊技回数等、有利期間に関するすべての情報がリセットされる。
【0166】
有利期間設定処理では、遊技状態設定処理および有利期間設定処理により設定された結果、次回以降の遊技がいずれの遊技状態であるのか、通常期間、有利期間のうちの有利一般、CZ、およびAT(残りATゲーム数カウンタの値を含む)のうちのいずれであるか、有利期間中において更新される各種情報(各種AT中抽選を行う条件の成立)などを特定可能な状態コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、次回以降の状態に応じた演出を実行可能となる。有利期間設定処理が終了すると、S100の賭数設定処理に移行して次回の遊技に備える。スロットマシン1は、1遊技毎にS100〜S700の処理を繰り返し実行する。また、メインCPU61は、スロットマシン1においてエラーが発生しているか否かを判定し、エラーが発生していると判定したときには当該エラーの種類を特定可能なエラーコマンドを出力する。
【0167】
<演出制御処理>
サブCPU71は、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて、ROM77に記憶されている演出制御プログラムを実行し、遊技の進行に応じて演出実行の有無および種類を乱数抽選により決定する演出抽選を行い、その抽選結果に基づいてサブ制御基板73に接続された液晶表示器27、スピーカ31L、31R、および各種ランプ・LEDなどの演出手段を駆動制御するための演出制御処理を行う。所定の演出を実行するための演出実行手段は、サブCPU71により行われる演出制御処理に含まれる。演出制御処理により実行される演出例を以下に説明する。
【0168】
(当選役グループに関する演出)
演出制御処理では、役抽選において当選した当選役グループの種別を特定可能な当選種別コマンドを受信したときには、当選役グループの種別に応じた演出を実行可能となる。演出制御処理は、当選種別コマンドを受信したことに基づいて、例えば、「RBB」の当選種別コマンド受信時は「ボーナス確定!」などを含む確定画面を液晶表示器27に表示する演出や、「押し順ベル」を特定可能な当選種別コマンドに基づいてベルと類似色の「黄色い風船」の画像を液晶表示器27に表示する演出を実行する。これにより、遊技者は当選した当選役グループを推測しながら遊技を進行させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0169】
また、演出制御処理では、AT中に有利操作態様を特定可能な有利操作態様コマンドを受信したときには、当該コマンドから特定される有利操作態様を特定可能な画像を液晶表示器27に表示する演出を実行する。これにより、AT中において「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選したときに正解手順で停止操作を行って、確実に「PZ1」〜「PZ3」のいずれかを入賞させることが可能となる。また、「RT2」かつAT中であるART中は、「左正解ベル1」〜「右正解ベル4」のいずれかに当選したときでも「PZ1」等を入賞させることができるため、通常移行出目が停止してしまい「RT1」に転落してしまうことを確実に防止できる。また、AT中でかつ「RT1」中において「RT2移行リプレイ」のいずれかに当選したときには、正解手順で停止操作を行って、確実に「昇格リプレイ」を入賞させることが可能となり、RT2に制御可能となる。なお、有利操作態様を特定可能な画像は、ナビ演出ともいう。
【0170】
(各種条件に関連する演出)
前述したとおり、S300の有利期間関連処理においては、所定の有利期間移行条件、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、各種AT中抽選条件、有利期間を終了させる条件各々を成立させ得る状況となったことを特定可能なコマンドがサブ制御基板73に出力される。
【0171】
演出制御処理では、所定の条件が成立したときに「連続演出」や「狙え演出」を含む複数種類の演出のいずれかを実行可能である。所定の条件は、例えば、BAR揃いリプレイ、チェリー、スイカ、チャンス目などに当選してAT移行抽選条件や各種AT中抽選条件が成立すること、RBB当選など、遊技者にとって有利となる可能性が生じることや、フェイクリプレイに当選することなどにより成立する。なお、所定の条件は、これに限らず、これに替えてあるいは加えて、例えば、所定の有利期間移行条件が成立することや、所定のCZ移行抽選条件が成立することなどにより成立するようにしてもよい。
【0172】
連続演出は、例えば、チェリー、スイカ、チャンス目などに当選してAT移行抽選条件や各種AT中抽選条件が成立することやRBB当選することなどにより実行可能となる。連続演出は、複数回(例えば3回〜4回)の遊技に亘って所定の演出(ストーリー性を有する内容の演出など)を進行させることにより、AT移行抽選条件が成立してATに制御される可能性、各種AT中抽選条件が成立して上乗せあるいはAT継続等が行われる可能性、RBBに当選している可能性等を示唆した後に、当該演出の結末を報知することにより抽選結果を報知する演出である。演出の結末とは、所定の演出の流れにおける最終的な結論であって、ストーリー性を有する演出の場合には当該ストーリー展開における最終的な結果を意味する。抽選結果とは、AT移行抽選において当選したか否か(ATに制御されるか否か)、各種AT中抽選で当選したか否か(上乗せ等されるか否か、AT継続されるか否か等)、あるいはRBB当選したか否か等の結果である。AT移行抽選等において当選していないときには、演出の結末として当選していない旨が報知される。一方、AT移行抽選等において当選しているときには、演出の結末として高い割合で当選している旨を報知される。しかし、AT移行抽選等において当選しているときであっても、低い割合で演出の結末として当選していない旨が報知される場合が生じ得る。連続演出において当選している旨を報知する結末は、ATの上乗せやAT継続という特典に当選しており当該特典が付与されることが特定可能となる特定事象に相当する。特定事象は、特典に当選しているときにのみ発生し得る事象である。
【0173】
連続演出としては、ストーリー性等が異なる複数種類の連続演出が設けられている。複数種類の連続演出は、いずれの種類が実行されるかに応じて、当該連続演出を実行する契機となった抽選において当選していることに対する期待度が異なるように定められている。具体的には、実行する連続演出の種類の決定に際して、当該連続演出を実行する契機となった抽選において当選しているときには、第1種類の連続演出を他の第2種類の連続演出よりも高い割合で実行する連続演出として決定し、連続演出を実行する契機となった抽選において当選していないときには第2種類の連続演出を第1種類の連続演出よりも高い割合で実行する連続演出として決定する。このため、AT当選・上乗せ当選・継続当選等している当選割合は、連続演出の種類に応じて異なる。連続演出中においては、連続演出の種類を特定可能となる演出種類情報(連続演出の種類の名称)と、当該連続演出の当選割合(当選期待度。継続報知割合を含む)を示唆する演出期待度情報(継続報知割合情報を含む)が報知される。演出期待度情報は、例えば、星画像の個数により報知され、表示されている星画像の個数が多い程、当選期待度が高く、当選割合が高いことを示唆する。
【0174】
狙え演出は、例えば、BAR揃いリプレイに当選してAT移行抽選条件や各種AT中抽選条件が成立して当選することや、フェイクリプレイに当選することなどにより実行可能となる。狙え演出は、「BAR」図柄を停止させることを目標として「BAR」図柄を示唆し、当該「BAR」図柄を狙わせる「BAR」関連画像(以下、BARを狙え関連画像ともいう)とともに、ストップスイッチ21Rを第1停止させる押し順(逆押し)を示す矢印画像を表示することにより、「BAR」図柄の目押しを促す演出である。
【0175】
狙え演出は、AT移行抽選や各種AT中抽選等において当選しているとき(BAR揃いリプレイ当選を契機として当選した場合のみならず、チェリー、スイカ、チャンス目などを契機としてすでに当選しているが連続演出が実行されておらず未だ当選報知されていない場合などを含む)には図7に示す「BAR揃いリプレイ」に当選した遊技中(少なくともリール回転中)において実行され、AT移行抽選や各種AT中抽選等において当選していないときには図7に示す「フェイクリプレイ」に当選した遊技中(少なくともリール回転中)において実行される。つまり、AT移行抽選や各種AT中抽選等において当選しているときには、「BAR」図柄が3つ揃いとなり得る「BAR揃いリプレイ」に当選している遊技においてのみ狙え演出が実行される。これに対して、AT移行抽選や各種AT中抽選等において当選していないときには、「BAR揃いリプレイ」に当選している遊技ではなく、「BAR」図柄が3つ揃いにはなり得ない「フェイクリプレイ」に当選している遊技において狙え演出が実行される。これにより、「BAR」図柄を狙って逆押しさせて、「BAR」図柄を正確に狙って停止操作を行った場合に、「BAR」図柄が3つ揃いとなることによりAT移行抽選や各種AT中抽選等において当選していることが確定していることを報知し、「BAR」図柄が3つ揃いとならずにテンパイとなることによりAT移行抽選や各種AT中抽選等において当選していなかったことを報知できる。また、「BAR」図柄を正確に狙って停止操作を行うことができない場合でも、AT移行抽選や各種AT中抽選等において当選していることに対する期待感を持続させることができる。狙え演出中において「BAR」図柄が3つ揃いとなったときには、液晶表示器27において「STOCK」といったメッセージが表示される(後述の図11等参照)。狙え演出において「BAR」図柄が3つ揃いとなること、および「STOCK」といったメッセージが表示されることは、いずれも、ATの上乗せやAT継続という特典に当選しており当該特典が付与されることが特定可能となる特定事象に相当する。なお、AT移行抽選や各種AT中抽選等の結果に関する情報を報知する演出としては、連続演出や狙え演出に限らず、例えば、特定のキャラクタを登場させることにより当選を報知する演出であってもよく、その他の演出であってもよい。
【0176】
また、演出制御処理では、連続演出や狙え演出等による結果が報知された後においてチャンスボタン演出を実行可能である。チャンスボタン演出とは、液晶表示器27等において、決定スイッチ81aへの操作を促すための「PUSH」と記されたボタン画像(以下、操作促進画像ともいう)を表示する演出である。この操作促進画像は、決定スイッチ81aの見た目や形状を模した画像となっており、操作促進画像が表示されることで遊技者は決定スイッチ81aを指し示していることを認識可能である。
【0177】
チャンスボタン演出は、複数種類定められている。図9は、複数種類のチャンスボタン演出の概要を説明するための図である。本実施形態におけるチャンスボタン演出としては、第1チャンスボタン演出〜第3チャンスボタン演出が設けられている。
【0178】
図9(a)は、第1チャンスボタン演出の概要を説明するための図である。第1チャンスボタン演出は、操作促進画像が表示される可能性を示唆する示唆演出の画像を表示した後に操作促進画像を表示するパターンである。チャンスボタン演出の画像は、実行されている演出画像に重畳して表示される。図9(a)では、示唆演出の画像として、例えば、第1チャンスボタン演出開始時において、操作促進画像の透過度を高くした透過画像(図9(a)等では点線枠で示しているもので、半透明の薄い態様)を液晶表示器27の四隅に表示(第1段階)させて、時間経過とともに当該透過画像を液晶表示器27の中央位置方向に移動(第1段階→第2段階→第3段階)させて、中央位置において4つの透過画像が重なったときに透過度の低い操作促進画像(第4段階、図9(a)等では実線枠で示しているもので、第1段階〜第3段階より半透明や透明ではなく濃い態様)に変化(表示)される例を示している。なお、第1チャンスボタン演出における示唆演出の画像は、時間の経過に応じて進行する(垂れ流しパターン)ものであってもよく、スタートスイッチ19、ストップスイッチ21L〜21R、メダル投入等による賭数設定操作などの所定操作毎に段階的に進行する(操作進行パターン)ものであってもよい。例えば、ストップスイッチ21L〜21Rにおける第1停止操作に対応して第1段階、第2停止操作に対応して第2段階、第3停止操作に対応して第3段階とし、第3停止操作の後に第4段階へ進展するものでもよいし、スタートスイッチ19の操作に対応して第1段階、ストップスイッチ21L〜21Rにおける第1停止操作に対応して第2段階、第2停止操作に対応して第3段階、第3停止操作に対応して第4段階へ進展するようにしてもよい。
【0179】
第1チャンスボタン演出では、例えば、示唆演出の画像を表示して4つの透過画像が重なったときに操作促進画像が表示される。第1チャンスボタン演出を実行するためのデータは、示唆演出の画像を表示してから操作促進画像が表示されるまでのデータを含むように、ROM77に格納されている。第1チャンスボタン演出中において、示唆画像が表示されている期間においては、決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付けず無効とし、操作促進画像が表示されている期間において決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付け可能となる。第1チャンスボタン演出の開始タイミングは、例えば、スタートスイッチ19が操作されたタイミングであってもよく、ストップスイッチ21L〜21Rへの第1停止操作を受け付けたタイミングであってもよい。また、第1チャンスボタン演出中において操作促進画像を表示するタイミングは、例えば、ストップスイッチ21L〜21Rへの第3停止操作(最終停止操作)を受け付けたタイミングであってもよく、第3停止操作を受け付けた後の所定タイミング(例えば、第3停止操作から所定時間経過時や、次ゲームの賭数設定操作時等)であってもよく、また、第3停止操作(最終停止操作)を受け付けてリール11L〜11Rすべての回転が停止したタイミングであってもよい。
【0180】
図9(b)は、第2チャンスボタン演出の概要を説明するための図である。第2チャンスボタン演出は、前述した示唆演出の画像を表示することなく、操作促進画像を表示するパターンである。第2チャンスボタン演出を実行するためのデータは、操作促進画像を表示するデータを含むようにROM77に格納されている。第2チャンスボタン演出中において操作促進画像が表示されている期間においては、決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付け可能となる。第2チャンスボタン演出の開始タイミング(あるいは、操作促進画像を表示するタイミング)は、例えば、スタートスイッチ19が操作されたタイミングであってもよく、ストップスイッチ21L〜21Rへの第1停止操作を受け付けたタイミングであってもよく、また、ストップスイッチ21L〜21Rへの第3停止操作(最終停止操作)を受け付けたタイミングであってもよく、第3停止操作を受け付けた後の所定タイミング(例えば、第3停止操作から所定時間経過時や、次ゲームの賭数設定操作時等)であってもよく、また、第3停止操作(最終停止操作)を受け付けてリール11L〜11Rすべての回転が停止したタイミングであってもよい。
【0181】
図9(c)は、第3チャンスボタン演出の概要を説明するための図である。第3チャンスボタン演出は、示唆演出の画像を表示するものの、その後において操作促進画像が表示されないパターンである。図9(c)では、図9(a)と同様の示唆演出の画像(第1段階)を表示して、中央位置において4つの透過画像が重なったとき(第1段階→第2段階→第3段階)に操作促進画像が表示されず(第4段階に発展せず)、透過画像が非表示となる例を示している。図9(c)における第3チャンスボタン演出は、第1段階から第3段階まで発展した後に、第4段階に発展せずに終了する例を示しているが、第4段階に発展しないものであればこれに限らず、例えば、第1段階や第2段階で終了し、それ以降の段階に発展しないものであってもよい。
【0182】
なお、第3チャンスボタン演出における示唆演出の画像は、第1チャンスボタン演出と同様に、時間の経過に応じて進行する(垂れ流しパターン)ものであってもよく、スタートスイッチ19、ストップスイッチ21L〜21R、メダル投入等による賭数設定操作などの所定操作毎に段階的に進行する(操作進行パターン)ものであってもよい。第3チャンスボタン演出の開始タイミングは、第1チャンスボタン演出の開始タイミングと同じタイミングが定められており、例えば、スタートスイッチ19が操作されたタイミングであってもよく、ストップスイッチ21L〜21Rへの第1停止操作を受け付けたタイミングであってもよい。このように、第3チャンスボタン演出は第4段階まで進展しないこと以外は第1チャンスボタン演出と同様であり、そのため、遊技者にとっては第3チャンスボタン演出が行われても第1チャンスボタン演出かもしれないと段階的に進展していく様に期待感を抱くことができる。
【0183】
図9(a)および図9(c)において示すように、示唆演出の画像が表示されたときには、操作促進画像が表示されるか否かを遊技者は特定不能となり、透過画像が中央位置に移動する間において操作促進画像が表示されることを煽ることができる。このため、示唆演出の画像は、煽り画像であるともいえる。第3チャンスボタン演出を実行するためのデータは、示唆演出の画像を表示するまでのデータを含むようにROM77に格納されている。
【0184】
第1チャンスボタン演出中においては、当該第1チャンスボタン演出のデータを用いて示唆演出の画像を表示する一方、第3チャンスボタン演出中においては、当該第3チャンスボタン演出のデータを用いて示唆演出の画像を表示するといったように、示唆演出の画像を表示するデータが第1チャンスボタン演出と第3チャンスボタン演出とで異なる。しかし、示唆演出の画像を表示するためのデータをROM77に予め格納し、第1チャンスボタン演出中および第3チャンスボタン演出中のいずれにおいても共通のデータを用いて示唆演出の画像を表示し、第1チャンスボタン演出中においては示唆演出の画像を表示した後に操作促進画像を表示するためのデータを用いて操作促進画像を表示するようにしてもよい。この場合における第1チャンスボタン演出中の操作促進画像を表示するためのデータは、第2チャンスボタン演出のデータと同じであっても、別個のデータであってもよい。
【0185】
チャンスボタン演出は、チャンスボタン演出抽選の結果に応じて実行される。演出制御処理は、チャンスボタン演出を実行するか否かおよび実行する場合にはその種類を決定するためのチャンスボタン演出抽選を行う。図10(a)は、チャンスボタン演出抽選に用いるチャンスボタン演出抽選用テーブルを説明するための図である。
【0186】
チャンスボタン演出抽選用テーブルは、AT移行抽選や各種AT中抽選(上乗せ抽選、AT継続抽選など)において当選していることや、RBB当選していることなどにより、遊技者に特典が付与される(特典当選)か否かに応じて、異なる振分率となるように抽選用の判定値が定められている。
【0187】
また、連続演出や狙え演出などにおいて特定事象が発生することにより、チャンスボタン演出を実行する際に特典当選が報知されている場合もある。このため、チャンスボタン演出抽選用テーブルでは、例えば、チャンスボタン演出を実行するときの状況が連続演出や狙え演出などにおいて特定事象が発生して特典当選が報知されている状況であるか否かによっても異なる振分率となるように判定値が定められている。
【0188】
例えば、特典当選時であって当選報知済(特定事象発生)時においては、7%の割合で第1チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、88%の割合で第2チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、5%の割合でチャンスボタン演出を実行しない旨が決定されるように判定値が定められている。
【0189】
また、特典当選時であって当選未報知(特定事象不発生)時においては、75%の割合で第1チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、5%の割合で第2チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、5%の割合で第3チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、15%の割合でチャンスボタン演出を実行しない旨が決定されるように判定値が定められている。
【0190】
また、特典非当選時においては、5%の割合で第1チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、2%の割合で第2チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、8%の割合で第3チャンスボタン演出を実行する旨が決定され、85%の割合でチャンスボタン演出を実行しない旨が決定されるように判定値が定められている。
【0191】
図10(a)に示すように、操作促進画像が表示され得る第1チャンスボタン演出および第2チャンスボタン演出は、特典非当選時よりも特典当選時であるときの方が高い割合で実行され得る。このため、チャンスボタン演出が実行されて操作促進画像が表示されたときには、特典当選していることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0192】
また、特典当選時においても、低い割合であるが第3チャンスボタン演出が実行される場合やチャンスボタン演出が実行されない場合が生じ得る。このため、第3チャンスボタン演出が実行されたときやチャンスボタン演出が実行されていないときであっても、特典当選していることに対する期待感を持続させることができる。
【0193】
さらに、特典当選している旨が未だ報知されておらず特定事象が発生していない第1状況(当選未報知時や特典非当選時を含む)においては、図10(b)に示すように、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行される。つまり、未だ特定事象が発生していないときには、遊技者は特典当選しているか否か不明であるため、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出を実行することにより、示唆演出の画像を表示している間において、操作促進画像が表示されることを煽ることができる。
【0194】
一方、特典当選している旨が報知されており特定事象が発生している第2状況(特典当選報知済時)においては、図10(c)に示すように、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行される。図10(c)においては、例えばAT中の狙え演出等の結果として「STOCK」といったメッセージ表示により特定事象が発生した場合を例示している。特定事象が発生して遊技者が特典当選を把握している状況においては、操作促進画像が表示されることを煽ってしまう割合を低減させるべく、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で第2チャンスボタン演出を実行する。これにより、示唆演出の画像等を表示して無駄に煽る演出が行われてしまう割合を低減できる。
【0195】
ここで、AT中において狙え演出が実行されて特定事象が発生する場合の具体例を説明する。図11では、上空モードに制御されているAT中において、「BAR揃いリプレイ」に当選して狙え演出が実行された場合を説明するための図である。図11においては、左欄からAT中における遊技数、当該遊技において当選している当選役グループが示され、右欄において液晶表示器27の表示例が示されている。なお、図11以降における各種演出の説明においては、液晶表示器27の表示例を主に説明するが、各種演出中においては、液晶表示器27における表示に対応する態様で各種ランプが制御されるとともに、所定の効果音やBGMがスピーカ31L、31Rから出力されているものとする。
【0196】
AT中においては、現在制御中のモードを特定するためのモード名(種類情報)と、当該モードの継続当選割合(継続当選期待度)や期待ゲーム数を示唆するモード期待度情報(期待度情報)が報知される。モード期待度情報は、例えば、星画像の個数により報知され、表示されている星画像の個数が多い程、継続当選期待度が高く、継続当選割合が高いことや、期待ゲーム数が多いことを示唆する。具体的に、宇宙モード中は、星画像が5つ表示され、上空モード、地上モード、海モードの順に星画像が1つずつ少なくなり、地底モード中においては星画像が1つ表示される。これにより、今回制御中のATに続いて、次回ATに継続して制御されることに対する期待度を遊技者に報知できる。また、AT中においては、モードに対応する背景画像が表示されるとともに、今回制御中のATの残りATゲーム数と今回ATが継続して何回目のATであるかを特定するための継続回数とが表示される。
【0197】
図11(a)では、N遊技目に対応する表示例として、上空モードにおけるAT中の表示例が示されている。図11(a)においては、液晶表示器27の上方中央において種類情報として「上空モード」といったメッセージと、モード期待度情報として星画像が4つ表示され、その右側方において残りATゲーム数と継続回数とが表示されている。例えば残りATゲーム数が40で、継続回数が2回目である場合には、図11(a)に示すように、残りATゲーム数として「LAST:40」が表示され、継続回数として「2セット目」が表示される。
【0198】
また、液晶表示器27の背景画像としては、上空モードに対応して雲画像(モクモクした画像)が表示されている。また、N遊技目においては、押し順ベルに当選しているため、液晶表示器27の下方において有利操作態様を示唆するためのナビ演出(3・1・2)が実行されている。
【0199】
図11(b)においては、ナビ演出のとおりに遊技者が停止操作を行った結果、押し順正解ベルに入賞したときの表示例を示している。図11(b)に示すように、ナビ演出が終了して、液晶表示器27の中央において「GET」といったメッセージが表示される。この「GET」といったメッセージは、押し順正解ベルに入賞して遊技媒体が獲得されたことを意味する表示であって、この態様に遊技媒体を獲得したことを具体的に報知する「9枚GET」という態様であってもよい。ただし、スイカ・チェリー・チャンス目のように獲得できる遊技媒体の数が少ない役の場合は「GET」といったメッセージは表示しないようにしてもよい。
【0200】
図11(c)は、N+1遊技目に対応する表示例を示している。N+1遊技目においては、BAR揃いリプレイに当選し、AT継続抽選において当選(つまり特典当選)した場合を例示する。なお、当該遊技におけるBAR揃いリプレイ当選によるAT継続抽選において当選したものに限らず、例えば、N+1遊技目よりも前に行われた遊技においてチェリー等に当選してAT継続抽選において当選していたが、未だ当選報知がされていない場合であってもよい。図11(c)は、内部抽選において「BAR揃いリプレイ」に当選したときに狙え演出が開始されたときの表示例を示している。リール11L〜11R各々の回転が開始されるとともに、BARを狙え関連画像が液晶表示器27に表示される。これにより、「BAR」図柄を停止させることを目標として、停止操作の際に遊技者に対して「BAR」図柄を狙わせることを促すことができる。なお、狙え演出中においては、図11(b)等で表示されているモード名、およびモード期待度情報が非表示となる。
【0201】
狙え演出にしたがって、リール11Rの「BAR」図柄を停止表示させることができるタイミングで第1停止操作がされたときには、リール11Rの「BAR」図柄が上段または下段に停止される。続いて、リール11Lおよびリール11M各々の「BAR」図柄を停止表示させることができるタイミングで第2停止操作および第3停止操作がされたときには、「BAR」図柄が右下がりラインあるいは右上がりラインのいずれかにおいて揃うように停止される。また、当該N+1遊技目においてリール11L〜リール11Rが停止して図柄組合せが停止されて「BAR」図柄が3つ揃いとなること、および、図11(d)に示すように、ギザギザマーク内に「STOCK」といったメッセージが表示されることなどにより特定事象が発生する。これにより、AT継続抽選において当選しており、次回ATに継続して制御されることを遊技者に対して確定的に報知できる。このように、図11(d)においては、図11(b)のように遊技媒体を獲得できたことを報知するのではなく、AT継続に係る恩恵が付与されたことを認識可能な情報が報知されることとなる。なお、狙え演出などにより特典の当否についての結果が報知された後においては、チャンスボタン演出が実行され得る。これについては、図12を用いて後述する。
【0202】
図11(e)は、N+2遊技目に対応する表示例を示している。N+2遊技目の遊技は、N+1遊技目において次回ATに継続して制御されることが報知されている状況において開始される遊技である。このような状況において、例えば、モード名とともに再びモード期待度情報を表示してしまうと、未だAT継続が確定していないのではないかといった疑念や不信感を遊技者に抱かせてしまう虞がある。そこで、本実施形態におけるスロットマシン1では、すでに次回ATに継続して制御されることが報知された後においては、図11(e)に示すように、モード名については継続して表示するものの、モード期待度情報については表示されない。さらに、図11(e)では、次回ATに継続して制御されることが確定している旨を報知するための確定済報知演出が実行される。確定済報知演出は、例えば、「継続確定」といったメッセージを、液晶表示器27の両サイド(左右)の縦長の帯状領域においてスクロール表示させる演出である。AT継続が確定報知された後においても、モードに対応する背景画像は、当該確定報知前と同じ態様で表示され、押し順ベルに当選したときにも当該確定報知前と同じ態様でナビ演出が実行される。
【0203】
図11においては、特典当選の確定報知が、狙え演出により実行される例について説明した。しかし、特典当選の確定報知となる特定事象は、連続演出を含むその他の演出中においても発生し得る。この場合であっても、連続演出を含むその他の演出中においては、モード名およびモード期待度情報が非表示となる。また、連続演出を含むその他の演出により特典当選の確定報知が行われた後においては、図11(e)等と同様に、モード名について継続して表示するもののモード期待度情報については表示されない。
【0204】
図12では、狙え演出により特典の当否にかかわる結果が報知された後において、チャンスボタン演出が実行された場合の演出例を説明するための図である。AT継続抽選において当選している場合であって、狙え演出中における第3停止操作時において示すように「BAR」図柄が揃ったときには、例A〜例Cのいずれかとなるように液晶表示器27の表示状態が遷移する。
【0205】
例Aは、「BAR」図柄が揃って停止することにより「STOCK」表示が行われて特定事象が発生した例である。特定事象が発生して当選報知済時においては、図10(a)で示したように、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行される。例Aでは、第2チャンスボタン演出が実行された場合を例示している。第2チャンスボタン演出は、「STOCK」表示に重畳させて操作促進画像を表示することにより行われる。また、操作促進画像の表示に伴って、決定スイッチ81aへの操作を受け付けたときには、当選した特典に関連する情報として、継続当選(ストック)したATに対応して決定されたATゲーム数が報知される。図12の例Aでは、決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより、液晶表示器27においてギザギザマーク内に「+30G」といったメッセージが表示され、継続当選したATに対応するATゲーム数が「30」であることが報知される。
【0206】
なお、特定事象が発生して当選報知済時であっても、図10(a)において示したように、第1チャンスボタン演出が実行される場合も生じ得る。第1チャンスボタン演出が実行された場合には、図9(a)に示す示唆演出が実行された後に操作促進画像が表示される。また、操作促進画像の表示に伴って、決定スイッチ81aへの操作を受け付けたときには、当選した特典に関連する情報として、例えば継続当選したATに対応して決定されたATゲーム数が報知される。
【0207】
上記の例では、特定事象として、図11(d)に示す表示状態を表示することや、「BAR」図柄が揃って停止することなどを例示した。しかし、特定事象は、これに限らず、例えば、例Bのように、ギザギザマーク内に、停止させることを目標としていた「BAR」図柄に対応するBAR図柄画像が表示されているBAR図柄画像強調表示に遷移することであってもよい。
【0208】
また、「BAR」図柄が揃ったときであっても、例Aや例Bのように液晶表示器27において特定事象を生じさせるものに限らず、例Cに示すように、狙え演出において表示されていた押し順(逆押し)を示す矢印画像のみを消去し、図柄に関するBARを狙え関連画像自体についてはそのまま継続して表示するものであってもよい。この場合には、液晶表示器27の表示からでは特典当選を特定することができないが、「BAR」図柄が3つ揃いで停止されていることにより特典当選を遊技者が特定可能となる。
【0209】
なお、例Bおよび例Cのいずれであっても、例Aと同様にチャンスボタン演出抽選が行われるため、チャンスボタン演出が実行され得る。チャンスボタン演出が実行される場合には、例Bおよび例Cで示した表示に重畳させてチャンスボタン演出の画像が表示される。
【0210】
なお、例A〜例Cのいずれに遷移するかについては、複数種類の狙え演出のうち実行されている狙え演出の種類に応じて予め定められているものであってよく、また、「BAR」図柄が揃ったときに乱数等を用いてランダムに決定するものであってもよい。乱数等を用いてランダムに決定する場合には、当選している特典の有利度合い(例えば、ストックされたATのATゲーム数、上乗せされたATゲーム数など)の大きさに応じた振分率にしたがって例A〜例Cのいずれかに遷移させるようにしてもよい。例えば、継続当選してATがストックされたときには、当該ストックされたATのATゲーム数の大きさが所定数(例えば50)以上であるときには、例Bおよび例Cよりも高い割合で例Aが決定されるようにしてもよい。これにより、例Aのように遷移されるかに応じて特典の有利度合いに対する期待感を異ならせることができる。
【0211】
また、スロットマシン1としては、例A〜例Cのいずれか一の表示状態にしか遷移しないものであってもよい。例えば、狙え演出において第3停止操作が行われてBAR図柄揃いとなったときには、必ず例Aに遷移するものであってもよく、必ず例Bのルートに遷移するものであってもよく、必ず例Cのルートに遷移するものであってもよい。
【0212】
一方、AT継続抽選において当選している場合であっても、狙え演出中における第3停止操作時において「BAR」図柄が揃わなかったとき(テンパイを含む)には、図11(d)等に示す表示状態ではなく、例Dとなるように液晶表示器27の表示状態が遷移する。例Dでは、第3停止操作によりリール11L〜11Rがすべて停止することにより、狙え演出をグレーアウトさせる表示状態に遷移している。これにより、BARを狙え関連画像を停止前よりも目立たない態様に変化させることができるとともに、「BAR」図柄を狙って停止操作させる期間が終了したことを遊技者に報知できる。一方、停止操作タイミングが合わずにBAR図柄揃いとならなかったときには、実際はBAR揃いリプレイに当選していて、継続当選しており次回ATに継続して制御されることに対する期待感をその後も持続させることができる。
【0213】
例Dの場合には、「BAR」図柄が揃っておらず、かつ「STOCK」表示もされていないため、特定事象が発生していない。例Dのように特定事象が発生しておらず当選未報知済時においては、図10(a)で示したように、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行される。図12の例Dでは、第1チャンスボタン演出が実行された場合を例示している。第1チャンスボタン演出は、グレーアウトしている画像に重畳させて、図9(a)で示した示唆演出の画像を表示した後に操作促進画像に変化する画像を表示することにより行われる。
【0214】
また、操作促進画像の表示に伴って、決定スイッチ81aへの操作を受け付けたときには、図11(d)と同様に「STOCK」表示をして特典当選していることを報知した後、「+30G」といったメッセージを表示して継続当選したATに対応するATゲーム数が「30」であることが報知される。
【0215】
なお、AT継続抽選において当選しているものの特定事象が発生しておらず当選未報知時であっても、図10(a)において示したように、第2チャンスボタン演出や第3チャンスボタン演出が実行され得る。第2チャンスボタン演出が実行された場合には、操作促進画像が表示される。また、操作促進画像の表示に伴って、決定スイッチ81aへの操作を受け付けたときには、図11(d)と同様に「STOCK」表示をして特典当選していることを報知した後、「+30G」といったメッセージを表示して継続当選したATに対応するATゲーム数が「30」であることが報知される。一方、第3チャンスボタン演出が実行された場合には、操作促進画像が表示されず、今回の演出によって特典当選している旨が報知されない。
【0216】
また、AT継続抽選において当選していない場合であって特典非当選時であっても、図10(a)において示したように、チャンスボタン演出が実行され得る。第1チャンスボタン演出あるいは第2チャンスボタン演出が実行された場合には、操作促進画像が表示されるが、決定スイッチ81aへの操作を受け付けたとしても、操作促進画像の表示が消去され、チャンスボタン演出が開始される前の表示状態(図12の例Dの場合にはグレーアウトさせた表示状態)に遷移される。また、AT継続抽選において当選していない場合であって特典非当選時において第3チャンスボタン演出が実行された場合には、操作促進画像が表示されずに、チャンスボタン演出が開始される前の表示状態(図12の例Dの場合にはグレーアウトさせた表示状態)に遷移される。
【0217】
図11および図12では、狙え演出により特典の当否にかかわる情報(図11(d)となるか否かや「BAR」揃いが停止されるか否か等)が報知された後にチャンスボタン演出が実行される例について説明した。しかし、チャンスボタン演出は、チャンスボタン演出が開始されるときの状況に応じて実行されるもの(図10(a)参照)であればよく、例えば、連続演出やその他の演出により特典の当否にかかわる結末が報知された後においても実行され得る。例えば連続演出により特典当選を報知する結末が報知されて特定事象が発生した後においては、図10(a)の当選報知済時欄に示す振分率にしたがってチャンスボタン演出抽選を行う。また、特典当選しているが連続演出により特典当選を報知する結末が報知されず特定事象が発生しなかった後においては、図10(a)の当選未報知時欄に示す振分率にしたがってチャンスボタン演出抽選を行う。また、特典当選しておらず連続演出により特典当選を報知する結末が報知されず特定事象が発生しなかった後においては、図10(a)の特典非当選時欄に示す振分率にしたがってチャンスボタン演出抽選を行う。
【0218】
<スロットマシン1により奏される効果の例>
上記実施形態におけるスロットマシン1は、特定事象が発生しておらず特典当選していることを遊技者が把握できていない第1状況においては、図10(a)の当選未報知時および特典非当選時欄に示されるように、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行される。このため、第1状況においては操作促進画像が表示されるまでに極力示唆演出の画像が表示される結果、遊技者の期待感を効果的に高めるとともに、操作促進画像が表示されたときに決定スイッチ81aに対する操作を行う意欲を向上させることができる。また、特定事象が発生しており特典当選していることを遊技者が把握できている第2状況においては、図10(a)の当選報知済時欄に示されるように、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行される。このため、第2状況においては極力示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像が表示される結果、第2状況において示唆演出の画像が表示されることにより遊技者が抱く不信感やストレスを極力低減できる。
【0219】
また、図9(a)において示したように、第1チャンスボタン演出中のうち、操作促進画像が表示されるまでの期間であって示唆演出の画像が表示されている期間においては、決定スイッチ81aに対する操作を有効に受け付けない。このため、操作促進画像が表示されるまでにおいて決定スイッチ81aに対する操作が受け付けられてしまうことを防止するとともに、不整合な演出が実行されてしまうことを未然に防止でき、処理負担を増大させることなく不整合な演出が実行されてしまうことを回避できる。
【0220】
また、図9(c)において示したように、示唆演出の画像を表示した後に操作促進画像を表示することなく終了する第3チャンスボタン演出を実行することができる。これにより、示唆演出の画像が表示される機会を増大させ、遊技者の期待感を高める機会を増大させることができる。しかし、第2状況においては、図10(a)の当選報知済時欄に示されるように、第3チャンスボタン演出が実行されることがないため、特典当選を把握している遊技者に対して第3チャンスボタン演出が実行されることにより不信感やストレスを抱かせてしまうことを防止できる。
【0221】
また、特定事象は、図10(c)や図11(d)等において示したような「STOCK」表示が液晶表示器27において表示されることを含む。このため、「STOCK」表示されることにより、特典当選していることを遊技者が視覚的に特定しやすくでき、気付かずに見逃してしまうことを極力防止できる。
【0222】
<変形例>
上記実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下に、実施形態に対する変更を例示する。
【0223】
(1) 上記実施形態においては、特典が付与されるか否かの当落報知を行う連続演出や狙え演出などの当落報知演出とは別個にチャンスボタン演出が実行される例について説明したが、これに限らず、チャンスボタン演出が連続演出や狙え演出などの当落報知演出に盛り込まれているものであってもよい。つまり、当落報知演出のパターン(種類)として、チャンスボタン演出が盛り込まれているパターンを含むものであってもよい。この場合であっても、例えば図10(a)で示した振分率でチャンスボタン演出の種類が振分けられて実行される。
【0224】
具体的に、連続演出や狙え演出などの演出結果(特典が付与されるか否かを報知する画面。例えば、狙え演出において「STOCK表示」画面やグレー表示画面、連続演出の結末を報知する画面(後述する図13(p)、図13(q)、図14(h))等)として特典当選を報知するパターン(特定事象発生パターン)として、当該演出結果を報知した後に第1チャンスボタン演出が実行されるように盛り込まれている第1当選報知パターンと、当該演出結果を報知した後に第2チャンスボタン演出が実行されるように盛り込まれている第2当選報知パターンと、当該演出結果を報知した後にチャンスボタン演出が実行されない第3当選報知パターンとを設ける。また、連続演出や狙え演出などの演出結果として特典当選を報知しないパターン(特定事象不発生パターン)として、当該演出結果を報知した後に第1チャンスボタン演出が実行されるように盛り込まれている第1当選非報知パターンと、当該演出結果を報知した後に第2チャンスボタン演出が実行されるように盛り込まれている第2当選非報知パターンと、当該演出結果を報知した後に第3チャンスボタン演出が実行されるように盛り込まれている第3当選非報知パターンと、当該演出結果を報知した後にチャンスボタン演出が実行されない第4当選非報知パターンとを設ける。
【0225】
このような演出パターンを設けた上で、特典当選している場合には、第1当選報知パターン〜第3当選報知パターン、第1当選非報知パターン、および第2当選非報知パターンのうちから実行するパターンを決定してもよい。この場合、第1当選報知パターン、第2当選報知パターン、第3当選報知パターン、第1当選非報知パターン、および第2当選非報知パターン各々の振分率(実行割合)は、例えば、第1当選報知パターン:10%、第2当選報知パターン:70%、第3当選報知パターン:5%、第1当選非報知パターン:10%、第2当選非報知パターン:5%となるように定められているものであってもよい。これにより、第1当選報知パターン、第2当選報知パターン、および第3当選報知パターンのいずれかが実行されることにより、演出結果により特定事象が発生して特典当選していることを遊技者が把握できる第2状況となる場合には、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行される。また、第1当選非報知パターン、および第2当選非報知パターンのいずれかが実行されることにより、演出結果により特定事象が発生せず特典当選していることを遊技者が把握できていない第1状況となる場合には、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行される。
【0226】
また、特典当選していない場合には、第1当選非報知パターン〜第4当選非報知パターンのうちから実行するパターンを決定するようにしてもよい。この場合、第1当選非報知パターン〜第4当選非報知パターン各々の振分率(実行割合)は、例えば、第1当選非報知パターン:30%、第2当選非報知パターン:5%、第3当選非報知パターン:40%、第4当選非報知パターン:25%となるように定められているものであってもよい。これにより、第1当選非報知パターン〜第4当選非報知パターンのうちのいずれが実行されたときであっても、演出結果により特定事象が発生せず特典当選していることを遊技者が把握できていない第1状況となる場合には、第2チャンスボタン演出よりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行される。これにより、第1状況においては操作促進画像が表示されるまでに極力示唆演出の画像が表示される結果、遊技者の期待感を効果的に高めるとともに、操作促進画像が表示されたときに決定スイッチ81aに対する操作を行う意欲を向上させることができる。また、第2状況においては、極力示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像が表示される結果、第2状況において示唆演出の画像が表示されることにより遊技者が抱く不信感やストレスを極力低減できる。
【0227】
(2) 上記実施形態においては、チャンスボタン演出が連続演出などにおいて結果報知後に実行される例について説明したが、チャンスボタン演出は、連続演出において結果報知されるまでのタイミング(連続演出の途中)において実行されるものであってもよい。連続演出のパターンには、連続演出の途中の所定タイミングにおいてチャンスボタンが盛り込まれたパターンを含む。図13は、3ゲーム目において第1チャンスボタン演出が盛り込まれた連続演出が実行された場合を例示している。
【0228】
図13に示す連続演出は、1G目の賭数が設定されたときに開始される(なお、スタート操作がON検知されたときでもよい。)。1G目の賭数が設定されると、図13(a)および図13(b)に示す演出が開始される。図13(a)に示すように、液晶表示器27の上部領域に達成条件として「競争で競り勝て!」といったメッセージが表示されるとともに、その下方においてカエルを模したキャラクタとして、ライバルのキャラクタB(図13(a)において上側に配置されているキャラクタ)と遊技者側のキャラクタA(図13(a)において下側に配置されているキャラクタ)とがトラックのスタートラインに位置している様子が表示され、所定時間経過したときに、図13(b)に示すように達成条件の追加情報として「競争でコガエル君に勝て!」といったメッセージに切り替えて表示される。
【0229】
2G目のスタート操作がON検出されると、図13(c)および(d)に示すように「よ〜い」「スタート」といったメッセージが表示される。さらにその後、図13(e)〜図13(h)に示す演出に切り替えられる。図13(e)〜(h)に示すように、キャラクタAおよびBがともに競い合いながら右側へジャンプする様子が表示される。図13(f)〜(h)に示すようなキャラクタAおよびBが競り合う終盤の様子を継続させた後においては、図13(i)に示すように、ゴールが表示されるとともに、「もう少しでゴールだ!」といったメッセージが表示される。
【0230】
3ゲーム目のスタート操作がON検出されると、図13(j)に示すように、キャラクタAおよびBがともにゴール目前に迫っており、いずれのキャラクタが先にゴールするかといった状態であって、なおかつこれらのキャラクタの注目度合いを向上させるような線画像(いわゆる集中線)が表示された状態で留める演出が実行される。なお、このように、実行中の連続演出(一連の演出)における結末の直前の内容が表示された状態で留める演出であったり、結末の直前の内容が表示された状態で演出の進展がなされなかったりする期間を、以下ではタメ演出やタメ期間、タメ部分ともいう。
3ゲーム目の第1停止操作時においては、図13(k)に示すようにキャラクタAおよびBを所定の状態で留めたまま、当該画像に透過画像(第1段階)を重畳させて、第1チャンスボタン演出が開始される。3ゲーム目の第2停止操作時においては、図13(m)に示すように、透過画像を液晶表示器27の中央位置方向に移動させて第2段階に発展する。さらに、3ゲーム目の第3停止操作時においては、図13(n)に示すように、透過画像を液晶表示器27の中央位置方向にさらに移動させて第3段階に発展する。また、3ゲーム目の第3停止操作後においては、図13(o)に示すように第4段階に発展して、中央位置において4つの透過画像が重なったときに操作促進画像が表示された例を示している。図13(p)は、操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより連続演出を進行させて、キャラクタBよりも先にキャラクタAがゴールしてキャラクタAが競り勝った様子が示されており、当該連続演出の結末が表示されている。これにより、特典当選している旨が報知される。一方、図13(q)は、操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより連続演出を進行させて、キャラクタAよりも先にキャラクタBがゴールしてキャラクタAが競り負けた様子が示されており、当該連続演出におけるもう一つの結末が表示されている。これにより、特典当選していない旨が報知される。
【0231】
図13では、連続演出の進行タイミングの一例を示したが、これに限るものではない。例えば、図13では、2ゲーム目における演出例として図13(c)〜図13(i)を示し、3ゲーム目における演出例として図13(j)〜図13(q)を示したが、これに替えて、例えば、2ゲーム目においては図13(c)〜図13(g)に示す演出を実行し、3ゲーム目においては図13(h)〜図13(i)に示す演出を実行し、3ゲーム目の第3停止操作後以降において図13(j)〜図13(q)に示す演出を実行するものであってもよい。また、図13では、第1チャンスボタン演出における示唆演出の画像を停止操作毎に発展させる例について示したが、例えば、上記のように3ゲーム目の第3停止操作後以降において図13(j)〜図13(q)に示す演出を実行する場合には、時間経過に応じて示唆演出の画像を発展させるようにしてもよい。このように、3ゲーム目の第3停止操作後以降(最終停止操作後以降)に図13(j)以降から第1段階〜第4段階を進展させて、決定スイッチ81aへの操作を受け付けることで図13(p)または(q)へ進展させるようにしてもよい。
【0232】
図13では、連続演出の途中において第1チャンスボタン演出が実行される例について説明したが、これに限らず、第2チャンスボタン演出や第3チャンスボタン演出が実行されるパターンが設けられている。この場合であっても、図13に示すように特定事象が発生していない第1状況においては、第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンよりも高い割合で第1チャンスボタン演出が実行され得るパターンが実行される。これに対して、例えば図13(a)の連続演出開始時の表示態様等により特典当選している旨が報知されるなど、連続演出の結果報知までに特定事象が発生している第2状況においては、第1チャンスボタン演出が実行され得るパターンよりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンが実行される。これにより、第1状況においては操作促進画像が表示されるまでに極力示唆演出の画像が表示される結果、遊技者の期待感を効果的に高めるとともに、操作促進画像が表示されたときに決定スイッチ81aに対する操作を行う意欲を向上させることができる。また、第2状況においては、極力示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像が表示される結果、第2状況において示唆演出の画像が表示されることにより遊技者が抱く不信感やストレスを極力低減できる。
【0233】
また、図13では一連の演出内容が進展するところである図13(a)〜図13(i)の進展部分ではチャンスボタン演出は実行されず、一連の演出内容が進展しない図13(j)〜図13(o)のタメ期間においてチャンスボタン演出が実行されることになっており、その後に一連の演出内容の結末内容となる図13(p)または(q)へ進展することになっている。このように、一連の演出内容におけるタメ期間であるときにチャンスボタン演出を実行することにより、一連の演出内容における結末部分への遊技者の関心を高めることができる。また、進展部分ではチャンスボタン演出は実行されないことによりタメ期間におけるチャンスボタン演出への参加意欲の価値を高めることができる。なお、進展部分におけるチャンスボタン演出は全く実行されないものでもよく、また、タメ期間においてチャンスボタン演出が実行される割合よりも、進展部分でチャンスボタン演出が実行される割合の方が低い割合であってもよい。
【0234】
また、スピーカ31L、31Rにおいて連続演出中に当該連続演出に応じた所定の背景音つまりBGMや効果音を出力していた場合は、タメ期間においては当該BGMや効果音の進展を留まらせたり、音の出力を抑制したりするようにしてもよい。具体的には、タメ期間においてはスピーカ31L、31Rからの音出力を停止したり、BGMや一連の効果音や音データにおけるタメ期間に相当する部分を予め無音状態としたり、音の出力(音量)を抑制したり、タメ期間に相当する部分をループしたりする。そして、タメ期間が終了して結末部分へ進展するときに、当該BGMや効果音の進展が再開したり、音の出力(音量)を任意の音量で再開したりする。もちろん、チャンスボタン演出に関わる演出音については抑制されたり、留まったりすることはなく出力される。つまり、タメ期間においては当該連続演出に応じた演出音を敢えて抑制することで、当該タメ期間に遊技者を集中させることができる。ただし、遊技進行や遊技状態に関わる音出力条件が発生した場合、具体的には、エラー発生したときのエラー報知音、扉が開放したときの扉開放音、払出音やメダル投入音、賭数設定する際の賭数設定音などは、タメ期間中に音出力条件が発生した場合は対応する音を出力してもよい。
【0235】
また、ランプ部33L、33M、33R、37L、37Rにおいて連続演出中に当該連続演出に応じて順次発光態様を変化させていた場合は、タメ期間においては発光態様を変化させない(消灯を維持したり、点灯状態を維持したり、所定の発光パターンを維持したりする)ようにして、タメ期間が終了して結末部分へ進展するときに、任意のパターンで発光を再開して発光態様を変化させるようにしてもよい。このように、タメ期間においてはランプ部の発光態様を変化させないことで、当該タメ期間に遊技者を集中させることができる。ただし、遊技進行や遊技状態に関わるランプ、例えば、最大ベットスイッチ17のランプ、再遊技であることが特定可能な再遊技ランプ、メダル投入可能であることが特定可能な投入可能ランプ、スタートスイッチの操作が可能であることが特定可能なスタートランプ、現在賭数設定されている賭数を特定可能な1BETランプ・2BETランプ・3BETランプ、クレジット表示器45、ペイアウト表示器46、各種状態を報知するための所定の状態表示LED等は、タメ期間中に発光態様を変化させる状況が発生した場合は発光態様を変化させてもよく、例えば、タメ期間中にエラーが発生した場合は、ペイアウト表示器46におけるエラーコード表示は実行し、状態表示LEDも所定の点灯を行い、さらに、ランプ部33L、33M、33R、37L、37Rにおいてはエラー報知中の発光態様へと変化させてもよい。タメ期間中に払出しが発生した場合は、ペイアウト表示器46の表示を更新し、タメ期間中に賭数設定やメダル投入が可能となれば、最大ベットスイッチ17のランプや投入可能ランプを発光させる。このように、タメ期間においては演出に関わるランプは発光態様が変化しないようにする一方で、遊技進行や遊技状態に関わるランプや、遊技進行や遊技状態に関わる事態が発生した場合はその限りではない。
【0236】
また、タメ期間におけるチャンスボタン演出を実行する際は、図13では当該連続演出のタメ演出を表示しつつ操作促進画像(チャンスボタン演出)が表示された(以下、これを第1進展パターンという)が、これに限らず、タメ演出とは異なるものでありチャンスボタン演出が実行されるときに実行される特別演出表示に切り替わり、当該特別演出表示とともにチャンスボタン演出を実行したり、操作促進画像を表示したりしてもよい(以下、これを第2進展パターンという)。つまり、実行中の一連の演出におけるタメ演出とともに操作促進画像を表示するのではなく、タメ演出とは異なる特別演出表示とともに操作促進画像を表示するようにしてもよい。そして、操作促進画像に従って決定スイッチ81aを操作した後に一連の演出内容における結末部分を実行するようにしてもよい。具体的な流れとしては、「一連の内容における進展部分→タメ演出→特別演出表示+操作促進画像→結末部分」という流れとなる。なお、「一連の内容における進展部分→特別演出表示+操作促進画像→結末部分」という流れでもよい。後者の流れの場合が「特別演出表示+操作促進画像」を実行している期間中は一連の演出内容は進展しないので、「特別演出表示+操作促進画像」を実行している期間がタメ期間であると言える。このように、タメ期間や結末部分の直前でチャンスボタン演出を行う際には、一連の演出内容とは異なる特別な表示(特別演出表示)に切り替えて、当該特別な表示(特別演出表示)とともにチャンスボタン演出を行ったり、操作促進画像を表示したりすることで、結末部分を導くチャンスボタン演出や操作促進画像に遊技者の注目を集めることができる。
【0237】
また、第1進展パターンよりも第2進展パターンとなった方が特典付与の期待度が高くなるようにしてもよい。つまり、タメ期間において、実行中の一連の演出におけるタメ演出とともにチャンスボタン演出をする場合よりも、特別演出表示を伴った方が特典付与の期待度や、付与される特典の大きさが大きくなるようにしてもよい。または、第2進展パターンとなった場合は特典付与が確定されるようにすることで、特別演出表示をタメ期間における確定演出としてもよい。
【0238】
また、チャンスボタン演出は、連続演出や狙え演出などの他の演出と関連して実行されるものに限らず、単独で実行されるものであってもよい。図14では、チャンスボタン演出を実行することにより操作促進画像が表示されることに対する期待感を抱かせる演出例を説明する。
【0239】
図14(a)は、演出の表題が表示される。図14(a)に示すように、液晶表示器27の中央領域にキャラクタAが表示されるとともに、キャラクタAの上方に「獲得チャンス PUSHボタン出現で!?」といったメッセージが表示される。これにより、操作促進画像が表示されることにより期待感が高まることを遊技者に想起させることができる。その後、図14(b)〜図14(e)に示すように、キャラクタAの下方において「いっけーーー!」といったメッセージが表示されるとともに、チャンスボタン演出として示唆演出の画像が表示される。図14(b)〜図14(d)については、時間の経過に応じて進行し、図14(e)については、第3操作時あるいは第3停止操作以降の所定タイミングにおいて実行されるものとするが、これに限らず、図14(b)〜図14(d)については、スタート操作や停止操作に応じて段階的に進行し、図14(e)については、第3操作時あるいは第3停止操作以降の所定タイミングにおいて実行されるものであってもよい。
【0240】
図14(f)は、図14(b)から開始されたチャンスボタン演出が第3チャンスボタン演出であり、中央位置において4つの透過画像が重なったときに操作促進画像が表示されなかった例(第4段階に発展しない例)を示している。その後、図14(g)に示すように操作促進画像が表示されずに消滅することが特定可能な不発生特定表示が行われて、透過画像は非表示となり、「残念」といったメッセージを表示するとともにキャラクタAが泣いている様子が表示された後、図14(h)に示すように、「ここまでか…。」といったメッセージを表示するとともにキャラクタAが後ろ向きになる。これにより、特典当選していない旨が報知される。なお、図9(c)などで示した第3チャンスボタン演出において第3段階まで進展した後においても、図14(g)と同様に、操作促進画像が表示されずに消滅することが特定可能な不発生特定表示が行われるものであってもよい。
【0241】
図14(i)は、図14(b)から開始されたチャンスボタン演出が第1チャンスボタン演出であり、中央位置において4つの透過画像が重なったときに操作促進画像が表示される例(第4段階に発展する例)を示している。図14(j)は、操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより、図14(h)と同じ表示状態に遷移した場合を示している。これにより、特典当選していない旨が報知される。一方、図14(k)は、操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより、ギザギザマーク内に「+30G」といったメッセージが表示され、特典当選しており付与されたATゲーム数が「30」であることが報知される。
【0242】
図14(m)〜図14(o)では、第2チャンスボタン演出が実行された場合の例を説明する。図14(m)は、図14(a)〜図14(k)で示したパターンとは異なるパターンであって、特典当選しているときにのみ実行可能となるパターンに基づく演出の表題の表示例である。図14(m)では、「獲得チャンス」といったメッセージは図14(a)と同じであるが、その文字が大きくかつ「PUSHボタン出現!」と断言するメッセージであり、かつその背景が虹色(図14(m)ではグレーで示す)となる特別態様のタイトルが表示されている。これにより、特典が付与されることが特定可能となる特定事象が発生したことになる。
【0243】
図14(n)では、第1チャンスボタン演出や第3チャンスボタン演出ではなく、第2チャンスボタン演出が実行されている例を示している。また、操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより、図14(o)に示すように、ギザギザマーク内に「+30G」といったメッセージが表示され、特典当選しており付与されたATゲーム数が「30」であることが報知される。
【0244】
図14に示すようにチャンスボタン演出を実行する場合においても、特定事象が発生していない第1状況においては、第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンよりも高い割合で第1チャンスボタン演出等が実行され得るパターンが実行されるのに対し、特定事象が発生している第2状況においては、第1チャンスボタン演出等が実行され得るパターンよりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンが実行される。これにより、第1状況においては操作促進画像が表示されるまでに極力示唆演出の画像が表示される結果、遊技者の期待感を効果的に高めるとともに、操作促進画像が表示されたときに決定スイッチ81aに対する操作を行う意欲を向上させることができる。また、第2状況においては、極力示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像が表示される結果、第2状況において示唆演出の画像が表示されることにより遊技者が抱く不信感やストレスを極力低減できる。
【0245】
図14(a)〜図14(k)で示した表示例を第1例とし、図14(m)〜図14(o)で示した表示例を第2例としたときに、第1例については操作促進画像が出現するか否かが遊技者にとっても、今後の遊技の展開にとっても重要な事項である。よって、操作促進画像が出現するか否かに注目させるような第1例の演出の場合は、第1チャンスボタン演出が実行される割合が高くなっている。一方で、第2例のように、操作促進画像が表示されることが明確な場合であったり、特典付与が明確であったり、第1例のように操作促進画像が出現するか否かを期待させるものでなかったり、図14(o)のような付与された特典の有利度合いや内容などについての報知を実行する契機となったりする場合は、第2チャンスボタン演出が実行される割合が高くなっている。第2例の場合、遊技者は操作促進画像が出現するか否かに注目しているのではなく、図14(o)に示すように付与された特典の有利度合いや内容などに注目しているからである。
【0246】
また、上記実施形態においては、特定事象を発生させ得る演出(連続演出や狙え演出)と、チャンスボタン演出とが、一連の流れで実行される例について説明したが、特定事象を発生させ得る演出と、チャンスボタン演出とは、例えば、特定事象を発生させ得る演出が実行されて終了した後、所定のインターバル期間を経た後に(例えば連続演出等が終了した遊技の次の遊技、あるいは遊技を所定回数消化後等)、チャンスボタン演出が実行されるものであってもよい。
【0247】
(3) 上記実施形態および変形例においては、チャンスボタン演出を予め定められたタイミングで実行する例について説明した。しかし、チャンスボタン演出(特に、第1チャンスボタン演出、第2チャンスボタン演出)は、前述したように決定スイッチ81aへの操作を促す演出である。このため、例えば、第1停止操作を行ってから以降の停止操作を行う間においてチャンスボタン演出を実行してしまうと、リズムよく停止操作を行うことが阻害されてしまい、遊技の流れを分断させてしまう虞がある。また、賭数が設定されたが未だスタート操作されておらず、遊技開始が確定していない間においてチャンスボタン演出を実行してしまうと、チャンスボタン演出が実行されるか否かを遊技者が認識可能となり、当該遊技を開始するか否かの判断に使われてしまう虞がある。このような不具合を生じさせないように、チャンスボタン演出を開始するタイミングを、遊技中における所定のタイミングに限定してもよい。その一例を以下に説明する。
【0248】
図15は、チャンスボタン演出を開始可能なタイミングを説明するための図である。図15には、メダル投入あるいはベットスイッチ操作により賭数が設定されてからスタートスイッチ19が操作されてリール11L〜11Rの回転が開始され、ストップスイッチ21L〜21Rへの操作に応じてリール11L〜11R各々の回転が停止するまでの遊技の進行度合いに応じて、チャンスボタン演出を開始可能な期間であるか開始不可能な期間であるかが示されている。
【0249】
図15では、遊技数欄において、N回目の遊技とN+1回目の遊技とが示され、各遊技に対して、賭数が設定されてからスタートスイッチ19が操作されるまでの期間を「BET」と示し、スタートスイッチ19が操作(ON検出)されてリール11L〜11Rの回転が開始されてから第1停止操作がON検出されるまでの期間を「START」と示し、第1停止操作をON検出している期間を「1ST」かつ「ON」と示し、第1停止操作がON検出された後に当該検出がOFFとなった期間を「1ST」かつ「OFF」と示し、第2停止操作および第3停止操作各々についても第1停止操作と同様に示している。
【0250】
このような遊技の流れの中で、チャンスボタン演出を開始できる期間としては、遊技数「N」の流れに対応させて例示するように、「START」と示す期間と、第3停止操作がON検出されてから賭数が設定されるまでの期間とが定められている。これに対して、チャンスボタン演出を開始できない期間としては、「BET」と示す期間と、第1停止操作をON検出してから第3停止操作をON検出するまでの期間とが定められている。チャンスボタン演出は、図15の例1および例2に示すように、「START」と示す期間、および、第3停止操作がON検出されてから賭数が設定されるまでの期間において開始され、一旦開始された後においては当該期間が経過した以降のタイミングにおいても継続して実行することができる。その結果、遊技数「N+1」の流れにおいて示すように、チャンスボタン演出が、例えば「START」と示す期間において開始されたときには、第1停止操作がON検出された以降においても継続して実行される。一方、チャンスボタン演出は、図15の例3および例4に示すように、「BET」と示す期間、および、第1停止操作をON検出してから第3停止操作をON検出するまでの期間において開始不可能となる。
【0251】
次に、チャンスボタン演出の具体例を説明する。図16は、チャンスボタン演出が実行されたときの液晶表示器27の表示例を説明するための図である。図16は、特典に関する条件(例えば、AT移行抽選条件や各種AT中抽選条件等)が成立したときの表示例を示している。また、以降では、チャンスボタン演出が、スタートスイッチ19が操作されてON検出されるか、第3停止操作がON検出されることにより開始される例について説明するが、前述したように、チャンスボタン演出は、「START」と示す期間や、第3停止操作がON検出されてから賭数が設定されるまでの期間に開始されるものであればこれに限るものではない。
【0252】
図16(a)に示すように、例えば地上モードに対応する背景画像が液晶表示器27に表示される。液晶表示器27の左上領域において「地上モード」といったメッセージと3つの星画像とが表示されるとともに、左下領域においてキャラクタAが散歩をしている様子が表示される。
【0253】
図16(b)は、AT継続抽選条件の成立に対応して、スタートスイッチ19が操作(ON検出)されたときに第1チャンスボタン演出が実行されたときの表示例を示している。なお、図16(b)においては、第1チャンスボタン演出が、スタートスイッチ19がON検出されることにより開始される例について説明するが、スタートスイッチ19への操作に関連して開始されるものであればこれに限らず、スタートスイッチ19がON検出されてからスタートスイッチ19がOFF検出されるまでの間における所定のタイミングで開始されるものであってもよい。なお、その他の第2チャンスボタン演出等が実行される場合であっても、当該第2チャンスボタン演出(操作促進画像の表示等)は、スタートスイッチ19がON検出されることにより開始されるが、当該第2チャンスボタン演出(操作促進画像の表示等)等についても、スタートスイッチ19がON検出されてからスタートスイッチ19がOFF検出されるまでの間における所定のタイミングで開始されるものであってもよい。なお、図16(b)〜(c)へは、時間の経過に応じて進行する(垂れ流しパターン)ものであってもよく、スタートスイッチ19、ストップスイッチ21L〜21R、メダル投入等による賭数設定操作などの所定操作毎に段階的に進行する(操作進行パターン)ものであってもよい。
【0254】
図16(c)は、第3停止操作時あるいは第3停止操作以降のタイミングにおいて第4段階に発展して、操作促進画像が表示されたときの表示例を示している。図16(d)は、チャンスボタン演出中において演出操作部81の決定スイッチ81aが操作されたことに応じて対応する演出が実行されたときの表示例を示している。図16(d)では、液晶表示器27の中央領域に「CHANCE」といったメッセージとともにキャラクタCの画像をカットインさせることにより実行される。これにより、特典に当選している可能性があること(特典が付与される可能性があること)を遊技者に対して示唆することができる。
【0255】
図16(e)は、図16(a)と同様に、地上モードに対応する背景画像が液晶表示器27に表示されている例を示している。図16(f)は、AT継続抽選条件の成立に対応して、第3停止操作がON検出されたときに第2チャンスボタン演出が実行されたときの表示例を示している。なお、図16(e)においては、第2チャンスボタン演出が、第3停止操作がON検出されることにより開始される例について説明するが、スタートスイッチ19への操作に関連して開始されるものであればこれに限らず、第3停止操作がON検出されてから第3停止操作がOFF検出されるまでの間における所定のタイミングで開始されるものであってもよい。なお、その他の第1チャンスボタン演出等が実行される場合であっても、当該第1チャンスボタン演出(示唆演出の画像表示)は、第3停止操作がON検出されることにより開始されるが、当該第1チャンスボタン演出(示唆演出の画像表示)等についても、第3停止操作がON検出されてから第3停止操作がOFF検出されるまでの間における所定のタイミングで開始されるものであってもよい。
【0256】
図16(g)は、チャンスボタン演出中において演出操作部81の決定スイッチ81aが操作されたことに応じて対応する演出が実行されたときの表示例を示している。図16(g)では、液晶表示器27の中央領域に「WIN おめでとう」といったメッセージをカットインさせることにより実行される。これにより、特典に当選していること(特典が付与されること)を確定的に遊技者に報知することができる。
【0257】
図15および図16では、リールを回転させるためのスタート操作が検出されてから第1停止操作が検出されるまでの第1期間、および最終停止操作(第3停止操作)が検出されてから賭数設定操作が検出されるまでの第2期間のうち少なくともいずれか一方の期間においてチャンスボタン演出を開始するものであり、賭数設定操作が検出されてからスタート操作が検出されるまでの第3期間、および第1停止操作が検出されてから最終停止操作が検出されるまでの第4期間においてはチャンスボタン演出を開始しない例について説明した。
【0258】
具体的に、第1停止操作がON検出されてから最終停止操作である第3停止操作がON検出されるまでの期間においてはチャンスボタン演出を開始しない。このため、遊技者が第1停止操作を行ってから以降の停止操作を受け付けている間において決定スイッチ81aへの操作を遊技者に促すチャンスボタン演出が開始されてしまうことがない。その結果、第1停止操作を行ってから以降の停止操作を受け付けている間において、遊技の流れを分断させてしまうことがなく、第1停止操作に続けてリズムよく第2停止操作および第3停止操作を行うことが阻害されてしまうことを防止できる。
【0259】
また、賭数を設定するための賭数設定操作が検出されてからスタート操作がON検出されるまでの期間においてはチャンスボタン演出を開始しない。このため、遊技者が賭数設定操作を行っているものの未だスタート操作が行われておらず遊技が行われることが確定していない間において決定スイッチ81aへの操作を遊技者に促すチャンスボタン演出が開始されてしまうことがない。その結果、例えば、賭数設定操作を行うことによりチャンスボタン演出が実行されるか否かを確認し、チャンスボタン演出が実行されなければ設定した賭数を解除して遊技を実行しないなどといった使われ方がされてしまうことを防止できる。
【0260】
また、以下のような構成を備えるようにしてもよい。
【0261】
例えば、チャンスボタン演出における操作促進画像の表示に伴って決定スイッチ81aが検出されることにより、特典が付与されるか否かを特定可能な特定可能演出と特典が付与されるか否かを特定不可能な特定不可能演出とを含む複数種類のチャンスボタン演出のうちのいずれかを実行可能とし、特定可能演出が実行される割合は、第1期間であるときよりも第2期間であるときの方が高くなるように定められており、特定不可能演出が実行される割合は、第2期間であるときよりも第1期間であるときの方が高くなるように定められているものであってもよい。これにより、チャンスボタン演出がスタートON検出時に開始されたときよりも第3停止操作ON検出時に開始されたときの方が、操作対応演出として当落告知演出が実行されることに対する期待感を高めることができる。また、スタートON検出時においては特典が付与されていることに対する期待感を高め、第3停止操作ON検出時まで特典が付与されていることに対する期待感を持続させやすくなるため、遊技の興趣を向上させることができる。また、第3停止操作ON検出時において当落告知演出が実行されやすくなっているため、第3停止操作ON検出時において特典が付与されているか否かを特定しやすくなっており、特典が付与されるか否かに対してメリハリをつけることができる。
【0262】
また、チャンスボタン演出は、決定スイッチ81aが検出されることにより特典が付与されるか否かを特定不可能な特定不可能演出を実行する第1パターンと、決定スイッチ81aが検出されることにより特典が付与されるか否かを特定可能な特定可能演出を実行する第2パターンとを含み、第1パターンとなるチャンスボタン演出が第1期間において開始される割合は、第2パターンとなるチャンスボタン演出が第2期間において開始される割合よりも高くなるように定められているものであってもよい。これにより、第1パターンのチャンスボタン演出をスタートON検出時に開始して期待感を高める機会を多く提供できるため、遊技の興趣を向上させることができる。
【0263】
また、チャンスボタン演出を所定態様(例えば第1チャンスボタン演出)と特別態様(例えば第2チャンスボタン演出等)とを含む複数種類の態様のいずれかで実行し、特別態様でのチャンスボタン演出については第2期間であるときの方が第1期間であるときよりも高い割合で開始され、所定態様でのチャンスボタン演出については第1期間であるときの方が第2期間であるときよりも高い割合で開始されるようにしてもよい。これにより、第2期間においてチャンスボタン演出が特別態様で実行されることに対する期待感を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0264】
また、第1チャンスボタン演出であっても、第2チャンスボタン演出であっても、操作促進画像として所定態様と、所定態様よりも特典付与の期待度の高い特別態様とを含む複数種類の態様の何れかで実行し、特別態様については第2期間であるときの方が第1期間であるときよりも高い割合で開始され、所定態様については第1期間であるときの方が第2期間であるときよりも高い割合で開始されるようにしてもよい。これにより、第2期間において特別態様で実行されることに対する期待感を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0265】
上記のとおり、チャンスボタン演出を開始するタイミングを遊技中における所定のタイミングに限定した場合であってチャンスボタン演出を実行する場合においても、特定事象が発生していない第1状況においては、第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンよりも高い割合で第1チャンスボタン演出等が実行され得るパターンが実行されるのに対し、特定事象が発生している第2状況においては、第1チャンスボタン演出等が実行され得るパターンよりも高い割合で第2チャンスボタン演出が実行され得るパターンが実行されるようにしてもよい。
【0266】
(4) 上記実施形態および変形例においては、図10(a)に示すように、当選報知済時においては低い振分率ではあるが第1チャンスボタン演出が実行され得る例について説明した。しかし、当選報知済時においては、第1チャンスボタン演出が実行されず、チャンスボタン演出を実行する場合には第2チャンスボタン演出を実行するように振分率を定めてもよい。これにより、第2状況においては示唆演出の画像を表示する第1チャンスボタン演出が実行されることがないため、第2状況において第1チャンスボタン演出が実行されることによる不信感やストレスを遊技者に抱かせてしまうことを防止できる。
【0267】
また、図10(a)においては、当選報知済時であってもチャンスボタン演出が実行されない場合が生じ得る例について説明したが、これに限らず、当選報知済時においては、いずれかのチャンスボタン演出が実行されるように振分率を定めてもよく、さらに、必ず第2チャンスボタン演出を実行するように振分率を定めてもよい。
【0268】
また、図10(a)においては、特典非当選時においても第2チャンスボタン演出が実行され得る例について説明したが、これに限らず、特典非当選時においては、第2チャンスボタン演出が実行されることがないように振分率を定めてもよい。
【0269】
(5) 上記実施形態および変形例における第1チャンスボタン演出および第3チャンスボタン演出は、各々、図9(a)等で示したように、示唆演出が1種類である例について説明したが、これに限らず、示唆演出の演出内容や表示態様(大きさ、合体するまでの時間、デザイン等)が異なる複数種類の第1チャンスボタン演出および第3チャンスボタン演出が設けられているものであってもよい。この場合、例えば、第1チャンスボタン演出を実行する場合においては、特典当選時には特典非当選時よりも高い割合で複数種類のうち特定種類の演出(例えば、示唆演出として特定の態様の画像が表示される演出)を第1チャンスボタン演出として実行するようにしてもよい。また、第1チャンスボタン演出および第2チャンスボタン演出は、各々、図9(a)等で示したように、操作促進画像が1種類である例について説明したが、これに限らず、操作促進画像の表示態様(大きさ、デザイン、向き、回転の有無等)が異なる複数種類の第1チャンスボタン演出および第2チャンスボタン演出が設けられているものであってもよい。さらに、これらが組み合わさってもよい。例えば、操作促進画像として表示態様が異なる複数種類のうち所定表示態様と、所定表示態様よりも特典付与の期待度の高い特別表示態様とが含まれるものであり、所定表示態様で操作促進画像が表示される場合には示唆演出も所定表示態様(所定表示態様での透過画像)で実行される第1パターンと、所定表示態様で操作促進画像が表示される場合には示唆演出が特別表示態様(特別表示態様での透過画像)で実行される第2パターンと、特別表示態様で操作促進画像が表示される場合には示唆演出も特別表示態様(特別表示態様での透過画像)で実行される第3パターンと、特別表示態様で操作促進画像が表示される場合には示唆画像が所定表示態様(所定表示態様での透過画像)で実行される第4パターンとの何れかが実行されるものであってもよい。この場合、第1パターン〜第4パターンにおいて特典付与の期待度が異なっていたり、付与される特典の大きさが異なっていたりしてもよく、例えば第1パターンよりも第3パターンの方が期待度が高かったり、付与される特典の大きさが大きかったりしてもよい。
【0270】
また、当選報知済時以外の状況においては、複数種類の第1チャンスボタン演出のうち特定種類以外の種類の第1チャンスボタン演出を実行可能するのに対し、当選報知済時において第1チャンスボタン演出を実行する場合には特定種類の第1チャンスボタン演出のみが実行されるようにしてもよい。
【0271】
また、図10(a)に示すように、当選報知済時においては、第3チャンスボタン演出が実行されない例について説明したが、これに限らず、所定の割合で第3チャンスボタン演出が実行され得るようにしてもよい。この場合、第3チャンスボタン演出として示唆演出が異なる複数種類の第3チャンスボタン演出を設けた上で、当選報知済時以外の状況においては、複数種類の第3チャンスボタン演出のうち特定種類以外の種類の第3チャンスボタン演出を実行可能するのに対し、当選報知済時において第3チャンスボタン演出を実行する場合には特定種類の第3チャンスボタン演出のみが実行されるようにしてもよい。
【0272】
また、第1チャンスボタン演出および第3チャンスボタン演出については、複数種類の演出を設けた上で、第1チャンスボタン演出を実行する場合には特定種類以外の種類よりも高い割合で特定種類の第1チャンスボタン演出を実行するのに対し、第3チャンスボタン演出を実行する場合には特定種類よりも高い割合で特定種類以外の種類の第3チャンスボタン演出を実行するようにしてもよい。
【0273】
(6) 上記実施形態および変形例においては、特定事象として、特定画像を表示する特定演出(例えば、図10(c)、図13(k)等)が実行されることや、特定の図柄組合せ(BARの3つ揃い等)が停止されることを例示した。しかし、特定事象は、これに限らず、例えば、ATなどの特典が付与されることなく遊技を所定回数(例えば1000回)消化されることにより、特典が付与される場合には、遊技を所定回数消化することにより特定事象が発生したものとしてもよい。
【0274】
(7) 上記実施形態および変形例の第1チャンスボタン演出中においては、図9(a)で示したように、操作促進画像が表示されるまでの示唆演出の画像を表示している期間においては決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付けない例について説明した。しかし、第1チャンスボタン演出中であっても、当選報知済時においては、操作促進画像が表示されるまでの示唆演出の画像を表示している期間であっても決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付けて演出を進行させるようにしてもよい。また、第1チャンスボタン演出中であっても、特典当選時においては、操作促進画像が表示されるまでの示唆演出の画像を表示している期間であっても決定スイッチ81aへの操作を有効に受け付けて演出を進行させるようにしてもよい。
【0275】
(8) 上記実施形態および変形例における第1チャンスボタン演出、第2チャンスボタン演出、および第3チャンスボタン演出は、いずれも、演出途中において所定の操作(例えばスタートスイッチ19への操作や賭数設定操作等)を受け付けることにより、そのタイミングで終了するように構成してもよい。この場合において、第1チャンスボタン演出および第2チャンスボタン演出のいずれかが実行されているときに所定の操作を受け付けたときには、仮に当該所定の操作がされることなく操作促進画像が表示されて決定スイッチ81aへの操作を受け付けることにより実行されていた演出(報知)と同じ演出を実行するようにしてもよく、当該演出を実行しないものであってもよい。
【0276】
(9) 上記実施形態および変形例においては、第1チャンスボタン演出が実行されたときには操作促進画像(第4段階)まで進展する一方、第3チャンスボタン演出が実行されたときには第3段階まで進展し得るが操作促進画像(第4段階)まで進展しない例について説明し、図10(a)に示す振分率にしたがって実行される例について説明した。しかし、第3チャンスボタン演出の種類としては、第1段階まで進展する第1パターンと、第2段階まで進展する第2パターンと、第3段階まで進展する第3パターンとを設けてもよい。この場合においては、さらに、第1チャンスボタン演出と合わせて考慮すると、操作促進画像(第4段階)まで進展する可能性(期待度)が、例えば、第1パターン<第2パターン<第3パターンの順で高くなるように、第3チャンスボタン演出の実行割合や第3チャンスボタン演出のパターン決定割合、および第1チャンスボタン演出の実行割合等が定められているものであってもよい。
【0277】
(10) 上記実施形態における操作促進画像は、決定スイッチ81aを模した画像である例について説明した。しかし、操作促進画像は、決定スイッチ81aへの操作を遊技者に促すことができる画像であれば、決定スイッチ81aを模した画像に限らず、「押せ!」「操作せよ!」等の所定の文字を表す文字画像であってもよい。
【0278】
(11) 上記実施形態における第1チャンスボタン演出および第3チャンスボタン演出は、半透明な態様の決定スイッチ81aを模した画像が次第に中央に寄ってくるものであった。しかし、第1チャンスボタン演出および第3チャンスボタン演出は、これに限らず、操作促進画像の透過度が高い態様から次第に低い態様となるようなフェードインするものであってもよい。また、四方から進展してくる態様としたが、これに限らず、左右または上下から次第に中央に寄ってくるものであってもよく、また、演出開始時から中央領域で透過度の高い態様で表示が開始され、次第に透過度の低い態様に変化するものであってもよい。
また、操作促進画像としては、表示態様が異なる複数種類の操作促進画像が設けられているものであってもよい。また、複数種類の操作促進画像には、所定表示態様と、所定表示態様よりも特典付与の期待度の高い特別表示態様が設けられており、第1チャンスボタン演出や第3チャンスボタン演出においては、煽り画像として一方の側からは所定表示態様の操作促進画像が半透明で出現し、他方の側からは特別表示態様の操作促進画像が半透明で出現し、第4段階において何れかの表示態様となるようにしてもよい。これにより、いずれの表示態様となるかを煽り期間である第1段階〜第3段階において期待感を向上させることができる。なお、第1段階から所定表示態様と特別表示態様の両方が出てきてもよいし、演出開始時は所定表示態様のみとし、途中の段階(例えば、第2段階等)から所定表示態様と特別表示態様の両方となるようにしてもよい。
【0279】
(12) 上記実施形態においては、特典として、ナビ演出が実行可能となるATへの移行・ATゲーム数の上乗せ・AT継続等を例示した。しかし、特典は、遊技者にとって有利なもの(状態等)であればこれに限らず、例えば、小役の当選確率が高まるいわゆるボーナス状態や、小役の入賞確率が高まるいわゆるCB(チャレンジボーナス)状態、再遊技役の当選・入賞確率が高まるいわゆるRT(リプレイタイム)状態など、どのような状態であってもよい。
【0280】
(13) 上記実施形態では、可変表示部13が3つの左可変表示列10L〜右可変表示列10Rを備える例について説明するが、これに限らず、1つの可変表示列を備える遊技機であっても、4つ以上の可変表示列を備える遊技機であってもよい。また、可変表示部13は、リール11L〜11Rにより構成される例を示したが、これに限らず、液晶表示器や7セグメントLEDなどの表示装置により構成されるものであってもよい。また、可変表示部13に対して入賞ラインとして1本のみ設定されている例について説明したが,これに限らず、複数の入賞ラインが設定されているものであってもよい。
【符号の説明】
【0281】
1 スロットマシン、11L,11M,11R リール、14L,14M,14R リールモータ、21L,21M,21R ストップスイッチ、27 液晶表示器、63 メイン制御基板、73 サブ制御基板。
【要約】      (修正有)
【課題】特典が付与されるか否かに関する遊技者の把握状況を考慮して促進演出や煽り演出を実行することにより、不信感やストレスを抱かせてしまうことを極力低減させるとともに、操作することへの意欲を減退させてしまうことを極力防止できる遊技機を提供する。
【解決手段】ATなどの特典に当選していることを特定可能とする特定事象が発生していない第1状況においては、チャンスボタン演出のうち示唆演出の画像を表示した後に操作促進画像を表示する第1チャンスボタン演出を高い割合で実行するのに対し、特定事象が発生しており特典に当選していることを遊技者が把握できている第2状況においては、第1チャンスボタン演出よりも高い割合で示唆演出の画像を表示することなく操作促進画像を表示する第2チャンスボタン演出を実行する。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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