特許第6739116号(P6739116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6739116
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】釣竿のグリップ
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/08 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A01K87/08 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-202068(P2019-202068)
(22)【出願日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年12月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519359745
【氏名又は名称】株式会社ハートアイデアート
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】久保 英也
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−230333(JP,A)
【文献】 実開昭54−182391(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第01048123(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れかで形成されている可撓性を備え、かつ耐性で成る釣竿の竿芯と、
この釣竿の元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている複数のリング形状の短管体でなる鞘管と、
前記鞘管の内周面と前記竿芯の外周面の間に形成した空間と、
を備えた釣竿のグリップにおいて、
前記鞘管は口金を備え、
前記短管体は、外周側の肉をカットした差込み片と、前記差込み片に繋がるリング形状の外郭管体とで構成した、
ことを特徴とする釣竿のグリップ。
【請求項2】
金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れかで形成されている可撓性を備え、かつ耐性で成る釣竿の竿芯と、
この釣竿の元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている複数のリング形状の短管体でなる鞘管と、
前記鞘管の内周面と前記竿芯の外周面の間に形成した空間と、
を備えた釣竿のグリップにおいて、
前記鞘管は口金を備え、
前記短管体は、外周側の肉をカットした、連結用の細径外管の繋ぎ片と、前記リング形状の外郭管体でなり、前記繋ぎ片に前記外郭管体が被嵌可能である、
ことを特徴とする釣竿のグリップ
【請求項3】
前記短管体は、前記差込み片、又は前記繋ぎ片を用いて、接着剤で連繋固止可能なことを特徴とする請求項1又は2に記載の釣竿のグリップ。
【請求項4】
前記口金と、前記鞘管、又は前記短管体と、前記竿芯は、接着剤、止め具、又は緊締紐の何れかで、固止可能なことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項5】
前記口金と、前記鞘管、又は前記短管体は、前記リング形状の管の肉厚を、0.5mm〜5mmとしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項6】
前記口金と、前記鞘管、又は前記短管体は、木質であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項7】
前記口金と、前記鞘管、又は前記短管体は、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成可能なことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項8】
前記鞘管の前記口金は、穂先側、及び又は手元側端部に設けることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿のグリップで、かつ望ましくは、木質でなる鞘管を竿芯に被嵌固止する構成の釣竿グリップに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者の見識では、魚釣りには、様々の釣りと、その釣り方、又は釣竿が存在する。尚、魚釣りにはミャク釣りやウキ釣り、疑似餌による釣り等の様々な釣り方がある。ミャク釣りは軽いオモリを付けた仕掛けや針やサルカンや餌の重さ等で、糸の変化や竿、指先へのあたりを感じて釣る釣法で、所謂、魚信(釣りで、魚が餌等に触れたことが、釣竿や糸やウキに伝わる。当たりのことである)で、釣竿を上部に振り上げることによって、餌の付いた針を、魚の口等にフックさせる釣り方である。
【0003】
そして、この魚信をとらえる時の指先への伝達は、例えば、餌の付いた針→釣糸→竿芯→釣り人の手指とか、又は、餌の付いた針→釣糸→リール→釣り人の手指、更には、餌の付いた針→釣糸→竿芯のガイド→竿芯→竿芯のグリップ→リールシート→リール→釣り人の手指、若しくは、餌の付いた針→釣糸→竿芯のガイド→竿芯→パイプシート等(リールを固定するリールシートと、竿芯の太さに合わせパイプ状の土台部分が一体となったもの)→釣り人の手指、等がある。
【0004】
従って、魚等の釣りに使用する釣竿の役割は、例えば、釣る魚等の種類とか、釣り方にもよるが、視覚による竿先の動き、及び/又は、餌の付いた釣糸から、竿芯とかグリップに伝わる感触で釣竿を拳上させる動作で、釣り糸につけた針に引っ掛った魚等(獲物)を釣り上げる。このようなことから、竿先の動き以外で重要となるのが、魚等が針に付けられた餌や、釣糸の先に付けられた疑似餌等を捕食している感触が、釣り人の手等に伝わることであり、竿芯や、グリップ、或いはパイプシート等の役割が重要となる。
【0005】
また、釣竿と、そのグリップの形態を検討する。例えば、素材とか、竿芯とグリップの相性において、それぞれの拘りと特性とが考えられる。以下、個別に詳述すると、釣竿は、大半が、グラスファイバーやカーボン等の複合素材で作られている。一方で、釣竿のグリップは、その素材に直接塗装が施されたものや、ざらつきを施した塗装・ゴム等のラバー等で滑り止めを施したもの、軽さと滑り止めを兼ねたコルクや発泡ウレタン、発泡ゴム等を使用したものとか、稀には天然素材を生かした竹等のグリップが存在する。
【0006】
以上のような事を鑑み、本発明を考え、かつその構成を提案する。
【0007】
ここで、従来の文献を挙げると、竿芯にコルクグリップを被嵌した構成の特開平11−318284号公報が挙げられる。しかし、この発明は竿芯に、無垢のコルクグリップを、構成したものである。しかし、この種のコルクグリップの構造では、穂先等の振動が、手元部とか、リール等に伝達し難いと考えられる。また、コルク以外の木質グリップに関しての記述も見当たらない。
【0008】
また、グリップ(鞘管)を複数個の短筒体(本発明の短管体)で構成した例で、実用新案登録第3137114号公報が挙げられる。しかし、この考案は、グラスファイバー製のパイプに、直接、短筒体を被嵌した構成であり、ハイプと短筒体の間には、空間を設ける構成ではない。従って、文献(1)と同じ課題を抱えていると思料される。
【特許文献1】特開平11−318284号公報
【特許文献2】実用新案登録第3137114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の如く、「穂先、及び/又は、釣り糸等の振動を、例えば、木質グリップ(木質の鞘管グリップ)に伝達可能とした」構造は、知見した文献1を始めとし、従来、見聞できなかった。即ち、釣り人としての醍醐味と、喜びにおいて、今一度、工夫をする必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の「穂先の振動を、例えば、木質グリップに伝達可能とした構造」を、請求項1−において、開示し、実用に供した釣竿のグリップを提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れかで形成されている可撓性を備え、かつ耐性で成る釣竿の竿芯と、
釣竿の元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている複数のリング形状の短管体でなる鞘管と、
鞘管の内周面と竿芯の外周面の間に形成した空間と、
を備えた釣竿のグリップにおいて、
鞘管は口金を備え、
短管体は、外周側の肉をカットした差込み片と、差込み片に繋がるリング形状の外郭管体とで構成した、
ことを特徴とする釣竿のグリップである。
【0012】
請求項2の発明は、金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れかで形成されている可撓性を備え、かつ耐性で成る釣竿の竿芯と、
この釣竿の元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている複数のリング形状の短管体でなる鞘管と、
鞘管の内周面と竿芯の外周面の間に形成した空間と、
を備えた釣竿のグリップにおいて、
鞘管は口金を備え、
短管体は、外周側の肉をカットした、連結用の細径外管の繋ぎ片と、リング形状の外郭管体でなり、繋ぎ片に外郭管体が被嵌可能である、
ことを特徴とする釣竿のグリップである。
【0015】
請求項の発明は、短管体は、差込み片、又は繋ぎ片を用いて、接着剤で連繋固止可能なことを特徴とする釣竿のグリップである。
【0016】
請求項の発明は、口金と、鞘管、又は短管体と、竿芯は、接着剤、止め具、又は緊締紐の何れかで、固止可能なことを特徴とする記載の釣竿のグリップである。
【0017】
請求項の発明は、口金と、鞘管、又は短管体は、リング形状の管の肉厚を、0.5mm〜5mmとしたことを特徴とする釣竿のグリップである。
【0018】
請求項の発明は、口金と、鞘管、又は短管体は、木質であることを特徴とする釣竿のグリップである。
【0019】
請求項の発明は、口金と、鞘管、又は短管体は、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成可能なことを特徴とする釣竿のグリップである。
請求項の発明は、鞘管の口金は、穂先側、及び又は手元側端部に設けることを特徴とする釣竿のグリップである。鞘管、又はリールシートが木質の場合に、木の割れ防止に有効であり、本発明の有効性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】釣竿の要部(鞘管)を示した縮尺斜視図
図2図1の一部(鞘管を構成する短管体)を分解して示した縮尺斜視図
図3-1】短管体の一例であって、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌した断面図
図3-2】短管体の他の一例であって、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌した断面図
図3-3】管体の一例であり、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌した断面図
図4-1】短管体の一例であり、(イ)は斜視図、(ロ)一部切欠きの斜視図、(ハ)は断面図
図4-2】短管体の他の一例であり、(イ)は短管体の斜視図、(ロ)は短管体の断面図、(ハ)は繋ぎ片の斜視図、(ニ)は繋ぎ片の断面図、(ホ)は繋ぎ片の別の一例の斜視図
図4-3】短管体、又は繋ぎ片に空間を形成した他の一例であり、(イ)は短管体、(ロ)繋ぎ片の斜視図
図4-4】管体の一例であり、(イ)は一部省略の斜視図、(ロ)は一部切欠き・一部省略の斜視図、(ハ)は一部省略の断面図
図5-1】竿芯とリールシートの一例を示した断面図
図5-2】竿芯と鞘管及びリールシートの一例を示した断面図
図5-3】図5−2に示した補強パイプの平面図
図5-4】図5−2に示した補強パイプの斜視図
図6-1】竿芯と口金を備えたリールシートの一例を示した断面図
図6-2】補強パイプのその他の一例を示した断面図
図6-3】竿芯と口金を備えたリールシートの他の一例を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図4−4において、1は釣竿Aの竿芯であり、この竿芯1は、金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れか、又は組み合わせで形成されている。そして、釣竿Aとして必要とする耐性と可撓性を備える。この竿芯1の手元部100には、グリップ(鞘管2)が設けられる。
【0022】
そして、図2図3−2の各図は、木質製、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている鞘管2が、複数本のリング状の短管体200で構成されている。短管体200は、図3−1と図4−1に示した一案と、図3−2と図4−2に示した二案と、をそれぞれ一例として説明する。
【0023】
一案では、短管体200の外周側200aの肉を、全周、又は一部等においてカットしたリング形態(リング形状)の差込み片201と、差込み片201に繋がるリング形態の外郭管体202とで形成し、差込み片201の内周面201aが、中心に陥没し、かつ外郭管体202の内周面202aが、前記内周面201aの外側に位置する構造である。従って、差込み片201の外周面201bは、隣接する外郭管体202の内周面202aに差込まれ、かつ支持される(例えば、密着するように支持される)。この差込み支持箇所には、接着剤3、止めリンク、被嵌リンク(図示しない)等の接着手段が施されて、両者(隣接する短管体200同士)を固定する。この固定状態を、図3−1に示してある。尚、図2図4−1(イ)〜(ハ)は、短管体200の分解した模式図(斜視図)である。この鞘管2の外周面2aには、美感と耐性、塩害防止、耐性等を目的として、塗料とかエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤を添着する。但し、鞘管2のリールシート2bとか、グリップ部2cには、防滑、耐性等を目的で、塗料とかエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤を添着しないことも有り得る。図中5は尻栓を示している。この尻栓5は竿芯1の基部の内周面1aの螺孔に螺着等される。そして、竿芯1の外周面1bと各外郭管体202の各内周面202a(各短管体200の内周側200b)との間にはリング形態となる空間6がそれぞれ形成されるとともに、空間6を確保するように、竿芯1の外周面1bには、各差込み片201の各内周面201aが、例えば、密着するように添接支持される。尚、短管体200は必要とする数を連結する。図中7は、鞘管2の竿先に位置するキャップである。リング形態である。鞘管2、又はキャップ7の内周面と、竿芯1の外周面1bとの間にリング形態等の空間6を形成することも有り得る。尚、この空間6は、竿芯1の軸方向に限らず、図4−3(イ)、(ロ)の如く、鞘管2の放射方向とか、その他の形態でも可能である。また、空間6は、図示の如く、リング形態(リング)に限らず、孔形態とか軸方向のスリット形態でも可能である。図中竿芯1の内部には、一本(一鞘)〜複数本の穂先、又は中間竿を収容することもできる(図示しない)(以下、同じ)。また、鞘管2の差込み片201は、木質製の例では、木の割れを防止する。
【0024】
二案は、差込み片201が、外郭管体202より分割(分離)した形態であり、差込み片201を繋ぎ片201−1とする。図3−2と図4−2の各図に示した二案の分解図を参照されたい。即ち、各繋ぎ片201−1の外周面201−1bで、かつその両側に、各外郭管体202を、それぞれ隣設するとともに、この各繋ぎ片201−1の内周面201−1aは、竿芯1の外周面1bに、例えば、密着するように添接支持される。その他の構造は、前記一案に準ずる。この各繋ぎ片201−1は、木質製の例では、木の割れを防止する。
【0025】
また、図3−3と図4−4の各図は、三案であって、木質製、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている鞘管2が、一つのリング状であって、細長い形態の管体2000で構成されている。この管体2000が、竿芯1の外周面1bに被嵌されている。そして、この管体2000においても空間6を形成するためにブッシュ2001を設ける構造である。その他の構造は、前記一・二案に準ずる。尚、管体2000の先端内周面は、竿芯1との嵌合関係を確保することが望ましく、肉厚部を形成する(図3−1、図3−2のキャップ7も同じ)。
【0026】
図5−1は、四案であって、竿芯1とリールシート2bの更に別の一例を示しており、この例におけるリールシート2b(金属性、木質、樹脂、複合樹脂・繊維とか、その他の素材でなる)は、前述の様に、一つのリング形状とした鞘管2の代替品であり、リング形状で、竿芯1が貫通する。この竿芯1の外周面1aとリールシート2bの内周面2baとで空間6を作る。そして、このリールシート2bの構成は、図5−1の例では、リールシート2bの外周面2bb(周面方向は問わず。以下同じ)には、一方(穂先側であり、一例である)に可動側(一例である)の係止片2b1を、他方(尻栓側であり、一例である)に固定側(一例である)の係止片2b2をそれぞれ備えている。このリールシート2bは、リールシート本体2b3と、リールシート本体2b3の一方に螺着、嵌合等されるリールシートキャップ2b4とでなる。係止片2b1と係止片2b2でリール10の脚10a、10bを係止する。そのために、リールシート本体2b3の外周面2bbとリールシートキャップ2b4の他方には、他方に向かった隙間10cを形成し、リールシート本体2b3の他方には、その一方に向かった隙間10dが形成されている。その他の構造は、原則として、前記一〜三案に準ずる。
【0027】
また、図5−2〜図5−4の各図は、五案であって、竿芯1と鞘管2、又はリールシート2bの更にその他の一例を示しており、前述した鞘管2の方式を採用する。原則として、複数のリング形状を想定した構造である(一例である)。キャップ7と、短管体200、及び、補強パイプ8等の組み合わせ構造であって、リールシート2bを備える。尚、リールシート2bの材質は、金属製、木質製、その他の素材でなる。この補強パイプ8は、図5−3、図5−4に詳細を示すが、竿芯1の誘導、又は竿芯1がグラスファイバー等の可撓性で、鞘管2が木質等の耐性の組合せ時のギャップ回避(撓み時の撓みギャップとか、鞘管2の撓み時の亀裂防止等)を図る。従って、必要時にのみ組み合わせることを意図する(一例である)。また、補強パイプ8は、鞘管2、又はリールシート2bの間に設置するが、尻栓5に到ることも有り得る。図中80は補強パイプ8の切欠きであり、この切欠き80は、例えば、長手方向の略全体に形成されており、切欠き80には、後述するガイド81による抱持、遊嵌等を活用し、穂先(図示しない)の差込み、及び/又は、支持と、補強パイプ8の縮径とか可撓性等を担う。前記穂先の抱持は、例えば、切欠き80の切欠き端辺80a、80bと補強パイプ8の内周面8aに内設した、一個又は複数個設けられたガイド(ブッシュ)81により可能とする。このガイド81は、補強パイプ8の保護と、穂先の差込みを許し、かつ抱持、及び/又は、保護する。また、ガイド81を設けることにより、竿芯1の外周面1bと、補強パイプ8の内周面8aの間に、空間6を形成する構造である。さらに、補強パイプ8は、原則として、この一例では、可撓性樹脂、薄肉形態であり、芯竿1と短管体200、及びリールシート1の間に設置される。その他の構造は、原則として、前記一〜四案に準ずる。
【0028】
図6−1〜図6−3の各図は、六案・七案であって、穂先側のキャップ7、及び/又は、竿芯1の手元側のキャップ7´に補強と、竿芯1と短管体200の連繋強化等を図る。その一例を説明すると、六案では、キャップ7の先端側に嵌合凹凸部を形成し、この嵌合凹凸部に口金20の嵌合凹凸部を嵌合支持する。この嵌合支持を利用して、このキャップ7と口金20を一体化する。これにより、両者の一体化と固定が確立しつつ、強度の向上が可能となり、かつ海水の侵入防止等に有効である。また、七案では、穂先側の口金20に加えて、手元側にも口金20´を設け、口金20´とキャップ7´、及び/又は、竿芯1との関係においても、両者の一体化と固定を確立しつつ、強度の向上が可能となり、かつ海水の侵入防止等に有効である。その他の構造は、原則として、前記一〜五案に準ずる。また、前記一〜五案の釣竿Aに、口金20、20′を設けることも可能である。尚、キャップ7、7´と口金20、20´の関係は、短筒体200と口金20、20´の関係においても採用できる。また効果は、同じである。さらに、図示しないが、短筒体200と口金20、20´の関係は、隣設する短筒体200間においても口金20、20´を嵌合して利用できる。また効果は、同じである。その他の構造は、原則として、前記一〜五案に準ずる。
【0029】
そして、本発明は、竿芯1の外周面1bとグリップ(鞘管2)の内周面202a、及び又はリールシート2bの内周面2baとの間に、空間6を形成する構成であり、穂先(竿先)等の振動(魚等が餌等を捕食している感触)を、例えば、木質製の鞘管2に伝達可能としたので、釣の醍醐味を楽しめる。また、楽しみも向上することが考えられる。さらに、鞘管2を、木質製素材とすることで、下記の利点がある。1) 水に濡れても滑りにくい、2) 持った時の適度な温度、適度な柔らかさを確保できて、握り易いこと、3) 薄くすること、材質に合わせることで、軽量化が可能であること等の利点があること、4) デザインのバリエーションが限られないことと、自由な形態と作業とを満喫できる。やや手に伝わる感触が敏感である。5) また、例えば、木の温もりと、柔らかさを楽しめる。疲労が少ないことも利点である。6) 木質や、木目の特長を利用し、工芸品としての特徴が出し易く、又は、木を組み合わせることによって、自然の木の色を楽しむことや、寄木細工的な楽しみが可能となる。
【0030】
前述の如く、図面に基づいて説明した本発明は、好ましい一例であって、この説明と各図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0031】
1 竿芯
1a 内周面
1b 外周面
100 手元部
2 鞘管(グリップ)
2a外周面
2b リールシート
2ba 内周面
2bb 外周面
2b1 係止片
2b2 係止片
2b3 リールシート本体
2b4 リールシートキャップ
2c グリップ部
200 短管体
200a 外周側
200b 内周側
201 差込み片
201−1 繋ぎ片
201−1a 内周面
201−1b 外周面
201a 内周面
201b 外周面
202 外郭管体
202a 内周面
2000 管体
2001 ブッシュ
3 接着剤
5 尻栓
6 空間
7 キャップ
7´ キャップ
7a 内周面
8 補強パイプ
8a 内周面
80 切欠き
80a 端辺
80b 端辺
81 ガイド
10 リール
10a 脚
10b 脚
10c 隙間
10d 隙間
20 口金
20´ 口金
A 釣竿
【要約】
【課題】
従来、竿芯にコルクグリップを被嵌した構成があるが、この種のコルクグリップの構造では、穂先等の振動が、手元部とか、リール等に伝達し難いと考えられる。また、コルク以外の木質による鞘管に関する記述は見当たらない。また、グリップ(鞘管)を複数個の短筒体で構成してあるが、グラスファイバー製のパイプに、直接、短筒体を被嵌する構造である。従って、両者とも、竿芯と短筒体の間には、空間を設ける構成ではないので、伝達性に課題を残す。
【解決手段】
本発明は、金属製、又は樹脂製、グラスファイバー、炭素繊維等で形成された可撓性と耐性を備えた釣竿の竿芯と、釣竿のリールシート、元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製等で形成されている鞘管(グリップ)で、鞘管は、一つのリング形態の管体か、又は複数のリング形態の短管体で、鞘管の内周面と、竿芯の外周面との間に、空間を構成した釣竿のグリップである。
【選択図】 図1
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】