【文献】
David G. Long, Douglas L. Daum,“Spatial Resolution Enhancement of SSM/I Data”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,1998年 3月,Vol. 36, No. 2,pp. 407-417,DOI: 10.1109/36.662726
【文献】
Haoyu Gu, Anthony W. England,“AMSR-E Data Resampling With Near-Circular Synthesized Footprint Shape and Noise/Resolution Tradeoff Study”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,2007年 9月24日,Vol. 45, No. 10,pp. 3193-3203,DOI: 10.1109/TGRS.2007.895412
【文献】
Takashi Maeda, Yuji Taniguchi, Keiji Imaoka,“GCOM-W1 AMSR2 Level 1R Product: Dataset of Brightness Temperature Modified Using the Antenna Pattern Matching Technique”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,2015年 9月 8日,Vol. 54, No. 2,pp. 770-782,DOI: 10.1109/TGRS.2015.2465170
【文献】
Michael R. Farrar, Eric A. Smith,“Spatial Resolution Enhancement of Terrestrial Features Using Deconvolved SSM/I Microwave Brightness Temperatures”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,1992年 3月,Vol. 30, No. 2,pp. 349-355,DOI: 10.1109/36.134084
【文献】
Wayne D. Robinson, Christian Kummerow, William S. Olson,“A Technique for Enhancing and Matching the Resolution of Microwave Measurements from the SSM/I Instrument”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,1992年 5月,Vol. 30, No. 3,pp. 419-429,DOI: 10.1109/36.142920
【文献】
Richard Sethmann, Barbara A. Burns, Georg C. Heygster,“Spatial Resolution Improvement of SSM/I Data with Image Restoration Techniques”,IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,1994年11月,Vol. 32, No. 6,pp. 1144-1151,DOI: 10.1109/36.338362
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の二次元平面から所定の指向性を有するアンテナを用いてマイクロ波放射計が受信したマイクロ波の信号強度を示す、前記二次元平面における二次元座標情報を伴う計測データの、空間分解能を向上させる計測データ処理装置であって、
前記マイクロ波放射計が出力するマイクロ波の信号強度である計測値と、重み付けベクトルaの要素となる重み付け係数を乗算し、乗算結果を出力する複数の乗算器と、
前記複数の乗算器の乗算結果を積算する積算器と
を備え、
前記重み付けベクトルaは、
前記二次元平面上における前記アンテナの感度分布を、実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)(但しx及びyは前記二次元平面上における座標情報)とし、
前記実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)と感度中心が異なり、前記実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)の前記二次元平面上における感度分布と交わる前記アンテナの感度分布を実測アンテナ感度分布関数Gi(x,y)(但しi=1以上N−1以下、Nは1より大きい自然数)とし、
前記実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)の前記二次元平面上における感度分布よりも狭い感度分布を有すると共に、前記実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)と感度中心を等しくする感度分布を目標アンテナ感度分布関数F(x,y)とし、
前記実測アンテナ感度分布関数Gi(x,y)と前記重み付けベクトルを乗算して積算することで得られる感度分布を補正感度関数Φ(x,y)とし、
前記重み付けベクトルaは前記実測アンテナ感度分布関数G0(x,y)及び前記実測アンテナ感度分布関数Gi(x,y)と前記補正感度関数Φ(x,y)の逆問題を演算処理することで導かれるものであると共に、
前記重み付けベクトルaは、前記補正感度関数Φ(x,y)における、前記目標アンテナ感度分布関数F(x,y)の感度分布の外側に存在する正の値の領域の積算値と負の値の領域の積算値を減少させるべく、逆問題を演算処理することで、前記補正感度関数Φ(x,y)の精度を向上させるものである、
計測データ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
映像の技術分野には、超解像技術と呼ばれる、フレーム内補間やフレーム間補間を用いて、元の映像の解像度を超える解像度の映像データを得る技術が存在する。本発明の目的は、元のデータの空間分解能を超える空間分解能を実現するという意味において、この超解像技術に類似するということができる。但し、マイクロ波放射計の出力データには、動画データのような、時間的に連続するフレームは存在しない。
そこで、ある計測点の計測データに対し、隣接する計測点のデータに重み付け係数を乗じた値を加算または減算することで、擬似的にデータの空間分解能を向上させる。本発明は、この重み付け係数の最適解を求める技術である。
【0017】
[計測データ処理装置101:使用態様]
図1は、本発明の実施形態に係る、計測データ処理装置101の使用状態を示す概略図である。
人工衛星102や航空機等の飛翔体は、搭載されている図示しないマイクロ波放射計で地表103から放射されるマイクロ波を計測する。マイクロ波放射計に接続されているアンテナ(
図5にて後述)は、反射鏡104を通じて地表103をスキャン(scan:走査)する。人工衛星102は、マイクロ波放射計が計測した計測データを地上局105へ無線送信する。
【0018】
地上局105は、人工衛星102から無線送信される電波を受信して復調し、計測データを得る。計測データは、計測データ処理装置101に送信される。
一般的な計算機である計測データ処理装置101は、計測データを不揮発性ストレージ206(
図2参照)にファイル化して保存した上で、後述する補正演算を実行することにより、計測データよりも空間分解能が高い補正計測データを生成する。
補正計測データは、様々な用途に利用される。例えば漁船に提供する海面温度情報として、漁場の予測等に利用される。
【0019】
[計測データ処理装置101:ハードウェア構成]
図2は、計測データ処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的なパソコンである計測データ処理装置101は、CPU201、ROM202、RAM203、液晶ディスプレイ等の表示部204、キーボードやマウス等の操作部205、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ206がバス207に接続されている。
バス207にはこの他に、地上局105から計測データを受信して、不揮発性ストレージ206内に形成するデータベースに登録するための、シリアルポート208やNIC(Network Interface Card)209が接続されている。不揮発性ストレージ206には、OSと、パソコンを計測データ処理装置101として稼働させるためのプログラムと、後述する種々のデータベースが格納されている。
【0020】
[計測データ処理装置101:ソフトウェア機能]
図3Aは、計測データ処理装置101のソフトウェア機能を示すブロック図である。
図3Bは、計測データテーブル301及び重み付けベクトルテーブル302のフィールド構成を示す図である。
【0021】
地上局105から受信した計測データは、不揮発性ストレージ206の計測データテーブル301に記憶される。
一方、予め重み付けベクトル演算装置によって算出された重み付けベクトルは、重み付けベクトルテーブル302に記憶されている。
【0022】
計測データテーブル301は、日時フィールド、連番フィールド、周波数帯フィールド、計測値フィールドを有する。
日時フィールドには、アンテナが反射鏡104を通じて地表103(二次元平面)のスキャンを実行した日時情報が格納される。これは、マイクロ波放射計が地表103から放射されるマイクロ波の信号強度を計測した日時に概ね等しい。
【0023】
連番フィールドには、地表103の1回のスキャンにおいて、マイクロ波放射計から連続的に出力される計測データ(信号強度)に付される連番が格納される。
図4で後述するが、反射鏡104が地表103を1回スキャンする毎に、反射鏡104の角度位置に対応する計測データが連続的に出力される。その際、各々の計測データを一意に識別するための連番が連番フィールドに格納される。
言い換えると、連番とはすなわち反射鏡104のスキャン軌跡上の位置情報である。
【0024】
周波数帯フィールドには、計測データの周波数帯を示す情報が格納される。
図5で後述するが、人工衛星102には複数の周波数帯に対応するホーンアンテナが設置されているため、それら周波数帯毎の計測データが出力される。
計測値フィールドには、周波数帯フィールドの値にて指定される周波数帯における、マイクロ波放射計の計測データ、すなわちマイクロ波の強度が格納される。
【0025】
計測データテーブル301の日時フィールドに格納されている反射鏡104のスキャン軌跡の日時情報と、連番フィールドに格納されているスキャン軌跡上の連番だけでは、計測データと地表103との対応関係を紐付けることはできない。よって、反射鏡104のスキャン軌跡の日時情報に対して、別途、人工衛星102の公転情報に基づいて緯度経度情報を対応させることで、計測データに対して、地表103における緯度経度を紐付けることが可能になる。
【0026】
重み付けベクトルテーブル302は、中心連番フィールドと、演算対象位置フィールドと、周波数帯フィールドと、係数フィールドを有する。
中心連番フィールドには、重み付け演算の中心となる、マイクロ波放射計が出力する信号強度の連番が格納される。
【0027】
演算対象位置フィールドには、中心連番フィールドに格納されている位置に対して、重み付け演算の対象となる計測値の相対的な位置を示す情報が格納される。具体的には、中心位置からスキャン軌跡の本数単位でどれだけ離れているか、あるいは連番単位でどれだけ離れているかの値が格納される。
周波数帯フィールドは、計測データテーブル301の同名フィールドと同じである。
係数フィールドには、重み付けベクトルの要素となる重み付け係数が格納される。
【0028】
組み合わせ制御部303は、計測データテーブル301から所定の計測値を読み出すと共に、重み付けベクトルテーブル302から読み出した計測値に合致する重み付けベクトルを読み出し、計測値と重み付け係数の組み合わせを、後続の乗算器304a、304b…304nに代入する。
乗算器304a、304b…304nは、組み合わせ制御部303から出力された、計測データと重み付け係数の組み合わせを乗算し、乗算結果を出力する。
複数の乗算器304a、304b…304nから出力される各々の乗算結果は、積算器305に入力される。
【0029】
積算器305は、全ての乗算結果を積算して、積算結果としての補正計測データを出力する。補正計測データは、補正計測データテーブル306に記憶される。ここで、補正計測データには、元の計測データと同様に、日時及び連番等のアドレス情報が紐付けられている。
【0030】
計測データ処理装置101は、予め重み付けベクトル演算装置(不図示)の演算によって導かれた重み付けベクトルを用いて、計測データに対する補正演算を実行する。なお、重み付けベクトルを演算する不図示の重み付けベクトル演算装置も、計測データ処理装置101と同様のハードウェア構成である。
【0031】
[重み付けベクトル演算:構成と動作]
重み付けベクトル演算装置による重み付け係数を求める計算は、出力と入力との関係性を推定する逆問題である。そこで、これより人工衛星102に搭載されたマイクロ波放射計のアンテナが、地表103から放射されるマイクロ波を受信する過程を数学的モデルに置き換え、その上で逆問題を解く過程を説明する。数学的モデルにおいて、マイクロ波は地表103から一様かつ均一な空中線電力で放射されているものと考える。
【0032】
図4は、人工衛星102が地表103を観測する様子を示す説明図である。
図4Aに示すように、人工衛星102には、マイクロ波を受信するアンテナの一部を構成する、回転駆動される反射鏡104が搭載されている。この反射鏡104が回転することで、アンテナの感度の中心に存在する計測点が回転する。回転駆動される反射鏡104を有する人工衛星102は、例えば、我が国上空を通過する公転軌道V401上を公転する。
【0033】
したがって、アンテナの感度の中心に存在する計測点は、
図4Bに示すように、公転軌道V401上を中心に円弧状の軌跡を描く。これが反射鏡104のスキャン軌跡V402である。このスキャン軌跡V402を一部拡大すると、
図4(C)に示すように、計測点P403a、P403b、P403c…が並んでいる。人工衛星102は、これら計測点P403a、P403b、P403c…の計測データ毎に連番を付して、地上局105に送信する。
【0034】
人工衛星102から受信する、所定の周波数帯におけるマイクロ波の信号強度を示す計測データには、計測日時と、アンテナの指向性の中心となる相対的位置情報が含まれる。更に、計測データには緯度経度情報が紐付けられる。すなわち、計測データは地表103(二次元平面座標)における座標情報を有している。
【0035】
図5Aは、現在運用されている人工衛星102のアンテナ構成を示す説明図である。
図5Bは、現在運用されている人工衛星102の、周波数帯毎の感度分布を示す説明図である。
人工衛星102には、マイクロ波の周波数帯域に応じて、複数のホーンアンテナが搭載されている。そして、それら複数のホーンアンテナに対し、反射鏡104が一括して受信電波を反射する。これら複数の周波数帯域のマイクロ波は、検出する対象によって異なる。このため、マイクロ波放射計は周波数帯毎に異なる計測データを出力する。
また、周知のように電波の指向性は周波数が高くなるに連れて鋭利になる。したがって、周波数帯毎に感度分布の面積は異なる。
【0036】
図6は、人工衛星102に搭載されているアンテナの、地表103における感度分布V601の形を説明する概略図である。
人工衛星102に搭載されているアンテナが反射鏡104を通じて地表103から受信する電波の強度を表す感度分布V601を立体的に描画すると、
図6に示すように、ガウス曲面形状になる。なお、
図6ではアンテナが地表103から垂直の位置にあるものとして描画しているが、実際には垂直ではなく、例えば40°〜60°程度の傾斜角を有しているため、ガウス曲面も人工衛星102の方向へ傾斜した形状になる。そして、地表103における感度分布V601の投影形状は、
図5Bに示すように、懐中電灯で地面を照らしたような楕円形状になっている。
【0037】
図7Aは、人工衛星102に搭載されているアンテナの、地表103における感度と座標を説明するための概略図である。
図7Bは、人工衛星102に搭載されているアンテナの、地表103における感度を、水平面から見た状態と、垂直面から見た状態を説明するための概略図である。
図7Aに示すように、地表103の、アンテナの感度が最大値になる地点を原点とするxy座標、地面から垂直に感度を示すz座標を作成する。xy座標は、例えば地表103に1km単位で方眼紙状の目盛りを形成するイメージである。
【0038】
図7Aにおけるアンテナの感度分布を横から見ると、
図7Bに示すガウス曲線V701になる。これ以降、アンテナの感度分布を示すガウス曲面を、実測アンテナ感度分布関数G(x,y)とする。この実測アンテナ感度分布関数G(x,y)は、数学的モデルを定めるため、体積を1に正規化したものとする。なお、実測アンテナ感度分布関数の、上空から地表103を見た形状は、人工衛星102から地表103へは垂直ではなく傾斜した方向にて電波を受信するため、
図5Bにて既に述べたように、懐中電灯で地面を照らしたような楕円形状になる(
図7B参照)。
図7Bにおける実測アンテナ感度分布関数の楕円形状と大きさは、
図5Bのアンテナの感度分布を基に決定する。
図7Bにおいて、閾値Thgを設定している。例えば、−30dBに相当する値である。閾値Thgを用いてアンテナの受信感度に影響のある範囲を定めることで、後述する演算の範囲を決める。
【0039】
図8は、アンテナ感度中心がxy座標の中心と共通する実測アンテナ感度分布関数と、目標アンテナ感度分布関数を示す図である。
前述のように、本発明は、元のアンテナの広い感度分布を、周囲の実測値に重み付け係数を乗じた値を加算することで、より狭い(高分解能の)感度分布を実現することを課題としている。そこで、本発明では、まず、目標としたい感度分布を決定する。
図8では、楕円状の実測アンテナ感度分布A801に対し、より狭い円形の目標アンテナ感度分布A802を定める。これ以降、目標としたいアンテナの感度分布を示すガウス曲面を、目標アンテナ感度分布関数F(x,y)とする。目標アンテナ感度分布関数Fも、前述の実測アンテナ感度分布関数Gと同様に、体積を1に正規化したものとし、閾値Thfを設定する。
【0040】
図9は、実測アンテナ感度分布関数Gの演算対象を説明する図である。
図10は、実測アンテナ感度分布関数Gに付与する添字を説明する図である。
本発明では、座標の中心に位置する目標アンテナ感度分布関数F(x,y)と中心が一致する実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)(
図9Aの実測アンテナ感度分布A801)に注目する。そして、G
0(x,y)と有効な感度分布が交わる他の実測アンテナ感度分布関数を、重み付け係数を乗じる演算の対象とする。
【0041】
まず、
図9Aに示すように、人工衛星102の反射鏡104は回転するので、アンテナの感度中心の軌跡を座標平面上に描画する。そして、G
0(x,y)(実測アンテナ感度分布A801)の範囲を示す楕円に交わる楕円を、左右に描画する(実測アンテナ感度分布A901、A902)。その際、アンテナの感度中心の軌跡L903に対する角度を維持するように、傾斜を与える。
【0042】
次に、
図9Bに示すように、中心のG
0(x,y)の楕円に交わる楕円を決定する。
図9Bでは、中心のG
0(x,y)に対し、3列×9行−1=26個の楕円が交わることがわかる。以上の27個の楕円が、目標アンテナ感度分布関数F(x,y)を算出するための元となる実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)〜G
N(x,y)である。
なお、
図9ではわかりやすさのために敢えて少ない個数の楕円を示しているが、実際は計測データの空間密度に応じて楕円の個数は多くなる。
【0043】
実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)〜G
i(x,y)と、目標アンテナ感度分布関数F(x,y)は、以下の式1及び式2による関係を有するものと定義する。
【0045】
本発明は、上記式1の、実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)〜G
i(x,y)に乗算される重み付け係数a
0〜a
iを要素とする、重み付けベクトルaの最適値を求めるものである。
【0046】
次に、
図10Aに示すように、演算の対象となる実測アンテナ感度分布関数Gが決まったら、
図10Bの表に示すように、それら楕円に添字を付する。
図10では一例として、中心をG
0(x,y)とし、左下から右上に向かって、G
1(x,y)、G
2(x,y)、G
3(x,y)、…G
25(x,y)、G
26(x,y)と定める。以上、0から26(=27−1)まで、27個の実測アンテナ感度分布関数Gi(x,y)を定める。
【0047】
図11は、各種テーブルのフィールド構成を示す図である。なお、
図11に示すテーブルのうち、実測アンテナ感度行列テーブル1103、種ベクトルテーブル1105、逆行列テーブル1104、及び補正アンテナ感度分布関数テーブル1106は、
図12以降で説明する。
【0048】
実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G
i(x,y))は、添字フィールド、X座標フィールド、Y座標フィールド、Z座標フィールドを有する。
添字フィールドには、
図10で説明したG
0(x,y)〜G
N−1(x,y)迄の、関数の添字(1以上N−1以下の自然数)が格納される。
X座標フィールドには、xy座標平面上におけるX座標が格納される。
Y座標フィールドには、xy座標平面上におけるY座標が格納される。
Z座標フィールドには、アンテナの感度(ゲイン)に相当する値が格納される。
つまり、
図10で説明したG
0(x,y)〜G
N−1(x,y)迄を、この一つのテーブルで保持する。なお、添字の値Nは、地表103にプロットする原点の位置によっては増減するので、このようなフィールド構成にしてある。
【0049】
目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F(x,y))は、X座標フィールド、Y座標フィールド、Z座標フィールドを有する。
X座標フィールド、Y座標フィールド、Z座標フィールド共に、実測アンテナ感度分布関数テーブル1101の同名フィールドと同じである。
【0050】
以上、実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G
i(x,y))と目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F(x,y))を定めたことで、重み付け係数を導き出すための逆問題を解く材料が定まった。次に、逆問題を具体的に解く作業を説明する。逆問題の解法は、非特許文献2に開示されているBackus-Gilbert法(以下「BG法」と略)を採用する。
【0051】
まず、BG法を実行する準備として、実測アンテナ感度行列Hと、種ベクトルvを演算する。
図12は、実測アンテナ感度行列Hと種ベクトルvの要素を示す行列式と、要素の実体を示す概略図である。
実測アンテナ感度行列Hは、N行N列の正方行列である。
図10に示した例の場合、Nが27なので、実測アンテナ感度行列Hは27行27列の正方行列になる。
種ベクトルvは、1行N列(またはN行1列)のベクトルである。
図10に示した例の場合、Nが27なので、種ベクトルvは1行27列(または27行1列)のベクトルになる。
【0052】
図11に示すように、実測アンテナ感度行列テーブル1103と逆行列テーブル1104は、行フィールド、列フィールド、値フィールドを有する。
行フィールドには行列の行番号が格納される。
列フィールドには行列の列番号が格納される。
値フィールドには行列の要素の値が格納される。
種ベクトルテーブル1105は、行フィールド、値フィールドを有する。
種ベクトルテーブル1105の行フィールド、値フィールドは、実測アンテナ感度行列テーブル1103の同名フィールドと同じである。
実測アンテナ感度行列Hの各要素は、以下の式3で表せられる。
【0054】
上記式3は、実測アンテナ感度分布関数G
iのガウス曲面同士が交わる箇所の、乗算の積分を意味する。つまり、隣の実測アンテナ感度分布関数に影響を及ぼす範囲の体積を求めている。
上記式3は連続値であるため、実際の計算機上における演算は以下の式4に示す離散値の演算になる。
【0056】
計算機上では、xの値とyの値が共に同じレコードの、zの値同士を乗算し、z同士の乗算値の合計を出力する。
種ベクトルvの各要素は、以下の式5で表せられる。
【0058】
上記式5は、実測アンテナ感度分布関数G
iと目標アンテナ感度分布関数Fのガウス曲面同士が交わる箇所の、乗算の積分を意味する。つまり、目標アンテナ感度分布関数の隣の実測アンテナ感度分布関数に影響を及ぼす範囲の体積を求めている。
なお、式5は連続値であるため、実際の計算機上における演算は以下の式6に示す離散値の演算になる。
【0060】
これも前述の実測アンテナ感度分布関数の計算と同様、計算機上では、xの値とyの値が共に同じレコードの、zの値同士を乗算し、z同士の乗算値の合計を出力する。
【0061】
以上、実測アンテナ感度行列Hと種ベクトルvが定まったら、BG法にて重み付け係数ベクトルaを演算する。
まず、実測アンテナ感度分布関数G
i(x,y)に基づいて、式7によりベクトルuを計算する。
【0063】
前述のように、全ての実測アンテナ感度分布関数G
i(x,y)の積分は1になるように定義されているので、数6式に示すベクトルuの要素は全て1になる。
次に、実測アンテナ感度行列Hから、変形実測アンテナ感度行列Rを計算する。変形実測アンテナ感度行列Rは、式8に示すように、実測アンテナ感度行列Hに、単位行列Iをスカラ値κでκ倍した行列を加算した行列になる。なお、スカラ値κは0以上の有理数で、適切な値を選定する。
【0065】
次に、変形実測アンテナ感度行列Rの逆行列R
−1と、種ベクトルvと、ベクトルuを用いて、BG法の式9の演算を行うことにより、要素数がNの重み付けベクトルaを得る。
【0067】
以上が、非特許文献2にて公知のBG法を用いた、重み付けベクトルaの演算方法である。
しかしながら、前述した段階では、後述するように、演算結果に無視できない誤差を含んでいる。その誤差は、目標アンテナ感度分布関数F(x,y)と、中心座標が同じ実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)とを比較した時、実測アンテナ感度分布関数G
0(x,y)の、目標アンテナ感度分布関数F(x,y)の座標データを除外した領域に、正の値を示す領域と、負の値を示す領域として現れる。この誤差については
図16で詳述する。
本発明は、この誤差を最小にする方法を実現する。
【0068】
図13は、重み付けベクトル演算装置による、重み付けベクトルを演算するソフトウェア機能ブロック図である。
図14は、判定部のソフトウェア機能ブロック図である。
図15は、重み付けベクトルを演算するソフトウェア機能のフローチャートである。
【0069】
図15に示すように、処理を開始すると(S1501)、まず、重み付けベクトル演算部1301は、逆行列テーブル1104(R
−1)と種ベクトルテーブル1105(v)、そして積分値ベクトル1302(u)を用いて、BG法にて重み付けベクトル1303(a)を算出する(S1502)。これは、前述の演算処理に従う。
これ以降はループになる。
次に、補正感度関数演算部1304は、重み付けベクトル1303(a)と実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G)を用いて、補正感度関数Φ(x,y)を演算する(S1503)。補正感度関数Φ(x,y)は、実際には離散値として補正アンテナ感度分布関数テーブル1106にデータを格納する。
補正感度関数Φ(x,y)は、式10を演算することで求められる。
【0071】
図11に示すように、補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)は、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)と同様に、X座標フィールド、Y座標フィールド、Z座標フィールドを有する。
【0072】
次に、
図15に示すように、分類処理部1305は補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)のxy座標を目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)のxy座標と照合して分類する(S1504)。
すなわち、
図13に示すように、分類処理部1305は、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)と同じ座標のデータを補正真値感度関数Φ
IN(x,y)を用いて、補正真値感度関数テーブル1306を作成する。
また、分類処理部1305は、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)のxy座標の外で、値が正のデータを正余剰感度関数Φ
OUT+(x,y)を用いて、正余剰感度関数テーブル1307を作成する。
【0073】
更に、分類処理部1305は、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)のxy座標の外で、値が負のデータを負余剰感度関数Φ
OUT−(x,y)として、負余剰感度関数テーブル1308を作成する。
以上が
図15に示すステップS1504の処理である。
【0074】
図13に示す、補正真値感度関数テーブル1306、正余剰感度関数テーブル1307及び負余剰感度関数テーブル1308は、補正アンテナ感度分布関数テーブル1106のサブセットなので、それぞれ補正アンテナ感度分布関数テーブル1106と同じフィールドを有する。
【0075】
次に、
図15に示すように、積算部1309は式12、式13及び式14を実行することで、補正真値積算値1310(V
IN)、正余剰積算値1311(V
OUT+)、負余剰積算値1312(V
OUT−)を算出する(S1505)。
【0077】
すなわち、
図13に示す積算部1309は、補正真値感度関数テーブル1306(Φ
IN)を積算してスカラ値の補正真値積算値1310(V
IN)を算出する。
また、積算部1309は、正余剰感度関数テーブル1307(Φ
OUT+)を積算してスカラ値の正余剰積算値1311(V
OUT+)を算出する。
更に、積算部1309は、負余剰感度関数テーブル1308(Φ
OUT−)を積算してスカラ値の負余剰積算値1312(V
OUT−)を算出する。
以上が
図15のステップS1505の処理である。
【0078】
次に、
図13の判定部1313の処理について、
図14を参照して説明する。
積算部1309が出力した正余剰積算値1310(V
OUT+)は、第一加算器1401に入力される。第一加算器1401はV
OUT+直前値1402から正余剰積算値1310(V
OUT+)を減算した値を出力する。
第一加算器1401の出力データは、第一絶対値変換部1403に入力される。第一絶対値変換部1403は、第一加算器1401の出力データが正の値であった場合にはそのまま出力し、第一加算器1401の出力データが負の値であった場合には、絶対値が等しい正の値に符号を変換して出力する。
【0079】
第一絶対値変換部1403の出力データは、第一比較器1404の反転入力端子に入力される。第一比較器1404の非反転入力端子には、第一閾値1405が入力される。
第一比較器1404は、第一絶対値変換部1403の出力データと第一閾値1405と比較して、第一加算器1401の値が第一閾値1405未満の時に、論理の真を出力する。
【0080】
積算部1309が出力した負余剰積算値1311(V
OUT−)は、第二加算器1406に入力される。第二加算器1406はV
OUT−直前値1407から正余剰積算値V
OUT−を減算した値を出力する。
第二加算器1406の出力データは、第二絶対値変換部1408に入力される。第二絶対値変換部1408は、第二加算器1406の出力データが正の値であった場合にはそのまま出力し、第二加算器1406の出力データが負の値であった場合には、絶対値が等しい正の値に符号を変換して出力する。
第二絶対値変換部1408の出力データは、第二比較器1409の反転入力端子に入力される。第二比較器1409の非反転入力端子には、第二閾値1410が入力される。
第二比較器1409は、第二絶対値変換部1408の出力データと第二閾値1410と比較して、第二加算器1406の値が第二閾値1410未満の時に、論理の真を出力する。
【0081】
第一比較器1404の出力論理値と第二比較器1409の出力論理値は、ANDゲート1411に入力される。ANDゲート1411は、第一加算器1401の値が第一閾値1405未満、かつ、第二加算器1406の値が第二閾値1410未満の時に、論理の真を出力する。
【0082】
次に、
図13に示す判定部1313は、
図15に示すように、第一加算器1401の値が第一閾値1405未満、かつ、第二加算器1406の値が第二閾値1410未満であるか否かを検証する(S1506)。
【0083】
すなわち、判定部1313は、第一加算器1401の値が第一閾値1405以上か、または第二加算器1406の値が第二閾値1410以上であれば(S1506のNO)、正余剰積算値1311(V
OUT+)をV
OUT+直前値1402に代入し、負余剰積算値1312(V
OUT−)をV
OUT−直前値1407に代入した後、正規化演算部1314に起動トリガを与える。
【0084】
次に、
図15に示すように、
図13の正規化演算部1314は、式15及び式16により、正規化正余剰感度関数1315及び正規化負余剰感度関数1315を算出する(S1507)。
【0087】
次に、
図15に示すように、種ベクトル演算部1317は、式17及び式18を演算することにより、
図13に示す正余剰種ベクトル1318(v
+)と、負余剰種ベクトル(v
−)を算出する(S1507)。
【0090】
再び
図15に戻って説明を続ける。次に、重み付けベクトル演算部1301は、式19及び式20により、正余剰重み付けベクトル1320(b)及び負余剰重み付けベクトル1321(c)を算出する(S1509)。
【0092】
すなわち、
図13の重み付けベクトル演算部1301は、逆行列テーブル1104(R
−1)(
図13中の引出線P1331)と正余剰種ベクトル1318(v
+)、そして積分値ベクトル1302(u)(
図13中の引出線P1332)を用いて、ステップS1504と同様に、BG法にて正余剰重み付けベクトル1320(b)を算出する。
そして重み付けベクトル演算部1301は、逆行列テーブル1104(R
−1)(
図13中の引出線P1331)と負余剰種ベクトル1319(v
−)、そして積分値ベクトル1302(u)(
図13中の引出線P1332)を用いて、ステップS1504と同様に、BG法にて負余剰重み付けベクトル1321(c)を算出する。
【0093】
次に補正重み付けベクトル演算部1322は、式23を使って、補正真値積算値1310(V
IN)、正余剰積算値1311(V
OUT+)、負余剰積算値1312(V
OUT−)、a、b、cを用いて、補正重み付けベクトル1323(a′)を演算し、補正重み付けベクトル1323(a′)で重み付けベクトル1303(a)を上書きする(S1510)。
【0095】
なお、式23は、以下に記す式により導かれる。
まず、式1、式11、式12、式13及び式14より式24が導かれる。
【0097】
次に、式15と式16により、以下の式25と式26が導かれる。
【0099】
次に、式21と式22から、以下の式27と式28が導かれる。
【0101】
次に、式27の両辺に正余剰積算値1311(V
OUT+)を、式28の両辺に負余剰積算値1312(V
OUT−)を乗算する。これらの式を式24に代入して変形すると、以下の式29を得る。
【0103】
そして更に式29の両辺を補正真値積算値1310(V
IN)で除算すると、以下の式30を得る。式30から式23が導かれる。
【0105】
ステップS1510の演算が終了すると、再び、ステップS1503からの処理を繰り返す。
ステップS1506で、何れの値も共に閾値未満であれば(S1506のYES)、判定部1313はこの時点の重み付けベクトル1303(a)を出力して(S1511)、一連の処理を終了する(S1512)。
【0106】
以上、
図13、
図14及び
図15にて説明した本発明による重み付けベクトルの演算処理の重点は、ステップS1504において、補正感度関数Φ(x,y)から、誤差の成分を正の成分と負の成分に分けて抽出し、それぞれの誤差成分に対する重み付けテーブルを算出して、元の重み付けテーブルを補正演算する点にある。この演算処理を繰り返すことにより、誤差の成分が減少し、最終的に所定の値に収束する。
【0107】
上述の重み付けベクトル1303(a)は、観測空間におけるある一点における重み付けベクトルである。したがって、人工衛星102が観測可能な計測点のうち、重み付けベクトルによる最適化が有効に機能する範囲全てに対し、上記演算を実行する。
重み付けベクトル1303(a)の演算は膨大な浮動小数点の行列演算を必要とするが、一旦導き出された重み付けベクトル1303(a)は不変である。よって、重み付けベクトル1303(a)を導出した後は、人工衛星102から受信した計測データに対し、重み付けベクトル1303(a)を用いた演算を実行することで、瞬時に最適化された観測データを得ることができる。
なお、アンテナの指向性が変わるので、重み付けベクトル1303(a)の計算は、計測データの周波数帯に応じて実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G)に基づいて行う必要がある。
【0108】
[計測データ処理装置101:シミュレーション演算結果]
図16は、本発明の効果を説明するシミュレーション演算を行った、xy平面上におけるアンテナのゲインを示す、疑似カラーグラフである。但し、特許明細書の図面ではカラー表現ができないので、白黒になる。
図16Aは、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
図16Bは、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)と等しいゲイン中心座標を持つ実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G
0)をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
図16Cは、本発明における重み付け係数最適化処理を適用しない状態における補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
図16Dは、
図16Cの補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)の誤差成分をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
図16Eは、本発明における重み付け係数最適化処理を適用した状態における補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
図16Fは、
図16Eの補正アンテナ感度分布関数テーブル1106(Φ)の誤差成分をxy平面上に展開した疑似カラーグラフである。
【0109】
特に、
図16Dと
図16Fを見比べると、
図16Dには明確にゲインが正の領域(領域V1601及び領域V1602)と負の領域(領域V1603及び領域V1604)が表れているが、
図16Fにはそれらゲインが正の領域(領域V1605及び領域V1606)と負の領域(領域V1607及び領域V1608)が小さくなり、その絶対値も小さくなっている。
【0110】
図17は、正余剰積算値1311(V
OUT+)と負余剰積算値1312(V
OUT−)の、演算処理に伴う変動を示すグラフである。
図17中、正余剰積算値1311(V
OUT+)の値が線L1701であり、負余剰積算値1312(V
OUT−)の値が線L1702であり、棒グラフの値は反復演算処理において加算された実測アンテナ感度分布関数テーブル1101(G)の個数を表す。
【0111】
正余剰積算値1311(V
OUT+)及び負余剰積算値1312(V
OUT−)共に、演算処理を繰り返すことによって徐々に値が0に近づいている。但し、正余剰積算値1311(V
OUT+)及び負余剰積算値1312(V
OUT−)の絶対値の減少幅は演算処理を繰り返す毎に小さくなり、凡そ4回程度の繰り返し演算によって、絶対値の減少が殆ど見られなくなる。
【0112】
図18は、実際に人工衛星102のデータに基づいて描画処理を行った結果を示す図である。
図18Aは、本発明適用前の、マイクロ波放射計の計測データに基づいて描画した海面水温分布図である。
図18Bは、本発明適用後の、マイクロ波放射計の計測データに基づいて描画した海面水温分布図である。
図18Aでは、観測領域内に陸が含まれているため、沿岸から100km以内で正しい海面水温(Sea Surface Temperature:SST)を算出することができなくなっている(沿岸領域A1801)。
図18Bでは、分解能が向上したことに伴い、沿岸から20〜100kmのSSTを算出することができた(沿岸領域A1802)。
【0113】
以上説明した本発明の実施形態は、以下の変形例が可能である。
(1)上記実施形態では、逆問題を解く加重平均演算にBG法を採用したが、BG法以外の手法であってもよい。例えば、モンテカルロ法等が利用可能である。
(2)上記実施形態では、人工衛星102や航空機に搭載されるマイクロ波放射計における計測データの最適化を実施したが、本発明は地上設置型のマイクロ波放射計の計測データに対しても適用可能である。
【0114】
本発明の実施形態では、計測データ処理装置101と、重み付けベクトル最適化方法を説明した。
本発明の実施形態に係る計測データ処理装置101は、マイクロ波放射計の計測データ群に重み付けベクトルを乗じて加算することで、解像度を向上させることが可能である。
重み付けベクトル1303(a)は、アンテナの感度をガウス曲面とする数学モデルを基に、逆問題を解く。そして、目標アンテナ感度分布関数テーブル1102(F)のxy座標の外で、値が正のデータを正余剰感度関数テーブル1307(Φ
OUT+)と、値が負のデータを負余剰感度関数テーブル1308(Φ
OUT−)を最小化する補正演算を繰り返し実行することで、最適化を施す。
【0115】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【課題】計測データ処理装置は、マイクロ波放射計の計測データ群に重み付けベクトルを乗じて加算することで、解像度を向上させることが可能である。重み付けベクトルは、アンテナの感度をガウス曲面とする数学モデルを基に、逆問題を解く。そして、目標アンテナ感度分布関数テーブルのxy座標の外で、値が正のデータである正余剰感度関数と、値が負のデータである負余剰感度関数の積算値を最小化する補正演算を繰り返し実行することで、最適化を施す。