(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記農薬組成物用造粒性改良剤、前記農薬原体及び前記増量剤の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、0.1〜10質量%、0.01〜90質量%及び0.5〜99.8質量%である請求項5に記載の農薬組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、農薬組成物の造粒化において、押出成形により農薬粒剤を製造することが開示されている。ここで、農薬組成物を造粒化する際に、押出成形機等の成形機に加わる負荷により、農薬組成物の十分な造粒化ができない場合や、農薬組成物の造粒物の製造での作業性が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、農薬の原材料として使用ができ、農薬原体を含む農薬組成物の造粒工程における成形機に加わる負荷が低減され、好適に造粒物を得ることができる農薬用造粒性改良剤を提供することを目的とする。また、本発明は、造粒時の成形機に加わる負荷が低減され、好適に造粒することができる農薬用造粒性改良剤を含有する農薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定のジオール化合物が、農薬の原材料として農薬組成物に用いられた際に、農薬組成物の造粒工程における成形機に加わる負荷が低減され、農薬組成物の造粒化に優れた効果を発揮し、農薬組成物の造粒化の作業性に優れることを見出した。
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする農薬組成物用造粒性改良剤。
HO−R
1−O−A
1−H (1)
〔式(1)中、R
1は炭素原子数が6〜14のアルキレン基であり、A
1は−(R
5O)
S−で表される2価の基であり、R
5は炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、sは1〜10の整数であり、sが2以上の場合、−(R
5O)
S−におけるR
5は全て同一であっても、異なっていてもよい。〕
2.更に、下記一般式(2)で表される化合物を含有する上記1.に記載の農薬組成物用造粒性改良剤。
H−A
2−O−R
2−O−A
3−H (2)
〔式(2)中、R
2は炭素数6〜14のアルキレン基であり、A
2は−(OR
7)
t−で表される2価の基であり、R
7は炭素数2又は3のアルキレン基であり、−(OR
7)
t−におけるR
7は同一であっても、異なっていてもよく、tは1〜10の整数であり、A
3は−(R
9O)
u−で表される2価の基であり、R
9は炭素数2又は3のアルキレン基であり、−(R
9O)
u−におけるR
9は全て同一であっても、異なっていてもよく、uは1〜10の整数である。〕
3.上記一般式(1)で表される化合物及び上記一般式(2)で表される化合物の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、上記一般式(1)で表される化合物が50〜99質量%であり、上記一般式(2)で表される化合物が1〜50質量%である上記2.に記載の農薬組成物用造粒性改良剤。
4.上記1.から3.のいずれか一項に記載の農薬組成物用造粒性改良剤を含有することを特徴とする農薬組成物。
5.更に、農薬原体と、増量剤とを含有する上記4.に記載の農薬組成物。
6.上記農薬組成物用造粒性改良剤、上記農薬原体及び上記増量剤の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、0.1〜10質量%、0.01〜90質量%及び0.5〜99.8質量%である上記5.に記載の農薬組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は、農薬原体を含む農薬組成物等の製造において、これを造粒物とする場合の造粒時に、押出成形機等の成形機に加わる負荷を十分に低減させることができ、農薬組成物の造粒化において優れた作業性を発揮し、農薬組成物の造粒物を効率よく製造することができる。
また、本発明の農薬組成物は上記農薬組成物用造粒性改良剤を含有するため、造粒物とする場合の造粒時に、押出成形機等の成形機に加わる負荷が十分に低減され、農薬組成物の造粒物を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「ジオール化合物1」という)を含有する。
HO−R
1−O−A
1−H (1)
〔式(1)中、R
1は炭素原子数が6〜14のアルキレン基であり、A
1は−(R
5O)
S−で表される2価の基であり、R
5は炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、sは1〜10の整数であり、sが2以上の場合、−(R
5O)
S−におけるR
5は全て同一であっても、異なっていてもよい。〕
【0011】
上記一般式(1)において、アルキレン基R
1の構造は、特に限定されず、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。R
1におけるアルキレン基の炭素原子数は6〜14であり、好ましくは8〜12である。アルキレン基R
1は、押出成形機等に加わる負荷がより低減されることから、炭素原子数8〜12の分岐状アルキレン基であることが好ましい。好ましいR
1の具体例は、以下に示される。
【化1】
【0012】
また、上記一般式(1)において、A
1を構成するアルキレン基R
5は、炭素原子数2又は3のアルキレン基、即ち、エチレン基又は直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基である。従って、A
1はオキシエチレン基(−C
2H
4O−)又はオキシプロピレン基(−C
3H
6O−)を含む。
上記ジオール化合物1において、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の合計数であるsは、1〜10であり、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5である。sが2以上の場合、−(R
5O)
S−におけるR
5は全て同一であっても、異なっていてもよいが、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の両方を含む場合、これらの基が規則的あるいは不規則的に連なって結合した構造を有する。
【0013】
上記ジオール化合物1を製造する方法は、特に限定されない。好ましい製造方法は、触媒の存在下、炭素原子数が6〜14のアルカンジオールと、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれた少なくとも一方とを反応させる工程(以下、「反応工程」という)を備える製造方法(以下、「第1製造方法」という)である。以下、この第1製造方法について、説明する。
【0014】
上記アルカンジオールとしては、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール等の直鎖アルカンジオール;2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の分岐アルカンジオール等が挙げられる。上記反応工程で用いるアルカンジオールは、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
【0015】
上記反応工程では、触媒が用いられる。この触媒は、特に限定されないが、所望の生成物が効率よく得られることから、好ましくは塩基性化合物である。この塩基性化合物は、無機化合物及び有機化合物のいずれでもよく、無機化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。有機化合物としては、CH
3ONa、C
2H
5ONa、CH
3OLi、C
2H
5OLi、CH
3OK、C
2H
5OK等が挙げられる。上記触媒の使用量は、上記アルカンジオール1モルに対して、好ましくは0.1〜10ミリモル当量である。
【0016】
上記反応工程は、オートクレーブ等の圧力反応器内において、反応系の温度を、好ましくは100℃〜170℃、より好ましくは130℃〜150℃として、原料を撹拌しながら進められる。エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドは、所望の構造を有するジオール化合物とするために、順序、割合等を変化させながら添加することができる。
【0017】
上記第1製造方法において、反応工程の後に、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程は、一般的な有機化合物の合成で行われる、従来、公知の、クロマト分離、濃縮等の操作を含むことができる。
【0018】
本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は、上記ジオール化合物1を含有し、更に、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「ジオール化合物2」という)を含有することができる。
H−A
2−O−R
2−O−A
3−H (2)
〔式(2)中、R
2は炭素数6〜14のアルキレン基であり、A
2は−(OR
7)
t−で表される2価の基であり、R
7は炭素数2又は3のアルキレン基であり、−(OR
7)
t−におけるR
7は同一であっても、異なっていてもよく、tは1〜10の整数であり、A
3は−(R
9O)
u−で表される2価の基であり、R
9は炭素数2又は3のアルキレン基であり、−(R
9O)
u−におけるR
9は全て同一であっても、異なっていてもよく、uは1〜10の整数である。〕
【0019】
上記一般式(2)において、アルキレン基R
2の構造は、特に限定されず、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。R
2におけるアルキレン基の炭素原子数は6〜14であり、好ましくは8〜12である。アルキレン基R
2は、押出成形機等に加わる負荷がより低減されることから、炭素原子数8〜12の分岐状アルキレン基であることが好ましい。好ましいR
2の具体例は、以下に示される。
【化2】
【0020】
また、上記一般式(2)において、A
2を構成するアルキレン基R
7は、炭素原子数2又は3のアルキレン基、即ち、エチレン基又は直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基である。従って、A
2はオキシエチレン基(−OC
2H
4−)又はオキシプロピレン基(−OC
3H
6−)を含む。
上記ジオール化合物2において、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の合計数であるtは、1〜10であり、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5である。tが2以上の場合、−(OR
7)
t−におけるR
7は全て同一であっても、異なっていてもよいが、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の両方を含む場合、これらの基が規則的あるいは不規則的に連なって結合した構造を有する。
【0021】
また、上記一般式(2)において、A
3を構成するアルキレン基R
9は、炭素原子数2又は3のアルキレン基、即ち、エチレン基又は直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基である。従って、A
3はオキシエチレン基(−C
2H
4O−)又はオキシプロピレン基(−C
3H
6O−)を含む。
上記ジオール化合物2において、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の合計数であるuは、1〜10であり、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5である。uが2以上の場合、−(R
9O)
u−におけるR
9は全て同一であっても、異なっていてもよいが、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の両方を含む場合、これらの基が規則的あるいは不規則的に連なって結合した構造を有する。
【0022】
上記ジオール化合物2の製造方法は、特に限定されない。好ましい製造方法は、上述のジオール1の製造に用いられるアルカンジオールと同様の炭素数6〜14のアルカンジオールと、上述の塩基性触媒の存在下に、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれた少なくとも一方とを反応させる工程を備える製造方法である。
上記ジオール2の製造方法としては、例えば、反応に用いる塩基性触媒の使用量を、アルカンジオール1モルに対して、10〜100ミリモル当量(好ましくは15〜50ミリモル当量)とする以外は、上述のジオール化合物1の製造方法と同様とすることができる。
【0023】
本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は上記ジオール化合物1を含有することから、造粒物の製造等において、押出成形機等の成形機に加わる負荷を低減させることができる。
また、本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は、更に、他の成分としてジオール化合物2を加えることができる。本発明の農薬組成物用造粒性改良剤はジオール化合物2も含有する場合、ジオール化合物1のみと比べて成形機に加わる負荷が若干増大する場合もあるが、実用的に問題のない質量割合であれば、ジオール化合物2を加えることができる。
【0024】
本発明の農薬組成物用造粒性改良剤がジオール化合物1及びジオール化合物2を含有する場合、ジオール化合物1及びジオール化合物2の含有量は、ジオール化合物1及びジオール化合物2の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜99質量%及び1〜50質量%であり、より好ましくは70〜95質量%及び5〜30質量%である。
【0025】
また、本発明の農薬組成物用造粒性改良剤は、本発明の効果が抑制されない範囲で、更に、結合剤、拡展剤、崩壊剤、分散剤、乳化剤、溶剤等のその他成分を含有することができる。
【0026】
本発明の農薬組成物は、上記本発明の農薬組成物用造粒性改良剤を含有し、更に、他の成分を含有することができる。他の成分としては、農薬原体及び増量剤が挙げられる。
農薬組成物における農薬組成物用造粒性改良剤、農薬原体及び増量剤の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、好ましくはそれぞれ、0.1〜10質量%、0.01〜90質量%及び0.5〜99.8質量%である。
【0027】
農薬組成物に用いる農薬原体としては、水との共存で活性が損なわれないものであれば特に制限はなく、種々の除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植物生育調整剤を使用することができる。
【0028】
除草剤としては、6−メチル−3[1−メチル−1−(3,5−ジクロルフェニル)エチル]−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン−4−オン、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−1−[(2−メトキシカルボニルベンジル)スルホニル]ウレア(ベンスルフロンメチル)等が挙げられる。
【0029】
殺虫剤としては、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル=3−フェノキシベンジル=エーテル(エトフェンプロックス)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−ジクロロ−1−1(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、N−tert−ブチル−N’−(4−エチルベンゾイル)−3,5−ジメチルベンゾヒドラジド(テブフェノジド)等が挙げられる。
【0030】
殺菌剤としては、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロベンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)等が挙げられる。
【0031】
植物生育調整剤としては、インドール酪酸、エチクロゼート、クロレラ抽出物、混合生薬抽出物、ヒドロキシイソキサゾール、ベンジルアミノプリン、オキシエチレンドコサノール、マレイン酸ヒドラジド、エテホン、コリン、ジベレジン、イナベンフィド、ウニコナゾール、ダミノジット、パクロブトラゾール、フルルプリミドール、プロヘキサジオンカルシウム塩等が挙げられる。
【0032】
これらの農薬原体は、1種のみ用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、各々の農薬原体の含有量は、それぞれの活性に応じて所定量とすることができ、特に限定されないが、農薬組成物の全量(100質量%)に対し、好ましくは0.01〜90質量%であり、より好ましくは0.1〜80質量%である。
【0033】
また、農薬組成物に用いる増量剤としては、それ自体は公知の各種の無機質粉末、低分子水溶性化合物、合成樹脂粉末、有機質粉末等が挙げられる。例えば、無機質粉末としては、ベントナイト、タルク、クレー、珪藻土、無晶系二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。低分子水溶性化合物としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、尿素等が挙げられる。また、合成樹脂粉末としては、塩化ビニル粉末、ポリエチレン粉末、塩素化ポリエチレン粉末、塩素化ポリプロピレン粉末等が挙げられる。更に、有機質粉末としては、グルコース、果糖、ショ糖、乳糖等の糖類、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、澱粉及びその誘導体、木粉、米糠、ふすま、モミガラ、コルクなどが挙げられる。
【0034】
これらの増量剤は、1種のみ用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。増量剤の含有量は、特に限定されないが、農薬組成物の全量に対し好ましくは0.5〜99.8質量%であり、より好ましくは3〜97質量%である。
【0035】
本発明の農薬組成物の形状としては、特に限定されないが、粒状物が好ましい。
本発明の農薬組成物の製造方法としては、スクリュー型成形機、ロール型成形機、ブレード型成形機等の成形機により造粒することができる。また、造粒物を、通常、乾燥させ、必要に応じて整粒することにより農薬粒剤とすることができる。また、農薬組成物用造粒性改良剤の性状、造粒物に必要とされる機械的特性等により、成形機の種類、運転条件などは適宜設定することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
1.ジオール化合物1の合成
合成例1
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール160.3g(1モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末0.3g(原料に対して6ミリモル当量)を加えた後、オートクレーブ内を窒素ガスにより十分に置換した。次いで、撹拌下に反応温度を130〜150℃に維持しつつ、エチレンオキサイド176g(4モル)を圧入して付加重合反応をさせ、同温度で1時間熟成させて付加重合反応を終了した。その後、触媒をリン酸で中和し、次いで、副生物を液体クロマトグラフィにより分離し、得られた反応生成物を下記条件によるLC−MS分析に供したところ、下記式(3)で表される化合物であることが分かった。以下、このジオール化合物1をa−1として示す(表1参照)。
ESI―MS:m/z=337(M+H)
+
【化3】
【0037】
上記LC−MS分析は以下の条件で行った。
測定機器:LC/Ultimate3000 (Thermo Fisher Scientific製)
:MS/maXis(Bruker製)
LC使用カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7um 2.1mm×150mm(Waters製)
イオン化方法:ESI(positive)
イオン源温度:200℃
MS検出器 :TOF
測定レンジ :70m/z〜1550m/z
尚、下記合成例2〜19の化合物についても合成例1と同様にLC−MS分析を行った。
【0038】
合成例2
エチレンオキサイド4モルに代えて、プロピレンオキサイド4モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−2を得た(表1参照)。
【0039】
合成例3
エチレンオキサイド4モルに代えて、エチレンオキサイド2モル及びプロピレンオキサイド2モルの混合物を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−3を得た(表1参照)。
【0040】
合成例4
合成例1のエチレンオキサイド(4モル)を圧入して、同温度で1時間熟成させる付加重合反応に代えて、130℃〜150℃にてエチレンオキサイド2モルを圧入して、同温度で1時間熟成させた後、130℃〜150℃にてプロピレンオキサイド2モルを圧入して、同温度で1時間熟成させて付加重合反応を終了した。反応終了以降は合成例1と同様の操作を行い、化合物a−4を得た(表1参照)。
【0041】
合成例5
合成例1のエチレンオキサイド(4モル)を圧入して、同温度で1時間熟成させる付加重合反応に代えて、130℃〜150℃にてプロピレンオキサイド2モルを圧入して、同温度で1時間熟成させた後、130℃〜150℃にてエチレンオキサイド2モルを圧入して、同温度で1時間熟成させて付加重合反応を終了した。反応終了以降は合成例1と同様の操作を行い、化合物a−5を得た(表1参照)。
【0042】
合成例6
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを用い、エチレンオキサイドの使用量を4モルから3モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−6を得た(表1参照)。
【0043】
合成例7
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールを用い、エチレンオキサイドの使用量を4モルから5モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−7を得た(表1参照)。
【0044】
合成例8
エチレンオキサイドの使用量を4モルから6モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−8を得た(表1参照)。
【0045】
合成例9
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオールを用い、エチレンオキサイドの使用量を4モルから6モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−9を得た(表1参照)。
【0046】
合成例10
エチレンオキサイド4モルに代えて、プロピレンオキサイド6モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−10を得た(表1参照)。
【0047】
合成例11
エチレンオキサイドの使用量を4モルから9モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−11を得た(表1参照)
【0048】
合成例12
合成例1のエチレンオキサイド(4モル)を圧入して、同温度で1時間熟成させる付加重合反応に代えて、130℃〜150℃にてエチレンオキサイド4モルを圧入して、同温度で1時間熟成させた後、130℃〜150℃にてプロピレンオキサイド5モルを圧入して、同温度で1時間熟成させて付加重合反応を終了した。反応終了以降は合成例1と同様の操作を行い、化合物a−12を得た(表1参照)。
【0049】
合成例13
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、1,14−テトラデカンジオールを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−13を得た(表1参照)。
【0050】
合成例14
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、1,6−ヘキサンジオールを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物a−14を得た(表1参照)。
以上、上記合成例1〜14で合成した化合物及びその原料等を表1にまとめて示す。
【0051】
【表1】
【0052】
合成例15
エチレンオキサイドの使用量を4モルから12モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物ra−1を得た(表2参照)。
【0053】
合成例16
エチレンオキサイドの使用量を4モルから16モルに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、化合物ra−2を得た(表2参照)。
以上、上記合成例15〜16で合成した化合物及びその原料等を表2にまとめて示す。
【0054】
【表2】
【0055】
2.ジオール化合物2の合成
合成例17
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール160.3g(1モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末0.9g(原料に対して18ミリモル当量)を加えた後、オートクレーブ内を窒素ガスにより十分に置換した。次いで、撹拌下に反応温度を130〜150℃に維持しつつ、エチレンオキサイド176g(4モル)を圧入して付加重合反応をさせ、同温度で1時間熟成させて付加重合反応を終了した。その後、触媒をリン酸で中和し、次いで、副生物を液体クロマトグラフィにより分離し、下記(4)で表されるジオール化合物2(化合物b−1)を得た(表3参照)。
【化4】
【0056】
合成例18
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて、2−メチル1,8−オクタンジオールを用い、エチレンオキサイドの使用量を4モルから6モルに変更した以外は、合成例17と同様の操作を行い、化合物b−2を得た(表3参照)。
【0057】
合成例19
エチレンオキサイドの使用量を4モルから6モルに変更した以外は、合成例17と同様の操作を行い、化合物b−3を得た(表3参照)。
【0058】
合成例20
エチレンオキサイドの使用量を4モルから10モルに変更した以外は、合成例17と同様の操作を行い、化合物b−4を得た(表3参照)。
以上、上記合成例17〜20で合成した化合物及びその原料等を表3にまとめて示す。
【0059】
【表3】
【0060】
3.農薬組成物の調製
増量剤としてKクレー(昭和KDE株式会社製)80質量%、クニゲルV1(クニミネ工業株式会社製)5質量%、農薬原体としてベンスルフロンメチル2質量%を均一に混合した。その後、この混合物にジオール化合物1及び/又はジオール化合物2を3質量%添加し、水を10質量%(合計を100質量%とする)配合し、均一に混練した。次いで、この混練物(坏土)を1.0mm径のスクリーンを装着したスクリュー型押出成形機(不二パウダル社製、型式「DG−L1型」)に供し、モーターのインバーター周波数20Hz、シャフトの回転数32rpmの条件で押出成形し、粒状の農薬組成物を調製した。
【0061】
実施例1〜20及び比較例1〜6
上記3.のようにして粒状農薬組成物を調製するときに、実施例1〜20及び比較例1〜6におけるジオール化合物1(あるいは化合物ra−1又はra−2)及びジオール化合物2を、表4(実施例1〜20)、及び表5(比較例1〜6)に記載の配合比率にて用いた(ジオール化合物1(あるいは化合物ra−1又はra−2)とジオール化合物2との合計を100質量%とする)。
【0062】
4.押出成形時の負荷の評価
実施例1〜20及び比較例1〜6の農薬組成物(農薬粒剤)を調製するときに押出成形機に加わる押出最大負荷と押出最小負荷に基づいて評価基準を下記のように定め、押出抵抗を評価し、結果を表4及び表5に記載した。
押出最大負荷;坏土投入直後から350秒経過後の間における最高トルク電圧(V)
<評価基準>
◎◎:1.0V以上2.9V以下
◎:3.0V以上3.9V以下
○:4.0V以上4.9V以下
△:5.0V以上9.9V以下
×:10.0V以上
押出最小負荷;坏土投入直後から350秒経過後の間における最低トルク電圧(V)
<評価基準>
◎◎:0.60V以上0.99V以下
◎:1.00V以上1.29V以下
○:1.30V以上1.49V以下
△:1.50V以上1.59V以下
×:1.60V以上
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
表4によれば、ジオール化合物1のみを用いた実施例1〜7では、押出最大負荷、押出最小負荷ともに小さく、押出成形時の負荷が十分に小さいことが分かる。また、実施例11〜12、15〜16、19〜20では、ジオール化合物2の割合が大きくなるとともに、特に押出最大負荷が大きくなるが、許容範囲であり、問題はない。更に、異なる種類のジオール化合物1のみを用いた実施例8、9、10では押出最小負荷が少し大きくなり、実施例13,14及び実施例17,18ではでは押出最大負荷、押出最小負荷ともに少し大きくなるが、許容範囲であり、特に問題はない。
【0066】
一方、表5によれば、式(1)におけるsが10以上の化合物である化合物ra−1、ra−2を用いた比較例1、2では、押出最大負荷、押出最小負荷ともに△であり、劣っていることが分かる。また、ジオール化合物2のみを用いた比較例3〜6では、押出最大負荷、押出最小負荷ともに相当に大きくなり、最大負荷評価、最小負荷評価ともに×であり、より劣っていることが分かる。