(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739138
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20200730BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20200730BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20200730BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20200730BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20200730BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20200730BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20200730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200730BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/245
F21V8/00 340
G02B6/00 331
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-233292(P2016-233292)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-92733(P2018-92733A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大島 研介
(72)【発明者】
【氏名】岡村 建作
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−32747(JP,A)
【文献】
特開2015−201307(JP,A)
【文献】
特開2008−216409(JP,A)
【文献】
特開2012−190762(JP,A)
【文献】
特開2013−157163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/245
F21V 8/00
G02B 6/00
F21W 103/35
F21W 103/45
F21W 103/55
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
この光源から発せられて内部に進行した光を軸長方向に進行させつつ、軸長方向に延びた光出射用反射面によって反射させ、かつこの反射された光を、前記光出射用反射面に対向するライン状の光出射面から外部に出射させることが可能とされたバー状の導光体と、
この導光体に対向して設けられ、かつ前記光出射面から進行してきた光を透過させる透光性部材と、
を備えている、照明装置であって、
前記導光体には、前記光出射用反射面として、前記導光体の周方向に並んで互いに異なる向きに形成された複数条の光出射用反射面が設けられ、かつ前記光出射面として、非平行に光を出射する複数条の光出射面が設けられており、
前記透光性部材には、前記複数条の光出射面から出射した光を平行に近付けるように屈折させる光屈折部が設けられていることを特徴とする、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるライン状光源として構成され、たとえば車両用のテールランプやデイライトなどの車両用灯具として、あるいはその他の装飾用などの照明に用いるのに好適な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置の具体例として、特許文献1〜3に記載のものがある。これらの基本的な構成を、
図3に示す。
同図に示す照明装置Leは、基板1に搭載されたLED光源などの光源2、バー状の導光体3e、およびこの導光体3eに対向する透光性部材4e(車両用灯具の場合にはインナレンズに相当)を備えている。導光体3eは、光源2から導光体3e内に入射した光を軸長方向に進行させつつ、軸長方向に延びた光出射面31からその外部に出射可能である。そのための手段として、導光体3eには、光出射面31に対向する箇所に、光出射用反射面32が設けられている。
このような構成によれば、光源2として、点状光源を用いているにも拘わらず、導光体3eの光出射面31が透光性部材4eの正面側からライン状に延びた発光領域Eとして見えることとなり、ライン状照明が実現される。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
照明のデザイン性を良好にするなどの目的から、ライン状の発光領域を、たとえば2本略平行に設けたいような場合がある。これに対し、従来においては、1つの導光体3eには、1つの光出射面31が設けられているに過ぎない。このため、ライン状の発光領域Eを2本略平行に設ける場合には、たとえば
図4に示すように、2つの導光体3eを連結部39を介して連結するなどして並設し、これら2つの導光体3eのそれぞれに2つの光源2から光を入射させるといった手段が採用される。
ところが、このような手段を採用したのでは、全体の部品点数が多くなり、製造コストが高価となる他、全体のサイズも大きくなる不具合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−367403号公報
【特許文献2】特開2015−8111号公報
【特許文献3】特開2014−67630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、間隔を隔てて略平行に並ぶ複数条のライン状発光を、簡易な構成によって適切に実現することが可能な照明装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される照明装置は、光源と、この光源から発せられて内部に進行した光を軸長方向に進行させつつ、軸長方向に延びた光出射用反射面によって反射させ、かつ
この反射された光を、前記光出射用反射面に対向するライン状の光出射面から外部に出射させることが可能とされたバー状の導光体と、この導光体に対向して設けられ、かつ前記光出射面から進行してきた光を透過させる透光性部材と、を備えている、照明装置であって、前記導光体には、前記光出射用反射面として、前記導光体の周方向に並んで互いに異なる向きに形成された複数条の光出射用反射面が設けられ、かつ前記光出射面として、非平行に光を出射する複数条の光出射面が設けられており、前記透光性部材には、前記複数条の光出射面から出射した光を平行に近付けるように屈折させる光屈折部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、光源を発光させると、この光は導光体に設けられたライン状の複数条の光出射面から非平行な状態で出射するが、透光性部材の光屈折部を透過して屈折することにより、平行に近い光となって透光性部材の正面側に進行する。したがって、本発明によれば、1つの導光体を用いるだけであっても、間隔を隔てて略平行に並ぶ複数条のライン状発光を適切に実現できることとなる。また、導光体の数を少なくできるために、光源の数も少なくすることが可能である。このようなことから、
図4に示した従来技術と比較すると、全体の部品点数を少なくし、製造コストを廉価にすることができるとともに、全体の小サイズ化も適切に図ることができる。また、導光体の小サイズ化などに伴い、照明デザインの自由度を高めることも可能となる。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は、本発明に係る照明装置の一例を示す要部斜視図であり、(b)は、(a)のIb−Ib縦断面図であり、(c)は、(a)のIc−Ic平面断面図である。
【
図2】(a)は、本発明に係る照明装置が組み込まれた車両の一例を示す要部背面図およびその要部拡大図であり、(b)は、(a)のIIb−IIb平面断面図である。
【
図3】(a)は、従来技術の一例を示す要部斜視図であり、(b)は、(a)のIIIb−IIIb平面断面図である。
【
図4】(a)は、従来技術の他の例を示す要部斜視図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、理解の容易のため、
図3および
図4に示した従来技術と同一または類似の要素には、それらと同一の符号を適宜付すこととする。
【0013】
図1に示す照明装置Lは、基板1に搭載されたLED光源などの点状の光源2、バー状の導光体3、およびこの導光体3に対向して配置された透光性部材4を備えている。
【0014】
導光体3は、たとえば透光性に優れる透明樹脂製のバー状であり、光入射面30、導光体3の軸長方向に延びる2条の光出射面31、および2条の光出射用反射面32を備えている。光入射面30は、導光体3の軸長方向一端部の端面であって、光源2から発せられた光はこの光入射面30から導光体3内に入射し、この導光体3の外周面を全反射しながら導光体3の軸長方向他端部側に進行していく。各光出射用反射面32は、導光体3の軸長方向に延びる面であるが、同図(b)に示すような凹凸面であり、この光出射用反射面32に到達した光の一部は、光出射面31に向けて反射される。この反射光の光出射面31に対する入射角が、導光体3の材質により特定される全反射臨界角よりも小さいと、この光はそのまま導光体3の外部に透過(出射)する。なお、光出射用反射面32は、前記
したような凹凸面に代えて、金属膜が形成された面などとしてもよく、要は、光出射用反射面32によって反射された光が光出射面31に小さい入射角で入射して導光体3の外部にそのまま出射し得るように構成されていればよい。
【0015】
2条の光出射用反射面32は、
図1(c)に示すように、導光体3の周方向において隣接するように並んでおり、かつ適当な交差角αで交差するようにこれらの向きが相違するように形成されている。2条の光出射面31は、導光体3の外周面のうち、2条の光出射用反射面32に対向する領域である。このため、これら2条の光出射面31のそれぞれから出射する光は、前記した交差角αと略同一の角度で広がる非平行な光線となる。
【0016】
透光性部材4は、たとえば無色透明または有色透明の樹脂製であり、たとえば略プレート状である。ただし、この透光性部材4は、2条の光出射面31から進行してきた光を略平行な光とするように屈折させる2つの光屈折部40を備えている。この光屈折部40は、シリンドリカルレンズの一種としてのリニアフレネルレンズであり、導光体3の軸長方向と同方向に断面一様に延びている。
【0017】
次に、前記した照明装置Lの作用について説明する。
【0018】
光源2を発光させると、既述したように、光源2からの光は導光体3内をその軸長方向に進行しつつ、ライン状の2条の光出射面31から広がるように出射し、透光性部材4の2つの光屈折部40に到達する。すると、これら2つの光屈折部40によって、前記した光は略平行な光線となって透光性部材4の正面に進行する。このことにより、透光性部材4の正面側からは、透光性部材4のうち、導光体3から光が到達した光屈折部40の領域が、互いに間隔を隔てて略平行に並んだ2条のライン状の発光領域Eとして適切に認識し得るものとなる。
【0019】
このように、本実施形態の照明装置Lにおいては、導光体3および光源2の組み合わせを1組のみ用いた構成によって2条のライン条発光が実現されている。このため、導光体3および光源2の組み合わせを複数組用いる従来のものと比較すると、全体の部品点数を少なくし、全体の小サイズ化、軽量化、ならびに製造コストの低減化を好適に図ることが可能である。
【0020】
図2は、本発明の他の実施形態を示している。
図2において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付し、重複説明は省略する。
【0021】
図2において、車両5の後部には、テールランプ装置La、ターンランプ装置60、およびブレーキランプ装置61が組み合わされたコンビネーションランプ装置Cが設けられている。これらのうち、テールランプ装置Laは、本発明が適用された照明装置の具体例に相当する。
【0022】
テールランプ装置Laは、導光体3が略コ字状に屈曲または湾曲したバー状とされており、インナレンズ4a(
図1の透光性部材4に相当)の奥部に光源2とともに配されている。インナレンズ4aの手前側には、アウタレンズ9が設けられている。導光体3は、
図1とは異なる形状とされているものの、2条の光出射用反射面32や2条の光出射面31などの基本的な構成は、
図1と同様であって、これらは導光体3の軸長方向(導光体3が延びる方向と同義)に延びるように設けられている。インナレンズ4aの2つの光屈折部40も同様である。
【0023】
本実施形態によれば、
図2(a)の要部拡大図において、網点模様が付された2条の略コ字状の領域を、発光領域Eaとすることが可能となり、テールランプ装置Laを点灯さ
せる際の意匠性を高めることが可能である。勿論、前記実施形態と同様に、導光体3や光源2の数を少なくし、製造コストの低減なども図ることもできる。本実施形態から理解されるように、導光体3の使用個数を少なくして、その小サイズ化を図ることができれば、照明デザインの自由度も高められる。
【0024】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る照明装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0025】
光源は、LED光源に限定されず、他の種類の光源を用いることが可能である。また、導光体と光源とは、必ずしも1対1の関係でなくてもよく、1つの導光体に対して複数の光源を対応させて設けてもよい。この場合、たとえば導光体の軸長方向両端部のそれぞれを光入射面として、これらの位置に光源を対向配置させたり、あるいは導光体の軸長方向中間部の1または複数箇所を光入射面として、この位置に光源を対向配置させるようなことも可能である。
【0026】
導光体は、上述した実施形態のように、直線状に延びた形状や略コ字状以外の様々な形状に形成することが可能である。光出射用反射面および光出射面は、2条ずつ設けることに代えて、3条ずつ、あるいはそれ以上の数で設けることも可能である。
【0027】
本発明でいう透光性部材の光屈折部は、フレネルタイプに限らず、たとえば所定の曲率の曲面をもつレンズや、屈折率分布レンズなどの他の種類のレンズと同様な構成とされていてもよい。
本発明に係る照明装置は、車両用灯具として構成し得る他、それ以外の様々な用途に用いることが可能であり、その具体的な用途は限定されない。したがって、本発明でいう透光性部材は、車両用灯具のインナレンズである必要もない。
【符号の説明】
【0028】
L 照明装置
La テールランプ装置(照明装置)
E,Ea 発光領域
2 光源
3,3a 導光体
30 光入射面
31 光出射面
32 光出射用反射面
4 透光性部材
4a インナレンズ(透光性部材)
40 光屈折部