(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、交流電源入力側の過電圧保護回路では、短絡素子をサイリスタやトライアックにする場合、点弧状態が継続している間に保護素子を作動させるようにしている。しかしながら、例えば電源インピーダンスが高いなどの理由で十分な短絡電流が流れなかった場合、点弧状態が継続している間に保護素子を作動させることができなくなる。この場合、短絡素子の動作が点弧と消弧とを繰り返す不確実な動作となるときがあるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、点弧状態が継続している間に保護素子を作動させることができなくとも、短絡素子の動作が点弧と消弧とを繰り返さずに安定して動作することができる過電圧保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため本発明の一態様は、交流電源の入力端子と、前記入力端子に入力された前記交流電源を出力する出力端子と、前記交流電源を整流して平滑化した電圧である比較電圧が所定の基準電圧を超えた場合に過電圧検出信号を出力する比較器と、前記過電圧検出信号を前記比較器の入力側にフィードバックするフィードバック回路とを有し、前記比較器が前記過電圧検出信号を出力した場合に所定の制御信号を発生する過電圧検出部と、前記入力端子と前記過電圧検出部との間に設けられ、前記制御信号が入力された場合に、前記入力端子と前記過電圧検出部と間において前記交流電源を短絡させる短絡部と、前記入力端子と前記短絡部との間に挿入され、当該短絡部が過電流発生時に前記交流電源を短絡させた際に前記入力端子と前記短絡部との間の接続を遮断する遮断部と備え
、前記制御信号が、前記交流電源に出力側が接続されたゼロクロスオンタイプのフォトトライアックを用いて発生され、前記過電圧検出信号が前記比較器により維持され、当該過電圧検出信号により、前記フォトトライアックがゼロクロスオンとなる状態とする過電圧保護回路である。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記過電圧保護回路であって、前記フィードバック回路が、前記比較器の前記比較電圧の入力端子に前記過電圧検出信号をフィードバックする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記過電圧保護回路であって、前記フィードバック回路が、前記比較器の前記基準電圧の入力端子に前記過電圧検出信号をフィードバックする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記過電圧保護回路であって、前記フィードバック回路が、抵抗とダイオードとの組み合わせまたは抵抗から構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィードバック回路が比較器の入力側に比較器が出力した過電圧検出信号をフィードバックするので、比較電圧と基準電圧との比較動作にヒステリシスを持たせることができる。これによれば、過電圧検出部が、短絡部の動作を制御する制御信号を継続して発生することができる。よって、短絡部は短絡状態を安定して維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の構成例を示した回路図である。
図1に示した電気機器1は、過電圧保護回路10と、AC(交流)電源使用機器20とを備える。AC電源使用機器20は、商用電源などの交流電源AC1を電源として動作する機器である。過電圧保護回路10は、本実施形態においては外付けされているが、AC電源使用機器20に内蔵する構成としても良い。過電圧保護回路10がAC電源使用機器20に内蔵された場合は、電気機器1がAC電源使用機器20そのものとなる。
【0016】
過電圧保護回路10は、交流電源AC1の入力端子101および102と、入力端子101および102に入力された交流電源AC1を出力する出力端子103および104とを備える。
【0017】
また、過電圧保護回路10は、遮断部105を備える。遮断部105は、過電流遮断器を構成するものであり、入力端子101および102と出力端子103および104との間に挿入され、過電流発生時に入力端子101および102と出力端子103および104との間の接続を遮断する。接続を遮断する過電流の値は、AC電源使用機器20の定格電流より大きな値に設定されている。また
図1に示した例では、遮断部105がヒューズF1とヒューズF2とから構成されている。ヒューズF1は一端が入力端子101に接続され、他端が出力端子103に接続されている。ヒューズF2は一端が入力端子102に接続され、他端が出力端子104に接続されている。なお、遮断部105は、ヒューズに限らず、例えば、過電流を検出して遮断する配線用遮断器を用いて構成することができる。また、ヒューズF1とヒューズF2とのうちいずれか一方を省略してもよい。
【0018】
また、過電圧保護回路10は、出力端子103および104の間に介挿されるトライアックCD1を備える。トライアックCD1は、ゲートGに所定の制御信号が入力された場合に、点弧され、端子T1および端子T2間をオンする。また、トライアックCD1は、ゲートGに所定の電圧が印加されていない場合、端子T1および端子T2間に流れる電流が0になったときに端子T1および端子T2間を自然にオフして消弧する。このトライアックCD1は、ゲートGに所定の制御信号が入力された場合に、遮断部105の挿入位置からみて出力端子103および104側で交流電源AC1を短絡する短絡部を構成する。なお、トライアックCD1の端子T1と端子T2との間に流れる電流を電流ITとする。また、トライアックCD1は、例えばサイリスタやリレーに代えてもよい。
【0019】
また、過電圧保護回路10は、過電圧検出部106を備える。過電圧検出部106は、フォトトライアックPHT1と、全波整流回路CD2と、コンパレータ(比較器)COMPと、フィードバック回路FBと、トランジスタTR1と、平滑コンデンサC1と、抵抗R1、R2、R3、R4、R10およびR11とを備える。
図1においてフォトトライアックPHT1は、出力側の回路PHT1−1と入力側の回路PHT1−2とに分けて示されている。回路PHT1−1と回路PHT1−2とをあわせたものをフォトトライアックPHT1と呼ぶ。また、フィードバック回路FBは、抵抗RFとダイオードD1とを備える。
【0020】
図1に示した例では、フォトトライアックPHT1が、交流電源AC1に出力側が接続されたゼロクロスオンタイプのフォトトライアックである。すなわち、フォトトライアックPHT1は、出力側にゼロクロス回路ZCを備え、入力側の発光ダイオード(LED)PD1に所定の電流が流れている状態でゼロクロス回路ZCに印加された電圧が所定の値以下となった場合(ゼロクロスに近い一定の範囲内の電圧になった場合)にフォトトライアックPTR1を点弧して出力側の端子間をオン状態とし、抵抗R10の端子間に電圧(所定の制御信号)を発生させ、トライアックCD1のゲートGに対してこの制御信号を出力する。一方、入力側の発光ダイオードPD1に所定の電流が流れなくなると、フォトトライアックPTR1は消弧している場合は消弧状態を継続して制御信号を出力せず、点弧していた場合にはフォトトライアックPTR1に流れる電流が0になったときに消弧して制御信号の出力を停止する。フォトトライアックPHT1は、2つの出力側端子の一方を出力端子103に接続し、他方をトライアックCD1のゲートGと抵抗R10の一端とに接続している。抵抗R10の他端は出力端子104に接続されている。また、フォトトライアックPHT1は、2つの入力側端子のうち発光ダイオードPD1のアノード側を抵抗R11の一端に接続し、カソード側をトランジスタTR1のドレインに接続している。
【0021】
なお、フォトトライアックPHT1は、ゼロクロス機能を有するものに限らず、ゼロクロス機能が無いフォトトライアックであってもよい。ゼロクロス機能が無い場合、フォトトライアックPHT1は、入力側の発光ダイオードPD1に所定の電流が流れた場合にフォトトライアックPTR1を点弧して出力側の端子間をオン状態とし、トライアックCD1のゲートGに対して所定の制御信号を出力する。一方、入力側の発光ダイオードPD1に所定の電流が流れなくなると、フォトトライアックPTR1は消弧している場合は消弧状態を継続して制御信号を出力せず、点弧していた場合にはフォトトライアックPTR1に流れる電流が0になったときに消弧して制御信号の出力を停止する。
【0022】
全波整流回路CD2は、交流入力を過電圧保護回路10の出力端子103および104から入力し、直流出力を平滑コンデンサC1の両端に対して出力する。すなわち、全波整流回路CD2は、交流電源AC1を全波整流して直流に変換し、平滑コンデンサC1の両端に出力する。この場合、図の上側が正側、下側が負側(グランド)である。過電圧保護回路10は、この全波整流回路CD2で交流電圧を整流し、平滑コンデンサC1で平滑した直流電圧に基づいて過電圧を検出するとともに、その直流電圧を過電圧保護回路10の電源として用いている。この平滑コンデンサC1の端子電圧を検出電圧VDETとする。平滑コンデンサC1の一端には抵抗R1、R3およびR11の各一端が接続されている。平滑コンデンサC1の他端には抵抗R2およびR4の各一端とトランジスタTR1のソースとが接続されている。
【0023】
抵抗R1と抵抗R2とは直列に接続されている。その抵抗R1と抵抗R2との接続点がコンパレータCOMPの正相入力端子(非反転入力端子)(X)に接続されている。この正相入力端子(非反転入力端子)(X)に入力される、検出電圧VDETを抵抗R1と抵抗R2とで分圧した電圧が比較電圧VCOMPである。また、抵抗R3と抵抗R4とは直列に接続されている。その抵抗R3と抵抗R4との接続点がコンパレータCOMPの出力端子(X>Y)とトランジスタTR1のゲートとに接続されている。また、コンパレータCOMPの逆相入力端子(反転入力端子)(Y)には、図示していない基準電圧回路が発生した所定の基準電圧VREFが入力される。コンパレータCOMPの出力端子(X>Y)は、例えばオープンドレインあるいはオープンコレクタ出力であり、正相入力端子(X)に入力された比較電圧VCOMPが逆相入力端子(Y)に入力された基準電圧VREFを超えた場合に出力をオフし、比較電圧VCOMPが基準電圧VREF以下の場合に出力をオンする。したがって、抵抗RFが抵抗R4より十分大きい場合、出力端子(X>Y)の出力信号である過電圧検出信号Voの電圧は、VCOMP>VREFの場合にVDETを抵抗R3と抵抗R4とで分圧した電圧(これをHレベルとする)となり、VCOMP≦VREFの場合に出力端子(X>Y)のトランジスタのオン電圧(これをLレベルとする)となる。過電圧検出信号Voは、HレベルでトランジスタTR1をオンし、LレベルでトランジスタTR1をオフする値に設定されている。
【0024】
なお、コンパレータCOMPや、基準電圧VREFの図示していない基準電圧回路は、検出電圧VDETをそのまま電源とする回路であってもよいし、検出電圧VDETを降圧して検出電圧VDETより低電圧の直流電源を出力する図示していない電源回路の出力を電源として動作する回路であってもよい。
【0025】
出力端子(X>Y)の出力信号である過電圧検出信号Voは、フィードバック回路FBによって比較電圧VCOMPを入力する正相入力端子(X)にフィードバックされる。
図1に示した例では、フィードバック回路FBが抵抗RFとダイオードD1との直列回路から構成されている。
図1に示した例では、ダイオードD1のアノードが出力端子(X>Y)に接続され、ダイオードD1のカソードが抵抗RFの一端に接続され、そして、抵抗RFの他端が正相入力端子(X)に接続されている。なお、ダイオードD1と抵抗RFとの配置は逆でもよく、また、ダイオードD1は省略して抵抗RFのみとしてもよい。本実施形態では、フィードバック回路FBにダイオードD1を設けることで、過電圧検出信号VoがLレベルの場合に比較電圧VCOMPに対する検出電圧VDETの分圧比を抵抗R1と抵抗R2との抵抗比で決定することができるようにしている。
図1に示した例では、過電圧検出信号Voを出力する出力端子(X>Y)側にダイオードD1のアノードが向けられている。したがって、過電圧検出信号Voが比較電圧VCOMPより大きい場合(ダイオードD1の順方向電圧と抵抗RFによる電圧降下分以上大きい場合)に、比較電圧VCOMPを上昇させる方向で過電圧検出信号Voが正相入力端子(X)に対してフィードバック(正帰還)される。したがって、コンパレータCOMPは、VCOMP>VREFとなって出力をHレベルとした場合、正帰還によってVCOMPを上昇させることでVDETが一定程度低下した場合でもHレベルの状態を維持することができる。過電圧検出信号Voをフィードバックした場合の比較電圧VCOMPの変化は、抵抗R1〜R4と抵抗RFの値によって所望の値に設定することができる。
【0026】
トランジスタTR1は、nチャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)であり、過電圧検出信号VoがHレベルの場合にオンして、フォトトライアックPHT1の発光ダイオードPD1に所定の電流を流して、フォトトライアックPTR1をオン可能な状態とする。他方、トランジスタTR1は、過電圧検出信号VoがLレベルの場合にオフして、フォトトライアックPHT1の発光ダイオードPD1に流れる電流をオフし、フォトトライアックPTR1が点弧しない状態とする。
【0027】
以上の構成で過電圧検出部106では、コンパレータCOMPが、交流電源AC1を整流、平滑および分圧した電圧である比較電圧VCOMPが所定の基準電圧VREFを超えた場合にHレベルの過電圧検出信号Voを出力する。また、フィードバック回路FBが、比較電圧VCOMPを入力する正相入力端子(X)にHレベルの過電圧検出信号Voをフィードバックする。これによって、コンパレータCOMPにヒステリシスを持たせることでトライアックCD1のゲートGに入力する制御信号を検出電圧VDETが低下した場合でも継続して発生することができる。
【0028】
次に、
図2〜
図5を参照して
図1に示した過電圧保護回路10の動作例について説明する。
図2は、
図1に示した過電圧保護回路10においてゼロクロス機能が無いフォトトライアックPHT1を用いた場合の各部の動作例を示すタイミング図である。
図3は、
図2に示した本実施形態の動作例と比較するための参考動作例を示すものであって、
図1に示した過電圧保護回路10においてゼロクロス機能が無いフォトトライアックPHT1を用いて、かつ、フィードバック回路FBを省略した場合の各部の動作例を示すタイミング図である。
図4は、
図1に示した過電圧保護回路10においてゼロクロス機能が有るフォトトライアックPHT1を用いた場合の各部の動作例を示すタイミング図である。そして、
図5は、
図4に示した本実施形態の動作例と比較するための参考動作例を示すものであって、
図1に示した過電圧保護回路10においてゼロクロス機能が有るフォトトライアックPHT1を用いて、かつ、フィードバック回路FBを省略した場合の各部の動作例を示すタイミング図である。なお、
図2〜
図5は、横軸を時間軸として、上から順に、1番目にトライアックCD1の端子T1およびT2間の電圧VT1−T2を示す。2番目にトライアックCD1に流れる電流ITを示す。3番目にトライアックCD1のオンまたはオフの状態を示す。4番目にフォトトライアックPHT1の出力側(すなわちフォトトライアックPTR1)のオンまたはオフの状態を示す。5番目に検出電圧VDETを示す。なお、VLMTは、コンパレータCOMPの出力が一旦Hレベルとなった後、検出電圧VDETが低下する場合に、コンパレータCOMPがHレベルを維持可能な検出電圧VDETの下限値である。6番目に基準電圧VREFと比較電圧VCOMPとを示す。そして、7番目に過電圧検出信号Voを示す。
【0029】
まず、
図2を参照して、
図1に示した過電圧保護回路10においてゼロクロス機能が無いフォトトライアックPHT1を用いた場合の過電圧保護回路10の動作例について説明する。
図2に示したように、
図1に示した構成からフォトトライアックPHT1内のゼロクロス回路ZCを省略した場合の過電圧保護回路10において、時刻t11で検出電圧VDETが上昇し、比較電圧VCOMPが基準電圧VREFより大きくなったとすると、過電圧検出信号VoがHレベルとなり、比較電圧VCOMPがフィードバック回路FBによる正帰還によって電圧V1だけ上昇する。また、時刻t11で過電圧検出信号VoがHレベルとなると、フォトトライアックPHT1がオンし、トライアックCD1がオンする。トライアックCD1がオンすると、電圧VT1−T2はほぼ0Vとなり、トライアックCD1に電流ITが流れ出す。そして、この例では時刻t12でヒューズF1およびF2が溶断するまでトライアックCD1はオン状態を継続する。また、過電圧検出信号Voは時刻t13までHレベルを維持している。また、時刻t13を過ぎたところで、比較電圧VCOMPが基準電圧VREF以下となって過電圧検出信号VoがLレベルとなり、フィードバック回路FBによる正帰還がなくなって比較電圧VCOMPが低下している。このように本実施形態では、過電圧検出信号Voを比較電圧VCOMPにフィードバックするフィードバック回路FBを設けることで、過電圧検出信号VoがOFFする(Lレベルになる)検出電圧VDETを低くすることができる。そのため、平滑コンデンサC1の容量を大きくするなどの特段の対策をすることなく、ゼロクロス点を超えて連続的にトライアックCD1を点弧でき、トライアックCD1が点弧、消弧を繰り返すことなく確実に遮断部105を動作させることができる。なお、ヒステリシスの電圧V1は検出電圧VDETのレベルに換算して例えば数十V程度とすることができる。
【0030】
次に、
図3を参照して、
図2に示した動作例との比較のため、
図1の構成からゼロクロス回路ZCを省略するとともに、さらにフィードバック回路FBを省略した場合の過電圧保護回路10の動作例について説明する。
図3において、時刻t21で検出電圧VDETが上昇し、比較電圧VCOMPが基準電圧VREFより大きくなったとすると、過電圧検出信号VoがHレベルとなる。次に、時刻t21で過電圧検出信号VoがHレベルとなると、フォトトライアックPHT1がオンし、トライアックCD1がオンする。トライアックCD1がオンすると、電圧VT1−T2はほぼ0Vとなり、トライアックCD1に電流ITが流れ出す。次に、時刻t22で比較電圧VCOMPが基準電圧VREF以下になったとすると、過電圧検出信号VoがLレベルとなる。次に、時刻t23で電流ITが0になると、トライアックCD1とフォトトライアックPHT1がオフする。以後、時刻t2CでヒューズF1およびF2が溶断するまで、時刻t21〜t23と同様に、時刻t24〜26、時刻t27〜t29および時刻t2A〜2Cにおいて、それぞれ、トライアックCD1が点弧、過電圧検出信号VoがHレベルからLレベル、およびトライアックCD1が消弧するという各動作が繰り返される。例えば、電源インピーダンスが高いなどの理由により、トライアックCD1の点弧後、次のゼロクロス点までに保護素子が作動しない場合、トライアックCD1はゼロクロス点で自然に消弧するため、トライアックCD1を再点弧しなければならない。しかし、トライアックCD1によって短絡されている間に、回路消費電力により検出電圧VDETは降下する。このため過電圧検出信号Voは一旦、OFFする。そのため、入力電圧が再び電圧ピークの過電圧状態に到達したときにトライアックCD1は再点弧することになる。結果トライアックCD1は点弧、消弧を繰り返す不確実な動作となる。これを改善するためには、例えば、平滑コンデンサC1の静電容量を大きくしたり、回路の消費電流を小さくしたりすることで、検出電圧VDETの変化を小さくしなければならない。これに対して本実施形態では容易に動作を安定化することができる。
【0031】
一方、
図4に示したように、
図1に示したフォトトライアックPHT1がゼロクロス回路ZCを有する過電圧保護回路10において、時刻t31で検出電圧VDETが上昇し、比較電圧VCOMPが基準電圧VREFより大きくなったとすると、過電圧検出信号VoがHレベルとなり、比較電圧VCOMPがフィードバック回路FBによる正帰還によって電圧V1だけ上昇する。また、時刻t31で過電圧検出信号VoがHレベルとなると、フォトトライアックPHT1の入力側の発光ダイオードPD1に電流が流れ、フォトトライアックPHT1はゼロクロス点でオン可能な状態となる。この場合、時刻t32においてトライアックCD1の端子間電圧VT1−T2がゼロクロス付近となったところでフォトトライアックPHT1がオンし、フォトトライアックPHT1がオンすることでトライアックCD1がオンする。トライアックCD1がオンすると、電圧VT1−T2はほぼ0Vとなり、トライアックCD1に電流ITが流れ出す。そして、この例では時刻t33でヒューズF1およびF2が溶断するまでトライアックCD1はオン状態を継続する。また、過電圧検出信号Voは時刻t34までHレベルを維持している。また、時刻t34を過ぎたところで、比較電圧VCOMPが基準電圧VREF以下となって過電圧検出信号VoがLレベルとなり、フィードバック回路FBによる正帰還がなくなって比較電圧VCOMPが低下している。このように本実施形態では、過電圧検出信号Voを比較電圧VCOMPにフィードバックするフィードバック回路FBを設けることで、過電圧検出信号VoがOFFする検出電圧VDETを低くすることができる。このため、電圧ピークで過電圧を検出後、ゼロクロス点を超えてフォトトライアックPHT1の入力側に電流を流すことができる。そのため、平滑コンデンサC1の容量を大きくするなどの特段の対策をすることなく、ゼロクロス点を超えて連続的にトライアックCD1を点弧でき、トライアックCD1が点弧、消弧を繰り返すことなく確実に遮断部105を動作させることができる。
【0032】
また、
図4に示したように、本動作例では、電圧ピークで過電圧を検出後、ゼロクロス点を超えてフォトトライアックPHT1の入力側に電流を流すことができる。したがって、
図2の場合と同じように保護動作電圧は電圧ピークとなり回路消費電流や静電容量による検出電圧VDETのバラツキの増大は生じさせることなく、トライアックCD1をゼロクロス点弧できる。また次サイクルのゼロクロス点を超えて連続的に点弧できるため、トライアックCD1は、点弧、消弧を繰り返すことなく確実に保護素子を動作させることができる。
【0033】
また、上述した
図2に示した動作例では、電圧ピークでトライアックCD1を点弧するため、トライアックCD1にはdi/dtの大きな電流が流れる。また、高di/dtのスイッチングのため、意図しないサージ電圧がトライアックCD1の端子T1−T2間に加わる。そのため、トライアックCD1を保護するため、端子T1−T2間にサージ電圧を抑えるスナバ回路などの保護回路が必須となる。一方、
図4に示した動作例では、電圧のゼロクロス点付近でトライアックCD1を点弧するため、トライアックCD1の故障を防ぎ、スナバ回路などを省略したり、スナバ回路などの容量を小さくしたりすることができる。本動作例では、トライアックCD1をゼロクロス点で点弧するため、ゼロクロスオンタイプのフォトトライアックPHT1を用いてトライアックCD1のゲートに入力される制御信号が発生される。このゼロクロスオンタイプのフォトトライアックPHT1を使用してトライアックCD1をゼロクロスオンさせる場合、ゼロクロス時に、フォトトライアックPHT1の発光ダイオードPD1に電流を流している必要がある。これに対し、本実施形態では、上述したように、過電圧検出信号Voを比較電圧VCOMPにフィードバックするフィードバック回路FBを設けることで、過電圧検出信号Voのオン・オフ動作にヒステリシスを持たせ、電圧ピークで過電圧を検出後、ゼロクロス点を超えてフォトトライアックPHT1の入力側に電流を流すことができる。
【0034】
次に、
図5を参照して、
図4に示した動作例との比較のため、
図1の構成からフィードバック回路FBを省略した場合の過電圧保護回路10の動作例について説明する。この動作例は、
図3に示した動作例と異なり、ゼロクロスタイプのフォトトライアックPHT1を用いた場合である。
図5において、時刻t41で検出電圧VDETが上昇し、比較電圧VCOMPが基準電圧VREFより大きくなったとすると、過電圧検出信号VoがHレベルとなる。また、時刻t41で過電圧検出信号VoがHレベルとなると、フォトトライアックPHT1の入力側の発光ダイオードPD1に電流が流れ、フォトトライアックPHT1はゼロクロス点でオン可能な状態となる。この場合、時刻t42においてトライアックCD1の端子間電圧VT1−T2がゼロクロス付近となったところでフォトトライアックPHT1がオンし、フォトトライアックPHT1がオンすることでトライアックCD1がオンする。トライアックCD1がオンすると、電圧VT1−T2はほぼ0Vとなり、トライアックCD1に電流ITが流れ出す。次に、時刻t43で比較電圧VCOMPが基準電圧VREF以下になったとすると、過電圧検出信号VoがLレベルとなる。次に、時刻t44で電流ITが0になってトライアックCD1がオフし、また、フォトトライアックPHT1がオフする。以後、時刻t48でヒューズF1およびF2が溶断するまで、時刻t41〜t44と同様に、時刻t45〜48において、それぞれ、過電圧検出信号VoがLレベルからHレベル、フォトトライアックPHT1およびトライアックCD1が点弧、過電圧検出信号VoがHレベルからLレベル、ならびに、フォトトライアックPHT1およびトライアックCD1が消弧する各動作が繰り返される。この場合、ゼロクロス時の検出電圧VDETが保護動作電圧になるが、この検出電圧VDETは回路の消費電力によりピーク電圧よりも低い値になっており、その電圧降下量は、回路消費電流と平滑コンデンサC1の静電容量によって変化する。そのため、保護動作電圧のバラツキが大きくなる。また、点弧した周期で保護素子を動作させることができなかった場合、トライアックCD1はいったん消弧し、次の周期で再点弧することになり、トライアックCD1は点弧、消弧を繰り返す不確実な動作になる。これを改善するためには、例えば、平滑コンデンサC1の静電容量を大きくしたり、回路の消費電流を小さくしたりする必要がある。これに対して本実施形態では容易に動作を安定化することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、フィードバック回路FBがコンパレータCOMPの入力側にコンパレータCOMPが出力した過電圧検出信号Voをフィードバックするので、比較電圧VCOMPと基準電圧VREFとの比較動作にヒステリシスを持たせることができる。これによれば、過電圧検出部106が、トライアックCD1(短絡部)の動作を制御する制御信号(トライアックCD1のゲート信号)を継続して発生することができる。よって、トライアックCD1は短絡状態を安定して維持することができる。
【0036】
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限定されない。例えば、比較電圧VCOMPを入力する正相入力端子(X)ではなく、コンパレータCOMPの逆相入力端子(Y)に対して過電圧検出信号Voをフィードバックするようにしてもよい。この場合、
図1に示した構成において、抵抗RFとダイオードD1とを省略するとともに、基準電圧VREFを抵抗Aを介して逆相入力端子(Y)に入力するとともに、出力端子(X>Y)と逆相入力端子(Y)との間に抵抗Bを接続する。さらに、過電圧検出信号Voを負論理とし(Lレベルでアクティブとし)、Lレベルで発光ダイオードPD1に電流が流れるようにフォトトライアックPHT1の入力回路を変更する。この構成では、逆相入力端子(Y)へは、基準電圧VREFと過電圧検出信号Voの電圧値と抵抗AおよびBの抵抗比とで決まる電圧が入力される。この場合、過電圧検出信号VoがHレベルのときに逆相入力端子(Y)に対して基準電圧VREFより高い電圧が入力され、過電圧検出信号VoがLレベルのときに逆相入力端子(Y)に対して基準電圧VREFより低い電圧が入力される。よって、正相入力端子(X)に過電圧検出信号Voをフィードバックした場合と同様にコンパレータCOMPの動作にヒステリシスを持たせることができる。また、上記では本実施形態を単相交流に適用する場合について説明したが、3相交流などにも適用することができる。