(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)480nm≦λmax(最大吸収波長)≦550nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料、及び(B)380nm≦λmax(最大吸収波長)≦420nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料、2−ピロリドン及びジグリセリンを含有するインク組成物。
前記成分(A)が、C.I.Acid Red 1、33、76、106、107、131、138、155、160、161、172、249、254、264、265、274及び372から選択される染料である請求項1又は2に記載のインク組成物。
前記成分(B)が、C.I.Acid Yellow 42、56、79、86、117、142及び210から選択される染料である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタを用いた繊維のインクジェット捺染は、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリー捺染等の捺染方法に比べ、製版工程が不要であり工程が短縮できること;デジタル化されたデザインを、コンピューターを介してそのままプリントできること;多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること;色素(染料)色糊の廃液等が大幅に削減できること;等の多くのメリットがある。一方、従来の製版捺染に比べ、プリント速度が遅いこと、及び濃色を再現し難いこと等の課題があった。このためインクジェット捺染は、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。
近年、コンピューターの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタのプリント速度が大幅に向上されてきたことに加え、プリントデザインのデジタル化、プリント加工の多様化・小ロット化が市場で要求されてきたこと等を背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。
インクジェット捺染用のインクとしては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維用の酸性染料インク;ポリエステル系繊維用の分散染料インク;綿、レーヨン等のセルロース系繊維用の反応性染料(反応染料)インク;等が販売されている。
【0003】
酸性染料を用いたインクジェット捺染においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色の染料インクを備えたインクセットが用いられているが、マゼンタの代わりにレッド、シアンの代わりにブルーを使用したインクセットが用いられることもある。
また、上記の4色以外にライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック(グレー)、ライトレッド、ライトブルー、ゴールデンイエロー、オレンジ、ライトレッド、ライトブルー、バイオレット、グリーン等の特色を加えて印刷することも一般的に行われている。
これらのインクに対しては、高画質、高堅牢性の印捺物の提供が可能で、且つ吐出安定性にも優れるといった性能が要望されている。
これらのうち、レッドインクは基本色である4色のインクセットのみならず、特色としても用いられる汎用性の高いインクである。従来のレッドインクに使用される染料の1つとして、C.I. Acid Red 337が挙げられる。この染料は色相及び発色性が良好でマゼンタ〜レッドのインクにおいて耐光性に優れるといった特徴がある。しかしながら、従来のインクセットでは、ポリアミド系繊維であるシルクとナイロンに捺染を行ったとしても、シルクとナイロンとでは全く異なった色相に染色されてしまう「色ブレ」という現象が生じ、特にイエロー(〜レッド)〜マゼンタの範囲での混色部分における色再現性が悪いという問題が挙げられていた。
インクジェット捺染においては、通常マゼンタ及びイエロー(もしくはオレンジ)インクを用いてマゼンタ〜レッド〜イエローの色相範囲を再現する。この色相範囲において、十分な堅牢性を有し、かつ色再現性の高いインクセットの提供が、市場から強く要望されている。
【0004】
インクジェット捺染に用いられるレッドインクが含有する染料として、例えば特許文献1にC.I. Acid Red 249が、また特許文献2にはC.I. Acid Red 337 が、また特許文献3及び4にはC.I. Acid Red 447が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては実施例等も含めて、「%」及び「部数」については特に断りのない限り、いずれも質量基準で記載する。また、本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
【0010】
[(A)480nm≦λmax(最大吸収波長)≦550nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料]
本発明のインク組成物は、(A)480nm≦λmax(最大吸収波長)≦550nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料を含有する。
成分(A)のλmaxは、pH7〜8の水溶液中での測定値を表す。また、半値幅としては、70〜110nmが好ましく、80〜100nmが更に好ましい。
成分(A)の分子内には、アゾ結合(−N=N−)が少なくとも一つ存在する。アゾ結合は、色相の調製のみならず、染色性の観点からも重要である。
成分(A)として具体的には、C.I.Acid Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、37、38、40、41、42、44、47、53、54、56、57、60、65、66、68、70、71、73、74、76、85、86、88、89、97、99、102、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、128、131、133、134、135、137、138、141、142、144、145、148、150、151、151:1、152、154、157、158、160、161、163、164、170、172、173、176、177、179、180、183、184、186、187、198、201、214、217、231、234、249、254、264、265、266、296、301、308、323、337、350、351、353、374、440、442、444、445、及び447等を挙げることができる。ただし、上記条件を満たす限り、これらに限定されるものではない。
【0011】
成分(A)は、さらに分子内に上記式(1)で表される骨格を有する染料である場合が好ましい。当該骨格は、アゾ結合と同様に、色相の調製に用いられるが、染色性にも影響を与える。なお、さらに好ましくは、当該骨格がさらにアミノ基で置換されている場合である。
この条件を満たす具体例としては、例えば、C.I.Acid Red 1、33、35、40、76、106、107、108、110、131、133、138、155、157、158、160、161、172、249、254、264、265、274、276、303、372、等が挙げられる。また、このうち成分(A)として、特に好ましいものは、C.I.Acid Red 1、33、76、106、107、131、138、155、160、161、172、249、254、264、265、274、372が挙げられる。
【0012】
本発明のインク組成物総量中、成分(A)は2〜10質量%含有する場合が好ましい。またさらに好ましくは3〜9質量%である。
【0013】
[(B)380nm≦λmax(最大吸収波長)≦420nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料]
本発明のインク組成物は、(B)380nm≦λmax(最大吸収波長)≦420nmであり、分子内にアゾ結合(−N=N−)を一つ以上有する染料を含有する。
成分(B)のλmaxは、pH7〜8の水溶液中での測定値を表す。また、半値幅としては、110〜150nmが好ましく120〜140nmが更に好ましい。
成分(A)の分子内には、アゾ結合(−N=N−)が少なくとも一つ存在する。アゾ結合は、色相の調製のみならず、染色性の観点からも重要である。
成分(B)として具体的には、C.I.Acid Yellow 4、6、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、23、25、25:1、26、27、29、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、44、48、49、53、54、55、56、59、61、63、64、65、66、68、69、70、72、76、79、83、86、87、98、99、100、101、103、104、105、106、110、111、114、116、117、118、121、122、127、128、129、131、134、135、136、141、142、143、151、153、155、158、159、161、166、167、169、172、174、176、177、183、185、186、189、194、195、197、198、199、200、201、204、207、210、211、220、228、及び259等を挙げることができる。ただし、上記条件を満たす限り、これらに限定されるものではない。
【0014】
成分(B)は、さらに分子内に上記式(2)で表される骨格を有する染料である場合が好ましい。当該骨格は、アゾ結合と同様に、色相の調製に用いられるが、染色性にも影響を与える。なお、さらに好ましくは、当該骨格にアゾ結合(−N=N−)が直接結合している場合である。
この条件を満たす具体例としては、例えば、C.I.Acid Yellow 、4、11、12、13、14、17、18、19、23、27、29、34、40、41、42、48、49、53、54、55、56、59、61、72、76、79、86、106、110、114、117、121、122、127、142、153、161、172、200、207、210、259です。AY79が含まれるジスアゾに限定すれば、42、56、79、86、117、142、210等が挙げられる。
成分(B)として、特に好ましいものは、C.I.Acid Yellow 42、56、79、86、117、142、210から選択される染料である。
【0015】
本発明のインク組成物総量中、成分(B)は1〜6質量%含有する場合が好ましい。またさらに好ましくは1〜5質量%である。
【0016】
[(C)水溶性有機溶剤]
本発明のインク組成物は、通常、水や有機溶剤で希釈されたものであるが、水溶性有機溶剤を用いる場合が好ましい態様である。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
【0017】
なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
【0018】
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチル−2−ピロリドン、トリメチロールプロパン及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
【0019】
上記水溶性有機溶剤は、インク組成物の総質量に対して通常1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
【0020】
本発明のインク組成物は、E型粘度計で測定した、25℃における粘度が、3〜20mPa・sの範囲である場合が好ましく、さらに好ましくは、5〜10mPa・sである。。
同様に、プレート法にて測定したときには通常20〜40mN/mの範囲が好ましい。インク組成物の粘度は上記の範囲で、使用するプリンタの吐出量、応答速度、インク液滴の飛行特性、及びインクジェットヘッドの特性等を考慮し、適切な物性値に調整することができる。
【0021】
本発明のインク組成物中における成分(A)と成分(B)の含有比率は、質量基準で通常75:25〜25:75、好ましくは70:30〜30:70、より好ましくは65:35〜35:65、特に好ましくは60:40〜40:60である。
【0022】
本発明のインク組成物は、例えば色調の微調整等を目的として、本発明により得られる効果を阻害しない範囲で成分(A)及び成分(B)以外の染料をさらに含有しても良い。
そのような染料としては酸性染料が望ましく、例えば、C.I.Acid Yellow 1、3、73、184、193、215、219、219:1、230、232、235、241、242、246等のイエロー系の染料;C.I. Acid Orange 3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168等のオレンジ系の染料;C.I.Acid Brown 2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413等のブラウン系の染料;C.I.Acid Red 52、82、118、119、127、143、195、211、215、225、226、251、256、257、260、261、274、276、277、289、299、315、318、336、357、359、361、362、364、366、399、407、415等のレッド系の染料が挙げられる。これらの中ではイエロー系及び/又はオレンジ系の染料が好ましい。
【0023】
本発明のインク組成物に含有する染料の総含有量は、インク組成物の総質量に対して通常0.5〜35質量%であり、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。
【0024】
本発明のインク組成物に用いられる染料は、粉末状;塊状;又はウエットケーキ;等の、各種の形態の染料を使用することができる。市販の染料には、工業染色用粉末、捺染用液状品、インクジェット捺染用等の各種の品質があり、製造方法、純度等がそれぞれ異なる。その上、市販品の染料の中には塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を相当量(製品の総質量中において、おおよそ10質量%〜40質量%)含有するものもある。インクジェット捺染に用いるインク組成物としては、インク自体の保存安定性、及びインクジェットプリンタからの吐出精度等に対する悪影響を少なくするため、できるだけ無機不純物の含有量の少ないものが好ましい。又、インク組成物の調製に用いる水としても、精製操作を行わないと、通常はカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含むため、このような水をインク組成物の調製に使用したときは、金属イオンが混入する。上記の無機塩及び金属イオンを含めて、本明細書においては「無機不純物」という。これらの無機不純物は、インク組成物に対する染料の溶解度及び保存(貯蔵)安定性を著しく悪くするだけでなく、インクジェットプリンタヘッドの腐食・磨耗の原因ともなる。
上記インク組成物をインクジェット捺染に用いるときは、これらの無機不純物を除去するために限外濾過法、逆浸透法、イオン交換法等の公知の方法を利用し、インク組成物中に含有する無機不純物をできるだけ除去することが好ましい。インク組成物の総質量中に含有する無機不純物の含有量は、通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。下限は、検出機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。
【0025】
本発明のインク組成物は、必要に応じ、インク調整剤を適宜含有しても良い。インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0026】
上記の防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が;さらにはアーチケミカル社製の商品名プロクセル
RTMGXL(S)及びプロクセル
RTMXL−2(S);等が、それぞれ挙げられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
【0027】
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸;等が挙げられる。
【0028】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も使用できる。
【0031】
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
【0032】
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも尿素を使用するのが好ましい。
【0033】
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
【0034】
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤等が挙げられる。
【0035】
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
【0036】
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0038】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学工業株式会社製の商品名サーフィノール
RTM104、同82、同465、オルフィン
RTMSTG;SIGMA−ALDRICH社製の商品名Tergitol
RTM15−S−7;等が挙げられる。
【0039】
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。
【0040】
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mであり、粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
【0041】
これらインク調整剤を用いる場合、インク組成物の総質量に対して通常0〜10%程度であり、好ましくは0.05〜5%程度である。
【0042】
本発明のインク組成物は、インクジェット捺染用インクとして好適である。シルク、ナイロンでの色ブレの少ないレッドインクであるとともに、インクジェットによる吐出性も良好だからである。
また、特に好ましくは、ポリアミド繊維、及びポリアミド繊維を含有する混紡繊維から選択される繊維からなる布帛のインクジェット捺染用インクとして用いる場合である。
【0043】
本発明のインク組成物とともに、シアン、イエロー及びブラックを加えた4色のインク組成物のインクセットとすることにより、フルカラーの捺染を実現できる。また、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクセットに加えて、上記インク組成物をレッドインクとして使用する5色のインクセットとすることにより、より高精細な捺染を行うこともできる。これらの使用以外にも、一般に「特色」等と呼称されるライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、ライトレッド、ブルー、バイオレット、オレンジ、グリーン等と併用するインクセットとし、さらに高精細な捺染を行うこともできる。
上記各色のインクに含有する着色剤としては特に制限されないが、染料が好ましく、酸性染料がより好ましい。
【0044】
本発明のインク組成物は、必要に応じて上記成分をそれぞれ混合し、染料等の固形分が溶解するまで攪拌等して溶液とすることにより得られる。得られたインク組成物をインクジェット捺染に用いるときは、該インク組成物をメンブランフィルター等で濾過することにより、夾雑物を除いたものを使用するのが好ましい。メンブランフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.5μm〜0.1μmである。
各成分を加える順番は特に制限されず、攪拌により実質的に溶液となるまで混合し、本発明のインク組成物を調製すればよい。インク組成物の調製の際に使用する水は、上記の通り、無機不純物の少ないもの、例えば蒸留水やイオン交換水等を用いるのが良い。
【0045】
本発明の捺染方法は、本発明のインク組成物、好ましくは該インク組成物をメンブランフィルター等で濾過することにより、夾雑物を除いてインクとした後、このインクを用いてインクジェットにより布帛、例えばポリアミド系繊維に捺染する方法である。その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。実質的には、ポリアミド系繊維を主体とした布帛に捺染するのが好ましい。ポリアミド系繊維としては、例えばシルク、ウール等の天然繊維、ナイロン等の合成ポリアミド系繊維、及びこれらを含有する混紡繊維等が挙げられる。
【0046】
本発明のインク組成物を用いてポリアミド系繊維に捺染する方法としては、以下の3工程を順次行う方法が挙げられる。
[工程1]
本発明のインク組成物を、インクジェット記録用ヘッドから吐出させ布帛(ポリアミド系繊維)に付着させる工程。
[工程2]
工程1により付与したインク組成物中の染料を、熱により前記ポリアミド系繊維に固着させる工程。
[工程3]
前記ポリアミド系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程。
【0047】
上記工程1における、本発明のインク組成物を、インクジェットプリンタを用いてポリアミド系繊維に付与する方法としては、本発明のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、これをインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、セルロース系繊維に付着させる通常のインクジェット捺染方法で捺染すれば良い。
【0048】
上記工程2における、インク組成物中の染料を、熱によりポリアミド系繊維に固着させる工程としては、本発明のインク組成物が付与されたポリアミド系繊維を、常温〜150℃に0.5〜30分放置して予備乾燥させた後、さらにスチーミング処理を施す方法等が挙げられる。スチーミング処理の条件としては、湿度80〜100%、温度95〜105℃の環境で、5〜40分該繊維を置く条件が好ましい。
【0049】
上記工程3における、ポリアミド系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程としては、該ポリアミド系繊維を冷水により洗浄することが好ましい。洗浄に際して、該水中には界面活性剤を含んでもよい。
未固着の染料を洗浄した後のポリアミド系繊維を、50〜120℃で、5〜30分乾燥することにより、目的とする捺染物を得ることができる。
【0050】
ポリアミド系繊維の捺染方法としては、上記の3工程を行う前、すなわちインク組成物を付与する前のポリアミド系繊維に対する前処理工程を含む方法が好ましい。この前処理工程としては、1種以上の糊材、及びpH調整剤の両者を少なくとも含む水溶液を、インク組成物を付与する前のポリアミド系繊維に含浸させる工程が挙げられる。
この前処理工程は必須ではないが、捺染の際に染料のにじみを防止する効果が得られる場合もあるため、前処理工程を含む4工程を順次行う捺染方法が好ましい。
【0051】
上記前処理を施す工程としては、糊剤、及びpH調整剤を少なくとも含む水溶液を前処理液とし、この液をポリアミド系繊維に含浸させて付与することが好ましい。また、この前処理液にはさらにヒドロトロピー剤を含むことが好ましい。
前処理剤をポリアミド系繊維に付与する方法としては、たとえばパディング法があげられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
【0052】
前処理工程における糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはグアー、ローカストビーン等の天然ガム類、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム類があげられる。
【0053】
前処理工程におけるpH調整剤としては、水溶液とした際に酸性を示すものが好ましく、具体的には硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、及び酢酸アンモニウム等の性のアンモニウム塩が挙げられる。このうち、好ましいものとして硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0054】
前処理工程におけるヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等のアルキル尿素等があげられる。好ましくは尿素があげられる。
これらの前処理剤は単独で用いてもよいし、併用してもよいが、併用するのが好ましい。
【0055】
前処理液の総質量に対して、糊剤、及びpH調整剤の混合比率は、例えばポリアミド系繊維における混紡の比率等により一概に決めることは困難であるが、目安としては、いずれも質量基準で糊剤が0.5〜5%であり、pH調整剤が0.5〜5%であり、残部が水である。ヒドロトロピー剤をさらに混合する際には、前処理液の総質量に対して1〜20質量%加えるのが良い。
【実施例】
【0056】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
【0057】
[実施例1乃至5、比較例1乃至3]
下記に記載の各成分を混合し、固形分が溶解するまでおおよそ1時間攪拌することにより、インク組成物を得た後、0.45μmのメンブランフィルタ(商品名、セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、実施例1乃至5、比較例1乃至3の試験用のインク組成物を調製した。
【0058】
下記表1中の数値は「部」を、略号は以下の意味を有する。
AY79;C.I. Acid Yellow 79。
AY110;C.I. Acid Yellow 110。
AR249;C.I.Acid Red 249。
AR131;C.I.Acid Red 131。
AR143:1;C.I.Acid Red 143:1。
AR337:C.I.Acid Red 337。
【0059】
【表1】
ジグリセリンS:ジグリセリン(阪本薬品工業(株)社製)
SC−P1000:ポリグリセリルエーテル(阪本薬品工業(株)社製)
サーフィノール420:アセチレングリコール界面活性剤(エアープロダクツジャパン(株)社製)
サーフィノールDF110D:アセチレングリコール界面活性剤(エアープロダクツジャパン(株)社製)
プロクセルXL2(S):防腐防黴剤(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)社製)
【0060】
前記のようにして得られた実施例1乃至5及び比較例1乃至3のインク組成物を用いて下記する評価試験を行った。
【0061】
[試験染布の調製]
グアー2質量部、硫酸アンモニウム2質量部、尿素5質量部、及び水91質量部を含む繊維の処理液を調製し、パッド法によりナイロン布(ナイロンタフタ)及びシルク布(絹二羽織)に前処理工程を行った。すなわち、ナイロン布及びシルク布を繊維の処理液に浸漬し、ゴムローラーにて余分な液を絞り落とした後、60℃にて乾燥した。
前記のようにして得たナイロン布に対して、実施例1のインクセットを使用して、インクジェットプリンタ(商品名:PIXUS ip4100、キヤノン社製)にてマゼンタのベタ柄を捺染した。この印捺物を60〜80℃で予備乾燥後、湿度90%以上、100〜103℃で20分間スチーミング処理を行った。得られた印捺物を冷水で5分間洗浄した後、乾燥することにより試験染布を得た。この試験染布を「ナイロン染布1」とする。
実施例1のインクの代わりに、実施例2乃至5及び比較例1乃至3のインクを用いる以外は実施例1と同様にして、比較用の試験染布を得た。これらの比較用の試験染布を、それぞれ「ナイロン染布2乃至5」及び「比較ナイロン染布1乃至3」とする。
またナイロン布の代わりに、各実施例及び比較例のインクを用いて、シルク布に同様の処理を行い試験染布を得た。この試験染布を「シルク染布1乃至5」及び「比較シルク染布1乃至3」とする。
これらの試験染布を用い、下記する評価試験を行った。
[A.色相評価試験]
レッドの色相は目視にて観察し、以下の3段階の基準で評価した。
[評価基準]
A:C.I.C.I.Acid Red 337に類似する良好なレッドの色相である。
B:C.I.C.I.Acid Red 337には類似しないが、色相としてはレッドである。
C:C.I.C.I.Acid Red 337には類似せず、レッドにも相当しない色相である。
結果を下記表2に示す。
【0062】
[B.各印字物の色相評価]
上記のようにして得た各染布の色相について評価を行った。色相は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて、グラデーションの最も濃い階調部分を測色することにより、マゼンタ濃度D値及びCIEのL*、a*、b*を測定し、下記式を用いて彩度C*値を算出した。を測定した。また濃度及び彩度はより数値の大きい方が高鮮明で良い。
C
*=[(a
*)
2 +(b
*)
2]
1/2
なお、試験結果はそれぞれ以下の3段階で評価、結果を下記表2、3および4に示した。
【0063】
[ナイロン染布の染色濃度D値]
A :D値が1.55以上
B :D値が1.40以上で1.55未満
C :D値が1.40未満
[ナイロン染布の彩度C
* ]
A :C
*が70.0以上
B :C
*が59.0上で70.0未満
C :C
*が59.0未満
[シルク染布の染色濃度D値]
A :D値が1.60以上
B :D値が1.45以上で1.55未満
C :D値が1.45未満
[シルク染布の彩度C
*]
A :C
*が70.0以上
B :C
*が60.0上で70.0未満
C :C
*が60.0未満
【0064】
[C.キセノンアーク耐光性試験]
スガ試験機(株)社製、商品名:スーパーキセノンウェザーメーター SX-75を用い、JIS−L0843の条件下に、各試験染布を40時間放置する試験を行った。試験前後の各試験布の変退色の度合いを変退色ブルースケールによる級数判定を行った。
なお、試験結果はそれぞれ以下の3段階で評価し、結果を以下の表2、3および4に示した。
A :耐光堅牢度が4級以上
B :耐光堅牢度が3級以上4級未満
C :耐光堅牢度が3級未満
【0065】
[D.湿潤堅牢度試験]
染布を JIS L-0846 水堅牢度試験A法に準じた試験を行い、評価した。
試験前後の各試験布の変退色の度合いを変退色グレースケールによる級数判定を行った。
なお、試験結果はそれぞれ以下の3段階で評価し、結果を以下の表2、3および4に示した。
A :湿潤堅牢度が5級以上
B :湿潤堅牢度が4級以上5級未満
C :湿潤堅牢度が4級未満
【0066】
[E.色ブレ]
各実施例及び比較例の試験染布について、ナイロン6布とナイロン6,6布又はシルク布との色ブレを、それぞれの試験染布のL * 、a * 及びb * を測定し、Δ E として算出した。
各試験染布のL * 、a * 及びb * は、前記と同じ測色機を用い、グラデーションの最も濃い階調部分について測色を行った。また、下記式におけるΔ L * 、Δ a * 及びΔ b * は
それぞれ以下の値を意味する。
Δ L * = [ ( ナイロン6布のL * ) − ( ナイロン6,6布又はシルク布のL * ) ] の絶対値。
Δ a * = [ ( ナイロン6布のa * ) − ( ナイロン6,6布又はシルク布のa * ) ] の絶対値。
Δ b * = [ ( ナイロン6布のb * ) − ( ナイロン6,6布又はシルク布のb * ) ] の絶対値。
Δ E = [ ( Δ L * ) 2 + ( Δ a * ) 2 + ( Δ b * ) 2 ] 1 / 2
試験結果は以下の基準で評価し、結果を下記表3および4に示した。なお、Δ E は小さい方が、色ブレが小さく、より優れた結果を意味する。
A : Δ E が7 . 0 未満
B : Δ E が7 . 0 以上で1 2 . 0 未満
C : Δ E が1 2 . 0 以上
【表2】
【表3】
【表4】
【0067】
表2、3及び4より明らかなように、本発明のレッドインクにより調製した実施例1〜4の染布は、イエロー〜(レッド)〜マゼンタの色相において発色性が高く、良好なレッドの色相であった。また、各比較染布はいずれかの試験項目で「C」ランクと判定された。一方本発明の実施例の染布は全ての試験項目で「A」または「B」ランクであり、染色濃度、再度、耐光性、耐湿潤性、及び色ブレのバランスに優れることが確認された。
なお、レッドインクとしての色彩に優れるC.I.Acid Red 337は、ナイロン6における耐湿潤性、シルクにおける耐湿潤性と色ブレにおいて劣るものである。