特許第6739211号(P6739211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739211
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】車両内装品
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20200730BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
   B60R1/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-74152(P2016-74152)
(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公開番号】特開2017-185840(P2017-185840A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 光広
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝治
(72)【発明者】
【氏名】青池 和音
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−145327(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016088(WO,A1)
【文献】 特開2002−250910(JP,A)
【文献】 特開2007−038859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカメラ(2、3、4、5)が搭載された車両(1)の内部に用いられる車両内装品(30)であって、
前記車両の前方に対し左右方向の前記車両の長さを車幅(Lv)とすると、
前記車両の前方に対し左右方向の長さ(Ls)が前記車幅に基づき設定されており、前記車両内の天井(16)に設置可能な支持部材(31)と、
前記支持部材の前面壁部の下側の端部(319)から下方向に延びるように、および、前記前面壁部の上側の端部(320)から前方向に延びるようそれぞれ設けられ、前記天井に係合可能な爪部材(321、322)と、
前記車両の前方に対し左右方向の長さ(Lc)が予め設定されており、複数の孔(333、334、335)を有し、前記支持部材に取付けられている収容部材(33)と、
前記収容部材に収容され、画面(341、351、361)が前記孔を介して露出しており、前記カメラが撮影する映像を前記車両の後退方向に向かって表示可能な複数のモニタ(34、35、36)と、
を備え、
前記爪部材は、前記天井のうち、前記前面壁部に対向する部分であって前記車両のフロントガラス(15)に向けて前下がりに傾斜する部分に係合し、
前記支持部材は、前記爪部材とは別の手段により前記天井に固定される車両内装品。
【請求項2】
前記支持部材は、前記車幅が大きくなるとき、前記車両の前方に対し左右方向の前記支持部材の長さが大きくなるように設定されている請求項1に記載の車両内装品。
【請求項3】
前記支持部材に設けられ、後退方向に延びており、支持部穴(317、318)を有する突起(315、316)と、
前記支持部穴に対応する収容部穴(337、338)が前記収容部材に形成され、
前記支持部穴および前記収容部穴に挿通されたとき、前記支持部材および前記収容部材にかかる重力を支持する嵌合部材(401、402)と、
をさらに備える請求項1または2に記載の車両内装品。
【請求項4】
前記モニタは、前記車両の左右方向に延びる第1回転軸(OL1、OC1、OR1)、前記車両の上下方向に延びる第2回転軸(OL2、OC2、OR2)、および、前記車両の前後方向に延びる前記画面の中心軸(CL、CC、CR)をさらに有し、
前記第1回転軸と前記中心軸とのなす角度を第1角度(θL1、θC1、θR1)とし、前記第2回転軸と前記中心軸とのなす角度を第2角度(θL2、θC2、θR2)とすると、
前記第1角度または前記第2角度を変更可能なアクチュエータ(37、38、39)をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の車両内装品。
【請求項5】
前記車両の前方に対し前記収容部材の左側に設けられる前記モニタを左サイドモニタ(34)とし、前記車両の前方に対し前記収容部材の右側に設けられる前記モニタを右サイドモニタ(36)とすると、
前記左サイドモニタの前記第1角度は45度以上80度以下の範囲に設定され、前記左サイドモニタの前記第2角度は20度以上50度以下の範囲に設定され、
前記右サイドモニタの前記第1角度は60度以上90度以下の範囲に設定され、前記右サイドモニタの前記第2角度は20度以上50度以下の範囲に設定されている請求項4に記載の車両内装品。
【請求項6】
前記車両の前方に対し前記収容部材の左側に設けられる前記モニタを左サイドモニタ(34)とし、前記車両の前方に対し前記収容部材の右側に設けられる前記モニタを右サイドモニタ(36)とすると、
前記左サイドモニタの前記第1角度は60度以上90度以下の範囲に設定され、前記左サイドモニタの前記第2角度は20度以上50度以下の範囲に設定され、
前記右サイドモニタの前記第1角度は45度以上80度以下の範囲に設定され、前記右サイドモニタの前記第2角度は20度以上50度以下の範囲に設定されている請求項4に記載の車両内装品。
【請求項7】
前記車両の前方に対し左側の路面を撮影する前記カメラを左サイドカメラ(4)とし、前記車両の前方に対し右側の路面を撮影する前記カメラを右サイドカメラ(5)とし、前記車両の後方を撮影する前記カメラをバックカメラ(3)とし、前記車両の前方に対し前記収容部材の中央に設けられる前記モニタをセンタモニタ(35)とすると、
前記左サイドモニタは、前記左サイドカメラが取得する映像を表示し、
前記右サイドモニタは、前記右サイドカメラが取得する映像を表示し、
前記センタモニタは、前記バックカメラが取得する映像を表示する請求項5または6に記載の車両内装品。
【請求項8】
前記収容部材は、ケース(331)とカバー(332)とを組み合わせて構成されており、
前記カバーには前記孔が形成されており、
前記カバーと前記モニタとの間には、前記画面の外周に沿って枠状に形成された弾性部材(41、42、43)が設けられており、
前記弾性部材は、前記モニタの動作に追従して弾性変形することにより、前記カバーにおける前記孔と前記モニタとの隙間を埋める請求項1から7のいずれか一項に記載の車両内装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付ける車両内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に記載のように、車両の右側の路面を撮影する右サイドカメラ、車両の左側の路面を撮影する左サイドカメラおよび車両内に設置されたモニタが車両に備えられ、各カメラが撮影する映像をモニタが表示するカメラモニタシステムがドアミラーに代替して開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−143401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラモニタシステムにおいて、右サイドカメラや左サイドカメラだけでなく、車両の前方を撮影するフロントカメラ、車両の後方を撮影するバックカメラを車両が備えることがある。また、車両におけるフロントフェンダの死角またはドアの死角を撮影するサイドアンダカメラを車両が備えることがある。
【0005】
特許文献1に記載のように、カメラの撮影映像を切り替えてモニタに表示する場合、同時に複数の撮影映像を見ることが不可能である。同時に複数の撮影映像を見る場合、モニタの数が複数必要である。また、撮影箇所の増加とともにカメラの数も増加し、モニタの数が増加する。モニタの数が増加することによって、モニタを車両に取付ける作業の時間がかかる。また、車両内のスペースや運転者の快適性である内装の自由度が車種によって制限されるため、モニタの数、設置箇所または大きさは、車種によって専用設計となる。専用設計になる場合、開発工数や開発費が大きく伴い、車両のコストが増大する虞がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、モニタを搭載し多様な車両に対応しつつ標準化可能で、取付けが容易な車両内装品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1つのカメラ(2、3、4、5)が搭載された車両(1)の内部に用いられる車両内装品(30)である。
車両内装品は、支持部材(31)、爪部材(321、322)、収容部材(33)および複数のモニタ(34、35、36)を備える。
【0008】
車両の前方に対し左右方向の車両の長さを車幅(Lv)とする。
支持部材は、車両の前方に対し左右方向の長さ(Ls)が車幅に基づき設定されており、車両内の天井(16)に設置可能である。
爪部材は、支持部材の前面壁部の下側の端部(319)から下方向に延びるように、および、前面壁部の上側の端部(320)から前方向に延びるようそれぞれ設けられ、天井に係合可能である。
【0009】
収容部材は、車両の前方に対し左右方向の長さ(Lc)が予め設定されており、複数の孔(333、334、335)を有し、支持部材に取付けられている。
モニタは、収容部材に収容され、画面(341、351、361)が孔を介して露出しており、カメラが撮影する映像を車両の後退方向に向かって表示可能である。
爪部材は、天井のうち、車両のフロントガラス(15)に向けて前下がりに傾斜する部分に係合する。
支持部材は、爪部材とは別の手段により天井に固定される。
【0010】
車両の前方に対し左右方向の支持部材の長さが車幅に基づき設定されているため、多種多様の車両に対応することができる。また、車両の前方に対し左右方向の収容部材の長さが予め設定されていることによって、収容部材で用いられる部品の大きさを統一する標準化を行うことができる。
【0011】
爪部材が支持部材の前面壁部に設けられている。これにより、車両の天井のうち、車両のフロントガラスに向けて前下がりに傾斜する部分に爪部材を係合することができるため、爪部材によるワンタッチでの天井との仮固定後、天井と支持部材との固定がしやすくなり、取付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態による車両内装品が用いられる車両の正面図。
図2図1のIIから見た車両の側面図。
図3図1のIIIから見た車両の側面図。
図4】本発明の第1実施形態による車両内装品が用いられる車両内部の構成図。
図5図4のVから見た車両内部の構成図。
図6図4のVIから見た車両内部の断面図。
図7】本発明の第1実施形態による車両内装品の斜視図。
図8】本発明の第1実施形態による支持部材の斜視図。
図9】本発明の第1実施形態による収容部材の斜視図。
図10】本発明の第1実施形態による第1角度を説明するための構成図。
図11】本発明の第1実施形態による第2角度を説明するための構成図。
図12】本発明の第1実施形態による車幅、支持部材長さおよび収容部材長さの関係を示す特性図。
図13】本発明の第2実施形態による車両内装品が用いられる車両内部の構成図。
図14】本発明の第2実施形態による第1角度を説明するための構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態による車両内装品を図1図12に基づいて説明する。複数の実施形態の説明において、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明する。また、「本実施形態」という場合、第1実施形態および第2実施形態を包括する。本実施形態による車両内装品は、少なくとも1つのカメラを搭載した車両に設けられる。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態による車両内装品30が設けられる車両1について説明する。
図1図2および図3に示すように、車両1は、外部に、フロントカメラ2、バックカメラ3、左サイドカメラ4および右サイドカメラ5を備える。
車両1の前進方向を「前」とし、車両1の後退方向を「後」とする。また、前進方向から見て上側を「上」とし、前進方向から見て下側を「下」とし、上下方向と車両の高さ方向である車高方向は同一である。さらに、前進方向から見て右側を「右」とし、前進方向から見て左側を「左」とし、左右方向は、車幅方向と同一である。
【0015】
フロントカメラ2は、車両1の前端10に設けられ、車両1の前方における路面を含んだ範囲AFを撮影する。
バックカメラ3は、車両1の後端11に設けられ、車両1の後方における路面を含んだ範囲ABを撮影する。
【0016】
左サイドカメラ4は、車両1の左側の左ドア12に設けられ、左側における路面を含んだ後方の範囲ALを撮影する。
右サイドカメラ5は、車両1の右側の右ドア13に設けられ、右側における路面を含んだ後方の範囲ARを撮影する。以下、フロントカメラ2、バックカメラ3、左サイドカメラ4および右サイドカメラ5を総称するとき、「カメラ」と記載する。
【0017】
カメラ2〜5は、広角レンズを有する撮像光学系を備えるとともに、CCD型やCMOS型の撮像素子を有し、撮影する映像を1秒間に数コマ以上のコマ数の動画として出力可能である。ここで、CCDは、Charge Coupled Deviceの略で、電荷結合素子を用いたセンサのことである。CMOSは、Complementary MOSFETの略で、金属酸化物半導体電界効果トランジスタであるMOSFETを相補形に設置されたゲート構造のことである。
【0018】
また、カメラ2〜5は、前後方向の断面形状が流線形などの空気抵抗を考慮した筐体に収容されている。図中において、これらのカメラ2〜5が撮影する範囲AF、AB、AL、ARを破線で示す斜線のハッチングで示す。このように、車両1は、ドアミラーに代替するカメラ2〜5が搭載されている。
【0019】
図4に示すように、車両1は、内部に、運転座席6、助手座席7および車両内装品30を備える。
運転座席6は、右側に設けられ、前部に取付けられるハンドル14に対向している。
助手座席7は、左側に設けられ、左右方向において運転座席6とは反対側に設けられている。
【0020】
図5および図6に示すように、車両内装品30は、車両1のフロントガラス15の上側に位置する天井16に設けられている。車両内装品30の支持部材31が天井16に取付けられ、車両内装品30の収容部材33が支持部材31に取付けられている。
図7に示すように、車両内装品30は、支持部材31、収容部材33および嵌合部材401、402を備える。
【0021】
図8に示すように、支持部材31は、三角形形状の断面を有し、4つのねじ穴311、2つの突起315、316、爪部材321、322および係合部材323を有し、天井16に設置可能である。
複数のねじ穴311は、左右方向に設けられている。複数のねじ穴311を介して、ねじ止めすることによって、天井16と支持部材31とが固定される。
突起315、316は、後退方向に延びており、左右方向に連通している支持部穴317、318が形成されている。
【0022】
爪部材321は、支持部材31の前下側における端部319に設けられ、下方向に延びるように複数形成されている。
爪部材322は、支持部材31の前上側における端部320に設けられ、前方向に延びるように複数形成されている。
爪部材321、322は、支持部材31と一体に形成されており、天井16に設けられている穴を介して、天井16と係合可能である。
【0023】
係合部材323は、支持部材31の後下側の端部324と支持部材31の後側の端面325に設けられ、後方向に延びるように複数形成されている。係合部材323は、支持部材31の後左右側に形成されていてもよい。図中、爪部材321、322および係合部材323は、は、所在をわかりやすくするために、誇張して記載している。また、図中、爪部材321、322および係合部材323は、寸法、角度および支持部材31との寸法は必ずしも正確なものではない。
【0024】
収容部材33は、容器状に形成され、係合部材323によって支持部材31に係合され、後述の嵌合部材401、402によって支持部材31に嵌合されている。
図9に示すように、収容部材33は、ケース331とカバー332とを組み合わせて構成されている。また、収容部材33は、複数のモニタ34〜36、アクチュエータ37〜39および「弾性部材」としてのスペーサ41〜43を有する。
【0025】
ケース331は、支持部材31と嵌合可能であり、左右方向に延びており、前後方向に延びる有底穴が形成されている。ケース331とカバー332とは嵌合可能である。
また、ケース331は、側面371、372に支持部穴317、318に対応する収容部穴337、338が形成されている。また、支持部穴317、318と収容部穴337、338とに、後述の嵌合部材401、402が挿通され、支持部材31とケース331とが嵌合される。これによって、支持部材31と収容部材33が嵌合される。
【0026】
カバー332は、板状に形成され、複数の孔333〜335が形成されている。孔333は左側に設けられ、孔334は中央に設けられ、孔335は右側に設けられている。
図8に戻って、嵌合部材401、402は、T字形状の断面を有し、支持部穴317、318と収容部穴337、338とが挿通されたとき、支持部材31と収容部材33とにかかる重力を支持する。嵌合部材401、402は、例えば、ポリアセタール等の樹脂で形成されている。
【0027】
図9に戻って、モニタ34〜36は、長方形形状の断面を有し、車両1内において、カメラ2〜5が撮影する映像を後退方向に向かって表示可能である。また、モニタ34〜36は、例えば、バックライトを有する液晶型、プラズマ表示型またはOELD型のものが用いられる。ここで、OELDは、Organic Electroluminescence Displayの略で、有機化合物を用いた層状の構造体に電圧を掛けると発光する現象を用いた表示装置である。
【0028】
モニタ34〜36は、収容部材33に収容され、ケース331とカバー332との間に設けられ、左サイドモニタ34、センタモニタ35および右サイドモニタ36の3つで構成されている。また、モニタ34〜36は画面341、351、361を有し、画面341、351、361は車両1内から見えるように孔333〜335を介して露出している。
【0029】
左サイドモニタ34は、孔333側に設けられている。また、左サイドモニタ34は、
回転軸OL1、回転軸OL2および画面341の中心軸CLを有する。
センタモニタ35は、孔334側に設けられている。また、センサモニタ35は、
回転軸OC1、回転軸OC2および画面351の中心軸CCを有する。
右サイドモニタ36は、孔335側に設けられている。また、右サイドモニタ36は、
回転軸OR1、回転軸OR2および画面361の中心軸CRを有する。
【0030】
第1実施形態における車両内装品30において、説明を簡単にするため、回転軸OL1と回転軸OC1と回転軸OR1とは同軸である。回転軸OL1、OC1、OR1を第1回転軸OL1、OC1、OR1とする。回転軸OL2、OC2、OR2を第2回転軸OL2、OC2、OR2とする。
【0031】
第1回転軸OL1、OC1、OR1は、左右方向に延びている。第2回転軸OL2、OC2、OR2は上下方向に延びている。
中心軸CL、CC、CRは、前後方向に延びている。第1実施形態における車両内装品30において、中心軸CL、CC、CRは、画面341、351、361に垂直である。ここで、「垂直」とは、90度のことを示すが、常識的な誤差範囲を含む。以下、垂直は、同様に拡大解釈するものとする。
【0032】
中心軸CLと回転軸OL1とでなす角度を左第1角度θL1[度]とし、中心軸CLと回転軸OL2とでなす角度を左第2角度θL2[度]とする。
中心軸CCと回転軸OC1とでなす角度を中央第1角度θC1[度]とし、中心軸CCと回転軸OC2とでなす角度を中央第2角度θC2[度]とする。
中心軸CRと回転軸OR1とでなす角度を右第1角度θR1[度]とし、中心軸CRと回転軸OR2とでなす角度を右第2角度θR2[度]とする。
【0033】
左第1角度θL1、中央第1角度θC1、右第1角度θR1を総称するとき、以下「第1角度」と記載する。同様に、左第2角度θL2、中央第2角度θC2、右第2角度θR2を総称するとき、以下「第2角度」と記載する。第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2は、第1実施形態において、鋭角とする。
【0034】
アクチュエータ37〜39は、モニタ34〜36とケース331の内側の端面339との間に設けられている。アクチュエータ37は左サイドモニタ34側に設けられ、アクチュエータ38はセンタモニタ35側に設けられ、アクチュエータ39は右サイドモニタ36側に設けられている。アクチュエータ37〜39は、回転機構およびモータを有する。回転機構は、第1回転軸OL1、OC1、OR1を軸心にもつ回転部と、第2回転軸OL2、OC2、OR2を軸心にもつ回転部とを含む2軸回転機構である。
【0035】
アクチュエータ37〜39は、モータが回転して回転機構が作動することによって、モニタ34〜36が第1回転軸OL1、OC1、OR1を中心に回転する。同様に、アクチュエータ37〜39によって、モニタ34〜36が第2回転軸OL2、OC2、OR2を中心に回転する。アクチュエータ37〜39は、第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2を変更可能にする。
【0036】
図10に示すように、モニタ34〜36は、第1角度θL1、θC1、θR1が以下関係式(1)〜(3)となるように、設定されている。左サイドモニタ34および中央モニタ35は、画面341、351が右後方に向かうように調整され、右サイドモニタ36は、画面361が左後方に向かうように調整されている。
45≦θL1≦80 ・・・(1)
60≦θC1≦90 ・・・(2)
60≦θR1≦90 ・・・(3)
【0037】
図11(a)、(b)および(c)に示すように、モニタ34〜36は、第2角度θL2、θC2、θR2が以下関係式(4)〜(6)となるように、設定されている。モニタ34〜36は、画面341、351、361が下後方に向かうように調整されている。第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2は、実験やシミュレーション等によって求めることができる。
20≦θL2≦50 ・・・(4)
20≦θC2≦50 ・・・(5)
20≦θR2≦50 ・・・(6)
【0038】
スペーサ41〜43は、枠状に形成されており、画面341、351、361の外周に沿って形成されている。スペーサ41〜43は、例えば、ゴムで形成されており、モニタ34〜36とカバー332との間に設けられている。スペーサ41は、左サイドモニタ34側に設けられ、スペーサ42は、中央モニタ35側に設けられ、スペーサ43は、右サイドモニタ36側に設けられている。
【0039】
(作用)
車両内装品30の作用について説明する。
左サイドモニタ34は、左サイドカメラ4が撮影する映像を表示する。センタモニタ35は、バックカメラ3が撮影する映像を表示する。右サイドモニタ36は、右サイドカメラ5が撮影する映像を表示する。車両内装品30は、ドアミラーに代替するカメラモニタシステムを搭載する車両1に用いられる。
【0040】
カメラモニタシステムにおいて、左サイドカメラ、右サイドカメラまたはバックカメラだけでなく、フロントカメラまたは車両のフロントフェンダの死角もしくはドアの死角を撮影するサイドアンダカメラを車両は備える。撮影箇所の増加とともにカメラの数も増加し、モニタの数が増加する。モニタの数が増加することによって、モニタを車両に取付ける作業の時間がかかる。また、車内のスペースや運転者の快適性である内装の自由度が車種によって制限されるため、モニタの数、設置箇所または大きさは、車種によって専用設計となる。専用設計になる場合、車両のコストが増大する虞があった。
【0041】
そこで、本実施形態の車両内装品30は、モニタ34〜36を搭載し多様な車両に対応しつつ標準化可能で、取付けを容易にするために、車両内装品30に「ある工夫」を施している。以下、車両内装品30の特徴構成を説明する。
【0042】
(特徴構成)
車幅方向における車両1の天井16の長さを車幅Lvとし、車幅方向における支持部材31の長さを支持部材長さLsとし、車幅方向における収容部材33の長さを収容部材長さLcとする。車幅Lvは、車種によって決定される値である。車幅Lvを車幅方向における車両1の外側の最大長さとしてもよい。または、車幅Lvを車両1の内側の最大長さとしてもよい。
【0043】
支持部材長さLsは車幅Lvに基づき設定されており、収容部材長さLcは予め設定されている。
図12に示すように、車幅Lvが所定の値Lv_c以下のとき、車幅Lvが大きくなるに伴い、支持部材長さLsが大きくなる。また、車幅Lvが所定の値Lv_cを超えるとき、支持部材長さLsは一定値である。収容部材長さLcは、車幅Lvの変化に影響なく一定値であり、支持部材長さLs以下となるように、支持部材31と収容部材33とが調整されている。
【0044】
(効果)
[1]支持部材長さLsは車幅Lvに基づき設定されるため、多種多様の車両に対応することができる。また、収容部材長さLcは予め設定されていることによって、収容部材33で用いられる部品の大きさを統一する標準化を行うことができる。このため、設計効率が向上し、設計の共通化と部品や材料の種類の低減により、低コスト化につながる。
【0045】
[2]爪部材321が支持部材31の前下側の端部319に設けられ、下方向に延びている。また、爪部材322が支持部材31の前上側の端部320に設けられ、前方向に延びている。これにより、車両1の天井16に設けられる穴に、爪部材321、322を係合することができる。爪部材321、322によるワンタッチでの天井16との仮固定後、ねじ止め等による天井16と支持部材31との固定がしやすくなり、取付け作業が容易になる。なお、爪部材321から天井16に係合して、爪部材322を天井16に係合することが好ましい。
【0046】
[3]第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2を変更可能なアクチュエータ37〜39が設けられている。アクチュエータ37〜39によって、モニタ34〜36の向きが運転手に応じて適切にすることができるため、運転手がモニタ34〜36を見るときの見やすさである視認性が向上する。
【0047】
第1角度θL1、θC1、θR1が関係式(1)〜(3)となるように、モニタ34〜36が設定されている。また、第2角度θL2、θC2、θR2が関係式(4)〜(6)となるように、モニタ34〜36が設定されている。関係式(1)〜(6)となるように、モニタ34〜36が設定されているとき、前方を向く運転者が運転しているとき、モニタ34〜36は運転者の視界に入らなくなり、運転の邪魔にならなくなる。
【0048】
[4]左サイドモニタ34は、左サイドカメラ4が撮影する映像を表示し、センタモニタ35は、バックカメラ3が撮影する映像を表示し、右サイドモニタ36は、右サイドカメラ5が撮影する映像を表示する。これにより、運転者は撮影する映像を見るとき、誤認することを防止できる。
【0049】
[5]収容部材33とモニタ34〜36との間に、「弾性部材」としてのスペーサ41〜43が設けられている。アクチュエータ37〜39が第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2を変更するとき、スペーサ41〜43がモニタ34〜36の動作に追従して弾性変形する。スペーサ41〜43が弾性変形することによって、収容部材33とモニタ34〜36との隙間を埋める。隙間が見えないため、第1角度θL1、θC1、θR1および第2角度θL2、θC2、θR2を変更しても、車両内装品30の意匠性が確保される。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態では、運転座席および助手座席の設置箇所と、第1角度θL1、θC1、θR1と、が異なる天を除き、第1実施形態と同様である。
図13に示すように、運転座席71は左側に設けられ、ハンドル73も左側に設けられ、助手席72は右側に設けられている。
【0051】
図14に示すように、車両内装品70のモニタ34〜36は、第1角度θL1、θC1、θR1が以下関係式(7)〜(9)となるように、設定されている。左サイドモニタ34は、画面341が右後方に向かうように調整され、中央モニタ35および右サイドモニタ36は、画面351、361が左後方に向かうように調整されている。第2実施形態において、第1実施形態と同様の効果を奏する。
60≦θL1≦90 ・・・(7)
60≦θC1≦90 ・・・(8)
45≦θR1≦80 ・・・(9)
【0052】
(その他実施形態)
(i)本発明の他の実施形態では、モニタの数を3つ以上備えてもよい。フロントカメラまたは車両のフロントフェンダーの死角もしくはドアの死角を撮影するサイドアンダカメラが撮影する映像をモニタは表示してもよい。
【0053】
(ii)本発明の他の実施形態では、ETCカードを挿入可能なユニットや小物を入れる収納部材を車両内装品に搭載させてもよい。ここで、ETCは、Electronic Toll Collection Systemの略で、電子料金授受システムのことである。
【0054】
(iii)本発明の他の実施形態では、モニタをタッチパネル化し、表示選択スイッチを有することで、所望のカメラの撮影映像をモニタが表示するようにしてもよい。また、1つのモニタが画面を分割し、複数の映像を表示してもよい。
【0055】
(iv)本発明の他の実施形態では、複数のGPS衛星から電波信号を受信することで車両の位置を地球の経度と緯度とで表される位置情報として取得するナビゲーションシステムを車両に搭載する。ここで、GPSとは、Global Positioning Systemの略である。取得した位置情報が示す位置が地図上に表示されたナビゲーション映像を本実施形態のモニタが表示してもよい。
【0056】
(v)本発明の他の実施形態では、車両のダッシュボードに設置箇所されるスピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計または距離計である自動車の走行に必要な情報を本実施形態のモニタが表示してもよい。
【0057】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ・・・車両、
2、3、4、5 ・・・カメラ、
16 ・・・天井、
30 ・・・車両内装品、
31 ・・・支持部材、 319 ・・・端部、
321、322 ・・・爪部材、
33 ・・・収容部材、 333、334、335 ・・・孔、
34、35、36 ・・・モニタ、 341、351、361 ・・・画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14