(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739216
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】基板に塗布されたフォトレジストの少なくとも一部分を硬化するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20200730BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20200730BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20200730BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20200730BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20200730BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20200730BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
H01L21/30 567
H01L21/30 564Z
B05D7/24 301Z
B05D3/00 C
B05D3/02 C
B05C11/08
B05C9/14
H05B3/00 310D
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-81128(P2016-81128)
(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公開番号】特開2017-11258(P2017-11258A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2019年2月7日
(31)【優先権主張番号】2014642
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】591004412
【氏名又は名称】ズス・マイクロテック・リソグラフィ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Lithography GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】オマール・ファフル
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ・テンニース
【審査官】
植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−222503(JP,A)
【文献】
特開2004−022805(JP,A)
【文献】
特開平10−261571(JP,A)
【文献】
特開2003−068598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(14)に塗布されたフォトレジスト(12)の少なくとも一部分を硬化する方法であって、
前記フォトレジスト(12)をコーティングされた前記基板(14)がサポート(16)上に配置されるステップと、
前記フォトレジスト(12)が、第1の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、
前記第1の所定期間が経過した後、前記基板(14)が、前記サポート(16)から持ち上げられ、回転され、再び前記サポート(16)上に移され、第2の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、を実行する方法であって、
前記第2の所定期間が経過した後、前記基板(14)は、再び回転され、前記フォトレジスト(12)を硬化するために第3の所定期間加熱され、ここでの回転とさらなる硬化と手順が繰り返される、方法。
【請求項2】
基板(14)に塗布されたフォトレジスト(12)の少なくとも一部分を硬化する方法であって、
前記フォトレジスト(12)をコーティングされた前記基板(14)がサポート(16)上に配置されるステップと、
前記フォトレジスト(12)が、第1の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために適当な温度に晒されるステップと、
前記第1の所定期間が経過した後、前記基板(14)が、前記サポート(16)から持ち上げられ、回転され、再び前記サポート(16)上に移され、第2の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために適当な温度に晒されるステップと、を実行する方法であって、
前記第1の期間と前記第2の期間とは異なり、前記第1の期間は前記第2の期間よりも短い、方法。
【請求項3】
基板(14)に塗布されたフォトレジスト(12)の少なくとも一部分を硬化する方法であって、
前記フォトレジスト(12)をコーティングされた前記基板(14)がサポート(16)上に配置されるステップと、
前記フォトレジスト(12)が、第1の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、
前記第1の所定期間が経過した後、前記基板(14)が、前記サポート(16)から持ち上げられ、回転され、再び前記サポート(16)上に移され、第2の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、を実行する方法であって、
前記サポート(16)はチャンバ(20)内に配置され、前記基板(14)は回転のために前記チャンバ(20)から移動させられる、方法。
【請求項4】
基板(14)に塗布されたフォトレジスト(12)の少なくとも一部分を硬化する方法であって、
前記フォトレジスト(12)をコーティングされた前記基板(14)がサポート(16)上に配置されるステップと、
前記フォトレジスト(12)が、第1の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、
前記第1の所定期間が経過した後、前記基板(14)が、前記サポート(16)から持ち上げられ、回転され、再び前記サポート(16)上に移され、第2の所定期間、前記フォトレジスト(12)を硬化するために加熱されるステップと、を実行する方法であって、
前記フォトレジスト(12)が硬化された後、前記基板(14)はホルダ上に戴置されて冷却され、冷却中に前記基板(14)は前記ホルダに対して少なくとも一度は回転させられる、方法。
【請求項5】
基板(14)に塗布されたフォトレジスト(12)の少なくとも一部分を硬化する装置であって、
チャンバ(20)と、前記チャンバ(20)内に配置され、その上に基板が配置され得るサポート(16)と、前記フォトレジスト(12)を硬化する第1の段階と第2の段階の間に前記基板(14)を前記サポート(16)に対して回転する装置(22)と、を有し、
前記基板(14)を回転させるための装置は、前記基板(14)を前記サポート(16)から受け取り、回転された前記基板(14)を再び戴置できる取扱装置(22)であり、
前記取扱装置は、前記合間の期間に前記基板(14)を戴置できる前記チャンバの外側の回転ディスク(28)を含む、装置。
【請求項6】
前記サポート(16)はヒータ(18)を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
加熱装置は、前記チャンバ(20)内の雰囲気の温度を制御する加熱装置が設けられている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
硬化用データが保存されたメモリを有する制御システムが設けられている、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布されたフォトレジストの少なくとも一部分を硬化するための装置に関する。さらに、本発明は、基板に塗布されたフォトレジストの少なくとも一部分をするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る方法および本発明に係る装置は、微細構造の部品、例えば、半導体や微小電気機械システム(MEMSs)を製造し得るフォトリソグラフィ法に関連して使用される。この種の製造方法の第一のステップは、基板(ウェーハー)をフォトレジスト(レジスト)でコーティングすることを含む。フォトレジストは、続いて、フォトレジストの物理的および/または化学的特性がある程度まで変化するように例えばマスクを介して露光される。フォトレジストは、続いて、部分的に除去される。
【0003】
フォトレジストが部分的に除去される前に、それは硬化されなければならない。これは、いくつかのステップ、例えば、フォトレジストが露光される前の予備硬化(ソフトベイク)と続いての本硬化とにおいてなされ得る。
【0004】
硬化のために、フォトレジストでコートされた基板は、加熱の影響によってフォトレジストに含まれた、大部分又はそれよりも少ない一部の溶媒が除去されるように、加熱した容器(ホットプレート)上に配置され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コーティングの際に基板上にフォトレジストを均一に塗布しても、硬化後フォトレジストの厚さに(全体に又は部分的に)違いを生じることが知られている。これは、続いて製造される微細構造に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明の目的は、フォトレジストができるだけ均一な厚みを有するように、該フォトレジストを基板上で硬化する方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、以下に続くステップを実行することによって、基板に塗布されたフォトレジストの少なくとも一部分を硬化する方法を提供する。フォトレジストがコートされた基板は、サポート上に配置される。フォトレジストは、第1の所定期間、そのフォトレジストを硬化するために適当な温度下に置かれる。第1の所定期間が経過した後、基板はサポートから持ち上げられ、回転され、サポート上に再配置され、第2の所定期間、そのフォトレジストを硬化するために適当な温度下に置かれる。上記目的を達成するために、本発明は、また、基板に適用されたフォトレジストの少なくとも一部分を硬化する装置を提供し、当該装置は、チャンバと、当該チャンバ内に配置され、その上に基板を配置され得るサポートと、サポートに対してフォトレジストの硬化の第1および第2の段階の間で基板を回転させる装置とから構成される。
【0008】
本発明は、サポートの姿勢誤差が時々、硬化されたフォトレジストが非均一な厚みを有する結果をもたらすという発見に基づくものである。簡単に言うと、サポートが斜めに配置されていると、フォトレジストは、重力の影響で下側に流れようとする。そのために、フォトレジストが硬化すると、そこの層厚がより大きくなる。本発明は、基板が姿勢を変える間に基板上に均一にフォトレジストが広がるように、フォトレジストの硬化中に基板を回転するという根本的なアイデアに基づくものである。
【0009】
簡易化した例において、フォトレジストを硬化するために基板を載せたサポートは、フォトレジストが右から左に流れるように僅かに傾斜しているものと仮定する。第1の所定期間が経過すると、基板は、それまでサポートの左側に配置されていた基板領域が今はサポートの右側に配置されるように、180°回転される。結果として、以前、第1の期間はこの部分に流れていたフォトレジストが、反対方向に流れて戻るようになる。第1および第2の期間が適当に選択されると、サポートが斜めになっていることによる影響は補償されることになる。
の斜めの位置取りの影響は(少なくとも知覚可能程度まで)補償されるであろう。
【0010】
基板が、フォトレジストの硬化の間に、ただ一度だけではなく繰り返し回転することは当然可能である。これに関連して、例えば、異なる回転角度と異なる期間を使用するなど、基板の回転の複雑な「パターン」も、また、使用され得る。
【0011】
本発明の一実施形態において、その期間は、他の期間とは異なる。特に、これに関連して、硬化におけるより早い時点で使用される期間は、後の時点で使用される期間より短くしてもよい。これは、フォトレジストの流動性が、硬化の進行につれて段々低くなるという事実を考慮している。したがって、180°回転する上述の実施形態の場合、第1の期間と同量のフォトレジストが第2の期間に流れて戻るように、第2の期間は、第1の期間より長くなければならない。
【0012】
本発明の一実施形態において、これに関連して、サポートは、チャンバ内に配置され、基板は回転のためにチャンバから移動される。これは、チャンバの外側に基板を取り扱うためのより広い空間がある場合に好都合である。
【0013】
本発明の一実施形態において、フォトレジストが硬化された後、基板は、ホルダ上に保持されて冷却され、冷却の間にホルダに対して少なくとも一度回転される。この実施形態も本発明の基本原理を維持しており、そのために、予め決められた時間パターンに従って基板が種々の状態に置かれることで、サポートに支持された構造体(この場合、ホルダが冷却中の基板を保持する。)の姿勢誤差が補償される。
【0014】
サポートが静止しており、基板がサポート上で異なる姿勢で配置されていれば、基板を回転させる装置は、好ましくは、サポートから基板を受け取り、再び回転させるように保持することができる取扱装置である。この場合、自動的に基板を回転させることができる。
【0015】
取扱装置は、原則としては、それ自体が基板を回転できるように形成されてもよい。代わりに、取扱装置は、しばらくの期間、基板が戴置され得る回転ディスクを構成してもよい。これは、基板を回転する必要がなくなるので、機械的により単純な取扱装置(例えばロボットアーム)を構成することを可能にする。
【0016】
フォトレジストの硬化を促進するために、サポートは、ヒータを備えていることが好ましい。これは、フォトレジストが所定の温度プロフィールに従ってサポートから基板を介して熱伝導によって加熱され得る公知の構造(ホットプレート)である。
【0017】
代わりに、または、さらに、チャンバ内の雰囲気の温度を制御する加熱装置を設けてもよい。この場合、熱は、また、上面からフォトレジストに供給され得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、制御システムは、硬化プロフィール(データ)が記憶されるメモリを備える。この硬化プロフィールは、硬化後のフォトレジストに基板上に可能な限り均一な層の厚みを持たせる期間と回転の角度に関する情報を含む。この種の硬化プロフィールは、例えば、装置が顧客のために設置された後で様々な試運転を通じて決定されてもよい。試運転では、例えば、メーカによって予め決定された異なる硬化プロフィールを有する基板(コーティング済)が扱われる。
続いて、それぞれの基板上の硬化フォトレジストの層厚が測定される。次に、硬化後に所望の層厚が得られる硬化プロフィールが選択されるか、または、メモリに記憶された硬化プロフィールが最終的にさらに改善される反復サイクルが、層厚測定値を用いて行われる。
【0019】
以下に、本発明は、添付する次の図面に示される実施形態を参照しながら、さらなる詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】
図2は本発明に係る方法の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、基板14にコーティングされたフォトレジスト12の少なくとも一部分を硬化するための装置10を示す。基板14は、後の工程で微細構造化されるウェーハであってもよい。これに関連して、フォトレジスト12は、その物理的および/または化学的特性が変化して後の工程で除去されるように好適に露光される。
【0022】
基板14の表面上に均一にフォトレジスト12を塗布できるように、フォトレジストは非常に低い粘度である。つまり、溶媒の比率が高い。その後の処理のために、まずは溶媒の一部が、フォトレジスト12から除去されなければならない。そのために、フォトレジスト12がコーティングされた基板14は、ヒータ18を有するサポート16に戴置される。ヒータ18によって、熱が基板14に供給され、さらにその熱がフォトレジスト12に供給され、これにより、フォトレジスト12に含まれる溶媒の蒸発が加速され、さらにフォトレジスト12の硬化が加速される。
【0023】
さらに望まれるのであれば、サポート16が配置されたチャンバ20内の雰囲気が加熱され得るように、加熱装置(
図1には不掲載)が備えられてもよい。
【0024】
本発明を理解するために不必要であるので、通常存在する本装置の他の構成(例えば、溶媒を含む雰囲気を除去し、洗浄ガスを供給する吸気ダクト)は、ここでは図示されていない。
【0025】
サポート16を常に完全に水平に配向できるわけではない。小さな配向(姿勢)
誤差があれば、フォトレジストは、重力の影響下でより低く配置された側にゆっくりと流れる。これに対処するために、本発明では、まずはサポート16の上に基板14を留め置かれ、そこで第1の期間の間にフォトレジスト12は若干硬化する。続いて、基板14とその上に配置されたフォトレジスト12は所定角度回転された後、フォトレジスト12が第2の期間の間に硬化する(
図2参照)。この手順は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。これに関連して、基板14が前方に回転される前にフォトレジスト12が硬化する時間は、他の期間と異なっていてもよい。
【0026】
原理的には、フォトレジスト12が硬化するそれぞれの期間の間に、手動で基板14を回転することは可能である。しかしながら、基板14の移動は自動で行うことが好ましい。
【0027】
基板14を回転する装置はその目的のために使用される。この場合、装置は取扱装置22として設計される。この取扱装置はロボットアーム24を有する。ロボットアーム24はグリッパ26を有する。このグリッパにより、基板14はサポート16の上に置かれ、また、サポート16から取り除かれる。取扱装置22は、さらに、ステッピングモータ30によって駆動される回転ディスク28を含む。基板14を所望角度回転するために、基板14はロボットアーム24によってチャンバから取り除かれ、回転ディスクの上に配置され、そこで、基板14は回転ディスクによって所望角度回転され、その後、ロボットアーム24によって再びサポート16上に戻される。
【0028】
フォトレジストが(サポート上で種々の方向に向けて)十分に硬化されると、通常、制御のもと、冷却される。この目的のため、フォトレジストはホルダ(図不掲載)上に堆積される。その際、基板14は、ホルダの配向誤差を補償するように、予め決められたパターンで規則的に回転してもよい(
図2参照)。
【符号の説明】
【0029】
10 装置
14 基板
16 サポート
18 ヒータ
20 チャンバ
22 取扱装置
24 ロボットアーム
26 グリッパ
28 回転ディスク
30 ステッピングモータ