特許第6739221号(P6739221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739221
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】センサおよびセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20200730BHJP
   G01R 27/22 20060101ALI20200730BHJP
   G01R 27/26 20060101ALI20200730BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   G01N27/06 A
   G01R27/22
   G01R27/26 H
   G01N27/22 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-89096(P2016-89096)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-198527(P2017-198527A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】亀田 幸則
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−352089(JP,A)
【文献】 特開昭57−135351(JP,A)
【文献】 米国特許第04710757(US,A)
【文献】 特開2001−041918(JP,A)
【文献】 国際公開第03/029802(WO,A1)
【文献】 特開2006−64410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0212375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/00 − F01M 13/06
G01N 27/00 − G01N 27/10
G01N 27/14 − G01N 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の状態を検出するセンサであって、
基端側が基部に接続され、互いに並行して配置された一方の電極および他方の電極と、
前記一方の電極の外周面のうち、前記他方の電極と対向する領域を覆っている第1の対向側樹脂部と、
前記他方の電極の外周面のうち、前記一方の電極と対向する領域を覆っている第2の対向側樹脂部と、を備え、
前記第1の対向側樹脂部と前記第2の対向側樹脂部とが離間しており、
前記電極の先端部において、前記第1の対向側樹脂部と前記第2の対向側樹脂部とを連結する連結樹脂部を備えることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記一方の電極の外周面のうち、前記他方の電極と対向する領域とは反対側の領域の少なくとも一部を覆っている第1の背面側樹脂部と、
前記他方の電極の外周面のうち、前記一方の電極と対向する領域とは反対側の領域の少なくとも一部を覆っている第2の背面側樹脂部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記連結樹脂部は、非導電性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサおよびセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の状態を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、回転部や摺動部に循環供給され、これら各部品の摩耗を防いで円滑に動作させるためのオイルについて、状態を検出する装置が示されている。この装置は、オイル流路に互いに並行して設置された2枚の極板を備えており、これら2枚の極板間に交流電圧を印加することによってオイルの誘電率および導電率を求め、求めた誘電率および導電率に基づいてオイルの状態を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−2693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されているオイルには、回転部や摺動部の摩耗による金属片などの異物が混入することがある。2枚の極板の互いに対向する面に異物が付着すると、オイルの誘電率や導電率に測定誤差が生じてしまい、オイルの誘電率や導電率を正確に求めることができず、オイルの状態を適正に検出できないおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、流体の状態をより適正に検出するセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、流体の状態を検出するセンサであって、互いに並行して配置された一方の電極および他方の電極と、前記一方の電極の外周面のうち、前記他方の電極と対向する領域を覆っている第1の対向側樹脂部と、前記他方の電極の外周面のうち、前記一方の電極と対向する領域を覆っている第2の対向側樹脂部と、を備え、前記第1の対向側樹脂部と前記第2の対向側樹脂部とが離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、流体の状態をより適正に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るセンサを備える状態検出装置のブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るセンサの斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るセンサの上面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るセンサの斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るセンサの上面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るセンサの斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るセンサの上面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るセンサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。このため、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
また、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、図中にXYZ直交座標系を設けたが、これらは単に図中の向きを統一して説明するために設定したものであり、絶対的な座標を示すものではない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサ1を備える状態検出装置AAのブロック図である。状態検出装置AAは、センサ1、特徴量取得部2、および検出部3を備えており、潤滑油の状態を検出する。
【0012】
図2は、センサ1の斜視図である。センサ1は、円柱状の基部10と、基部10に立設された一対の電極21、22と、樹脂部30と、を備える。
【0013】
電極21、22は、平板状の極板であり、互いに並行して配置されている。電極21、22の基端側(Zマイナス側)が基部10に埋設された状態で、電極21、22は基部10に立設されている。
【0014】
電極21、22は、潤滑油の中に設置される。図1の特徴量取得部2は、潤滑油の中に設置された電極21、22の間に交流電圧を印加して、電極21、22の間の潤滑油の誘電率および導電率を求める。図1の検出部3は、特徴量取得部2により求められた潤滑油の誘電率および導電率に基づいて、潤滑油の状態を検出する。
【0015】
特徴量取得部2および検出部3は、CPU、メモリ(RAM)、ハードディスクなどを用いて実現される。
【0016】
ハードディスクは、オペレーティングシステムや、潤滑油の状態を検出するための一連の処理を実行するためのプログラムなどを記憶する。なお、ハードディスクは、非一時的な記録媒体であればよく、例えば、EPROMやフラッシュメモリといった不揮発性のメモリ、CD−ROMなどであってもよい。
【0017】
CPUは、メモリを適宜利用して、ハードディスクに記憶されているデータやプログラムを適宜読み出して、演算や実行を適宜行う。
【0018】
樹脂部30は、非導電性の樹脂で形成されており、インサート成形により電極21、22と一体化されている。樹脂部30を形成する非導電性の樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、ナイロン66(PA66)樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。
【0019】
樹脂部30は、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bを備える。これら第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bについて、図3を用いて説明する。
【0020】
図3は、センサ1の上面図である。第1の対向側樹脂部31Aは、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する面(Xプラス側の面)を、覆っている。第2の対向側樹脂部31Bは、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する面(Xマイナス側の面)を、覆っている。
これら第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとは、離間している。このため、電極21、22が潤滑油の中に設置されると、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとの間に潤滑油が流れ込み、電極21、22の間に潤滑油が介在することになる。
【0021】
以上のように、センサ1は、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する面を、覆っている。このため、例えばコンタミネーションの発生により、ワニスやスラッジなどの異物が潤滑油に含まれていても、電極21の外周面のうち電極22と対向する面に、異物が直接付着することはない。
また、センサ1は、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する面を、覆っている。このため、異物が潤滑油に含まれていても、電極22の外周面のうち電極21と対向する面に、異物が直接付着することはない。
以上によれば、センサ1では、電極21の外周面のうち電極22と対向する面や、電極22の外周面のうち電極21と対向する面に、上述のような異物が直接付着することがない。このため、異物が直接付着してしまうことにより潤滑油の誘電率や導電率に測定誤差が生じてしまうのを防止して、潤滑油の誘電率および導電率を正確に求めることができ、潤滑油の状態をより適正に検出することができる。
また、電極21、22の外周面に、仮に異物が直接付着してしまうと、電極21、22に腐食が発生してしまうおそれがある。しかし、センサ1では、上述のように、電極21の外周面のうち電極22と対向する面や、電極22の外周面のうち電極21と対向する面に、異物が直接付着することはない。このため、電極21、22に腐食が発生してしまうのを抑制することができる。
また、第1の対向側樹脂部31Aや第2の対向側樹脂部31Bに用いられる樹脂は、電極に用いられる金属と比べて、安定した分子構造を有しているため他の物質との結合性が低い。このため、センサ1では、第1の対向側樹脂部31Aを介して電極21に異物が付着したり、第2の対向側樹脂部31Bを介して電極22に異物が付着したりする可能性を、低減することができる。
【0022】
また、センサ1が取り付けられている装置の振動や、この装置の周囲で発生した振動が電極21、22に伝搬すると、電極21、22が撓む可能性がある。仮に、電極21の厚さ方向(X方向)に電極21が撓んだり、電極22の厚さ方向(X方向)に電極22が撓んだりすると、電極21、22の間に介在する潤滑油の量が変動してしまい、潤滑油の誘電率および導電率を正確に求めることができなくなってしまうおそれがある。
そこで、センサ1は、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する面を、覆っている。このため、電極21の厚さ方向における電極21の剛性が向上する。
また、センサ1は、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する面を、覆っている。このため、電極22の厚さ方向における電極22の剛性が向上する。
以上によれば、センサ1は、上述のような振動が電極21、22に伝搬しても、電極21の厚さ方向に電極21が撓んだり、電極22の厚さ方向に電極22が撓んだりするのを抑制することができる。このため、電極21、22の間に介在する潤滑油の量の変動を抑えることができ、潤滑油の誘電率および導電率をさらに正確に求めることができる。
【0023】
また、上述のような振動に伴う電極21、22の撓みは、電極21、22が大型化するに従って発生しやすくなる。
しかし、センサ1は、第1の対向側樹脂部31Aにより、上述のように電極21の厚さ方向における電極21の剛性を向上させるとともに、第2の対向側樹脂部31Bにより、上述のように電極22の厚さ方向における電極22の剛性を向上させている。このため、上述のような振動に伴う電極21、22の撓みを抑制しつつ、電極21、22を大型化することができる。したがって、電極21、22の対向する面積を拡大して、電極21、22の間に介在する潤滑油の量を増加させることができるので、潤滑油の誘電率および導電率をさらに正確に求めることができる。
【0024】
また、センサ1は、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを離間させている。このため、電極21、22が潤滑油の中に設置されると、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとの間に潤滑油が流れ込み、電極21、22の間に潤滑油が介在することになる。したがって、電極21、22の間に交流電圧を印加して、電極21、22の間の潤滑油の誘電率および導電率を求めることができる。
【0025】
また、センサ1は、インサート成形により電極21、22を樹脂部30で覆って、基部10とともに樹脂部30を形成している。このため、電極21、22を樹脂部30で覆う工程を短縮することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、樹脂部30を非導電性の樹脂で形成したが、これに限らず、樹脂部30を導電性の樹脂で形成してもよい。
【0027】
また、本実施形態では、センサ1は、潤滑油の誘電率および導電率を求め、求めた誘電率および導電率に基づいて潤滑油の状態を検出した。しかし、これに限らず、潤滑油の誘電率および導電率のうちいずれか一方を求め、求めた結果に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。また、誘電率でも導電率でもない潤滑油の電気的特徴量(例えば、静電容量、誘電正接(tanδ)、特性インピーダンスZなど)を求め、求めた電気的特徴量に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。
【0028】
また、本実施形態では、センサ1は、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、センサ1により、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の品質を検出したりすることもできる。
【0029】
また、本実施形態では、平板状の極板で電極21、22を形成し、これら電極21、22を互いに並行して配置した。しかし、これに限らず、例えば円柱状や楕円柱状の極板で電極21、22を形成してもよい。また、例えば同軸円筒型コンデンサーのように、内径が異なる2つの円筒状の極板で電極21、22を形成し、それぞれの中心軸が一致した状態で電極21、22のいずれか一方をいずれか他方の内部に配置してもよい。
これらの場合、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域を覆うとともに、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域を覆えばよい。
【0030】
また、本実施形態において、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを、図4、5、7を用いて後述する連結樹脂部35や、図6を用いて後述する連結樹脂部35Aで連結してもよい。第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結することで、上述のような振動に伴う電極21、22の撓みをさらに抑制することができる。
【0031】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aの斜視図である。センサ1Aは、図2、3に示した本発明の第1実施形態に係るセンサ1の代わりに、図1の状態検出装置AAに設けられる。このセンサ1Aは、センサ1とは、樹脂部30の代わりに樹脂部30Aを備える点で異なっており、他の部分については同様の形態をしている。このため、第1実施形態と同様の形態をしている部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
樹脂部30Aは、非導電性の樹脂で形成されており、インサート成形により電極21、22と一体化されている。
【0033】
図5は、センサ1Aの上面図である。樹脂部30Aは、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bに加えて、第1の背面側樹脂部32Aおよび第2の背面側樹脂部32Bと、連結樹脂部35と、を備える。
【0034】
第1の背面側樹脂部32Aは、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、第1の対向側樹脂部31Aで覆われている面以外を、覆っている。このため、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する面とは反対側の面は、第1の背面側樹脂部32Aで覆われていることになる。
【0035】
第2の背面側樹脂部32Bは、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、第2の対向側樹脂部31Bで覆われている面以外を、覆っている。このため、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する面とは反対側の面は、第2の背面側樹脂部32Bで覆われていることになる。
【0036】
連結樹脂部35は、基部10に当接しており、電極21、22の基端側において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している。
【0037】
以上のように、センサ1Aは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様に、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bを備えており、インサート成形により電極21、22を樹脂部30Aで覆っている。このため、センサ1Aは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様の効果を奏することができる。
【0038】
また、センサ1Aは、第1の背面側樹脂部32Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する面とは反対側の面を、覆っている。このため、電極21の厚さ方向における電極21の剛性がさらに向上する。
また、センサ1Aは、第2の背面側樹脂部32Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する面とは反対側の面を、覆っている。このため、電極22の厚さ方向における電極22の剛性がさらに向上する。
以上によれば、センサ1Aは、電極21、22の間に介在する潤滑油の量の変動をさらに抑えることができ、潤滑油の誘電率および導電率をさらに正確に求めることができる。
【0039】
また、センサ1Aは、第1の背面側樹脂部32Aにより、上述のように電極21の厚さ方向における電極21の剛性を向上させている。このため、電極21の厚さ方向における電極21の剛性を、第1の対向側樹脂部31Aだけでなく第1の背面側樹脂部32Aによっても向上させることができるので、第1の対向側樹脂部31Aを薄くすることができる。
また、センサ1Aは、第2の背面側樹脂部32Bにより、上述のように電極22の厚さ方向における電極22の剛性を向上させている。このため、電極22の厚さ方向における電極22の剛性を、第2の対向側樹脂部31Bだけでなく第2の背面側樹脂部32Bによっても向上させることができるので、第2の対向側樹脂部31Bを薄くすることができる。
以上によれば、電極21の厚さ方向における電極21の剛性の向上と、電極22の厚さ方向における電極22の剛性の向上と、を実現しつつ、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bを薄くすることができる。このため、電極21、22の間に介在する潤滑油の量を増加させることができるので、潤滑油の誘電率および導電率をさらに正確に求めることができる。
【0040】
また、センサ1Aは、第1の背面側樹脂部32Aにより、上述のように電極21の厚さ方向における電極21の剛性を向上させるとともに、第2の背面側樹脂部32Bにより、上述のように電極22の厚さ方向における電極22の剛性を向上させている。このため、センサ1Aが取り付けられている装置の振動や、この装置の周囲で発生した振動に伴って電極21、22が撓むのを抑制しつつ、電極21、22を大型化することができる。したがって、電極21、22の対向する面積を拡大して、電極21、22の間に介在する潤滑油の量を増加させることができるので、潤滑油の誘電率および導電率をさらに正確に求めることができる。
【0041】
また、センサ1Aは、連結樹脂部35により、電極21、22の基端側において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している。このため、上述のような振動に伴う電極21、22の撓みをさらに抑制することができる。
【0042】
また、センサ1Aは、樹脂部30Aを、非導電性の樹脂で形成している。このため、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結樹脂部35で連結しているが、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとは導通しない。したがって、電極21、22の間に交流電圧を印加することができる。
【0043】
また、本実施形態では、樹脂部30Aを非導電性の樹脂で形成したが、これに限らず、樹脂部30Aを導電性の樹脂で形成してもよい。ただし、樹脂部30Aを導電性の樹脂で形成する場合には、樹脂部30Aに連結樹脂部35を設けないようにする必要がある。
【0044】
また、本実施形態では、センサ1Aは、潤滑油の誘電率および導電率を求め、求めた誘電率および導電率に基づいて潤滑油の状態を検出した。しかし、これに限らず、潤滑油の誘電率および導電率のうちいずれか一方を求め、求めた結果に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。また、誘電率でも導電率でもない潤滑油の電気的特徴量(例えば、静電容量、誘電正接(tanδ)、特性インピーダンスZなど)を求め、求めた電気的特徴量に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、センサ1Aは、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、センサ1Aにより、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の品質を検出したりすることもできる。
【0046】
また、本実施形態では、平板状の極板で電極21、22を形成し、これら電極21、22を互いに並行して配置した。しかし、これに限らず、例えば円柱状や楕円柱状の極板で電極21、22を形成してもよい。また、例えば同軸円筒型コンデンサーのように、内径が異なる2つの円筒状の極板で電極21、22を形成し、それぞれの中心軸が一致した状態で電極21、22のいずれか一方をいずれか他方の内部に配置してもよい。
これらの場合、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域を覆うとともに、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域を覆えばよい。また、第1の背面側樹脂部32Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域とは反対側の領域を覆うとともに、第2の背面側樹脂部32Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域とは反対側の領域を覆えばよい。
【0047】
また、本実施形態では、樹脂部30Aに連結樹脂部35を設け、連結樹脂部35により、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結した。しかし、これに限らず、樹脂部30Aに連結樹脂部35を設けなくてもよい。
【0048】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係るセンサ1Bの斜視図である。センサ1Bは、図2、3に示した本発明の第1実施形態に係るセンサ1の代わりに、図1の状態検出装置AAに設けられる。このセンサ1Bは、図4、5に示した本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aとは、樹脂部30Aの代わりに樹脂部30Bを備える点で異なっており、他の部分については同様の形態をしている。このため、第2実施形態と同様の形態をしている部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
図7は、センサ1Bの上面図である。樹脂部30Bは、非導電性の樹脂で形成されており、インサート成形により電極21、22と一体化されている。この樹脂部30Bは、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bと、第1の背面側樹脂部32Aおよび第2の背面側樹脂部32Bと、に加えて連結樹脂部35Aを備える。
【0050】
連結樹脂部35Aは、本発明の第2実施形態に係る連結樹脂部35と同様に、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している。ただし、連結樹脂部35は、基部10に当接しており、電極21、22の基端側(Zマイナス側)において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結していた。これに対して、連結樹脂部35Aは、基部10とは離間しており、電極21、22の先端側(Zプラス側)において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している。
【0051】
以上のように、センサ1Bは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様に、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bを備えており、インサート成形により電極21、22を樹脂部30Bで覆っている。このため、センサ1Bは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様の効果を奏することができる。
【0052】
また、センサ1Bは、本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aと同様に、第1の背面側樹脂部32Aおよび第2の背面側樹脂部32Bと、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している連結樹脂部35Aと、を備え、樹脂部30Bを、非導電性の樹脂で形成している。このため、センサ1Bは、本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0053】
また、電極21、22の基端側は、基部10に埋設している。このため、センサ1Bが取り付けられている装置の振動や、この装置の周囲で発生した振動に伴って電極21、22が撓む現象は、電極21、22の基端側よりも先端側で生じやすい。
そこで、センサ1Bは、連結樹脂部35Aにより、電極21、22の先端側において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している。このため、上述のような振動に伴う電極21、22の撓みをさらに抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、センサ1Bは、潤滑油の誘電率および導電率を求め、求めた誘電率および導電率に基づいて潤滑油の状態を検出した。しかし、これに限らず、潤滑油の誘電率および導電率のうちいずれか一方を求め、求めた結果に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。また、誘電率でも導電率でもない潤滑油の電気的特徴量(例えば、静電容量、誘電正接(tanδ)、特性インピーダンスZなど)を求め、求めた電気的特徴量に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、センサ1Bは、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、センサ1Bにより、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の組成や品質を検出したりすることもできる。
【0056】
また、本実施形態では、平板状の極板で電極21、22を形成し、これら電極21、22を互いに並行して配置した。しかし、これに限らず、例えば円柱状や楕円柱状の極板で電極21、22を形成してもよい。また、例えば同軸円筒型コンデンサーのように、内径が異なる2つの円筒状の極板で電極21、22を形成し、それぞれの中心軸が一致した状態で電極21、22のいずれか一方をいずれか他方の内部に配置してもよい。
これらの場合、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域を覆うとともに、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域を覆えばよい。また、第1の背面側樹脂部32Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域とは反対側の領域を覆うとともに、第2の背面側樹脂部32Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域とは反対側の領域を覆えばよい。
【0057】
また、本実施形態では、樹脂部30Bに連結樹脂部35Aを設け、連結樹脂部35Aにより、電極21、22の先端側において第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結した。しかし、樹脂部30Bに、図4に示した本発明の第2実施形態に係る連結樹脂部35も設け、電極21、22の基端側でも第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結してもよい。
【0058】
<第4実施形態>
図8は、本発明の第4実施形態に係るセンサ1Cの上面図である。センサ1Cは、図2、3に示した本発明の第1実施形態に係るセンサ1の代わりに、図1の状態検出装置AAに設けられる。このセンサ1Cは、図4、5に示した本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aとは、樹脂部30Aの代わりに樹脂部30Cを備える点で異なっており、他の部分については同様の形態をしている。このため、第2実施形態と同様の形態をしている部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
樹脂部30Cは、非導電性の樹脂で形成されており、インサート成形により電極21、22と一体化されている。この樹脂部30Cは、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bと、連結樹脂部35と、に加えて第1の背面側樹脂部33A、34Aおよび第2の背面側樹脂部33B、34Bを備える。
【0060】
第1の背面側樹脂部33A、34Aは、それぞれ、電極21の長さ方向(Z方向)に延在してリブ状に形成されており、電極21の幅方向(Y方向)に互いに離間している。電極21の幅方向における電極21の一端側(Yマイナス側)は、第1の背面側樹脂部33Aにより覆われており、電極21の幅方向における電極21の他端側(Yプラス側)は、第1の背面側樹脂部34Aにより覆われている。一方、電極21の幅方向における電極21の中央部分は、第1の背面側樹脂部33A、34Aのいずれにも覆われておらず、露出している。
【0061】
第2の背面側樹脂部33B、34Bは、それぞれ、電極22の長さ方向(Z方向)に延在してリブ状に形成されており、電極22の幅方向(Y方向)に互いに離間している。電極22の幅方向における電極22の一端側(Yマイナス側)は、第2の背面側樹脂部33Bにより覆われており、電極22の幅方向における電極22の他端側(Yプラス側)は、第2の背面側樹脂部34Bにより覆われている。一方、電極22の幅方向における電極22の中央部分は、第2の背面側樹脂部33B、34Bのいずれにも覆われておらず、露出している。
【0062】
以上のように、センサ1Cは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様に、第1の対向側樹脂部31Aおよび第2の対向側樹脂部31Bを備えており、インサート成形により電極21、22を樹脂部30Bで覆っている。このため、センサ1Cは、本発明の第1実施形態に係るセンサ1と同様の効果を奏することができる。
【0063】
また、センサ1Cは、本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aと同様に、第1の背面側樹脂部33A、34Aおよび第2の背面側樹脂部33B、34Bと、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結している連結樹脂部35と、を備え、樹脂部30Cを、非導電性の樹脂で形成している。このため、センサ1Cは、本発明の第2実施形態に係るセンサ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0064】
また、センサ1Cは、電極21の幅方向における電極21の中央部分を、第1の背面側樹脂部33A、34Aのいずれでも覆わずに露出させるとともに、電極22の幅方向における電極22の中央部分を、第2の背面側樹脂部33B、34Bのいずれでも覆わずに露出させている。このため、第1の背面側樹脂部33A、34Aにより電極21の厚さ方向における電極21の剛性を向上させるとともに、第2の背面側樹脂部33B、34Bにより電極22の厚さ方向における電極22の剛性を向上させつつ、樹脂部30Cとして必要な樹脂の量を削減することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、樹脂部30Cを非導電性の樹脂で形成したが、これに限らず、樹脂部30Cを導電性の樹脂で形成してもよい。ただし、樹脂部30Cを導電性の樹脂で形成する場合には、樹脂部30Cに連結樹脂部35を設けないようにする必要がある。
【0066】
また、本実施形態では、センサ1Cは、潤滑油の誘電率および導電率を求め、求めた誘電率および導電率に基づいて潤滑油の状態を検出した。しかし、これに限らず、潤滑油の誘電率および導電率のうちいずれか一方を求め、求めた結果に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。また、誘電率でも導電率でもない潤滑油の電気的特徴量(例えば、静電容量、誘電正接(tanδ)、特性インピーダンスZなど)を求め、求めた電気的特徴量に基づいて潤滑油の状態を検出してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、センサ1Cは、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、センサ1Cにより、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の品質を検出したりすることもできる。
【0068】
また、本実施形態では、平板状の極板で電極21、22を形成し、これら電極21、22を互いに並行して配置した。しかし、これに限らず、例えば円柱状や楕円柱状の極板で電極21、22を形成してもよい。また、例えば同軸円筒型コンデンサーのように、内径が異なる2つの円筒状の極板で電極21、22を形成し、それぞれの中心軸が一致した状態で電極21、22のいずれか一方をいずれか他方の内部に配置してもよい。
これらの場合、第1の対向側樹脂部31Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域を覆うとともに、第2の対向側樹脂部31Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域を覆えばよい。また、第1の背面側樹脂部33A、34Aにより、電極21のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極22と対向する領域とは反対側の領域の一部を覆うとともに、第2の背面側樹脂部33B、34Bにより、電極22のうち、基部10から露出している部分の外周面であって、電極21と対向する領域とは反対側の領域の一部を覆えばよい。
【0069】
また、本実施形態では、第1の背面側樹脂部33A、34Aの2つをリブ状に形成したが、これに限らず、1つだけをリブ状に形成したり、3つ以上をリブ状に形成したりしてもよい。
また、本実施形態では、第2の背面側樹脂部33B、34Bの2つをリブ状に形成したが、これに限らず、1つだけをリブ状に形成したり、3つ以上をリブ状に形成したりしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、電極21の幅方向における電極21の中央部分を、第1の背面側樹脂部33A、34Aのいずれでも覆わずに露出させた。しかし、これに限らず、第1の背面側樹脂部33A、34AのX方向の厚みよりも薄く形成した連結部を設け、この連結部により、電極21の幅方向における電極21の中央部分を覆ってもよい。
また、本実施形態では、電極22の幅方向における電極22の中央部分を、第2の背面側樹脂部33B、34Bのいずれでも覆わずに露出させた。しかし、これに限らず、第2の背面側樹脂部33B、34BのX方向の厚みよりも薄く形成した連結部を設け、この連結部により、電極22の幅方向における電極22の中央部分を覆ってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、樹脂部30Cに連結樹脂部35を設け、連結樹脂部35により、第1の対向側樹脂部31Aと第2の対向側樹脂部31Bとを連結した。しかし、これに限らず、樹脂部30Cに連結樹脂部35を設けなくてもよい。
【0072】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0073】
なお、本発明は、例えば水圧機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
AA 状態検出装置
1、1A、1B、1C センサ
2 特徴量取得部
3 検出部
10 基部
21、22 電極
30、30A、30B、30C 樹脂部
31A 第1の対向側樹脂部
31B 第2の対向側樹脂部
32A、33A、34A 第1の背面側樹脂部
32B、33B、34B 第2の背面側樹脂部
35、35A 連結樹脂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8