特許第6739234号(P6739234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739234
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】自動車用流路管の端部開放装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   F02M25/08 L
   F02M25/08 G
   F02M25/08 311H
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-104991(P2016-104991)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-210920(P2017-210920A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日:平成28年3月1日 公開場所:マツダ株式会社製自動車を取り扱う日本国内における各販売店 公開方法:上記各販売店での販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(72)【発明者】
【氏名】中川 心
(72)【発明者】
【氏名】松本 知之
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕也
(72)【発明者】
【氏名】鯵坂 祐也
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−068350(JP,A)
【文献】 特開2015−090094(JP,A)
【文献】 特開2006−183737(JP,A)
【文献】 特開2010−112545(JP,A)
【文献】 特開平10−205631(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0311442(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0114914(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
F16L 11/00 − 11/26
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用流路管の端部に接続されて、異物侵入を防ぎつつ開放部を形成するための自動車用流路管の端部開放装置であって、
前記自動車用流路管の端部に一端部を接続される接続管と、該接続管の他端部側に一体に形成された第1ハーフチャンバと、該第1ハーフチャンバに組付けられて、同第1ハーフチャンバとの内側に空間を形成する第2ハーフチャンバと、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバを組付けた状態に保持する係合手段とを備え、
前記接続管の他端部側には、前記空間に連通する開口が形成されており、
前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバは、前記空間の外側に位置し枠状をなす壁部をそれぞれ有しており、前記第1ハーフチャンバの前記壁部の組付縁部と前記第2ハーフチャンバの前記壁部の組付縁部の少なくとも一箇所に、一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして配置されることで、前記空間に連通し、且つ、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバの外方に開口した開放部が設けられていることを特徴とする自動車用流路管の端部開放装置。
【請求項2】
自動車用流路管の端部に接続されて、異物侵入を防ぎつつ開放部を形成するための自動車用流路管の端部開放装置であって、
前記自動車用流路管の端部に一端部を接続される接続管と、該接続管の他端部側に一体に形成された第1ハーフチャンバと、該第1ハーフチャンバに組付けられて、同第1ハーフチャンバとの内側に空間を形成する第2ハーフチャンバと、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバを組付けた状態に保持する係合手段とを備え、
前記接続管の他端部側には、前記空間に連通する開口が形成されており、
前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバの組付縁部の少なくとも一箇所に、一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして形成された開放部が設けられており、
前記接続管の他端部は、前記第1ハーフチャンバに連結されて、その周壁の一部が前記第1ハーフチャンバ内に配置され、前記接続管の前記第1ハーフチャンバ内に配置された周壁に、前記空間に連通する複数の開口が設けられており、
前記接続管は、前記第1ハーフチャンバの長手方向に平行に配置され、その横断面の半分が前記第1ハーフチャンバ内に入り込んで、前記第1ハーフチャンバに連結されていることを特徴とする自動車用流路管の端部開放装置。
【請求項3】
自動車用流路管の端部に接続されて、異物侵入を防ぎつつ開放部を形成するための自動車用流路管の端部開放装置であって、
前記自動車用流路管の端部に一端部を接続される接続管と、該接続管の他端部側に一体に形成された第1ハーフチャンバと、該第1ハーフチャンバに組付けられて、同第1ハーフチャンバとの内側に空間を形成する第2ハーフチャンバと、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバを組付けた状態に保持する係合手段とを備え、
前記接続管の他端部側には、前記空間に連通する開口が形成されており、
前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバの組付縁部の少なくとも一箇所に、一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして形成された開放部が設けられており、
前記第1ハーフチャンバは、前記第2ハーフチャンバが組付けられるとき、前記第2ハーフチャンバの内周に挿入されるガイド壁を有しており、
また、前記係合手段は、前記第1ハーフチャンバの組付縁部に設けられた枠状又は凹状をなす係合凹部と、前記第2ハーフチャンバに設けられ、前記係合凹部に内側から係合する係合凸部とで構成され、
前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバの組付縁部の、前記ガイド壁と前記係合手段との間には、いずれか一方に設けられた凹部と、いずれか他方に設けられた凸部とからなる嵌合部が設けられていることを特徴とする自動車用流路管の端部開放装置。
【請求項4】
前記第1ハーフチャンバと、前記第2ハーフチャンバとは、薄肉ヒンジ部を介して一体形成されており、前記薄肉ヒンジ部を屈曲させることにより、前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバとが組付けられて、前記係合手段により組付状態が保持されるようになっており、前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバの前記薄肉ヒンジ部と反対側の組付縁部において、前記薄肉ヒンジ部からの距離が、一方の縁部が他方の縁部に比べて大きく設定することにより位置ずれして、前記開放部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用流路管の端部開放装置。
【請求項5】
前記接続管には、前記自動車用流路管に接続される一端部と、前記第1ハーフチャンバに一体に形成された他端部との間に、自動車の車体に取付けるためのクリップが一体形成されている、請求項1〜のいずれか1つに記載の自動車用流路管の端部開放装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用流路管の端部に開放部を形成するための、自動車用流路管の端部開放装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンクには、キャニスタを介して、タンク外部と連通する流路管が接続されている。この流路管の端部には、開放部が形成されており、該開放部を通じて燃料タンク内に外気を取り入れたり、又は、燃料タンク内の燃料蒸気がキャニスタを通過して、タンク外部に排出されるようになっている。
【0003】
流路管端部に開放部を形成するに際しては、外部から、虫や、ゴミ、埃等の異物が侵入するおそれがある。このような異物の侵入を抑制するため、例えば、下記特許文献1に示すように、ホースの一端に連結されるホースコネクタの端部に、複数の格子を有するフィルタキャップを取付けたり、下記特許文献2に示すように、ドレンホースの開放端に、複数の通気スリットを設けたカバー部材を取付けたりしていた。また、図8の想像線で示すように、流路管100の端部側を下向きの略U字状に屈曲させて、開放部Sを下向きにさせることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−152979号公報
【特許文献2】特開2015−90094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の発明や特許文献2の発明においては、ホースコネクタの端部やドレンホースの開放端に、フィルタキャップやカバー部材等の別部材を取付ける必要があるので、構造が複雑で部品点数が多いという不都合があった。
【0006】
また、図8に示すように、流路管の端部の開放部Sを下向きにさせた場合には、流路管を下向きのU字状に屈曲させるため、屈曲させた範囲において、管が並列して配置されることになり、設置スペースが大きくなる。更に、流路管を屈曲させた場合には、管の長さが長くなりやすいため、車両の振動等の影響を受けやすくなる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、部品点数を少なくして簡単な構造にできると共に、省スペース化を図ることができ、自動車の振動等の影響を受けにくい、自動車用流路管の端部開放装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、自動車用流路管の端部に接続されて、異物侵入を防ぎつつ開放部を形成するための自動車用流路管の端部開放装置であって、前記自動車用流路管の端部に一端部を接続される接続管と、該接続管の他端部側に一体に形成された第1ハーフチャンバと、該第1ハーフチャンバに組付けられて、同第1ハーフチャンバとの内側に空間を形成する第2ハーフチャンバと、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバを組付けた状態に保持する係合手段とを備え、前記接続管の他端部側には、前記空間に連通する開口が形成されており、前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバの組付縁部の少なくとも一箇所に、一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして形成された開放部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置においては、前記接続管の他端部は、前記第1ハーフチャンバに連結されて、その周壁の一部が前記第1ハーフチャンバ内に配置され、前記接続管の前記第1ハーフチャンバ内に配置された周壁に、前記空間に連通する複数の開口が設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置においては、前記接続管は、前記第1ハーフチャンバの長手方向に平行に配置され、その横断面の半分が前記第1ハーフチャンバ内に入り込んで、前記第1ハーフチャンバに連結されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置においては、前記第1ハーフチャンバと、前記第2ハーフチャンバとは、薄肉ヒンジ部を介して一体形成されており、前記薄肉ヒンジ部を屈曲させることにより、前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバとが組付けられて、前記係合手段により組付状態が保持されるようになっており、前記第1ハーフチャンバと前記第2ハーフチャンバの前記薄肉ヒンジ部と反対側の組付縁部において、前記薄肉ヒンジ部からの距離が、一方の縁部が他方の縁部に比べて大きく設定することにより位置ずれして、前記開放部が設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置においては、前記第1ハーフチャンバは、前記第2ハーフチャンバが組付けられるとき、前記第2ハーフチャンバの内周に挿入されるガイド壁を有しており、また、前記係合手段は、前記第1ハーフチャンバの組付縁部に設けられた枠状又は凹状をなす係合凹部と、前記第2ハーフチャンバに設けられ、前記係合凹部に内側から係合する係合凸部とで構成され、前記第1ハーフチャンバ及び前記第2ハーフチャンバの組付縁部の、前記ガイド壁と前記係合手段との間には、いずれか一方に設けられた凹部と、いずれか他方に設けられた凸部とからなる嵌合部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置においては、前記接続管には、前記自動車用流路管に接続される一端部と、前記第1ハーフチャンバに一体に形成された他端部との間に、自動車の車体に取付けるためのクリップが一体形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自動車用流路管の端部に接続管の一端部を接続することにより、自動車流路管を流れてくる流体は、接続管を通して空間内に入り、第1ハーフチャンバと第2ハーフチャンバとの組付縁部のずれた部分に設けられた開放部から外部に排出することができる。また、自動車用流路管側が負圧となったような場合には、外部の流体が、上記開放部から空間内に入り、接続管を通して自動車用流路管に流入する。
【0015】
このとき、外部の流体は、第1ハーフチャンバと第2ハーフチャンバの組付縁部の一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして形成された開放部から空間を通して流入するので、その流入経路が曲折した経路となることによって、外部に漂う虫や、ゴミ、埃等の異物等が入りにくくなり、異物侵入を防ぎつつ外部の流体を流入させることができる。
【0016】
そして、第1ハーフチャンバが接続管に一体形成されているので、該第1ハーフチャンバに第2ハーフチャンバを組付けるだけの簡単な作業で、開放部を形成することができ、部品点数を少なくして構造を簡単にすることができる。また、第1,第2ハーフチャンバを組付けて、その組付縁部の少なくとも一箇所を位置ずれさせることによって開放部が形成されているので、接続管を屈曲させずとも、開放部を下向き又は横向きにして異物が入りにくくすることが可能となる。更に、接続管を屈曲させる必要がないため、端部開放装置をコンパクトにして省スペース化を図ることができると共に、接続管の長さを短くして自動車の振動等の影響を受けにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置の、一実施形態を示しており、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバが開いた状態の斜視図である。
図2】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じた状態の斜視図である。
図3】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバが開いた状態の平面図である。
図4】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバが開いた状態の正面図である。
図5】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバが開いた状態の縦断面図である。
図6】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じた状態の縦断面図である。
図7】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じた状態の横断面図である。
図8】同端部開放装置の取付状態を示す説明図である。
図9】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じる際の、第1状態を示す説明図である。
図10】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じる際の、第2状態を示す説明図である。
図11】本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置の、他の実施形態を示しており、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバが開いた状態の平面図である。
図12】同端部開放装置において、第1ハーフチャンバ及び第2ハーフチャンバを閉じた状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜10を参照して、本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置の一実施形態について説明する。
【0019】
図8に示すように、この自動車用流路管の端部開放装置10(以下、「端部開放装置10」という)は、自動車用流路管5の端部に接続されて、異物侵入を防ぎつつ開放部S(図6参照)を形成するものである。
【0020】
この実施形態の自動車用流路管5(以下、「流路管5」という)は、キャニスタを介して燃料タンクに接続されている。そして、燃料タンク内に生じた燃料蒸気によって燃料タンク内の圧力が高くなった場合には流路管5を通して燃料蒸気をキャニスタに送り、燃料蒸気をキャニスタに吸収させて外部への流出を抑制すると共に、燃料タンク側が負圧になった場合には、外気を取り入れて、キャニスタに吸収された燃料を気化させてエンジンに送ったり、燃料タンク内に外気を導入して負圧を解消したりする役割をなす。
【0021】
この流路管5は、図8に示すように、リアフェンダパネル1の内側に設けられた、タイヤハウス2の内部に配置され、その一端部にクランプ5aを介して端部開放装置10が接続され、他端部側は図示しないキャニスタに接続されている。
【0022】
また、タイヤハウス2は、タイヤハウスパネル2aにより車室側と画成されており、その下方は、タイヤTの上半部をカバーするプロテクタ2bにより画成されている。更に、タイヤハウス2の下部内側には、フロアパネル3aを付設したサイドフレーム3が設置されている。また、タイヤハウス2内には、取付パネル4が設置されており、該取付パネル4に端部開放装置10が取付けられるようになっている。更に、タイヤハウス2内には、フューエルフィラーチューブ6が配置されており、その一端部側が給油口に、他端部側が図示しない燃料タンクに接続されており、このフューエルフィラーチューブ6に干渉しないように端部開放装置10が配置される。
【0023】
なお、本発明における「自動車用流路管」としては、上記のようなキャニスタに接続された流路管に限定されるものではなく、自動車用の流路管であって、端部に開放部を形成する必要があるものであればよい。また、流路管の配置箇所もタイヤハウス内のみならず、タイヤハウスとは異なる箇所に、流路管を配置してもよい。
【0024】
そして、図1〜6に示すように、この端部開放装置10は、流路管5の端部に一端部21を接続される接続管20と、該接続管20の他端部23側に一体に形成された第1ハーフチャンバ30(以下、「第1チャンバ30」という)と、該第1チャンバ30に組付けられて、同第1チャンバ30との内側に空間R(図6参照)を形成する第2ハーフチャンバ40(以下、「第2チャンバ40」という)と、第1チャンバ30及び第2チャンバ40を組付けた状態に保持する係合手段とを備えている。また、接続管20の他端部23側には、空間Rに連通する開口25が形成されており、更に図2及び図6に示すように、第1チャンバ30と第2チャンバ40の組付縁部Eの少なくとも一箇所に、一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして形成された開放部Sが設けられている。
【0025】
この実施形態における前記接続管20は、周壁27を有する円筒状をなしており、図6,7に示すように、その他端部23の端面は閉塞されると共に、その周壁に前記開口25が形成され、この開口25を介して、接続管20の内部空間が空間Rに連通している。なお、接続管は、円筒状に限らず、角管状等であってもよい。
【0026】
上記接続管20の他端部23は、第1チャンバ30の長手方向(軸方向)に沿ってほぼ平行に配置され、図7に示すように、周壁27の横断面の半分が第1チャンバ30内に入り込んで、第1チャンバ30に連結された構造となっている。そして、前記接続管20の第1チャンバ30内に配置された周壁27に、空間Rに連通する複数の前記開口25が設けられている(図3及び図6参照)。この実施形態では、接続管20の周方向に沿って伸びる細長いスリット状の開口25が、接続管20の周方向に並列して一対ずつ配置されており、この一対の開口25,25が、接続管20の軸方向に沿って複数列設けられている(図3参照)。
【0027】
次に、第1チャンバ30について説明する。図1図4に示すように、この実施形態における前記第1ハーフチャンバ30は、接続管20の軸方向に沿って長く伸びる半割の円筒状をなしている。
【0028】
具体的には図7に示すように、接続管20の他端部23を横断面(軸方向に直交する断面)で見たときに、周壁27の横断面の半分の位置から、横断面が円弧状をなすように立設し、かつ、接続管20の軸方向に所定長さで伸びる一対の側壁31,31と、該一対の側壁31,31の他端部側(接続管20の他端部23側)を閉塞すると共に接続管20の他端部の端面をもなす端部壁32と、一対の側壁31,31の一端部側よりも、側壁31の他端部寄りにややずれて配置された、接続管20の周壁27から立設されると共に、一対の側壁31,31に連結される端部壁33とを有している。このように、第1チャンバ30が構成されることで、接続管20の横断面半分が第1チャンバ30内に入り込んだ構造をなしている。
【0029】
また、一対の側壁31,31の立設方向先端部、及び、端部壁32,33の立設方向先端部が、本発明における組付縁部Eをなしている。なお、各側壁31及び端部壁32の組付縁部Eは、平坦面状をなしているが、図7に示すように、端部壁33の組付縁部Eは、円弧状に屈曲した形状をなしており、かつ、この端部壁33の先端側屈曲面は、側壁31の組付縁部Eと、第2チャンバ40の周壁41の組付縁部Eとの合わせ面よりも、高く突出した形状をなしている。
【0030】
更に、図1図3及び図7に示すように、一対の側壁31,31の、端部壁33に隣接した位置の内周面からは、互いに平行となるように長板状のガイド壁34,34が、各側壁31の組付縁部Eの内側から所定高さで立ち上がっている。このガイド壁34は、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40が組付けられるときに、第2チャンバ40の内周に挿入配置されて、第2チャンバ40をガイドする。なお、各ガイド壁34の、側壁31の一端部側には第1テーパ面34aが形成されると共に(図5参照)、先端部外面側には第22テーパ面34aが形成されている(図7参照参照)。前記第1テーパ面34aは、第1チャンバ30側の後述する凹部36内に、第2チャンバ40側の後述する凸部46を嵌合させやすくし、前記第2テーパ面34bは、第2チャンバ40内にガイド壁34を挿入させやすくする。
【0031】
また、各側壁31の長手方向両端部であって、組付縁部Eの外側からは、門型の枠状をなした係合凹部35がそれぞれ形成されている(合計4個)。この係合凹部35には、第2チャンバ40の後述する係合凸部45が内側から係合する(図2参照)。なお、係合凹部35の形状は、上記のような枠状に限らず、例えば、内側に凹部が形成された係合片であってもよく、特に限定はされない。
【0032】
更に、各側壁31の組付縁部Eであって、前記ガイド壁34と前記係合凹部35との間には、第2チャンバ30の後述する凸部46が嵌合する、凹部36が形成されている。
【0033】
なお、接続管20の、第1チャンバ30が設けられた部分であって、第1チャンバ30内に入り込まない部分は、第1チャンバ30から膨出した膨出部分27Aをなしている。
【0034】
次に、第2チャンバ40について説明する。この実施形態における第2チャンバ40は、図1に示すように、第1チャンバ30に適合するように、接続管20の軸方向に沿って長く伸びる半割の円筒状をなしており、第1チャンバ30に組付けられたときに、全体として略円筒状をなすと共に内部に空間Rを設けたチャンバが形成されるようになっている。
【0035】
この第2チャンバ40は、横断面が半円形の円弧状をなすと共に、軸方向に所定長さで伸びる周壁41と、該周壁41の長手方向両端部に連結された半円板状をなした端部壁42,43とを有している。すなわち、図3に示すように、第1チャンバ30に対して第2チャンバを開いた状態で、第1チャンバ30側に端部壁42が配置され、第1チャンバ30から離れた側に端部壁43が配置されている。また、周壁41の周方向端部、及び、一対の端部壁32,33の突出方向端部が、組付縁部Eをなしている。
【0036】
また、図1図4に示すように、第2チャンバ40の、一方の端部壁42の組付縁部Eと、前記第1チャンバ30の、一方の端部壁32の組付縁部Eとは、薄肉ヒンジ部47で連結されており、第1チャンバ30と第2チャンバ40とは、薄肉ヒンジ部47を介して一体形成された構造をなしている。そして、両チャンバ30,40は、薄肉ヒンジ部47を屈曲させることにより、縦開きで開閉可能とされている。
【0037】
また、図1に示すように、周壁41の長手方向両端部であって、その周方向両端部の組付縁部Eの外側には、突起状の係合凸部45がそれぞれ突設されており(合計4個)、各係合凸部45は、第1チャンバ30の係合凹部35に内側から係合するようになっている(図2及び図7参照)。
【0038】
更に図1及び図5に示すように、周壁41の長手方向の他端部側(端部壁43側)であって、周方向両端部の組付縁部Eの端面からは、凸部46,46がそれぞれ突設されており、第1チャンバ30の凹部36,36にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0039】
そして、図1図5に示される第1チャンバ30に対して第2チャンバ40が開いた状態で、薄肉ヒンジ部47を屈曲させることにより、第2チャンバ40を閉じると、第1チャンバ30の凹部36に第2チャンバ40の凸部46が嵌合すると共に、第1チャンバ30の組付縁部Eと第2チャンバ40の組付縁部Eとが互いに当接して、第1チャンバ30と第2チャンバ40とが組付けられ、かつ、第1チャンバ30の係合凹部35と第2チャンバ40の係合凸部45とが互いに係合することによって、両チャンバ30,40の組付状態が保持されるようになっている。
【0040】
すなわち、この実施形態では、係合凹部35と係合凸部45とが、本発明における「係合手段」をなし、凹部36と凸部46とが、本発明における「嵌合部」をなしている。
【0041】
なお、係合手段としては、例えば、第1チャンバ側に係合凸部を設け、第2チャンバ側に係合凹部を設けてもよく、また、係合凸部どうしを係合させたりしてもよく、特に限定はされない。
【0042】
また、嵌合部としては、例えば、第1チャンバ側に凸部を設け、第2チャンバ側に凹部を設けてもよく、特に限定はされない。なお、この嵌合部は、第1チャンバ30及び第2チャンバ40の組付縁部Eであって、ガイド壁34と、係合凹部35及び係合凸部45からなる係合手段との間に、設けられている。
【0043】
そして、上記の第1チャンバ30と第2チャンバ40とが組付けられた状態において、図6に示すように、第2チャンバ40の端部壁43は、第1チャンバ30の端部壁33よりも、接続管20の一端部21側に突出しており、両チャンバ30,40の組付縁部Eが軸方向に位置ずれして、空間Rに連通し且つチャンバ外方に開口した開放部Sが設けられるようになっている。
【0044】
なお、この実施形態においては、図6に示すように、第1チャンバ30と第2チャンバ40とが組付けられた状態で、第1チャンバ30と第2チャンバ40の薄肉ヒンジ部47と反対側の組付縁部Eにおいて、薄肉ヒンジ部47からの距離が、一方の縁部(第2チャンバ40の端部壁43の組付縁部E)が他方の縁部(第1チャンバ30の端部壁33の組付縁部E)に比べて大きく設定されているので、それによって一方の縁部が他方の縁部に対して位置ずれして、前記開放部Sが設けられるようになっている。
【0045】
また、上記の第1チャンバ30と第2チャンバ40との組付状態が保持された状態においては、図7に示すように、接続管20の他端部23側を、接続管20の軸方向に沿った断面(横断面)で見たときに、第2チャンバ40の周壁41の組付縁部Eが、第1チャンバ30の係合凹部35とガイド壁34との間に挟持されて、側壁31の組付縁部Eと周壁41の組付縁部Eとが当接するようになっている。
【0046】
なお、この実施形態においては、第1チャンバ30と第2チャンバ40とを組付ける際には、第1チャンバ30の各壁31,32,33の組付縁部Eの端面と、第2チャンバ40の各壁41,42,43の組付縁部Eの端面とを、互いに突き合わせて当接させているが、第1チャンバ側の組付縁部の壁部と、第2チャンバ側の組付縁部の壁部とを、シール性を維持できる程度に所定長さ重なり合わせてもよい。また、この実施形態の場合、第1チャンバと第2チャンバを連結する薄肉ヒンジ部は、チャンバの長手方向の端部壁どうしを連結して、両チャンバ30,40を縦開きするようになっているが、周方向の端部どうしを連結させて両チャンバ30,40を横開きにしてもよく(これについては他の実施形態で説明する)、特に限定はされない。
【0047】
また、この実施形態における両チャンバ30,40はそれぞれ半割の円筒状をなし、組付けることで、接続管20の軸方向に長く伸びる略円筒状のチャンバを構成するようになっているが、チャンバ形状としては、例えば、角筒状や楕円形の筒状をなしていたり、また、接続管の軸方向に直交する方向が幅広とされた横長筒状をなしていたりしてもよく、特に限定はされない。
【0048】
再び接続管20についての説明に戻ると、図1〜4に示すように、この実施形態の接続管20には、流路管5に接続される一端部21と、第1チャンバ30が一体に形成された他端部23との間に、自動車の車体に取付けるためのクリップ50が一体形成されている。
【0049】
この実施形態においては、前記接続管20の周壁27から、接続管20の軸方向に直交する方向に、枠状の台座部51が突設されており、該台座部51を介してクリップ50が設けられている。このクリップ50は、台座部51に連設されたフランジ部52と、該フランジ部52の裏面から垂設した柱部53と、該柱部53の先端からフランジ部52側に向けて斜め外方に碇足状に延設された一対の弾性係合片54,54とを有しており、全体として、接続管20の軸方向に直交する向き(接続管20に対して横向き)に設けられている。
【0050】
そして、一対の弾性係合片54,54が、図8に示す取付パネル4の図示しない取付孔の裏側周縁に係合し、取付孔の表側にフランジ部52が当接することで、クリップ50を介して、自動車の車体に、端部開放装置10が取付けられるようになっている。この実施形態では、第1チャンバ30及び第2チャンバ40に設けられた開放部Sが、下向きに開口するように、クリップ50を介して端部開放装置10が車体に取付けられている(図8参照)。
【0051】
なお、クリップの形状や構造は、特に限定はなく、例えば、柱状部の外周から径方向に延出した複数の弾性係合片を設けたりしてもよく、車体に取付け可能であればよい。
【0052】
次に、上記構成からなる本発明に係る端部開放装置10の作用効果について説明する。
【0053】
まず、チャンバの組付け工程について説明する。
【0054】
図1及び図3〜5に示すように、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40が開いた状態から、薄肉ヒンジ部47を屈曲させつつ第1チャンバ30に対して第2ハーフチャンバ40を閉じていく。すると、第1チャンバ30の一対のガイド壁34,34が、第2チャンバ40の周壁41の内周に挿入されていき、同一対のガイド壁34,34により第2チャンバ40がガイドされつつ押し込まれる。更に第2チャンバ40を閉じると、第1チャンバ30の凹部36に第2チャンバ40の凸部46が嵌合すると共に、第1チャンバ30の各壁31,32の組付縁部Eの端面と、第2チャンバ40の各壁41,42の組付縁部Eの端面とが互いに当接して、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40が閉じて、第1チャンバ30と第2チャンバ40とが組付けられ、更に、第2チャンバ40の各係合凸部45が、第1チャンバ30の各係合凹部35に内側から係合することで、その組付状態が保持される。
【0055】
そして、第1チャンバ30の端部壁33の組付縁部Eは、第2チャンバ40の端部壁43に対して、接続管20の軸方向に位置ずれして配置されるので、チャンバ内に形成される空間Rに連通する連通する開放部Sを設けることができる(図6参照)。
【0056】
また、この実施形態においては、上記のように、第1チャンバ30と第2チャンバ40とを組付けたとき、第1チャンバ30のガイド壁34が第2チャンバ40の内周に挿入されて、同ガイド壁34によって第2チャンバ40をガイドしつつ、第1チャンバ30に設けられた係合凹部35に、第2チャンバ40に設けられた係合凸部45が内側から係合するので、両チャンバ30,40の組付け作業性を向上させることができると共に、第1チャンバ30と第2チャンバ40とが内外にずれないようにして、しっかりと係合させることができる。更に、第1チャンバ30及び第2チャンバ40の組付縁部Eの、ガイド壁34と係合手段(係合凹部35及び係合凸部45)との間には、一方(ここでは第1チャンバ30)に設けられた凹部36と、他方(ここでは第2チャンバ40)に設けられた凸部46とからなる嵌合部が設けられているので、第1チャンバ30に設けられた係合凹部35と、第2チャンバ40に設けられた係合凸部45とを確実に整合させて係合することができ、チャンバ内の通路面積のバラツキを抑制して、チャンバ性能を保持することができる。
【0057】
また、上述したように、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40を閉じていき、第1チャンバ30のガイド壁34が第2チャンバ40の周壁41内に挿入されて、第2チャンバ40の係合凸部45が、第1チャンバ30の係合凹部35の内側から係合する際には、第2チャンバ40の周壁41の組付縁部E側が外径方向に撓み変形しようとする(図7参照)。このような場合でも、図7に示すように、第2チャンバ40の周壁41の組付縁部Eが、第1チャンバ30の係合凹部35とガイド壁34との間に挟持され、周壁41の組付縁部Eの外側に係合凹部35が配置されているので、周壁41の組付縁部Eを外径方向に撓ませつつ、係合凹部35の内側から係合凸部45を係合させることができ、第1チャンバ30に第2チャンバ40を確実に組付けることができる。
【0058】
更に、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40を閉じていく際には、例えば、接続管20を手に持って、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40を握り込むようにして、第2チャンバ40を閉じていく。この際に、図9に示すように、接続管20の、第1チャンバ30から膨出した膨出部分27Aが、親指と他の指との間に位置していると、手が痛くなる。そのため、図10に示すように、接続管20の膨出部分27Aが、親指の腹の部分に位置するように接続管20を持ち替えて、接続管20の膨出部分27Aが手になじむようにして、第1チャンバ30と第2チャンバ40とを握り込むこととなるので、第1チャンバ30と第2チャンバ40との組付け作業性を向上することができる。
【0059】
上記のように第1チャンバ30と第2チャンバ40とを組付けて、開放部Sを設けた後は、接続管20の一端部21を流路管5の一端部内に挿入して、クランプ5aで締付け固定することで、接続管20の一端部に流路管5の一端部を接続する。その後、接続管20に設けたクリップ50の一対の弾性係合片54,54を、図8に示す取付パネル4の図示しない取付孔に挿入してその裏側周縁に係合させ、同取付孔の表側にフランジ部52を当接させることで、クリップ50を介して、自動車の車体に端部開放装置10を取付けることができる。この状態で、第1チャンバ30及び第2チャンバ40に設けられた開放部Sが、下向きに開口する。
【0060】
このように、この実施形態においては、接続管20の、流路管5に接続される一端部21と、第1チャンバ30が一体形成された他端部23との間に、クリップ50が一体形成されている。そのため、接続管20に一体形成されたクリップ50を自動車の車体に固定することにより、流路管5に接続された接続管20を、流路管5に近いところで固定することができるので、接続管20を介して流路管5をしっかりと支持することができる。また、接続管20にクリップ50を設けたことにより、接続管20の一端部21を流路管5の一端部に挿入する際の目安ともなる。
【0061】
そして、燃料タンクの内圧が高まると、燃料蒸気は、燃料タンクに配置されたチェック弁等を介して燃料蒸気配管を通ってキャニスタに送られ、キャニスタ内の活性炭等に吸収され、キャニスタで吸収されなかった余剰空気は流路管5を通って端部開放装置10の開放部Sから排出される。また、エンジンが作動してインテークマニホールドが負圧になったり、燃料タンク内が負圧になると、両者に接続されたキャニスタを介して流路管5内が負圧になり、端部開放装置10の開放部Sから外部の空気が吸引され、この空気は、空間R、接続管20の周壁に形成された細長いスリット状の開口25、接続管20、及び流路管5を通って、キャニスタに導入され、キャニスタの活性炭等に吸着された燃料が気化されて、インテークマニホールドを通してエンジンに供給され、あるいは燃料タンクに戻される。
【0062】
このとき、本願発明では、外気が、第1チャンバ30と第2チャンバ40の組付縁部Eの一方が、他方に対して位置ずれして形成された開放部Sから空間Rを通し、更に接続管20の周壁に形成された細長いスリット状の開口25を通して流入するように構成されているので、図6に示すように、その流入経路を曲折した経路(矢印A参照)とすることができ、外部に漂う虫や、ゴミ、埃等の異物等が接続管20内に入りにくくなり、異物侵入を防ぎつつ外部の流体を流入させることができる。
【0063】
また、第1チャンバ30が接続管20に一体に形成されているので、この第1チャンバ30に第2チャンバ40を組付けるだけの簡単な作業で、開放部Sを形成することができ、部品点数を少なくして簡単な構造にすることができる。更に第1チャンバ30と第2チャンバ40とを組付けて、その組付縁部Eの少なくとも一箇所を位置ずれさせることによって開放部Sが形成されているので、図8に示すように、接続管20を、従来の流路管100のように屈曲させずとも(図8の想像線参照)、開放部Sを下向きあるいは横向きにして異物が入りにくくすることが可能となる。また、接続管20を屈曲させる必要がないため、端部開放装置10をコンパクトにして省スペース化を図ることができると共に、接続管20の長さを短くして自動車の振動等の影響を受けにくくすることができる。
【0064】
更に図8に示すように、従来の流路管100のように、略U字状に屈曲させて開放部Sを下向きにさせた場合の、開放部Sの下端位置B1に比べて、この端部開放装置10においては、開放部Sの下端位置B2を高く確保することができるので、大雨や嵐等で、路面や駐車場等の水嵩が増した場合であっても、開放部Sから水を侵入させにくくことができる。
【0065】
また、この実施形態においては、接続管20の他端部23は、第1チャンバ30に連結されて、その周壁27の一部が第1チャンバ30内に配置され、接続管20の、第1チャンバ30内に配置された周壁27に、空間Rに連通する複数の開口25が設けられている。このように、接続管20の周壁27に空間Rに連通する複数の開口25を設けることにより、開口全体の面積を大きく確保することができるので、外気や燃料蒸気等の流通抵抗を低減できると共に、流入経路をより曲折させやすくすることができ、外部からの異物の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0066】
更に、この実施形態においては、図7に示すように、接続管20の横断面の半分が第1チャンバ30内に入り込んで、同第1チャンバ30に連結されているので、接続管20と第1チャンバ30とを一体形成しやすくすることができると共に、第1チャンバ30内に入り込んだ、接続管20の周壁27をできるだけ広くして、空間Rに連通する開口25を設ける領域を広くとることができ、流通抵抗を更に低減することができる。
【0067】
また、この実施形態においては、第1チャンバ30と第2チャンバ40とは、薄肉ヒンジ部47を介して一体形成され、第1チャンバ30と第2チャンバ40の薄肉ヒンジ部47と反対側の組付縁部E(ここでは第1チャンバ30の端部壁33と第2チャンバ40の端部壁43との組付縁部E)において、薄肉ヒンジ部47からの距離が、一方の縁部(第2チャンバ40の端部壁43の組付縁部E)が他方の縁部(第1チャンバ30の端部壁33の組付縁部E)に比べて大きく設定することにより位置ずれして、開放部Sが設けられている(図6参照)。
【0068】
上記のように、接続管20、第1チャンバ30及び第2チャンバ40を全て一体形成することができると共に、第1チャンバ30と第2チャンバ40の薄肉ヒンジ部47と反対側の組付縁部Eにおいて、薄肉ヒンジ部47からの距離が、一方の縁部が他方の縁部に比べて大きく設定することにより位置ずれして開放部Sが設けられているので、接続管20の開口25と開放部Sとを連通させる流入経路を折り返し構造にして(図6の矢印A参照)、外部からの異物が接続管20内により侵入しにくくすることができる(請求項4の効果)。
【0069】
図11及び図12には、本発明に係る自動車用流路管の端部開放装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0070】
この実施形態の自動車用流路管の端部開放装置10A(以下、「端部開放装置10A」という)は、第1チャンバ30の一方の側壁31の長手方向両端と、第2チャンバ40の周壁41の周方向一端部の、長手方向両端とが、薄肉ヒンジ部47,47により連結されて、第1チャンバ30と第2チャンバ40とが一体形成された構造をなしている。その結果、両チャンバ30,40は、一対の薄肉ヒンジ部47,47を介して、接続管20の周方向に開閉する(横開き)ようになっている。
【0071】
また、第2チャンバ40の周方向他端部(薄肉ヒンジ部47が設けられた周方向端部とは反対側の周方向端部)には、外径方向に箱状に出っ張ると共に、第2チャンバ40の閉じる方向が開口した、開放部形成枠部57が設けられている。更に、第2チャンバ40の周方向他端部であって、その長手方向両端には、係合手段を構成する係合凸部45,45が形成され、第1チャンバ30の、薄肉ヒンジ部47とは反対側の側壁31の長手方向両端には、係合凸部45に係合する係合凹部35,35がそれぞれ形成されている。
【0072】
そして、図11に示すように、第1チャンバ30に対して第2チャンバ40が開いた状態で、第2チャンバ40を閉じると、第1チャンバ30の組付縁部Eと第2チャンバ40の組付縁部Eとが互いに当接して、両チャンバ30,40が組付けられ、係合凹部35と係合凸部45とが係合して組付状態が保持される。この状態では、図12に示すように、第1チャンバ30と第2チャンバ40の、薄肉ヒンジ部47とは反対側において、一方の組付縁部Eに設けた、第2チャンバ40の開放部形成枠部57が、他方の組付縁部Eである第1チャンバ30の側壁31に比べて大きく突出することにより位置ずれして、空間Rに連通し且つチャンバ外方に開口した開放部Sが設けられるようになっている。
【0073】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
5 自動車用流路管(流路管)
10,10A 自動車用流路管の端部開放装置(端部開放装置)
20 接続管
21 一端部
23 他端部
25 開口
27 周壁
30 第1ハーフチャンバ(チャンバ)
34 ガイド壁
35 係合凹部
36 凹部
40 第2ハーフチャンバ(チャンバ)
47 薄肉ヒンジ部
50 クリップ
E 組付縁部
R 空間
S 開放部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12