特許第6739243号(P6739243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6739243-食器洗浄機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739243
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A47L15/46 J
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-113205(P2016-113205)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-217175(P2017-217175A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠二
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−292130(JP,A)
【文献】 特開平08−019504(JP,A)
【文献】 特開2000−116590(JP,A)
【文献】 実開平06−024668(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0223761(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0007574(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L15/00−15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を収納する洗浄槽内のヒータと、洗浄槽内に空気を送風する乾燥ファンと、洗浄槽内の温度を検出する温度センサと、ヒータの過熱を生じたときにオフしてヒータへの通電を停止する過熱防止スイッチとを備える食器洗浄機において、
ヒータにより洗浄槽内の空気を加温しつつ乾燥ファンにより洗浄槽内に空気を送風する乾燥運転の一時停止中に、温度センサの検出温度が、ヒータの熱慣性で過熱防止スイッチがオフする可能性がある洗浄槽内の温度範囲の下限に合わせて設定される所定温度以上である場合にのみヒータに通電することなく乾燥ファンを駆動する送風運転を行うことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
食器類を収納する洗浄槽内のヒータと、洗浄槽内に空気を送風する乾燥ファンと、洗浄槽内の温度を検出する温度センサと、ヒータの過熱を生じたときにオフしてヒータへの通電を停止する過熱防止スイッチとを備える食器洗浄機において、
ヒータにより洗浄槽内の空気を加温しつつ乾燥ファンにより洗浄槽内に空気を送風する乾燥運転の終了後に、温度センサの検出温度が、ヒータの熱慣性で過熱防止スイッチがオフする可能性がある洗浄槽内の温度範囲の下限に合わせて設定される所定温度以上である場合にのみヒータに通電することなく乾燥ファンを駆動する送風運転を行うことを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器類を収納する洗浄槽内のヒータと、洗浄槽内に空気を送風する乾燥ファンと、洗浄槽内の温度を検出する温度センサと、ヒータの過熱を生じたときにオフしてヒータへの通電を停止する過熱防止スイッチとを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の食器洗浄機において、ヒータにより洗浄槽内の空気を加温しつつ乾燥ファンにより洗浄槽内に空気を送風する乾燥運転を一時停止するときや、乾燥運転終了時に、ヒータへの通電と乾燥ファンを同時に停止すると、ヒータの熱慣性によりヒータが過熱して過熱防止スイッチがオフし、再運転できなくなることがある。
【0003】
そこで、従来、乾燥運転の一時停止中に、ヒータに通電することなく乾燥ファンを駆動する送風運転を行い、また、乾燥運転の終了後に、送風運転を所定時間行うものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。これによれば、ヒータが乾燥ファンから送風される空気により冷却され、熱慣性によるヒータの過熱で過熱防止スイッチがオフすることを防止できる。
【0004】
ところで、本願発明者は、乾燥運転を一時停止する際や乾燥運転終了時に洗浄槽内の温度が低いと、送風運転を行わなくても、過熱防止スイッチがオフするほどにはヒータの温度が上昇しないことを知見するに至った。上記従来例のものでは、乾燥運転を一時停止する際や乾燥運転終了時に洗浄槽内の温度が低くても送風運転を行っており、省エネルギー化を図る上で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−292130号公報
【特許文献2】特開2002−253469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、乾燥運転の一時停止中や乾燥運転終了後の無駄な送風運転を行わないようにして、省エネルギー化を図れるようにした食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、食器類を収納する洗浄槽内のヒータと、洗浄槽内に空気を送風する乾燥ファンと、洗浄槽内の温度を検出する温度センサと、ヒータの過熱を生じたときにオフしてヒータへの通電を停止する過熱防止スイッチとを備える食器洗浄機において、本願の第1発明は、ヒータにより洗浄槽内の空気を加温しつつ乾燥ファンにより洗浄槽内に空気を送風する乾燥運転の一時停止中に、温度センサの検出温度が、ヒータの熱慣性で過熱防止スイッチがオフする可能性がある洗浄槽内の温度範囲の下限に合わせて設定される所定温度以上である場合にのみヒータに通電することなく乾燥ファンを駆動する送風運転を行うことを特徴とし、本願の第2発明は、乾燥運転の終了後に、温度センサの検出温度が、ヒータの熱慣性で過熱防止スイッチがオフする可能性がある洗浄槽内の温度範囲の下限に合わせて設定される所定温度以上である場合にのみ送風運転を行うことを特徴とする。
【0008】
第1発明や第2発明によれば、乾燥運転の一時停止中や乾燥運転終了後に送風運転を行うのは、洗浄槽内の温度が高く、熱慣性によるヒータの過熱で過熱防止スイッチがオフする可能性がある場合だけであり、洗浄槽内の温度が低く過熱防止スイッチがオフする可能性がない場合に無駄に送風運転を行うことはなく、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の模式的断面図。
図2】実施形態の食器洗浄機で行う乾燥運転制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態の食器洗浄機は、外装ケース1と、外装ケース1内に扉2aと一体に引き出し自在に収納される洗浄槽2とを備えており、この洗浄槽2内に給水路3を介して水が供給される。給水路3には、給水弁4が介設されている。
【0011】
洗浄槽2内には、食器類Wを載置する食器カゴ2bと、食器カゴ2bに向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル5とが設けられている。また、洗浄槽1の下側には、洗浄槽2の底部に残菜フィルタ2cを介して接続される洗浄・排水ポンプ6が設けられている。洗浄・排水ポンプ6はモータ6aにより正逆転自在である。そして、洗浄・排水ポンプ6を正転させると、洗浄水が洗浄ノズル5を介して洗浄槽2内に循環され、洗浄・排水ポンプ6を逆転させると、洗浄槽2内の洗浄水が排水路7を介して排水される。
【0012】
洗浄槽2内の底部には、洗浄槽2内に給水したときに水面下に沈むようにヒータ8が設けられ、更に、洗浄槽2のヒータ直下の下面に、洗浄槽2内の温度を検出する温度センサ9と、ヒータ8の過熱を生じたときにオフしてヒータ8への通電を停止するバイメタルスイッチや温度ヒューズから成る過熱防止スイッチ10とが設けられている。
【0013】
食器洗浄機は、更に、洗浄槽2内に空気を送風する乾燥ファン11と、上記残菜フィルタ2cを介して洗浄槽1に連通する水室12a内のフロート12bを有し、洗浄槽2内の水位が所定レベルになったときにオンする水位スイッチ12とを備えている。
【0014】
食器洗浄機の運転スイッチをオンすると、先ず、給水弁4が開弁されて、洗浄槽2に給水され、この水に図外の洗剤供給手段から洗剤が混入されて洗浄水が生成される。そして、洗浄槽2内の水位が所定レベルに達して水位スイッチ12がオンしたとき、給水弁4を閉弁させて、給水を停止する。その後、温度センサ9で検出される水温が所定温度になるように洗浄水をヒータ8で加熱しつつ、洗浄・排水ポンプ6を正転させて洗浄水を洗浄ノズル5から噴射させる洗浄運転を所定時間行う。洗浄運転完了後は、洗浄・排水ポンプ6を逆転させて洗浄槽2内の洗浄水を排水する。次に、給水弁4を開弁させて、洗浄槽2に水位スイッチ12がオンするまで給水した後、洗浄・排水ポンプ6を正転させて洗浄ノズル5から水を噴射させるすすぎ運転を所定時間行う。すすぎ運転完了後は、洗浄・排水ポンプ7を逆転させて洗浄槽2内の水を排水し、次に、温度センサ9の検出温度が所定の設定温度になるように洗浄槽1内の空気をヒータ8で加温しつつ乾燥ファン10により洗浄槽2内に空気を送風する乾燥運転を所定時間行う。
【0015】
また、乾燥運転中に一時停止ボタンを押したり扉2aと共に洗浄槽2を引き出すと、一時停止指令が出され、乾燥運転が一時停止される。ここで、乾燥運転を一時停止する際や乾燥運転終了時に、ヒータ8への通電と乾燥ファン11を同時に停止すると、ヒータ8の熱慣性によりヒータ8が過熱して過熱防止スイッチ10がオフしてしまうことがある。過熱防止スイッチ10がオフした場合は、これをオン状態に復帰させるためのメンテナンス作業が必要になり、手間がかかる。
【0016】
これに対し、乾燥運転の一時停止中や乾燥運転終了後に、ヒータ8に通電することなく乾燥ファン11を駆動する送風運転を行えば、ヒータ8が乾燥ファン11から送風される空気により冷却され、熱慣性によるヒータ8の過熱で過熱防止スイッチ10がオフすることを防止できる。但し、乾燥運転を一時停止する際や乾燥運転終了時に洗浄槽2内の温度が低いと、送風運転を行わなくても、過熱防止スイッチ10がオフするほどにはヒータ8の温度が上昇しない。
【0017】
そこで、本実施形態では、乾燥運転時の制御を図2に示す如く行うようにした。即ち、ヒータ8に通電しつつ乾燥ファン11を駆動する乾燥運転(STEP1)中に一時停止指令が出されると(STEP2)、STEP3でヒータ8への通電を停止し、更に、STEP4で温度センサ9の検出温度THが所定温度YTH以上であるか否かを判別する。この所定温度YTHは、ヒータ8の熱慣性で過熱防止スイッチ10がオフする可能性がある洗浄槽2内の温度範囲の下限に合わせて例えば50℃程度に設定される。そして、TH≧YTHであれば、乾燥ファン11を駆動し続けて送風運転を行う。一方、TH<YTHであれば、STEP5に進んで乾燥ファン11を停止する。その後、再スタートボタンを押したり洗浄槽2を押し込んで再スタート指令が出されると(STEP6)、STEP1に戻って乾燥運転を再開する。
【0018】
また、乾燥運転が所定時間行われて、運転終了指令が出されると(STEP7)、STEP8でヒータ8への通電を停止し、更に、STEP9で温度センサ9の検出温度THが所定温度YTH以上であるか否かを判別する。そして、TH≧YTHであれば、乾燥ファン11を駆動し続けて送風運転を行う。一方、TH<YTHであれば、STEP10に進んで乾燥ファン11を停止する。
【0019】
以上の制御によれば、乾燥運転の一時停止中や乾燥運転終了後に送風運転を行うのは、温度センサ9の検出温度THが所定温度YTH以上になる場合、即ち、洗浄槽2内の温度が高く、熱慣性によるヒータ8の過熱で過熱防止スイッチ10がオフする可能性がある場合だけになる。そして、洗浄槽2内の温度が低く過熱防止スイッチ10がオフする可能性がない場合に無駄に送風運転を行うことはなく、省エネルギー化を図ることができる。
【符号の説明】
【0020】
2…洗浄槽、8…ヒータ、9…温度センサ、10…過熱防止スイッチ、11…乾燥ファン。
図1
図2