(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、孔開け加工により受け部材の孔に繰り返しドリルが挿通されることで、ドリルの微小なブレにより受け部材の孔径が徐々に広がる。受け部材の孔径が広がると、ワークの孔開け時に、受け部材の孔とドリルとの間に隙間が生じる。ドリルがワークを貫通する際、受け部材の孔とドリルとの隙間には、ワークを構成する材料の一部が押し出される。このため、ワークに形成された孔の開口縁には、受け部材側に向かって突出するようにバリが発生する。
【0006】
そこで、ワークの孔開け時に、シート状の介在部材を受け部材とワークとの間に挟ませる孔開け装置が開発されている。この装置において、介在部材は、帯状に形成され、例えばリールに巻回された状態で保持される。そして、リールから引き出された介在部材の未使用の部分が、孔開け加工毎に受け部材とワークとの間に挟まれる。この装置を用いた孔開け方法によれば、ワークの受け部材側の開口縁を介在部材により覆うことができる。これにより、ドリルがワークを貫通する際に、ワークを構成する材料が介在部材と接触し、ワークの受け部材側の開口縁から受け部材の孔とドリルとの隙間に押し出されることを防止できる。よって、ワークの孔開け時に、ワークの受け部材側の開口縁にバリが発生することを抑制できる。
【0007】
ところで、受け部材は、孔開け時にワークに接近してワークを押圧し、孔開け後にワークから離間するように動作する。受け部材から独立した位置にリールを取り付けた場合、受け部材がワークに接近する際に、介在部材が引っ張られるので、介在部材をリールから繰り出す必要がある。また受け部材がワークから離間する際に、介在部材をリールに巻き取る必要がある。このように、受け部材がワークに対して接近および離間するたびにリールを動作させる必要がある。そこで、受け部材の動作に連動する位置にリールを取り付けることで、動作する受け部材に介在部材が引っ張られることを抑制でき、リールの動作が不要になる。
【0008】
しかしながら、孔開け装置が異なる孔径の孔を開けるために複数のドリル、およびそれら各ドリルに対応する複数の受け部材を有する場合、各受け部材の動作に連動する位置にそれぞれリールが取り付けられると、限られたスペースに複数のリールを配置することになるので、リールが小型になる。その結果、各リールに巻回される介在部材が短くなるので、リールを交換するために孔開け加工を頻繁に中断しなければならず、製造効率が低下するという課題がある。また、複数のドリルに対して複数のリールを配置すると、装置コストが増加する。
【0009】
そこで本発明は、複数のドリル、および複数の受け部材を有する孔開け装置において、製造効率の低下を抑制しつつ、装置コストの増加を抑制できる孔開け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の孔開け装置は、ワークに孔を開ける第1ドリルおよび第2ドリルと、前記第1ドリルの先端に対向して配置され、前記第1ドリルによる前記ワークの孔開け時に前記ワークを前記第1ドリルに向かって押圧する第1受け部材と、前記第2ドリルの先端に対向して配置され、前記第2ドリルによる前記ワークの孔開け時に前記ワークを前記第2ドリルに向かって押圧する第2受け部材と、前記第1ドリル、前記第2ドリル、前記第1受け部材および前記第2受け部材を内部に収容する筐体と、前記筐体に対して移動可能に設けられ、前記第1ドリル、前記第2ドリル、前記第1受け部材および前記第2受け部材を支持する支持部と、前記第1ドリルによる前記ワークの孔開け時に前記第1受け部材と前記ワークとの間に挟まれ、前記第2ドリルによる前記ワークの孔開け時に前記第2受け部材と前記ワークとの間に挟まれる帯状の介在部材と、前記筐体に対して固定され、前記介在部材を連続して引き出し可能な状態で保持する介在部材供給部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第1ドリルによるワークの孔開け時に第1受け部材とワークとの間に挟まれ、第2ドリルによるワークの孔開け時に第2受け部材とワークとの間に挟まれる介在部材を有するので、各受け部材毎に介在部材供給部が取り付けられる構成と比較して、介在部材供給部を大きく形成することができ、介在部材供給部に介在部材をより多く保持させることができる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。また、1つの介在部材供給部から複数のドリルに対して介在部材を供給するので、装置コストの増加を抑制できる。
なお、介在部材を保持する介在部材供給部が筐体に対して固定されているので、介在部材供給部から引き出された介在部材の搬送経路を、ワークの表面に沿う位置に設定することができる。これにより、各受け部材がワークに接近するように動作する際に、動作する受け部材に介在部材が引っ張られる距離を小さくすることができる。その結果、介在部材供給部の動作を最小限に抑えることができる。
【0012】
上記の孔開け装置において、前記ワークが上部に載置されるワークテーブルを備え、前記介在部材供給部は、前記ワークテーブルよりも上側に設けられている、ことが望ましい。
【0013】
本発明によれば、介在部材供給部がワークテーブルのワークが載置される側に設けられているので、介在部材供給部がワークテーブルの下側に設けられた構成と比較して、介在部材供給部の周囲にスペースを大きく確保することができる。よって、介在部材供給部を大きく形成でき、介在部材供給部に介在部材をより多く保持させることができる。または、介在部材供給部の周囲に作業スペースを大きく確保でき、介在部材供給部の周囲での作業を効率よく行うことが可能となるので、例えば介在部材の交換等による孔開け加工を中断する時間を短縮することができる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。
上記の孔開け装置において、前記第1ドリルおよび前記第2ドリルのそれぞれは、前記ワークの孔開け時に前記ワークを上側から押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材から下側に向かって突出するドリルビットと、を有する、ことが望ましい。
【0014】
上記の孔開け装置において、前記筐体は、前記介在部材供給部を内部に収容するとともに、前記介在部材供給部を外部に露出させる窓部を備え、前記介在部材供給部は、前記支持部の前記窓部側に配置されている、ことが望ましい。
【0015】
本発明によれば、介在部材供給部の周囲での作業を、窓部を通じて効率よく行うことが可能となるので、例えば介在部材の交換等による孔開け加工を中断する時間を短縮することできる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。
【0016】
上記の孔開け装置において、前記介在部材は、前記介在部材供給部においてリールに巻回されている、ことが望ましい。
【0017】
本発明によれば、介在部材を連続して引き出し可能な状態で保持する介在部材供給部を容易に形成することができる。
【0018】
上記の孔開け装置において、前記介在部材供給部は、前記リールの回転を規制可能なブレーキ機構を備える、ことが望ましい。
【0019】
本発明によれば、各受け部材がワークに接近するように動作する際に、ブレーキ機構によりリールの回転を規制することで、受け部材に引っ張られて介在部材供給部から介在部材が引き出されることを防止できる。
【0020】
上記の孔開け装置において、前記介在部材供給部は、前記リールに対して回転抵抗を付与するダンパーを備える、ことが望ましい。
【0021】
本発明によれば、未使用の介在部材をリールから引き出す際に、リールが空回りして介在部材が弛むことを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1ドリルによるワークの孔開け時に第1受け部材とワークとの間に挟まれ、第2ドリルによるワークの孔開け時に第2受け部材とワークとの間に挟まれる介在部材を有するので、各受け部材毎に介在部材供給部が取り付けられる構成と比較して、介在部材供給部を大きく形成することができ、介在部材供給部に介在部材をより多く保持させることができる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。また、1つの介在部材供給部から複数のドリルに対して介在部材を供給するので、装置コストの増加を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る孔開け装置の斜視図である。
図1に示すように、孔開け装置1は、ドリルを鉛直方向に移動させて、プリント基板等のワークWに孔を開ける装置である。孔開け装置1は、ワークWに孔開けする一対の加工ユニット11と、ワークWを撮像する一対の撮像ユニット12と、加工ユニット11および撮像ユニット12を内部に収容する直方体状の筐体3と、筐体3内に配置された下架台5および一対の上架台7と、ワークWが上部に載置されるとともに搬送機構(不図示)により筐体3に対して移動可能に設けられたワークテーブル9と、を備えている。なお、本実施形態では、搬送機構によるワークテーブル9の移動方向は、水平の一方向に設定されている。以下の説明では、ワークテーブル9の移動方向をX方向といい、X方向に直交する水平方向をY方向といい、X方向およびY方向に直交する鉛直方向をZ方向という。また、
図1に示す白抜きの矢印は、作業者の定位置であり、作業者は白抜きの矢印が指向する方向(X方向)に向かって立ち、ワークWの搬入出を行う。以下の説明では、X方向のうち、孔開け装置1に対する作業者の定位置側を手前側といい、その反対側を奥側という。
【0025】
図2は、実施形態に係る孔開け装置の一部構成を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る孔開け装置の一部構成を示す正面図である。
下架台5は、筐体3に固定され、孔開け装置1における不動部分となっている。
図2に示すように、下架台5は、XY平面に沿う矩形板状に形成されている。下架台5の中央部には、矩形状の貫通孔5aが形成されている。下架台5の上部には、Y方向に平行な直線ガイド13が取り付けられている。直線ガイド13の上部には、一対の移動架台15がY方向にスライド移動可能な状態でY方向に並んで支持されている。また、下架台5の上部には、一対のボールねじ17が直線ガイド13に平行に取り付けられている。一対のボールねじ17は、移動架台15をそれぞれY方向に移動させるものであり、下架台5と各移動架台15との間にそれぞれ配置されている。各ボールねじ17は、モータ19により駆動する。
【0026】
各移動架台15の上部には、X方向に平行な直線ガイド21がそれぞれ取り付けられている。各直線ガイド21の上部には、それぞれ後述する支持架台51(支持部)がX方向にスライド移動可能な状態で支持されている。また、
図3に示すように、各移動架台15の上部には、それぞれボールねじ23(
図3参照)が直線ガイド21に平行に取り付けられている。ボールねじ23は、支持架台51をそれぞれX方向に移動させるものであり、移動架台15と支持架台51との間に配置されている。各ボールねじ23は、モータ25により駆動する。
【0027】
図1に示すように、一対の上架台7は、それぞれ下架台5の上側に配置されている。一対の上架台7は、それぞれ筐体3に固定され、孔開け装置1における不動部分となっている。各上架台7は、XY平面に沿う矩形板状に形成され、Y方向に間隔をあけて並設されている。一対の上架台7は、ZX平面に対して互いに面対称に形成されている。各上架台7には、Y方向内側の端縁から外側に向かって矩形状に切り欠かれた切欠部7aが形成されている。切欠部7aは、X方向において下架台5の貫通孔5a(
図2参照)と同じ位置に形成されている。
【0028】
筐体3のうち、一対の上架台7の上側には、X方向手前側に開口する窓部3aが形成されている。窓部3aは、Y方向における略全体に亘って形成されている。窓部3aは、筐体3の内部に収容された加工ユニット11の一部を外部に露出する。これにより、窓部3aを介して加工ユニット11に対して作業者が各種作業を行うことができる。なお、図示するように、窓部3aは、通常時には前面パネル3bにより閉塞された状態となっている。
【0029】
ワークテーブル9は、一対の上架台7上に跨って配置されている。ワークテーブル9は、載置されるワークWの形状に合わせて矩形状に形成されている。ワークテーブル9のY方向中央部には、載置されたワークWを真空チャックするための複数の吸着孔からなる吸着部9aが形成されている。また、ワークテーブル9の4箇所の角部、およびY方向両端部におけるX方向中央部には、それぞれワークWの孔開け用の貫通孔9bが形成されている。貫通孔9bは、ワークテーブル9に載置されるワークWに対して予め設定された孔開け位置に対応して形成されている。ワークテーブル9は、筐体3の窓部3a内を通じてX方向に移動する。なお、窓部3aが前面パネル3bにより閉塞されている場合には、ワークテーブル9は、前面パネル3bと一対の上架台7との隙間を通じてX方向に移動する。
【0030】
一対の加工ユニット11は、孔開け装置1におけるY方向両側にそれぞれ設けられている。一対の加工ユニット11は、ZX平面に対して互い面対称に形成されているので、以下の説明では、定位置に立つ作業者から見て左側の加工ユニット11のみ図示して説明する場合がある。
【0031】
図1および
図2に示すように、加工ユニット11は、ワークテーブル9の上側に配置された第1ドリル31および第2ドリル32と、ワークテーブル9を挟んで第1ドリル31の反対側に配置された第1押圧ユニット41と、ワークテーブル9を挟んで第2ドリル32の反対側に配置された第2押圧ユニット42と、第1ドリル31、第2ドリル32、第1押圧ユニット41および第2押圧ユニット42を支持する支持架台51と、を備えている。
【0032】
支持架台51は、上架台7の切欠部7aの内側に配置されている。支持架台51は、底壁52と側壁53と上壁54とを有するU字状に形成され、X方向から見てY方向の内側に向かって開口している。支持架台51は、X方向に移動可能なワークテーブル9との接触を回避するように配置されている。支持架台51の上壁54は、ワークテーブル9の上側に配置されている。支持架台51の底壁52は、ワークテーブル9の下側に配置されるとともに、上述した直線ガイド21の上部に支持されている。これにより、支持架台51は、下架台5に対してXY方向に移動可能となっている。
【0033】
図1に示すように、第1ドリル31は、支持架台51の上壁54におけるY方向内側の端部に取り付けられている。第1ドリル31は、スピンドル33と、支持架台51に対してスピンドル33をZ方向に沿って移動させるスピンドル移動機構(不図示)と、スピンドル33の下端部に保持されたドリルビット34(
図3参照)と、ドリルビット34を覆う押さえ部材35と、を備えている。スピンドル移動機構は、スピンドル33と支持架台51との間に設けられている。押さえ部材35は、箱状に形成され、スピンドル33の下端部に対して摺動可能に取り付けられている。押さえ部材35の下端部には、ドリルビット34と同軸の貫通孔が形成されている。ドリルビット34を回転駆動させた状態でスピンドル移動機構によりスピンドル33を下側に移動させると、押さえ部材35がワークWを上側から押さえつつ、ドリルビット34が押さえ部材35の貫通孔から下側に向かって突出し、ワークテーブル9上に載置されたワークWに孔を開ける。
【0034】
第2ドリル32は、支持架台51の上壁54において、第1ドリル31と並んで第1ドリル31よりもY方向外側に取り付けられている。第2ドリル32は、第1ドリル31と同様に、スピンドル33と、スピンドル移動機構(不図示)と、ドリルビット34(
図3参照)と、押さえ部材35と、を備えている。なお、第1ドリル31が有するドリルビット34とは異なる径を有するドリルビット34を第2ドリル32に備えさせることで、1つの加工ユニット11により異なる孔径の孔を開けることが可能となる。
【0035】
図2および
図3に示すように、第1押圧ユニット41は、支持架台51の底壁52の上部に取り付けられている。第1押圧ユニット41は、基部43と、基部43をZ方向に沿って移動させる移動機構(不図示)と、基部43の上部に着脱可能に取り付けられた第1ブッシュ44(第1受け部材)と、を備えている。移動機構は、例えばエアシリンダ等であり、基部43と支持架台51の底壁52との間に設けられている。第1ブッシュ44は、例えばメラミン樹脂やガラスエポキシ等により直方体状に形成されており、Z方向から見て第1ドリル31のドリルビット34の断面形状よりも大きい正方形状に形成されている。第1ブッシュ44は、第1ドリル31のドリルビット34の先端(下端)に対向して配置され、基部43の上端部に嵌合されている。第1ブッシュ44は、第1ドリル31によるワークWの孔開け時に、ワークWを第1ドリル31に向かって押圧する。
【0036】
第2押圧ユニット42は、支持架台51の底壁の上部において、第1押圧ユニット41と並んで第1押圧ユニット41よりもY方向外側に取り付けられている。第2押圧ユニット42は、第1押圧ユニット41と同様に形成され、基部43と、移動機構(不図示)と、第2ブッシュ45(第2受け部材)と、を備えている。第2ブッシュ45は、Z方向から見て第2ドリル32のドリルビット34の断面形状よりも大きい正方形状に形成されている。第2ブッシュ45は、第2ドリル32のドリルビット34の先端(下端)に対向して配置され、基部43の上端部に嵌合されている。第2ブッシュ45は、第2ドリル32によるワークWの孔開け時に、ワークWを第2ドリル32に向かって押圧する。
【0037】
また、
図1に示すように、加工ユニット11は、帯状の介在部材Sと、介在部材Sを保持する介在部材供給部60と、介在部材供給部60から介在部材Sを引き出す介在部材引出部80と、を有する。
介在部材Sは、ワークWの孔開け時に、ブッシュ44,45(
図3参照)とワークWとの間に挟まれる。介在部材Sは、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の樹脂材料により帯状に形成されたフィルムである。介在部材Sの厚みは、例えば100μm程度となっている。
【0038】
図4は、実施形態に係る介在部材供給部の側面図である。
図5は、実施形態に係る介在部材供給部の平面図である。
介在部材供給部60は、介在部材Sを連続して引き出し可能な状態で保持している。介在部材供給部60は、ワークテーブル9よりも上側において、支持架台51に対して筐体3の窓部3a側(X方向の手前側)に配置されている。
図1、
図4および
図5に示すように、介在部材供給部60は、介在部材Sが巻回されたリール61と、リール61を回転可能に保持する保持部63と、リール61の回転を規制可能なブレーキ機構65と、リール61に対して回転抵抗を付与するダンパー67と、介在部材Sの有無を検出可能な検出部69と、を備えている。
【0039】
リール61は、筐体3の窓部3aを通じて外部に露出する位置に配置されている。リール61は、X方向に平行な軸回りに回転可能に設けられている。リール61のシャフトのX方向奥側の端部には、プーリー71が設けられている。
【0040】
保持部63は、筐体3に対して固定されている。保持部63は、筐体3に取り付けられた矩形板状の上板部63aと、上板部63aのX方向手前側の端縁から下側に向かって垂れ下がる前板部63bと、前板部63bの下端縁からX方向手前側に向かって延びる下板部63cと、上板部63aのX方向奥側の端縁から下側に向かって垂れ下がる奥板部63dと、を有する。下板部63cは、リール61のシャフトを回転可能に支持している。前板部63bおよび奥板部63dには、シャフト73が回転可能に支持されている。シャフト73は、X方向に平行に設けられている。シャフト73の両端部は、前板部63bおよび奥板部63dからそれぞれ突出している。シャフト73のX方向の手前側の端部には、プーリー75が設けられている。プーリー75は、タイミングベルト77を介してリール61のシャフトに設けられたプーリー71と連結している。これにより、シャフト73は、リール61の回転に伴って回転する。
【0041】
ブレーキ機構65は、保持部63の前板部63bと奥板部63dとの間に取り付けられている。ブレーキ機構65は、圧縮空気により駆動される空気ブレーキであって、シャフト73の回転を規制可能となっている。これにより、ブレーキ機構65は、リール61の回転を規制可能となっている。
【0042】
ダンパー67は、保持部63の奥板部63dのX方向奥側に取り付けられている。ダンパー67は、ロータリーダンパーであって、シャフト73のX方向奥側の端部に連結されている。ダンパー67は、シャフト73に対して回転抵抗を付与する。これにより、ダンパー67は、リール61に対して回転抵抗を付与している。
検出部69は、保持部63の下板部63cの下部に取り付けられている。検出部69は、ファイバセンサであって、リール61から引き出された介在部材Sの有無を検出する。
【0043】
図1に示すように、リール61に巻回された介在部材Sは、下側に向かって引き出された後、保持部63に設けられた第1ローラ79aおよび第2ローラ79bを回り込み、X方向奥側、下側へと順に向かって折り返されている。その後、介在部材Sは、Z方向におけるワークテーブル9の下面と略同じ位置において、上架台7に設けられた第3ローラ79c、第4ローラ79dおよび第5ローラ79eを回り込み、Y方向内側、X方向奥側、Y方向内側へと順に向かって折り返されている。第5ローラ79eにおいて折り返された介在部材Sは、ワークテーブル9の下面に沿って延びている。
【0044】
図3に示すように、介在部材引出部80は、下架台5の貫通孔5a内(
図2参照)に配置されている。介在部材引出部80は、下架台5に取り付けられたベース部81と、上架台7に支持されたガイド筒83と、ベース部81に支持された第1チャック部85および第2チャック部87と、を有する。
【0045】
ガイド筒83は、ワークテーブル9の下面に対向する開口部を有する上端部から、下側に向かうに従いY方向内側に向かって傾斜して延び、さらに下側に向かって延びている。ガイド筒83の下端部には、下側に向かって開口した開口部が形成されている。ガイド筒83は、ワークテーブル9の下面に沿って延びた介在部材Sを上端部の開口部で受け入れ、内部に入り込んだ介在部材Sを下端部の開口部から排出している。
【0046】
第1チャック部85は、ベース部81のX方向手前側に取り付けられている。第1チャック部85は、ガイド筒83の下端部の下側に設けられている。第1チャック部85は、ガイド筒83の下端部の開口部から下側に向かって引き出された介在部材Sを、Y方向両側から挟持可能に設けられている。第1チャック部85は、圧縮空気により駆動される。
【0047】
第2チャック部87は、ベース部81のX方向手前側に取り付けられている。第2チャック部87は、第1チャック部85の下側に設けられている。第2チャック部87は、ガイド筒83の下端部の開口部から下側に向かって引き出された介在部材Sを、第1チャック部85よりも下側においてY方向両側から挟持可能に設けられている。また、第2チャック部87は、Z方向に沿って所定量移動可能になっている。第2チャック部87は、圧縮空気により駆動される。
【0048】
介在部材引出部80は、第1チャック部85が介在部材Sの挟持を解除し、第2チャック部87が介在部材Sを挟持した状態で、第2チャック部87を下側に向かって所定量移動させることで、介在部材供給部60のリール61から介在部材Sを所定量引き出す。
【0049】
上述した加工ユニット11は、X方向において予め設定された領域においてのみ孔開け可能とされ、その領域において介在部材Sがワークテーブル9の下面に沿って配置されている。すなわち、介在部材Sは、孔開け装置1における不動位置を走行し、その位置にワークWの孔開け箇所を移動させて孔開けを行う。ワークWのX方向における孔開け位置の粗調整は、ワークテーブル9の移動により行う。ワークWのX方向における孔開け位置の微調整、およびワークWのY方向における孔開け位置の調整は、第1ドリル31または第2ドリル32の移動により行う。
【0050】
図2、3に示すように、一対の撮像ユニット12は、一対の加工ユニット11と同様に、孔開け装置1におけるY方向両側にそれぞれ設けられている。一対の撮像ユニット12は、ZX平面に対して互いに面対称に形成されている。
【0051】
図2に示すように、各撮像ユニット12は、X線照射器57と、X線カメラ59と、を有する。X線照射器57は、支持架台51の上壁54における第1ドリル31および第2ドリル32のX方向奥側に取り付けられている。X線照射器57は、ワークWにX線を照射する。X線カメラ59は、支持架台51の底壁52に取り付けられている。X線カメラ59は、ワークWに照射されたX線の透過像を撮像する。
【0052】
以下、本実施形態の孔開け装置1の動作について、
図6から
図14を参照して説明する。本実施形態では、第1ドリル31および第2ドリル32の両方を用いて、ワークWに孔径の異なる2種類の孔を開ける。なお、以下の説明では、Y方向両側の加工ユニット11がワークWに対して同時に孔を開ける場合について説明する。
図6から
図14は、実施形態に係る孔開け装置の動作説明図である。
図6、
図7、
図9および
図11から
図14は、孔開け装置1の斜視図である。
図8および
図10は、孔開け装置1の要部の正面図である。
【0053】
最初に、ワークWのX方向奥側の両角部に、第1ドリル31により孔を開ける。
まず、
図6に示すように、ワークWの孔を開ける位置がZ方向から見てワークテーブル9の各貫通孔9bに入るように、ワークWをワークテーブル9上に載置する。次いで、ワークテーブル9のX方向奥側に形成された貫通孔9bがZ方向から見て介在部材Sと重なるように、ワークテーブル9を移動させる。また、撮像ユニット12がZ方向から見て貫通孔9bと重なるように、支持架台51を移動させる。次いで、撮像ユニット12によりワークWを撮像し、孔を開ける位置のXY座標を取得する。
【0054】
次に、
図7に示すように、支持架台51を移動させ、取得したXY座標に向かって第1ドリル31を移動させる。
次に、
図8に示すように、第1押圧ユニット41の移動機構により、第1押圧ユニット41の基部43を上側に向かって移動させる。この際、介在部材供給部60において、ブレーキ機構65によりリール61の回転を規制する。そして、基部43の上部に取り付けられた第1ブッシュ44をワークテーブル9の貫通孔9b内に入れ込む。すると、ワークテーブル9の下面に沿って配置された介在部材Sは、第1ブッシュ44に引っ張られるようにして、貫通孔9b内に入り込む。そして、介在部材Sを挟んで第1ブッシュ44をワークWに接触させる。なお、第1ブッシュ44を貫通孔9b内に入れ込む時点では、貫通孔9bの下側には、介在部材Sの未使用の部分(孔の開いていない部分)が位置するように、介在部材引出部80により介在部材Sを移動させておく。
【0055】
次に、
図9および
図10に示すように、第1ドリル31によりワークWに孔を開ける。具体的に、スピンドル33によりドリルビット34を回転させながら、スピンドル移動機構(不図示)によりスピンドル33を下側に向かって移動させる。これにより、ワークWに対して下側から接触する第1ブッシュ44によりワークWを上側に向かって押圧しつつ、ドリルビット34によりワークWに上側から孔を開けることができる。
【0056】
続いて、ワークWのX方向手前側の両角部に、第1ドリル31により孔を開ける。
最初に、
図9および
図10に示す状態から、ドリルビット34を上側に退避させるとともに、第1ブッシュ44を下側に退避させる。次いで、
図11に示すように、ワークテーブル9のX方向手前側に形成された貫通孔9bがZ方向から見て介在部材Sと重なるように、ワークテーブル9を移動させる。また、撮像ユニット12がZ方向から見て貫通孔9bと重なるように、支持架台51を移動させる。次いで、撮像ユニット12によりワークWを撮像し、孔を開ける位置のXY座標を取得する。
【0057】
次に、
図12に示すように、支持架台51を移動させ、取得したXY座標に向かって第1ドリル31を移動させる。
次に、
図8に示す状態と同様に、ブレーキ機構65によりリール61の回転を規制しつつ、第1押圧ユニット41の第1ブッシュ44をワークテーブル9の貫通孔9b内に入れ込み、介在部材Sを挟んで第1ブッシュ44をワークWに接触させる。なお、第1ブッシュ44を貫通孔9b内に入れ込む時点では、ブレーキ機構65の空気ブレーキを作動させてリール61の回転を規制した状態で、貫通孔9bの下側に介在部材Sの未使用の部分(孔の開いていない部分)が位置するように、介在部材引出部80により介在部材Sを移動させておく。
【0058】
次に、
図13に示すように、第1ドリル31によりワークWに孔を開ける。具体的に、スピンドル33によりドリルビット34を回転させながら、スピンドル移動機構(不図示)によりスピンドルを下側に向かって移動させる。これにより、ワークWに対して下側から接触する第1ブッシュ44によりワークWを上側に向かって押圧しつつ、ドリルビット34によりワークWに上側から孔を開けることができる。
【0059】
続いて、ワークWのX方向中央部に、第2ドリル32により孔を開ける。
最初に、
図13に示す状態から、第1ドリル31のドリルビット34を上側に退避させるとともに、第1ブッシュ44を下側に退避させる。次いで、ワークテーブル9のX方向中央部に形成された貫通孔9bがZ方向から見て介在部材Sと重なるように、ワークテーブル9を移動させる。また、撮像ユニット12がZ方向から見て貫通孔9bと重なるように、支持架台51を移動させる。次いで、撮像ユニット12によりワークWを撮像し、孔を開ける位置のXY座標を取得する。
【0060】
次に、第1ドリル31による孔開けと同様に、撮像ユニット12により取得した孔を開ける位置のXY座標に向かって第2ドリル32を移動させる。次いで、
図14に示すように、第2押圧ユニット42の第2ブッシュ45によりワークWを上側に向かって押圧しつつ、第2ドリル32のドリルビット34を回転させながら下側に移動させることで、ワークWに上側から孔を開けることができる。なお、第2ブッシュ45を貫通孔9b内に入れ込む時点では、貫通孔9bの下側には、介在部材Sの未使用の部分が位置するように、介在部材引出部80により介在部材Sを移動させておく。そして、介在部材Sの未使用の部分を挟んで第2ブッシュ45をワークWに接触させる。
以上により、ワークWに6か所の孔を開けることができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、第1ドリル31によるワークWの孔開け時に第1ブッシュ44とワークWとの間に挟まれ、第2ドリル32によるワークWの孔開け時に第2ブッシュ45とワークWとの間に挟まれる介在部材Sを有するので、各受け部材毎に介在部材供給部が取り付けられる構成と比較して、介在部材供給部60(リール61)を大きく形成することができ、介在部材供給部60に介在部材Sをより多く保持させることができる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。
また、1つの介在部材供給部60から複数のドリル(第1ドリル31および第2ドリル32)に対して介在部材Sを供給するので、装置コストの増加を抑制できる。
【0062】
なお、介在部材供給部60が筐体3に対して固定されているので、介在部材供給部60から引き出された介在部材Sの搬送経路を、ワークWの下面に沿う位置(ワークテーブル9の下面に沿う位置)に設定することができる。これにより、各ブッシュ44,45がワークWに接近するように動作する際に、動作するブッシュ44,45に介在部材Sが引っ張られる距離を小さくすることができる。その結果、介在部材供給部60の動作を最小限に抑えることができる。
【0063】
また、介在部材供給部60がワークテーブル9のワークWが載置される側に設けられているので、介在部材供給部がワークテーブルの下側に設けられた構成と比較して、介在部材供給部60の周囲にスペースを大きく確保することができる。よって、介在部材供給部60を大きく形成でき、介在部材供給部60に介在部材Sをより多く保持させることができる。または、介在部材供給部60の周囲に作業スペースを大きく確保でき、介在部材供給部60の周囲での作業を効率よく行うことが可能となるので、例えば介在部材Sの交換等による孔開け加工を中断する時間を短縮することができる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。
【0064】
また、介在部材供給部60は、支持架台51における筐体3の窓部3a側に配置されているので、介在部材供給部60の周囲での作業を、窓部3aを通じて効率よく行うことが可能となる。このため、例えば介在部材Sの交換(リール61の交換)等による孔開け加工を中断する時間を短縮することできる。したがって、製造効率の低下を抑制できる。
【0065】
また、介在部材Sは、介在部材供給部60においてリール61に巻回されているので、介在部材Sを連続して引き出し可能な状態で保持する介在部材供給部60を容易に形成することができる。
【0066】
また、介在部材供給部60は、リール61の回転を規制可能なブレーキ機構65を備えるので、各ブッシュ44,45がワークWに接近するように動作する際に、ブレーキ機構65によりリール61の回転を規制することで、ブッシュ44,45に引っ張られて介在部材供給部60から介在部材Sが引き出されることを防止できる。
【0067】
また、介在部材供給部60は、リール61に対して回転抵抗を付与するダンパー67を備えるので、未使用の介在部材Sをリール61から引き出す際に、リール61が空回りして介在部材Sが弛むことを抑制できる。
【0068】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、介在部材供給部60が筐体3に直接固定されているが、介在部材供給部は、筐体3に対して相対的に固定された位置に配置されていればよく、例えば筐体3に固定された上架台7に固定されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、孔開け装置1が一対の加工ユニット11を備えているが、これに限定されず、1個の加工ユニットを備えた構成であってもよい。
また、上記実施形態においては、各加工ユニット11が第1ドリル31および第2ドリル32を備えているが、これに限定されるものではない。各加工ユニットは、複数のドリルを備えていればよく、その複数のドリルのうち、少なくとも2個のドリルと、その各ドリルに対応する受け部材との間に介在部材Sが挟まれる構成であれば、上述した作用効果を奏することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、介在部材Sを形成する材料としてPETを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。介在部材Sを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンや、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリフェニレンサリファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アルミ蒸着フィルム等が挙げられる。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。