(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、孔開け加工により受け部材の孔に繰り返しドリルが挿通されることで、ドリルの微小なブレにより受け部材の孔径が徐々に広がる。受け部材の孔径が広がると、ワークの孔開け時に、受け部材の孔とドリルとの間に隙間が生じる。ドリルがワークを貫通する際、受け部材の孔とドリルとの隙間には、ワークを構成する材料の一部が押し出される。このため、ワークに形成された孔の開口縁には、受け部材側に向かって突出するようにバリが発生する。
【0006】
そこで、ワークの孔開け時に、シート状の介在部材を受け部材とワークとの間に挟ませる孔開け装置が開発されている。この装置において、介在部材は、帯状に形成され、例えばリールに巻回された状態で保持される。そして、リールから引き出された介在部材の未使用の部分が、孔開け加工毎に受け部材とワークとの間に挟まれる。この装置を用いた孔開け方法によれば、ワークの受け部材側の開口縁を介在部材により覆うことができる。これにより、ドリルがワークを貫通する際に、ワークを構成する材料が介在部材と接触し、ワークの受け部材側の開口縁から受け部材の孔とドリルとの隙間に押し出されることを防止できる。よって、ワークの孔開け時に、ワークの受け部材側の開口縁にバリが発生することを抑制できる。
【0007】
ところで、受け部材は、ワークを押圧する際に、ワークを押圧する位置とワークから離間する位置との間を移動する。ワークへの新たな孔開け時には、介在部材をリールから所定量だけ引き出して、介在部材の使用済み部分をドリルの下から送り出した後、受け部材をワークに向かって移動させる。受け部材がワークに向かって移動すると、介在部材が受け部材に引っ張られ、介在部材の使用済みの部分がワークと受け部材との間に戻ってしまう可能性がある。また、受け部材がワークから離間すると、介在部材が弛んだ状態になる。その結果、リールから介在部材を引き出す際に、正確に所定量だけ引き出すことができず、介在部材の使用済みの部分をワークと受け部材との間に再び配置してしまう可能性がある。したがって、ワークのバリの発生を防止することができないおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、バリの発生を確実に防止できる孔開け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の孔開け装置は、ワークに孔を開けるドリルと、前記ドリルの先端に対向して配置され、前記ワークの孔開け時に前記ワークを前記ドリルに向かって押圧する受け部材と、前記ワークの孔開け時に前記受け部材と前記ワークとの間に挟まれる帯状の介在部材と、前記介在部材を連続して引き出し可能な状態で保持するとともに、前記介在部材を前記受け部材と前記ワークとの間に供給する介在部材供給部と、前記受け部材と前記ワークとの間よりも前記介在部材の引き出し方向の下流側に設けられ、前記介在部材供給部から前記介在部材を引き出す介在部材引出部と、を備え、前記介在部材引出部は、前記介在部材を挟持可能な第1チャック部と、前記第1チャック部よりも前記介在部材の引き出し方向の下流側に設けられ、前記介在部材を挟持して前記介在部材の引き出し方向の下流側に所定量移動可能な第2チャック部と、を含み、前記第2チャック部は、前記第2チャック部に対して前記介在部材の引き出し方向の下流側に向かって所定負荷をかける加圧手段を有
し、前記第2チャック部が前記介在部材を挟持し、前記加圧手段による負荷に抗して前記介在部材の引き出し方向の上流側に向かって前記介在部材に負荷がかかった状態で前記ワークの孔開けを行う、ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、受け部材がワークに向かって移動する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけながら介在部材を上流側に向かって引っ張ることができる。その結果、介在部材が受け部材に引っ張られた際の慣性により所望の量よりも多く引き戻されて、受け部材とワークとの間から送り出された介在部材の使用済み部分が再び受け部材とワークとの間に戻ることを防止できる。また、受け部材がワークから離間する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけることで介在部材を下流側に移動させることができる。その結果、受け部材に引っ張られて引き戻された介在部材を、再び下流側に移動させることができるので、介在部材が弛むことを抑制することが可能となる。よって、介在部材引出部から介在部材を正確に所定量だけ引き出すことができるので、介在部材の使用済みの部分がワークと受け部材との間に再び配置されることを防止できる。したがって、バリの発生を確実に防止できる。
【0011】
本発明の孔開け装置は、ワークに孔を開けるドリルと、前記ドリルの先端に対向して配置され、前記ワークの孔開け時に前記ワークを前記ドリルに向かって押圧する受け部材と、前記ワークの孔開け時に前記受け部材と前記ワークとの間に挟まれる帯状の介在部材と、前記介在部材を連続して引き出し可能な状態で保持するとともに、前記介在部材を前記受け部材と前記ワークとの間に供給する介在部材供給部と、前記受け部材と前記ワークとの間よりも前記介在部材の引き出し方向の下流側に設けられ、前記介在部材供給部から前記介在部材を引き出す介在部材引出部と、を備え、前記介在部材引出部は、前記介在部材を挟持可能な第1チャック部と、前記第1チャック部よりも前記介在部材の引き出し方向の下流側に設けられ、前記介在部材を挟持して前記介在部材の引き出し方向の下流側に所定量移動可能な第2チャック部と、を含み、前記第2チャック部は、前記第2チャック部に対して前記介在部材の引き出し方向の下流側に向かって所定負荷をかける、バネである
加圧手段を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、
受け部材がワークに向かって移動する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけながら介在部材を上流側に向かって引っ張ることができる。その結果、介在部材が受け部材に引っ張られた際の慣性により所望の量よりも多く引き戻されて、受け部材とワークとの間から送り出された介在部材の使用済み部分が再び受け部材とワークとの間に戻ることを防止できる。また、受け部材がワークから離間する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけることで介在部材を下流側に移動させることができる。その結果、受け部材に引っ張られて引き戻された介在部材を、再び下流側に移動させることができるので、介在部材が弛むことを抑制することが可能となる。よって、介在部材引出部から介在部材を正確に所定量だけ引き出すことができるので、介在部材の使用済みの部分がワークと受け部材との間に再び配置されることを防止できる。したがって、バリの発生を確実に防止できる。そして、介在部材に所定負荷をかける加圧手段を容易に形成することができる。
【0013】
上記の孔開け装置において、前記第1チャック部および前記第2チャック部は、圧縮空気により駆動される、ことが望ましい。
【0014】
本発明によれば、チャック部をモータにより駆動する構成と比較して、チャック部の駆動源の部品コストを削減することができる。したがって、孔開け装置を安価で提供できる。
【0015】
上記の孔開け装置において、前記第2チャック部は、前記介在部材の引き出し方向の下流側に
前記所定量移動した後、前記第2チャック部を前記介在部材の引き出し方向の下流側に移動させた圧縮空気を開放する、ことが望ましい。
【0016】
本発明によれば、第2チャック部の引き出し方向への移動を駆動する圧縮空気の供給を解除することで、介在部材を挟んだ状態で加圧手段により第2チャック部に所定負荷をかけることができる。
【0017】
上記の孔開け装置において、前記介在部材供給部は、前記介在部材が巻回されたリールと、前記リールの回転を規制可能なブレーキ機構と、を備え、前記ブレーキ機構は、前記第2チャック部が前記介在部材を挟持して前記所定量移動した後、前記リールの回転を規制する、ことが望ましい。
【0018】
本発明によれば、ブレーキ機構は、第2チャック部が介在部材を挟持して所定量移動した後、介在部材が巻回されたリールの回転を規制するので、受け部材がワークに向かって移動する際に、受け部材に引っ張られてリールから介在部材が引き出されることを防止できる。これにより、介在部材が介在部材供給部から意図せずに引き出されることを防止できるので、介在部材を無駄なく使用することができる。
【0019】
上記の孔開け装置において、前記介在部材供給部は、前記リールに対して回転抵抗を付与するダンパーを備える、ことが望ましい。
【0020】
本発明によれば、未使用の介在部材をリールから引き出す際に、リールが空回りすることを抑制できる。よって、介在部材が介在部材供給部から意図せずに引き出されることを防止できるので、介在部材を無駄なく使用することができる。
【0021】
上記の孔開け装置において、前記ブレーキ機構は、圧縮空気により駆動される、ことが望ましい。
【0022】
本発明によれば、ブレーキ機構が電磁ブレーキである構成と比較して、投入電力に対するブレーキ効率を向上させることができる。したがって、消費電力を低減可能な孔開け装置を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、受け部材がワークに向かって移動する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけながら介在部材を上流側に向かって引っ張ることができる。その結果、介在部材が受け部材に引っ張られた際の慣性により所望の量よりも多く引き戻されて、受け部材とワークとの間から送り出された介在部材の使用済み部分が再び受け部材とワークとの間に戻ることを防止できる。また、受け部材がワークから離間する際に、加圧手段により第2チャック部に負荷をかけることで介在部材を下流側に移動させることができる。その結果、受け部材に引っ張られて引き戻された介在部材を、再び下流側に移動させることができるので、介在部材が弛むことを抑制することが可能となる。よって、介在部材引出部から介在部材を正確に所定量だけ引き出すことができるので、介在部材の使用済みの部分がワークと受け部材との間に再び配置されることを防止できる。したがって、バリの発生を確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る孔開け装置の斜視図である。
図1に示すように、孔開け装置1は、ドリルを鉛直方向に移動させて、プリント基板等のワークWに孔を開ける装置である。孔開け装置1は、ワークWに孔開けする一対の加工ユニット11と、ワークWを撮像する一対の撮像ユニット12と、加工ユニット11および撮像ユニット12を内部に収容する直方体状の筐体3と、筐体3内に配置された下架台5および一対の上架台7と、ワークWが上部に載置されるとともに搬送機構(不図示)により筐体3に対して移動可能に設けられたワークテーブル9と、を備えている。なお、本実施形態では、搬送機構によるワークテーブル9の移動方向は、水平の一方向に設定されている。以下の説明では、ワークテーブル9の移動方向をX方向といい、X方向に直交する水平方向をY方向といい、X方向およびY方向に直交する鉛直方向をZ方向という。また、
図1に示す白抜きの矢印は、作業者の定位置であり、作業者は白抜きの矢印が指向する方向(X方向)に向かって立ち、ワークWの搬入出を行う。以下の説明では、X方向のうち、孔開け装置1に対する作業者の定位置側を手前側といい、その反対側を奥側という。
【0026】
図2は、実施形態に係る孔開け装置の一部構成を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る孔開け装置の一部構成を示す正面図である。
下架台5は、筐体3に固定され、孔開け装置1における不動部分となっている。
図2に示すように、下架台5は、XY平面に沿う矩形板状に形成されている。下架台5の中央部には、矩形状の貫通孔5aが形成されている。下架台5の上部には、Y方向に平行な直線ガイド13が取り付けられている。直線ガイド13の上部には、一対の移動架台15がY方向にスライド移動可能な状態でY方向に並んで支持されている。また、下架台5の上部には、一対のボールねじ17が直線ガイド13に平行に取り付けられている。一対のボールねじ17は、移動架台15をそれぞれY方向に移動させるものであり、下架台5と各移動架台15との間にそれぞれ配置されている。各ボールねじ17は、モータ19により駆動する。
【0027】
各移動架台15の上部には、X方向に平行な直線ガイド21がそれぞれ取り付けられている。各直線ガイド21の上部には、それぞれ後述する支持架台51(支持部)がX方向にスライド移動可能な状態で支持されている。また、
図3に示すように、各移動架台15の上部には、それぞれボールねじ23(
図3参照)が直線ガイド21に平行に取り付けられている。ボールねじ23は、支持架台51をそれぞれX方向に移動させるものであり、移動架台15と支持架台51との間に配置されている。各ボールねじ23は、モータ25により駆動する。
【0028】
図1に示すように、一対の上架台7は、それぞれ下架台5の上側に配置されている。一対の上架台7は、それぞれ筐体3に固定され、孔開け装置1における不動部分となっている。各上架台7は、XY平面に沿う矩形板状に形成され、Y方向に間隔をあけて並設されている。一対の上架台7は、ZX平面に対して互いに面対称に形成されている。各上架台7には、Y方向内側の端縁から外側に向かって矩形状に切り欠かれた切欠部7aが形成されている。切欠部7aは、X方向において下架台5の貫通孔5a(
図2参照)と同じ位置に形成されている。
【0029】
筐体3のうち、一対の上架台7の上側には、X方向手前側に開口する窓部3aが形成されている。窓部3aは、Y方向における略全体に亘って形成されている。窓部3aは、筐体3の内部に収容された加工ユニット11の一部を外部に露出する。これにより、窓部3aを介して加工ユニット11に対して作業者が各種作業を行うことができる。なお、図示するように、窓部3aは、通常時には前面パネル3bにより閉塞された状態となっている。
【0030】
ワークテーブル9は、一対の上架台7上に跨って配置されている。ワークテーブル9は、載置されるワークWの形状に合わせて矩形状に形成されている。ワークテーブル9のY方向中央部には、載置されたワークWを真空チャックするための複数の吸着孔からなる吸着部9aが形成されている。また、ワークテーブル9の4箇所の角部、およびY方向両端部におけるX方向中央部には、それぞれワークWの孔開け用の貫通孔9bが形成されている。貫通孔9bは、ワークテーブル9に載置されるワークWに対して予め設定された孔開け位置に対応して形成されている。ワークテーブル9は、筐体3の窓部3a内を通じてX方向に移動する。なお、窓部3aが前面パネル3bにより閉塞されている場合には、ワークテーブル9は、前面パネル3bと一対の上架台7との隙間を通じてX方向に移動する。
【0031】
一対の加工ユニット11は、孔開け装置1におけるY方向両側にそれぞれ設けられている。一対の加工ユニット11は、ZX平面に対して互い面対称に形成されているので、以下の説明では、定位置に立つ作業者から見て左側の加工ユニット11のみ図示して説明する場合がある。
【0032】
図1および
図2に示すように、加工ユニット11は、ワークテーブル9の上側に配置された第1ドリル31および第2ドリル32と、ワークテーブル9を挟んで第1ドリル31の反対側に配置された第1押圧ユニット41と、ワークテーブル9を挟んで第2ドリル32の反対側に配置された第2押圧ユニット42と、第1ドリル31、第2ドリル32、第1押圧ユニット41および第2押圧ユニット42を支持する支持架台51と、を備えている。
【0033】
支持架台51は、上架台7の切欠部7aの内側に配置されている。支持架台51は、底壁52と側壁53と上壁54とを有するU字状に形成され、X方向から見てY方向の内側に向かって開口している。支持架台51は、X方向に移動可能なワークテーブル9との接触を回避するように配置されている。支持架台51の上壁54は、ワークテーブル9の上側に配置されている。支持架台51の底壁52は、ワークテーブル9の下側に配置されるとともに、上述した直線ガイド21の上部に支持されている。これにより、支持架台51は、下架台5に対してXY方向に移動可能となっている。
【0034】
図1に示すように、第1ドリル31は、支持架台51の上壁54におけるY方向内側の端部に取り付けられている。第1ドリル31は、スピンドル33と、支持架台51に対してスピンドル33をZ方向に沿って移動させるスピンドル移動機構(不図示)と、スピンドル33の下端部に保持されたドリルビット34(
図3参照)と、ドリルビット34を覆う押さえ部材35と、を備えている。スピンドル移動機構は、スピンドル33と支持架台51との間に設けられている。押さえ部材35は、箱状に形成され、スピンドル33の下端部に対して摺動可能に取り付けられている。押さえ部材35の下端部には、ドリルビット34と同軸の貫通孔が形成されている。ドリルビット34を回転駆動させた状態でスピンドル移動機構によりスピンドル33を下側に移動させると、押さえ部材35がワークWを上側から押さえつつ、ドリルビット34が押さえ部材35の貫通孔から下側に向かって突出し、ワークテーブル9上に載置されたワークWに孔を開ける。
【0035】
第2ドリル32は、支持架台51の上壁54において、第1ドリル31と並んで第1ドリル31よりもY方向外側に取り付けられている。第2ドリル32は、第1ドリル31と同様に、スピンドル33と、スピンドル移動機構(不図示)と、ドリルビット34(
図3参照)と、押さえ部材35と、を備えている。なお、第1ドリル31が有するドリルビット34とは異なる径を有するドリルビット34を第2ドリル32に備えさせることで、1つの加工ユニット11により異なる孔径の孔を開けることが可能となる。
【0036】
図2および
図3に示すように、第1押圧ユニット41は、支持架台51の底壁52の上部に取り付けられている。第1押圧ユニット41は、基部43と、基部43をZ方向に沿って移動させる移動機構(不図示)と、基部43の上部に着脱可能に取り付けられた第1ブッシュ44(第1受け部材)と、を備えている。移動機構は、例えばエアシリンダ等であり、基部43と支持架台51の底壁52との間に設けられている。第1ブッシュ44は、例えばメラミン樹脂やガラスエポキシ等により直方体状に形成されており、Z方向から見て第1ドリル31のドリルビット34の断面形状よりも大きい正方形状に形成されている。第1ブッシュ44は、第1ドリル31のドリルビット34の先端(下端)に対向して配置され、基部43の上端部に嵌合されている。第1ブッシュ44は、第1ドリル31によるワークWの孔開け時に、ワークWを第1ドリル31に向かって押圧する。
【0037】
第2押圧ユニット42は、支持架台51の底壁の上部において、第1押圧ユニット41と並んで第1押圧ユニット41よりもY方向外側に取り付けられている。第2押圧ユニット42は、第1押圧ユニット41と同様に形成され、基部43と、移動機構(不図示)と、第2ブッシュ45(第2受け部材)と、を備えている。第2ブッシュ45は、Z方向から見て第2ドリル32のドリルビット34の断面形状よりも大きい正方形状に形成されている。第2ブッシュ45は、第2ドリル32のドリルビット34の先端(下端)に対向して配置され、基部43の上端部に嵌合されている。第2ブッシュ45は、第2ドリル32によるワークWの孔開け時に、ワークWを第2ドリル32に向かって押圧する。
【0038】
また、
図1に示すように、加工ユニット11は、帯状の介在部材Sと、介在部材Sを保持する介在部材供給部60と、介在部材供給部60から介在部材Sを引き出す介在部材引出部80と、を有する。
介在部材Sは、ワークWの孔開け時に、ブッシュ44,45(
図3参照)とワークWとの間に挟まれる。介在部材Sは、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の樹脂材料により帯状に形成されたフィルムである。介在部材Sの厚みは、例えば100μm程度となっている。
【0039】
図4は、実施形態に係る介在部材供給部の側面図である。
図5は、実施形態に係る介在部材供給部の平面図である。
介在部材供給部60は、介在部材Sを連続して引き出し可能な状態で保持している。介在部材供給部60は、ワークテーブル9よりも上側において、支持架台51に対して筐体3の窓部3a側(X方向の手前側)に配置されている。
図1、
図4および
図5に示すように、介在部材供給部60は、介在部材Sが巻回されたリール61と、リール61を回転可能に保持する保持部63と、リール61の回転を規制可能なブレーキ機構65と、リール61に対して回転抵抗を付与するダンパー67と、介在部材Sの有無を検出可能な検出部69と、を備えている。
【0040】
リール61は、筐体3の窓部3aを通じて外部に露出する位置に配置されている。リール61は、X方向に平行な軸回りに回転可能に設けられている。リール61のシャフトのX方向奥側の端部には、プーリー71が設けられている。
【0041】
保持部63は、筐体3に対して固定されている。保持部63は、筐体3に取り付けられた矩形板状の上板部63aと、上板部63aのX方向手前側の端縁から下側に向かって垂れ下がる前板部63bと、前板部63bの下端縁からX方向手前側に向かって延びる下板部63cと、上板部63aのX方向奥側の端縁から下側に向かって垂れ下がる奥板部63dと、を有する。下板部63cは、リール61のシャフトを回転可能に支持している。前板部63bおよび奥板部63dには、シャフト73が回転可能に支持されている。シャフト73は、X方向に平行に設けられている。シャフト73の両端部は、前板部63bおよび奥板部63dからそれぞれ突出している。シャフト73のX方向の手前側の端部には、プーリー75が設けられている。プーリー75は、タイミングベルト77を介してリール61のシャフトに設けられたプーリー71と連結している。これにより、シャフト73は、リール61の回転に伴って回転する。
【0042】
ブレーキ機構65は、保持部63の前板部63bと奥板部63dとの間に取り付けられている。ブレーキ機構65は、圧縮空気により駆動される空気ブレーキであって、シャフト73の回転を規制可能となっている。これにより、ブレーキ機構65は、リール61の回転を規制可能となっている。
【0043】
ダンパー67は、保持部63の奥板部63dのX方向奥側に取り付けられている。ダンパー67は、ロータリーダンパーであって、シャフト73のX方向奥側の端部に連結されている。ダンパー67は、シャフト73に対して回転抵抗を付与する。これにより、ダンパー67は、リール61に対して回転抵抗を付与している。
検出部69は、保持部63の下板部63cの下部に取り付けられている。検出部69は、ファイバセンサであって、リール61から引き出された介在部材Sの有無を検出する。
【0044】
図1に示すように、リール61に巻回された介在部材Sは、下側に向かって引き出された後、保持部63に設けられた第1ローラ79aおよび第2ローラ79bを回り込み、X方向奥側、下側へと順に向かって折り返されている。その後、介在部材Sは、Z方向におけるワークテーブル9の下面と略同じ位置において、上架台7に設けられた第3ローラ79c、第4ローラ79dおよび第5ローラ79eを回り込み、Y方向内側、X方向奥側、Y方向内側へと順に向かって折り返されている。第5ローラ79eにおいて折り返された介在部材Sは、ワークテーブル9の下面に沿って延びている。
【0045】
図6は、実施形態に係る介在部材引出部の正面図である。
図7は、実施形態に係る介在部材引出部の側面図である。
介在部材引出部80は、下架台5の貫通孔5a内(
図2参照)に配置されている。
図6および
図7に示すように、介在部材引出部80は、下架台5に取り付けられたベース部81と、上架台7に支持されたガイド筒83と、ベース部81に支持された第1チャック部85および第2チャック部87と、を有する。
【0046】
ガイド筒83は、ワークテーブル9の下面に対向する開口部を有する上端部から、下側に向かうに従いY方向内側に向かって傾斜して延び、さらに下側に向かって延びている。ガイド筒83の下端部には、下側に向かって開口した開口部が形成されている。ガイド筒83は、ワークテーブル9の下面に沿って延びた介在部材Sを上端部の開口部で受け入れ、内部に入り込んだ介在部材Sを下端部の開口部から排出している。
【0047】
第1チャック部85は、ベース部81のX方向手前側に取り付けられている。第1チャック部85は、ガイド筒83の下端部の下側に設けられている。第1チャック部85は、ガイド筒83の下端部の開口部から下側に向かって引き出された介在部材Sを挟持可能に設けられている。第1チャック部85は、介在部材SをY方向両側から挟持するブロック状に形成された第1チャック本体部85aと、第1チャック本体部85aから下側に向かって延び、第1チャック本体部85aとともに介在部材Sを挟持する延出片85bと、を備えている。第1チャック部85は、圧縮空気により駆動される。すなわち、第1チャック本体部85aは、圧縮空気が供給されることにより、介在部材Sを挟持し、供給された圧縮空気が開放されることにより、介在部材Sの挟持を解除する。
【0048】
第2チャック部87は、ベース部81のX方向手前側に取り付けられている。第2チャック部87は、第1チャック部85の下側に設けられている。第2チャック部87は、ガイド筒83の下端部の開口部から下側に向かって引き出された介在部材Sを、第1チャック本体部85aよりも下側において挟持可能に設けられている。第2チャック部87は、介在部材SをY方向両側から挟持するブロック状の第2チャック本体部87aと、第2チャック本体部87aをZ方向に沿って移動可能に支持する移動機構89と、第2チャック本体部87aの位置を検出するマグネットセンサ98と、第2チャック本体部87aよりも下側において介在部材Sの有無を検出する介在部材センサ99と、を備えている。
【0049】
移動機構89は、ベース部81のX方向手前側に設けられている。移動機構89は、ベース部81に取り付けられたシリンダ91と、シリンダ91によりZ方向に沿って移動可能に支持されたシャフト93と、シャフト93に固定されるとともに第2チャック本体部87aを支持する台座部95と、シャフト93に挿通されたスプリング97(加圧手段)と、を備えている。
【0050】
シリンダ91は、エアシリンダである。シリンダ91の上部には、Y方向内側に向かって突出した規制部91aが形成されている。規制部91aは、台座部95に形成された後述するストッパ95aが下側から当接可能となっている。
【0051】
シャフト93は、Z方向に沿って延在し、シリンダ91に挿通されている。シャフト93のZ方向両端部は、シリンダ91から突出している。シャフト93の下端部には、ナット93aが螺着されている。
【0052】
台座部95は、シリンダ91のX方向手前側に配置されている。台座部95の上端部は、シャフト93の上端部に固定されている。これにより、台座部95は、シャフト93のZ方向の移動に伴って、台座部95に支持された第2チャック本体部87aとともに、Z方向に移動する。台座部95のY方向内側には、ストッパ95aが突設されている。ストッパ95aは、台座部95が上側に向かって移動した際に、シリンダ91の規制部91aに対して下側から当接する。これにより、台座部95のZ方向における移動範囲の上端が規定されている。
【0053】
スプリング97は、コイルスプリング(バネ)であって、シャフト93の下部に圧縮された状態で挿通されている。スプリング97は、シリンダ91の下端部と、シャフト93の下端部に螺着されたナット93aと、の間に配置されている。スプリング97は、ナット93aをシリンダ91から離間する方向(すなわち下側)に向かって付勢している。
【0054】
マグネットセンサ98は、Y方向外側の側部に配置されている。マグネットセンサ98は、シリンダ91に対する台座部95のZ方向における位置を検出可能に設けられている。これにより、マグネットセンサ98は、台座部95に支持された第2チャック本体部87aの位置を検出する。
【0055】
介在部材センサ99は、第2チャック本体部87aの下側に取り付けられている。介在部材センサ99は、ファイバセンサであって、第2チャック本体部87aよりも介在部材Sの引き出し方向下流側に位置する介在部材Sの有無を検出する。
【0056】
第2チャック部87は、圧縮空気により駆動される。すなわち、第2チャック本体部87aおよびシリンダ91は、それぞれ異なる系統から供給される圧縮空気により駆動される。第2チャック本体部87aは、圧縮空気が供給されることにより、介在部材Sを挟持し、供給された圧縮空気が開放されることにより、介在部材Sの挟持を解除する。一方、シリンダ91には、2系統の圧縮空気が供給可能とされている。詳細には、シリンダ91は、一方の系統から圧縮空気が供給されるとともに、他方の系統から供給された圧縮空気を開放することにより、シャフト93を上側に向かって移動させる。また、シリンダ91は、一方の系統から供給された圧縮空気を開放するとともに、他方の系統から圧縮空気が供給されることにより、シャフト93を下側に向かって移動させる。
【0057】
上述した加工ユニット11は、X方向において予め設定された領域においてのみ孔開け可能とされ、その領域において介在部材Sがワークテーブル9の下面に沿って配置されている。すなわち、介在部材Sは、孔開け装置1における不動位置を走行し、その位置にワークWの孔開け箇所を移動させて孔開けを行う。ワークWのX方向における孔開け位置の粗調整は、ワークテーブル9の移動により行う。ワークWのX方向における孔開け位置の微調整、およびワークWのY方向における孔開け位置の調整は、第1ドリル31または第2ドリル32の移動により行う。
【0058】
図3に示すように、一対の撮像ユニット12は、一対の加工ユニット11と同様に、孔開け装置1におけるY方向両側にそれぞれ設けられている。一対の撮像ユニット12は、ZX平面に対して互いに面対称に形成されている。
【0059】
図2に示すように、各撮像ユニット12は、X線照射器57と、X線カメラ59と、を有する。X線照射器57は、支持架台51の上壁54における第1ドリル31および第2ドリル32のX方向奥側に取り付けられている。X線照射器57は、ワークWにX線を照射する。X線カメラ59は、支持架台51の底壁52に取り付けられている。X線カメラ59は、ワークWに照射されたX線の透過像を撮像する。
【0060】
以下、本実施形態の孔開け装置1の動作について説明する。
最初に、ドリルによる孔開け動作について、
図8から
図12を参照して説明する。なお、以下の説明では、Y方向両側の加工ユニット11がワークWに対して同時に孔を開ける場合について説明する。また、以下の説明では、ワークWのX方向奥側の両角部に、第1ドリル31により孔を開ける場合について説明するが、ワークWのX方向手前側の両角部に孔を開ける場合についても同様であり、さらには第2ドリル32により孔を開ける場合についても同様である。
【0061】
図8から
図12は、実施形態に係る孔開け装置の動作説明図である。
図8、
図9および
図11は、孔開け装置1の斜視図である。
図10および
図12は、孔開け装置1の要部の正面図である。
まず、
図8に示すように、ワークWの孔を開ける位置がZ方向から見てワークテーブル9の各貫通孔9bに入るように、ワークWをワークテーブル9上に載置する。次いで、ワークテーブル9のX方向奥側に形成された貫通孔9bがZ方向から見て介在部材Sと重なるように、ワークテーブル9を移動させる。また、撮像ユニット12がZ方向から見て貫通孔9bと重なるように、支持架台51を移動させる。次いで、撮像ユニット12によりワークWを撮像し、孔を開ける位置のXY座標を取得する。
【0062】
次に、
図9に示すように、支持架台51を移動させ、取得したXY座標に向かって第1ドリル31を移動させる。
次に、
図10に示すように、第1押圧ユニット41の移動機構により、第1押圧ユニット41の基部43を上側に向かって移動させる。この際、介在部材供給部60において、ブレーキ機構65によりリール61の回転を規制する。そして、基部43の上部に取り付けられた第1ブッシュ44をワークテーブル9の貫通孔9b内に入れ込む。すると、ワークテーブル9の下面に沿って配置された介在部材Sは、第1ブッシュ44に引っ張られるようにして、貫通孔9b内に入り込む。そして、介在部材Sを挟んで第1ブッシュ44をワークWに接触させる。
【0063】
次に、
図11および
図12に示すように、第1ドリル31によりワークWに孔を開ける。具体的に、スピンドル33によりドリルビット34を回転させながら、スピンドル移動機構(不図示)によりスピンドル33を下側に向かって移動させる。これにより、ワークWに対して下側から接触する第1ブッシュ44によりワークWを上側に向かって押圧しつつ、ドリルビット34によりワークWに上側から孔を開けることができる。
【0064】
続いて、介在部材引出部80による介在部材Sの引き出し動作について
図13から
図18を参照して説明する。
図13から
図18は、実施形態に係る介在部材引出部の動作説明図であって、介在部材引出部の正面図である。
【0065】
介在部材引出部80による介在部材Sの引き出し動作は、上述した孔開け動作の後、ブッシュ44,45がワークWを押圧していない状態で行われる。
まず、第2チャック本体部87aに圧縮空気を供給して第2チャック本体部87aにより介在部材Sを挟持した状態で、第1チャック本体部85aに圧縮空気を供給して第1チャック本体部85aにより介在部材Sを挟持する。次に、
図13に示すように、第2チャック本体部87aへ供給された圧縮空気を開放して第2チャック本体部87aによる介在部材Sの挟持を解除する。
【0066】
次に、
図14に示すように、シリンダ91に一方の系統から圧縮空気を供給するとともに、シリンダ91に他方の系統から供給された圧縮空気を開放して、第2チャック本体部87aを第1チャック本体部85a側(上側)に向かって移動させる。ここで、上述したストッパ95aがシリンダ91の規制部91aに当接することにより第2チャック本体部87aの上方への移動が規制される。
次に、
図15に示すように、第2チャック本体部87aに圧縮空気を供給して、第2チャック本体部87aにより介在部材Sを挟持する。これにより、第2チャック本体部87aは、介在部材Sを常に一定の所定量だけ上側で挟持することができる。すなわち、台座部95に設けられたストッパ95aとシリンダ91に設けられた規制部91aとの当接位置を調節することにより、介在部材Sの送りピッチを調節することができる。なお、本実施形態ではシリンダ91に設けられた規制部91aのZ方向の位置を移動させることにより介在部材Sの送りピッチを調節しているが、ストッパ95aの位置を移動して調節してもよい。
【0067】
次に、
図16に示すように、第1チャック本体部85aに供給された圧縮空気を開放して、第1チャック本体部85aによる介在部材Sの挟持を解除する。
次に、介在部材供給部60のブレーキ機構65の空気ブレーキを解除させ、リール61の回転を許容することにより介在部材Sの引き出しを可能とし、
図17に示すように、シリンダ91に一方の系統から供給された圧縮空気を開放するとともに、シリンダ91に他方の系統から圧縮空気を供給して、第2チャック本体部87aを下側に向かって所定量移動させる。これにより、第2チャック本体部87aに挟持された介在部材Sを下側に向かって移動させ、リール61から介在部材Sを所定量引き出すことができる。このとき、介在部材供給部60においてダンパー67がリール61に対して回転抵抗を付与しているので、リール61が空回りして介在部材Sが弛むことを抑制できる。その後、マグネットセンサ98により第2チャック本体部87aの所定量移動を検出すると、ブレーキ機構65の空気ブレーキを作動させてリール61の回転を規制して第2チャック本体部87aを停止させる。ここで、シリンダ91に他方の系統から供給された圧縮空気を開放し、スプリング97により第2チャック本体部87aを下側に向かって付勢することで、第2チャック本体部87aに対して介在部材Sの引き出し方向の下流側に向かって所定負荷をかける。
【0068】
ここで、介在部材Sを所定量引き出した後、
図10に示すように、第1ブッシュ44をワークテーブル9の貫通孔9b内に入れ込むと、介在部材Sが第1ブッシュ44に引っ張られる。このとき、介在部材Sは、介在部材引出部80において第2チャック本体部87aに挟持され、なおかつスプリング97により引き出し方向の下流側に向かって所定負荷がかけられている。また、リール61がブレーキ機構65により回転を規制されている。このため、介在部材Sが第1ブッシュ44により引っ張られると、
図18に示すように、第2チャック本体部87aが介在部材Sとともに、スプリング97の負荷に抗して引き出し方向の上流側に向かって移動する。そして、孔開け後に第1ブッシュ44が下側に退避すると、
図17に示すように、第2チャック本体部87aが介在部材Sとともに、スプリング97の負荷により引き出し方向の下流側に向かって移動する。その後、孔開け動作を繰り返す場合は、同様に、第2チャック本体部87aにより介在部材Sを挟持した状態で、第1チャック本体部85aに圧縮空気を供給して第1チャック本体部85aにより介在部材Sを挟持し、
図13に示すように、第2チャック本体部87aへ供給された圧縮空気を開放して第2チャック本体部87aによる介在部材Sの挟持を解除する。
【0069】
このように、本実施形態によれば、ブッシュ44,45がワークWに向かって移動する際に、スプリング97により第2チャック部87に負荷をかけながら
ブッシュ44,45により介在部材Sを上流側に向かって引っ張ることができる。その結果、介在部材Sがブッシュ44,45に引っ張られた際の慣性により所望の量よりも多く引き戻されて、ブッシュ44,45とワークWとの間から送り出された介在部材Sの使用済み部分が再びブッシュ44,45とワークWとの間に戻ることを防止できる。また、ブッシュ44,45がワークWから離間する際に、スプリング97により第2チャック部87に負荷をかけることで介在部材Sを下流側に移動させることができる。その結果、ブッシュ44,45に引っ張られて引き戻された介在部材Sを、再び下流側に移動させることができるので、介在部材Sが弛むことを抑制することが可能となる。よって、介在部材引出部80から介在部材Sを正確に所定量だけ引き出すことができるので、介在部材Sの使用済みの部分がワークWとブッシュ44,45との間に再び配置されることを防止できる。したがって、バリの発生を確実に防止できる。
【0070】
また、第1チャック部85および第2チャック部87は、圧縮空気により駆動されるので、第1チャック部85および第2チャック部87をモータにより駆動する構成と比較して、第1チャック部85および第2チャック部87の駆動源の部品コストを削減することができる。したがって、孔開け装置1を安価で提供できる。
【0071】
また、第2チャック部87は、介在部材Sの引き出し方向の下流側に所定量移動した後、第2チャック部87を介在部材Sの引き出し方向の下流側に移動させた圧縮空気を開放するので、介在部材Sを挟んだ状態でスプリング97により第2チャック部87に所定負荷をかけることができる。
【0072】
また、ブレーキ機構65は、第2チャック部87が介在部材Sを挟持して所定量移動した後、介在部材Sが巻回されたリール61の回転を規制するので、ブッシュ44,45がワークWに向かって移動する際に、ブッシュ44,45に引っ張られてリール61から介在部材Sが引き出されることを防止できる。これにより、介在部材Sが介在部材供給部60から意図せずに引き出されることを防止できるので、介在部材Sを無駄なく使用することができる。
【0073】
また、介在部材供給部60は、リール61に対して回転抵抗を付与するダンパー67を備えるので、未使用の介在部材Sをリール61から引き出す際に、リール61が空回りすることを抑制できる。よって、介在部材Sが介在部材供給部60から意図せずに引き出されることを防止できるので、介在部材Sを無駄なく使用することができる。
【0074】
また、ブレーキ機構65は、圧縮空気により駆動されるので、ブレーキ機構が電磁ブレーキである構成と比較して、投入電力に対するブレーキ効率を向上させることができる。したがって、消費電力を低減可能な孔開け装置1を提供できる。
【0075】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、孔開け装置1が一対の加工ユニット11を備えているが、これに限定されず、1個の加工ユニットを備えた構成であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、介在部材Sを挟んだ状態で介在部材Sの引き出し方向の下流側に所定負荷をかける加圧手段としてスプリング97が用いられているが、これに限定されない。加圧手段としては、例えばシャフト93に作用する重力により、介在部材Sの引き出し方向の下流側(下側)に所定負荷をかける構成であってもよい。さらに、シャフト93に作用する重力が所定負荷に対して大きい場合には、スプリングがシャフト93を上側に向かって付勢するように配置されていてもよい。また、シリンダ91には、シャフト93を介在部材Sの引き出し方向の上流側(上側)に移動させる圧縮空気が供給可能とされ、スプリングの負荷により、シャフトを介在部材Sの引き出し方向の下流側(下側)に移動させる構成であってもよい。なお、加圧手段としてバネであるスプリング97を適用することで、所定負荷を容易に調整できるので、加圧手段を容易に形成することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、介在部材Sを形成する材料としてPETを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。介在部材Sを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンや、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリフェニレンサリファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アルミ蒸着フィルム等が挙げられる。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。