(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例1】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置1の概略構成図である。
図2は、ポンプ装置13とその高さ関係を示す図である。
【0023】
<基板処理装置1の構成>
図1を参照する。基板処理装置1は、ノズル2と保持回転部3とを備えている。ノズル2は、基板Wに対して処理液を吐出するものである。処理液は、例えば、フォトレジスト液、反射防止膜形成用の薬液、現像液、あるいは、溶剤または純水(DIW)などのリンス液が用いられる。保持回転部3は、略水平姿勢で基板Wを保持し、保持した基板Wを回転させるものである。
【0024】
保持回転部3は、スピンチャック4と回転駆動部5とを備えている。スピンチャック4は、回転軸AX周りに回転可能に設けられ、基板Wを保持する。スピンチャック4は、例えば、基板Wの裏面を真空吸着することで基板Wを保持する。回転駆動部5は、スピンチャック4を回転軸AX周りに回転させる駆動を行う。回転駆動部5は、例えば電動モータで構成されている。
【0025】
また、基板処理装置1は、処理液供給源7、処理液配管9、トラップタンク11、ポンプ装置13を備えている。処理液供給源7は、例えば、処理液を貯留するタンクで構成されている。処理液供給源7からの処理液は、処理液配管9を通じてノズル2に送られる。処理液配管9(9a,9b)には、処理液供給源7側から順番にトラップタンク11、ポンプ装置13が介在して設けられている。
【0026】
トラップタンク11は、一時的に処理液を貯留して処理液供給源7の処理液の残量を検知するものである。トラップタンク11には、光学式の残量検知センサ(図示しない)が設けられている。また、トラップタンク11には、ドレイン15が設けられている。ドレイン15は、気泡または気泡を含む処理液を排出するための廃液ラインである。なお、ドレイン15には、図示しない開閉弁が介在して設けられている。
【0027】
ポンプ装置13は、ノズル2に対して処理液を送るものである。ポンプ装置13内では、処理液は、処理液流路17a〜17dを流れる。ポンプ装置13は、後述する開閉弁V6の動作により、処理液の供給およびその停止を行う。ポンプ装置13の詳細は、後述する。
【0028】
また、基板処理装置1は、制御部19と操作部21とを備えている。制御部19は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。制御部19は、ポンプ装置13を含む基板処理装置1の各構成を制御する。操作部21は、表示部、記憶部および入力部等を備えている。表示部は、例えば液晶モニタで構成されている。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスク等の少なくとも1つで構成されている。入力部は、キーボード、マウス、および各種ボタン等の少なくとも1つで構成されている。記憶部には、基板処理の各種条件および基板処理装置1の制御に必要な動作プログラム等が記憶されている。
【0029】
<ポンプ装置13の構成>
次に、
図2を参照して、ポンプ装置13について説明する。ポンプ装置13は、フィルタ23、上流ポンプ(フィルポンプとも呼ばれる)25および下流ポンプ(ディスペンスポンプとも呼ばれる)27を備えている。上流ポンプ25は、フィルタ23を通して処理液を下流ポンプ27に送るものである。下流ポンプ27は、処理液を吐出するためのものである。
【0030】
フィルタ23は、処理液を流通させる処理液流路17b,17cに介在して設けられている。上流ポンプ25は、フィルタ23の上流であって処理液流路17a,17bに介在して設けられている。下流ポンプ27は、フィルタ23の下流であって処理液流路17c,17dに介在して設けられている。
【0031】
処理液流路17aには、開閉弁V1が介在して設けられている。処理液流路17bには、開閉弁V2が介在して設けられている。処理液流路17cには、開閉弁V3が介在して設けられている。後述する排出流路61には、開閉弁V4が介在して設けられている。後述する戻り流路62には、開閉弁V5が介在して設けられている。処理液流路17dには、開閉弁V6が介在して設けられている。なお、開閉弁V1〜V6は、ノーマルクローズ式に限定されず、既知の弁で構成される。
【0032】
上流ポンプ25は、単一の供給室33gに対して、2つのピストン35,36および2つのダイヤフラム37,38を備えている。下流ポンプ27は、単一の供給室73gに対して、2つのピストン75,76および2つのダイヤフラム77,78を備えている。フィルタ23、上流ポンプ25および下流ポンプ27の構成の詳細を順番に説明する。
【0033】
〔フィルタ23の構成〕
まず、フィルタ23について説明する。フィルタ23は、ポンプ装置13に対して着脱自在で、交換可能である。フィルタ23は、その上面23aに、入口23b、出口23cおよびベント部23dを備えている。入口23bには、処理液流路17bが接続されている。出口23cには、処理液流路17cが接続されている。ベント部23dには、気泡を排出する排出流路61が接続されている。ベント部23dは、フィルタ23内の気泡を排出するための出口である。これにより、処理液の供給経路の途中で、気泡を排出することができる。なお、ベント部23dは、気泡を処理液ごと排出してもよい。また、フィルタ23は、フィルタ本体23eを備えている。フィルタ本体23eは、フィルタ23内において処理液を実際に濾過するものである。
【0034】
〔上流ポンプ25の構成〕
次に、上流ポンプ25について説明する。上流ポンプ25は、
図2、
図3(a)、
図3(b)のように、ケーシング(シリンダ)31、上流ポンプ内流路33、2つのピストン(可動部)35,36、および2つのダイヤフラム37,38を備えている。
【0035】
上流ポンプ内流路33は、入口33a、出口33b、戻り入口33c、入口側流路33d、出口側流路33e、戻り入口側流路33f(
図4(a)参照)および供給室33gを備えている。なお、
図4(a)は、上から見た上流ポンプ25の横断面図である。処理液は、入口33aまたは戻り入口33cから上流ポンプ25内に吸引されて出口33bから上流ポンプ25外に送り出される。供給室33gは、処理液を流通させるものである。供給室33gの内壁には、圧力を計測する圧力センサ29が設けられている。圧力センサ29は、
図4(a)の位置に代えて、例えば処理液流路17bに設けられてもよい。戻り入口33cには、戻り流路62が接続されている。なお、
図2において、図示の便宜上、戻り流路62は、第2ピストン36等に重ねて示す。戻り流路62は、第2ピストン36等を貫通していない。また、
図4(a)は、上から見た上流ポンプ25の横断面図である。
【0036】
2つのピストン35,36は、円柱状で構成され、供給室33gの容積を変化させるために、各々、往復移動する。
図3(a)のように、2つのピストン35,36の各々には、フレキシブルなダイヤフラム37,38が設けられている。すなわち、第1ピストン35には、第1ダイヤフラム37が設けられ、第2ピストン36には、第2ダイヤフラム38が設けられている。2つのダイヤフラム37,38(または2つのピストン35,36)は、供給室33gを挟んで対向して配置されている。これにより、従来の単一のダイヤフラムの面積が大きくなって供給室33gが大きくなることを抑制し、供給室33gをよりコンパクトに構成できる。
【0037】
2つのダイヤフラム37,38は、供給室33gの内壁に取り付けられて、各々が供給室33gの内壁の一部を構成する。具体的には、第1ダイヤフラム37の周縁部PEは、供給室33g(ケーシング31)の内壁に固定されており、第1ダイヤフラム37の中心部CTは、第1ピストン35に固定されている。同様に、第2ダイヤフラム38の周縁部PEは、供給室33gの内壁に固定されており、第2ダイヤフラム38の中心部CTは、第1ピストン35に固定されている。また、第1ダイヤフラム37は、供給室33gと第1ピストン35の裏面側の空間SP1とを隔離する。第2ダイヤフラム38は、供給室33gと第2ピストン36の裏面側の空間SP2とを隔離する。
【0038】
図3(a)において、駆動機構40は、2つのピストン35,36を移動させて、2つのダイヤフラム37,38を変形する。これにより、供給室33gの容積を交互に増加および減少させる。なお、増加および減少の動作は各々、複数段階(例えば2段階)であってもよい。駆動機構40は、電動モータ(以下適宜「モータ」と呼ぶ)M1、第1シャフト41、4つのプーリ43〜46、2つのベルト49,50、2つのナット53,54、2つのネジ軸57,58、2つのピストン35,36およびベアリングBEを備えている。モータM1は、例えばサーボモータまたはステッピングモータで構成される。なお、2つのピストン35,36は、駆動機構40に含まれていなくてもよい。
【0039】
モータM1の出力軸M1Aは、第1シャフト41と連結する。第1シャフト41には、第1プーリ43と第2プーリ44が固定されている。第1プーリ43と第3プーリ45は、第1ベルト49が掛け渡されている。第2プーリ44と第4プーリ46は、第2ベルト50が掛け渡されている。第3プーリ45には、第1ナット53が固定されている。第4プーリ46には、第2ナット54が固定されている。
【0040】
第1ナット53は、第1ネジ軸57とかみ合うように構成されている。第1ネジ軸57の一端は、第1ピストン35に固定されている。第2ナット54は、第2ネジ軸58とかみ合うように構成されている。第2ネジ軸58の一端は、第2ピストン36に固定されている。2つのネジ軸57,58は各々、図示しないガイド部によって軸周りに回転せず、軸方向に直線移動可能にガイドされている。ベアリングBEは、第1シャフト41等を回転可能に支持している。
【0041】
ここで、駆動機構40の動作について説明する。モータM1を回転駆動させる。この回転駆動により、第1シャフト41、第1プーリ43および第2プーリ44が回転する。第1プーリ43の回転は、第1ベルト49により、第3プーリ45および第1ナット53に伝達される。一方、第2プーリ44の回転は、第2ベルト50により、第4プーリ46および第2ナット54に伝達される。
【0042】
第1ナット53と第1ネジ軸57とがかみ合っているので、第1ナット53の回転は、第1ネジ軸57の直線移動に変換される。これにより、第1ピストン35が直線移動する。一方、第2ナット54と第2ネジ軸58とがかみ合っているので、第2ナット54の回転は、第2ネジ軸58の直線移動に変換される。これにより、第2ピストン36が直線移動する。
【0043】
図3(a)を参照する。モータM1を所定の方向に回転駆動させると、2つのダイヤフラム37,38が互いに離れる(引く)方向に同時に変形する。これにより、供給室33gの容積が増加する。なお、所定の方向への回転は、以下、正回転とする。
図3(b)を参照する。モータM1を所定の方向と逆方向に回転駆動させると、2つのダイヤフラム37,38が互いに近づく(押す)方向に同時に変形する。これにより、供給室33gの容積が減少する。なお、所定の方向と逆方向への回転は、以下、逆回転とする。
【0044】
次に、2つのダイヤフラム37,38について説明する。
図5(a)、
図5(b)は、ダイヤフラム37(38)の一例を示す図である。2つのダイヤフラム37,38は各々、例えばローリングダイヤフラムで構成される。
図5(a)は、シルクハット形のダイヤフラムであるローリングダイヤフラムである。このローリングダイヤフラムを上流ポンプ25に取り付けると、
図3(a)等のように、U字の折り返し部が形成される。ローリングダイヤフラムは、ピストン35,36の移動と共に、U字の折り返し部の曲部(
図6の符号CP参照)が転がるように移動する。この曲部の移動の際に、例えば、第1ダイヤフラム37は、第1ピストン35の側面から離れてケーシング31の内壁に接触し始め、あるいは、ケーシング31の内壁から離れて第1ピストン35の側面に接触し始める。
図5(b)のダイヤフラムは、取り付けていない状態で、U字の折り返し部Uが予め形成されたものである。本実施例において、
図5(a)のダイヤフラムのように、U字の折り返し部の曲部が転がるように移動すれば、
図5(b)のダイヤフラムもローリングダイヤフラムに含まれるものとする。
【0045】
図3(a)に示す上流ポンプ25において、ダイヤフラム37,38は各々、ローリングダイヤフラムで構成されている。所望の体積量の液体を吸引して送り出しする際に、2つのダイヤフラム37,38が設けられているので、各ダイヤフラム37,38の変形量が抑えられる。そのため、ローリングダイヤフラム37,38の折り返し部Uが浅いものを選択することができるので、液体の滞留を抑え、液体の品質劣化を抑制できる。
【0046】
〔下流ポンプ27の構成〕
次に、下流ポンプ27について説明する。下流ポンプ27は、上流ポンプ25と略同じ構成である。そのため、重複する構成の説明は、一部省略する。下流ポンプ27は、
図2のように、ケーシング(シリンダ)71、下流ポンプ内流路73、2つのピストン75,76、および2つのダイヤフラム77,78を備えている。なお、
図2において、図示の便宜上、処理液流路17dは、第4ピストン76等に重ねて示す。処理液流路17dは、第2ピストン76等を貫通していない。
【0047】
下流ポンプ内流路73は、入口73a、供給出口73b、入口側流路73d、出口側流路73e(
図4(b)参照)、供給室73g、戻り出口73hおよび戻り出口側流路73kを備えている。戻り出口73hには、戻り流路62が接続されている。なお、
図4(b)は、上から見た下流ポンプ27の横断面図である。供給室33gの内壁には、圧力を計測する圧力センサ39が設けられている。圧力センサ39は、
図4(b)の位置に代えて、例えば処理液流路17dに設けられてもよい。
【0048】
2つのピストン75,76は、円柱状で構成され、供給室73gの容積を変化させるために、各々、往復移動する。
図2のように、2つのピストン75,76の各々には、フレキシブルなダイヤフラム77,78が設けられている。すなわち、第3ピストン75には、第3ダイヤフラム77が設けられ、第4ピストン76には、第4ダイヤフラム78が設けられている。2つのピストン75,76および2つのダイヤフラム77,78は、
図2のように、対向して配置されている。
【0049】
2つのダイヤフラム77,78は、供給室73gの内壁に取り付けられて、各々が供給室73gの内壁の一部を構成する。具体的には、第3ダイヤフラム77の周縁部PEは、供給室73g(ケーシング71)の内壁に固定されており、第3ダイヤフラム77の中心部CTは、第3ピストン75に固定されている。同様に、第4ダイヤフラム78の周縁部PEは、供給室73gの内壁に固定されており、第4ダイヤフラム78の中心部CTは、第3ピストン75に固定されている。また、
図4(b)のように、第3ダイヤフラム77は、供給室73gと第3ピストン75の裏面側の空間SP3とを隔離する。第4ダイヤフラム78は、供給室73gと第4ピストン76の裏面側の空間SP4とを隔離する。
【0050】
図2において、駆動機構80は、2つのピストン75,76を移動させて、2つのダイヤフラム77,78を変形する。これにより、供給室73gの容積を交互に増加および減少させる。駆動機構80は、上流ポンプ25の駆動機構40の構成と同じであり、その説明を省略する。モータM2は、例えばサーボモータ、またはステッピングモータで構成される。なお、駆動機構80において、モータM2以外は同じ符号で示される。
【0051】
なお、ポンプ装置13は、下から上に処理液を流すように構成されている。これにより、ポンプ装置13において、処理液に含まれる気泡が留まりにくい構成となっている。例えば、フィルタ23の入口23bは、上流ポンプ25の出口33bよりも高い位置に配置されている。また、下流ポンプ27の入口73aは、フィルタ23の出口23cよりも高い位置に配置されている。一方、下流ポンプ27の戻り出口73hは、供給出口73bよりも高い位置に配置されているので、下流ポンプ27の戻り出口73hから気泡を上流ポンプ25に戻すことができる。
【0052】
<基板処理装置1の動作>
次に、基板処理装置1の動作について説明する。図示しない基板搬送機構は、
図1に示す保持回転部3上に基板Wを搬送する。保持回転部3は、基板Wの裏面を吸着して保持する。その後、図示しないノズル移動機構は、基板W外の待機位置から基板W上方の予め定められた吐出位置にノズル2を移動させる。
【0053】
ノズル2を移動させた後、基板Wを回転または停止させた状態で、制御部19は、ポンプ装置13の動作と共に、開閉弁V6を開く。これにより、基板Wに対してノズル2から処理液を吐出する。処理液供給源7中の処理液は、処理液配管9を通じてノズル2に送られる。その途中で、トラップタンク11およびポンプ装置13を通過する。基板処理が終了した後、ノズル移動機構は、基板W上方の吐出位置から基板W外の待機位置にノズル2を戻す。そして、保持回転部3は、基板Wの回転が停止した状態で、基板Wの保持を解除する。基板搬送機構は、保持回転部3上から基板Wを搬送する。
【0054】
次に、
図2を参照してポンプ装置13の動作を説明する。
【0055】
〔ステップS01〕
ステップS01において、駆動機構40は、2つのダイヤフラム37,38を互いに離れる方向に同時に変形させることで、供給室33gの容積を増加させる。すなわち、第1ピストン35を移動させることで第1ダイヤフラム37を変形させる。これにより、供給室33gの容積を増加させる。これと同時に、第2ピストン36を移動させることで第2ダイヤフラム38を変形させる。これにより、供給室33gの容積を増加させる。
【0056】
また、ステップS01において、開閉弁V1は開かれ(ON)、開閉弁V2〜V6は閉じられている(OFF)。これにより、
図2に示す処理液流路17aから上流ポンプ内流路33に、入口33aを通じて処理液を吸引する。なお、ステップS01において、下流ポンプ27のモータM2は、回転を停止する。
【0057】
〔ステップS02〕
ステップS02において、駆動機構40は、2つのダイヤフラム37,38を互いに近づく方向に同時に変形させることで、供給室33gの容積を減少させる。
【0058】
また、ステップS02において、開閉弁V2,V3は開かれ、開閉弁V1,V4〜V6は閉じられる。これらの動作により、上流ポンプ内流路33から処理液流路17bに、出口33bを通じて処理液を送り出す。処理液流路17bに送られた処理液は、フィルタ23の入口23b、フィルタ本体23e、出口23cに順番に送られて、処理液流路17cに送られる。フィルタ本体23eでは、気泡等の不純物が取り除かれる。処理液流路17cに送られた処理液は、下流ポンプ27の入口73aを通じて、下流ポンプ内流路73に送られる。
【0059】
また、ステップS02において、下流ポンプ27のモータM2は、正回転の駆動を行う。これにより、下流ポンプ27の駆動機構80は、2つのダイヤフラム77,78を互いに離れる方向に同時に変形させることで、供給室73gの容積を増加させる。処理液流路17cから下流ポンプ内流路73に、入口73aを通じて処理液を吸引する。
【0060】
〔ステップS03〕
ステップS03において、引き続き、上流ポンプ25から下流ポンプ27に処理液が送られる。すなわち、更に、上流ポンプ25の駆動機構40は、2つのダイヤフラム37,38を互いに近づく方向に同時に変形させる。また、ステップS03において、開閉弁V2,V3が開かれ、開閉弁V1,V4〜V6は閉じられる。なお、ステップS03において、下流ポンプ27のモータM2は、回転を停止する。
【0061】
〔ステップS04〕
ステップS04において、下流ポンプ27の戻り出口73hから処理液が送り出される。この際、戻り出口73h付近に集まった気泡も送り出される。下流ポンプ27のモータM2は、所定量で逆回転する。すなわち、下流ポンプ27の駆動機構80は、2つのダイヤフラム77,78を互いに近づく方向に同時に変形させることで、供給室73gの容積を減少させる。また、ステップS04において、開閉弁V5とV1は開かれ、開閉弁V2〜V4,V6は閉じられる。戻り出口73hから送り出された処理液は順番に、戻り流路62、上流ポンプ25の戻り入口33cを通り、上流ポンプ内流路33に戻される。なお、上流ポンプ25に戻された処理液は、その後の動作により、再びフィルタ23に送られて、気泡が取り除かれる。
【0062】
〔ステップS05〕
ステップS05において、引き続き、下流ポンプ27の戻り出口73hから処理液が送り出される。この際、開閉弁V5とV1は開かれ、開閉弁V2〜V4,V6は閉じられる。一方、下流ポンプ27のモータM2は、回転を停止する。
【0063】
〔ステップS06〕
ステップS06において、下流ポンプ27から供給出口73bを通じて処理液を送り出す。下流ポンプ27のモータM2は、更に、逆回転する。これにより、更に、下流ポンプ27の駆動機構80は、2つのダイヤフラム77,78を互いに近づく方向に同時に変形させる。また、ステップS06において、開閉弁V6は開かれ、開閉弁V1〜V5は閉じられる。下流ポンプ27から送り出された処理液は、処理液配管9bを通じ、
図1に示すノズル2から吐出される。
【0064】
ステップS06の後は、ステップS01に戻り、ステップS01〜S06が繰り返される。なお、一連の基板処理が終了した時点等、任意のタイミングで排出流路61を通じて気泡を含む処理液を排出して、フィルタ23の気泡抜きをすればよい。かかるフィルタ23の気泡抜きの際には、開閉弁V2,V4が開かれ、開閉弁V1,V3,V5,V6が閉じられる。
【0065】
本実施例によれば、例えば上流ポンプ25の駆動機構40は、2つのダイヤフラム37,38を互いに離れる方向に同時に変形させることで、供給室33gの容積を増加させること、および、2つのダイヤフラム37,38を互いに近づく方向に同時に変形させることで、供給室33gの容積を減少させることを交互に行う。この際、単一の供給室33gに対して2つのダイヤフラム37,38が設けられている。これにより、各ダイヤフラム37,38の変形量が限られていても、所望の体積量の液体を吸引して送り出しすることができる。
【0066】
また、
図6のように、従来の単一のピストン135と協働するものとして、ローリングダイヤフラムが用いられているとする。ローリングダイヤフラムは、深いU字の折り返し部Uを有するので、長いストロークを実現できる。しかしながら、長いストロークを実現するためには、深い折り返し部Uが必要である。折り返し部Uは深いほど、折り返し部Uの隙間に入り込んだ液体の流動が悪くなって液体が滞留してしまう。そのため、液体によっては、滞留した液体が固化してゴミとなり、液体の品質を劣化させてしまう場合がある。しかしながら、2つのダイヤフラム(ローリングダイヤフラム)37,38が設けられているので、所望の体積量の液体を吸引して送り出しする際に、各ダイヤフラム37,38の変形量が抑えられる。これにより、短いストロークのダイヤフラム37,38を選択できるので、液体の滞留を抑え、液体の品質劣化を抑制できる。
【0067】
また、2つのダイヤフラム37,38のいずれか一方を変形させない場合、変形させないダイヤフラムの例えば溝部または折り返し部で液体が滞留するおそれがある。しかしながら、2つのダイヤフラム37,38を同時に変形させるので、液体が流動し、液体の滞留が抑えられる。
【実施例2】
【0068】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0069】
実施例1では、処理液の吸引および送り出しの動作を行うために、例えば上流ポンプ25であれば、2つのピストン35,36を移動させることで2つのダイヤフラム37,38を変形させていた。この点、実施例2では、2つのピストン35,36を移動させることで単一のフレキシブルなチューブ(チューブフラム)83を変形させる。
【0070】
図7は、実施例2に係る上流ポンプ25の縦断面図である。上流ポンプ25は、ケーシング31、上流ポンプ内流路33、チューブ83および2つのピストン85,86を備えている。上流ポンプ内流路33は、実施例1と同様に、入口33a、出口33b、戻り入口33c、入口側流路33d、出口側流路33e、戻り入口側流路33fおよび供給室33gを備えている。
【0071】
チューブ83は、フレキシブルであり、チューブ83の内壁は、処理液の流れを妨げる蛇腹のような溝や凹凸がなく表面が滑らかである。チューブ83は、供給室33gの内壁に取り付けられて、供給室33gの内壁の一部を構成する。なお、チューブ83は、供給室33gの全部を構成してもよい。2つのピストン85,86は、チューブ83を潰しやすくするために先端が細くなっている。また、2つのピストン85,86は、チューブ83(供給室33g)を挟み込むように対向して配置されている。
【0072】
駆動機構40は、チューブ83を対向する2方向から挟んで変形させて、供給室33gの容積を交互に増加および減少させる。具体的には、駆動機構40は、
図8(a)の矢印AR3のように、チューブ83を対向する2方向から挟んでチューブ83を広げるように同時に変形させることで、供給室33gの容積を増加させる。すなわち、駆動機構40は、2つのピストン85,86を互いに離れる方向に同時に移動させることでチューブ83を変形させる(広げる)。これにより、供給室33gの容積を増加させる。また、駆動機構40は、
図8(b)の矢印AR4のように、チューブ83を対向する2方向から挟んでチューブ83を潰すように同時に変形させることで、供給室33gの容積を減少させる。すなわち、駆動機構40は、2つのピストン85,86を互いに近づく方向に同時に移動させることでチューブ83を変形させる(チューブ83を潰す)。これにより、供給室33gの容積を減少させる。なお、下流ポンプ27も本実施例の上流ポンプ25と同様に構成されている。
【0073】
本実施例によれば、駆動機構40は、チューブ83を2方向から変形させて、供給室33gの容積を交互に増加・減少させる。この際、チューブ83を2方向から変形させる。これにより、各方向による変形量が限られていても、所望の体積量の液体を吸引して送り出しすることができる。また、供給室33gの内壁の一部はチューブ83で構成されているので、液体の滞留を抑え、液体の品質劣化を抑制できる。
【0074】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0075】
(1)上述した実施例1では、ダイヤフラム37,38,77,78は、ローリングダイヤフラムで構成されていた。しかしながら、他のダイヤフラムであってもよい。ダイヤフラム37,38,77,78は、例えば、フラットダイヤフラム、溝付ダイヤフラム、皿形ダイヤフラムおよび波形ダイヤフラムで構成されていてもよい。波形ダイヤフラムは、同心円状の複数の溝が形成されたものである。
図9(a)、
図9(b)は、ダイヤフラムとしてフラットダイヤフラム87,88を用いた上流ポンプ25を示す図である。下流ポンプ27も上流ポンプ25と同様に構成されている。
図9(a)は、2つのピストン35,36を離れる方向に共に移動させた状態を示す。
図9(b)は、2つのピストン35,36を近づく方向に共に移動させた状態を示す。
【0076】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、例えば、
図2の上流ポンプ25のように、2つのピストン35,36および2つのダイヤフラム37,38は、供給室33gを挟んで対向して配置されていた。この点、2つのピストン35,36および2つのダイヤフラム37,38は、供給室33gの周りを取り巻くように配置されていてもよい。例えば2つのピストン35,36および2つのダイヤフラム37,38は、2つのピストン35,36の移動方向D1,D2が互いに直交するように配置されていてもよい。
図10は、上から見た上流ポンプ25の横断面図である。
図10では、第1のピストン35の移動方向D1は、第2のピストン36の移動方向D2と90°で交わっている。この場合、2つのピストン35,36は、干渉しないように構成されている。なお、実施例2の場合は、チューブ83を対向する2方向(180°)から変形させていたが、2方向は、
図10の移動方向D1,D2のように、90°であってもよい。
【0077】
また、
図10に示す駆動機構90は、3つの傘歯車91〜93を備えている。モータM3を回転駆動させると、モータM3の出力軸M3Aと連結された第2シャフト95、および第2シャフト95に固定された第1の傘歯車91が回転する。第1の傘歯車91が回転すると、第1の傘歯車91と各々かみ合う第2傘歯車92および第3傘歯車93が回転する。第2傘歯車92は、第1ナット53に固定され、第3傘歯車93は、第2ナット54に固定される。
【0078】
そのため、第2傘歯車92および第1ナット53が一体となって回転すると、第1ナット53と第1ネジ軸57とがかみ合うので、第1ネジ軸57および第1ピストン35が移動する。同様に、第3傘歯車93および第2ナット54が一体となって回転すると、第2ナット54と第2ネジ軸58とがかみ合うので、第2ネジ軸58および第2ピストン36が移動する。モータM3を正回転させると、2つのピストン35,36は、互いに離れる方向に移動する。モータM3を逆回転させると、2つのピストン35,36は、互いに近づく方向に移動する。下流ポンプ27も上流ポンプ25と同様に構成されている。
【0079】
(3)上述した各実施例および変形例(1)では、駆動機構40,80は、モータMの回転駆動を伝達する伝達部として、プーリとベルトと備えていた。この点、回転駆動40,80は、伝達部として複数のボールネジおよびギアを備えていてもよい。
【0080】
(4)上述した各実施例および各変形例では、例えば駆動機構40は、2つのダイヤフラム37,38を同時に変形させるために、単一のモータM1を備えていた。この点、駆動機構40は、2つのモータM1を備えてもよい。すなわち、2つのピストン35,36の各々に、モータM1が設けられる。一方のモータM1は、第1のピストン35を移動させ、他方のモータM1は、第2のピストン36を移動させる。また、2つのモータM1は、
図3(a)、
図3(b)のように、2つのピストン35,36を互いに離れる方向および近づく方向に同時に移動させる。また、2つのモータM1は、2つのピストン35,36を個別に移動させてもよい。なお、一方のピストンの動作タイミングをずらせば、2つのダイヤフラム37,38を同時に変形させる期間が減少し、送り出される流体の脈動が軽減される。
【0081】
(5)上述した各実施例および各変形例では、例えば2つのピストン35,36は、モータM1の回転駆動により移動する。この点、2つのピストン35,36は、気体を流入および流出させることで、移動してもよい。また、2つのピストン35,36は、ソレノイドにより移動してもよい。
【0082】
(6)上述した各実施例および各変形例では、ポンプ装置13は、上流ポンプ25および下流ポンプ27(2つのポンプ)を備えている。この点、ポンプ装置13は、単一のポンプであってもよい。また、ポンプ装置13において、上流ポンプ25および下流ポンプ27のいずれか一方は、従来の単一のピストンを備えたポンプであってもよい。
【0083】
(7)上述した各実施例および各変形例では、上流ポンプ25および下流ポンプ27は、処理液に含まれる気泡を抜きやすくするために、上下方向に配置されていたが、これに限られない。例えば、上流ポンプ25は、下流ポンプ27よりも高い位置に配置されていてもよい。また、上流ポンプ25および下流ポンプ27は、左右に配置されていてもよい。
【0084】
(8)上述した各実施例および各変形例では、上流ポンプ25および下流ポンプ27は、2つのピストンを備えていたが、例えば3つ以上のピストンを備えてもよい。すなわち、上流ポンプ25および下流ポンプ27は、2つ以上(複数)のピストンを備えていてもよい。なお、この場合、実施例1では、2つ以上のダイヤフラムを変形させ、実施例2では、チューブ83を2方向以上から変形させる。