特許第6739291号(P6739291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739291
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】セメント用添加剤およびセメント組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/32 20060101AFI20200730BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20200730BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20200730BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   C04B24/32 A
   C04B24/02
   C04B24/06 A
   C04B28/02
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-167117(P2016-167117)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-35012(P2018-35012A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】殿谷 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 猛
【審査官】 西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−073465(JP,A)
【文献】 特開2010−229015(JP,A)
【文献】 特開平06−092704(JP,A)
【文献】 特開2007−091580(JP,A)
【文献】 特開2011−084459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)である(A成分)と、
オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、を含み、
該a2成分が、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、エリスリトールのアルキレンオキシド付加体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、ビニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、アリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、メタアリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、3−メチル−2−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、2−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体から選ばれる少なくとも1種であり、
該A成分に対する該B成分の質量の割合が10%〜200%である
セメント用添加剤。
【請求項2】
前記a2成分はカルボキシル基を有さない、請求項1に記載のセメント用添加剤。
【請求項3】
価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)である(A成分)と、
オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、
セメントと、を含み、
該a2成分が、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、エリスリトールのアルキレンオキシド付加体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、ビニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、アリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、メタアリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、3−メチル−2−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、2−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体から選ばれる少なくとも1種であり、
該A成分に対する該B成分の質量の割合が10%〜200%である
セメント組成物。
【請求項4】
前記セメント組成物中の前記A成分の含有量が、前記セメントに対し、0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントであり、前記セメント組成物中の前記B成分の含有量が、前記セメントに対し、0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントである、請求項に記載のセメント組成物。
【請求項5】
前記a2成分はカルボキシル基を有さない、請求項3または4に記載のセメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント用添加剤およびセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタルやコンクリートなどのセメント組成物は、一般に、セメントと骨材と水を含んでおり、流動性を高めて減水させるために、好ましくはセメント混和剤がさらに含まれる。
【0003】
最近、セメント組成物に対し、減水性能の向上に加えて、硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
【0004】
他方、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上(例えば4週間レベルでの強度向上など)が求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−84459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用添加剤を提供することにある。また、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセメント用添加剤は、
重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種(A成分)と、
オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、を含む。
【0008】
一つの実施形態としては、上記A成分に対する上記B成分の質量の割合が10%〜500%である。
【0009】
一つの実施形態としては、上記a1成分の重量平均分子量が300000〜600000である。
【0010】
一つの実施形態としては、上記a2成分が、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、エリスリトールのアルキレンオキシド付加体、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体から選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
本発明のセメント組成物は、
重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種(A成分)と、
オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、
セメントと、を含む。
【0012】
一つの実施形態としては、上記セメント組成物中の上記A成分の含有量が、上記セメントに対し、0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントであり、上記セメント組成物中の上記B成分の含有量が、上記セメントに対し、0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントである。
【0013】
一つの実施形態としては、上記A成分に対する上記B成分の質量の割合が10%〜500%である。
【0014】
一つの実施形態としては、上記a1成分の重量平均分子量が300000〜600000である。
【0015】
一つの実施形態としては、上記a2成分が、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、エリスリトールのアルキレンオキシド付加体、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体から選ばれる少なくとも1種である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用添加剤を提供することができる。また、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るセメント組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
【0018】
≪セメント用添加剤≫
本発明のセメント用添加剤は、重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種(A成分)と、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、を含む。
【0019】
A成分は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0020】
B成分は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0021】
本発明のセメント用添加剤は、A成分とB成分との両方を含むことにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。具体的には、本発明が発現し得るセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、A成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果とB成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
【0022】
本発明のセメント用添加剤中の、A成分とB成分の合計量の含有割合は、好ましくは50質量%〜100質量%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分とB成分の合計量の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。本発明のセメント用添加剤中のA成分とB成分の合計量の含有割合が50質量%未満の場合、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させることが困難となるおそれがある。
【0023】
本発明のセメント用添加剤の一つの実施形態は、本発明のセメント用添加剤がA成分とB成分とからなる。この場合、本発明のセメント用添加剤中の、A成分とB成分の合計量の含有割合は100質量%となる。
【0024】
本発明のセメント用添加剤の別の一つの実施形態は、本発明のセメント用添加剤がA成分とB成分と他の成分からなる。他の成分は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。この場合、本発明のセメント用添加剤中の、A成分とB成分の合計量の含有割合は、好ましくは50質量%〜99.9質量%であり、より好ましくは55質量%〜95質量%であり、さらに好ましくは60質量%〜90質量%であり、特に好ましくは62質量%〜90質量%である。
【0025】
本発明のセメント用添加剤中の、A成分に対するB成分の質量の割合(B成分の質量/A成分の質量)は、好ましくは10%〜500%であり、より好ましくは10%〜200%であり、さらに好ましくは10%〜100%であり、特に好ましくは10%〜80%であり、最も好ましくは10%〜50%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分に対するB成分の割合が上記範囲内にあれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
【0026】
<A成分>
A成分は、重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種である。A成分としてこのような成分を採用することにより、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
【0027】
a1成分とa2成分とに関し、両者が同じ重量平均分子量であれば、直鎖構造を有するa1成分の方が、分岐構造を有するa2成分よりも粘性が大きいため、粘性のより小さいa2成分の方が、取扱いが容易である。
【0028】
(a1成分)
a1成分は、重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコールである。a1成分の重量平均分子量が150000以上であることにより、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
【0029】
a1成分は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0030】
a1成分の重量平均分子量は、好ましくは150000〜5000000であり、より好ましくは150000〜3000000であり、さらに好ましくは180000〜1000000であり、特に好ましくは200000〜800000であり、最も好ましくは300000〜600000である。a1成分の重量平均分子量が上記範囲内にあれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
【0031】
(a2成分)
a2成分は、3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物である。a2成分が3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物であることにより、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
【0032】
a2成分は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0033】
3価以上の多価アルコールとしては、3個以上のヒドロキシル基を有する化合物であればよく、低分子化合物やポリマーでもよく、任意の適切な3価以上の多価アルコールを採用し得る。このような3価以上の多価アルコールとしては、好ましくは3価〜500価のアルコールであり、より好ましくは3価〜100価のアルコールであり、さらに好ましくは3価〜50価のアルコールである。このような多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0034】
多価アルコールとしては、水酸基を有するモノマーを重合して得られるものも挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタアリルアルコール、ブテニルアルコール、3−メチル−3−ブテニルアルコール、3−メチル−2−ブテニルアルコール、2−メチル−3−ブテニルアルコールなどが挙げられる。これらは、単独で重合させてもよく、他の重合可能なモノマーと共重合させてもよい。ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へアルキレンオキシドを付加したものも多価アルコールに含まれる。
【0035】
アルキレンオキシドとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは炭素数2〜10のアルキレンオキシドであり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキレンオキシドであり、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレンオキシドであり、特に好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、最も好ましくは炭素数2〜3のアルキレンオキシド(すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド)である。また、アルキレンオキシドは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0036】
多価アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数は、好ましくは5モル以上であり、より好ましくは10モル〜100000モルであり、さらに好ましくは20モル〜50000モルであり、さらに好ましくは30モル〜10000モルであり、特に好ましくは40モル〜5000モルであり、最も好ましくは50モル〜1000モルである。多価アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数が上記範囲内にあれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
【0037】
a2成分の重量平均分子量は、好ましくは3000以上であり、より好ましくは4000〜5000000であり、さらに好ましくは5000〜1000000であり、さらに好ましくは8000〜500000であり、さらに好ましくは10000〜300000であり、特に好ましくは12000〜150000であり、最も好ましくは13000〜50000である。a2成分の重量平均分子量が上記範囲内にあれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
【0038】
a2成分は、任意の適切な官能基を有していてもよい。しかしながら、a2成分は、本発明の効果を十分に発現し得る点で、カルボキシル基は有さないことが好ましい。
【0039】
a2成分を合成する方法としては、公知の方法など、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、水酸基を有するモノマーを重合した後、アルキレンオキシドを付加する方法、水酸基を有するモノマーに先にアルキレンオキシドを付加してから、重合する方法、などが挙げられる。
【0040】
a2成分としては、具体的には、例えば、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、エリスリトールのアルキレンオキシド付加体、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体から選ばれる少なくとも1種などが挙げられる。ここで、「ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体」とは、ポリエチレンイミンが有するアミノ基に結合している活性水素にアルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)が任意の適切な付加モル数で付加した付加体をいう。
【0041】
a2成分が3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体の場合、本発明の効果をより発現し得る点で、該共重合体がカルボキシル基またはその塩(アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩など)を含まないことが好ましい。
【0042】
<B成分>
B成分は、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種である。
【0043】
オキシカルボン酸としては、任意の適切なオキシカルボン酸を採用し得る。このようなオキシカルボン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種である。
【0044】
オキシカルボン酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
【0045】
ケト酸としては、任意の適切なケト酸を採用し得る。このようなケト酸としては、例えば、ピルビン酸、オキソグルタル酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ピルビン酸である。
【0046】
ケト酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
【0047】
糖としては、任意の適切な糖を採用し得る。このような糖としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、異性化糖などの単糖類;マルトース、シュークロース、ラクトースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストリンなどのオリゴ糖;などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコースである。
【0048】
糖アルコールとしては、任意の適切な糖アルコールを採用し得る。このような糖アルコールとしては、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ソルビトールである。
【0049】
<他の成分>
本発明のセメント用添加剤が含み得る他の成分としては、任意の適切な他の成分を採用し得る。このような他の成分としては、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、アルカノールアミン化合物が挙げられる。
【0050】
アルカノールアミン化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
【0051】
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPAと称することもある)、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−プロパノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−(ヒドロキシエチル)アミン(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン(EDIPA)と称することもある)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THEDAと称することもある)、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミン、などが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−(ヒドロキシエチル)アミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
【0052】
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
【0053】
≪セメント組成物≫
本発明のセメント組成物は、重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種(A成分)と、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、セメントと、を含む。
【0054】
本発明のセメント組成物は、好ましくは、A成分とB成分とセメントの他に、水と骨材を含み、より好ましくは、A成分とB成分とセメントと水と骨材とセメント混和剤を含む。
【0055】
本発明のセメント組成物は、A成分とB成分とセメントを含んでいれば、その調製方法としては、任意の適切な調製方法を採用し得る。例えば、A成分とB成分が本発明のセメント用添加剤の形態として配合されて本発明のセメント組成物が調製されてもよいし、A成分とB成分が本発明のセメント用添加剤の形態を採らずに配合(例えば、A成分とB成分がそれぞれ別個に配合)されて本発明のセメント組成物が調製されてもよい。
【0056】
骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材として、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
【0057】
本発明のセメント組成物中のA成分の含有量は、本発明の効果をより効果的に発現し得る点で、セメントに対する含有量(質量%/セメント)として、好ましくは0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントであり、より好ましくは0.003質量%/セメント〜0.50質量%/セメントであり、さらに好ましくは0.005質量%/セメント〜0.30質量%/セメントであり、特に好ましくは0.007質量%/セメント〜0.15質量%/セメントであり、最も好ましくは0.01質量%/セメント〜0.05質量%/セメントである。
【0058】
本発明のセメント組成物中のB成分の含有量は、本発明の効果をより効果的に発現し得る点で、セメントに対する含有量(質量%/セメント)として、好ましくは0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントであり、より好ましくは0.002質量%/セメント〜0.50質量%/セメントであり、さらに好ましくは0.003質量%/セメント〜0.30質量%/セメントであり、特に好ましくは0.004質量%/セメント〜0.15質量%/セメントであり、最も好ましくは0.005質量%/セメント〜0.05質量%/セメントである。
【0059】
A成分とB成分が本発明のセメント用添加剤の形態として配合されて本発明のセメント組成物となる場合は、本発明のセメント組成物中の本発明のセメント用添加剤の含有量は、本発明の効果をより効果的に発現し得る点で、セメントに対する含有量(質量%/セメント)として、好ましくは0.001質量%/セメント〜1質量%/セメントであり、より好ましくは0.003質量%/セメント〜0.7質量%/セメントであり、さらに好ましくは0.005質量%/セメント〜0.5質量%/セメントであり、特に好ましくは0.007質量%/セメント〜0.3質量%/セメントであり、最も好ましくは0.01質量%/セメント〜0.1質量%/セメントである。
【0060】
本発明のセメント組成物中、A成分に対するB成分の質量の割合(B成分の質量/A成分の質量)は、好ましくは10%〜500%であり、より好ましくは10%〜200%であり、さらに好ましくは10%〜100%であり、特に好ましくは10%〜80%であり、最も好ましくは10%〜50%である。本発明のセメント組成物中のA成分に対するB成分の割合が上記範囲内にあれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
【0061】
セメント混和剤は、本発明の効果をより効果的に発現し得る点で、好ましくは、セメント混和剤用ポリマーを含む。
【0062】
セメント混和剤用ポリマーとしては、例えば、セメント分散剤が挙げられる。セメント分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0063】
セメント分散剤としては、例えば、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤などが挙げられる。
【0064】
スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;などが挙げられる。
【0065】
セメント混和剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のセメント添加剤(材)を含有することができる。このような他のセメント添加剤(材)としては、例えば、以下の(1)〜(11)に例示するような他のセメント添加剤(材)が挙げられる。セメント混和剤に含まれ得るセメント混和剤用ポリマーとこのような他のセメント添加剤(材)との配合比は、用いる他のセメント添加剤(材)の種類や目的に応じて、任意の適切な配合比を採用し得る。
【0066】
(1)水溶性高分子物質:メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド等。
【0067】
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
【0068】
(3)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
【0069】
(4)オキシアルキレン系消泡剤:ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
【0070】
(5)オキシアルキレン系以外の消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系、シリコーン系等の消泡剤。
【0071】
(6)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
【0072】
(7)その他界面活性剤:各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
【0073】
(8)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
【0074】
(9)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
【0075】
(10)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
【0076】
(11)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
【0077】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0078】
本発明のセメント組成物に含まれるセメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。さらに、本発明のセメント組成物には、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏が添加されていても良い。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0079】
本発明のセメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m〜185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m〜175kg/mであり、使用セメント量が270kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12〜0.65である。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
【0080】
本発明のセメント組成物がセメント混和剤用ポリマーを含む場合、本発明のセメント組成物中の、セメント混和剤用ポリマーの含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント100質量部に対するセメント混和剤用ポリマーの含有割合として、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜5質量部であり、さらに好ましくは0.05質量部〜3質量部である。このような含有割合とすることにより、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
【0081】
本発明のセメント組成物中のセメント混和剤の含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、セメント100質量部に対するセメント混和剤の含有割合として、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜8質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部〜5質量部である。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
【0082】
本発明のセメント組成物は、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。本発明のセメント組成物は、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
【0083】
本発明のセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調製すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
【0085】
<重量平均分子量分析条件>
ポリエチレングリコールの重量平均分子量については、市販品でカタログやホームページ上で公開されている場合は、実施例および比較例において特記(例えば、「実測値」などと記載)していない限り、その値を採用した(カタログやホームページ上での公開が「平均分子量」等の他の表現になっている場合はその値を採用した)。
・使用カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumnα+TSKgelα−5000+TSKgelα−4000+TSKgelα−3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:Viscotek社製のトリプル検出器「Model302光散乱検出器」、直角光散乱として90°散乱角度、低角度光散乱として7°散乱角度、セル容量として18μL、波長として670nm。
・標準試料:東ソー株式会社製、ポリエチレングリコールSE−8(Mw=l07000)を用い、そのdn/dCを0.135ml/g、溶離液の屈折率を1.333として装置定数を決定した。
・打ち込み量
標準試料:ポリマー濃度が0.2vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
サンプル:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
【0086】
<28日圧縮強度の測定>
(フロー値と空気量の測定)
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、A成分および/またはB成分、減水剤、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m、水:172kg/m、細骨材:796kg/m、粗骨材:930kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてセメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の測定温度になるように、測定に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の測定温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の測定温度雰囲気下で行った。また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤を用い、空気量が1.0±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、フロー値と空気量を測定した。なお、フロー値と空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。また、A成分および/またはB成分、減水剤の添加量は、フロー値が37.5〜42.5cmになる添加量とした。
(28日圧縮強度)
フロー値と空気量を測定した後、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:100mm×200mm
供試体養生(28日):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
なお、実施例、比較例における「強度(%)対比較例28or比較例29」とは、減水剤として共重合体(1)を用いた実施例、比較例については比較例28(共重合体(1)を用いたブランク試験に相当)で測定された28日圧縮強度を100(%)としたときの強度比、減水剤として共重合体(2)を用いた実施例、比較例については比較例29(共重合体(2)を用いたブランク試験に相当)で測定された28日圧縮強度を100としたときの強度比のことである。また、「強度(%)相乗効果分」とは、A成分とB成分を併用した実施例において、「用いたA成分のみを用いた場合の対応する比較例における強度(%)−100(%)」と「用いたB成分のみを用いた場合の対応する比較例における強度(%)−100(%)」との単純和をX(%)とし、「該A成分とB成分を併用した実施例における強度(%)−100(%)」をY(%)としたときの、「Y(%)−X(%)」のことであり、この値が大きいほど、A成分とB成分を併用したことによる単純和に対する相乗効果が大きいことを示している。
【0087】
〔製造例1〕:セメント混和剤用ポリマーの製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部およびイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量100000の共重合体(1)の水溶液を得た。
【0088】
〔製造例2〕:セメント混和剤用ポリマーの製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)の水酸基にエチレンオキシドを付加(エチレンオキシドの平均付加モル数50)させたもの(以下、IPN−50と称す)(80%水溶液)198.2部、アクリル酸0.32部、過酸化水素水(2%水溶液)12.47部、イオン交換水44.75部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら58℃まで加温した。次に、アクリル酸27.12部、イオン交換水108.5部からなる混合溶液を3時間かけ滴下し、それと同時にL−アスコルビン酸0.74部、3−メルカプトプロピオン酸1.61部、イオン交換水86.31部からなる混合溶液を3時間30分かけて滴下した。滴下完了後1時間、58℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量140000の共重合体(2)の水溶液を得た。
【0089】
〔製造例3〕
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水103.7部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)188部、アクリルアミド9.6部、イオン交換水53.07部からなる混合溶液を4時間かけ滴下し、それと同時に3−メルカプトプロピオン酸0.13部、イオン交換水29.47部からなる混合溶液と過硫酸アンモニウム0.48部とイオン交換水15.55部の混合溶液をそれぞれ5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量130000の共重合体(3)の水溶液を得た。
【0090】
〔製造例4〕
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水117.3部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)188部、アクリルアミド9.6部、イオン交換水53.07部からなる混合溶液を4時間かけ滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム0.48部とイオン交換水31.59部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量210000の共重合体(4)の水溶液を得た。
【0091】
〔製造例5〕
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水:103.7部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)180部、ヒドロキシエチルアクリレート16.0部、イオン交換水44.0部からなる混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.06部とイオン交換水40.2部からなる混合溶液と、過硫酸アンモニウム1.98部とイオン交換水64.05部からなる混合溶液をそれぞれ5時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量350000の共重合体(5)の水溶液を得た。
【0092】
〔製造例6〕
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水:143.97部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)180部、ヒドロキシエチルアクリレート16.0部、イオン交換水44.0部からなる混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に、過硫酸アンモニウム1.98部とイオン交換水64.05部からなる混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量740000の共重合体(6)の水溶液を得た。
【0093】
〔実施例1〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万(http://www.wako−chem.co.jp/siyaku/qa/ccn/pdf/ccn52.pdfに記載の平均分子量値)、以下同様)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(1)を調製した。
【0094】
〔実施例2〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、酒石酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(2)を調製した。
【0095】
〔実施例3〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、クエン酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(3)を調製した。
【0096】
〔実施例4〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、リンゴ酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(4)を調製した。
【0097】
〔実施例5〕
PEG50万の配合量を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行い、セメント用添加剤(5)を調製した。
【0098】
〔実施例6〕
PEG50万の配合量を表1のように変えた以外は実施例2と同様に行い、セメント用添加剤(6)を調製した。
【0099】
〔実施例7〕
PEG50万の配合量を表1のように変えた以外は実施例3と同様に行い、セメント用添加剤(7)を調製した。
【0100】
〔実施例8〕
PEG50万の配合量を表1のように変えた以外は実施例4と同様に行い、セメント用添加剤(8)を調製した。
【0101】
〔実施例9〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、グルコース(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(9)を調製した。
【0102】
〔実施例10〕
PEG50万の配合量を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行い、セメント用添加剤(10)を調製した。
【0103】
〔実施例11〕
グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例5と同様に行い、セメント用添加剤(11)を調製した。
【0104】
〔実施例12〕
グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例5と同様に行い、セメント用添加剤(12)を調製した。
【0105】
〔実施例13〕
酒石酸の配合量を表1のように変えた以外は実施例6と同様に行い、セメント用添加剤(13)を調製した。
【0106】
〔実施例14〕
PEG200万(ポリエチレングリコール2,000,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=200万(http://www.wako−chem.co.jp/siyaku/qa/ccn/pdf/ccn52.pdfに記載の平均分子量値)、以下同様)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(14)を調製した。
【0107】
〔実施例15〕
製造例3で得られた共重合体(3)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(15)を調製した。
【0108】
〔実施例16〕
共重合体(3)、グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例14と同様に行い、セメント用添加剤(16)を調製した。
【0109】
〔実施例17〕
製造例3で得られた共重合体(3)、酒石酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(17)を調製した。
【0110】
〔実施例18〕
製造例4で得られた共重合体(4)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(18)を調製した。
【0111】
〔実施例19〕
グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例17と同様に行い、セメント用添加剤(19)を調製した。
【0112】
〔実施例20〕
製造例4で得られた共重合体(4)、クエン酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(20)を調製した。
【0113】
〔実施例21〕
製造例5で得られた共重合体(5)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(21)を調製した。
【0114】
〔実施例22〕
グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例20と同様に行い、セメント用添加剤(22)を調製した。
【0115】
〔実施例23〕
製造例5で得られた共重合体(5)、ソルビトール(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(23)を調製した。
【0116】
〔実施例24〕
製造例6で得られた共重合体(6)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(24)を調製した。
【0117】
〔実施例25〕
製造例6で得られた共重合体(6)、リンゴ酸(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(25)を調製した。
【0118】
〔実施例26〕
ESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(26)を調製した。
【0119】
〔実施例27〕
ESP、グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例25と同様に行い、セメント用添加剤(27)を調製した。
【0120】
〔実施例28〕
SB300(重量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(28)を調製した。
【0121】
〔実施例29〕
グルコン酸ナトリウムの配合量を表1のように変えた以外は実施例27と同様に行い、セメント用添加剤(29)を調製した。
【0122】
〔実施例30〕
PEG20万(ポリエチレングリコール、アルドリッチ社製、重量平均分子量=313000(実測値))、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)を0.02質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(30)を調製した。
【0123】
〔実施例31〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を0.005質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(31)を調製した。
【0124】
〔実施例32〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)を0.01質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(32)を調製した。
【0125】
〔実施例33〕
PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、THEDA(N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、東京化成社製)を0.005質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(33)を調製した。
【0126】
〔実施例34〕
ESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を0.02質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(34)を調製した。
【0127】
〔実施例35〕
SB300(重量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を0.01質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(35)を調製した。
【0128】
〔実施例36〕
製造例3で得られた共重合体(3)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、THEDA(N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、東京化成社製)を0.01質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(36)を調製した。
【0129】
〔実施例37〕
製造例4で得られた共重合体(4)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を0.01質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(37)を調製した。
【0130】
〔実施例38〕
製造例5で得られた共重合体(5)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)を0.005質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(38)を調製した。
【0131】
〔実施例39〕
製造例6で得られた共重合体(6)、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を表1の条件で配合し、さらに、THEDA(N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、東京化成社製)を0.005質量%/セメントとなる量で添加し、セメント用添加剤(39)を調製した。
【0132】
〔比較例1〕
表2のように、PEG2万(ポリエチレングリコール20,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=15000〜25000(http://www.wako−chem.co.jp/siyaku/qa/ccn/pdf/ccn52.pdfに記載の平均分子量値)、以下同様)をセメント用添加剤(C1)とした。
【0133】
〔比較例2〕
表2のように、PEG10万(ポリエチレングリコール、アルドリッチ社製、重量平均分子量=148000(実測値))をセメント用添加剤(C2)とした。
【0134】
〔比較例3〕
表2のように、PEG20万(ポリエチレングリコール、アルドリッチ社製、重量平均分子量=313000(実測値))をセメント用添加剤(C3)とした。
【0135】
〔比較例4〕
表2のように、PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)をセメント用添加剤(C4)とした。
【0136】
〔比較例5〕
表2のように、PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)をセメント用添加剤(C5)とした。
【0137】
〔比較例6〕
表2のように、PEG50万(ポリエチレングリコール500,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=50万)をセメント用添加剤(C6)とした。
【0138】
〔比較例7〕
表2のように、PEG200万(ポリエチレングリコール2,000,000、和光純薬工業社製、重量平均分子量=200万)をセメント用添加剤(C7)とした。
【0139】
〔比較例8〕
表2のように、製造例3で得られた共重合体(3)をセメント用添加剤(C8)とした。
【0140】
〔比較例9〕
表2のように、製造例3で得られた共重合体(3)をセメント用添加剤(C9)とした。
【0141】
〔比較例10〕
表2のように、製造例4で得られた共重合体(4)をセメント用添加剤(C10)とした。
【0142】
〔比較例11〕
表2のように、製造例5で得られた共重合体(5)をセメント用添加剤(C11)とした。
【0143】
〔比較例12〕
表2のように、製造例6で得られた共重合体(6)をセメント用添加剤(C12)とした。
【0144】
〔比較例13〕
表2のように、製造例6で得られた共重合体(6)をセメント用添加剤(C13)とした。
【0145】
〔比較例14〕
表2のように、ESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの)をセメント用添加剤(C14)とした。
【0146】
〔比較例15〕
表2のように、ESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの)をセメント用添加剤(C15)とした。
【0147】
〔比較例16〕
表2のように、SB300(重量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)をセメント用添加剤(C16)とした。
【0148】
〔比較例17〕
表2のように、SB300(重量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)をセメント用添加剤(C17)とした。
【0149】
〔比較例18〕
表2のように、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C18)とした。
【0150】
〔比較例19〕
表2のように、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C19)とした。
【0151】
〔比較例20〕
表2のように、グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C20)とした。
【0152】
〔比較例21〕
表2のように、酒石酸(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C21)とした。
【0153】
〔比較例22〕
表2のように、酒石酸(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C22)とした。
【0154】
〔比較例23〕
表2のように、酒石酸(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C23)とした。
【0155】
〔比較例24〕
表2のように、クエン酸(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C24)とした。
【0156】
〔比較例25〕
表2のように、リンゴ酸(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C25)とした。
【0157】
〔比較例26〕
表2のように、グルコース(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C26)とした。
【0158】
〔比較例27〕
表2のように、ソルビトール(和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C27)とした。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
〔実施例40〜78〕
表3に示す条件にて、減水剤とA成分およびB成分(実施例69〜78においては、実施例30〜39で用いた、A成分およびB成分以外のその他成分も)を用いて28日圧縮強度を測定した。すなわち、セメント組成物を調製して28日圧縮強度を測定した。なお、その他成分のセメントに対する配合割合は、実施例30〜40と同様とした。
なお、セメント組成物を調製するにあたって、A成分およびB成分(実施例69〜78においては、実施例30〜39で用いた、A成分およびB成分以外のその他成分も)として、実施例1〜39で得られたセメント用添加剤(1)〜(39)を用いた場合であっても、A成分およびB成分(実施例69〜78においては、実施例30〜39で用いた、A成分およびB成分以外のその他成分も)をそれぞれ独立に添加して用いた場合であっても、同様の結果が得られた。
結果を表3に示した。
【0162】
〔比較例28〜56〕
表4に示す条件にて、減水剤と比較例1〜27で得られたセメント用添加剤(C1)〜(C27)を用いて28日圧縮強度を測定した。すなわち、セメント組成物を調製して28日圧縮強度を測定した。
結果を表4に示した。
【表3】
【0163】
【表4】
【0164】
表3、4に示すように、A成分とB成分を併用した実施例40〜78における28日圧縮強度の強度比は、「各実施例において用いたA成分のみを用いた対応する比較例における強度(%)−100(%)」と「各実施例において用いたB成分のみを用いた対応する比較例における強度(%)−100(%)」との単純和に比べて、「実施例における強度(%)−100(%)」(表3における「強度(%)対比較例28or比較例29」)が有意に増加しており、顕著な相乗効果が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明のセメント用添加剤は、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に好適に用いられる。