特許第6739297号(P6739297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6739297回路基板用電気コネクタ及び回路基板用電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739297
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】回路基板用電気コネクタ及び回路基板用電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20200730BHJP
【FI】
   H01R12/91
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-176891(P2016-176891)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-41696(P2018-41696A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】玉井 暢洋
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−115488(JP,A)
【文献】 特開2015−153503(JP,A)
【文献】 特開平11−354229(JP,A)
【文献】 特開2018−010724(JP,A)
【文献】 特開2002−246119(JP,A)
【文献】 米国特許第04334732(US,A)
【文献】 国際公開第2009/072263(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19718448(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0029102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
13/17
13/631
24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の実装面に配される回路基板用電気コネクタにおいて、
回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として配列される複数の接続体と、
上記複数の接続体を支持する支持体とを有し、
上記接続体は、相手コネクタに設けられた相手端子に接続される端子と、該端子を保持する電気絶縁材の定置保持体及び可動保持体とを有し、
上記端子は、該端子の長手方向一端部に実装面へ接続される接続部を、長手方向他端部に相手端子に接触する接触部を有していて、上記接触部が可動保持体の一側面にて保持され、該可動保持体と上記接続部との間で定置保持体により保持されていて、可動保持体と定置保持体との間に可撓部が形成されており、
上記可動保持体は、接触部が位置する一側面とは反対側の他側面に付勢部材が設けられており、
上記付勢部材は、相手コネクタとの接続状態で、隣接する他の接続体を付勢力をもって押圧することで、その反力で接触部を相手コネクタの相手端子に接圧をもって接触させる、
ことを特徴とする回路基板用電気コネクタ。
【請求項2】
接続体は、隣接する他の接続体と、付勢部材が設けられている面同士が対面するように配置されて対をなしていることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項3】
対をなす接続体は、両接続体の接触部が位置する両方の外側に相手コネクタの相手端子が位置するようになっていることとする請求項1または請求項2に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項4】
接続体は、端子と付勢部材との間に位置するように可動保持体で保持されたシールド板を有していることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項5】
一方のコネクタが請求項1ないし請求項4のうちの一つに記載の回路基板用電気コネクタに設けられた接続体を有し、相手コネクタとしての他方のコネクタが該一方のコネクタと同一構成の接続体を有していることとする回路基板用電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板用電気コネクタ及び回路基板用電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板用電気コネクタ(以下、「コネクタ」という)は、該コネクタの実装対象となる回路基板の実装面に対し平行な方向で、端子が可撓性をもっている、いわゆるフローティングを許容する形式のものが提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のコネクタにあっては、実装面に対し直角方向に延びる端子の長手方向の一端に接続部、他端に接触部を設け、接続部と接触部の間では、接続部寄り位置で定置保持体、そして該定置保持部よりも接触部寄り位置で可動保持体により端子を保持することで一つの接続体を形成し、複数の接続体をケース体に収めてコネクタとしている。定置保持体そして可動保持体は電気絶縁材製である。端子は、定置保持体と可動保持体の間に部分が他部よりも撓みやすい可撓部をなしている。かかる接続体では、可動保持体から相手コネクタ方向に突出している部分の先端に形成された接触部が、相手コネクタに設けられた相手端子と接触して上記端子の長手方向に対し直角な側方への接圧を受けると、上記可撓部で撓み変形を生じ、フローティングが可能となり、相手コネクタが正規位置から上記側方にずれていても、これに対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−115488
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のコネクタは、回路基板の実装面からの高さ寸法が小さいこと、すなわち、低背化が求められている。
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1にあっては、コネクタを形成する複数の接続体において、端子は可動保持体から相手コネクタの方へ向け長く突出し、その先端に接触部を設けることで、相手端子との接触時に側方へ撓んで接圧を確保するようになっており、端子が可動保持体から長く突出していることに起因して、コネクタの低背化が十分には図られていない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑み、端子を可動保持体から相手コネクタの方へ向け長く突出している分を極力短くあるいは突出しないようにした、低背化を図る回路基板用電気コネクタ及び回路基板用電気コネクタ組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回路基板用電気コネクタは、回路基板の実装面に配される。
【0009】
かかる回路基板用電気コネクタにおいて、本発明では、回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として配列される複数の接続体と、上記複数の接続体を支持する支持体とを有し、上記接続体は、相手コネクタに設けられた相手端子に接続される端子と、該端子を保持する電気絶縁材の定置保持体及び可動保持体とを有し、上記端子は、該端子の長手方向一端部に実装面へ接続される接続部を、長手方向他端部に相手端子に接触する接触部を有していて、上記接触部が可動保持体の一側面にて保持され、該可動保持体と上記接続部との間で定置保持体により保持されていて、可動保持体と定置保持体との間に可撓部が形成されており、上記可動保持体は、接触部が位置する一側面とは反対側の他側面に付勢部材が設けられており、上記付勢部材は、相手コネクタとの接続状態で、隣接する他の接続体を付勢力をもって押圧することで、その反力で接触部を相手コネクタの相手端子に接圧をもって接触させることを特徴としている。
【0010】
このような構成の本発明のコネクタでは、端子は可動保持体から相手コネクタに向けて突出せずに、可動保持体の一側面に位置している接触部が他側面の付勢部材から付勢されて接圧を確保する。したがって、端子が可動保持体から相手コネクタに向け突出いていない分、低背化が図れる。
【0011】
本発明において、接続体は、隣接する他の接続体と、付勢部材が設けられている面同士が対面するように配置されて対をなしている配置することができる。このように、接続体が隣接の接続体と対をなすように配置されると、互いの接続体の付勢部材同士で付勢し合うようになり、互いに接圧を確保できる。
【0012】
本発明において、対をなす接続体は、両接続体の接触部が位置する両方の外側に相手コネクタの相手端子が位置するよう配置されることができる。
【0013】
本発明において、接続体は、端子と付勢部材との間に位置するように可動保持体で保持されたシールド板を有しているようにすることができる。こうすることで接触部に対するシールド効果を得る。
【0014】
本発明では、一方のコネクタが上述の接続体を有し、相手コネクタとしての他方のコネクタが該一方のコネクタと同一構成の接続体を有しているようにして、回路基板用電気コネクタ組立体を構成できる。このコネクタ組立体では、同一構成のコネクタを嵌合接続することで、一方のコネクタの可撓部が他方のコネクタの可動保持体を、そしてコネクタの可撓部が一方のコネクタの可動保持体をそれぞれ側方から圧することで、両コネクタの端子の接触部同士間で接圧が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように、接続体がフローティングを可能とするように端子を保持している可動保持体から端子を相手コネクタ方向に突出させてその先端に接触部を設けるようにすることに代えて、接触部を可動保持体の一側面に位置させ他側面に付勢部材を設けることとし、隣接する他の接続体の付勢部材からの付勢力を受けて接圧を確保するようにしたので、端子は可動保持体から突出することがなくなり、その分だけコネクタの低背化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としての一対のコネクタの嵌合接続前の斜視図である。
図2図1の一対のコネクタの嵌合接続後の斜視図である。
図3図1の一方のコネクタについての部分拡大斜視図である。
図4図1の一対のコネクタの嵌合接続前の縦断面図である。
図5図1の一対のコネクタの正規位置での嵌合接時の縦断面図である。
図6図5の両コネクタについて、高さ方向で、可動保持体の位置での部分拡大横断面である。
図7図1の一対のコネクタのフローティングした嵌合接続時の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1そして図2は、本実施形態の回路基板用電気コネクタI(以下「コネクタI」という)と相手コネクタII(以下、「コネクタII」という)とを示す斜視図であり、図1は両コネクタI,IIの嵌合接続前、図2は嵌合接続後を示す。この相手方たるコネクタIIには、コネクタIの要素と共通要素へ同一符号を付すことにし、また、両コネクタI,IIの上記共通要素は、図1の斜視図では、コネクタIあるいはコネクタIIの一方でのみ見えている部分があるので、該共通要素は両コネクタI,IIを参照しつつ説明することにする。
【0019】
コネクタI,IIはそれぞれ複数の接続体10、図1に図示の例では、いずれも6つの接続体を有している。これらの接続体10は、端子配列方向を長手方向Aとして長く延び、コネクタIにあっては支持体30,コネクタIIにあっては支持体30’により、上記長手方向に対し直角な方向を配列方向Bとして配列保持されている。コネクタIとコネクタIIとでは、接続体10の数は同じであるが、その配列形態が異なる故に、接続体10を支持する支持体30と支持体30’とはその形態が酷似しているもののサイズ(配列方向Bでの長さ)が異なる。以下、コネクタIIをも参照しつつコネクIについて説明する。
【0020】
コネクタIでは、複数の接続体10は、その配列方向Bにて両端側に位置する接続体10は単独で、そしてその両端位置間では二つの接続体10が対称に組まれて対をなして設けられている。上記両端側における接続体10には該接続体10と平行に上記長手方向Aに延びる端壁部材20が並設されており、すべての接続体10(図1では、合計六つの接続体10)と、上記端壁部材20が、上記長手方向Aの両端で、配列方向Bに延びる支持体30により支持されている。該支持体30と端壁部材20とは相俟って一つの四角形状枠をなしており、枠内にすべての接続体10が並行に配列そして支持されていることになる。
【0021】
一方、コネクタIIでは、上記接続体10が配列方向Bで対称に配置されて対をなしていてこの対が配列方向Bにて三箇所に位置し、合計六つの接続体10が支持体30’で支持されている。コネクタIIでは、コネクタIにおける端壁部材20に相当する部材を有しておらず、コネクタIIにおける上記支持体30’はその分だけコネクタIにおける支持体30よりも短くなっている。この長さの点での相違を除くと、コネクタIIの支持体30’はコネクタIの支持体30と同じ形態となっている。
【0022】
接続体10は、長手方向Aに対して直角な面、すなわち配列方向Bと高さ方向にひろがる面でのコネクタI,IIの嵌合接続前での断面を示す図4に見られるように、電気絶縁材の定置保持体11と可動保持体12、定置保持体11と可動保持体12に架け渡されて保持されている金属材製の端子15、可動保持体12で保持されている金属材製の付勢部材16、そして可動保持体12で保持されている金属材製のシールド板17とを有している。
【0023】
コネクタIそしてコネクタIIが回路基板に配置接続された際に、該回路基板寄りに位置するコネクタIそしてコネクタIIの定置保持体11は、図1に見られるように、長手方向Aに延びており、また、該定置保持体11と平行に該長手方向Aに延びる可動保持体12は、コネクタの高さ方向で上記定置保持体11に対し離間して定置保持体11よりも上記回路基板から遠い位置に設けられている。定置保持体11は、図4に見られるように、その断面形状が高さ方向(コネクタ嵌合方向)寸法が幅方向(配列方向B)寸法よりも小さく、これに対し、可動保持体12は幅方向寸法よりも高さ寸法が大きく設定されている。定置保持体11と可動保持体12については、シールド板そして支持体等との関係で、再度後述する。
【0024】
端子15は直帯状をなし、図4に見られるように、定置保持体11を高さ方向に貫通し、一対の接続体10の対向方向外側面をなす可動保持体12の一側面に位置していて、定置保持体11と可動保持体12のそれぞれとの一体モールド成形により保持されている。該端子15は、上記定置保持体11を貫通している該端子15の一端部に回路基板との接続のための接続部15Aを形成し、該接続部15Aに回路基板への半田接続のための半田ボール15A−1が設けられており、一方、可動保持体12の一側面に位置する該端子15の部分は、該一側面に露呈していて、相手コネクタに設けられている相手端子(本実施形態では、同一構成をなす接続体10の端子)と接触する接触部15Bが形成されている。該接触部15Bは、平帯状に延び、その先端に突起状をなして接点部15B−1(図3参照)が形成されていて、電気的に単純な直状の伝送路を形成し、いわゆるスタブレスの形態をなし伝送特性に優れている。上記端子15は、上記定置保持体11と可動保持体12の間に位置していて定置保持体11にもそして可動保持体12にも保持されていない部分は、他部よりも局部的に肉薄に形成されていて、該端子15の板厚方向となる横方向(配列方向B)で弾性撓みを生じやすくなっていて可撓部15Cを形成している。かかる端子15は、各接続体10について、長手方向Aに配列されている複数の端子15すべてを信号端子としてもよいが、本実施形態では、隣接する二つを対とした信号端子の差動ペアとし、該差動ペアの間に位置する端子をグランド端子としている。両コネクタI,IIの嵌合接続時の断面を示す図6では、その様子を示し、信号端子を「15S」、グランド端子を「15G」の符号を付して示されている。図6に見られる通り、両コネクタI,IIの互いに接触する信号端子15S(二対)は、互いのシールド板17により包囲されており、該シールド板17はグランド端子15Gにより接地される。コネクタ嵌合状態では、図6に見られるように、上記信号端子15Sの差動ペアをシールド板17が囲むようになるので、伝送特性に優れている。
【0025】
上記可動支持体12内には、シールド板17が一体モールド成形により埋没保持されている。該シールド板17は上記長手方向Aに長く延び全端子15(信号端子15Sとグランド端子15G)の配列範囲に及んでいて、図6に見られるように、信号端子15Sからは離間しているが、グランド端子15Gに対しては局部的に屈曲された部分で接触している。
【0026】
上記可動保持体12には、図4に見られるように、端子15が配されている一側面とは反対側の他側面に付勢部材16が設けられている。該付勢部材16は、金属板製であり、全端子15の配列範囲に及んで延びており、弾性変形可能なばね部16Aと可動保持体12の上記他側面で保持される被保持部16Bとを有している。付勢部材16は、図示の場合、金属板製であるが、絶縁材製であってもよい。ばね部16Aは、上記可動保持体12の他側面にて、コネクタ高さ方向で定置保持体11から離れる方向の位置、すなわち該可動保持体12の端部に位置しており、図1図3そして図6に見られるように、長手方向Aにて山部と谷部を繰り返す波形状をなしていて、上記長手方向Aで可動保持体12の位置で該可動保持体12の他側面から離れる山部16A−1、そして上記長手方向Aで隣接する二つの可動保持体12の間に形成された谷部16A−2とを有しており、上記山部16A−1が外力を受けて該山部16A−1の高さ方向に弾性変形できるようになっている。両コネクタI,IIの嵌合接続後を示す断面図の図6では、両コネクタI,IIのばね部16Aがそれらの山部16A−1同士で押圧し合っている様子を、山部16A−1同士が重なっているように図示されているが、実際は図1のごとく重なることはなく、押圧し合って重なって図示されている分だけ弾性変形するようになることを示している。上記ばね部16Aは、上述したように可動保持体12の端部に位置しており、これは、上述した接触部15Bの先端に形成された接点15B−1に対応する高さ方向位置であるので、接触部16を上記接点15B−1で良好に接触させる。また、被保持部16Bは、上記長手方向Aで上記ばね部16Aと平行に延びる平帯状をなしていて、上記ばね部16Aとは離れて形成されているが、上記長手方向Aで可動保持体12の両端部のみでばね部16Aと連結されていて一部材の付勢部材16をなしている。被保持部16Bは可動保持体12との一体モールド成形により保持されている。かくして、端子15、付勢部材16、シールド板17を保持する可動保持体12は、端子15が該可動保持体12とは別体の定置保持体11によっても保持されていることで、該定置保持体11と連結されている。該可動保持体12は、上記長手方向Aの両端部に相手コネクタの方に向け突出し、一対の接続体10の対向方向外側に傾斜面をもつ柱状のガイド部12Aが設けられている(図1図4参照)。さらに、可動保持体12は、上記長手方向Aの両端で該長手方向Aに突出していて後述の支持体30で可動に位置規制される平板突起状の被規制部12Bが設けられている(図1図3参照)。一方、該可動保持体12そして端子15を介して連結されている定置保持体11は、上記長手方向Aで可動保持体12よりも同方向に突出した被固定部(図示せず)が設けられている。該被固定部は、後述の支持体30の対応する固定孔に貫通した後に、該固定孔からの突出部分が加熱軟化後に圧潰されることで固定フランジ11Aを形成し、該定置保持体11が支持体30により固定支持されるようになっている。
【0027】
このように構成される一対の接続体10は、図3図4図6に見られるように、互いの接続体10の付勢部材16がそれらのばね部16Aの山部16A−1同士で当接しており、コネクタ嵌合接続前では、この山部16A−1同士は自由状態にあって互いに弾性変形を生じさせてはいないので、可動保持体12同士が、図4に見られるように、互いに離間する方向に傾いた姿勢をとっている。
【0028】
コネクタIで、配列方向に並列された六つの接続体10のうち、該配列方向Bで両端のそれぞれの位置に単独で位置する接続体10に対して並設された端壁部材20も、その長手方向Aの端部に、定置保持体11の場合と同様な突状の被固定部(図示せず)が設けられていて、支持体30の対応固定孔に貫通後に突出部分が加熱後に圧潰されて固定フランジ20Aが形成される。上記端壁部材20は、その長手方向Aの端部に、可動保持体12の場合と同様な平板突起状の被規制部20Bが設けられているが、該端壁部材20は、定置部分と可動部分に別れているわけではなく一体で定置されるので、上記被規制部20Bは、後述の支持体30で規制されるだけでなく定位置で支持される。
【0029】
上記端壁部材20には、金属板製の補強部材21が埋設されている。対をなす二つの接続体10は、配列方向Bにて互いに付勢部材16同士で逆方向の付勢力を作用し合うので、その付勢力が相殺されるが、上記配列方向Bの両端に単独で位置する接続体10における付勢力は上記端壁部材20で受けるしかない。そこで、端壁部材20には補強部材21が埋設部分を有することで補強されており、該補強部材21には、下方へ突出して回路基板に半田固定されて該端壁部材20を強固に保持するための取付脚23が設けられている。該取付脚23には半田を良好とするための半田孔23Aも形成されている。
【0030】
上記支持体(コネクタIにあっては、支持体30、コネクタIIにあっては支持体30’)は、上記接続体10と端壁部材20の長手方向Aの端部における端面にそしてコネクタIIにあっては上記接続体10の長手方向Aの端部における端面にそれぞれ沿い、配列方向Bに延びる金属帯体として形成されている。該支持体30には、定置保持体11の被固定部11Aと端壁部材20の被固定部が貫入する固定孔(図示せず)と、さらには、可動保持体12の被規制部12Bと端壁部材20の被規制部20Bが貫入する規制孔32とが形成されている。
【0031】
上記固定孔と規制孔32とは、それぞれが配列方向Bにて対をなす二つの接続体10の間幅で対を成して設けられている。すなわち、二つの固定孔が支持体30の下縁側位置で一対をなしこれが上記配列方向Bで複数対形成され、二つの規制孔32が支持体30の上縁側位置で一対をなしこれが上記配列方向Bで複数形成されている。コネクタIにあっては、支持体30は、配列方向Bで四対の規制孔32そして固定孔を有し、該配列方向Bで両端での接続体10と端壁部材20による対、そして上記両端の間の二対の接続体10を所定位置で支持している。該支持体30は、上記規制孔32で可動保持体12の被規制部12Bを可動(傾斜可能)に規制支持するとともに端壁部材20の被規制部20Bを固定位置で規制支持し、固定孔で定置保持体11の被固定部11Aと端壁部材20の被規制部20Bを固定支持する。コネクタIIにあっては、支持体30’は三対の規制孔32そして固定孔を有し、規制孔32で接続体10の可動保持体12の被規制部12Bを規制支持し、固定孔で定置保持体11の被固定部11Aを固定支持する。
【0032】
上記支持体30,30’は、コネクタ高さ方向で回路基板(図示せず)に接面する位置に、L字状に屈曲された取付脚33が設けられている。該取付脚33は、回路基板への半田取付されるように形成されており、半田を良好にするために半田孔33Aも形成されている。
【0033】
かくして、図1図4に見られるように、配列方向Bでの両端に配置する接続体10と端壁部材20の対と、上記両端の間に位置する二対の接続体10とを支持体30で支持することでコネクタIが形成され、上記配列方向Bで三対の接続体10を支持体30’により支持することでコネクタIIが形成される。このように形成されたコネクタIは、配列方向Bでの二対の接続体10の対同士間の空間とそれぞれの対の接続体10の側方の空間とで、上記コネクタIIの接続体10の対を受け入れる受入部R1を形成し、一方、コネクタIIは、隣接する接続体10の対同士間で、コネクタIの接続体10の対を受け入れる受入部R2を形成する。
【0034】
このように形成されるコネクタI,IIは次の要領で使用される。
【0035】
先ず、コネクタI,IIのそれぞれを対応の回路基板に取り付ける。この取付けは、各接続体10の端子15の接続部15Aに設けられた半田ボール15A−1による半田接続と、支持体30,30’の取付脚33での半田取付けによりなされる。
【0036】
コネクタIそしてコネクタIIは、対応の回路基板に取り付けられた状態で、対をなす二つの接続体10が互いの付勢部材16のばね部16A同士で(コネクタIにあっては、配列方向Bで両端に単独で位置する接続体10の付勢部材16のばね部Aが端壁部材20に対して)付勢力をもって当接しているので、コネクタ嵌合接続前は、図4に見られるように、接続体10は、端子15の可撓部15Cで撓んでいて、可動保持体12が上記付勢力の方向に傾いている。
【0037】
次に、接続体10がその可動保持体12の部分で傾いている状態のまま、コネクタIIを、図4に示すように、コネクタIの上方にもたらし、該コネクタIIの接続体10の各対がコネクタIIの受入部R1の直上に位置させ、しかる後、該コネクタIIをそのままの姿勢で降下させる。該コネクタIIが降下すると、両コネクタI,IIのガイド部12Aで互いに案内して、該コネクタIIの接続体10の各対がコネクタIの受入部R1に進入し、またコネクタIの接続体10の各対がコネクタIIの受入部R2に進入するようになる。
【0038】
接続体10の対が上記受入部R1そしてR2に進入すると、各接続体10は、相手コネクタの対応接続体10と電気的に接続される。すなわち、一方のコネクタの対をなす二つの接続体10のうちの一方の接続体10の端子15の接触部15Bに設けられた接点15B−1と他方たる相手コネクタの接続体10の端子15の接触部15Bとが、そして一方の接続体10の端子15の接触部15Bと他方たる相手コネクタの接続体10の端子15の接触部15Bに設けられた接点15B−1とがそれぞれ互いに上記配列方向Bで押圧し合うことで、両接続体10の端子15同士間で接触部15Bに接圧をもたらす。一方のコネクタのそれぞれの接続体10における端子15がその接触部15Bにて、相手コネクタの接続体10における端子15の接触部15Bを上記接圧のもとで押すので、両コネクタI,IIの接触部15B同士間での反力により、両コネクタI,IIの接続体10は、それらの端子15の可撓部15Cでの当初の撓みを減じて、コネクタ嵌合接続前の可動保持体12の傾いた姿勢が是正される。この時点で、コネクタIの一対の接続体10そしてコネクタIIの一対の接続体10は、それぞれの付勢部材16のばね部16A同士が互いを圧縮して変位させることで、上記可動保持体12の姿勢の是正を許容する。このばね部16A同士間の反力は、上記接触部15B同士間の接圧にもとづく接触力と釣り合う(コネクタ嵌合接続終了時を示す図5参照)。
【0039】
このように、嵌合接続されたコネクタI,IIが嵌合接続後、あるいは嵌合接続前に互いの回路基板同士が配列方向Bで正規位置からずれて位置する場合がある。かかる場合、本実施形態では、端子15の接触部15B同士で接圧をもつ二つの接続体10は、上記ずれの量に見合う分だけ、図7に見られるように、それぞれの端子15の可撓部15Cで撓みを生じ、このずれを吸収する、いわゆるフローティング状態で、接触部15A同士の良好な接触を維持する。
【0040】
かくして、本発明では、端子15の接触部15Bが高さ方向で可動保持体12の範囲内で該可動保持体12の一側面に位置し、可動保持体12の他側面に付勢部材16を設け、端子の可撓部15Cを定置保持体11と可動保持体12との間に位置せしめたので、端子の接圧を確保しフローティングを可能としつつも、コネクタの高さ寸法が小さく抑えられるようになった。
【符号の説明】
【0041】
10 接続体 15C 可撓部
11 定置保持体 16 付勢部材
12 可動保持体 17 シールド板
15 端子 I コネクタ
15A 接続部 II コネクタ
15B 接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7