(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Dが、500〜3000g/モルの数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)を含み、Nが3〜50であり、該ポリ(アルキレンオキシド)が、前記分散剤の50〜70重量%を構成する、請求項3に記載のポリマー分散剤。
Dが、2〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸または該ヒドロキシカルボン酸からのラクトンの単独重合または共重合から誘導された500〜3000g/モルの数平均分子量のポリエステルを含み、Nが3〜50であり、前記分散剤の50〜70重量%が該ポリエステルである、請求項5に記載のポリマー分散剤。
粒子状固体と、水と、極性または非極性有機媒体と、少なくとも1つのイミドペンダント基を有するポリマー分散剤であって、該イミドのカルボニル基が縮合芳香族環の炭素原子に直接結合されているポリマー分散剤とを含む組成物であって、該ポリマー分散剤が前記請求項1から12のいずれかに記載のポリマーによって表される、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
様々な好ましい特徴および実施形態を非限定的説明によって以下で説明する。
【0010】
記載する各化学成分の量は、別段の指示がない限り、商業用物質中に慣例的に存在し得る任意の溶媒または希釈油を除外して、すなわち活性化学物質ベースで、提示する。しかし、別段の指定がない限り、本明細書で言及する化学物質または組成物の各々は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードのものの中に存在すると一般に理解されている他のそのような物質を含有し得る、商業グレードの物質であると解釈すべきである。モノマーまたは反復単位における(メタ)の使用は、任意選択のメチル基を示す。
【0011】
上記材料の一部は最終配合物中で相互作用することがあり、その結果、最終配合物の成分が最初に添加されたものと異なることがあることは、公知である。例えば、金属イオン(例えば、洗浄剤の金属イオン)は、他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に泳動することができる。それによって形成される生成物は、本発明の組成物をその所期の用途に用いると形成される生成物を含めて、容易に説明することができないことがある。それにもかかわらず、すべてのそのような変形形態および反応生成物は本発明の範囲に含まれ、本発明は、上記成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【0012】
本発明の目的の一つは、最終組成物の、色強度の改善もしくは他の着色特性の改善、粒子状固体充填量の増加、および/または改善された明るさを有する、改善された分散体の形成を可能にする上に、低下された粘度、良好な分散安定性、低減された粒径および低減された粒径分布(通常、平均150nmもしくはそれ未満、例えば70〜135nmの範囲に低減される)、低減されたヘイズ、改善された光沢、および向上したジェットネス(jetness)(とりわけ、組成物が黒色の場合)を有する組成物の生成も可能にする、化合物を提供することである。本発明の組成物は、周囲温度での保管および高温保管条件下でも安定であり得、それ故、最終コーティングの退色または黄変の低減をもたらす。
【0013】
本開示の分散剤は、ペンダント(横方向に結合された)イミドを有し、該イミドのカルボニル基が縮合芳香族環(ナフテン環など)に化学的に結合されているアクリルおよび/またはスチレン系モノマーを、極性または非極性溶媒などの連続媒体中の顔料およびフィラーなどの粒子状物質のためのアンカー基として使用する。結果として生ずる、主鎖からのペンダント基を、式2〜9で示す。これらの極性および非極性溶媒は、プラスチック材料であってもよいし、またはエラストマー材料であってもよい。分散剤は、一般に粒子に固定するアンカー部分と、一般に媒体と好適に相互作用し、分散剤として機能しているときに粒子の集合および/または凝集に対して何らかの形態のコロイド安定化をもたらす、可溶化部分とを通常は有する。
【0014】
縮合芳香族環に化学的に結合されているカルボニル基を有する本発明のイミドは、顔料アンカー官能基として機能することができる。式2〜9は、アクリル系ポリマーに組み込むことができる広範な縮合芳香族イミド部分を提供する。好ましい縮合芳香族環としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンが挙げられ、好ましい縮合環数は、イミド基1つにつき一般には2〜6、好ましくは2または3である。ポリマー分散剤1つにつき、1〜50、より望ましくは約2〜約25のイミド基が縮合芳香族環に結合されていることが望ましい。イミドおよび縮合芳香族環の重量パーセントは、分散剤の重量の約1〜約35重量%、より望ましくは約1〜約15または25重量%であることが望ましい。この重量%計算に関して、イミドは、イミド環、縮合芳香族環およびそれらのR
1置換基を含むが、R
2を含まず、R
2と分散剤ポリマー主鎖の間のいずれの基も含まない。
【0015】
Aは、縮合芳香族イミドと、炭素原子数1または2〜30のヒドロカルビレン基を含む連結基であって、エーテル型結合、エステル型結合およびアミド型結合の場合は最大3、4または5個の酸素原子および最大3、4または5個の窒素原子を場合により含む連結基とを含む部分であり、これらに限定されるものではないが下の式2〜10(下付き文字を有する式1の部分)によって表され、これらの式中、
【化2】
は、式1の炭素主鎖を示し、式1の炭素主鎖への炭素−炭素結合も示す。
【化3】
は、式2〜9、11〜18、および20〜27の一部とは見なされず、むしろ、これらの式が式1の主鎖に連結する場所を示す。
【化4】
【化5】
【化6】
【0016】
R
1は、置換基への結合に利用可能なQ環上の任意の位置にある置換基であり得、R
1は、独立して、H、または電子吸引基(例えば、−NO
2、−SO
2NR’
2、−C(O)R’、−SO
3M、ハロ、例えば−Clもしくは−Br、−NH
2、または−OR’)、または電子供与基(例えば、アルキル基、例えば−CH
3)の1つまたはそれより多くのもの(通常、R
1がH以外であり得る場合、aによって定義される非H基の数は、0〜2、0〜1、0または1であり得る)によって表されることがある。例えば、R
1は、−H、−CH
3、−Clもしくは−Br、−NO
2、−SO
3Mまたは−CNであり得(通常、aが0でなくてもよい場合、R
1は、−Cl、−Br、−SO
3Mまたは−NO
2であり得る);望ましくは、芳香族イミドの芳香族環(Q)部分上の置換基(複数可)R
1は、第二の複素環を形成せず、詳細にはジカルボン酸の第二のイミド環も無水物環も形成しない。
【0017】
Mは、H、金属カチオン、NR’
4+、またはそれらの混合物であり得る。
【0018】
R’は、−Hであってもよいし、通常1〜20個または1〜10個の炭素原子を含有する、場合により置換されているアルキルであってもよく、その置換基は、ヒドロキシルもしくはハロ(通常、ClもしくはBr)またはそれらの混合物であり得る。
【0019】
R
2は、C
1〜C
20ヒドロカルビレン基、もしくはC
1〜C
12ヒドロカルビレン基、もしくはC
1〜C
6ヒドロカルビレン基またはC
1〜C
20ヒドロカルボニレン基、もしくはC
1〜C
12ヒドロカルボニレン基、もしくはC
1〜C
6ヒドロカルボニレン基(R
2が2個より多くの炭素原子を含有する場合、ヒドロカルビレン基またはヒドロカルボニレン基は、直鎖状であってもよいし、または分枝していてもよい)、またはそれらの混合物であり得;ヒドロカルボニレン基は、少なくとも1つのカルボニル基を含むヒドロカルビレン基と定義されるものとする。R
2は、酸素および/または窒素原子を含むこともあり、この場合、R
2の酸素または窒素1個ごとに少なくとも2個の炭素原子があり、これらは、R
2にエーテル型結合、エステル型結合およびアミド型結合を含む。
【0020】
R
3は、独立して、1〜25の炭素数を有する直鎖状であってもよいしまたは分枝していてもよいアルキレン基である。
【0021】
Xは、O、S、C(=O)、NR’またはN、好ましくは、O、NR’、Nであり得る。
【0022】
bは、1または2であり得、b=1の場合、Xは、O、S、C(=O)または−NR’であり得、b=2の場合、Xは、Nであり得る。
【0023】
式(10)で表されるイミドは、縮合芳香族無水物とアミノアルコール、ジアミンもしくはポリアミン、アミノカルボン酸またはそれらの組み合わせとの反応によって調製され得る。
【化7】
【0024】
(式中、R
1、Q、a、dおよびR
2は、前に定義した通りであり、X’は、NH
2、NH、COOHまたはOHである)。
【0025】
R
2がC
1〜C
20ヒドロカルビレン基であり、X’がOHである、式(10)のイミドを調製するために使用される典型的なアミノアルコールの例は、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノブタノール、2−アミノブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、 5−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−2−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、セリノール、4−アミノシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノールまたはそれらの混合物であり得る。
【0026】
R
2がC
1〜C
20ヒドロカルビレン基であり、X’がNH
2またはNHである、式(10)のイミドを調製するために使用される典型的なジアミンまたはポリアミンの例としては、1−メチル−1,3−プロパンジアミン、n−メチレンエチレンジアミン、1,2−ジアミノエタン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ドデカン−1,12−ジアミン、ジエチレントリアミンまたはそれらの混合物が挙げられる。これらは、Dalton Transactions、2003、4537〜4545に記載されているような、無水物とエチレンジアミンなどのジアミンとの反応によって調製され得る。
【0027】
R
2がC
1〜C
20ヒドロカルボニレン基であり、X’がOHである、式(10)のイミドを調製するために使用される典型的なアミノカルボン酸(またはアミノ酸)の例は、アミノ−C
2〜20−アルキ(アルケニ)レンカルボン酸であり得、1つより多くのカルボン酸基を含有することもあり、または含有しないこともあり、1つより多くのアミノ基を含有することもあり、または含有しないこともある。アミノカルボン酸は、ヒドロキシル基などの、ヘテロ原子を含有する他の基を含有することもあり、または含有しないこともある。アルキ(アルケニ)レン基は、直鎖状であることもあり、または分枝していることもある。アミノカルボン酸のアルキ(アルケニ)レン基は、12個以下の炭素原子を含有する。具体例としては、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、セリン、システイン、β−アラニン、グリシン、およびサルコシンが挙げられる。アミノカルボン酸の混合物を使用してもよい。
【0028】
4n+2のπ電子のQの範囲内で定義される技術的特徴は、ヒュッケル則として当業者に周知である。通常、nは、2に等しい(すなわち、π電子数は10である)こともあり、または3である(すなわち、π電子数は14である)こともある。
【0029】
通常、Qは、1,8−ナフタレン無水物、もしくは1,2−ナフタレン無水物、またはそれらの混合物に基づく。一実施形態において、Qは、1,8−ナフタレン無水物、もしくは1,2−ナフタレン無水物、または2,3−ナフタル酸無水物に基づく。
【0030】
Qは、4−ニトロ−1,8−ナフタルイミドもしくは3−ニトロ−1,8−ナフタルイミド(1つのR
1=NO
2の場合)、4−クロロ−1,8−ナフタルイミド(1つのR
1=Clの場合)基、4−スルホ−1,8−ナフタルイミドもしくは3−スルホ−1,8−ナフタルイミド(1つのR
1=SO
3Hの場合)、またはそれらの混合物などの、ナフタレンイミドに基づくこともある。
【0031】
一実施形態において、R
1がH以外である場合、「a」によって定義される非H基の数は、1または2であり得る。R
1がH以外である場合、R
1によって定義される基は、電子吸引性(例えば、−NO
2基、−SO
3M基またはハロ基、通常は−Clまたは−Br)、通常、電子吸引性であり得る。R
1が電子吸引性である場合、R
1は、イミド基に対して、メタ置換されていることもあり、パラ置換されていることもあり、またはそれらの混合型であることもある。一実施形態では、R
1は、イミド基に対してメタ置換されていることがある。
【0032】
一実施形態では、R
1がH以外である場合、aによって定義される非H基の数は、0であり得る。
【0034】
R’は、アルキルであってもよく、または直鎖状であるもしくは分枝しているアルキル基を有する、場合により置換されているアルキルであってもよい。
【0035】
R’によって定義されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、R’は、アルカノールから誘導され得る。
【0036】
一実施形態では、式(10)によって表されるイミドは、(i)アミノ酸、または(ii)アミノアルコール、または(iii)ジアミンもしくはプロピルアミンを、芳香族二酸もしくは無水物または他の酸形成性誘導体(例えば、ジエステル、ジアミド、二酸 二塩化物)と反応させて、酸官能基化芳香族イミド、またはヒドロキシル官能基化芳香族イミド、またはアミノ官能基化芳香族イミドをそれぞれ形成する工程を含むプロセスによって得られ得る/得ることが可能であり得る。イミドを形成するための反応を、イミド形成に有利であるような当業者に公知の十分に高い温度、例えば、少なくとも100℃、または120℃または150℃〜200℃で行ってもよい。
【0037】
アクリル系分散剤は、溶媒可溶化鎖の断続的な枝で固定する、ブロック型もしくはくし型のポリマーまたはブロックであり得る。アクリル系分散剤は、2〜3個のブロックに限定されることもあり、3個またはそれより多くのブロックを有する交互コポリマーであることもある。連続媒体と相互作用する可溶化鎖をアクリルタイプの主鎖に横方向に結合させることができ、または該可溶化鎖を末端に結合させるもしくはコポリマー分散剤中のブロックとして結合させることができる。
【0038】
本発明に従って、粒子状固体と、有機または水性媒体と、式(1)の化合物
【化8】
とを含むが組成物を提供され、式中、
【0039】
Gは、CH
3もしくはH基またはそれらの混合物であり、
Aは、縮合芳香族イミド基を含む部分であり、CH
2=C(G)−の重合からの反復単位からのペンダントであり、
Bは、アクリルおよび/またはスチレンタイプのモノマーが少なくとも80、より望ましくは85、90または95モルパーセントであるエチレン性不飽和モノマーの重合から誘導された部分であり、
Cは、アクリルおよび/またはスチレンタイプのモノマーが少なくとも80、より望ましくは85、90または95モルパーセントであるエチレン性不飽和モノマーの重合から誘導されたBに類似した部分であり、アクリルタイプモノマーは、アクリル酸およびアクリル酸のエステルであると定義されるものとし、該エステルのアルコキシ基は1〜25個の炭素原子を有し、場合によりエポキシド基および/またはヒドロキシル基を含むものであり、
Dは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィンおよびそれらの混合物を含む、マクロモノマーから誘導された部分であり、
【0040】
下付き文字Eを有する式1の部分は、イミドを含有するコポリマーのアンカーセグメントであり、通常は10〜60重量%存在し、アクリル分散剤の30〜50重量%が特に好ましく、
【0041】
下付き文字Fを有する式1の部分は、前記コポリマーの安定化セグメントであり、通常は40〜90重量%存在し、50〜70重量%が特に好ましく;
AおよびBは、下付き文字Eを有する式1のセグメント内で、ランダム共重合されていることもあり、またはブロック共重合されていることもあり;
CおよびDは、下付き文字Fを有する式1のセグメント内で、ランダム共重合されていることもあり、またはブロック共重合されていることもあり;
【0042】
ブロックまたはくし型コポリマーの場合、Bは、Cと同一ではなく、Lは、Jに等しくてもよく;
【0043】
グラジエントコポリマーの場合、Bは、Cと同一であり得るが、Lは、Jに等しくなく;
【0044】
コポリマーは、イミド官能基Aが、ポリマー鎖の末端(E)に分布されるようにセグメント化されていることもあり(例えば、E−F−Eブロックコポリマー)、ポリマー鎖の中間に分布されるようにセグメント化されていることもあり(例えば、F−E−Fブロックコポリマー);
【0045】
分散剤中のK+L+J+Nの合計は、ポリマーが1000g/モルより大きい、好ましくは2000g/モルより大きい、特に3000g/モルより大きい数平均分子量を有するような合計である。
【0046】
K、L、J、N、EおよびFは、
負ではない整数であり、適切にEまたはFを掛けたK+L+J+Nの合計は、数平均分子量が100000未満、好ましくは60000未満、特に40000未満になるような合計である。K、L、J、N、EおよびFの1つまたはそれより多くのものが0であることもあるが、すべてが0ということは決してない。望ましくは、分散剤の数平均分子量は、約1000〜約100,000、好ましくは2,000〜60,000g/モルである。
【0047】
実施形態1(ブロックコポリマー)
ブロックコポリマーは、下付き文字Eを有する式1のセグメントの一部としての縮合芳香族イミドモノマーと、1つまたはそれより多くのアクリル系モノマーとを含む。
E=1およびF=1
【化9】
Kは、0に等しくない
Lは、場合により0に等しい
Jは、0に等しくない
Nは、0に等しい
【0048】
実施形態2(ペンダント可溶化鎖をもたらすマクロモノマーを含むブロックコポリマー)
ブロックコポリマーは、縮合芳香族イミドモノマーおよび少なくとも1つのマクロモノマーを含む。マクロモノマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレートまたはポリオレフィンを含む、分子量300〜10,000のポリマー鎖を有する、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーであり得る。
E=1およびF=1
【化10】
Kは、0に等しくない
Lは、場合により0に等しい
Jは、場合により0に等しい
Nは、0に等しくない
【0049】
実施形態3(ランダムコポリマー)
E>1およびF>1、EおよびFは、ポリマー鎖全体にわたってランダムに分布している。
【化11】
Kは、0に等しくない
Lは、場合により0に等しい
Jは、0に等しくない
Nは、0に等しい
【0050】
実施形態4(マクロモノマーを含むランダムコポリマー)
マクロモノマーを含むランダムコポリマーは、縮合芳香族イミドモノマーおよび1つまたはそれより多くのマクロモノマーを含む。E>1およびF>1、EおよびFは、ポリマー鎖全体にわたってランダムに分布している。
【化12】
Kは、0に等しくない
Lは、場合により0に等しい
Jは、場合により0に等しい
Nは、0に等しくない
【0051】
前記構造中のA部分は、ポリマー主鎖と縮合芳香族イミド構造の間に結合基がある、前に説明したような縮合芳香族イミド構造を有する。A基がペンダントである主鎖中の反復単位は、一般にアクリルタイプまたはスチレンタイプのものであるが、置換アクリル系または置換スチレンであることもできる。ポリマー主鎖と縮合芳香族イミド構造の窒素の間の連結基は、1〜30個の炭素原子、最大3、4または5個の酸素原子、および最大3、4または5個の窒素原子を有することができる。一般に、ポリマー主鎖と縮合芳香族イミドの窒素の間の連結基としては、エステル、アミド、エーテル、および式2〜9中に示されている他の結合を挙げることができる。
【0052】
BおよびCは、エチレン性不飽和モノマーの重合から誘導された部分であり、ここで、BおよびCは、式11〜13で詳説されるようなアルキルまたは芳香族基を含む。Cは、立体安定化セグメントFを形成するので好ましくは式11から誘導されるが、場合により、式12および/または13から誘導され得る。Bは、アンカーセグメントEを形成するので好ましくは式12または13から誘導されるが、場合により、Bは式11から誘導され得る。
【化13】
【0055】
R
4は、1〜25の炭素数を有する直鎖状アルキル、シクロアルキルまたは分枝アルキル基であり、
R
3は、前に定義した通りであり、
R
5は、H、−CH
3、または1〜25の炭素数を有する直鎖状もしくは分枝(通常は直鎖状)アルキル基であり、R
5は、エーテル基を含有することもある。
【0056】
ペンダントBおよびC基を有する分散剤ポリマー主鎖を形成するために重合されるモノマーとしては、様々なアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ならびに様々なスチレンおよび置換スチレンモノマーが挙げられる。共重合性エチレン性不飽和モノマーとして使用することができる典型的なアルキルメタクリレートおよびアルキルアクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。典型的な芳香族モノマーは、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−tert−ブトキシスチレンである。
【0057】
BまたはC(好ましくはB)は、様々な官能性アクリレートまたはスチレンモノマーの重合から誘導されることがあり、式14〜18で詳説されるようなポリマー鎖からのペンダント構造を形成する。ポリマー主鎖を
【化16】
で示し、これは、式1の炭素主鎖を示し、式14〜18で表されるようなペンダント基BまたはC各々についての式1の炭素主鎖への炭素−炭素結合も示す。
【0063】
R
3は、前に定義した通りであり、
上記式中のR
6は、−O−C(=O)−CH
3、COOH、Br、Cl、F、NO
2であり得る。
【0064】
BまたはCのような官能基を形成するエチレン性不飽和モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、4−アセトキシスチレン、4−ビニルベンジルクロリド、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,6−ジフルオロスチレン、3−ニトロスチレンが挙げられる。
【0065】
Dは、ポリオレフィン、ポリ(アクリレート)、ポリエステルまたはポリ(エーテル)であり得る少なくとも1つの溶媒可溶化ポリマー鎖を含有する部分である。数平均分子量は、300〜5000、または500〜3000、または1000〜2500g/モルの範囲であってもよい。
【0066】
一実施形態では、Dは、式19によって表されるアクリル系ポリマーを含むことがあり、この式中の
【化22】
は、式1の炭素主鎖から式19によって表されるポリマーへの炭素−炭素結合を示す。
【0068】
Qは、1〜200の整数であり;Pは、1〜200の整数であり;GおよびR
4は、前に定義した通りであり;Initは、開始剤断片である。
【0069】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートは、Macromol.Chem Phys 2003、204、1406〜1418に記載されているようなコバルト媒介触媒的連鎖移動重合(CCTP)によって調製され得る。一例は、米国特許第6,521,715号の実施例1に記載されているようなコバルト触媒を使用する触媒的連鎖移動ラジカル重合によって調製されるマクロモノマーである。
【0070】
一実施形態において、部分Dは、以下の式(20)〜(27)の少なくとも1つから誘導されるポリマー鎖を含む:
【0075】
一実施形態では、Y
1は、より詳細に表1.0に示す溶媒可溶化ポリマーによって表され、ここでの溶媒可溶化は、エチレンオキシド含有ポリマーなどのポリマーの水溶性化を含むことを意図しており、
【0076】
一実施形態では、Y
2は、より詳細に下の表2.0に示すような溶媒可溶化ポリマーによって表され、
R
3は、前に定義したとおりであり、
R
7は、1〜20個の炭素原子を通常有するアルキレン基を表し、このアルキレン基は、直鎖状であってもよいし、または分枝していてもよく(通常は直鎖状);
Pは、1〜200の整数であり;および
Qは、1〜200の整数である。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【0077】
Y
1またはY
2がポリエーテルである場合、鎖は、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートおよび触媒の存在下でのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドおよびそれらの混合物の重合(polymersation)から誘導され得る。好ましいモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0078】
Y
1またはY
2がポリエステルである場合、適するラクトンの例としては、β−プロピオラクトン(propriolactone)ならびに場合によりC
1〜6−アルキル置換されているδ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトン、例えば、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、2−メチル−ε−カプロラクトン、3−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−ε−カプロラクトン、5−tert−ブチル−ε−カプロラクトン、7−メチル−ε−カプロラクトン、4,4,6−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン 4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトン、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、Bは、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンから誘導可能な少なくとも1つのポリエステル鎖を含有する部分である。ヒドロキシカルボン酸は、飽和されていてもよく、または不飽和であってもよく、直鎖状であってもよく、または分枝していてもよい。適するヒドロキシカルボン酸の例は、グリコール酸、乳酸、5ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸 4ヒドロキシデカン酸、またはそれらの混合物である。
【0079】
Dがポリアクリレートから誘導される場合、Y
1またはY
2は、ポリ(アクリレート)であり、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0080】
官能性開始剤、停止剤または移動剤を伴ういずれの公知重合技法によってポリマーを調製してもよい。好ましい技法は、官能性連鎖移動剤の存在下でのアルキル(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合、続いてのビニルイソシアネートとの反応である。メルカプトエタノールの存在下でのアルキル(メタ)アクリレートの重合、続いてのイソプロペニル−ジメチルベンジルイソシアネート(CytecからTMI(登録商標)として市販されている)またはイソシアナトエチルメタクリレートのいずれかとの反応が好ましい。あるいは、米国特許第6,936,656号B2の実施例2に記載されているような、アルキル(メタ)アクリレートの原子移動ラジカル重合(ATRP)、続いてのアクリル酸との反応である。
【0081】
チオカルボニルチオなどの連鎖移動剤を利用するRAFT(可逆的付加開裂移動)重合は、RAFT連鎖末端がコポリマー合成中にビニルモノマーに対して活性であり続けるので、Y
1またはY
2の調製にあまり望ましくないことに留意されたい。
【0082】
コポリマー合成
一実施形態において、グラフトコポリマーは、式(a)、(b)、(c)および(d)によって表されるモノマーを互いに重合させることによって生成され得る
【化28】
(式中、G、A、B、CおよびDは、上で定義したのと同じである)。
【0083】
前記コポリマーを、エチレン性不飽和モノマーを互いに重合させることによって生成してもよいし、または様々な特定の官能基および連結基でのポリマーの後重合官能基化によって生成してもよい。必要な官能基と任意選択のマクロモノマーとを有するエチレン性不飽和モノマーを互いに重合させることが好ましい。グラフトポリマーの合成にはフリーラジカル重合が好ましく、ブロックコポリマーの合成にはリビングフリーラジカル重合が好ましい。原子移動ラジカル重合(ATRP)、一電子移動リビングラジカル重合(SET−LRP)、ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMRP)、ラジカル付加開裂移動(RAFT)重合、ヨウ素移動重合、セレン中心ラジカル媒介重合、テルリド媒介重合(TERP)、スチルベン(stilbine)媒介重合を含めて、いずれの制御/リビング重合をこの段階で用いてもよい。
【0084】
一実施形態では、グラフトコポリマーは、連鎖移動剤の存在下でのフリーラジカル重合によって重合される。フリーラジカル連鎖移動剤の例としては、触媒的コバルト連鎖移動剤またはメルカプタンが挙げられる。メルカプタンは特に有用である。別の実施形態では、グラフトコポリマーは、RAFT剤(可逆的付加・開裂連鎖移動剤)の存在下でのフリーラジカル重合によって重合される。
【0085】
メルカプタンの例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、チオプロピレングリコール、チオグリセリン、チオグリコール酸、チオヒドロアクリル酸、チオ乳酸およびチオリンゴ酸、イソオクチルチオグリコレート、n−ブチル3−メルカプトプロピオネート、n−ブチルチオグリコレート、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、またはそれらの混合物が挙げられる。重合が溶媒中で行われる場合、メルカプタンの好ましい例としては、イソオクチルチオグリコレート、n−ブチル3−メルカプトプロピオネート、n−ブチルチオグリコレート、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、メルカプタンは、ブチル3−メルカプトプロピオネートである。
【0086】
RAFT連鎖移動剤の例としては、ベンジル1−(2−ピロリジノン)カルボジチオエート、ベンジル(1,2−ベンゼンジカルボキシイミド)カルボジチオエート、2−シアノプロパ−2−イル1−ピロールカルボジチオエート、2−シアノブタ−2−イル1−ピロールカルボジチオエート、ベンジル1−イミダゾールカルボジチオエート、N,N−ジメチル−S−(2−シアノプロパ−2−イル)ジチオカルバメート、N,N−ジエチル−S−ベンジルジチオカルバメート、シアノメチル1−(2−ピロリドン)カルボジチオエート、クミルジチオベンゾエート、2−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸ブチルエステル、O−フェニル−S−ベンジルキサンテート、N,N−ジエチルS−(2−エトキシ−カルボニルプロパ−2−イル)ジチオカルバメート、ジチオ安息香酸、4−クロロジチオ安息香酸、O−エチル−S−(1−フェニルエチル)キサンテート、O−エチル−S−(2−(エトキシカルボニル)プロパ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−(2−シアノプロパ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−(2−シアノプロパ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−シアノメチルキサンテート、O−ペンタフルオロフェニル−S−ベンジルキサンテート、3−ベンジルチオ−5,5−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−チオンもしくはベンジル3,3−ジ(ベンジルチオ)−プロパ−2−エンジチオエート、S,S’−ビス−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネート、S,S’−ビス−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネートもしくはS−アルキル−S’−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネート、ベンジルジチオベンゾエート、1−フェニルエチルジチオベンゾエート、2−フェニルプロパ−2−イルジチオベンゾエート、1−アセトキシエチルジチオベンゾエート、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−(チオベンゾイルチオ)プロパ−2−イル)ベンゼン、1−(4−メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセテート、2−(エトキシカルボニル)プロパ−2−イルジチオベンゾエート、2,4,4−トリメチルペンタ−2−イルジチオベンゾエート、2−(4−クロロフェニル)プロパ−2−イルジチオベンゾエート、3−ビニルベンジルジチオベンゾエート、4−ビニルベンジルジチオベンゾエート、S−ベンジルジエトキシホスフィニルジチオホルメート、tert−ブチルトリチオペルベンゾエート、2−フェニルプロパ−2−イル4−クロロジチオベンゾエート、2−フェニルプロパ−2−イル1−ジチオナフタレート、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート、ジベンジルテトラチオテレフタレート、ジベンジルトリチオカーボネート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、もしくはジチオベンゾエート末端基を有するポリ(エチレンオキシド)、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0087】
RAFT連鎖移動剤の存在下での重合は、John Wiley and Sons Inc.によって出版されたHandbook of Radical Polymerization、Krzysztof MatyjaszewskiおよびThomas P.Davis編、2002、12章、629〜690頁(本明細書では以降、「Matyjaszewskiら」と呼ぶ)に、より詳細に記載されている。RAFT重合のポリマー機構の論述は、Matyjaszewskiらの12.4.4節、664〜665頁に示されている。
【0088】
重合プロセスで溶媒が使用される場合、適する溶媒としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ブトキシエタノール;ケトン、例えば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノンおよびメチルエチルケトン;酢酸、プロピオン酸および酪酸のアルキルエステル、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシプロピル;エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ならびにエチレングリコールおよびプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびジアルキルエーテル、例えばセロソルブ(cellusolve)およびカルビトール;およびグリコール、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール;ならびにそれらの混合物が挙げられる。エステルおよび/またはケトン、ならびにエステルおよび/またはケトンとアルコールの混合物は、特に有用である。一実施形態では、酢酸ブチルおよび酢酸メトキシプロピル、ならびに酢酸ブチルまたは酢酸メトキシプロピルとアルコールの混合物が溶媒として使用される。
【0089】
選択された溶媒に適するいずれの温度で重合を行ってもよい。通常、重合は、溶媒の存在下、50℃〜150℃、または60℃〜120℃の範囲の温度で行われ得る。
【0090】
いずれの重合開始剤を使用してもよい。一実施形態では、重合開始剤は任意のフリーラジカル重合開始剤であるが、開始剤の選択は、重合温度および重合プロセスによる影響を受ける。このプロセスで使用される重合開始剤は当技術分野において公知であり、従来のフリーラジカル開始剤、例えば、有機ペルオキシドおよびアゾ化合物から選択される。用いられる特定のフリーラジカル開始剤は、重合されるモノマー材料(複数可)およびプロセス条件に依存する。通常、開始剤の量は、100重量部のモノマーに基づき0.005重量部〜5.00重量部の範囲であり得る。しかし、100重量部のモノマー(複数可)に基づき0.01重量部〜2.00重量部が特に有用である。
【0091】
適するペルオキシド開始剤の例としては、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカーボネート、t−アルキルペルオキシエステル、モノペルオキシカーボネート、ジペルオキシケタール、ジアルキルペルオキシド、t−アルキルヒドロペルオキシド、およびケトンペルオキシドが挙げられる。ジアシルペルオキシドの例は、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシドである。適するアゾ開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチル−ペンタンが挙げられる。
【0092】
重合温度は、使用される開始剤のタイプに依存する。一実施形態では、開始剤は、重合が50℃および100℃、または60℃〜90℃の間で遂行され得るように選択される。通常、本発明で使用するための開始剤としては、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
【0093】
式(1)の部分Aは、式(a)によって表されるようなビニル含有モノマーの重合から誘導することができ、または式2〜9によって表すことができる。
【0094】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアルコール官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−である)を形成するためのアミノエトキシエタノールとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアルコール官能性イミドをアクリル酸と反応させて、重合後、式(2)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0095】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアルコール官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−である)を形成するためのアミノエトキシエタノールとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアルコール官能性イミドをメタクリル酸またはメタクリロイルクロリドと反応させて、重合後、式(3)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0096】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)の酸官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
5C(=O)−である)を形成するための6−アミノヘキサン酸とナフタル酸無水物の反応であり、次いで、その酸官能性イミドをヒドロキシエチルメタクリレートと反応させて、重合後、式(4)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0097】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアルコール官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−である)を形成するためのアミノエトキシエタノールとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアルコール官能性イミドをイソシアナトエチルメタクリレートと反応させて、重合後、式(5)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0098】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアルコール官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−である)を形成するためのアミノエトキシエタノールとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアルコール官能性イミドをイソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(CytecからのTMI(登録商標))と反応させて、重合後、式(6)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0099】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアミン官能性イミド(式中、X’はNH
2であり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−である)を形成するためのエチレンジアミンとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアミン官能性イミドをグリシジルメタクリレートと反応させて、重合後、式(7)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0100】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)の酸官能性イミド(式中、X’はOHであり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
5C(=O)−である)を形成するための6−アミノヘキサン酸とナフタル酸無水物の反応であり、次いで、その酸官能性イミドをグリシジルメタクリレートと反応させて、重合後、式(8)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0101】
式(a)は、式(10)のイミドとビニルモノマーの反応によって調製することができる。一例は、式(10)のアミン官能性イミド(式中、X’はNH
2であり、bは1であり、R
2は−(CH
2)
2−である)を形成するためのエチレンジアミンとナフタル酸無水物の反応であり、次いで、そのアミン官能性イミドをアセトアセトキシエチルメタクリレートと反応させて、重合後、式(9)によって表される縮合芳香族イミド基を形成することができる。
【0102】
式(10)のイミドを、100〜200℃の間の温度で、溶融状態で調製してもよいし、または溶媒中で調製してもよい。この合成は、試薬の混合を向上させるために揮発性溶媒(bpt<100℃)を伴うことがあり、溶媒は、次いで温度をその溶媒の沸点より上に上昇させると、蒸留により除去される。
【0103】
式(10)のイミドは、この中間体の単離を回避するために溶媒中で調製される。最高反応温度は、使用される溶媒の沸点に依存し、適する溶媒の例は、トルエン(bpt=110〜111℃)、キシレン(bpt=137〜140℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(bpt=145〜146℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(bpt=200℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(bpt=256℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(bpt=275〜276℃)またはそれらの混合物である。
【0104】
式(10)のイミドは、反応前に形成され、アミドとイミドの混合物が存在すると、長期加熱によって重合プロセス中または重合プロセス後にアミドはイミドに転化され得る。イミドの高い転化率を達成するために触媒が必要であることもあり、多少のアミドが最終生成物中になお存在することもある。
本発明の式(10)のポリマーを調製するプロセスを、通常は窒素だが周期表のいずれの不活性ガスによってもたらされる不活性雰囲気で行ってもよい。
【0105】
産業上の利用
組成物中に存在する粒子状固体は、該当する温度で有機媒体に実質的に不溶性であり、その組成物中で微粉形態で安定することが望まれる、いずれの無機または有機固体材料であってもよい。粒子状固体は、顆粒材料、繊維、プレートレットの形態であってもよく、または粉末、多くの場合ブロンパウダー、の形態であってもよい。一実施形態において、粒子状固体は、顔料である。
【0106】
粒子状固体(通常、顔料またはフィラー)は、直径10ナノメートル〜10ミクロン、または10ナノメートル〜1、2、3もしくは5ミクロン、または20ナノメートル〜1、2、3もしくは5ミクロンの、光散乱測定によって測定される平均粒径を有し得る。
【0107】
適する固体の例は、溶媒インク用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤、フィラー、発泡剤および難燃剤;染料、特に分散染料;溶媒染浴用の蛍光増白剤および繊維助剤;インク、トナーおよび他の溶媒用途系用の顔料;油性および逆エマルジョン掘削泥用の固体;ドライクリーニング液中の汚れおよび固体粒子;金属;セラミックス、ピエゾセラミック印刷、耐火材、研磨材、鋳物類、コンデンサ、燃料電池、磁性流体、導電性インク、磁気記録媒体、水処理および炭化水素土壌修復用の粒子状セラミック材料および磁性材料;有機および無機ナノ分散固体;電池内の電極用の金属、金属酸化物および炭素;複合材料用の繊維、例えば木材、紙、ガラス、鋼、炭素およびホウ素;ならびに有機媒体中の分散体として利用される殺生物剤、農薬および医薬である。
【0108】
一実施形態では、前記固体は、例えば、カラーインデックス第3版(the Third Edition of the Colour Index)(1971)およびそれ以降のバージョンならびにそれらの補遺の章題「顔料(Pigments)」のもとに記載されている顔料の認知されているクラスのいずれかからの有機顔料である。有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アンサントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、ベンゾイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド顔料、インダントロン、イソジベンゾアントロン、イソインダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キナクリドン、キノフタロン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェノジオキサジン、キサンテンおよびフタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびにまた酸性、塩基性および媒染染料のレーキからのものである。カーボンブラックは、厳密には無機だが、その分散特性の点ではむしろ有機顔料に近い挙動をとる。一実施形態では、有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジスアゾ、インダントロン、アントラントロン(anthranthrone)、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレンおよびカーボンブラックである。
【0109】
無機顔料の例としては、金属酸化物、例えば二酸化チタン、ルチル型二酸化チタンおよび表面被覆二酸化チタン、黄色および黒色などの様々な色の酸化チタン、黄色、赤色、褐色および黒色などの様々な色の酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、オキシ金属化合物、例えばバナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、クロム酸亜鉛、ならびにマンガン、ニッケル、チタン、クロム、アンチモン、マグネシウム、コバルト、鉄またはアルミニウムのうちの2つまたはそれより多くのものの混合金属酸化物、プルシアンブルー、バーミリオン、ウルトラマリン、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、カルシウムおよび亜鉛のモリブデン酸塩およびクロム酸塩、金属効果顔料、例えばアルミニウムフレーク、銅、および銅/亜鉛合金、真珠光沢フレーク、例えば炭酸鉛およびオキシ塩化ビスマスが挙げられる。
【0110】
無機固体としては、増量剤およびフィラー、例えば、重質および沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、ホスホン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、天然水酸化マグネシウムまたは水滑石、沈降水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムヒドロペルオキシドまたはベーマイト、ケイ酸カルシウムおよびマグネシウム、アルミノシリケート(ナノクレイ、カオリンを含む)、モンモリロナイト(ベントナイト、ヘクトライトおよびサポナイトを含む)、ボールクレー(天然、合成、および膨張性のものを含む)、雲母、タルク(白雲母、金雲母、リチア雲母および緑泥石を含む)、チョーク、合成および沈降シリカ、ヒュームドシリカ、金属繊維および粉末、亜鉛、アルミニウム、ガラス繊維、耐火繊維、カーボンブラック(単層および多層カーボンナノチューブ、強化性および非強化性カーボンブラックを含む)、グラファイト、バックミンスターフラーレン、アスファルテン、グラフェン、ダイヤモンド、アルミナ、石英、パーライト、ペグマタイト、シリカゲル、木粉、木材フレーク(軟質および硬質木材を含む)、おがくず、粉末紙/繊維、セルロース系繊維、例えば、ケナフ、麻、サイザル麻、亜麻、綿、コットンリンター、黄麻、カラムシ、イネ殻すなわちもみ殻、ラフィア、ガマ葦、ココナッツ繊維、コイア、油ヤシ繊維、カポック、バナナの葉、カロ(caro)、クラワ、ヘネケ麻の葉、ハラケケの葉、マニラ麻、サトウキビの絞りかす、ワラ、竹片、小麦粉、MDFなど、バーミキュライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、発電所からのフライアッシュ、下水汚泥焼却灰、ポゾラン、高炉スラグ、アスベスト、クリソタイル、アンソフィライト、クロシドライト、ウォラストナイト、アタパルジャイトなど、粒子状セラミック材料、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ケイ素・アルミニウム混合窒化物および金属チタン酸塩;粒子状磁性材料、例えば、遷移金属の、多くの場合、鉄およびクロムの磁性酸化物、例えばγ−Fe
2O
3、Fe
3O
4およびコバルトドープ酸化鉄、フェライト、例えばバリウムフェライト;ならびに金属粒子、例えば、金属のアルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、パラジウムおよび白金ならびにそれらの合金が挙げられる。
【0111】
他の有用な固体材料としては、難燃剤、例えばペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、メラミンシアヌレート、酸化アンチモンおよびボレート;殺生物剤または工業用微生物剤、例えばKirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology、第13巻、1981年、第3版における「Industrial Microbial Agents」と題する章の表2、3、4、5、6、7、8および9に名が挙げられているもの、ならびに農薬、例えば殺真菌剤フルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム、クロロタロニルおよびマンコゼブが挙げられる。
【0112】
一実施形態における本発明の組成物中に存在する有機媒体は、プラスチック材料であり、別の実施形態では有機液体である。有機液体は、非極性有機液体であってもよく、または極性有機液体であってもよい。この有機液体に関しての用語「極性」は、Journal of Paint Technology、第38巻、1966年、269頁におけるCrowleyらによる「A Three Dimensional Approach to Solubility」と題する論文に記載されているように、有機液体が中程度から強力な結合を形成することが可能であることを意味する。そのような有機液体は、上述の論文の中で定義されているように5またはそれより大きい水素結合数を一般に有する。
【0113】
適する極性有機液体の例は、アミン、エーテル、特に、低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、アルコールおよびアミドである。そのような中程度に強力に水素結合する液体の非常に多くの具体例が、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」と題する本(Noyes Development Corporationにより1968年に出版されたもの)の39〜40頁の表2.14に与えられており、これらの液体はすべて、本明細書で使用する用語「極性有機液体」の範囲に入る。
【0114】
一実施形態では、極性有機液体は、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸のアルキルエステル、およびアルカノールであり、特に、そのような液体は、合計で、6個を含めて、最大6個の炭素原子を含有する。極性有機液体の例としては、ジアルキルケトンおよびシクロアルキルケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン;アルキルエステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピルおよび酪酸エチル;グリコールならびにグリコールエステルおよびグリコールエーテル、例えばエチレングリコール、2−エトキシエタノール、3メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3メトキシプロピル、酢酸3−エトキシプロピルおよび酢酸2−エトキシエチル;アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノール(2−メチルプロパノールとしても公知)、テルピネオール、ならびにジアルキルエーテルおよび環状エーテル、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランが挙げられる。一実施形態では、溶媒は、アルカノール、アルカンカルボン酸、およびアルカンカルボン酸のエステルである。一実施形態では、本発明は、水性媒体に実質的に不溶性である有機液体に適している。さらに、有機液体全体が水性媒体に実質的に不溶性であることを条件に、少量の水性媒体(例えば、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルおよびアルコール)が有機液体中に存在してもよいことは、当業者には理解される。
【0115】
極性有機液体として使用され得る有機液体の例は、フィルム形成樹脂、例えば、インク、塗料、ならびに塗料およびインクなどの様々な用途で使用するためのチップの調製に適しているフィルム形成樹脂である。そのような樹脂の例としては、ポリアミド、例えばVersamid(商標)およびWolfamid(商標)、ならびにセルロースエーテル、例えばエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースおよびセルロースアセテートブチレート樹脂が、それらの混合物を含めて、挙げられる。塗料用樹脂の例としては、短油性アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、長油性アルキド、中油性アルキド、短油性アルキド、ポリエーテルポリオール、ならびに多媒体樹脂、例えばアクリルおよび尿素/アルデヒドが挙げられる。
【0116】
有機液体は、ポリオール、すなわち、2つまたはそれより多くのヒドロキシ基を有する有機液体であってもよい。一実施形態において、ポリオールには、α,ωジオール、またはα,ωジオールエトキシレートが含まれる。
【0117】
一実施形態では、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基またはそれらの混合物を含有する化合物である。非極性有機液体としては、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全飽和と部分飽和両方の、6個またはそれより多くの炭素原子を含有する直鎖状および分枝脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、ナタネ油、アマニ油、テルペンおよびグリセリド)が挙げられる。
【0118】
一実施形態では、有機液体は、全有機液体に基づき少なくとも0.1重量%、または1重量%もしくはそれより多くの極性有機液体を含む。有機液体は、場合によりさらに水を含む。一実施形態では、有機液体は、水を含まない。
【0119】
プラスチック材料は、熱硬化性樹脂であってもよいし、または熱可塑性樹脂であってもよい。本発明において有用な熱硬化性樹脂は、加熱されると、触媒作用を受けると、または紫外線、レーザ光、赤外線、カチオン、電子線もしくはマイクロ波放射線に曝露されると化学反応を起こし、比較的不溶融性になる樹脂を含む。熱硬化性樹脂における典型的な反応としては、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシル、エポキシとルイス酸もしくはルイス塩基との反応、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分、フリーラジカル反応、またはポリアクリレートに関与する反応、エポキシ樹脂とビニルエーテルのカチオン重合、およびシラノールの縮合が挙げられる。不飽和樹脂の例としては、1つまたはそれより多くの二酸または無水物と1つまたはそれより多くのジオールとの反応によって作られるポリエステル樹脂が挙げられる。そのような樹脂は、スチレンまたはビニルトルエンなどの反応性モノマーとの混合物として一般に供給されており、多くの場合、オルトフタル酸系樹脂およびイソフタル酸系樹脂と呼ばれる。さらなる例としては、ポリエステル鎖中の共反応物としてジシクロペンタジエン(DCPD)を使用する樹脂が挙げられる。さらなる例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと、後でスチレン中の溶液として供給される不飽和カルボン酸、例えばメタクリル酸との反応生成物も挙げられ、これは、一般に、ビニルエステル樹脂と呼ばれる。
【0120】
一実施形態において、熱硬化性複合材または熱硬性プラスチックは、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、スチレン中のポリエステル樹脂、ポリスチレン、またはそれらの混合物であり得る。
【0121】
ヒドロキシ官能基を有するポリマー(多くの場合、ポリオール)は、アミノ樹脂またはポリイソシアネートを架橋させるために熱硬化性系において広範に使用されている。ポリオールとしては、アクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリオールが挙げられる。典型的なアミノ樹脂としては、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂およびグリコールウリルホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートは、モノマー性脂肪族ジイソシアネート、モノマー性芳香族ジイソシアネートおよびそれらのポリマー両方を含む、2つまたはそれより多くのイソシアネート基を有する樹脂である。典型的な脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。典型的な芳香族イソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0122】
一実施形態では、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン系樹脂(polystyrenics)、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられる。前記組成物は、多数の方法で調製され得るが、溶融混合法および乾式固体ブレンド法が典型的な方法である。適する熱可塑性物質の例としては、(低密度、または線状低密度もしくは高密度)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン4/6、ナイロン6/12、ナイロン11およびナイロン12、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、Victrex PEEK(商標)ポリマー(例えば、オキシ−1,4−フェニレンオキシ(phenylenoeoxy)−1,4−フェニレン−カルボニル−1,4−フェニレンポリマー)およびにアクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(ABS)、ならびに様々な他のポリマーブレンドまたはアロイが挙げられる。
【0123】
必要に応じて、本発明の組成物は、他の成分、例えば、樹脂(これらは、有機媒体をまだ構成していない)、結合剤、共溶媒、架橋剤、流動化剤、湿潤剤、沈降防止剤、可塑剤、界面活性剤、本発明の化合物以外の分散剤、保湿剤、消泡剤、へこみ防止剤、レオロジー改質剤、熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、光沢調整剤、殺生物剤、および保存剤を含有することもある。
【0124】
必要に応じて、プラスチック材料を含有する組成物は、他の成分、例えば、本発明の化合物以外の分散剤、防曇剤、成核剤、発泡剤、難燃剤、加工助剤、界面活性剤、可塑剤、熱安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、香料、離型助剤、帯電防止剤、抗微生物剤、殺生物剤、カップリング剤、潤滑剤(外部および内部)、衝撃改質剤、スリップ剤、脱泡剤および粘度降下剤を含有することもある。
【0125】
本組成物は、通常、1〜95重量%の粒子状固体を含有し、正確な量は該固体の性質に依存し、またその量は、該固体の性質、および該固体と極性有機液体の相対密度に依存する。例えば、前記固体が有機材料、例えば有機顔料である組成物は、一実施形態では組成物の総重量に基づき15〜60重量%の該固体を含有するが、前記固体が無機材料、例えば無機顔料、フィラーまたは増量剤である組成物は、一実施形態では組成物の総重量に基づき40〜90重量%の該固体を含有する。
【0126】
有機液体を含有する組成物は、分散体の調製について公知の従来法のいずれによって調製してもよい。したがって、前記固体、有機媒体および分散剤をいずれの順序で混合してもよく、次いで、その混合物に機械的処理を施して、例えば、分散体が形成されるまで高速混合、ボールミル粉砕、バスケットミル粉砕、ビーズミル粉砕、砂利粉砕、砂磨砕、アトライター磨砕、2本ロール練りまたは3本ロール練り、プラスチック粉砕することによって、前記固体の粒子を適切なサイズに縮小してもよい。あるいは、前記固体を、独立してまたは有機媒体もしくは分散剤のいずれかと混合して、処理してその粒径を低減させ、次いで、他の成分(単数または複数)を添加し、その混合物を撹拌して組成物を得てもよい。乾燥固体を分散剤と共に摩砕または粉砕し、次いで液体媒体を添加することによって、または顔料フラッシングプロセスで固体と分散剤を液体媒体中で混合することによって、前記組成物を作製することもできる。
【0127】
プラスチック材料を含有する組成物を、熱可塑性化合物の調製に公知の従来法のいずれによって調製してもよい。したがって、固形分と熱可塑性ポリマーと分散剤を任意の順序で混合し、次いでその混合物に機械的処理を施して、例えば、バンバリー練り、リボンブレンディング、二軸型押出加工、2本ロール練り、Bussコニーダーまたは類似の機器でのコンパウンデイングによって、固形分の粒子を適切なサイズに縮小してもよい。
【0128】
本発明の組成物は、分散液に特に適している。一実施形態では、そのような分散体組成物は、
【0130】
b)0.1〜79.6部の式(1)のポリマーと、
【0131】
c)19.9〜99.4部の有機液体および/または水と
を含み、
【0132】
ここでの相対部はすべて重量部であり、量(a)+(b)+(c)=100である。
【0133】
一実施形態では、成分a)は、0.5〜30部の顔料を含み、そのような分散体は、(液体)インク、塗料およびミルベースとして有用である。
【0134】
粒子状固体と式(1)の分散剤を乾燥形態で含むことが組成物に求められる場合、有機液体は、通常、揮発性であり、したがって、蒸発などの単純な分離手段によって粒子状固体から容易に除去され得る。一実施形態では、前記組成物は、有機液体を含む。
【0135】
乾燥組成物が式(1)の分散剤および粒子状固体から本質的に成る場合、その組成物は、通常、粒子状固体の重量に基づき少なくとも0.2%、少なくとも0.5%または少なくとも1.0%の式(1)の分散剤を含有する。一実施形態では、乾燥組成物は、粒子状固体の重量に基づき100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下または10重量%以下の式(1)の分散剤を含有する。
【0136】
本明細書において前に開示したように、本発明の組成物は、粒子状固体が有機液体中、式(1)についての化合物の存在下で粉砕される、ミルベースの調製に適している。
【0137】
したがって、本発明のなおさらなる態様に従って、粒子状固体と有機液体と式(1)のポリマーとを含むミルベースを提供する。
【0138】
通常、このミルベースは、ミルベースの総重量に基づき20〜70重量%の粒子状固体を含有する。一実施形態では、粒子状固体は、ミルベースの10重量%以上または20重量%以上である。そのようなミルベースは、粉砕前または後のいずれかに添加された結合剤を場合により含有することもある。
【0139】
一実施形態では、結合剤は、有機液体の揮発によって組成物を結合することが可能な高分子材料である。
【0140】
結合剤は、天然および合成材料を含む高分子材料である。一実施形態では、結合剤には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン系樹脂(polystyrenics)、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類、例えばセルロース、ニトロセルロース、および天然タンパク質、例えばカゼインが含まれる。結合剤は、ニトロセルロースであってもよい。一実施形態では、結合剤は、粒子状固体の量に基づき100%より多く、200%より多く、300%より多くまたは400%より多く組成物中に存在する。
【0141】
ミルベース中の任意選択の結合剤の量は広範に変動し得るが、通常はミルベースの連続媒体/液相の10重量%以上、多くの場合20重量%以上である。一実施形態では、結合剤の量は、ミルベースの連続媒体/液相の50重量%以下または40重量%以下である。
【0142】
ミルベース中の分散剤の量は、粒子状固体の量に依存するが、通常はミルベースの0.5〜5重量%である。
【0143】
本発明の組成物から作製される分散体およびミルベースは、エネルギー硬化システム(紫外線、レーザ光、赤外線、カチオン、電子線、マイクロ波)を配合物中に存在するモノマー、オリゴマーなどまたは組み合わせと併用する非水性および溶媒不含配合物における使用に特に適している。これらは、塗装剤、例えば、塗料、ワニス、インク、他の塗装材料およびプラスチックにおける使用に特に適している。適切な例としては、低、中および高固形分塗料、一般工業用塗料(焼付、2成分および金属塗装用塗料、例えばコイルおよび缶塗装剤、紛体塗装剤、UV硬化性塗装剤、ウッドワニスを含む)、インク、例えば、フレキソ印刷用インク、グラビア印刷用インク、オフセット印刷用インク、平版印刷用インク、活版印刷または凸版印刷用インク、スクリーン印刷用インク、およびパッケージ印刷用の印刷インク、ノンインパクトインク、例えばインクジェットインク(コンティニュアス型インクジェットと、サーマル方式、ピエゾ方式および静電方式のものを含むドロップオンディマンド型インクジェットとを含む)、相変化インクおよびホットメルトワックスインク、インクジェットプリンター用インク、および印刷用ワニス、例えばオーバープリントワニス;ポリオールおよびプラスチゾル分散体;非水性セラミック加工、特に、テープキャスティング、ゲルキャスティング、ドクターブレード、押出および射出成形型加工におけるそれらの使用が挙げられ、さらなる例は、静水圧圧縮成形用の乾燥セラミック粉末;複合材、例えばシート成形およびバルク成形コンパウンド、樹脂トランスファ成形、引抜成形、ハンドレイアップおよびスプレーレイアッププロセス、マッチドダイ成形;建設材料、例えばキャスティング樹脂、化粧品、パーソナルケア、例えばネイルコーティング剤、日焼け止め、接着剤、トナー、例えば液体トナー、プラスチック材料および電子材料、例えば、有機発光ダイオード(OLED)装置、液晶ディスプレイおよび電気泳動式ディスプレイを含むディスプレイにおけるカラーフィルタシステムのためのコーティング用配合物、ガラス用コーティング剤(光ファイバー用コーティング剤、反射コーティング剤または反射防止コーティング剤を含む)、導電性および磁性インクならびに塗装剤の調製におけるものであり得る。これらは、上記用途において使用される乾燥粉末の分散性を改善するための、顔料およびフィラーの表面改質に有用である。塗装用材料のさらなる例は、Bodo Muller、Ulrich Poth、Lackformulierung und Lackrezeptur、Lehrbuch fr Ausbildung und Praxis、Vincentz Verlag、Hanover(2003)およびP.G.Garrat、Strahlenhartung、Vincentz Verlag、Hanover(1996)に与えられている。印刷用インク配合物の例は、E.W.Flick、Printing Ink and Overprint Varnish Formulations−Recent Developments、Noyes Publications、Park Ridge NJ(1990)および後続版に与えられている。
【0144】
一実施形態では、本発明の組成物は、1つまたはそれより多くのさらなる公知分散剤をさらに含む。
【0145】
本明細書における本発明は、インク、塗装剤および顔料または充填ポリマー系に投入される様々な粒子状分散体の作製に有用である。
【実施例】
【0146】
下記実施例では、グラフトコポリマーをポリエステルマクロモノマー(中間体A)とメチルメタクリレートおよびメタクリレート官能性縮合芳香族(ナフテン系)イミドとの共重合によって合成した。
【0147】
中間体A(ポリエステルマクロマー)
ε−カプロラクトン(558.49重量部)、1−ドデカノール(65.12部)および塩化スズ(II)(0.005部)を窒素下、120℃で18時間撹拌した。その混合物を70℃に冷却し、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンゼンイソシアネート(70.33部)およびジブチルスズジラウレート(1.0部)を添加し、(IRによって判定して)イソシアネートが残存しなくなるまで、窒素下で7時間撹拌した。得られた生成物(ドデシル非官能性末端基を有する重合性ポリ(カプロラクトン))は、GPC(標準物質ポリスチレン)によって判定してMn2900およびMw=3800を有する蝋様固体であった。
【0148】
実施例1
2
−(2−アミノエトキシエタノール)(3.68重量部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(70部)に溶解し、その混合物を窒素下、120℃で撹拌した。1,8−ナフタル酸無水物(6.37部)を15分にわたって投入し、その混合物を、(IR分析によって確認して)無水物が残存しなくなるまで、さらに2時間、120℃で撹拌した。これによってイミド反応体が形成された。混合物を90℃に冷却し、次いでイソシアナトエチルメタクリレート(5.44部)を添加し、その後、ジブチルスズジラウレート(0.04部)を添加した。これによってイミド反応体が共重合可能な形態で形成された。その混合物を、(IR分析によって確認して)イソシアネートが残存しなくなるまで、さらに30分間、90℃で撹拌した。この混合物にポリエステルマクロモノマー(70部、中間体A)、メチルメタクリレート(15部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(70部)、ブチル3−メルカプトプロピオネート(1部)および1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(1.0部)を投入した。その混合物を、(重量測定によって判定して)モノマーが残存しなくなるまで、窒素下、90℃で10時間撹拌した。得られた生成物は、GPCによって判定して分散剤Mn=5000およびMw=11300を有する透明黄色溶液であった。
【0149】
分散体試験1
実施例1(0.8重量部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(7.2部)に溶解した。ガラスビーズ(17部、3mm)および赤色顔料(2.0部)クロモフタールレッドA2B(Cibaから)を添加し、内容物を水平型シェーカーで16時間粉砕した。得られたミルベースは、分散液であった。分散剤がないことを除いて同一の成分を用いる対照実験は、結果的に高粘稠ゲルとなった。
【0150】
比較例1(CE1)
ブチルアクリレート(100.14部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(100.97部)およびブチル−2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロピオネート(8.49部、LubrizolからのCTA−1)を窒素下、75℃で撹拌した。アゾビスイソブチロニトリル(0.41部)およびプロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(10.14部)を添加し、その混合物を75℃で40分間加熱し、次いでアゾビスイソブチロニトリル(0.41部)およびプロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(10.14部)を添加し、反応混合物を75℃で120分間加熱した。ブチルアクリレート(75.19部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(65.86部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.41部)を2時間にわたって反応混合物に添加した。ジメチルアミノエチルメタクリレート(75部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(75部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.82部)を2時間にわたって反応混合物に添加した。反応混合物をさらに18時間、75℃で加熱した。得られた黄色液体は、49.53%固形分であり、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=15300およびMw=22600を有した。
【0151】
中間体B
水(73.23部)中の1,8−ナフタル酸無水物(10.21部)のスラリーを水(40.36部)中のエチレンジアミン(24.99部)の溶液に10分にわたって室温で投入した。その混合物を70℃で10分間加熱し、その後、熱いうちに濾過した。結果と生じた黄色結晶質固体を廃棄し、溶液を放置して室温に冷却した。結果として生じた黄色沈殿を濾過によって回収し、真空乾燥させ、これが中間体Bであった。NMR分析によって生成物形成を確認した。
【0152】
中間体C
ブチルメタクリレート(237部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(240部)および2−メルカプトエタノール(6.08部)を窒素下、90℃で撹拌した。1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(2.34部)およびプロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(12部)を添加し、反応混合物を90℃で8時間加熱した。分析用の試料(12.14部)を除去し、得られた透明な液体は、固形分50.28重量%を有した。残存生成物に3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(15.3部、CytecからのTMI(登録商標))およびジブチルブチルスズジラウレート(0.49部)を添加した。その反応混合物を、イソシアネートが残存しなくなるまで、窒素下、90℃で8時間撹拌した。得られた透明な液体は、48.61%の固形分と、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=2100およびMw=5500を有した。
【0153】
中間体D
1−ドデカノール(57.24部)、ε−カプロラクトン(336.70部)およびδ−バレロラクトン(104.57部)を一緒に窒素下、100℃で撹拌した。ジルコニウムブトキシド(1.68部)を添加し、反応物を窒素下で18時間、175℃で撹拌した。20℃に冷却した後、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリカプロラクトン)によって判定してMn=1600およびMw=2100を有する蝋様固体として生成物を得た。その生成物を窒素下、70℃で撹拌した。3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(63.7部、CytecからのTMI(登録商標))およびジブチルスズジラウレート(2.0部)を添加した。その後、その反応物を、IRによって判定してイソシアネートが残存しなくなるまで、19時間、90℃に加熱した。粘稠液体として生成物を得た。
【0154】
中間体E
1−ドデカノール(31.32部)およびε−カプロラクトン(268.67部)を一緒に窒素下で撹拌した。塩化スズ(II)(0.002部)を添加し、反応物を18時間、120℃に加熱した。20℃に冷却した後、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリカプロラクトン)によって判定してMn=2800およびMw=3800を有する蝋様固体として生成物を得た。その生成物を窒素下、70℃で撹拌し、その後、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(33.84部)およびジブチルスズジラウレート(0.45部)を添加した。その後、その反応物を、IRによって反応してイソシアネートが残存しなくなるまで、70℃で7時間加熱した。結果として生じた生成物を蝋様固体として得た。
【0155】
中間体F
2−エチルヘキシルメタクリレート(50部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(43.75部)およびコバルト触媒(0.0025部、コバルト(II)(ビス4,4’−ジメチルベンジルジオキシムジボロンジフルオリド、米国特許5,962,609号、式V)を窒素下、90℃で撹拌した。プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(5部)中の1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.25部)を添加し、反応混合物を90℃で18時間加熱した。得られた透明な液体は、固形分54.3重量%と、GPC(標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=1800およびMw=3400を有した。
【0156】
コポリマーA
ブチルアクリレート(74.53部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(70.08部)およびブチル−2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロピオネート(5.83部、LubrizolからのCTA−1)を窒素下、75℃で撹拌した。アゾビスイソブチロニトリル(0.25部)およびプロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(10.3部)を添加し、その混合物を75℃で40分間加熱し、その後、アゾビスイソブチロニトリル(0.25部)およびプロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(3.0部)を添加した。その反応混合物を75℃で120分間加熱した。ブチルアクリレート(101.30部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(102.44部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.35部)を2時間にわたって反応混合物に添加した。次いで、グリシジルメタクリレート(12.66部)、メチルメタクリレート(63.42部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(74.2部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.57部)を2時間にわたって反応混合物に投入した。内容物を窒素下で18時間撹拌した。得られた生成物は、固形分含有量49.9重量%を有する黄色液体であった。
【0157】
コポリマーB
中間体C(21部)、ブチルメタクリレート(3部)、グリシジルメタクリレート(1.16部)、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(7.16部)およびブチル−3−メルカプトプロピオネート(0.298部)を窒素下、90℃で撹拌した。1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.298部)を添加し、反応混合物を18時間、90℃で撹拌した。得られた生成物は、固形分含有量48.61重量%を有する黄色液体であった。
【0158】
コポリマーC
ポリプロピレングリコールアクリレート(29.18部、Mn475)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(27.68部)およびブチル−2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロピオネート(2.29部、LubrizolからのCTA−1)を窒素下、75℃で撹拌した。アゾビスイソブチロニトリル(0.1部)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(3.89部)を添加し、反応物を60分間、75℃で撹拌した。アゾビスイソブチロニトリル(0.1部)を添加し、反応混合物を30分間、75℃で撹拌した。ポリプロピレングリコールアクリレート(38.91部、Mn475)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(38.91部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.13部)を90分にわたって反応混合物に投入した。メチルメタクリレート(24.32部)、グリシジルメタクリレート(4.86部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(29.40部)およびアゾビスイソブチロニトリル(0.22部)を60分にわたって添加した。その後、反応物を窒素下で18時間撹拌した。得られた生成物は、固形分含有量48.9重量%を有する黄色液体であった。
【0159】
コポリマーD
中間体D(14部)、ブチルメタクリレート(4部)、グリシジルメタクリレート(2部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(20.6部)およびブチル−3−メルカプトプロピオネート(0.3部)を窒素下、90℃で撹拌した。1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.3部)を添加し、その反応混合物を24時間、90℃で撹拌した。固形分含有量52.4重量%を有する琥珀色の液体として生成物を得た。
【0160】
コポリマーE
中間体E(14部)、ブチルメタクリレート(4部)、グリシジルメタクリレート(2部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(20.6部)およびブチル−3−メルカプトプロピオネート(0.3部)を窒素下、90℃で撹拌した。1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.3部)を添加し、その反応混合物を20時間、90℃で撹拌した。固形分含有量52.0%を有する琥珀色の液体として生成物を得た。
【0161】
コポリマーF
中間体F(25.78部)、ブチルメタクリレート(4部)、グリシジルメタクリレート(2部)および酢酸ブチル(8.22部)を窒素下、90℃で撹拌した。アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.3部)を添加し、その反応混合物を20時間、90℃で加熱した。生成物は、固形分含有量56%を有する琥珀色の液体であった。
【0162】
コポリマーG
コポリマーGの組成は、米国特許第5,852,123号の実施例13に基づいた。
【0163】
中間体F(45部)、スチレン(11.7部)、メチルメタクリレート(7.02部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(2.34部)および酢酸ブチル(22.59部)を窒素下、90℃で撹拌した。1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(0.68部)および酢酸ブチル(5部)を添加し、反応混合物を90℃で18時間で加熱した。得られた生成物は、固形分含有量54.8重量%を有する透明な液体であった。
【0164】
実施例2
コポリマーA(30.04部)を窒素下、70℃で撹拌した。中間体B(2.7部)を添加し、その混合物を70℃で18時間、80℃で4時間、そして100℃で18時間加熱した。得られた生成物は、固形分含有量58.4重量%と、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=20500およびMw=112500を有する、黄色溶液であった。
【0165】
実施例3
中間体B(0.92部)をコポリマーB(32.9部)に添加した。その混合物を室温で1時間、次いで50℃で1時間、次いで70℃で18時間撹拌した。得られた生成物は、固形分含有量49.33重量%と、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=4100およびMw=15200を有する、黄色溶液であった。
【0166】
実施例4
コポリマーC(40部)を窒素下、50℃で撹拌した。中間体B(1.64部)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1.64g)を添加し、その反応混合物を24時間、70℃に撹拌および加熱した。次いで、反応物を6時間、80℃に加熱した。得られた生成物は、46.62%固形分と、GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=3900およびMw=105500を有する、琥珀色の液体であった。
【0167】
実施例5
コポリマーD(41.2部)を窒素下、50℃で撹拌した。中間体B(3.38部)を添加し、その反応混合物を24時間、70℃に加熱した。GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=4300およびMw=16700を有する、52.24重量%固形分の琥珀色の液体として、生成物を得た。
【0168】
実施例6
コポリマーE(41.2部)を窒素下、50℃で撹拌した。中間体B(3.41部)を添加し、その反応混合物を24時間、70℃に加熱した。GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=4900およびMw=19600を有する、固形分62.4重量%の琥珀色の液体として、生成物を得た。
【0169】
実施例7
コポリマーF(40.35部)を窒素下、85℃で撹拌した。中間体B(3.34部)を添加し、その反応混合物を85℃で2時間、次いで100℃で18時間加熱した。GPC(溶離液テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレン)によって判定してMn=2400およびMw=5400を有する、60重量%固形分の琥珀色の液体として、生成物を得た。
【0170】
比較例2(CE2)
これは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの代わりにテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いたことを除き、米国特許第5,852,123号の実施例13に基づいた。
【0171】
コポリマーG(50部)を窒素下、50℃で撹拌した。フタルイミド(1.52部)および酢酸ブチル(1.52部)を添加し、その後、イソプロピルアルコール中の0.1M溶液であるテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(0.31部)を添加した。内容物を、酸価が2mgKOH/g未満になるまで、16時間、100℃で保持した。結果として生じた生成物を、Mn=4400およびMw=13500を有する固形分62.7重量%の濁った黄色の液体として得た。
【0172】
分散体試験2
実施例2〜7(50%固形分に基づき1.0部)を酢酸ブチル(7.0部)に溶解した。ガラスビーズ(17部、3mm)および赤色顔料(2.0部)クロモフタールレッドA2B(Cibaから)を添加し、内容物を水平型シェーカーで16時間粉砕した。得られたミルベースは、ゲル化した比較例1を除いて、分散液であった。ミルベースの粒径(PS)を、それらの分散体(0.1部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(20部)で希釈することによって評価し、その後、Nanotrac粒径分析計を使用して評価した。
【表3】
【0173】
分散体試験3
実施例5、6、7、CE1およびCE2(50%固形分に基づき1.0部)を酢酸ブチル(7.0部)に溶解した。ガラスビーズ(17部、3mm)および赤色顔料(2.0部)クロモフタールレッドA2B(Cibaから)を添加し、内容物を水平型シェーカーで16時間粉砕した。得られたミルベース(1.0部)をアクリル結合剤(2.0部、CytecからのMacrynal(登録商標)樹脂SMC565)にレットダウンした。その後、分散体を3番のKバーで白黒カード上に塗布した。結果として生じた塗膜の光沢およびヘイズを、Byk−Gardnerヘイズ光沢測定器を使用して評価した。実施例5、6および7は、比較例2より高い光沢および低いヘイズを示した。比較例1は、濃稠すぎてレットダウンできなかった。
【表4】
【0174】
上で言及した文献の各々は、優先権を主張する任意の先行出願を(上で具体的に列挙されているか否かにかかわらず)含めて、参照により本明細書に組み込まれている。いずれの文献への言及も、そのような文献が、先行技術としての資格があることまたはいずれかの管轄の当業者の一般知識を構成することを認めるものではない。実施例中および別段の明確な指示がある場合を除き、物質量、反応条件、分子量、炭素原子数などを特定する本明細書中の数量はすべて「約」という語によって修飾されていると理解されたい。本明細書に記載の量、範囲および比の上限および下限を独立して組み合わせてもよいことを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲および量を他のあらゆる要素についての範囲または量と併用することができる。
【0175】
本明細書で使用する場合、移行句「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」または「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的または非限定的であり、記載されていな追加の要素または方法工程を除外しない。しかし、本明細書中での「含む(comprising)」の各記載に関して、この用語は、代替実施形態として、「から本質的に成る」および「から成る」という句(「から成る」は、明記されていない一切の要素または工程を除外し、「から本質的に成る」は、対象としている組成物または方法の基本的特徴および新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない、記載されていない追加の要素または工程の包含を容認する)も包含することを意図したものである。
【0176】
本発明を説明するために特定の代表的な実施形態および詳細を示したが、本発明の範囲を逸脱することなくそれらに様々な変更および改変を加えることができることは、当業者には明らかである。これに関して、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。