(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ソース情報が、3次元空間におけるある場所での、3次元空間における特定の場所とは別個の物理的な一又は複数の特性を示すデータである、請求項1から13のいずれか1項に記載の作動方法。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月25日に出願されたCARDIAC ANALYSIS USER INTERFACE SYSTEM AND METHOD(「心臓解析ユーザインタフェースのシステム及び方法」)と題する米国仮特許出願第61/970,027号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本出願は、2013年12月2日に出願されたTransducer-Electrode Arrangement(「トランスデューサ−電極装置」)と題する、本出願の出願人による同時係属中の米国意匠特許出願第29/475,273号に関連し得るが、その優先権を主張するものではない。この出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0003】
本出願は、2015年2月5日に出願されたCatheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart(「カテーテルシステムと、心臓の診断及び治療での使用を含むカテーテルシステムの医療使用方法」)と題する、本出願の出願人による同時係属中の米国特許出願第14/422,941号に関連し、また、2012年8月31日に出願されたSystem and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue(「心臓組織の診断及び治療のためのシステム及び方法」)と題する米国仮特許出願第61/695,535号の優先権を主張して2013年8月30日に出願されたCatheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heartと題する国際特許出願PCT/US2013/057579号に関連し得るが、これらの優先権を主張するものではない。これらの出願の各々を参照により本明細書に援用する。
【0004】
本出願は、2012年3月9日に出願されたDevice and Method For the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall(「心臓壁上の電気双極子密度の幾何学的測定のための装置及び方法」)と題する、本出願の出願人による同時係属中の米国特許出願第14/003671号に関連し、また、2011年3月10日に出願されたDevice and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall(「心臓壁上の電気双極子密度の幾何学的測定のための装置及び方法」)と題する米国仮特許出願第61/451,357号の優先権を主張して2012年3月9日に出願されたDevice and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wallと題する国際特許出願PCT/US2012/028593号に関連し得るが、これらの優先権を主張するものではない。これらの出願の各々を参照により本明細書に援用する。
【0005】
本出願は、2013年7月19日に出願されたA Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall(「心臓壁上の電気双極子密度の幾何学的測定のための装置及び方法」)と題する米国特許出願第13/946,712号に関連し得るがその優先権を主張するものではない。米国特許出願第13/946,712号は、2010年7月16日に出願されたA Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wallと題する、US20100298690号として公開された米国特許第8,512,255号の継続出願である。米国特許第8,512,255号は、2008年1月17日出願のスイス特許出願第00068/08号の優先権を主張して2009年1月16日にA Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wallの名称で出願された特許協力条約出願PCT/IB09/00071号(WO2009/090547号として公開)の、米国特許法第371条による国内移行出願であった。これらの出願の各々を参照により本明細書に援用する。
【0006】
本出願は、2014年11月14日に出願されたMethod and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls(「心臓壁上の表面電荷密度及び双極子密度を測定及び表示するための装置及び方法」)と題する米国特許出願第14/547,258号に関連し得るがその優先権を主張するものではない。米国特許出願第14/547,258号は、2013年4月8日に出願されたMethod and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Wallsと題する米国特許出願第13/858,715号の継続出願である。米国特許出願第13/858,715号は、2009年2月3日に出願されたMethod and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Wallsと題する、US2009264781号として公開された米国特許第8,417,313号の継続出願である。米国特許第8,417,313号は、Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Wallsと題する、2006年8月3日出願のスイス特許出願第1251/06号の優先権を主張して2007年8月3日に出願されたPCT出願CH2007/000380号(WO2008/014629号として公開)の、米国特許法第371条による国内移行出願であった。これらの出願の各々を参照により本明細書に援用する。
【0007】
本発明は、心臓活動を分析するための、及び、心臓関連の異常を診断及び治療するためのシステム及び方法に関し、特には、このような活動に有用な心臓関連情報を表示するシステム及び方法に関する。
【0008】
不整脈の発生源(単数又は複数)を特定するために、一般的な方法は、心臓の内表面上に位置する電位を電気解剖学的マッピング法で測定することである。このために、例えば、電極カテーテルを心臓に挿入し、その状態で、正常な心拍又は心不整脈中の心電位を記録できる。不整脈が規則的な活性化シーケンス(興奮順序)を有する場合、電極が配置された各部位における心臓電位から測定される局所活性化のタイミングを、多くの部位にわたり、及び、不整脈中の多くの心拍にわたって組み合わせることができ、それにより、電気的活性化の三次元「局所活性化時間」(LAT)マップを作成できる。これにより、不整脈の発生源の位置及びメカニズムに関する情報、すなわち、焦点及び再入回路を診断して、治療(例えば高周波アブレーション)を開始又はガイドできる。
【0009】
このマッピング手順は、しばしば、カテーテル位置の3次元マップを生成するコンピュータシステムにより補助される。このマップ生成は、磁場を補助としたカテーテルの位置特定(いわゆるCartoシステム)により、あるいは、経胸腔インピーダンス(Localisa及びNavXによる)により行われる。このようなマップの全ての点が、心臓表面と接触している電極位置により得られるため、このマッピングシステムを「従来の接触マッピング」と称する。この接触マッピングシステムの固有の限界は、心臓の活性化が同時に評価され得るのが、心筋と接触している点においてのみということである。従って、心臓の活性化全体の即時マッピングは不可能である。なぜなら、心腔全体への同時接触は、血液循環を犠牲にせずには不可能だからである。しかし、心腔の電気的活性化全体の即時マッピングは、短期間の不安定な不整脈において有利であろう。従来のマッピング手順(不整脈中に電極を転々と移動させる)では、この短期間と比較して時間がかかり過ぎ、従って、臨床的に関連した電気的活性化マップを捕捉できない。また、心臓の電気的活性化の即時マップは、不規則な不整脈、又は、興奮順序が一定でない不整脈(活性化時間の累積が接触マッピングでは不可能)の間、有利であろう。また、最後に、心臓活性化の即時マップは、おそらく、接触マップよりも迅速かつ容易に得られる。接触マップは、あらゆる種類の心臓不整脈における心臓の様々な領域への、時間がかかるカテーテル移動により生成される。
【0010】
接触マッピングの欠点を「非接触マッピング」(“non-contact mapping”)により解決できる。「非接触マッピング」は、心臓壁に接触せずに心腔の活性化を同時にマッピングすることを可能にする。このために、例えば、膨張可能なバルーン上に取り付けられた多電極アレイを心臓に挿入できる。心腔の幾何学的形状は、以下のいずれによっても得られる。すなわち、
(i)3D表面位置の累積から得られる接触マップを、電極カテーテルを心腔内で移動させている間に再構成する。
(ii)コンピュータ断層撮影又はMRI(磁気共鳴映像法)による撮像データをインポートする。
【0011】
心室の幾何学的形状の輪郭がマップで示されたならば、多電極アレイによる心臓の遠距離場電位(単極)の同時記録の情報を、高度な数学的手法を用いて所望の心臓マップに外挿できる。この非接触マッピングは、電極カテーテルを心室内で転々と移動させる必要なく、電気的活性化の全体を、洞律動又は不整脈中のいずれにおいても単極遠距離場電位により測定するという利点を有する。この情報が、心臓活性化の1拍動分析を可能にし、従って、不安定、不規則、多発性の不整脈を追跡及び治療できる。しかし、非接触マッピングの欠点は、遠距離場電位に依存することであり、この方法では、接触マッピング(すなわち、心臓活性化の局所心電図(電位)を、対象部位にてマッピング電極により心内膜に触れることにより測定する)と同一の位置特定の精度を得られないことである。
【0012】
さらに、非接触マッピングは、心臓の再分極及び隣接する心腔(心房/心室)により発生された電位によるアーチファクト発生及び干渉の傾向が、より強い。これらの欠点は、幾つかのフィルタリング技術によりある程度は解決されよう。しかし、多くの場合、これらの欠点により、心臓不整脈の位置特定が、時間浪費的でもどかしい介入にもなっている。
【0013】
従って、非接触マッピングの利点(すなわち、心臓活性化の即時マッピング)を、欠点(すなわち、遠距離場信号の記録による空間分解能の低下、アーチファクトのフィルタリングなど)と釣り合わせなければならない。
【0014】
心臓不整脈の非侵襲性の位置特定のための別の方法は、身体表面マッピングである。この技術において、複数の電極が胸部の表面全体に取り付けられ、心臓の電気的活性化の情報が身体表面の電位から同時に測定され(心電図(ECG)と称される)、LATマップに組み込まれる。心臓モデルにおける電気的活性化の局所時間を決定するために、複雑な数学的手法が必要である。一例は、CT又はMRIイメージングによるものであり、心臓のサイズ及び胸腔内での向きに関する情報を与える。
【0015】
両方のマッピング方法、すなわち、接触式及び非接触式の欠点は、心臓の電気的活動を、電位、すなわち、心臓組織の3次元体積全体にわたる全心臓細胞の膜内のイオン電荷‐源(ionic charge-source)の総和を用いて表すことである。心臓細胞内のイオン電荷‐源により発生された電気力のこの総和が、現在のマッピングシステムにより測定される電位となっている。
【0016】
研究の結果、分布マップ(単数又は複数)を生成するために、表面電荷密度(すなわちそれらの分布)又は双極子密度(すなわちそれらの分布)を、それらが成功裡に、実行可能且つ確実に決定されるならば利用することで、心臓の局所細胞の電気イオン活動に関する情報が、電位(又は電圧)を用いて行う従来の測定よりも詳細且つ正確に得られることが分かった。表面電荷密度又は双極子密度は、電気的活動の正確で明瞭な情報のセットを良好な空間分解能で示す。一方、電荷密度の総和から得られる電位は、電気的活動の拡散画像しか提供しない。表面電荷密度及び双極子密度を用いれば、タンパク質のイオン電荷及び水溶性イオンを含む心臓細胞膜の電気的性質を正確に表すことができるが、従来の電位手段ではそれができない。表面電荷密度及び/又は双極子密度は心臓内で直接には測定できず、測定電位を用いて数学的に正確に算出されなければならない。言い方を変えると、従来のマッピングシステムにより得られる電圧マップの情報は、これらの情報から表面電荷密度又は双極子密度を算出すれば著しく精緻化され得る。しかし、電圧情報及びマップからの表面密度及び双極子密度の決定は、些細な数学的演習ではない。特許文献1及び特許文献2(それぞれ、シャーフ(scharf)らに付与)は、電圧情報及びマップから表面密度及び双極子密度を決定する方法を記載している。
【0017】
表面電荷密度とは、単位面積(cm
2)あたりの表面電荷(クーロン)を意味する。双極子自体は中性元素であり、一部が正電荷を含み、その他の部分が、これと同等であるが負の電荷を含む。双極子又は表面電荷マップは電圧マップよりも細胞膜の電気的性質を良好に表すと考えられよう。なぜなら、生物学的環境においてはイオン電荷が巨視的に分離されないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
現在、マッピングシステムは、心臓の画像及び活動を、双極子密度又は表面電荷密度ではなく、測定された電位に基づいて表示する。これは、先に述べたように、本質的に不正確性を伴う。なぜなら、電圧は平均化及び/又は平滑化されたフィールドデータであり、双極子密度又は表面電荷密度はこれよりもはるかに正確なソースデータであるからである。これに加えて、このようなディスプレイシステムは、心臓活動のリアルタイム又は近リアルタイムの表示を提供しない。なぜなら、急速に変化する心臓が発生する電圧データの量が、このようなシステムを使用したリアルタイム又は近リアルタイムのマッピングには大き過ぎる傾向があるからである。実際、このようなマッピング及びディスプレイシステムは、例えばマッピング及び治療処置中に生じ得る左房拡大などが原因で、心臓の不正確な画像を提示する。現在のシステムを使用しても、表示された心臓の画像を迅速かつ正確に更新できず、従って、施術者は、不正確な心臓画像を見ながら作業しなければならない。これは特に、例えば、施術者がアブレーションのために心臓組織を正確に位置特定しようとするときに問題であり、従来のイメージング及びディスプレイシステムを用いると、施術者は幾分の推測作業を行わねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ディスプレイスクリーン上に心臓情報のグラフィック表示を生成する方法を提供する。この方法は、複数の心臓部位を含む心臓の解剖学的モデルを電子的に作成するステップと、前記複数の心臓部位における心臓活動に対応するソース情報のデータセットを電子的に決定するステップと、前記複数の心臓部位に関する前記ソース情報のデータセットを前記ディスプレイスクリーン上に電子的に描示するステップとを含む。また、心臓情報のグラフィック表示を提供するためのシステム及び装置も提供する。
【0021】
本開示の一態様によれば、ディスプレイスクリーン上に心臓情報のグラフィック表示を生成する方法が提供される。この方法は、複数の心臓部位を含む心臓の解剖学的モデルを電子的に作成するステップと、前記複数の心臓部位における心臓活動に対応するソース情報のデータセットを電子的に決定するステップと、前記複数の心臓部位に関する前記ソース情報のデータセットを前記ディスプレイスクリーン上に電子的に描示するステップとを含む。
【0022】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、3次元空間におけるある場所での、3次元空間における特定の場所とは別個の物理的な単数又は複数の特性を示すデータであり得る。
【0023】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、少なくとも1つのセンサからの記録信号を含み得る。
【0024】
様々な実施形態において、前記少なくともセンサは複数のセンサを含み得る。
【0025】
様々な実施形態において、前記複数のセンサは、心室内に配置されるために構成及び配列された拡張可能なアレイに取り付けられ得る。
【0026】
様々な実施形態において、前記少なくとも1つのセンサは、電極、pHセンサ、温度センサ、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0027】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、双極子密度情報、表面電荷密度情報、pH情報、温度情報、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0028】
様々な実施形態において、ソース情報のデータセットを電子的に決定するステップが、少なくとも1つの心周期の異なる位相を示すソース情報の複数の順次データセットを電子的に決定するステップを含み得る。
【0029】
様々な実施形態において、前記少なくとも1つの心周期は複数の心周期を含み得る。
【0030】
様々な実施形態において、前記複数の順次データセットは、少なくとも1秒につき30回更新される動的データセットを表し得る。
【0031】
様々な実施形態において、前記複数の順次データセットは、少なくとも1秒につき1回更新される動的データセットを表すか又は含み得る。
【0032】
様々な実施形態において、前記複数の順次データセットは、少なくとも30分毎に1回更新される動的データセットを表すか又は含み得る。
【0033】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、識別マップの形態で又は識別マップを用いて表示され得る。
【0034】
様々な実施形態において、前記識別マップはカラーマップを含み得る。
【0035】
様々な実施形態において、前記識別マップが、値を識別するパラメータのマップを含むことができ、これらのパラメータは、色、コントラスト、輝度、色相、飽和レベル、又はこれらの2つ以上の組合せを含む。
【0036】
様々な実施形態において、前記方法は、心臓の解剖学的モデルをディスプレイスクリーン上に電子的に描示するステップを含み得る。
【0037】
様々な実施形態において、前記解剖学的モデルは、少なくとも1つの超音波トランスデューサからの信号を用いて作成され得る。
【0038】
様々な実施形態において、前記方法は、心臓の静的画像を前記ディスプレイスクリーン上に表示するステップを含み得る。
【0039】
様々な実施形態において、前記静的画像は、心臓収縮末期に時間的に近い心臓画像を含み得る。
【0040】
様々な実施形態において、前記静的画像は、心臓拡張末期に時間的に近い心臓画像を含み得る。
【0041】
様々な実施形態において、前記心臓の静的画像は少なくとも30分毎に1回更新され得る。
【0042】
様々な実施形態において、前記方法は、1つの心周期の複数の画像を含む心臓の動的画像を前記ディスプレイスクリーン上に表示するステップを含み得る。
【0043】
様々な実施形態において、前記方法は、複数の心周期の複数の画像を含む心臓の動的画像を前記ディスプレイスクリーン上に表示するステップを含み得る。
【0044】
様々な実施形態において、前記方法は、1つの心周期の複数の画像を少なくとも30分毎に1回更新するステップを含み得る。
【0045】
様々な実施形態において、前記方法は、フィールド情報のデータセットを前記ディスプレイスクリーン上に提示するステップを含み得る。
【0046】
様々な実施形態において、前記フィールド情報のデータセットは電圧情報のデータセットを含み得る。
【0047】
様々な実施形態において、前記フィールド情報のデータセットは前記複数の心臓部位に対応し、且つ、前記ディスプレイスクリーン上の前記複数の心臓部位に任意選択的に関連付けられ得る。
【0048】
様々な実施形態において、前記方法は、前記フィールド情報のデータセットを前記ソース情報のデータセットと並べて表示するステップを含み得る。
【0049】
様々な実施形態において、前記方法は、前記フィールド情報のデータセットを前記ソース情報のデータセットと重ね合わせて表示するステップを含み得る。
【0050】
様々な実施形態において、前記方法は、前記フィールド情報のデータセットを前記ソース情報のデータセットと交互に表示するステップを含み得る。
【0051】
様々な実施形態において、前記方法は、算出情報を生成し、且つ前記算出情報を前記ディスプレイスクリーン上に電子的に描示するステップを含み得る。
【0052】
様々な実施形態において、前記算出情報は、1以上の心臓部位に関連して前記ディスプレイスクリーン上に電子的に描示され得る。
【0053】
様々な実施形態において、前記算出情報は、少なくとも1つの超音波トランスデューサからの記録に基づいた情報を含み得る。
【0054】
様々な実施形態において、前記算出情報は、心室内に配置された超音波トランスデューサのアレイからの記録に基づいた情報を含み得る。
【0055】
様々な実施形態において、前記算出情報は、心室容積、心臓壁厚、平均心臓壁厚、心室寸法、駆出率、心拍出量、心血流量、心筋収縮能、心臓壁運動、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0056】
様々な実施形態において、前記算出情報は、少なくとも1つの電極からの記録に基づいた情報を含み得る。
【0057】
様々な実施形態において、前記算出情報は、心室内に配置された電極のアレイからの記録に基づいた情報を含み得る。
【0058】
様々な実施形態において、前記算出情報は、心臓表面部位の電圧、心臓表面部位の双極子状態、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0059】
様々な実施形態において、前記算出情報は定量的情報を含み得る。
【0060】
様々な実施形態において、前記算出情報は、前記ディスプレイスクリーン上に、数字、棒グラフ、円グラフ、又はこれらの2つ以上の組合せを含む形態で提示され得る。
【0061】
様々な実施形態において、前記算出情報は、数学的に処理された記録情報を含み得る。
【0062】
様々な実施形態において、前記記録情報は、1以上の電極、1以上の超音波トランスデューサ、1以上のセンサ、又はこれらの2つ以上の組合せを含む部品により記録された情報を含み得る。
【0063】
様々な実施形態において、前記数学的処理は、合計、平均化、積分、微分、中央値を見つける、最大値を見つける、最小値を見つける、又はこれらの2つ以上の組合せを含む処理を含み得る。
【0064】
様々な実施形態において、前記記録情報は、1以上の電極により記録された情報を含み得る。
【0065】
様々な実施形態において、前記算出情報は、双極子密度情報、表面電荷密度情報、又はこれらの2つ以上の組合せを含む情報を含み得る。
【0066】
様々な実施形態において、前記算出情報は、数学的に処理された双極子密度情報又は表面電荷密度情報を含み得る。
【0067】
様々な実施形態において、前記数学的処理は、合計、平均化、積分、微分、中央値を見つける、最大値を見つける、最小値を見つける、又はこれらの2つ以上の組合せを含む処理を含み得る。
【0068】
様々な実施形態において、前記記録情報は、1以上の超音波トランスデューサにより記録された情報を含み得る。
【0069】
様々な実施形態において、前記算出情報が心筋収縮能の測定値を表すことができ、前記算出情報は前記ディスプレイスクリーン上に提示される。
【0070】
様々な実施形態において、前記方法は、不都合な収縮能低下を前記算出情報に基づいて特定するステップを含み得る。
【0071】
様々な実施形態において、前記算出情報が心肥大の測定値を表すことができ、前記算出情報は前記ディスプレイスクリーン上に提示される。
【0072】
様々な実施形態において、前記算出情報は左心房肥大の測定値を表し得る。
【0073】
様々な実施形態において、前記方法は、不都合な心肥大を前記算出情報に基づいて認識するステップを含み得る。
【0074】
様々な実施形態において、前記算出情報は患者情報の経時的変化の測定を含み得る。
【0075】
様々な実施形態において、前記算出情報は、患者情報の、閾値との比較を含み得る。
【0076】
様々な実施形態において、前記方法は、前記閾値を超えたときの前記ディスプレイスクリーン上での前記算出情報の外観の変化を含み得る。
【0077】
様々な実施形態において、前記外観の変化は、色、ボールド体、フォント、サイズ、静的若しくは動的な表示又はこれらの2つ以上の組合せを含むパラメータの変化を含み得る。
【0078】
様々な実施形態において、前記方法は、前記閾値を超えたときにアラートを作動させるステップを含み得る。
【0079】
様々な実施形態において、前記方法は、追加の患者情報を前記ディスプレイスクリーン上に電子的に提示するステップを含み得る。
【0080】
様々な実施形態において、前記追加の患者情報は、年齢、性別、人種、身長、体重、患者のID、又はこれらの2つ以上の組合せを含む情報を含み得る。
【0081】
様々な実施形態において、前記追加の患者情報は、血圧、心拍数、心周期長、パルスオキシメトリ、呼吸数、又はこれらの2つ以上の組合せを含む情報を含み得る。
【0082】
様々な実施形態において、前記追加の患者情報は定量的情報を含み得る。
【0083】
様々な実施形態において、前記方法は、前記定量的情報を前記ディスプレイスクリーン上に、数字、棒グラフ、円グラフ、グラフ、プロット、又はこれらの2つ以上の組合せを含むグラフィック要素により示すステップを含み得る。
【0084】
様々な実施形態において、前記方法は、少なくとも前記決定されたソース情報に基づいて患者に治療処置を行うステップを含み得る。
【0085】
様々な実施形態において、前記治療処置は前記描示されたソース情報に基づいて行われ得る。
【0086】
様々な実施形態において、前記治療処置は心臓アブレーション処置を含み得る。
【0087】
様々な実施形態において、前記心臓アブレーション処置は、少なくとも左心房の組織を焼灼することを含み得る。
【0088】
様々な実施形態において、前記複数の心臓部位に関するソース情報のデータセットのディスプレイはユーザインタラクティブディスプレイであり得る。
【0089】
様々な実施形態において、前記ユーザインタラクティブディスプレイは、ユーザ入力に応答して、心臓活動の動的表示を一時停止、開始、及び/又は記録する;少なくとも1つの心臓部位に関連するデータ値を記憶、表示又は出力する;前記データセットにより表される心臓活動に関するグラフィック情報、数値情報又は文字情報を提示する第2のウィンドウ又はフレームに関連情報を表示又は出力する;心臓画像にズームインし、心臓画像からズームアウトし、及び/又は心臓画像を回転させる;前記心臓画像の一部を分離させる;心臓画像の断面又はスライスを露出させる;又は、これらのステップの2つ以上の組合せを行い得る。
【0090】
様々な実施形態において、前記関連する情報は、ECG、EKG又はこれらの両方を含み得る。
【0091】
本発明の様々な態様によれば、心臓情報のグラフィック表示をディスプレイスクリーン上に提供するように構成及び配置されたシステムが提供される。このシステムは、心臓の幾何学的情報を受信して、複数の心臓部位を含む心臓の解剖学的モデルを作成するように構成された第1のレシーバと、ソース情報、フィールド情報、又はこれらの2つ以上の組合せを含む情報を受信し、且つ、前記複数の心臓部位における心臓活動に対応するソース情報のセットを決定するように構成された第2のレシーバと、前記複数の心臓部位に関するソース情報のデータセットを提供するように構成されたディスプレイスクリーンとを備えている。
【0092】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、3次元空間におけるある場所での、3次元空間における特定の場所とは別個の物理的な単数又は複数の特性を示すデータであり得る。
【0093】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、心臓表面上のある点に関して決定された双極子密度データを含み得る。
【0094】
様々な実施形態において、前記ソース情報は、双極子密度情報、表面電荷密度情報、pH情報、温度情報、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0095】
様々な実施形態において、前記システムは、前記心臓の幾何学的情報を前記第1レシーバに提供するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含み得る。
【0096】
様々な実施形態において、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは複数の超音波トランスデューサを含み得る。
【0097】
様々な実施形態において、前記複数の超音波トランスデューサは、拡張可能なアレイに構成及び配置され得る。
【0098】
様々な実施形態において、前記システムは、前記第2レシーバにより受信した情報を提供するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得る。
【0099】
様々な実施形態において、前記少なくとも1つのセンサは電極を含み得る。
【0100】
様々な実施形態において、前記少なくとも1つのセンサは、pHセンサ、温度センサ、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0101】
様々な実施形態において、前記システムは、前記心臓の幾何学的情報を前記第1レシーバに提供するように構成された撮像装置を含み得る。
【0102】
前記撮像装置は、コンピュータ断層撮影装置、MRI装置、超音波装置、多電極マッピングカテーテル、マルチトランスデューサ撮像カテーテル、例えば、超音波トランスデューサのアレイを含む撮像カテーテル、又はこれらの2つ以上の組合せを含み得る。
【0103】
様々な実施形態において、前記システムの前記複数の心臓部位に関するソース情報のデータセットのディスプレイはユーザインタラクティブディスプレイであり得る。
【0104】
様々な実施形態において、前記システムのユーザインタラクティブディスプレイは、ユーザ入力に応答して、心臓活動の動的表示を一時停止、開始、及び/又は記録する;少なくとも1つの心臓部位に関連するデータ値を記憶、表示又は出力する;前記データセットにより表される心臓活動に関するグラフィック情報、数値情報又は文字情報を提示する第2のウィンドウ又はフレームに関連情報を表示又は出力する;心臓画像にズームインし、心臓画像からズームアウトし、及び/又は心臓画像を回転させる;前記心臓画像の一部を分離する;心臓画像の断面又はスライスを露出させる;又は、これらのステップの2つ以上の組合せを行い得る。
【0105】
様々な実施形態において、前記システムの関連する情報は、ECG、EKG又はこれらの両方を含み得る。
【0106】
様々な実施形態において、前記システムは、前記ディスプレイ上に提示された前記ソース情報に基づいて患者を治療するように構成された治療装置を含み得る。
【0107】
様々な実施形態において、前記治療装置はアブレーションカテーテルであり得る。
【0108】
本発明の態様によれば、心臓情報表示方法が、本明細書に図示され且つ図面を参照して記載されたように提供される。
【0109】
本発明の態様によれば、心臓情報表示システムが、本明細書に図示され且つ図面を参照して記載されたように提供される。
【0110】
本発明は、添付図面及び付属の詳細な説明を参照すると、より明白になるであろう。本明細書に記載される実施形態は、限定としてではなく例として提供されており、類似の参照番号は同一又は類似の要素を示す。図面は必ずしも等尺ではなく、その代わりに、本発明の態様を示すことを重視している。
【発明を実施するための形態】
【0112】
以下に、様々な例示的な実施形態を、幾つかの例示的実施形態を示す添付図面を参照しつつ、より詳細に記載する。しかし、本発明の概念は多くの異なる形態で具現化され得るのであり、本明細書に記載される例示的実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0113】
様々な要素を説明するために、「第1の」、「第2の」などの用語を本明細書で使用するが、これらの要素がこれらの用語により限定されるべきではないがことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用されるのであり、要素の順序付けが要求されることを意味するものではない。例えば、第1の要素を第2の要素と称しても、同様に、第2の要素を第1の要素と称してもよく、発明の範囲から逸脱することはない。本明細書で使用する用語「及び/又は」(“and/or”)は、関連して記載される要素の1以上の任意の及び全ての組合せを含む。
【0114】
1つの要素が別の要素「の上に」あり、又は、別の要素に「接続され」若しくは「連結され」ていると表現されている場合、1つの要素がその他の要素の直接上にあっても、又は、その他の要素に直接接続され若しくは直接連結されていてもよく、あるいは、介在要素が存在してもよい。これとは対照的に、1つの要素が別の要素の「直接上に」あり、又は、別の要素に「直接接続され」又は「直接連結され」ていると表現されている場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するのに用いられるその他の語句も同様に解釈されるべきである(例えば、「〜の間に」に対して「〜の間に直接」、「隣接して」に対して「直接隣接して」など)。
【0115】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図されてはいない。本明細書で使用する場合、単数形の「1つの」(“a”), (“an”)、及び、「その」(“the”)は、文脈上そうでないことが明白でない限り、複数形もまた含むことが意図されている。さらに、用語「含む」(“comprises”,“comprising”,“includes”及び/又は“including”)は、本明細書で使用する場合、記載された特徴、工程、操作、要素、及び/又は部品の存在を明記するものであるが、1以上のその他の特徴、工程、動作、要素、部品及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0116】
空間に関する用語、例えば、「の真下に」、「の下に」、「より下」、「より上」、「上方」などは、例えば図面に示されているような、1つの要素及び/又は特徴の、別の要素及び/又は特徴(単数又は複数)に対する関係を説明するために用いられ得る。空間に関する用語が、図面に示されている向きに加え、使用中及び/又は動作中の装置の様々な向きを含むことを意図されていることが理解されよう。例えば、図面中の装置の向きが逆転された場合、その他の要素又は特徴物「より下に」及び/又は「の真下に」と記載された要素は、その他の要素又は特徴物「より上」の向きになろう。装置が、それ以外の向きに向けられる(例えば、90度又はその他の向きに回転される)場合もあり、これに応じて、本明細書で使用する、空間に関する用語が解釈される。
【0117】
機能的な特徴、操作、及び/又は工程が本明細書に記載され、あるいはその他の方法で本発明の概念の様々な実施形態の範囲内に含まれていると理解される限り、これらの機能的な特徴、操作、及び/又は工程を、機能的なブロック、ユニット、モジュール、操作及び/又は方法で具現化できる。また、これらの機能的なブロック、ユニット、モジュール、操作及び/又は方法はコンピュータプログラムコードを含み、このようなコンピュータプログラムコードは、コンピュータ可読媒体、例えば、非一時的メモリ及び媒体に記憶されることができ、すなわち、少なくとも1つのコンピュータプロセッサにより実行可能である。
【0118】
本明細書で使用する用語「対象者」及び「患者」は、任意の動物、例えば、哺乳類(家畜、ペット、及び、好ましくは人間など)を意味する。「対象者」及び「患者」の具体的な例は、医学的支援、診断、及び/又は治療を必要とする個人(例えば、心房細動(AF)等の不整脈を有する患者)を含むが、これらに限定されない。
【0119】
表面電荷密度とは、単位面積(cm
2)あたりの表面電荷(クーロン)を意味する。双極子自体は中性元素であり、一部が正電荷を含み、その他の部分が、これと同等であるが負の電荷を含む。双極子又は表面電荷マップは電圧マップよりも細胞膜の電気的性質を良好に表すと考えられよう。なぜなら、生物学的環境においてはイオン電荷が巨視的に分離されないからである。
【0120】
用語「マップ」及び「マッピング」は、「電気マップ」、「電気マッピング」、「解剖学的マップ」、「解剖学的マッピング」、「装置マップ」及び「装置マッピング」を含み得る。これらの各々を以下に定義する。
【0121】
用語「電気マップ」及び「電気マッピング」は、電気的情報(例えば、本発明の1以上の電極により記録される電気的情報)を記録、処理、及び/又は、表示することを含む。この電気的情報は、心臓又はその他の組織の電圧測定値、心臓又はその他の組織の双極電位図及び/又は単極電位図、心臓又はその他の組織の表面電荷電データ、心臓又はその他の組織の双極子密度データ、心臓又はその他の組織の単相性活動電位、及びこれらの組合せを含むがこれに限定されない。
【0122】
用語「解剖学的マップ」及び「解剖学的マッピング」は、解剖学的情報(例えば、本発明の1以上の超音波トランスデューサ及び/又は本発明の1以上の電極により提供される解剖学的情報)を記録、処理、及び/又は、表示することを含む。この解剖学的情報は、組織(例えば心臓の1以上の室)の2次元又は3次元表示、組織壁厚、例えば、心房又は心室壁の厚さ、2つの組織表面間の距離、及びこれらの組合せを含むがこれに限定されない。幾つかの実施形態において、双極子密度マップが、例えば米国特許第8,512,255B2号公報に記載されているように、複数の電極及び複数の超音波トランスデューサにより提供された情報を用いて提供される。
【0123】
用語「装置マップ」及び「装置マッピング」は、装置距離情報を記録、処理、及び/又は、表示することを含む。装置距離情報は、例えば、装置又は装置部品と別の物体(例えば、組織又は別の装置若しくは装置部品)との距離を含む情報である。
【0124】
用語「患者情報」は、患者に関する生理的情報又はその他の情報を含み得る。これらの情報は、患者の心臓又は患者のその他の部位に関する、本明細書で定義したようなソース情報及びフィールド情報を含むがこれらに限定されない。患者情報は、1以上のセンサにより生成された記録から導出されるか又は他の方法でこれらの記録に基づいて得られる情報を含み得る。センサは、例えば本発明の1以上の電極、超音波トランスデューサ、及び/又は他のセンサである。患者情報は、数学的に処理された患者情報、例えば、合計、平均化、積分、微分され、及び/又は、新しい患者情報を生成するためにその他の方法で数学的に処理された患者情報を含み得る。患者情報は、患者の人口統計学的情報を含み得る、これらは、年齢、性別、人種、身長、体重、及び、患者のID(例えば、病院によって患者に割り当てられるID)を含むがこれらに限定されない。
【0125】
用語「心臓情報」は、患者の心臓に関する患者の生理的及びその他の情報を含み得る。これらの情報は、患者の心臓及び/又は心臓活動に関する、本明細書で定義したようなソース情報及びフィールド情報を含むがこれらに限定されない。
【0126】
本発明のシステム及び装置は、1以上のセンサ又はトランスデューサ、例えば、電極及び超音波トランスデューサを含む。様々な実施形態において、電極いずれの一対も、距離情報(例えば、電極のその一対間の距離、又は、電極の1つと1以上の付近の部品(例えば、前記1対の電極の一方又は両方から既知の距離にある部品)との間の距離)を提供するように構成及び配置されることができる。既知の分離距離を有する電極間の電気信号を送達及び記録することにより、信号を、1以上の既知の分離距離(例えば、予め決められた距離にある剛性構造物に固定的に取り付けられた2つの電極間の分離距離)に従って処理及び/又は較正できる。較正された信号値を、電極の一対の隣り合う組にわたって組み合わせることができ、それにより、その分離距離が未知の電極のいずれの一対(例えば、システムのいかなる1以上の装置上のいずれの任意の電極対)間の距離も正確に推定できる。既知の算出された分離距離を「参照」電極として用いて組み合わせ、それにより、1以上の「マーカ」電極(例えば、本発明の、又は別の若しくは外部の装置上に配置され、且つ、本発明付近に配置された電極)の未知の位置を三角測量できる。三角測量のプロセスを用いて、任意の又は全ての電極の多次元位置を、個々にでも、及び/又は、多次元空間における複合体としても動的に特定できる。様々な距離測定技術を用いることができる。
【0127】
また、任意の又は全ての電極を、電気エネルギー(例えば高周波エネルギー)を送達するために用いることができる。
【0128】
図1〜
図12は、患者又は対象物の心臓活動から双極子(又は表面電荷)密度を決定するために用いられ得る装置、システム、及び方法の実施形態を示す。しかし、本発明はこれらの特定の構成に限定されない。記載された説明は、概して「双極子密度」に関するものであるが、特に明記しない限り、これに加え、又は代替として表面電荷密度も含むと解釈されるべきことが当業者に理解されよう。
【0129】
ここで
図1を参照すると、双極子及び/又は表面電荷密度システムの実施形態のブロック図が示されている。このシステムは、患者の少なくとも1つの心腔の双極子密度及び/又は表面電荷の密度のデータベーステーブルを決定するように構成された装置100を含む。
【0130】
装置100は、複数のレシーバ(受信機)、例えば、レシーバ(1),(2)・・・(n)を含み得る。これらのレシーバは、1種類以上の情報を、患者、関連するシステム、及び/又はその他のセンサから受信するように構成されている。この実施形態において、装置100は第1のレシーバ110を含み、第1レシーバ110は、別個の装置、例えば、多電極マッピングカテーテル(例えば、患者の心臓の室内にて循環血液中に配置される)を含む装置から電位を受け取るように構成されている。装置100は、さらに、第2のレシーバ120を含み得る。第2レシーバ120は、心臓の幾何学的情報(例えば、心室壁の幾何学的輪郭)を測定機器などから受信するように構成されている。これらの測定機器は、コンピュータ断層撮影(トモグラフィ)、MRI、超音波、多電極マッピングカテーテル、マルチトランスデューサ撮像カテーテル(例えば、超音波トランスデューサのアレイを含む撮像カテーテル)、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。幾つかの実施形態において、第1レシーバ110は、心臓の室に配置された電極のアレイから情報を受信し、第2レシーバ120は、超音波トランスデューサのアレイ(これもまた心臓の室に配置されている)から情報を受信する。これらの実施形態において、電極及び超音波トランスデューサは、
図5A又は
図5Cを参照しつつ以下に記載するような単一の展開可能なバスケット又はその他の拡張可能な組立体に含まれ得る。あるいは、又は加えて、心臓のモデル(例えば、心室の幾何学的形状を含むモデル)を表す標準的な幾何学的形状をロードできる。幾つかの実施形態において、レシーバ、例えばレシーバ(n)を設置でき、それにより、装置100が、「ソース情報」を収集する電極又はその他のタイプのセンサ(例えば、温度センサ又はpHセンサ)から情報を受信することを可能にする。本明細書で用いる用語「ソース情報」とは、3D空間内のある場所での、3D空間内の特定の場所とは別個の物理的特性(単数又は複数)を表すデータである。これとは対照的に、本明細書で用いる用語「フィールド情報」とは、3D空間内のある場所での、3D空間にわたり延在する連続体の物理的特性を表すデータである。
【0131】
装置100は、さらに、数学的処理素子を含む双極子密度モジュール130を含む。数学的処理素子は、例えば、コンピュータ又はその他の電子モジュールであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサにより実行されたときに数学的又はその他の計算を行うためのソフトウェア及び/又はハードウェアを含む。双極子密度モジュール130は、第1レシーバ110から、電気的マッピング情報及び/又はその他の情報(本文以下「マッピング情報」)を受信し、また、心臓の幾何学情報を第2レシーバ120から受信する。双極子密度モジュール130は、好ましくは、1以上のアルゴリズムを使用して、受け取ったマッピング情報及び幾何学的情報を相互に関連付け、且つ/又はその他の方法で処理し、それにより、双極子密度及び/又は表面電荷密度のデータベーステーブル(例えば、1以上の心周期の1以上の位相を示す複数の順次データセットを含む)を生成する。幾つかの実施形態において、双極子及び/又は表面電荷密度情報(又はその他のソース情報)は、少なくとも1秒毎に1回更新される。その他の実施態様において、双極子密度情報(又はその他のソース情報)は、少なくとも10秒毎に1回更新される。こうして、双極子密度モジュール130は、双極子密度、表面電荷密度又はこれらの両方のデータベース又はデータベーステーブルを作成するように構成され得る。
【0132】
幾つかの実施形態において、心腔の幾何学モデルは、双極子密度モジュール130により処理されて、複数の小さい多角形(例えば、複数の小さい三角形又はその他の多角形(例えば、台形、正方形、長方形、五角形、六角形、八角形など)(本文以下、まとめて「三角形」と称する))にされる。三角形又は他の多角形が十分に小さい場合、各三角形における双極子及び/又は表面電荷密度が一定であるとみなし得る。好ましい実施形態において、直径4cm〜6cmの標準的な心腔が、1000個を超える三角形に分割される。別の好ましい実施形態では、双極子密度モジュール130により決定される三角形の個数は心腔の寸法に基づく。電極が心腔内に、電気生理学専門医などの医師により配置された状態で各電極の電位が記録される。各三角形は、対応する電極により所定の立体角で見られる。
【0133】
本明細書で用いる用語「立体角」は、観察位置xと心臓壁上の三角形とにより囲まれた角度である。位置xから見ると、真直線が点xから三角形の境界まで引かれ、半径r=1で中心がxの球が構成される。そしてこの真直線は、球の面上に球面三角形を画成する。立体角は、その対象物の、点xを中心とする球上への投影面積に比例している。
【0134】
双極子密度モジュール130は、位置yにおける各三角形に対して多電極カテーテル上の位置xの各電極が成す
【数1】
を算出する。三角形の双極子密度をd(y)とすると、
【数2】
にd(y)を乗算して、多電極カテーテル上の位置xにおける電位V(x)が得られる。測定される総電位V(x)は、全ての三角形から得られる総和である。詳細な説明を、
図3に関して以下に述べる。
【0135】
幾つかの実施形態において、双極子密度モジュール130は、作成される双極子密度のデータベースの空間及び/又は時間分解能を向上させるために、修正及び/又は改良可能な進行アルゴリズムを実行できる。双極子密度d(y)は線形方程式系を解くことにより得られる。この計算には、数値不安定性を回避するための幾らかの注意が必要である。それにより、双極子密度及び/又は表面電荷密度のマップを、対応する時間間隔で作成できる。マップの合成により、対応する各心拍(本明細書にて「心周期」とも称する)の一連の活性化シーケンスが生成され、これを使用することで、電気的活動、不整脈の発生源を特定でき、且つ/又は、心臓病の診断ができる。
【0136】
使用する測定電極は、心腔内の血流中に、数学的解析が十分に適用可能なように比較的均一な状態で配置され得る。好ましい実施形態において、皮膚電極もまた装着され、それにより、双極子密度モジュール130は、皮膚電極から受信した情報を利用して、心臓壁の双極子密度を計算及び/又は再計算できる。侵襲的な(すなわち心腔内に配置される)多電極電位測定により得られる空間分解能は、任意の心腔、例えば左心房(LA)内に配置され得る電極の個数と相関する。皮膚配置電極、例えば、胸郭上に配置される電極は空間的に制限されず、双極子密度の算出を強化するために使用できる。胴体上の既知の部位の皮膚電極から測定された電気情報の使用(独立の補完情報を双極子層の反対側から追加する)により、双極子及び/又は表面電荷密度の算出精度を、心腔内に配置した電極から得られる情報と比較して高めることができる。
【0137】
主に身体の構造が不均一なため、皮膚電極により測定された電位の実際の発生源の位置特定は困難である。非常に複雑な境界値の問題を、境界状態が曖昧な状態で解決しなければならず、体表面心電
図ECG(のみ)から「活動電位」を測定する過去の試みはそれほど成功していない。境界値の画定が不正確である問題を、本発明の心室挿入式多電極アレイによる追加の測定(皮膚電極による測定に追加)により回避できる。小さい正弦波電圧V
lが、心臓内の電極アレイ上の各電極l=1,・・・Lに印加され、得られる電圧W
k,k=1,・・・Kが表面電極で測定される。これにより、KxL遷移行列A
klが得られる。
【数3】
【0138】
立体角の算出により、電極アレイ電位V
lと、心臓壁のN個の領域の双極子密度d
n,n=1,・・・Nとの間の線形変換値B
lnが得られる、
【数4】
Nは、N=K+Lとなるように選択され、Kは表面電極の個数、Lは内部に配置されたアレイ電極の個数である。
【0139】
式(2)を(1)に代入すると、
【数5】
となる。
【0140】
従って、K+Lの電極の全てに対し心臓活動の電位測定を同時に行うことにより、心臓壁のN個の領域のN=K+Lの双極子密度を算出できる。この方法により、L個のアレイ電極のみの場合よりも高い空間分解能が得られる。線形方程式系(2)+(3)の解において、数値不安定性を回避するために、正則化法(例えばチホノフ正則化法及びその改変版)を用いなければならない。
【0141】
幾つかの実施形態において、その他のタイプの情報、例えば、温度センサ(例えば、熱電対)から温度を、又は、pHセンサからpHを得ることができる。データが記録されているときに、関連するセンサを心臓の面に沿った複数の場所に配置できる。モジュール130を用いて、センサにより提供された記録を解剖学的情報に相関させることができる。
【0142】
ここで
図2を参照すると、患者の少なくとも1つの心腔の双極子密度(及び/又は表面電荷密度)のデータベーステーブルを決定するための好ましい方法の一実施形態が示されている。ステップ10において、多電極アレイカテーテル装置が、対応する心腔内に配置される。ステップ20において、対応する心腔の幾何学的形状を含む心臓のモデルが作成される(すなわち、電子的に作成される)。幾つかの実施形態において、心臓のモデルは、多電極アレイの位置に関連付けて作成される。幾つかの実施形態において、心臓のモデルは、1以上の心室の幾何学的形状を含む静的モデルを含み、この静的モデルは、心周期における1つの特定の基準点(例えば、心収縮末期又は心拡張末期の時間的付近)での幾何学的形状を示す。静的心臓モデルの幾何学的形状は、単一の画像を含むことができ(例えば1回作成され)、あるいは、経時的に更新され得る(例えば、複数の連続的又は非連続的な心周期における同一基準点での心室の幾何学的形状情報を捕捉することにより更新される)。幾つかの実施形態において、静的心臓モデルは、少なくとも30分毎に1回更新される。あるいは、又は加えて、心臓のモデルは動的モデル(「拍動心臓モデル」とも称する)を含む。動的モデルは、単一の心周期の複数の基準点における心臓の幾何学的形状(すなわち、1回の心拍に対する複数の画像)を含むことができ、又は、経時的に更新され得る(例えば、複数の心拍にわたる心周期において類似の基準点で画像のセットを捕捉することにより)。幾つかの実施形態において、動的心臓モデルは、少なくとも1秒につき30回更新される(例えば、1秒につき30フレームの動画で心腔の連続画像を提供するため)。その他の実施態様において、動的心臓モデルは、少なくとも100ミリ秒毎に1回、少なくとも1秒毎に1回、少なくとも1分毎に1回、又は、少なくとも30分毎に1回更新される。幾つかの実施形態において、ソース情報及び/又はフィールド情報は、少なくとも1秒につき30回(例えば、変化するソース情報及び/又はフィールド情報の連続画像を1秒につき30フレームの動画で提供するために)更新される。その他の実施態様において、ソース情報及び/又はフィールド情報は、少なくとも100ミリ秒毎に1回、少なくとも1秒毎に1回、少なくとも1分毎に1回、又は、少なくとも30分毎に1回更新される。
【0143】
幾つかの実施形態において、心腔の幾何学的形状は、心腔内に配置された同一のカテーテル装置又は別個のカテーテル装置から画像形成センサ(例えば超音波センサ)により提供される。あるいは、又は加えて、心腔の幾何学的形状を含む心臓のモデルが、患者の外部の撮像装置(例えば、蛍光透視鏡(フルオロスコープ)、コンピュータ断層撮影装置、超音波撮像装置、MRI)により提供される情報から、電極の多電極アレイが心腔内に設置される前及び/又は後に作成される(すなわち、電子的に作成される)。対応する心腔モデルの形状の表面が、小さい三角形、典型的には、少なくとも1000個の小さい三角形に分割され得る。
【0144】
ステップ30において、双極子密度d(y)を、測定された電位値、及び、算出された立体角から算出できる(すなわち、電子的に決定される)。測定は、十分な分解能を経時的に得られるように、心周期中に連続的に繰り返され得る。双極子密度の時間依存情報を、所与の心拍に関する対応する心腔の活性化(興奮)マップとして示すことができる。この情報を利用して、心臓病又は心疾患、例えば、心房細動又は他の心不整脈の患者を診断及び/又は治療できる。あるいは、又は加えて、ステップ30にて表面電荷密度を算出できる。いずれの場合にも、ステップ30にて、双極子密度及び/又は表面電荷密度をデータベース又はデータベーステーブルに記憶できる。
【0145】
様々な実施形態において、この情報を利用して、不整脈を治療するための損傷(損傷パターン)(lesion)形成のための心臓壁治療部位を決定できる。損傷パターンは、例えば、左心房又は右心房に、RF、マイクロ波、レーザ、超音波、及び/又は低温アブレーションカテーテルにより形成される。幾つかの実施形態において、多電極マッピングアレイを心室に配置し、双極子密度を心室壁に関して決定し、これにより、例えば、虚血を検出し、又は、心筋機能を定量化できる。
【0146】
ここで
図3を参照すると、患者の少なくとも1つの心腔の双極子密度及び/又は他の情報のデータベーステーブルを決定するためのシステムの一実施形態が示されている。
【0147】
システム300が装置100を含む。装置100は、上述したように、双極子密度d(y)のデータベース(又はテーブル)を、心腔内の電位測定値、及び、心腔に関する画像情報に基づいて作成するように構成され得る。あるいは、又は加えて、装置100を、その他の情報(例えば、心臓表面における表面電荷密度、温度及び/又はpHレベルに関するその他の局所情報)のデータベースを作成するようにも構成し得る。システム300は、さらに、撮像(イメージング)ユニット220を含む。撮像ユニット220は、装置100により提供された情報に関して心腔の2次元画像又は3次元画像を提供するように構成されている。撮像ユニット220は、イメージング技術の例としての蛍光透視鏡(フルオロスコープ)、コンピュータ断層撮影、MRI、及び/又は超音波撮像の少なくとも1つを実行できる。撮像ユニット220は、メッシュ解析(例えば、三角形、多角形などを用いた)が可能であるように、心室のどのような形態の実在モデル又は仮想モデルも生成できる。
【0148】
システム300は、さらに、シャフト311を含むマッピングカテーテル310を含み、シャフト311は、患者の心腔、例えば左心房(LA)に挿入されているように図示されている。シャフト311の近位端にハンドル312が設けられている。シャフト311の遠位端にはアレイ315が設けられ、アレイ315は、局所情報及び/又はフィールド情報を記録するように構成された複数の電極316及び/又は複数のその他のセンサを含む。アレイ315はバスケット構造で示されているが、その他の多くの構成も用いられ、これらは例えば、複数の独立のアーム、螺旋状アレイ、電極、超音波センサ、及び/又は、その他の、センサで覆われたバルーン、並びに、複数のセンサ及び/又はトランスデューサを2次元又は3次元配列するように構成されたその他の構成を含む。好ましい実施形態において、多次元アレイの電極又はその他のセンサを有するどのようなカテーテルも、装置100にマッピング情報又はその他の情報を供給するために使用され得る。あるいは、又は加えて、様々な実施形態において、電極及び/又はセンサは、その他のタイプの「ソース情報」(例えば、温度及びpH)を検出するためのセンサを含み得る。ハンドル312が1以上の制御部を含み得る。これらは図示されていないが、例えば、シャフト311を操縦するための、及び/又は、アレイ315の1以上のセンサ又はトランスデューサを制御するための、例えば1以上の電極316を活性化するための1以上の制御部である。
【0149】
幾つかの実施形態において、カテーテル310は、1以上のタイプの撮像トランスデューサ、例えば、カテーテル310又はアレイ315に組み込まれた超音波トランスデューサ(UST)を含み得る。これに関し、
図5Aのカテーテル500又は
図5Cのカテーテル500’を参照しつつ以下に説明する。このような撮像トランスデューサを用いて撮像情報を得ることができ、それにより、心臓の画像を、撮像ユニット220と連動して、生成、維持、更新、及び/又は増大し得る。
【0150】
電極316は、ハンドル312を通ってケーブル317まで近位方向に延在するワイヤ(図示せず)に接続されている。ケーブル317は、マッピングユニット210(例えば心電図(ECG)ユニット)に電気的に接続されている。マッピングユニット210は、情報(例えば、電極316により記録される電位、及び、双極子密度、又は、装置100により生成されるその他の情報)を表示するためのモニタを含む。別の実施形態において、装置100は、さらにモニタ(図示せず)を含む。モニタは、双極子密度情報、表面電荷情報、電極316により記録される電位、1以上のセンサ(例えば1以上の温度及び/又はpHセンサ)により記録される情報、並びに、心室の輪郭及びその他の幾何学的情報の1以上を表示するように構成されている。好ましい実施形態において、双極子密度及び/又は記録された電位情報が、カテーテル310が挿入されている心腔の多次元表示に関連して示される。別の実施形態において、撮像ユニット220は、センサアレイカテーテル、例えば、
図3のカテーテル310、
図5Aのカテーテル500、
図5Cのカテーテル500’から記録された信号から心室の画像を形成するように構成された装置を含み得る。
【0151】
システム300は、不整脈を治療するための装置、例えばアブレーション源230を含むことができ、アブレーション源230は、ケーブル318を介して電極316に電気的に取り付けられる。あるいは、又は加えて、アブレーション源230は別のアブレーションカテーテルに(例えば、ワイヤ、流体送達チューブ、及び/又は光ファイバを介して)動作可能に取り付けられ得る。このアブレーションカテーテルは、例えば、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、低温エネルギー若しくはその他の組織破壊エネルギーを供給するように構成された、単一又は複数アブレーション要素のカテーテルである。
【0152】
図3に示されているように、装置100により画成された三角形T1が位置Yにある。アレイ315が、複数の電極316、例えば、位置Xに配置された電極316aを含む。三角形T1と位置Xとの間の幾何学的関係は、立体角である
【数6】
により定義される。装置100は双極子密度モジュール130を含む。モジュール130は、位置yの各三角形において
【数7】
に双極子密度d(y)を乗算し、アレイ315の各電極上の位置xにおける電位V(x)を得る。
【数8】
は、以上に定義したように、位置yにおける三角形、及び、多電極アレイ315上の位置xにおける電極に対応している。装置100の双極子密度モジュール130は、所望の双極子密度d(y)を、測定された総電位V(x)(装置100により画成された全三角形から得られた総和)から決定する。
【0153】
十分な個数(例えば10個〜10,000個)の電位値V(x)が測定されたならば(電位値の測定数が多ければ、より正確な、及び/又は、空間的に詳細な結果を提供)、心臓壁上の多くの均一分布領域yにおける双極子密度d(y)が、線形方程式系を解くことにより算出される。測定電位の補間(例えばスプラインを使用)により、計算で使用する領域の電位値測定数を増大できる。ある領域の
【数9】
は、心臓壁上のその領域における個々の三角形の立体角の総和である。このような双極子密度の算出は、例えば、双極子密度モジュール130の少なくとも一部を形成している自動コンピュータプログラムを介して行われる。
【0154】
幾つかの実施形態において、この算出結果は、視覚的、解剖学的な、例えば、双極子密度を時間(t)に関して心臓壁の幾何学的画像上に示すフォーマットで表示される。このフォーマットにより、電気生理学医などの医師が心臓壁上の活性化シーケンス(興奮順序)を決定でき、それにより、例えば心臓不整脈のための治療部位を決定できる。この結果は、マッピングユニット210のディスプレイ、又は、別個のユニット、例えば、装置100に含まれるディスプレイに示され得る。ディスプレイは図示されていないが、好ましくはカラーモニタである。好ましい実施形態において、本発明の装置は、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なソフトウェアプログラムとして実装されるか、又はこのようなソフトウェアプログラムを含む。ソフトウェアプログラムは、ECGシステム、心臓組織アブレーションシステム、イメージングシステム、コンピュータ、及びこれらの組合せの1以上の中に組み込まれ得る。
【0155】
幾つかの実施形態において、多電極カテーテル310は、少なくとも10個の電極316及び/又はその他のセンサを含む。これらの電極又はセンサは、心臓の多次元表示に関する局所情報及び/又はフィールド情報を提供するように構成されている。電極316は、好ましくは球形状に、例えばバスケットカテーテルで形成された球形状に配置される。楕円形の電極アレイ形状(例えば、ミネソタ州セントポールのセントジュードメディカル社(St Jude Medical)により製造されたエンサイトアレイカテーテル(Ensite Array Catheter)で提供されるような形状)を使用できる。別の実施形態においては、複数のカテーテルを心腔に挿入して多電極を設置する。
【0156】
幾つかの実施形態において、多電極マッピングアレイの電極316は、双極子密度決定法中に再配置(位置変更)される。アレイ315の電極316及び/又はその他センサ若しくはトランスデューサの再配置は、電極316の位置が既知の場合、電位値測定数を増やすために有益であり得る。従って、再配置は、多電極マッピングアレイ315に関連する幾何学的マップの調整に従う。
【0157】
幾つかの実施形態において、アレイ315は、さらに、本明細書にて様々に記載されるように、1以上のトランスデューサ、例えば1以上の超音波トランスデューサ(UST)を含む。また、幾つかの実施形態において、アレイ315は、電極316の代替として、又はこれに加えて、非電極センサ、例えば、温度センサ及び/又はpHセンサを含み得る。
【0158】
図4は、システム400の例示的な実施形態を示す。システム400は、例えば上記のシステム300の実施形態として、患者の少なくとも1つの心腔の双極子密度及び/又は表面電荷密度のデータベーステーブルを決定するように構成されている。すなわち、システム400は、システム300の幾分簡略化されたバージョンとみなすことができ、心臓活動を表す電圧測定値を用いて双極子密度及び/又は表面電荷密度を決定するための方法を説明するために用いられる。システム400は、患者450、例えば人間の心臓452の活動をマッピングするために用いられ得る。表面電荷密度のマップ(例えば、表面電荷密度の分布)を生成するために、所与の心腔の幾何学的形状が、本明細書に記載するような様々な方法のいずれによっても測定され又は得られる。様々な実施形態において、心室の多次元形状を、現在利用可能で一般的なマッピングシステム(いわゆるロケータシステム)により、あるいは、CT/MRIスキャンからの解剖学的データの積分により評価できる。
【0159】
システム400は、公知のタイプの入力装置及び出力装置(例えばディスプレイ420及びプリンタ430)、並びに、プローブシステム440を有するコンピュータ410を含む。電位測定のために、接触式及び/又は非接触式マッピング方法を使用できる。このマッピング方法はプローブ電極システム442を使用でき、プローブ電極システム442は、
図4に示されているようにケーブルを介してコンピュータ410に接続され、プローブシステム440の一部を形成している。プローブシステム440はカテーテルの形態をとり得るか、又はカテーテルを含み得る。コンピュータ410は、少なくとも1つのプロセッサ及びコンピュータ記憶装置を含むように構成されることができ、プローブシステム440からの心臓電位の情報を用いて双極子及び/又は表面電荷密度を決定するための様々なタスクを実行する、実行可能な機能モジュールのセットを含む。
【0160】
プローブ電極システム442は、幾つかの実施形態において、楕円形又は球形状の多電極アレイの形態であり得る。このようなアレイの球形状は、その後のデータ解析のための幾つかの利点を有し得る。あるいは、又は加えて、V
e(すなわち、心内膜上の電圧)を測定するために、他のタイプの、又は複数の独立の電極も使用し得る。例えば、心内膜内の心腔に関し、表面S
pを有するプローブ電極を血液中に設置して用いた場合(すなわち非接触式)、表面S
p上の点x,y,zにおける電位V(x,y,z)を測定することが可能である。心内膜の表面の電位S
eを計算するために、ラプラス方程式、
【数10】
を解くことが必要である。式中、Vは電位であり、x,y,zは3次元座標を示す。この方程式の境界条件は、S
p上でV(x,y,z)=V
p(x,y,z)であり、V
pはプローブ表面S
p上の電位である。
【0161】
この解は整数であり、これにより、血液で満たされている心腔の全容積内の点x’y’z’における電位V(x’y’z’)を計算できる。前記整数を数値的に計算するために心臓表面の離散化が必要であり、いわゆる境界要素法(BEM)を利用できる。
【0162】
境界要素法は、線形積分方程式を解くため(すなわち、面積分式の形態)の数値計算法である。この方法は、流体力学、音響学、電磁気学、破壊力学を含む、工学及び科学の多くの分野で利用されている。
【0163】
境界要素法は、しばしば、有限要素法を含む他の方法よりも効率的である。典型的に、境界要素法の定式化により、離散化後に完全な占有行列が得られる。この結果が意味するのは、BEMを用いれば、ストレージ要件及び計算時間の増大が、概して問題の大きさの2乗に従うことである。これとは対照的に、有限要素行列は典型的に帯行列であり(要素を局所的にのみ接続)、システム行列のための必要メモリは、一般に、問題の大きさに従ってほぼ直線的に増大する。
【0164】
上記の内容から考えて、プローブ表面上の全ての電位V
P(x1’y1’z1’)を測定できる。心腔壁上の電位V
eを算出するために、心腔表面の既知の形状を個別の部分に分割して境界要素法を用いる。こうして、線形行列変換Tにより心内膜電位V
eが、プローブ電位V
pから得られ、すなわち、V
e=TV
pである。
【0165】
少なくとも1つの所与の心腔の1又は複数の位置P(x,y,z)における、所与の時間tの心臓細胞の1又は複数の電位V
eを測定及び算出した後、表面電荷密度及び/又は双極子密度が決定される。表面電荷密度及び双極子密度は、以下の2つのポアソン方程式に従って電位に関係付けられる。
【数11】
【数12】
式中、ρ(P)は、位置P=x,y,zにおける表面電荷密度であり、
【数13】
は、心腔表面S
e上に集中されたデルタ分布であり、νは双極子密度である。
【0166】
心腔壁表面上の電位V
eと表面電荷(7)又は双極子密度(8)との間に関係が存在する。
【数14】
【数15】
(考察のために、ニューヨーク、ワイリー出版社、1975年出版のJD・ジャクソン著「古典電気力学第2版」(jackson JD. Classical Electrodynamics,2nd edition)を参照されたい。)
【0167】
境界要素法は、式7及び式8における電位V
eを所望の表面電荷密度及び双極子密度に変換するためのコードも提供し、これは、表面電荷密度及び/又は双極子密度のデータベースに記録されることができる。
【0168】
別の実施形態において、電位V
e(単数又は複数)は接触式マッピングにより測定される。この場合、電位V
eを算出するステップは必要でない。なぜなら、電極を心腔壁に直接接触させることにより既に電位V
eが測定されているからである。
【0169】
例示的な実施形態において、プローブ電極が有する形状は、電位V
eの正確な算出を可能にし、従ってV
eを所望の電荷密度又は双極子密度に変換するための計算を簡易にするものである。すなわち、このような実施形態において、電極の形状は楕円形又は球形であり得る。
【0170】
本発明に関し、少なくとも1つの所与の心腔の表面電荷密度のデータベース(又はテーブル)を決定する方法を利用するために、少なくとも以下、すなわち、
a)所与の心腔の表面上の所与の位置P(x,y,z)における電位Vを測定及び記録するための1つのユニット(接触式マッピング)、又は、心臓内に配置されるが心臓壁と直接接触しないプローブ(非接触式マッピング)、
b)測定された電位をデジタルデータに変換するための1つのA/D変換器、
c)測定され且つ/又は変換されたデータを記憶するための1つのメモリ(例えばコンピュータメモリ)、及び、
d)デジタルデータをデジタル表面電荷密度又は双極子密度データに変換するための1つのプロセッサユニット、
を含むシステムを用いることができる。
【0171】
所与の心腔内の心臓細胞の電位を侵襲的及び非侵襲的方法により位置特定及び測定するための多くの装置が当分野で公知であり、それらが長年にわたり医師により用いられてきたことが理解されよう。従って、本発明は、いずれの特定のタイプの電極又はその他センサ若しくはトランスデューサにも限定されない。その代わりに、本発明は、利用可能なデータの新規で有利な処理を提供する。これにより、心臓活動のマッピングの精密度、正確性、及び空間分解能を、心臓の表面電位のみに基づいた先行技術のシステムと比較して向上させることが可能であろう。本発明は、心臓病及び心疾患(例えば不整脈)及びその他の心臓細胞の電気的状態を診断するための、代謝及び機能情報を含む改良された診断手段を提供する。
【0172】
本発明に関して用いられるようなカテーテル及びその他の装置は、1以上の電極を含むカテーテルなどの多くの形態の診断カテーテル、又は、組織アブレーションカテーテルなどの治療用カテーテル(例えば、2015年2月5日に出願されたCatheter System and Methods of Medical Use of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart)(「カテーテルシステムと、心臓の診断及び治療での使用を含むカテーテルシステムの医療使用方法」)と題する米国特許出願第14/422,941号に記載されているカテーテル)を含むことができる。カテーテルは患者の心臓に経皮的に挿入されることができ、これにより、例えば、電気的活性を記録し、構造間の距離を測定し、又は、エネルギーを伝達できる。外部装置及びシステムも含まれることができ、これらは、例えば、電気信号を記録し且つ/又は電気信号を送信するために用いられる身体表面電極、又は、視覚化装置、例えば外部の超音波撮像システム若しくは蛍光透視撮像システムである。これらのカテーテル又はその他の装置のいずれも、1以上の電極、1以上の超音波トランスデューサ、及び/又は、1以上の他のセンサ若しくはトランスデューサを含み得る。これらの電極、超音波トランスデューサ、及び/又は他のセンサ若しくはトランスデューサを、装置の任意の場所、例えば、装置の遠位部又は近位部に配置でき、また、患者の身体の内部又は外部に配置できる。
【0173】
超音波トランスデューサのいずれか又は全てを、当分野で公知のように、トランスデューサと表面との距離の測定に使用できる。一例は、超音波トランスデューサと心室壁との距離を測定することを含む。別の例は、超音波トランスデューサと、同一の又は別の装置の部品との距離を測定することを含む。
【0174】
このようなカテーテルの電極のいずれか又は全てを、電極部位又はその間における電気「信号」(例えば電圧及び/又は電流)を記録するために使用できる。記録された電気信号を用いて、例えば、電極が組織から離れて(例えば循環血液内に)配置された場合、あるいは、電極が組織と接触している場合に、組織の電気的活動をマッピングできる。アルゴリズム、例えば、本明細書で上述したアルゴリズムを用いて、複数の非接触部位にて記録された信号を1以上の組織部位に存在する信号に相関させることができる。マッピングされた電気的活動及び/又は他の電気信号をさらに処理することができ(例えば、電荷源及び電荷密度に関して処理し、心臓の機能に関連する様々な生理的パラメータに相関させる)、また、マッピングされた電気的活動及びその他の記録及び算出された情報を、本発明のシステムの1以上の操作者に視覚的に提供できる。
【0175】
電極のいずれか又は全てを、システムにより生成される電気信号を伝達及び/又は記録するために用いることができる。このような伝達信号は、任意の1以上の電極から発信されることができ、そして、任意の2つ以上の電極間で伝達され得る。記録された信号は、単一の電極位置又は複数の電極位置に存在する信号(例えば、2つ以上の電極位置に存在する2つ以上の信号の比較を示す信号)を含み得る。記録された信号は、例えば、電圧及び/又は電流に対して同期又は非同期的に測定され得る。記録された信号は、例えば、インピーダンス及び/又は組み合わされた大きさのインピーダンスの抵抗成分及び反応成分に関して、任意の元の又は処理された信号「値」(“value”)を用いてさらに処理され得る(信号「値」は、例えば、瞬間振幅、位相、ピーク、二乗平均平方根、復調振幅、及びこれらの組合せから成る群から選択されたパラメータにより表される)。
【0176】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、心房細動及び/又は心室頻拍などの心臓病又は心疾患を診断及び/又は治療するためのシステムの遠位部分の斜視図が示されている。このシステムは、
図3のアレイ315、
図5Cのアレイ530’、及び/若しくは、
図4のプローブ電極システム442、又は、それらの一部の実施形態であり得る。
図5Aは、本発明の態様による、診断カテーテルのシャフトによりスライド式に収容されるアブレーションカテーテルを示す。
図5Bは、本発明の態様による、
図5Aのアブレーションカテーテルのシステムの屈曲状態を示す。
【0177】
プローブシステム440は、心腔などの身体部位への挿入のために構成及び配置される診断カテーテル500を含む。カテーテル500はシャフト502を含み、シャフト502は、典型的に、患者の血管系に存在する蛇行部を通しての挿入を可能にするために十分に柔軟な材料から構成される。シャフト502の遠位部分に拡張可能な組立体530が設けられ、組立体530上に複数の電極541が接続されている。さらに、この実施形態において、複数の超音波トランスデューサ551が、拡張可能組立体530に接続されている。電極541及びUST551が、各々、シャフト502内で近位方向に延在する1以上の導線に電気的に取り付けられている。導線は、1以上のレシーバ(例えば、
図1を参照して上述したレシーバ110及びレシーバ120)に接続している。幾つかの実施形態において、カテーテル500、拡張可能組立体530、電極541及び/又は超音波トランスデューサ551は、2013年9月6日に出願されたDevice and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall(「心臓壁上の電気双極子密度の幾何学的形状を決定するための装置及び方法」)と題する、本出願の出願人による同時係属中の米国特許出願第14/003671号に記載されている部品と類似の部品として構成及び配置される。この出願の全てを参照により本明細書に援用する。電極(又はその他のセンサ)及びUSTの個数及びパターンは、異なる実施形態において異なり得る。本発明は、
図5A及び
図5Bに示された実施形態(UST551の対の間に2つの電極541というパターンを含む)に限定されない。幾つかの実施形態において、例えば
図5Cに示されているように、単一の電極541の次に単一のUST551が続くというような繰り返しのパターンが含まれる。幾つかの実施形態において、カテーテル500は、図示されている電極に加えて、又はその代替として、その他のタイプの電極又は他のセンサ、例えば、温度及び/又はpHセンサを含み得る。
【0178】
本発明のシステムは、さらに、シャフト522を含むアブレーションカテーテル520を含む。シャフト522は、シャフト522の先端又は遠位部に配置された少なくとも1つのアブレーション要素561を含む。アブレーション要素561は、アブレーションカテーテル520がエネルギー源に接続されたときなどにエネルギーを組織に伝達するように構成及び配置されている。
【0179】
シャフト502はルーメン526を含み、ルーメン526は、シャフト502の少なくとも近位部から(例えば、一般的にシャフト502の近位端に配置されるハンドル(図示せず)から)シャフト502の遠位部まで(例えばシャフト502の遠位端まで)延在する。アブレーションカテーテル520のシャフト502と診断カテーテル500のルーメン526とは、アブレーションカテーテル520のシャフト522がルーメン526によりスライド式に収容されることを可能にするように構成及び配置される。ルーメン526はさらに、例えば診断カテーテル500の身体への挿入前、又は、診断カテーテル500を身体に挿入した後に、追加のカテーテル又はその他の細長い装置をスライド式に収容するように構成され得る。
【0180】
診断カテーテル500を使用して、組織、例えば、臓器又は臓器の一部(例えば心臓壁の一部)をマッピングできる。診断カテーテル500により収集される多次元の解剖学的マッピング情報を、システム(例えばコンピュータシステム400)により用いることで、アブレーションカテーテル520によりその少なくとも一部が治療されるべき解剖学的部位の多次元表示を生成できる。診断カテーテル500をコンピュータシステム(例えばコンピュータシステム400)に接続でき、コンピュータシステム400は、診断カテーテル500により生成された解剖学的マッピング情報、例えば、臓器、神経及び身体内のその他の組織の、容積、位置、形状、輪郭、及び運動を表示するように構成される。診断カテーテル500をコンピュータシステム400に接続することで、診断カテーテル500により生成された電気マッピング情報を表示でき、例えば、上述したように双極子マッピング又はその他の情報を表示できる。さらに、アブレーションカテーテル520又はその他の挿入される装置の場所、例えば、それらの、組織又は診断カテーテル500に対する位置を表示できる。例えば、診断カテーテル500を使用して心臓をマッピングでき、その間に、アブレーションカテーテル520を、治療のターゲットである(例えば、診断カテーテル500及び/又はシステム400の別の部品により提供された情報に基づいて治療のターゲットとされている)心臓の組織部位へと送ることができる。例えば、アブレーションカテーテル520は、心不整脈、例えば、心房細動、心房粗動、上室性頻拍症(SVT)、ウォルフパーキンソンホワイト症候群、及び心室頻拍症(VT)を患う患者を治療するために心臓組織を切除するように構成され得る。本明細書において、本発明の態様を伝えるために、治療装置の形態としてアブレーションカテーテルを記載するが、他の実施形態において、異なるタイプの治療装置(例えば、ペーシング装置、除細動装置、ステント送達装置、薬物送達装置、幹細胞送達装置など)を診断カテーテル500と組み合わせて使用できる。幾つかの実施形態において、これらの治療装置の1以上が、診断カテーテル500のルーメンを通して挿入される。
【0181】
幾つかの実施形態において、本発明のシステムは、システムの全てのカテーテル部品を左心房(場合により、その後左心室)にアクセスさせる単一の経中隔穿孔を利用しながら患者の左心房にアクセスするように構成される。その他の実施形態において、本発明のシステムは、システムの全てのカテーテル部品を左心室(場合により、その後左心房)にアクセスさせる大動脈弁の単一の交差部を利用しながら患者の左心室へアクセスするように構成される。
【0182】
本発明のシステムは、シース504、例えば、標準的な経中隔アクセスシースなどの標準的なアクセスシースを含み得る。幾つかの方法において、シース504を、心房中隔を通して左心房に挿入でき、次いで、診断カテーテル500をシース504のルーメンを通して挿入できる。次いで、アブレーションカテーテル520を診断カテーテル500のルーメン526を通して挿入できる。その他の方法においては、シース504を左心房に挿入し、次いで、診断カテーテル500とアブレーションカテーテル520とを同時に挿入する(例えば、アブレーションカテーテル520が少なくとも部分的にルーメン526内に存在している状態で診断カテーテル500を挿入する)。幾つかの実施形態において、シース504は操縦可能なシースを含み得る。シャフト502は、その長さの大部分に沿って、シース504によりスライド式に収容されるような直径を含む。幾つかの実施形態において、シャフト502は15Fr(5mm)以下の直径を含む。幾つかの実施形態において、診断カテーテル500及び/又はアブレーションカテーテル520は、
図5Bに示されているように、システムの操作者及び/又はロボット制御アセンブリが、手動式、半自動式、又は自動式操縦を行えるように操縦可能である。
【0183】
診断カテーテル500は左心房に配置されることができ、以下の情報から成る群から選択された情報を提供できる。すなわち、電気的情報、例えば、電圧情報(例えば、表面電荷情報を生成するために分析された電圧情報)、解剖学的幾何学的情報、例えば、心臓壁表面情報又は心臓壁厚情報、その他の生理学的及び解剖学的情報、例えば、本明細書に記載した情報、及びこれらの組合せである。診断カテーテル500のシャフト502は、静脈系、例えば脚部の静脈又は頸部の静脈を介して心臓内に挿入されるように構成され得る。シャフト502は、その内面及び外面にブレイド(編組体)(図示せず)を含み得る。このブレイドは、一般的に、プラスチック又は金属繊維製の編組体であり、シャフト502の構造的完全性及び性能を高める。幾つかの実施形態において、シャフト502のブレイドは、導体(例えば、電極541及び/又は超音波トランスデューサ551に接続された1以上の導体)を含み得る。
【0184】
先に述べたように、診断カテーテル500は、シャフト502の近位部から遠位部まで(例えばシャフト502の近位端から遠位端まで)延在するルーメン526を含み、これにより、図示されているように、別のカテーテル又は他の細長い装置、例えばアブレーションカテーテル520を、ルーメン526を通して挿入することが可能である。あるいは、又は加えて、挿入されるカテーテル又は他の細長い装置は診断カテーテルを含むことができ、これは、例えば、左心房、右心房、ヒス束、右室心尖、肺静脈、冠状静脈洞から成る群から選択される部位からの信号を記録するように構成された診断カテーテルである。あるいは、又は加えて、挿入されるカテーテルは別のカテーテル装置を含み得る。
【0185】
診断カテーテル500は、シャフト502の遠位端に配置される拡張可能組立体530(この場合、バスケットアレイの形態)を含み得る。図示されているように、拡張可能組立体530はスプライン531のアレイを含み、各スプライン531は、近位セグメント532、中央部分534、及び、遠位セグメント533を有する。各スプライン531の近位セグメント532はシャフト502に接続点527を介して接続されている。各スプライン531の遠位端は、周方向リング構成で接続して開口部535を形成している。開口部535は、装置、例えば、ルーメン526内に挿入される装置(例えばアブレーションカテーテル520のシャフト522)の通過を可能にする。幾つかの実施形態において、拡張可能組立体530は、装置を開口部535を通してガイドするように構成された1以上のガイド要素を含み得る。
【0186】
拡張可能組立体530は、
図5A及び
図5Bに示された拡張形状に構成及び配置され得る。組立体530の、少なくとも2本以上のスプライン531を含む拡張状態の又は部分的に拡張状態の(本文以下「拡張状態」と称する)幾何学形状を「バスケット」と表現でき、このバスケットは、ほぼ中空の中央部、及び、隣接するスプライン531間の空間を有する。示されている実施形態においてバスケットは球状であるが、任意の適切な形状、例えば楕円体、又はその他の対称又は非対称の形状を含み得る。従って、その他の実施形態において、組立体530は、異なる形状又は形状の組合せ(例えば、2本以上のスプライン531が、類似の又は非類似の形状、寸法、又は構成を含むスプライン531のアレイ)を含むことができる。幾つかの実施形態において、2本以上のスプライン531が、様々な曲率半径を含む。
【0187】
拡張可能組立体530は、拡張又は非拡張状態に付勢されることができる。一例において、組立体530は、スプライン531が
図5A及び
図5Bに示した湾曲形状に弾性的に付勢されるように自己拡張式であり得る。組立体530は、組立体530がシース504の遠位端から出る時に、例えば、シャフト522の前進及び/又はシース504の引き込みにより自動的に拡張できる。あるいは、組立体530を手動で拡張することもでき、これは、例えば、シャフト502内をスライドし且つ組立体530の遠位端に接続されたロッド(図示せず)を引き込むことにより行われる。
【0188】
スプライン531を、以下の材料から成る群から選択される材料から構成できる。すなわち、1以上の熱可塑性ポリマー、例えばポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン及び/又はポリエーテルエーテルケトン、1以上の熱硬化性ポリマー、例えば、シリコン及び/又はテトラフルオロエチレン、1以上の金属、例えば、ステンレス鋼、及び/又は、ニッケルチタン合金などの形状記憶合金、1以上の形状記憶ポリマー、例えば、3層構造アクリル、及び、これらの組合せである。生体適合性、可撓性、又は屈曲性を有し、特定用途向けのいずれの必要な電気特性も有する多数の材料又は組成物のいずれも、概してスプライン531のために使用できる。
【0189】
スプライン531は、任意の組合せで配置された1以上の電極541及び/又は1以上の超音波トランスデューサ551を含み得る。例えば、幾つかの実施形態において以下の構成の1以上が含まれる。すなわち、各スプライン531が少なくとも4個、6個又は8個の電極541を含む、各スプライン531が少なくとも4個、6個、8個の超音波トランスデューサ551を含む、及び、これらの組合せを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの電極541が、1本のスプライン531上の2つの超音波トランスデューサ551の間に配置される(例えば、
図5Cに示されている交互パターンで)。幾つかの実施形態において、少なくとも2つの電極541が、1本のスプライン531の上の2つの超音波トランスデューサ551の間に配置される。
【0190】
各スプライン531は、隣接するスプライン531又は組立体530におけるその他の任意のスプライン531と類似又は非類似の電極541及び/又は超音波トランスデューサ551の配列を含み得る。幾つかの実施形態において、組立体530は8本のスプライン531を含み、各スプライン531が、2個〜8個の電極541と、2個〜8個の超音波トランスデューサ551とを含み得る。幾つかの実施形態において、組立体530は6本のスプライン531を含み、各スプライン531が8個の電極541及び8個の超音波トランスデューサ551を含み得る。幾つかの実施形態において、1以上のスプライン531がある数量の電極541を含み、その数量は、そのスプライン531上に含まれる超音波トランスデューサ551の数量の1つの範囲内にある。例えば、スプライン531は、7個の電極541と、6個又は8個の超音波トランスデューサ551とを含み得る。幾つかの実施形態において、電極541と超音波トランスデューサ551とのセットを交互配列で、1以上の単一の超音波トランスデューサ551が2つの電極541の間に位置するように配置できる。幾つかの実施形態において、電極541と超音波トランスデューサ551との幾つかのセットを、1以上の単一電極541が2つの超音波トランスデューサ551の間に位置するように配置できる。
【0191】
電極541は、電気信号、例えば、電圧及び/又は電流信号を記録するように構成され得る。システムは、記録された信号を利用して、電位図情報、双極子マッピング情報、表面電荷情報、距離情報(例えば、システムの任意の装置及び/又は部品間の距離)、及び、本明細書に詳細に記載するその他の情報又は情報の組合せを生成できる。電極541のいずれか又は全てが、双極子及び/又は表面電荷マッピング電極、例えば、表面電荷又は他の双極子マッピングパラメータに関する情報を提供するように構成されたインピーダンス又は他の電気特性を有する電極を含み得る。幾つかの実施形態において、電極541は、0.1Hz以上の信号周波数の高忠実度の記録が実行されるように十分に低いインピーダンス、例えば10,000オーム未満の範囲の電極であり得る。幾つかの実施形態において、1以上の電極541が、電極541のインピーダンスを低減させるような酸化イリジウムコーティングを含む。あるいは、又は加えて、多数の形態のコーティング又はその他の処理、例えば、白金黒コーティング又はカーボンナノチューブ層が1以上の電極541に含まれ得る。電気信号の記録に加え、又はこれの代替として、電極541を、電気エネルギー、例えば無線周波数エネルギーを送達するように構成及び配列できる。幾つかの実施形態において、診断カテーテル500は、診断カテーテルとしての機能、例えば、電気的情報、解剖学的情報、及び/又は装置マッピング情報の提供に加え、治療、例えば、組織に施されるアブレーション治療を行うことができる。幾つかの実施形態において、例えば1以上のコイルが1以上の磁界を生成するように構成される場合、1以上の電極541が、各々1以上のコイルを含む。
【0192】
電極541は、様々な材料、例えば、非分極金属及び/又は分極金属を含み得る。幾つかの実施形態において、1以上の電極541が少なくとも1つの非貴金属を含み、これにより電極541は、血液、血漿、又は食塩溶液の少なくとも1つと接触した時に酸化する。幾つかの実施形態において、電極541は、コーティング、例えば、金属酸化物コーティング、導電性ポリマーコーティング、及びこれらの組合せから成る群から選択されるコーティングを含む。幾つかの実施形態において、1以上の電極541が外層及び内層を含み得る。例えば、外層がインピーダンス低減コーティング又はその他の層を含む場合、内層は、1以上の電極541の金属部分及び/又は残りの部分に外層を接着するように構成された層を含む。
【0193】
超音波トランスデューサ551は、システムのデバイス及び/又は部品と、組織(例えば心臓壁又はその他の固形組織)との間の距離の情報を記録するように構成され得る。超音波トランスデューサ551は、単素子又は多素子の圧電セラミック、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(pMUT)、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(cMUT)、圧電ポリマー、及び、これらの組合せを含む構造を含み得る。
【0194】
幾つかの実施形態において、診断カテーテル500が多層又は積層構造を含む場合がある。これらは、例えば、シャフト502が別の管の内側に管を含む場合、シャフト502がライナ(例えば、PTFEなどの潤滑材料から構成されたライナ)を含む場合、シャフト502が編組構造(例えば、シャフト502の2つの層間に配置された編組体)を含む場合、及び、これらが組み合わされた場合である。幾つかの実施形態において、診断カテーテル500は、例えばプルワイヤ及びアンカ(図示せず)を組み込むことにより操縦可能であり得る。一般的に、診断カテーテルシャフト502の外径は15Fr(5mm)未満である。
【0195】
図5A及び
図5Bのアブレーションカテーテル520は、シャフト522上に、例えばシャフト522の遠位部又は遠位先端にアブレーション要素561を含む。アブレーション要素561は機能的要素を含むことができ、これは、以下から成る群から選択される。すなわち、1以上の電極、低温エネルギーを送達するように構成された導管又はポート、レーザダイオード、アブレーションエネルギーを送達するように構成された光ファイバ、マイクロ波エネルギー送達要素、超音波エネルギー送達要素、薬物、幹細胞若しくはその他の薬剤を送達する要素、研磨若しくはその他の機械的なアブレーションエネルギーを送達する要素、及び、これらの組み合わせである。アブレーション要素561が1以上の電極を含む場合、電極は、無線周波数(RF)エネルギーを送達するように構成及び配置された電極を含み得る。多電極の場合、電極は、単極及び/又は双極RFエネルギー送達のために構成され得る。幾つかの実施形態において、アブレーション要素561は要素のアレイを含み得る。アブレーションカテーテル520は、アブレーション要素561にエネルギーを送達するように構成された装置、例えば、
図3のアブレーション源230に動作可能に接続され得る。アブレーション要素561により送達される典型的なエネルギーは、無線周波数エネルギーなどの電磁エネルギー、低温エネルギー、レーザエネルギー、光エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、化学エネルギー、及びこれらの組合せから成る群から選択されるエネルギーを含む。
【0196】
図5Bにおいて、アブレーションカテーテル520は、診断カテーテル500及びシース504と同様に、例えばプルワイヤ及びアンカなどを介して操縦可能である。この図において、アブレーションカテーテル520は、図示されているように湾曲した形状525で操縦されており、それにより、アブレーション要素561を診断カテーテル500の拡張可能組立体530から出させて2本のスプライン531の2つの中央部534の間を通過させる。アブレーションカテーテル520は、2本のスプライン531の間の空間、又は、開口部535を通る空間を含む拡張組立体530の任意の開口部から出られるように、医師などの操作者により操縦及び前進されることができ、それによりさらに前進されて、例えばアブレーションのために心臓組織に接触し又はより近づくことができる。
【0197】
様々なタイミングシーケンスを、
図5A及び
図5Bの拡張可能組立体530のスプライン531上の電極541及び/又はUST551への及び/又はこれらからの信号を送信及び/又は記録するために使用できる。好ましい実施形態において、スプライン間に交互に生じるUSTを「呼び出す」(“ringing”)パターンを提供するタイミングシーケンスが用いられる。また、タイミングシーケンスは、スプライン電極及び皮膚パッチ電極(任意選択的に含まれる)の幾つかを位置特定のために駆動させるタイミングを含み得る。幾つかの実施形態において、電極541は連続的に記録される。幾つかの実施形態において、電極541とUST551とは共通の導体を共有し、電極541は、共通導体を共有しているUST551が呼び出し信号を受信しているときには記録をしない。信号を送信及び/又は記録するタイミングシーケンスはコンピュータ制御され得る。タイミングシーケンスの完全サイクル(例えば、一連のシーケンシャルなリング信号が各UST551に送信されるサイクル)は、例えば、100ミリ秒以下であり得る。幾つかの実施形態において、タイミングシーケンスは、例えば、完全なサイクルの時間を変更するために、及び/又は、信号が送信され(例えばUST551を呼び出すために)又は記録される(例えば電極541から)順序を変更するために、経時的に変更される。
【0198】
ここで
図5Cを参照すると、本発明の態様による、拡張可能なアレイ上に配置された電極及び超音波トランスデューサ(UST)の別のレイアウトが斜視図で示されている。プローブシステム440が、マッピングカテーテル500’と、マッピングカテーテル500’の遠位部がその内部に挿入されていたシース504とを含む。マッピングカテーテル500’は、シャフト502’の遠位端に配置されたアレイ530’を含む。アレイ530’は、図示されているように複数のスプライン531を含み、これらのスプライン531上に、単一の電極541の次に単一のUST551が続く交互パターンが配置されている。電極541及びUST551は、各々、1以上のワイヤに電気的に取り付けられている。これらのワイヤは、シャフト502’内で近位方向に延在し、1以上のレシーバ(例えば、
図1を参照して先に記載したレシーバ110及びレシーバ120)に接続している。システム440は、アブレーションカテーテル(例えば、
図5A及び
図5Bのアブレーションカテーテル520に類似のアブレーションカテーテル)を含み得る。アブレーションカテーテルは、シャフト502’及びシース504と共に心臓内に前進されることができる。幾つかの実施形態において、シャフト502’は、アブレーションカテーテル又は他の装置をその内部に挿入できるルーメン、例えば
図5A及び
図5Bのシャフト502を含む。
【0199】
図6は、患者の少なくとも1つの心腔の双極子密度のデータベーステーブルを決定するように構成されたシステム400の一部を形成できるコンピュータアーキテクチャ600の例示的な実施形態を示す。アーキテクチャ600は、例として、
図4、
図5A及び/又は
図5Cのプローブシステム440と通信できる。アーキテクチャ600は、プローブシステム440(及び、電極442及び/又はカテーテル500,500’及び520)のための標準的なインタフェースモジュール610と、出力デバイス420,430とインタフェースするためのインタフェースモジュール620とを含み得る。アーキテクチャ600は、さらに、心臓情報を受信し、解釈し、生成し、処理し且つ/又は提供するための心臓情報ディスプレイコントローラ650を含み得る。コンピュータ410は、図示されているように、少なくとも1つのプロセッサ640と、バス660を介して素子610,620,630,640及び/又は650に接続された少なくとも1つのコンピュータメモリ680とを含む。アーキテクチャ600は、さらに、電位を表面電荷密度及び/又は双極子密度に変換するモジュール630を含む。モジュール630は、プロセッサ640により実行されるときに本明細書に記載された方法の実施に必要な実行可能なコンピュータ命令を含む。このような処理の結果は、メモリ(例えば、データベース、データ記憶システム、又はデータ記憶デバイス)680に記憶される。これは、本開示の利益を有する当業者により理解されよう。すなわち、モジュール630は、好ましくは、本明細書に記載されているように、又はその他の方法で、少なくとも部分的にプローブシステム440から受信したデータから双極子密度及び/又は表面電荷密度を決定するように構成されている。
【0200】
図7及び
図8は、それぞれ、本発明の態様による、表面電荷密度及び双極子密度を決定及び記憶するための方法の、以上に詳述した実施形態を要約して示している。
【0201】
図7の方法700において、ステップ702にてシステム400を用いて、所与の時間tにおける心腔内の1又は複数の位置Pでの1又は複数の電位V
eを測定及び/又は算出する。ステップ704にて、V
eを表面電荷密度ρ(P’,t)に変換する。ステップ706にて、表面電荷密度ρ(P’,t)をデータベーステーブルに記憶する。別のPが存在する場合、ステップ708でこの方法が繰り返される。
【0202】
図8の方法800において、ステップ802にてマッピングシステム400を用いて、所与の時間tにおける心腔内の1又は複数の位置Pでの1又は複数の電位V
eを測定及び/又は算出する。ステップ804にて、電位を双極子密度に変換するのに適したアルゴリズムを用いてV
eを前記双極子密度ν(P’,t)に変換する。ステップ806にて、双極子密度ν(P’,t)をデータベーステーブルに記憶する。別のPが存在する場合、ステップ808でこの方法が繰り返される。
【0203】
本発明の態様によれば、アーキテクチャ600は、さらに、心臓情報ディスプレイ(CID)コントローラ650を含む。この実施形態において、CIDコントローラ650は、少なくとも1つのディスプレイ装置が心臓情報を描示するのに十分な情報を生成及び/又は提供するように構成される。心臓情報は、双極子密度及び/又は表面電荷密度情報を含み得るがこれらに限定されない。また、心臓情報は、心臓電圧(又は電位)情報、心臓又は心臓(若しくは他の器官)の一部のグラフィックモデル、心臓又は心臓(若しくは他の器官)の一部分の画像、その他の局所情報、例えば、温度情報及び/若しくはpH情報、その他のフィールド情報(例えば電圧情報以外の)、又はこれらの組合せも含み得る。心臓及び/又は心臓(若しくはその他の器官)の一部の描示は、2次元(2D)、3次元(3D)又はこれらの組合せであり得る。また、このような心臓情報は、心電図(EKG又はECG)、例えば、心臓の電気的活動の対時間グラフも含み得る。上記のタイプの心臓情報を、様々な組合せで、例えば、双極子密度及び/又は表面電荷密度情報を含むように表示でき、また、2次元、3次元、又はこれらの組合せで表示し得る。
【0204】
このような心臓情報は、リアルタイムの、近リアルタイムの、又はその後の表示のためにメモリ680に記憶され得る。ディスプレイは、コンピュータモニタ、タブレット、スマートフォン、テレビ、若しくは他のタイプのディスプレイ装置、又はこのようなディスプレイを含む装置であり得る。ディスプレイ(単数又は複数)は、ローカルディスプレイ、リモートディスプレイ、又はこれらの組合せ(ディスプレイが1つよりも多い場合)であり得る。ディスプレイ(単数又は複数)は、有線、無線、又はこれらの組合せ(1つよりも多い場合)であり得る。
【0205】
情報の表示における違いを説明するために、異なるタイプの情報を区別し得る。例えば、双極子及び電荷密度情報は、電圧(又は電位)情報とは異なる。例えば、双極子及び電荷密度情報は、方法700及び方法800などから「ソース情報」のタイプであるとみなされ得る。「ソース情報」は、3次元空間のある位置における物理的特性(単数又は複数)が、3次元空間における特定位置のものとは異なることを表すデータである。これは例えば、温度情報又はpH情報と同様であり、これらもまたソース情報である。これとは対照的に、電圧(又は電位)情報は「フィールド情報」とみなされ得る。「フィールド情報」は、3次元空間のある位置において、その3次元空間にわたり延在する連続体の物理的特性(単数又は複数)を表すデータである。
【0206】
図9は、双極子及び/又は電荷密度情報を、少なくとも1つの電子ディスプレイ又はコンピュータディスプレイに、好ましくは心臓の少なくとも1つの画像と共に示す方法900の実施形態を示す。この方法は、例として、システム400により実施され得る。この実施形態において、ステップ902にて、複数の心臓部位(例えば、心腔の心内膜表面の内部又はその上)から電圧を、少なくとも1つの電極を用いてフィールド情報として測定する。ステップ904にて、電圧(すなわちフィールド情報)から複数の双極子及び/又は電荷密度(すなわちソース情報)を(例えば、心臓表面上の複数の部位にて、測定された電圧から)コンピュータプロセッサにより決定する。ステップ906にて、心臓の少なくとも1つの画像を、少なくとも1つの(ローカル及び/又はリモート)ディスプレイスクリーン上に電子的に描示する。ステップ908にて、双極子及び/又は電荷密度の分布を、例えば心臓の画像(単数又は複数)と共に、少なくとも1つのディスプレイスクリーン上に電子的に描示する。ステップ910(任意選択的なステップ)にて、電圧情報を、例えば心臓の画像(単数又は複数)と共に、少なくとも1つのディスプレイスクリーン上に電子的に描示する。様々な実施形態において、ステップ910はユーザが選択可能なオプションあってよく、例えば、電圧情報のオン/オフをユーザの制御により切り替え得る。
【0207】
幾つかの実施形態において、ステップ902は、電圧を電極アレイから連続的又は逐次的に測定するステップを含む。幾つかの実施形態において、ステップ902は、さらに、1以上の電極を第1の位置から1以上の異なる位置に移動させて、各位置における1以上の電極から電圧を測定するステップを含む。
【0208】
幾つかの実施形態において、ステップ908は、一連の双極子密度及び/又は電荷密度、例えば、完全な心周期(すなわち心拍)を表す一連の画像をディスプレイスクリーン上に描示するステップを含む。これらの実施形態において、完全な心周期を表す連続画像が繰り返される(すなわち、ループされる)ことができる。あるいは、又は加えて、完全な心周期を表す連続画像が更新され得る(例えば連続的に更新され且つ/又は離散時間間隔で更新される)。幾つかの実施形態において、完全な心周期を表す一連の画像を心臓の静的画像(例えば、ステップ906でスクリーンに描示された単一の心臓画像、例えば、心収縮又は心拡張の末期を表す画像)により表示できる。あるいは、完全な心周期を表す一連の画像を、心周期中の心臓の収縮及び拡張を示す心臓の対応する連続の(例えば時間的に対応する連続の)画像と共に表示できる。
【0209】
図10は、本発明の態様による、1以上の装置で生成され得る双極子及び/又は表面電荷密度情報のディスプレイ1000の例示的な実施形態である。この例においては双極子密度情報が示されている。しかし、その他の実施形態においては、これに加えて、又はこれの代わりに、表面電荷密度、pH情報、温度情報、及び/又は、その他のソース情報若しくはフィールド情報が含まれ得る。ディスプレイ1000は、現在公知の任意の、又は今後開発されるグラフィックディスプレイ、例えば、コンピュータモニタ、タブレット、携帯電話、テレビ、ディスプレイパネル、グーグルグラスなどを含み得る。あるいは、又は加えて、ディスプレイ1000上に提示される情報は、例えばプリンタを介して紙で提供されても、又は、別の装置に無線で送信されてもよい。ディスプレイ1000は、心臓情報が収集された患者についての関連情報(例えば、患者の氏名、年齢、病院でのIDなど)を提示する患者情報ボックス、表示領域1002を含み得る。
【0210】
電圧は、電荷の「双極子」源から広がる「力場」(“force field”)(例えばAF(心房細動)診断の焦点)である。従って、この用語を本明細書で使用する場合、電圧はフィールド情報である。影響の領域は、一般的に、心腔の数センチメートルにわたる。電圧は、生理状態の広く不鮮明な画像を提供し、これは、カメラレンズをデフォーカスさせるのと同様である。電圧測定値は、隣接部位(例えば隣接する心腔)からの遠距離場干渉を含む。これとは対照的に、双極子電荷源(例えば「焦点ポケット」)は、本明細書で使用する場合、ソース情報であり、複数の電圧測定値(すなわち、フィールド情報)から導出できる。双極子及び表面電荷密度画像は、非常に小さい領域(例えば、〜1mm又はそれより小さい)にわたる生理学的情報の精密な高解像度を提供する。隣接部位からの遠距離場干渉は低減又は除去される。従って、双極子密度による方法は、カメラレンズをリフォーカス(焦点合わせ)させるのと同様に、局所的生理状態及び活動の解像度を著しく向上させる。
【0211】
この実施形態において、ディスプレイ1000は、双極子(又は表面電荷)密度情報をソース情報の形態で表示できる、双極子(又は表面電荷)密度表示領域1010を含む。この例において、双極子(又は表面電荷)密度情報(ν(P’,t))1012が心臓の画像(心臓画像1011)の上に重ねて(オーバーレイ)表示される。その他の実施形態において、心臓画像1011は含まれない。心臓画像1011は、分析されている特定の心臓の画像若しくはモデル、又は、心臓の代表的なモデルであり得、これらのいずれもコンピュータメモリに記憶され得る。双極子密度情報1012は、心臓画像1011の一部のみに関して示される。これはユーザが選択可能な部分であり得る。幾つかの実施形態において、双極子密度情報1012は、心臓画像1011のほぼ全てに関して示され得る。さらに別の実施形態において、システム(例えば、電位を表面電荷/双極子密度に変換するモジュール630)は、双極子(又は表面電荷)密度情報及び/又は電圧測定情報を利用した診断時に、システムの異常な挙動又は表示の原因となる心臓の部分に関する双極子密度情報1012を提示するように構成され得る。双極子密度情報1012及び/又は心臓画像1011は、動的フォーマットで提示された一連の動的情報セット(例えば、一連の画像の順次フレーム)を表し得る。幾つかの実施形態において、
図9の方法に関して上述したように、双極子密度情報1012は、1以上の心周期の全体を通じて更新され、静的又は動的な心臓画像1011に示される。ディスプレイ1000に含まれる双極子密度情報1012又はその他の患者情報は、識別マップ、例えば、パラメータを変えることにより情報の値を識別する表示を介して示され得る。これらのパラメータは、色(例えばカラーマップ)、コントラスト、輝度、色相、飽和レベル、又はこれらの組合せから成る群から選択される。
【0212】
幾つかの実施形態において、ディスプレイ1000は、双極子(又は表面電荷)密度表示領域1010と共に提供される1以上のその他の表示領域を含み得る。このようなその他の表示領域は、領域1010における双極子(又は表面電荷)密度情報に関する(例えば、関連し及び/又は数学的に導出される)情報を表示する第2の表示領域であり得る。例として、双極子(又は表面電荷)密度の時間プロットを表示する領域1014が設けられ得る。領域1014は、1以上の心腔表面部位(1つを示す)における、時間に対する双極子密度のプロットを動的に示すように構成され得る。このプロットは、双極子(又は表面電荷)密度表示領域1010に表示される(例えば、領域1010に表示される情報と同期して示される)、動的に変化する双極子密度情報に対応し得る。幾つかの実施形態において、表面部位は操作者が選択可能である。
【0213】
動的に表示される情報(例えば、領域1010、領域1014、及び/又は、ディスプレイ1000上で動的に表示されるその他の情報)を、制御部1030を用いて、好ましくは、再生、一時停止、停止、逆送り、早送り、及び/又はその他の方法で制御できる。幾つかの実施形態において、双極子(又は表面電荷)密度領域1010、双極子密度の時間プロット領域1014、及び/又は、ディスプレイ1000上に表示されるその他の情報を独立に制御でき(例えば制御部1030を介して)、且つ/又は、時間的にリンクさせることができる(例えば、静的ビュー又は動的ビューで時間的にリンクさせる)。別のオプショナルの第2の表示領域が、解析表示領域1016であり得る。この実施形態において、解析領域1016は、双極子密度データから決定される診断情報を含む。より詳細には、この場合、解析領域1016は、少なくとも部分的に双極子密度データから得られる、心臓状態の評価、及び/又は、心臓異常の原因(例えば、心房細動などの不整脈をもたらすロータ又はその他の異常な電気的活動)を表示する。この表示は、1以上の双極子密度値と、領域1010において動的に表示される双極子密度情報に対応する関連するタイムスタンプとを含み得る。タイムスタンプは、将来の観察及び/又は評価のために自動的に(例えば、システムにより)、及び/又は手動で(例えばシステムのオペレータにより)付与される。
【0214】
様々な実施形態において、ディスプレイ1000は、第2の表示領域1020(すなわち、電圧測定情報領域1020)を任意選択的に含み得る。領域1020内に、電圧測定情報1022を心臓画像1011と共に電子的に描示できる。そしてこの例において、測定された電圧1022は、心臓画像1011の面上に投影され又は重ね合わされ(オーバーレイされ)る。従って、本発明の態様によれば、図示されているように、システム及びディスプレイは、双極子密度1012の分布を心臓画像1011の面上に重ね合わせることができ、そして、測定された電圧1022を第2の心臓画像1011の面上に、例えば、同時に同期させて投影できる。先に述べたように、領域1020における動的表示情報を、制御部1030を用いて、好ましくは、再生、一時停止、停止、逆送り、早送り、及び/又はその他の方法で制御できる(例えば、独立に、又は、領域1010と同期させて)。
【0215】
その他の実施形態において、心臓の静的な単一画像を示すことができ、ユーザは、双極子密度情報、表面電荷密度情報、及び/又は、測定された電圧測定情報をこの単一画像に選択的に重ね合わせ又は投影できる。従って、ディスプレイ1000は、1以上の制御部(例えばタッチスクリーン制御部)を含むことができ、これらの制御部は、ユーザの相互作用に応答して、双極子密度、表面電荷密度、及び/又は、電圧測定値の提示をディスプレイスクリーンの心臓画像上で選択的に切り替え得る(例えば、連続的に且つ/又は同時に、例えば、
図11を参照して以下に記載するようにオーバーレイを用いて)。
【0216】
幾つかの実施形態において、ディスプレイ1000は、1以上のその他の表示領域を(例えば、電圧測定情報領域1020と共に)含み得る。このようなその他の領域は、電圧測定情報領域1020に関連する情報を表示する第2の表示領域であり得る。例として、電圧測定値の時間プロット1024が提供され得る。領域1024は、1以上の心腔表面部位(1つ示されている)における、時間に対する測定電圧のプロットを動的に示すように構成され得る。このプロットは、電圧測定情報領域1020に表示される、1以上の心内膜表面部位での動的に変化する電圧測定情報に、同一の時間尺度で対応し得る(例えば、操作者が選択した1以上の表面部位に同期される)。すなわち、この時間尺度は、双極子密度領域1010及び関連する二次的領域の時間的尺度と同一である。様々な実施形態において、ユーザは、領域1010と領域1020とを同期させるかどうか、及び、二次的領域を、対応する一次的領域1010及び領域1020と同期させるかどうかを選択できる。動的表示情報は、好ましくは、一時停止、停止、逆送り、及び/又は早送りされ得る。幾つかの実施形態において、電圧測定情報領域1020、及び、電圧測定情報の時間プロット領域1024、並びに/又は、ディスプレイ1000に表示されるその他の情報を独立に(例えば制御部1030を介して)制御でき、且つ/又は、時間的にリンクさせることができる(例えば、静的ビュー又は動的ビューで時間的にリンクさせる)。
【0217】
別のオプショナルの二次的領域は、分析領域1026であり得る。この実施形態において、分析領域1026は、電圧測定情報から決定される診断情報を含む。より詳細には、この場合、分析領域1026は、少なくとも部分的に電圧測定情報から決定される心臓異常(例えば心房細動)を表示する。この表示は、電圧測定情報値と、領域1020にて動的に表示される電圧測定情報に対応するタイムスタンプとを含み得る。
【0218】
様々な実施形態において、ディスプレイ1000は、ユーザの相互作用に応答する1以上のグラフィック機構又はその他の制御部を含むことができ、これにより、双極子密度1012がオーバーレイされた心臓1011の画像の、2次元(2D)又は3次元(3D)空間での向きを変更できる。例えば、1以上の領域が、ズームイン及びズームアウトするための制御部1032、あるいは、心臓、及び、所定領域(例えば領域1010及び1020)におけるオーバーレイ情報を回転又はターンさせるための制御部1034を含み得る。
【0219】
様々な実施形態において、先に述べたように、領域1010及び1020における表示は動的に更新されることができ、この場合、システムは、双極子密度の分布を、双極子密度及び/又は測定電圧の経時的変化に対応してこれらの視覚特性を変えることにより動的に更新する。視覚特性の変更は、双極子密度1012及び/又は電圧測定情報1022の描示された分布の少なくとも一部の色、強度、色相及び形状の少なくとも1つを変えることを含み得る。ディスプレイスクリーン上での双極子密度1012の分布の電子的描示は、先に述べたように、少なくとも1つの電極を用いてリアルタイムで得られた電圧測定値に応答して、リアルタイムで行われ得る。ディスプレイスクリーン上での双極子密度の分布の電子的描示が、少なくとも1つのコンピュータメモリに記憶された電圧測定値に基づいた事後処理及び/又は事後分析として行われてもよい。
【0220】
ディスプレイ1000は、ユーザの相互作用に応答する1以上のグラフィック制御部1040を含むことができ、これにより、ユーザの、ディスプレイとの相互作用を、例えば、領域1010及び1020、並びに、関連する二次的領域(存在すれば)に表示された情報と同一の時間尺度で記録できる。例えば、システムは、ディスプレイ1000と相互作用するユーザから音声入力を受信するように構成され得る。記録及び/又は保存され得る入力は、テキスト入力、音声入力、及びグラフィック入力(又は相互作用)を含み得るがこれらに限定されない。このような場合、施術者用のメモボックス1042が、ユーザによる文字入力のために含まれ得る。また、音声入力制御部1044が音声入力のオン/オフ部に含まれ得る。制御部1030を使用して、双極子密度の分布のディスプレイスクリーン上での経時的な描示の再生、逆送り、及び早送りを、記録された任意のユーザ相互作用と共に行うことができる。
【0221】
図11は、本発明の態様による、1以上の装置で生成され得る双極子及び/又は表面電荷密度情報のユーザインタフェースディスプレイ1100の別の実施形態である。また、
図11のディスプレイは、
図10のディスプレイの双方向制御又は特徴のいずれも含み得る。ディスプレイ1100は、心臓の1以上の表面での生理活動の1以上の解剖学的ビューを含む領域1110を含む。これらのビューは、例えば、図面左側の右前斜位(RPO)ビュー、及び、図面右側の左前斜位(LAO)ビューである。
【0222】
好ましい実施形態において、領域1110の解剖学的画像は、変化するソースデータ及び/は又フィールドデータのセットを含み、これらは3次元空間で心臓表面と相関され且つその大きさがカラーマップを用いて識別される。あるいは、又は加えて、データは、その他のグラフィック特性、例えば、コントラスト、輝度、色相及び/又は飽和レベルにより識別され得る。値を識別するこれらのマップは、フィールドデータ(例えば電圧データ)及び/又はソースデータ(例えば双極子密度又は電荷密度データ)の大きさを、例えば、各ビューにおける同一時点で同時に(例えばオーバーレイにより)あるいは、順次(例えば、図を切り替えることにより)表すことができる。幾つかの実施形態において、
図10に関して上述したように、心臓画像もフィールドデータ及び/又はソースデータと共に、同時に又は順次に示される。心臓画像は、静的心臓画像(例えば、フィールド情報及び/又はソース情報がその上に表示された心収縮末期又は拡張期末期の心臓画像)、あるいは、動的心臓画像(例えば拍動している心臓画像)を含み得る。静的又は動的心臓画像は、例えば、本発明の超音波トランスデューサから受信した信号に基づいて更新される画像として定期的に更新され得る。
【0223】
幾つかの実施形態において、フィールド情報(例えば、電圧情報)とソース情報(例えば、双極子密度又は表面電荷密度情報)とは、例えば、電圧データが「最下層」として表示され且つ双極子密度データが部分的に透明に電圧データの「上に」表示されるときにオーバーレイされる。このオーバーレイは、重ね合わされる色を混合する(「色素ベース混合」)アルゴリズム、又は、その他の方法、例えば、輝度、コントラスト若しくはその他の技術に影響を与える方法など、コンピュータによる色操作及び画像処理の当業者に公知の方法を用いて行われ得る。操作者の指示若しくは入力、又は、コンピュータ(例えば
図6に示した心臓情報ディスプレイコントローラ650)により測定された状態の存在に応答して、様々な層のオン/オフ、切り替え、カラースキームの修正、ビューの変更などが可能である。各ビューの制御又は変更は、独立に行われても、あるいは、関連ペアとして一緒に行われてもよい。各画像1111A、1111Bの隣に、参照アイコン1112A、1112Bの3Dフレームが表示されており、これにより、提示される心臓画像の向き(例えば、前方、後方、中央、側方、及びこれらの組合せ、画像診断にて使用される全ての標準的な向き)をユーザが理解するのを補助する。
【0224】
ビューの一方又は両方が、リアルタイム(又は近リアルタイム)の情報を表示でき、これらの情報は、ビューに表示されるか又はその他で使用されるソース情報及び/又はフィールド情報の変化に応答して動的に変化し得る。例えば、両方のビューに表示される情報は、表示されたソース情報及び/又はフィールド情報(例えば、電圧、双極子密度、表面電荷密度、温度、pHなど)の、測定、検出、又は算出された変化に応答して動的に変化し得る。このような変化を、ビューに使用される色、色相、強度、動的パターンなどを変えることで表現できる。
【0225】
この実施形態において、解剖学的な心臓ビューと連動して、心臓の電気的活動を表す心電図(EKG又はECG)がEKG領域1120に表示される。様々な実施形態において、EKG領域1120と解剖学的画像1111A,1111Bとは共に動的に変化し得る。EKG領域1120は、心臓の電気的活動を線追跡に変換してディスプレイに示す。様々な実施形態において、EKG領域1120は、ユーザによりオン/オフされ得る。
【0226】
この実施形態において、ディスプレイは、本発明の超音波トランスデューサ、電極及び/又は他のセンサから収集したデータを含む2つの表1132及び表1134を含む。データ(表1132に示すような)は、心室又はシステムの全体(定量的データ)を示し得る。また、ユーザ(例えば医師)により選択されたカーソル位置又は領域に特有のデータ(表1134に示されているような)も示し得る。この選択は、例えば、カーソルでボックスを描くことにより、又は、
図11のカーソルC(+)のようにカーソルを画像上に置くことにより行われる。
【0227】
幾つかの実施形態において、ディスプレイ1110は領域1121をさらに含む。領域1121は、本発明の超音波トランスデューサ、電極及び/又は他のセンサ(例えば、上述の
図5Cの超音波トランスデューサ551、電極541)の1以上により提供される情報を提供するように構成され得る。領域1121は、様々な患者情報、例えば、本明細書に記載したように算出された患者情報(本文以下「算出情報」)を提供できる。幾つかの実施形態において、領域1121は、患者の生理パラメータに関連した量的及び/又は質的な患者情報を含み、これらは、センサ情報により決定された(例えば、センサ情報の数学的処理により決定された)算出情報を含む。算出情報は、以下から成る群から選択された患者情報を含み得る。すなわち、心室容積、心臓壁厚、平均心臓壁厚、心室寸法、駆出率、心拍出量、心血流量、心筋収縮能、心臓壁運動、その他の心機能情報、心臓表面部位の電圧、心臓表面部位での双極子状態、及びこれらの組合せである。これらの実施形態において、電圧及び/又は双極子情報が、1以上の電極により記録された信号から算出され得る。これらの実施形態において、1以上の超音波トランスデューサからの信号を利用して心臓の幾何学情報を決定できる。1以上の超音波トランスデューサからの信号を分析することにより、心室容積、平均心臓壁厚、心室寸法、駆出率、心拍出量、心血流量、心筋収縮能、心臓壁運動、電圧、双極子状態、及び心臓壁厚のレベル又は状態を決定できる。超音波トランスデューサにより記録された情報は、心臓の室及び壁部の幾何学的形状を動的に画定するために用いられることができ、また、1以上のアルゴリズムが、これらの心臓パラメータの定量的尺度を作成するために含まれることができ、以下の測定要素の必要性をなくす。すなわち、心臓壁運動(例えば異常な壁運動)を測定するための経食道エコー及び/若しくは経胸壁エコー(TTE/TEE)並びに/又は心腔内エコー(ICE)、心筋収縮能、心拍出量、及び/又は一回仕事量を測定するための機能的MRI、代謝性能を測定するための陽電子放出断層撮影(PET Scan)及び/又は単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT Scan)、心拍出量を測定するための熱希釈カテーテル及び/又はインピーダンス容積測定カテーテル、及び/又はこれらの組合せである。幾つかの実施形態において、領域1121は、血圧、心拍数、心周期長、パルスオキシメトリ、呼吸数、及びこれらの組合せから成る群から選択される患者情報を提供する。幾つかの実施形態において、領域1121及び/又はディスプレイ1110のその他の領域に提供される情報は、比較的連続的に経時的に(例えば少なくとも10秒毎に)更新される。幾つかの実施形態において、領域1121は心臓画像を含み、そして、以上に列挙したような心臓情報が心臓画像に関連して表示され得る(例えば、関連する心壁に関して心壁厚が表示され、関連する心室内の心室容積が表示されるなど)。幾つかの実施形態において、定量的情報は、数値形式(すなわち1以上の数字を含むディスプレイ1110のグラフィック要素)で表示される。あるいは、又は加えて、定量的情報を、1以上のグラフィック要素、(例えば、折れ線グラフ、棒グラフ、及び/又は円グラフ)で示すことができる。幾つかの実施形態において、領域1121及び/又はディスプレイ1110のその他の領域にて提示される情報は、周期的ベースで、例えば、1分毎に1回、5分毎に1回、又は10分毎に1回更新される。領域1121に提示される情報は、経時的に収集された情報に基づいた算出情報(例えば、合計、平均化、積分、微分、及び/又は、その他の方法で1以上のアルゴリズムにより数学的に処理された患者情報)であり得る。患者情報は、ソース情報(例えば、表面電荷密度情報の双極子密度)を含み得る。幾つかの実施形態において、1以上のアルゴリズムが、1以上の患者パラメータの平均値、中央値、最大レベル、最小レベルを見つけ出す。幾つかの実施形態において、1以上のアルゴリズムが、算出情報又は他の患者情報を閾値と比較して算出情報を生成する。例えば、特定のパラメータのレベルが閾値を超えている(例えば、最大閾値を上回っているか又は最小閾値を下回っている)場合、システムは新しい状態(例えばアラート状態)に入り得る。幾つかの実施形態において、閾値を超えた後、既に表示されている患者情報の外観が変化し得る。これらは、色の変化(例えば赤に変化)及び/又はフォントの変化(イタリック体又はボールド体に変化)などである。あるいは、又は加えて、閾値を超えたことをシステムの操作者(例えば医師)に知らせるためにアラート(例えば、可聴アラート又は触覚アラート)が作動され得る。
【0228】
ここで
図12を参照すると、心臓のモデルを生成し、且つ心臓情報のグラフィック表示をディスプレイスクリーン上に提示するための方法の実施形態のフローチャートが示されている。方法1200は、ディスプレイスクリーン上の心臓画像に関するソース情報(例えば、双極子密度情報及び/又は表面電荷密度情報)を表示するステップを含む。その他の情報、例えばフィールド情報(例えば、同一又は異なる心臓部位に関する電圧情報又は他のフィールド情報)が、並べた配置で、重ね合わせた配置で、及び/又は、情報の2つのセットを同一場所で連続的に示す(例えば前後に切り替える)配置(交互配置)で表示できる。幾つかの実施形態において、1以上の心臓パラメータが、上記の本発明のシステム及び装置を利用して定量化され、又はその他の方法で決定される。決定される心臓パラメータは、心臓寸法(例えば、心室容積又は心臓壁厚)、心臓機能パラメータ(例えば、駆出率又は心拍出量)及び/又は、心臓健康を含み得る。
【0229】
ステップ1210において、本発明のカテーテルの遠位端が、1以上の身体部位、例えば患者の1以上の心室内に配置される。カテーテルは、少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの超音波素子を備えている。カテーテルは、カテーテルの遠位部分に配置された1以上の電極を含み、これらの電極は、組織の電気的活動を記録し且つ/又はアブレーションエネルギーを送達するように構成されている。ステップ1220において、解剖学的情報、例えば組織の部位、組織の運動、組織の厚さ及び/又は組織の輪郭に関する情報が、少なくとも1つの超音波素子(典型的には、上述のように超音波を送受信するように構成された素子)を介して測定され得る。あるいは、又は加えて、位置及び/又は距離情報、例えば、1以上の装置部品及び/又は組織部位に関する位置及び/又は距離情報が記録され得る。ステップ1230において、1以上の組織部位に関するソース情報を、少なくとも1つの電極を介して測定でき(例えば、心室上及び/又は心室内の複数部位から読み取った電圧を記録することにより)、また、ソース情報を算出できる(例えば、上述のように双極子密度情報及び/又は表面電荷密度情報を算出する)。ステップ1220とステップ1230とは、同時に行われても、又は逐次的に行われても、完全な若しくは部分的ステップで行われても、また、どのような順番で実行されてもよい。ステップ1220とステップ1230とのいずれか又は両方を、2つ以上の別々の時間に行うことができる。
【0230】
ステップ1240において、少なくともソース情報が、システムの操作者に、例えばディスプレイスクリーンを介して又は書面形態で提供される。幾つかの実施形態において、心臓の静的画像(例えば、収縮末期又は拡張末期の画像)に関する情報が提供される。あるいは、又は加えて、完全な一心周期又は複数の心周期を示す動的な心臓画像のセットを作成できる。これらは、患者の一連の治療処置(例えば、心房細動などの不整脈の治療に行われる心臓アブレーション処置)の全体にわたり作成される。動的なソース情報のセットをディスプレイスクリーン上に、動的な心臓画像のセットと同時に表示できる。幾つかの実施形態において、ソース情報、フィールド情報、心臓画像情報、及び/又は心臓パラメータ情報は、メモリ、例えば、上述の
図6のメモリ680に記憶される。これらの実施形態において、記憶されている情報の再生を、ディスプレイスクリーンを介して操作者に提供できる。
【0231】
幾つかの実施形態において、記録された超音波反射及び電荷情報のさらなる解析が行われる。さらなる解析は、以下から成る群から選択される心臓パラメータを決定することを含み得る、すなわち、心室容積、心臓壁厚、平均心臓壁厚、心室寸法、駆出率、心拍出量、心血流量、心筋収縮能、心臓壁運動、その他の心機能情報、心臓表面部位の電圧、心臓表面部位の双極子状態、及びこれらの組合せである。これらの各々を操作者にディスプレイスクリーン上で提示できる(例えば、心臓の特定の組織部分に関する情報が提供され、例えば、特定の心臓壁に関して壁厚情報が提供される)。あるいは、又は加えて、さらなる解析は、組織部の診断及び/又は予後診断の作成を含むことができ、それらも同様に操作者にディスプレイスクリーン上で提示され得る(例えば、心臓の特定の組織部分に関する情報が提供され、例えば、特定の心臓壁に関して心臓壁運動情報が提供される)。
【0232】
例えば、電気的情報が適正な電気的活動を示し、且つ解剖学的情報が適正な組織運動を示す場合、健常組織の存在と相関し得る。また、電気的情報が適正な電気的活動を示し、且つ解剖学的情報が不適正な組織運動を示す場合、虚血組織又は仮死組織の少なくとも一方の存在と相関し得る。反対に、電気的情報が不適正な電気的活動を示し、且つ解剖学的情報が適正な組織運動を示す場合、瘢痕化組織の存在と相関し得る。さらに、電気的情報が不適正な電気的活動を示し、且つ解剖学的情報が不適正な組織運動を示す場合、完全アブレーションの存在と相関し得る。完全アブレーションは、例えば、不整脈治療のために行われた心臓アブレーションにおけるアブレーション(例えば、心房細動の治療のための少なくとも左心房の組織の焼灼)である。幾つかの実施形態において、完全アブレーションは貫壁性アブレーションを含む。この用途において、ディスプレイスクリーン上に提示される診断及び/又は予後診断が、患者の心臓組織内の貫壁性損傷形成の確認を含み得る。これは、例えば、組織運動及び電気的活動の両方がなくなってしまったか又は閾値よりも低下してしまった場合である。
【0233】
より詳細には、以下の4つのケースが存在すると判断できる、
ケース1:電気的及び解剖学的に適正 ―組織は健全である、
ケース2:電気的に適正で解剖学に不適正 ―組織に損傷あり、
ケース3:電気的に不適正で解剖学的に適正 ―組織に損傷あり、
ケース4:電気的及び解剖学的に共に不適正 ―組織壊死がある。
【0234】
心臓の任意の1つの領域の電気的機能の適切性を判断するための実際の閾値は、活性化されている細胞の活性化パターンと質量との調和度を含む多くの因子に依存する。そしてこの閾値は、心臓の各室によっても、また患者の身体の大小によっても異なる。例えば、0.5mVの閾値が適切である場合、0.5mV未満の電位は、電気的機能が不適正であると示すであろう。0.5mV以上の電位は、電気的機能が適正であると示すであろう。幾つかの実施形態において、閾値は、本発明のシステムの1以上の制御部を介して調整可能である。
【0235】
幾つかの実施形態において、組織診断アルゴリズムは、医師が心臓細胞の電気的完全性を評価することを可能にするように構成され得る。例えば、心臓細胞の機能状態を評価できる。一実施形態において、電気的情報は双極子密度情報を含む。あるいは、又は加えて、電気的情報は、再分極情報又は再分極速度情報の少なくとも一方を含み得る。
【0236】
幾つかの実施形態において、組織診断アルゴリズムは、1以上の超音波トランスデューサ(例えば、本発明のアレイ上の1以上の超音波トランスデューサ)からの記録を利用して、心臓の幾何学的形状の変化を示す算出情報を生成する。算出情報は心筋収縮能の測定値を示すことができ、そして、不都合なレベルの心筋収縮能及び/又は心収縮能縮性の変化が認識されてディスプレイ上に提示され得る。算出情報は、1以上の心室の容積の測定値を示すことができ、そして、不都合なレベルの心室容積及び/又は心室容積の変化(例えば、心房細動治療中に起こり得る左心房肥大)が認識されてディスプレイ上に提示され得る。多数の形態の患者情報を、例えば、患者情報の経時的な変化の測定値を生成する算出を介して評価できる。
【0237】
ステップ1210〜ステップ1230で収集された情報、及び/又は、収集された情報から導出された若しくはこれらの情報に基づいてその他の方法で算出された情報は、例えば、
図11のディスプレイ1110の領域1121又は別の領域が、収集され且つ/又は算出された情報を含む場合に操作者に提示され得る。
【0238】
本発明の方法は、さらに、心臓組織を焼灼するか又は他の方法で処置する任意選択的なステップ1250を含む。この処置は、例えば、ソース情報、組織診断情報、及び/又は、ディスプレイスクリーン上に提示されるその他の情報に基づいて行われるアブレーションである。例えば、解剖学的情報が組織厚情報を含み、アブレーションエネルギーの大きさ、又は、アブレーションエネルギーが送達される時間期間の少なくとも一方が、1以上の超音波センサにより記録された組織厚情報に基づいて調整される。あるいは、又は加えて、1以上のその他の治療処置が実行され得る。これらの治療処置において、様々な算出情報及び/又は収集情報(例えば、解剖学的、生理的、治療装置、及び/又は治療処置の情報)が操作者に、例えば、領域1121又は
図11のディスプレイ1100の別の領域が収集情報及び/又は算出情報を含む場合に提供できる。これらの情報は、組織厚情報、組織収縮性情報、組織密度情報、組織温度情報、治療装置部品の温度情報(例えば電極の温度)、エネルギー送達期間の情報、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。幾つかの実施形態において、情報の変化は、情報を表示する方法の変化により反映される。例えば、組織領域に関する密度情報が、その組織領域のアブレーション中に、灰色又はその他の色から、白色又はその他の灰色でない色に変化する。
【0239】
最良の態様及び/又はその他の好ましい実施形態と考えられるものを以上に記載してきたが、これらに様々な改変が行われ得ること、発明が様々な形態及び実施形態で実施され得ること、そして、それらを多数の用途に適用でき、本明細書に記載されたのはそれらの幾つかのみであることが理解されよう。以下の特許請求の範囲は、各請求項の範囲に含まれる全ての改変及び変更も含め、文字通りに説明されたもの及びその均等物の全てを権利請求することを意図している。