(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739369
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】カメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20200730BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20200730BHJP
G02B 7/08 20060101ALI20200730BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20200730BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
H04N5/232 120
G02B7/02 C
G02B7/08 Z
H04M1/02 G
H04N7/18 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-14639(P2017-14639)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-125618(P2018-125618A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 空
(72)【発明者】
【氏名】山下 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康喜
(72)【発明者】
【氏名】久米 一典
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 一徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 益典
(72)【発明者】
【氏名】世古 将寛
【審査官】
▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−198103(JP,A)
【文献】
特開平10−136349(JP,A)
【文献】
特開平07−274055(JP,A)
【文献】
特開昭60−139075(JP,A)
【文献】
特開2006−101488(JP,A)
【文献】
特開2001−184449(JP,A)
【文献】
特開2008−292541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−257
G02B 7/02
G02B 7/08
H04M 1/02
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、前記レンズを保持する円筒状の鏡筒と、前記鏡筒の後部と螺合して前記鏡筒を支持するレンズホルダーと、前記レンズホルダーの後側に配置される回路基板とを備えたカメラを有するインターホン機器に対し、前記鏡筒を回転させる鏡筒回転器と、前記鏡筒と前記レンズホルダーとを固着する固着器と、前記鏡筒回転器や前記固着器の動作を制御するとともに前記カメラのフォーカスの調整に係る判定を行う制御部とを有する調整装置により、前記鏡筒を回転させ、前記鏡筒の前記レンズホルダーへの螺合度合いを調整することによって前記カメラのフォーカスを調整するためのカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法であって、
前記カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込む第1工程と、
前記鏡筒を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ前記画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数で評価値を随時算出するとともに、前記評価値と予め設定されている閾値とを比較し、前記評価値が前記閾値を下回っている間は、前記鏡筒の所定方向への回転及び前記評価値の算出を継続する第2工程と、
前記評価値が前記閾値以上になったことをもって、前記鏡筒の回転を停止させ、合焦していると判定する第3工程と、
合焦していると判定したことをもって、前記鏡筒と前記レンズホルダーとを固着する第4工程と
を実行することを特徴とするカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法。
【請求項2】
前記第1工程よりも前に、前記カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込み、前記鏡筒を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ前記画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数で評価値を随時算出するとともに、前記評価値が増加している間は、前記鏡筒の所定方向への回転及び前記評価値の算出を継続し、前記評価値が減少へ転じたことをもって、減少直前の前記評価値を前記閾値として設定する前工程を実行することを特徴とする請求項1に記載のカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法。
【請求項3】
前記レンズホルダーの前記鏡筒との螺合箇所に、前記鏡筒の螺合部を露出させる切り欠き部が設けられているとともに、前記調整装置に、前記固着器として接着剤を吐出する接着剤吐出器が備えられており、
前記第4工程において、前記切り欠き部へ向けて前記接着剤を吐出させることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン子機等といったカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン機器の一例であるインターホン子機には、来訪者等を撮像するためのカメラが備えられることがある。そして、そのようなカメラ付きインターホン子機としては、たとえば特許文献1に開示されているものがあり、レンズを保持するレンズ鏡枠とレンズホルダーとが螺合されてレンズユニットとされ、当該レンズユニットが本体ケース内に設置されていた。また、レンズユニットの設置後、レンズホルダーに対するレンズ鏡枠の螺合度合いを調整することによりフォーカスを調整し、レンズの焦点位置を所望の合焦位置に合わせていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−93648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、フォーカスの調整は作業者の経験によっていたため、調整作業に時間がかかる上、どうしても作業者毎に差が出てしまうため、製品毎で品質がばらつきやすいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、カメラのフォーカスの調整時間を短縮することができる上、製品毎で品質にばらつきがでにくいカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、レンズと、レンズを保持する円筒状の鏡筒と、鏡筒の後部と螺合して鏡筒を支持するレンズホルダーと、レンズホルダーの後側に配置される回路基板とを備えたカメラを有するインターホン機器に対し、鏡筒を回転させる鏡筒回転器と、鏡筒とレンズホルダーとを固着する固着器と、鏡筒回転器や固着器の動作を制御するとともにカメラのフォーカスの調整に係る判定を行う制御部とを有する調整装置により、鏡筒を回転させ、鏡筒のレンズホルダーへの螺合度合いを調整することによってカメラのフォーカスを調整するためのカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法であって、カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込む第1工程と、鏡筒を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数で評価値を随時算出するとともに、評価値と予め設定されている閾値とを比較し、評価値が閾値を下回っている間は、鏡筒の所定方向への回転及び評価値の算出を継続する第2工程と、評価値が閾値以上になったことをもって、鏡筒の回転を停止させ、合焦していると判定する第3工程と、合焦していると判定したことをもって、鏡筒とレンズホルダーとを固着する第4工程とを実行することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1工程よりも前に、カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込み、鏡筒を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数で評価値を随時算出するとともに、評価値が増加している間は、鏡筒の所定方向への回転及び評価値の算出を継続し、評価値が減少へ転じたことをもって、減少直前の評価値を閾値として設定する前工程を実行することを特徴とする。
請求項1及び2に記載の発明によれば、カメラのフォーカスの調整に係り作業者の経験によらなくてすむため、調整作業にかかる時間を短縮することができる上、フォーカスの精度に関して一定品質の製品を容易に供給することが可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、レンズホルダーの鏡筒との螺合箇所に、鏡筒の螺合部を露出させる切り欠き部が設けられているとともに、調整装置に、固着器として接着剤を吐出する接着剤吐出器が備えられており、第4工程において、切り欠き部へ向けて接着剤を吐出させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、切り欠き部を接着剤の吐出の目標とすることができ、接着剤による鏡筒とレンズホルダーとの固着が安定する上、たとえば鏡筒とレンズホルダーとの固着具合を目視等で確認しやすいといったメリットもある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラのフォーカスの調整に係り作業者の経験によらなくてすむため、調整作業にかかる時間を短縮することができる上、フォーカスの精度に関して一定品質の製品を容易に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】インターホン子機に備えられたカメラのフォーカスを調整するための調整装置のブロック構成図である。
【
図2】インターホン子機を前面側から示した説明図である。
【
図3】インターホン子機の鉛直断面を示した説明図である。
【
図4】レンズホルダーを示した説明図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は斜視説明図である。
【
図5】鏡筒を示した説明図であって、(a)は斜視説明図、(b)は側面図である。
【
図6】調整用の図として使用する3条線図チャートを示した説明図である。
【
図7】コントラスト値及び評価関数の特性を示した説明図である。
【
図8】カメラのフォーカスの調整に係るフローチャート図である。
【
図9】カメラのフォーカスの調整に係るフローチャート図である。
【
図10】カメラのフォーカスの調整に係るフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるカメラを有するインターホン子機におけるカメラのフォーカスの調整方法及び調整装置について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン子機1に備えられたカメラのフォーカスを調整するための調整装置31のブロック構成図である。
図2は、インターホン子機1を前面側から示した説明図であり、
図3は、インターホン子機1の鉛直断面を示した説明図である。
図4は、レンズホルダー12を示した説明図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は斜視説明図である。
図5は、鏡筒11を示した説明図であって、(a)は斜視説明図、(b)は側面図である。
【0012】
まず、インターホン子機1について説明すると、インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、後側に配置される後ケース3とで構成される本体ケースを有しており、この本体ケースの前面上部には、カメラ窓4が開設され、該カメラ窓4内にレンズ5が露出するように、カメラが本体ケース内に設置されている。また、カメラ窓4の右側には、通話のためのマイク部7が設けられている。さらに、本体ケースの前面下部には、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン8と、通話のためのスピーカ部9とが設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン8が操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラを作動させて来訪者を撮像する。なお、カメラにより撮像された映像は、インターホン親機に備えられているモニタに表示される。また、本体ケースには、カメラの前方を覆うようにレンズカバー10が取り付けられる。
【0013】
カメラは、レンズ5、レンズ5を保持する鏡筒11、鏡筒11を支持するレンズホルダー12、及び撮像素子(図示せず)等が搭載された回路基板13を備えてなる。レンズホルダー12は、基台となるベース部21の所定位置に、前方へ突出する円筒部22が設けられてなる。そして、円筒部22の内面には雌ねじ部(
図4では省略している)が設けられており、当該円筒部22が鏡筒11を支持する支持部として機能するようになっている。また、円筒部22の先端部には、一対の切り欠き23、23が設けられており、鏡筒11を支持させた際、切り欠き23、23内に鏡筒11の後述する雄ねじ部15の一部が露出するようになっている。一方、鏡筒11は、前後方向へ延びて前後に開口する円筒状に形成されており、内部にレンズ5を収納し、レンズ5の一部を前面から露出させた状態で保持可能となっている。また、鏡筒11の後部周面には、レンズホルダー12の雌ねじ部へ螺入可能な雄ねじ部15が設けられている。なお、24は、レンズホルダー12と回路基板13とを一体化するためのネジ止め部である。
【0014】
そして、上述の如く構成されるカメラを組み立てるに際しては、レンズ5を鏡筒11に保持させた後、鏡筒11の雄ねじ部15をレンズホルダー12の雌ねじ部へねじ込み、鏡筒11とレンズホルダー12とを一体化する。そして、ネジ止め等してレンズホルダー12と回路基板13とを一体化すればよい。また、カメラを組み立てた後、レンズ5の焦点位置を所望の合焦位置に合わせるためには、鏡筒11のレンズホルダー12に対する螺合度合いを調整することになる。
【0015】
ここで、本発明の要部となるインターホン子機1におけるカメラのフォーカスを調整するための調整方法、及び調整装置31について説明する。
調整装置31は、カメラにより撮像された画像データが入力される画像入力部32、鏡筒11のレンズホルダー12に対する螺合度合いを調整するための鏡筒回転器33、所定の螺合度合いで鏡筒11とレンズホルダー12とを固着するための接着剤吐出器34、鏡筒回転器33や接着剤吐出器34を作動させるための駆動部35、及び入力された画像データをもとにフォーカスの調整度合いを判断するとともに、駆動部35の動作を制御する制御部36を備えてなる。鏡筒回転器33は、たとえば先端がレンチの如く形成され、鏡筒11の先端部近傍を把持可能な把持部と、鏡筒11を把持したまま把持部を回転させるための回転駆動部とを備えている。また、接着剤吐出器34は、接着剤が吐出される吐出口をレンズホルダー12の切り欠き23へ向けた姿勢で設置されており(すなわち、切り欠き23を接着剤を吐出する目標としている)、
図1はブロック構成図であるため1つしか記載していないが、実際は切り欠き23の数に合わせて2台備えられている。
【0016】
そして、上記調整装置31では、
図8〜
図10に示すフローチャート図にしたがってカメラのフォーカスを調整する。
すなわち、まずカメラの前側の決められた位置にフォーカス調整用の図を配置し、当該図をカメラで撮像した画像データを画像入力部32から取り込む(S1)。このフォーカス調整用の図としては、たとえば
図6に示すような所謂3条線図チャートを利用すればよい。また、画像データの中心領域でのコントラスト値Ca、周辺領域(たとえば右上隅部と左下隅部との2領域等)でのコントラスト値Cbとから、下記式(1)で示す評価関数Ctotalにより評価値を求める(S2)。コントラスト値Ca、Cbについては、各領域において画素毎に隣り合う画素との信号値の差を求め、その差の絶対値が大きい上位複数箇所の平均値をコントラスト値Ca、Cbとする。そして、評価関数Ctotalでの評価値にもとづきフォーカスが合ったか否か、すなわち合焦したか否かを判定し(S3)、合焦したと判定する(S3でYES)と、接着剤吐出器34から接着剤を吐出させ、合焦した状態のまま鏡筒11とレンズホルダー12とを固着する(S4)。一方、合焦していないと判定する(S3でNO)と、鏡筒11を回転させ(S5)、評価関数Ctotalにより評価値を求める(S2)。
Ctotoal = Ca + α*Cb ・・・(1)
なお、αは比例係数である。
【0017】
また、調整作業に先立ち、評価値にもとづいて合焦したか否かを判定する際に使用する閾値を設定するための前工程を実行する。この前工程においては、まず鏡筒回転器33を駆動させて、鏡筒11を所定方向(ここでは、
図7中の+方向であって、螺入度合いが大きくなる方向)へ回転させつつ(S11)、評価関数Ctotalでの評価値を随時算出する。すると、当初、
図7に示すように評価値は増加する筈であるため、評価値が増加している否かを判定し(S12)、増加している(S12でYES)間は、評価関数Ctotalの最大値を更新する(S13)。ただ、
図7に示すように評価値はピークを超えると減少に転じるため、評価関数Ctotalの値が減少に転じた(S12でNO)タイミングで、鏡筒回転器33の駆動を停止して鏡筒11の回転を停止させ(S14)、減少直前の評価値を閾値として記憶する(S15)。
【0018】
そして、調整作業に関しては、鏡筒回転器33を駆動させて、鏡筒11を所定方向へ回転させつつ(S21)、評価関数Ctotalでの評価値を随時算出する。また、評価値が上述の如くして設定された閾値以上になったか否かを判定し(S22)、評価値が閾値を下回っている(S22でNO)間は、鏡筒11を所定方向へ回転させ続ける。そして、評価値が閾値以上になる(S22でYES)と、鏡筒回転器33の駆動を停止して鏡筒11の回転を停止させる(S23)とともに、当該状態で合焦したと判定する(S24)。なお、所定時間経過しても評価値が閾値に到達しないと、不良品として処理するようにしてもよい。
【0019】
以上のようなインターホン子機1におけるカメラのフォーカスの調整方法によれば、鏡筒回転器33や接着剤吐出器34を有する調整装置31により、カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込む第1工程と、鏡筒11を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数Ctotalで評価値を随時算出するとともに、評価値と予め設定されている閾値とを比較し、評価値が閾値を下回っている間は、鏡筒11の所定方向への回転及び評価値の算出を継続する第2工程と、評価値が閾値以上になったことをもって、鏡筒11の回転を停止させ、合焦していると判定する第3工程と、合焦していると判定したことをもって、鏡筒11とレンズホルダー12とを固着する第4工程とを実行する。また、このような調整作業に先立って、カメラにより所定の調整用の図を撮像し、その画像データを取り込み、鏡筒11を所定方向へ回転させつつ、取り込んだ画像データの所定領域におけるコントラスト値にもとづいた所定の評価関数で評価値を随時算出するとともに、評価値が増加している間は、鏡筒11の所定方向への回転及び評価値の算出を継続し、評価値が減少へ転じたことをもって、減少直前の評価値を閾値として設定する前工程を実行する。したがって、カメラのフォーカスの調整に係り作業者の経験によらなくてすむため、調整作業にかかる時間を短縮することができる上、フォーカスの精度に関して一定品質の製品を容易に供給することが可能となる。
【0020】
また、鏡筒11を支持するためのレンズホルダー12に設けられた円筒部22の先端部に、一対の切り欠き23、23が設けられており、鏡筒11を支持させた際、切り欠き23、23内に鏡筒11の雄ねじ部15の一部が露出するようにしているとともに、接着剤吐出器34を、接着剤が吐出される吐出口をレンズホルダー12の切り欠き23へ向けた姿勢で設置しており、切り欠き23を接着剤を吐出する目標としている。したがって、接着剤による鏡筒11とレンズホルダー12との固着が安定する上、たとえば鏡筒11とレンズホルダー12との固着具合を目視等で確認しやすいといったメリットもある。
【0021】
なお、本発明に係るカメラ付きインターホン機器におけるカメラのフォーカスの調整方法は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、たとえばインターホン機器の全体的な構成は勿論、フォーカスの調整に係る制御等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、上記実施形態では、レンズホルダー12の円筒部22の先端部に一対の切り欠き23、23を設けているが、切り欠き23の数は適宜変更可能であるし、先端部ではなく、中央部にスリット状の切り欠き部を設けるとしてもよい。
また、接着剤としては、たとえばUV硬化型の接着剤を用いるとし、接着剤吐出器に加えてUV照射器を別途設けるとしてもよい。他にも熱硬化型の接着剤を用い、熱照射器を別途設けるとしてもよい。さらに、嫌気型の接着剤を用いるとしても何ら問題はない。
【0023】
さらにまた、鏡筒11とレンズホルダー12とを固着するにあたり、上記実施形態では接着剤を用いるとしている(すなわち、固着器を接着剤吐出器としている)が、鏡筒11やレンズホルダー12が合成樹脂製であると、螺合箇所に固着器となる熱溶着治具を圧着させることにより、鏡筒11とレンズホルダー12とを固着するように構成することも可能である。
またさらに、上記実施形態ではインターホン子機について説明しているが、カメラを有していれば、他のインターホン機器であっても本発明に係る調整方法でカメラのフォーカスを好適に調整することができる。
なお、どのような調整用の図を用いるか、調整用の図のどの箇所のコントラスト値をもとに評価関数を求めるか、何か所のコントラスト値をもとに評価関数を求めるか、そして評価関数における比例係数をどのような係数とするかについては、言うまでもなく適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0024】
1・・インターホン子機、11・・鏡筒、12・・レンズホルダー、22・・円筒部、23・・切り欠き、31・・調整装置、32・・画像入力部、33・・鏡筒回転器、34・・接着剤吐出器、35・・駆動部、36・・制御部。