(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顧客毎に顧客IDを含む購買及び/又は行動情報を蓄積格納する購買行動情報データベースを備える第1の事業者システムと、登録された利用者に対してウェブサイトを提供する第2の事業者システムと、から構成され、
前記第1の事業者システムは、
前記第2の事業者システムの前記ウェブサイトの利用者登録を条件として提供される利益情報を、顧客毎に前記顧客IDとは異なるユニークな識別コードを付して複数の顧客に案内し、前記複数の顧客が前記ウェブサイトの利用者登録後に前記利益情報に応募するために専用のウェブサイトで入力する前記識別コードを用いて、前記複数の顧客の購買及び/又は行動情報を前記購買行動情報データベースから抽出してインサイトを行い、前記インサイトの結果に基づいて前記複数の顧客をセグメント化して、前記複数の顧客をそれぞれ前記識別コードに置き換えたセグメント化顧客リストを生成する第1の処理と、
前記複数の顧客について、前記ウェブサイトの利用者登録若しくは前記利益情報への応募後又は前記セグメント化顧客リストの生成後から所定の期間を経過した後に、それらの購買及び/又は行動情報を前記購買行動情報データベースから抽出して再度のインサイトを行い、前記再度のインサイトの結果に基づいて前記複数の顧客を再度セグメント化することにより、前記セグメント化顧客リストを更新する第2の処理と、
前記セグメント化顧客リスト及び/又は前記更新されたセグメント化顧客リストを前記第2の事業者システムに提供する処理と、
を実行することを特徴とする情報収集処理システム。
前記第2の事業者システムは前記識別コードを、前記複数の顧客が前記利益情報に応募するために前記専用のウェブサイトで入力する際に取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報収集処理システム。
前記第2の事業者システムは、前記複数の顧客が前記ウェブサイトの利用者登録をする際に、それぞれ電子メールアドレスを入力させて記憶し、かつ/又はcookieデータを取得する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報収集処理システム。
前記第2の事業者システムは、前記ウェブサイトの利用者登録をした前記複数の顧客に対して、前記電子メールアドレス又は前記cookieデータを用いて情報を送信することができる、ことを特徴とする請求項3に記載の情報収集処理システム。
前記第2の事業者システムは、前記ウェブサイトの利用者登録をした前記複数の顧客に対して、前記電子メールアドレス又は前記cookieデータを用いて情報を配信するための広告配信サーバーを備える、ことを特徴とする請求項4に記載の情報収集処理システム。
前記第1の事業者システムは、前記インサイト並びにその結果、前記セグメント化顧客リスト、前記再度のインサイト並びにその結果、及び更新されたセグメント化顧客リストの少なくとも1つを保存するためのセグメンテーションデータベースを更に備える、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報収集処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の情報処理システムは、複数のデータベースを統合又は結合するために、複雑で面倒な処理が必要である。そのため、高い効果を期待し得る消費者リストを生成するために、多大な労力と時間を要し、コストが高くなる虞がある。
【0007】
特許文献2の販売サービス提供システムは、ユーザーの購入履歴から対象商品の購入頻度に基づいて、特定のサービスを与えるユーザーを選定している。しかしながら、一般に新規の顧客は、その購買履歴、行動情報が実質的に蓄積されていないので、商品を継続的に購入するリピーターを育てることは容易でない。
【0008】
そこで、本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の顧客の購買・行動情報を利用して、新規の顧客を獲得しつつ、自己のブランド商品を継続して購入するリピーターとなるように、その購買行動を効率的に高精度に把握することができ、それによって持続的な売上げの拡大を図り得る情報収集処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報収集処理システムは、顧客毎に顧客IDを含む購買及び/又は行動情報を蓄積格納する購買行動情報データベースを備える第1の事業者システムと、登録された利用者に対してウェブサイトを提供する第2の事業者システムと、から構成され、
前記第1の事業者システムは、
前記第2の事業者システムの
前記ウェブサイトの利用者登録を条件として提供される利益情報を、顧客毎に
前記顧客IDとは異なるユニークな識別コードを付して複数の顧客に案内し、
前記複数の顧客が
前記ウェブサイトの利用者登録後に
前記利益情報に応募するために専用のウェブサイトで入力する
前記識別コードを用いて、
前記複数の顧客の購買及び/又は行動情報を
前記購買行動情報データベースから抽出してインサイトを行い、
前記インサイトの結果に基づいて
前記複数の顧客をセグメント化して、
前記複数の顧客をそれぞれ
前記識別コードに置き換えたセグメント化顧客リストを生成する第1の処理と、
前記複数の顧客について、
前記ウェブサイトの利用者登録若しくは
前記利益情報への応募後又は
前記セグメント化顧客リストの生成後から所定の期間を経過した後に、それらの購買及び/又は行動情報を
前記購買行動情報データベースから抽出して再度のインサイトを行い、
前記再度のインサイトの結果に基づいて
前記複数の顧客を再度セグメント化することにより、
前記セグメント化顧客リストを更新する第2の処理と
、前記セグメント化顧客リスト及び/又は前記更新されたセグメント化顧客リストを前記第2の事業者システムに提供する処理と、を実行す
ることを特徴とする。
【0011】
別の実施形態では、第2の事業者システムは識別コードを、複数の顧客が利益情報に応募するために専用のウェブサイトで入力する際に取得する。
【0012】
また、別の実施形態では、第2の事業者システムは、複数の顧客がウェブサイトの利用者登録をする際に、それぞれ電子メールアドレスを入力させて記憶し、かつ/又はcookieデータを取得する。
【0013】
或る実施形態において、第2の事業者システムは、ウェブサイトの利用者登録をした複数の顧客に対して、電子メールアドレス又はcookieデータを用いて情報を送信することができる。
【0014】
別の実施形態において、第2の事業者システムは、ウェブサイトの利用者登録をした複数の顧客に対して、電子メールアドレス又はcookieデータを用いて情報を配信するための広告配信サーバーとを備える。
【0015】
或る実施形態では、第1の事業者システムにおいて、識別コードは、利益情報の顧客への案内時に顧客IDに紐付けされている。
【0016】
別の実施形態では、第1の事業者システムは、インサイト並びにその結果、セグメント化顧客リスト、再度のインサイト並びにその結果、及び更新されたセグメント化顧客リストの少なくとも1つを保存するためのセグメンテーションデータベースを更に備える。
【0017】
また、別の実施形態において、利益情報は、顧客に付与されるポイント、景品、キャッシュバック、又は無償のサービスの少なくともいずれか1つを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の情報収集処理システムによれば、第1の事業者システムが顧客に行う利益情報の提供を利用して、第2の事業者システムにおけるウェブサイトの新規な利用者登録を促進することができ、それによって第2の事業者にとって新たな顧客を有効に増やすことができる。
【0019】
更に、第2の事業者システムのウェブサイトに新規に利用者登録した顧客の、既存の購買行動情報データベースに蓄積されている購買及び/又は行動情報を抽出してインサイトし、セグメント化した顧客リストを得ることによって、第2の事業者にとって新規の顧客であるにも拘わらず、その購買行動に適したマーケティング施策、ブランディング施策を直ぐに実行することが可能である。しかも、それら新規顧客の購買及び/又は行動情報を追跡することによって、そのインサイト及びセグメント化をより高精度に行うことができる。
【0020】
その結果、顧客の最新の購買行動により適するように、マーケティング施策、ブランディング施策を改善できるので、新規顧客の獲得と優良なリピーターの育成とを同時に進めていくことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明により顧客の購買・行動情報を収集処理するためのシステムについて、その好適な実施形態を用いて詳細に説明する。特に本発明の情報収集処理システムは、効率的に新規の顧客を獲得し、リピーターに育てることを目的としている。
【0023】
図1は、本発明によるシステムの実施形態の構成全体を概略的に示している。本実施形態のシステム10は、第1の事業者システム1と、第2の事業者システム2とから構成され、それらはネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク3には、インターネット又は他の様々な商用ネットワークを、通信相手及び/目的等に応じて適当に用いることができる。
【0024】
第1の事業者システム1及び第2の事業者システム2は、それぞれ第1のウェブサイト及び第2のウェブサイトを開設しており、個人及び法人を含む顧客は、例えばPC(パーソナルコンピューター)4やスマートフォン又はタブレット等のモバイル端末5である自己の電子端末から、ネットワーク3を介してアクセスすることができる。第1の事業者システム1は、多数の実店舗の顧客IDを特定可能なPOS端末(図示せず)に、ネットワーク3を介して通信可能に接続されている。
【0025】
本実施形態において、第1の事業者システム1は、システム10全体を運用管理する事業者である第1の事業者によって運用管理される。
図2に示すように、第1の事業者システム1は、システム管理サーバー11と、購買行動情報データベース12と、セグメンテーションデータベース13とを備える。
【0026】
システム管理サーバー11は、第1の事業者システム1全体の運用を監視し、管理するためのシステム管理部14を有する。更にシステム管理サーバー11は、第1の事業者システム1に収集される顧客の購買情報及び行動情報を処理し、購買行動情報データベース12を管理するための情報処理部15と、セグメンテーションデータベース13を管理するためのセグメンテーション処理部16を備える。
【0027】
更に第1の事業者システム1は、前記第1のウェブサイトを運営管理するためのウェブサイト管理サーバー17と、前記第1の事業者が行うクーポンの発券等を管理するクーポン管理サーバー18とを備える。ウェブサイト管理サーバー17は、前記第1のウェブサイトにおける顧客の閲覧その他の行動情報を収集し、蓄積保存する。クーポン管理サーバー18は、前記POS端末又はウェブサイト上で発行されるクーポンや各種キャンペーンの通知等に反応した顧客の行動情報を収集し、蓄積保存する。
【0028】
情報処理部15は、前記POS端末からシステム管理サーバー11に収集される顧客の購買情報を購買行動情報データベース12に蓄積保存する。ウェブサイト管理サーバー17が収集した顧客の行動情報、及びクーポン管理サーバー18が収集した顧客の行動情報も、システム管理サーバー11に提供され、情報処理部15によって購買行動情報データベース12に蓄積保存される。
【0029】
情報処理部15は、このように収集された顧客の前記購買情報及び行動情報を顧客毎に統合処理し、1つの購買行動情報として一元化した後、購買行動情報データベース12に格納する。顧客の新たな購買及び/又は行動情報が収集されると、情報処理部15は、それに含まれる顧客のID番号を識別して、対応する顧客の購買行動情報に追加する。
【0030】
顧客の購買情報及び行動情報は、顧客毎にそのID番号に基づいて識別可能にして購買行動情報データベース12に格納される。顧客のID番号として、本実施形態では、前記実店舗で顧客が登録する際に発行されるFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)カード、ポイントカード等の会員カードの番号を使用することができる。また、顧客が、前記会員カードの発行時や前記第1のウェブサイトへのアクセス時に自己の電子メールアドレスを登録している場合には、それを該顧客のID番号に紐付けして、その購買行動情報の一部として購買行動情報データベース12に保存しておくことができる。
【0031】
セグメンテーション処理部16は、購買行動情報データベース12から抽出される顧客の購買行動情報を目的に応じてインサイトし、その結果によってセグメント化した顧客リストを生成する。生成したセグメント化顧客リストは、セグメンテーションデータベース13に格納される。購買行動情報データベース12から購買行動情報が抽出される前記顧客の選択は、システム管理部14又はセグメンテーション処理部16が行う。
【0032】
前記インサイト及びセグメント化は、前記第2の事業者のマーケティング、ブランディングの目的に沿って行うことができる。例えば、前記第2の事業者が特定のブランド商品の販売を促進しようとしている場合、該特定のブランド商品及び/又は同じカテゴリーの商品の購入実績、購入金額、購入頻度、購入ルート(実店舗、オンライン通販等)、該特定のブランド商品及び同じカテゴリーの商品に関する嗜好性等に基づいて、顧客をセグメント化することができる。
【0033】
前記インサイトの際に、必要に応じて顧客の他の行動情報を、購買行動情報データベース12からの購買行動情報に統合することができる。統合された顧客の融合購買行動データは、所定のデータ項目により顧客毎に識別可能に構成して、セグメンテーションデータベース13に格納される。前記所定のデータ項目として、例えば顧客のID番号である前記FSPカード番号、顧客がネットワーク4を介して前記第1のウェブサイトにアクセスする際に取得されるcookieデータ、顧客の電子メールアドレス等があるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
購買行動情報データベース12からの前記購買行動情報には、各顧客の実店舗の利用頻度、1回の購入に費やす客単価、決済方法、キャンペーン及びクーポンの利用状況等の購買情報と、前記第1のウェブサイトへのアクセス頻度、PC4及びモバイル端末5の利用率及び利用頻度、モバイル端末5に前記第1のウェブサイトからダウンロードされる専用アプリケーションの利用頻度、顧客に配信されるメールマガジンの開封率、及びプッシュ通知又は他の様々なオンライン通知のクリック率等の行動情報が含まれる。
【0035】
セグメンテーション処理部16における前記インサイト及びセグメント化は、前記第2の事業者のブランディングの目的に沿って行うことができる。例えば、前記第2の事業者が特定のブランド商品の販売を促進しようとしている場合、該特定のブランド商品及び/又は同じカテゴリーの商品の購入実績、購入金額、購入頻度、購入ルート(実店舗、オンラインその他の通販等)、該特定のブランド商品及び同じカテゴリーの商品に関する嗜好性等に基づいて、顧客をセグメント化することができる。
【0036】
この場合、前記セグメント化顧客リストは、後述するように、第1の事業者システム1から第2の事業者システム2に提供される。前記購買行動情報に必要に応じて統合される顧客の前記他の行動情報には、例えば前記第2のウェブサイトにおける顧客の購買及び/又は行動情報を含むことができ、それらを前記セグメント化顧客リストに直接反映させることができる。
【0037】
前記セグメント化顧客リストは、それ自体顧客を直接特定するものではないが、例えば顧客にオンライン通知等を配信し得るように、間接的な項目で構成されていることが好ましい。このような項目として、例えば顧客のcookieデータや電子メールアドレス、顧客毎に付与されるユニークな識別コードがある。これらは、前記インサイトの結果に応じて前記セグメント化顧客リストにランク付けされている。
【0038】
第2の事業者システム2は、自己のブランド価値を高め、自己のブランド商品又はサービスの販売を増加させたい製造者かつ/又は販売者である第2の事業者によって運用管理されている。
図3に示すように、第2の事業者システム2は、該第2の事業者システム全体の運用を管理するシステム管理サーバー21と、前記第2のウェブサイトを運営管理するためのウェブサイト管理サーバー22とを備える。
【0039】
更に第2の事業者システム2は、会員データベース23と会員行動情報データベース24とを備える。会員データベース23は、前記第2のウェブサイトに会員登録している顧客の会員情報を蓄積保存する。ウェブサイト管理サーバー22は、会員データベース23を管理し、前記第2のウェブサイトに会員登録又は退会する会員の情報を処理するための会員登録管理部25を備える。
【0040】
会員データベース23の前記会員情報には、顧客が前記第2のウェブサイトに会員登録する際に提供した顧客の個人情報、即ち氏名、住所、連絡先、性別、年齢等に加えて、申込年月日、及び第2の事業者システム2が独自に付与する顧客のID(識別)番号としての会員番号等が含まれる。顧客の連絡先には、電話番号(固定及び/又は携帯電話)、電子メールアドレスを含むことができる。
【0041】
会員行動情報データベース24には、前記第2のウェブサイト上における顧客の閲覧その他の行動情報を蓄積保存する。ウェブサイト管理サーバー22は、会員行動情報データベース24を管理し、該会員行動情報データベースに収集される会員の行動情報を処理するための行動情報管理部26を備える。
【0042】
会員行動情報データベース24の前記行動情報には、前記第2のウェブサイトにおける顧客即ち会員の閲覧情報、該第2のウェブサイトで行われるキャンペーンやクーポン等の各種イベントに反応した顧客の行動情報(利用の有無等)が含まれる。前記第2のウェブサイト上で前記第2の事業者が自己のブランド商品又はサービスをオンライン販売している場合、その購買履歴を含む顧客の購買情報も、同様に会員データベース24に蓄積保存される。この購買情報には、商品又はサービスの購入日時、購入した商品又はサービスの内容(品名、品番、カテゴリー、数量等)、購入金額、決済方法等を含むことができる。
【0043】
更に、行動情報管理部26は、顧客が前記第2のウェブサイトにログインしたときのcookieデータ(ファーストパーティーcookie及びサードパーティーcookieを含む)を取得することができる。それらは、顧客の会員IDに紐付けして、会員行動情報データベース24の前記行動情報の一部として蓄積保存される。
【0044】
また、第2の事業者システム2は、自己の顧客にオンライン広告や様々通知又は案内を配信するための広告配信管理サーバー27を備えることができる。顧客への配信には、前記セグメント化顧客リストを用いることができる。その場合、前記セグメント化顧客リストは、前記配信の目的に応じて作成される。
【0045】
また、前記顧客への配信は、広告配信管理サーバー27が直接実行することができ、又は外部の第三者による広告配信システムを通じて行うこともできる。この場合、広告配信管理サーバー27は、配信対象の顧客リストと配信されるコンテンツを前記外部システムに提供する。
【0046】
第1の事業者システム1は、前記インサイト及びセグメント化顧客リスト作成の対象となった前記顧客について、前記セグメント化顧客リストを第2の事業者システム2に提供した後の購買行動情報を追跡することができる。この購買行動情報の追跡は、前記前記セグメント化顧客リストの提供日(又は時)から一定の時間又は期間を区切って複数回行うことが好ましい。その間に前記購買行動情報が更新されている場合、セグメンテーション処理部16は、再度前記インサイト及びセグメント化顧客リストの作成を行って、それらを更新することができる。
【0047】
更新された前記インサイトの結果は、セグメンテーションデータベース13に格納される。更新された前記セグメント化顧客リストは、セグメンテーションデータベース13に格納されると共に、第2の事業者システム2に提供することができる。これにより、第2の事業者システム2は、前記第2のウェブサイトの会員の最新の購買行動情報に用いて、該会員に対してその時点で最適にマーケティング、ブランディングを実行することができる。
【0048】
以下に、本発明の情報収集処理システム10における一連の動作を、
図4のフロー図を参照しつつ、詳細に説明する。情報収集処理システム10の動作は、大きく分けて、前記第2の事業者における新規顧客を獲得する過程と、獲得した新規顧客について既存の購買行動情報(及び場合によっては、その後の購買及び/又は行動情報)を用いて、セグメント化顧客リストを生成する過程とから構成される。
【0049】
本実施形態において、前記第2の事業者における新規顧客の獲得は、第1の事業者システム1の顧客に対し、一定のインセンティブを与えて前記第2のウェブサイトの新規会員の登録を促す形で行われる。第1の事業者システム1は、該第1の事業者システムに接続されている実店舗のPOS端末において、商品の購入又はサービスの提供の代金を支払う際に所定のFSPカードを使用又は提示した顧客に対して、インストアクーポンを発券する(ステップS1)。
【0050】
図5は、発券されたインストアクーポンの一例を示している。インストアクーポン30の表面には、前記第2のウェブサイトにおける会員登録を条件としたクーポンの特典にかかる説明と共に、応募専用のPINコード31とQRコード32及びURL(図示せず)とが印刷されている。QRコード32及び前記URLは、電子端末で読み取り又は手入力すると、前記第2のウェブサイトの会員登録専用のウェブサイトに誘導するように構成されている。
【0051】
第1の事業者システム1のクーポン管理サーバー18は、実店舗での顧客の代金決済時に、POS端末から送信される前記FSPカードの番号毎に異なる即ちユニークなPINコード31を発行し、それを印刷するように前記POS端末に指示する。発行したPINコード31は、そのクーポンの発券を受けた顧客のFSPカード番号即ち顧客ID番号と紐付けして、その記憶部(図示せず)に保存される。
【0052】
更にPINコード31は、FSPカード番号と対にして、前記クーポン管理サーバー18からシステム管理サーバー11に送られ、第1の事業者データベース12の前記顧客の購買行動情報に追加される。このように顧客毎にPINコード31の異なるインストアクーポン30が発券されることによって、PINコード31から顧客のFSPカード番号を特定して、その購買行動情報を直接抽出することが可能になる。
【0053】
インストアクーポン30の特典を利用したい顧客が、電子端末でQRコード52又は前記URLを入力すると、前記クーポンの利用登録を行う前に、顧客は前記会員登録専用ウェブサイトに誘導される。
図6は、モバイル端末5の画面に表示される会員登録専用ウェブサイト40の一例を示している。顧客は、会員登録専用ウェブサイト40の画面に示される指示に従って新規会員登録の手続きを行う(ステップS2)。
【0054】
本実施形態では、前記会員登録専用ウェブサイトの会員登録手続きにおいて、ログイン情報として顧客の電子メールアドレスを入力させる。これにより、会員登録の手続きが簡単になるとともに、第2の事業者システム2にとっても、会員に通知や案内を送信するために電子メールアドレスを別個に登録、管理する必要が無いので、有利である。
【0055】
また、これら一連の会員登録手続きを通して、第2の事業者システム2のウェブサイト管理サーバー22は、会員登録した顧客のcookieデータを取得する。取得したcookieデータは、会員登録管理部25が、顧客の電子メールアドレスと紐付けして、会員データベース23に保存する。
【0056】
新規会員登録の手続きが完了すると、自動的に又は画面上の所定のボタンをクリックすることによって、インストアクーポン30の利用登録の専用ウェブサイトに誘導される。
図7は、クーポン利用登録の専用ウェブサイト50の一例を示している。専用ウェブサイト50では、画面上の指示された入力欄51にPINコード31を入力することが要求される。顧客が、入力欄51にPINコード31を入力して(ステップS3)、例えば「参加する」のボタンをクリックすると、顧客のインストアクーポン30の利用登録手続きは完了する。
【0057】
前記顧客が入力したPINコード31は、クーポン管理サーバー18によって、その前記記憶部に保存されている発行済みPINコードのリストと照合される。一致した発行済みPINコードがある場合、それに対応するFSPカード番号が抽出されて、クーポンの特典を利用可能にするための受付処理が行われる。これにより、第1の事業者システム1におけるインストアクーポン30の利用受付処理が完了し、顧客は、前記クーポンの特典が利用可能になる。
【0058】
また、前記クーポンの利用登録手続きを通して、第1の事業者システム1のクーポン管理サーバー18は、前記顧客のcookieデータを取得する。取得したcookieデータは、抽出したFSPカード番号と対にしてシステム管理サーバー11に送られる。情報管理部15は、送られたFSPカード番号に基づいて前記顧客の購買行動情報を購買行動情報データベース12から抽出し、前記クーポンの利用受付処理及びcookieデータを追加して保存する。
【0059】
会員登録専用ウェブサイト40が、当然ながら第2の事業者システム2に設けられるのに対し、クーポン利用登録の専用ウェブサイト50は、第1の事業者システム1に設けられることが好ましい。これによって、クーポン管理サーバー18による前記顧客に対するクーポンの利用受付処理と、情報処理部15による顧客の前記購買行動情報の更新とを、より迅速に実行することができる。
【0060】
この場合、前記顧客が入力したPINコード31は、前記クーポンを利用受付処理したこと及び前記顧客のcookieデータと共に、第2の事業者システム2に送信される。第2の事業者システム2では、会員の会員行動情報が会員行動情報データベース24に、会員登録時にログイン情報として設定された電子メールアドレス及びそれに紐付けされたcookieデータを用いて抽出可能に保存されている。従って、ウェブサイト管理サーバー22の行動情報管理部26は、cookieデータに基づいて前記顧客に対応する会員の会員行動情報を会員行動情報データベース24から抽出し、第1の事業者システム1から送られたPINコード31及び前記クーポンの利用受付処理を追加して保存することができる。
【0061】
別の実施形態では、クーポン利用登録の専用ウェブサイト50を第1の事業者システム1以外に、例えば第2の事業者システム2に設けることもできる。この場合、顧客が前記専用ウェブサイトで入力したPINコード31は、ウェブサイト管理サーバー22から第1の事業者システム1に送信され、上述したようにクーポン管理サーバー18及びシステム管理サーバー11において処理される。
【0062】
クーポン管理サーバー18は、前記顧客の利用受付処理が終了すると、それをシステム管理サーバー11に通知する。システム管理サーバー11では、情報処理部15が、前記PINコードに対応するFSPカード番号の購買行動情報を購買行動情報データベース12から抽出し、セグメンテーション処理部16に送信する。セグメンテーション処理部16は、システム管理部14の指示に従って、情報処理部15から受信した前記購買行動情報のインサイトを実行する。
【0063】
前記インサイトは、例えば前記第2の事業者の要求に基づいて行われる。前記インサイトの結果により、前記顧客は前記第1の事業者及び/又は第2の事業者が設定した基準に基づいてセグメント化され、顧客リストが生成される(ステップS5)。本実施形態において、セグメント化した前記顧客リストは、顧客の前記PINコードを前記インサイトの基準に基づいてランク付けするように構成される。
【0064】
生成された前記セグメント化顧客リストは、第2の事業者システム2に送信される(ステップS6)。また、前記インサイトの結果は、前記セグメント化顧客リストと共に、前記PINコード及びFSPカード番号により識別可能にして、セグメンテーションデータベース13に保存される。
【0065】
前記第2の事業者は、第1の事業者システム1から受け取った前記セグメント化顧客リストを用いて、様々なマーケティング施策、ブランディング施策を該リスト上の会員に対して実行することができる。
図8のフロー図は、前記セグメント化顧客リスト入手後における第2の事業者システム2の動作の一例を示している。
【0066】
第2の事業者システム2において、前記セグメント化顧客リストは、会員行動情報データベース24に保存され(ステップS11)、ウェブサイト管理サーバー22によって管理される。或る実施形態では、前記セグメント化顧客リストを用いて、新規登録会員を対象とした案内やキャンペーン等の通知、オンライン広告等の配信を行う。この配信は、広告配信管理サーバー27が、会員のログイン情報である電子メールアドレスに電子メールを送信する(ステップS12)ことにより、第2の事業者システム2によって直接行うことができる。
【0067】
配信される電子メールの内容は、前記セグメント化顧客リストのランク付けに基づいてそれに適したものを選択することが好ましい。それによって、前記電子メールの配信に対して、リンクされた前記第2のウェブサイトを閲覧したり、キャンペーン等のイベントに参加する等、会員から良好な反応を得ることが期待される。このように前記第2のウェブサイトにおける会員の反応は、ウェブサイト管理サーバー22の行動情報管理部26によって収集され、該会員の行動情報に追加して会員行動情報データベース24に蓄積保存される(ステップS13)。
【0068】
別の実施形態では、会員のcookieデータを利用して、会員が閲覧しているウェブサイトの画面上にオンライン広告を配信することもできる。かかるオンライン広告の配信には、上述したように、外部の第三者システムを利用することが好ましい。この場合、ウェブサイト管理サーバー22は、広告配信対象の会員リストと配信する広告コンテンツを用意して、前記第三者システムに提供する。また、前記セグメント化顧客リストは、前記オンライン広告の配信に直接利用し得るように、セグメント化したcookieデータのリストで構成することが好ましい。
【0069】
図9のフロー図は、前記セグメント化顧客リストを第2の事業者システム2に提供した後における第1の事業者システム1の動作の一例を示している。第1の事業者システム1は、前記セグメント化顧客リストの対象となった顧客全員の、購買行動情報データベース12に蓄積されている購買行動情報を追跡することができる。
【0070】
システム管理サーバー11は、前記セグメント化顧客リストの各顧客について、該顧客が前記第2のウェブサイトに新規会員登録した日、即ちインストアクーポン30の利用受付処理日から、又はその購買行動情報について前記インサイトを行った日若しくは前記セグメント化顧客リストの生成日から、一定の時間又は期間を区切って購買行動情報を追跡する(ステップS21)。この購買行動情報の追跡は、セグメンテーション処理部16によって行われ、前記各顧客についてそれぞれ複数回行うことが好ましい。
【0071】
これによって、前記第2のウェブサイトに新規会員登録した顧客の、その後の購買及び/又は行動情報を分析し、新規会員登録の効果、新規登録会員に対するマーケティング、ブランディングの効果を評価することができる。この分析結果及び評価は、セグメンテーション処理部16が報告書を作成し、必要に応じて前記第2の事業者に提供することができる(ステップS22)。
【0072】
更に、第1の事業者システム1は、セグメンテーションデータベース13に格納されている前記セグメント化顧客リストを更新することができる。セグメンテーション処理部16は、ステップS21において追跡した顧客の最新の購買行動情報について再度インサイトを行い、その結果に基づいて顧客を再度セグメント化する(ステップS23)。この再度のインサイトは、最初のインサイトと同じ基準に基づいて、又はその後の前記第2の事業者等における事情や状況の変化により、異なる基準で実行することができる。
【0073】
前記再度のインサイト及びセグメント化によって更新したセグメント化顧客リストは、同様に第2の事業者システム2に提供する(ステップS24)ことができる。前記第2の事業者は、更新後のセグメント化顧客リストを用いて、
図8のフロー図に示す一連の動作を、必要に応じて修正を加えて、再度実行することができる。
【0074】
ステップS23における前記再度のインサイト及びセグメント化の結果は、同様に前記更新後セグメント化顧客リストと共に、前記PINコード及びFSPカード番号により識別可能にして、セグメンテーションデータベース13に保存される。前記購買行動情報の追跡が複数回行われる場合、それ毎に
図9のフロー図に示す一連の動作も繰り返し実行され、再度のインサイト及びセグメント化の結果と更新後セグメント化顧客リストがセグメンテーションデータベース13に保存される。
【0075】
別の実施形態では、購買行動情報データベース12から抽出した顧客の最新の購買行動情報に、第2の事業者システム2の会員行動情報データベース24に蓄積されている前記顧客の行動情報を統合し、ステップS23のインサイト及びセグメント化を行うことができる。これにより、前記顧客の購買及び/又は行動情報をより高精度にインサイトし、更新後セグメント化顧客リストの精度を更に高めることができる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明した。しかし、本発明は、当業者に明らかなように、上記実施形態に限定されるものではなく、それに様々な変形又は変更を加えて実施し得ることは言うまでもない。例えば、第1の事業者システム1がPOS端末で発券するインストアクーポンに代えて、前記第1のウェブサイトで発行するオンラインクーポンを用いて、同様に前記第2のウェブサイトにおける新規会員登録とクーポンによる顧客への利益付与を行うこともできる。