(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダイヘッドと前記集電体との間隔の変更は前記ダイヘッドの移動によって行い、前記ダイヘッドの移動を移動量検出手段によって検知し、前記移動量検出手段の検知結果に基づいて、前記ダイヘッドに前記スラリーを供給するポンプを制御して前記吐出圧力を変更する、請求項1に記載の二次電池用の電極の製造方法。
前記ダイヘッドと前記集電体との間隔の変更は前記ダイヘッドの移動によって行い、前記ダイヘッドの移動を移動量検出手段によって検知し、前記移動量検出手段の検知結果に基づいて、前記ダイヘッドに前記スラリーを供給するためのポンプを制御して前記流量を変更する、請求項3に記載の二次電池用の電極の製造方法。
前記ダイヘッドから前記集電体に向かって前記スラリーを吐出することなく、前記集電体を、前記ダイヘッドと対向する位置を相対移動させることによって、前記活物質層が形成されていない未塗布部を形成する工程をさらに含み、
前記未塗布部を形成する工程と、前記薄肉部を形成する工程と、前記厚肉部を形成する工程とを、順番に繰り返し実施する、請求項1から4のいずれか1項に記載の二次電池用の電極の製造方法。
正極用の集電体の両面に正極用の活物質層を形成して正極を形成する工程と、負極用の集電体の両面に負極用の活物質層を形成して負極を形成する工程と、前記正極と前記負極とをセパレータを介して積層する工程と、を含む二次電池の製造方法であって、
前記正極を形成する工程と前記負極を形成する工程のいずれか一方または両方が、請求項1から6のいずれか1項に記載の二次電池用の電極の製造方法の各工程を含む、二次電池の製造方法。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータなどのポータブル機器の電源としてはもちろん、車両用や家庭用の電源として広く普及してきており、なかでも、高エネルギー密度で軽量なリチウムイオン二次電池は、生活に欠かせないエネルギー蓄積デバイスになっている。
【0003】
二次電池は大別して捲回型と積層型に分類できる。捲回型二次電池の電池素子は、長尺の正極シートと長尺の負極シートとがセパレータによって隔離されつつ重ね合わされた状態で複数回巻き回された構造を有する。積層型二次電池の電池素子は、複数の正極シートと複数の負極シートとがセパレータによって隔離されながら交互に繰り返し積層された構造を有する。正極シートおよび負極シートは、集電体に活物質(結着剤や導電材などを含む合剤である場合も含む)が塗布された塗布部と、電極端子を接続するために活物質が塗布されていない未塗布部とを備えている。
【0004】
捲回型二次電池と積層型二次電池のいずれにおいても、正極端子の一端が正極シートの未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器(外装ケース)の外部に引き出され、負極端子の一端が負極シートの未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器の外部に引き出されるように、電池素子が外装容器内に封入されている。外装容器内には電池素子とともに電解液も封入されている。二次電池は年々大容量化する傾向にあり、これに伴って、仮に短絡が発生した場合の発熱がより大きくなり危険が増すため、電池の安全対策がますます重要になっている。
【0005】
安全対策の例として、正極と負極との間の短絡を防止するため、塗布部と未塗布部の境界部分に絶縁部材を形成した構成がある。しかし、例えばテープ状の絶縁部材が形成されることによって電池素子の一部が厚くなると、体積あたりのエネルギー密度の低下や、電池素子を均等に押さえることができないことに起因する電気特性のばらつきやサイクル特性の低下など、電池の品質低下を生じるおそれがある。そこで、特許文献1,2には、活物質層の端部を部分的に薄肉に形成して、この薄肉部と未塗布部とにわたって絶縁部材を配置することにより、絶縁部材によって電池素子の一部が厚くなることを防ぎ、電池の品質低下を抑えている構成が開示されている。そして、特許文献1,2では、活物質層の薄肉部を形成するために、活物質を集電体上に吐出するダイヘッドの吐出口内にシムを配置して、シムによって、吐出口からの活物質の吐出厚さが薄い部分を生じさせて、厚肉部と薄肉部を同時に形成できる構成が採用されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
[二次電池の構成]
図1A,1Bは、本発明の製造方法によって製造される積層型のリチウムイオン二次電池の構成の一例を模式的に示している。
図1Aは二次電池の主面(扁平な面)に対して垂直上方から見た平面図であり、
図1Bは
図1AのA−A線断面図である。
図2Aは正極の要部の拡大平面図、
図2Bはその拡大断面図である。
本発明のリチウムイオン二次電池1は、正極(正極シート)2と負極(負極シート)3とが、セパレータ4を介して交互に複数層積層された電極積層体(電池素子)17を備えている。この電極積層体17は電解液5と共に、可撓性フィルム6からなる外装容器に収納されている。電極積層体17の正極2には正極端子7の一端が、負極3には負極端子8の一端がそれぞれ接続されている。正極端子7の他端側および負極端子8の他端側は、それぞれ可撓性フィルム6の外部に引き出されている。
図1Bでは、電極積層体17を構成する各層の一部(厚さ方向の中間部に位置する層)を図示省略して、電解液5を示している。
図1Bでは、見やすくするために、正極2と負極3とセパレータ4とがそれぞれ互いに接触していないように図示しているが、実際にはこれらは密着して積層されている。
【0015】
正極2は、正極用の集電体(正極集電体)9と、その正極集電体9に塗布された正極用の活物質層(正極活物質層)10とを含む。正極集電体9の表面と裏面には、正極活物質層10が形成された塗布部と正極活物質層10が形成されていない未塗布部とが、長手方向に沿って並んで位置する。そして、
図2A,2Bに拡大して示すように、本実施形態の正極集電体9の両面の正極活物質層10は、厚肉部10aと薄肉部10bとからなる。負極3は、負極用の集電体(負極集電体)11とその負極集電体11に塗布された負極用の活物質層(負極活物質層)12とを含む。負極集電体11の表面と裏面には塗布部と未塗布部とが、長手方向に沿って並んで位置する。
【0016】
正極2と負極3のそれぞれの未塗布部は、電極端子(正極端子7または負極端子8)と接続するためのタブとして用いられる。正極2の正極タブ(正極集電体9)同士は正極端子7上にまとめられ、正極端子7とともに超音波溶接等で互いに接続される。負極3の負極タブ(負極集電体11)同士は負極端子8上にまとめられ、負極端子8とともに超音波溶接等で互いに接続される。そのうえで、正極端子7の他端部および負極端子8の他端部は、可撓性フィルム6からなる外装容器の外部にそれぞれ引き出されている。
【0017】
図2A,2Bに示すように、正極活物質層10が形成されている塗布部の薄肉部10bと、正極活物質層10が形成されていない未塗布部とにまたがって、両者の間の境界部分13(正極活物質層10の終端位置と一致する)を覆うように、負極端子8との短絡を防止するための絶縁部材14が配置されている。この絶縁部材14が薄肉部10b上に位置する部分における、薄肉部10bの厚さと絶縁部材14の厚さとの和が、正極活物質層10の厚肉部10aの平均厚さよりも小さい。従って、正極2の、絶縁部材14が配置された部分が、他の部分よりも厚くなってはいないので、体積あたりのエネルギー密度の低下が抑えられるとともに、電池素子を固定するために均等に押さえることができ、電気特性のばらつきやサイクル特性の低下などの電池の品質低下を抑制できる。
【0018】
負極3の塗布部(負極活物質層12)の外形寸法は、正極2の塗布部(正極活物質層10)の外形寸法よりも大きく、セパレータ4の外形寸法よりも小さいか等しい。
本実施形態の負極3は、負極集電体11の両面に、薄肉部を持たない一様な厚さの負極活物質層12が形成されたものであり、絶縁部材14は設けられていない。
【0019】
本実施形態の二次電池において、正極活物質層10を構成する活物質としては、例えばLiCoO
2、LiNiO
2、LiNi
(1−x)CoO
2、LiNi
x(CoAl)
(1−x)O
2、Li
2MO
3−LiMO
2、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2などの層状酸化物系材料や、LiMn
2O
4、LiMn
1.5Ni
0.5O
4、LiMn
(2−x)M
xO
4などのスピネル系材料、LiMPO
4などのオリビン系材料、Li
2MPO
4F、Li
2MSiO
4Fなどのフッ化オリビン系材料、V
2O
5などの酸化バナジウム系材料などが挙げられ、これらのうちの1種を使用することができ、また、これらのうちの2種以上の混合物を使用することもできる。
【0020】
負極活物質層12を構成する活物質としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの炭素材料や、リチウム金属材料、シリコンやスズなどの合金系材料、Nb
2O
5やTiO
2などの酸化物系材料を用いることができ、また、これらの複合物を用いることもできる。
【0021】
正極活物質層10および負極活物質層12を構成する活物質合剤は、前記したそれぞれの活物質に、結着剤や導電助剤等が適宜加えられたものである。導電助剤としては、カーボンブラック、炭素繊維、または黒鉛などのうちの1種を用いることができ、またこれらのうちの2種以上の組み合せを用いることもできる。また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、変性アクリロニトリルゴム粒子などを用いることができる。
【0022】
正極集電体9としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンを用いることができ、またこれらの合金等を用いることもできる。特にアルミニウムが好ましい。負極集電体11としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンを用いることができ、またこれらの合金を用いることもできる。
【0023】
電解液5としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類や、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類や、脂肪族カルボン酸エステル類や、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類や、鎖状エーテル類、環状エーテル類、などの有機溶媒のうちの1種を使用することができ、またこれらのうちの2種以上の混合物を使用することもできる。さらに、これらの有機溶媒にリチウム塩を溶解させることができる。
【0024】
セパレータ4は主に樹脂製の多孔膜、織布、不織布等からなり、その樹脂成分として、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、またはナイロン樹脂等を用いることができる。特にポリオレフィン系の微多孔膜は、イオン透過性と、正極と負極とを物理的に隔離する性能に優れているため好ましい。また、必要に応じて、セパレータ4には無機物粒子を含む層を形成してもよく、無機物粒子としては、絶縁性の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物などを挙げることができ、なかでもTiO
2やAl
2O
3を含むことが好ましい。
【0025】
外装容器としては、可撓性フィルム6からなるケースや缶ケース等を用いることができ、電池の軽量化の観点から可撓性フィルム6からなるケースを用いることが好ましい。可撓性フィルム6には、基材となる金属層の表面と裏面にそれぞれ樹脂層が設けられたものを用いることができる。金属層には、電解液5の漏出や外部からの水分の浸入を防止する等のバリア性を有するものを選択することができ、アルミニウムやステンレス鋼などを用いることができる。金属層の少なくとも一方の面には、変性ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂層が設けられる。可撓性フィルム6の熱融着性樹脂層同士を対向させ、電極積層体17を収納する部分の周囲を熱融着することで外装容器が形成される。熱融着性の樹脂層が形成された面と反対側の面となる外装体表面には、ナイロンフィルムやポリエステルフィルムなどの樹脂層を設けることができる。
【0026】
正極端子7としては、アルミニウムやアルミニウム合金で構成されたものを用いることができ、負極端子8としては、銅や銅合金あるいはそれらにニッケルメッキを施したものなどを用いることができる。それぞれの端子7,8の他端部側は外装容器の外部に引き出される。それぞれの端子7,8の、外装容器の外周部分の熱溶着される部分に対応する箇所には、熱融着性の樹脂をあらかじめ設けることができる。
【0027】
正極活物質層10の塗布部と未塗布部の境界部分13を覆うように形成される絶縁部材14には、ポリイミド、ガラス繊維、ポリエステル、ポリプロピレンを用いることができ、またこれらを含む材料を用いることもできる。絶縁部材14は、テープ状の樹脂部材に熱を加えて境界部分13に溶着させることや、ゲル状の樹脂を境界部分13に塗布してから乾燥させたりすることで形成できる。
【0028】
正極2および負極3の塗布部と未塗布部との境界部分や端部は、集電体9,11の延びる方向に直交する直線状でなく丸みを帯びた曲線状であってもよい。正極活物質層10と負極活物質層12のいずれにおいても、例えば製造上のばらつきや層形成能力に起因する不可避な各層の傾斜や凹凸や丸み等が生じていても構わない。
【0029】
[二次電池の製造方法]
二次電池の製造にあたって、まず二次電池用の電極を製造する。具体的には、
図3に示すように、複数の正極(正極シート)2を製造するための長尺の帯状の正極集電体9に、正極活物質層10を形成する。この正極活物質層10を正極集電体9の両面にそれぞれ間欠的に形成する。
図3,4ではわかりにくいが、
図1A〜2Bを参照して説明した通り、正極活物質層10は、主要部である厚肉部10aと、厚肉部10aの一端部に連続して設けられている薄肉部10bとからなる。この正極活物質層10の形成方法の詳細については後述する。未塗布部との境界部分13における塗布部(正極活物質層10)の端部は、正極集電体9に対して実質的に垂直に切り立っていてもよく、
図2Bに示すように傾斜していてもよい。そして、薄肉部10bと厚肉部10aの境界部分も、正極集電体9に対して実質的に垂直に切り立っていてもよく、傾斜していてもよい。
【0030】
次に、
図4に示すように、塗布部(正極活物質層10が形成されている部分)と未塗布部(正極活物質層10が形成されていない部分)との境界部分13を覆うように絶縁部材14を形成する。絶縁部材14の一方の端部14aは正極活物質層2の薄肉部2bの上に位置しており、他方の端部14bは未塗布部上に位置している。絶縁部材14の厚さが小さいと、絶縁性を十分に確保できないおそれがあるので、厚さは10μm以上であることが好ましい。また、本発明による電極積層体17の厚さの増大を抑制する効果を十分に得るためには、絶縁部材14の厚さが、正極活物質層10の厚肉部10aと薄肉部10bの厚さの差よりも小さいことが好ましい。
【0031】
その後、個々の積層型電池に使用する正極2を得るために、
図5Aに2点鎖線で示す切断線15に沿って正極集電体9を裁断して分割し、
図5Bに示す所望の大きさの正極2を得る。切断線15は仮想的な線であって実際には形成されない。
【0032】
また、
図6に示すように、複数の負極(負極シート)3を製造するための大面積の負極集電体11の両面に、負極活物質層12を間欠的に塗布する。負極活物質層12は、薄肉部を持たず、一定の厚さを有している。負極活物質層12の端部(塗布部の端部)は、僅かに傾斜していてもよく、負極集電体11に対して実質的に垂直に切り立っていてもよい。その後、個々の積層型電池に使用する負極3を得るために、
図7Aに2点鎖線で示す切断線16に沿って負極集電体11を裁断して分割し、
図7Bに示す所望の大きさの負極3を得る。切断線16は仮想的な線であって実際には形成されない。
【0033】
このようにして形成された、
図5Bに示す正極2と
図7Bに示す負極3とを、セパレータ4を介して交互に積層し、正極端子7および負極端子8を接続することにより、電極積層体17を形成する。この電極積層体17を電解液5とともに、可撓性フィルム6からなる外装容器に収容して封止することによって、
図1A,1Bに示す二次電池1が形成される。
【0034】
この二次電池1によると、正極2の塗布部と未塗布部の境界部分13を覆うように形成された絶縁部材14による厚さの増加分が、正極活物質層10の厚肉部10aよりも薄い薄肉部10bによって吸収(相殺)され、電極積層体17の一部が他の部分よりも厚くなることがない。そのため、電極積層体17を均等に押さえて保持することができ、電気特性のばらつきやサイクル特性の低下などの品質低下を抑えることができる。厚肉部10aと薄肉部10bとの厚さの差が、絶縁部材14の厚さよりも大きければ、絶縁部材14による電極積層体17の一部の厚さの増大を防ぐことができるため、極めて効果的である。ただし、厚肉部10aと薄肉部10bの厚さの差が絶縁部材14の厚さよりも小さくても、薄肉部10bを設けることによって電極積層体17の局所的な厚さの増大を小さく抑えることができ、ある程度の効果が得られる。
【0035】
なお、
図7Bに示す例では、正極2の未塗布部(正極タブ)に対向する位置に、負極3の未塗布部は存在せず塗布部が終端している。ただし、負極3の、正極2の未塗布部に対向する位置に、未塗布部が存在する構成にすることもできる。なお、
図7Bに示すように、負極3の、正極2の未塗布部に対向しない端部には、負極タブとなる未塗布部が設けられている。各活物質層10,12の終端位置(塗布部の端部の平面的な位置)は、集電体9,11の両面で異なっていても一致していてもよい。
本発明の各部材の厚さや距離などは、特に断りが無い限りは、任意の3点以上の場所における測定値の平均値を意味する。
【0036】
[電極の詳細な作製方法]
前記した本発明の二次電池の製造方法のうち、電極の詳細な作製方法について説明する。以下の説明は、正極2を製造する例に関するものであるが、負極3を以下の方法で製造することも可能である。
本発明において集電体上に活物質層を形成する方法は、主に、ダイヘッドを含むダイコータを用いて、長尺の集電体の長手方向に沿って活物質合剤の塗布部と未塗布部を交互に繰り返して形成する間欠塗布方式である。
図8は、本発明において間欠塗布を行うダイコータ(製造装置)の構成の一例を示す図である。
図8に示すように、間欠塗布を行うダイコータには、ダイヘッド20と、ダイヘッド20に連結された塗工弁21と、ポンプ22と、活物質合剤のスラリー23を溜めるタンク24が設けられている。ダイヘッド20と対向する位置に、集電体9をダイヘッド20に対して相対移動させる相対移動手段が配置されている。本実施形態では、相対移動手段の一例である図示しない巻き取り機構によって集電体が巻き取られ、ローラ25の回転に沿って、活物質層を形成すべき集電体9が搬送される。ダイヘッド20は、ダイヘッド移動手段であるサーボモータ26に駆動されて、ローラ25に対して近づいたり離れたりすることができ、ダイヘッド20の変位(移動量)は移動量検出手段27によって検知される。制御手段(シーケンサ)28が、移動量検出手段27の検知結果に基づいて、サーボモータ26の動作を制御する。この製造装置は、ダイヘッド20からタンク24にスラリーを戻すリターン経路が設けられていてもよく、リターン経路にはリターン弁が設けられていてもよい。
【0037】
このダイコータを用いる本発明の電極の製造方法では、
図9に示すように、未塗布部の形成時には、塗工弁21を閉じてダイヘッド20からスラリーを吐出することなく、ローラ25の回転に沿って集電体9を搬送する。次に活物質層10の薄肉部10bを形成するため、ダイヘッド20をローラ25および集電体9に近づける(ダイヘッド20の変位x1、ダイヘッド20と集電体9の間隔(ギャップ)d1)とともに、塗工弁21を開き、さらにポンプ22を調節して、所定の低圧(吐出圧力p1)に設定する。それにより、集電体9に対して近接した位置(2点鎖線で図示)のダイヘッド20から低い吐出圧力でスラリー23を吐出し、薄肉部10bを形成する。
【0038】
所望の大きさの薄肉部10bを形成したら、厚肉部10aの形成に移行する。具体的には、スラリー23の吐出を開始してから、集電体9の搬送速度やスラリーの塗出量などから算出して所望の大きさの薄肉部10bを形成するのに必要な時間t1が経過したら、シーケンサ28がサーボモータ26を作動させて、ダイヘッド20をローラ25および集電体9から遠ざける(ダイヘッド20の変位x2、ダイヘッド20と集電体9の間隔d2)。このとき、塗工弁21は開いたままであり、ポンプ22を調節して、所定の圧力(吐出圧力p2)に設定する。それにより、集電体9に対して遠い位置(実線で図示)のダイヘッド20から高い吐出圧力でスラリー23を吐出して、厚肉部10bを形成する。そして、ダイヘッド20の移動およびポンプ22の調節の時点t1から、集電体9の搬送速度から算出して所望の大きさの厚肉部10aを形成するのに必要な時間(t2−t1)が経過したら、塗工弁21を閉じる。それにより、未塗布部の形成に移行する。以降の時間t3〜t5において、このような未塗布部の形成、薄肉部10bの形成、厚肉部10aの形成を順番に繰り返して、多数の活物質層10を形成する。その後に、集電体9を切断することによって多数の電極2を作製する。なお、これらの時間やスラリーの塗出量、ダイヘッドと集電箔との距離などは、活物質層10の主要部である厚肉部10aや、薄肉部を形成するために適した条件が予め設定されるのが好ましい。前述した例では、ダイヘッド20が集電体9から離れている時の両者の間隔d2と、その時の吐出圧力p2、それよりもダイヘッド20を集電体9に近づけた時の間隔d1とそのときの吐出圧力p1を、薄肉部10bを形成するための条件等を予め設定している。間欠塗工の都度または所定の回数ごとに、膜厚や、膜厚に影響を及ぼす因子、たとえばスラリー粘度等をセンシングして、スラリーを塗出する時間、吐出量、ダイヘッドと集電箔との距離の調整にフィードバックをかけてもよい。
【0039】
以上説明したように、本発明では、薄肉部10bを形成する際には、厚肉部10aを形成する時に比べてダイヘッド20を集電体9に近づけるとともに、吐出圧力を小さくしている。これにより、厚肉部10aと薄肉部10bを精度良く形成でき、例えば厚肉部10aとの移行部分で薄肉部10bが局所的に厚くなるような不具合を抑えることができる。特に、ダイヘッド20の移動を検知する移動量検出手段27の検知結果に基づいてポンプ22を制御する構成であると、ダイヘッド20の移動に合わせてタイムラグなく吐出圧力を調節できるので、厚肉部10aおよび薄肉部10bをより精度良く形成することができる。
【0040】
[他の実施形態]
本発明の他の実施形態における電極の作製方法について、
図10を参照して説明する。この実施形態では、ダイヘッド20の移動に合わせてポンプ22を制御して、ダイヘッド20へ供給するスラリー23の流量を調節している。具体的には、前述した実施形態と同様に、未塗布部の形成時には、塗工弁21を閉じてダイヘッド20からスラリー23を吐出することなく、ローラ25の回転によって集電体9を搬送する。次に活物質層10の薄肉部10bを形成するため、ダイヘッド20をローラ25および集電体9に近づける(ダイヘッド20の変位x1、ダイヘッド20と集電体9の間隔d1)とともに、塗工弁21を開き、さらにポンプ22を調節して、所定の流量q1に設定する。それにより、集電体9に対して近接した位置(2点鎖線で図示)のダイヘッド20に、小さい流量q1でスラリー23を供給し、そのスラリー23をダイヘッド20から吐出して薄肉部10bを形成する。
【0041】
所望の大きさの薄肉部10bを形成するのに必要な時間t1が経過したら、シーケンサ28がサーボモータ26を作動させて、ダイヘッド20をローラ25および集電体9から遠ざける(ダイヘッド20の変位x2、ダイヘッド20と集電体9の間隔d2)。このとき、塗工弁21は開いたままであり、ポンプ22を調節して、所定の流量q2に設定する。それにより、集電体9に対して遠い位置(実線で図示)のダイヘッド20に大きい流量q2でスラリー23を供給し、そのスラリー23をダイヘッド20から吐出して厚肉部10bを形成する。そして、所望の大きさの厚肉部10aを形成するのに必要な時間(t2−t1)が経過したら、塗工弁21を閉じて、未塗布部の形成に移行する。このように、未塗布部の形成、薄肉部10bの形成、厚肉部10aの形成を順番に繰り返して、多数の活物質層10を形成する。その後に、集電体9を切断して多数の電極2を作製する。通常は厚肉部10aを形成するために適した条件が予め設定され、すなわち、ダイヘッド20が集電体9から離れている時の両者の間隔d2と、その時の流量q2が予め設定されている場合が多いので、それよりもダイヘッド20を集電体9に近づけた時の間隔d1とそのときの流量q1を、薄肉部10bを形成するための条件として新たに設定すればよい。
【0042】
以上説明したように、本発明では、薄肉部10bを形成する際には、厚肉部10aを形成する時に比べてダイヘッド20を集電体9に近づけるとともに、ダイヘッド20に供給するスラリー23の流量を小さくしている。これにより、厚肉部10aと薄肉部10bを精度良く形成でき、例えば厚肉部10aとの移行部分で薄肉部10bが局所的に厚くなるような不具合を抑えることができる。特に、ダイヘッド20の移動を検知する移動量検出手段27の検知結果に基づいてポンプ22を制御する構成であると、ダイヘッド20の移動に合わせてタイムラグなく流量を調節できるので、厚肉部10aおよび薄肉部10bをより精度良く形成することができる。なお、本明細書で記載した移動量検出手段とは、ダイヘッドを移動させる軸の回転から移動量を検出するエンコーダや、ダイヘッドの移動そのものを測定する変位センサなどがあげられるが、特にこれに限定されない。
【0043】
以上説明した2つの実施形態は、正極2のみに絶縁部材14が設けられて負極3には絶縁部材が設けられない構成であって、正極活物質層10が厚肉部10aと薄肉部10bとからなり、負極活物質層12が厚肉部のみの(薄肉部を持たない)構成である。ただし、負極3のみに絶縁部材が設けられて正極2には絶縁部材14が設けられず、正極活物質層10が厚肉部10aのみからなり、負極活物質層12が厚肉部と薄肉部とからなる構成にすることもできる。また、正極2と負極3のいずれにも絶縁部材が設けられ、正極活物質層10と負極活物質層12のいずれも、厚肉部と薄肉部とを有する構成にすることもできる。いずれの構成であっても、厚肉部と薄肉部とを有する活物質層において、絶縁部材の一部を薄肉部上に配置して、厚肉部と薄肉部の厚さの差によって絶縁部材による厚さの増大の少なくとも一部を吸収(相殺)することにより、電池素子の厚さの増大を抑制する効果が得られる。
【0044】
本発明はリチウムイオン二次電池とその電極の製造方法に有用であるが、リチウムイオン電池以外の二次電池とその電極の製造方法に適用しても有効である。
【0045】
以上、いくつかの実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記した実施形態の構成に限られるものではなく、本発明の構成や細部に、本発明の技術的思想の範囲内で、当業者が理解し得る様々な変更を施すことができる。
【0046】
本出願は、2015年5月20日に出願された日本特許出願2015−102506号を基礎とする優先権を主張し、日本特許出願2015−102506号の開示の全てをここに取り込む。