(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記形状分析モジュールは、前記膨張式医療器具の形状パラメータを計算することによって前記膨張式医療器具の特性を判定し、前記形状パラメータは、前記膨張式医療器具の形状、曲率、ノード距離、軸方向歪み、及び/又は3次元的形状を含む、請求項1に記載の医療システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本原理によると、FORSデータを使用して膨張式医療器具を追跡し、その特性を判定するためのシステムが提供される。システムは、介入展開のために構成された膨張式医療器具を含む。光ファイバを含むガイドワイヤは、膨張式医療器具のルーメン内に位置付けられる。FORSシステムは、膨張式医療器具の介入展開中にガイドワイヤの形状を測定するように構成される。形状分析モジュールは、膨張式医療器具を追跡し、膨張式医療器具の特性を判定するために、FORSデータを分析するように構成される。
【0011】
FORSシステムによって膨張式医療器具を追跡し、その特性を判定することは、介入処置の膨張、加圧及び減圧中に、施術者が膨張式医療器具を監視することを可能にし、膨張式医療器具を利用した処置中又はそれに支援された治療中の対象者への放射線量の必要量の著しい減少をもたらす。更には、システムは、光ファイバが埋め込まれた器具が特別に製造されることを必要とせず、FORSが標準的な膨張式医療器具において実施されることを可能にする。このことは、システムの膨張式医療器具の製造の複雑性及びコストに関して著しい利益を提供する。しかしながら、本明細書において説明されるシステムは、形状センサが埋め込まれた特別に製造された器具にも同様に適用されることを理解されたい。
【0012】
本発明は医療システムに関して説明されるものであることを理解されたい。しかしながら、本発明の教示はより広範なものであり、いくつかの実施形態においては、本原理は、複雑な生物学的又は機械システムにおいて用いられる。更には、本原理は、肺、肝臓、脳、子宮、胃腸管、排出器官、血管及び任意の他の固形臓器組織、腫瘍組織並びに身体の均一又は不均一な増強構造など身体のあらゆるエリアにおける生物学的システムの内部処置に適用可能である。図面に表されている要素は、ハードウェア及びソフトウェアの様々な組み合わせで実現され、単一の要素又は複数の要素において組み合わされる機能を提供する。
【0013】
図面に図示された様々な要素の機能は、専用のハードウェアの使用、及び適切なソフトウェアと関連したソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有されたプロセッサによって、又はそのうちのいくつかが共有され得る複数の個別のプロセッサによって提供され得る。更には、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを排他的に指すものと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、不揮発性記憶装置などを、非限定的に、暗示的に含み得る。
【0014】
更に、本発明の原理、態様、及び実施形態並びにそれらの特定の例を列挙する本明細書における全ての記述は、それらの構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物及び将来的に開発される均等物(すなわち、構造に関わらず同一の機能を実施する、開発される任意の要素)の両方を含むことが意図される。同様に、様々なプロセスは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の中に実質的に表現され得、コンピュータ又はプロセッサによって、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に図示されているか否かに関わらず、実行され得ることが理解される。
【0015】
更に、本発明の実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって又はそれらに関連して使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。本説明の目的のために、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はそれらに関連して使用されるプログラムを含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は転送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線の又は半導体のシステム(又は装置又はデバイス)、又は伝搬媒体であり得る。コンピュータ読み取り可能媒体の例には、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、光ディスク等が含まれる。現在の光ディスクの例には、コンパクトディスク−読出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)、Blu−Ray(商標)、及びDVDが含まれる。
【0016】
本原理によると、FORSデータを使用して、膨張式医療器具を追跡し、器具の特性を特定するためのシステムが提供される。次に図面を参照するが、図面において類似の番号は同一の又は似通った要素を表す。先ず
図1を参照すると、システム100は、膨張式医療器具102を含む。一例示的実施形態において、膨張式医療器具102はバルーンカテーテルである。しかしながら、膨張式医療器具は、介入処置に使用される、又はそのような処置を支援するための、当技術分野において知られる他の膨張式デバイスであってよい。膨張式医療器具102は、対象者103の領域123における介入展開のために構成される。介入処置は、バルーン血管形成、薬剤溶出バルーン処置、又は他の既知の処置であってよい。
【0017】
図1に図示されるように、一実施形態において、システム100は、処置がそこから監督及び/又は管理されるワークステーション101を含む。ワークステーション101は、好ましくは、1つ又は複数のプロセッサ110と、プログラム及びアプリケーションを記憶するためのメモリ108と、ユーザが画像を閲覧し、ワークステーション101と相互作用することを可能にするディスプレイ109とを含む。システム100は、キーボード、マウス、ジョイスティック、触覚デバイス、又はユーザにワークステーション101からのフィードバック及びワークステーション101との相互作用を可能にするための任意の他の周辺機器又は制御器を有するインターフェース112を更に含む。
【0018】
一実施形態において、医療器具は、少なくとも1つのルーメン116を含む。ガイドワイヤ104又は類似のデバイスは、ルーメン116内に位置付けられる。ガイドワイヤ104は、バルーンカテーテルの中央ルーメン内に位置付けられる。このような実施形態において、システムは、標準的なバルーンカテーテルを含み、ガイドワイヤを受け入れるために特別に構成されたルーメンを有する膨張式医療器具は必要とされない。
【0019】
Fiber−Optical RealShape(商標)センサはガイドワイヤ内に一体化される。Fiber−Optical RealShapeシステム(「FORS」)は、Koninklijke Philips,N.V.によって開発されたシステムの商品名である。しかしながら、本明細書において使用されるとき、FORS及びFORSシステムという用語はKoninklijke Philips,N.V.の製品及びシステムに限定されるものではなく、光ファイバ形状感知及び光ファイバ形状感知システム、光ファイバ3D形状感知、光ファイバ3D形状感知システム、並びに光ファイバ形状感知及び位置特定などを全体的に指す。FORSシステムは、一般に、「光学的形状感知システム(optical shape sensing system)」又は「光形状感知システム(optic shape sensing system)」としても知られている。FORSシステムは、1つ又は複数の設定パターンでガイドワイヤ内に一体化された1つ又は複数の光ファイバ107を含む。一実施形態において、光ファイバは、ローンチマウント115及びケーブル118を介してワークステーション101に接続する。ケーブル118は、必要に応じて、光ファイバ、電気的接続、他の器具の使用などを含む。ケーブル118は、1つ又は複数の光源117を含み又はそれらとともに動作する光学的問い合わせデバイス119と相互作用する。システムは、FORSデータ111を受信してこの情報を解釈するように構成された感知及び解釈モジュール113を含む。FORSデータ111は、システムのメモリ108に記憶される。
【0020】
FORSシステムは、問い合わせデバイスからの、マルチコア光ファイバなどの光ファイバに沿った光を、外科的介入中のデバイスの位置特定及び操縦のために使用する。FORSデータは、デバイスのより向上した追跡を提供するために、医療デバイスのリアルタイム画像又は術前画像と組み合わされて使用される。光ファイバに沿った形状は、ローンチ又はゼロ位置として知られるセンサ沿いの特定のポイントから始まり、後続の形状の位置及び向きはこのポイントに対する相対的なものとなる。
【0021】
光ファイバを有するFORSシステム106は、光ファイバブラッグ格子センサに基づく。光ファイバブラッグ格子(FBG)は、光の特定の波長を反射し、それ以外を全て透過する光ファイバの短いセグメントである。これはファイバコアに屈折率の周期的変化を加えることによって達成され、これによって、特定波長誘電体ミラーが生成される。従って、ファイバブラッグ格子は、ある波長を遮断するためのインライン光学フィルタとして、又は特定波長反射体として使用され得る。
【0022】
ファイバブラッグ格子の動作の背後にある基本原理は、屈折率が変化している界面の各々におけるフレネル反射である。一部の波長について、様々な周期の反射光が同相であり、建設的干渉が反射に対して存在し、結果的に、透過に対する相殺的干渉が存在する。ブラッグ波長は、歪み及び温度に対して敏感である。このことは、ブラッグ格子が光ファイバセンサにおける感知要素として使用され得ることを意味する。FBGセンサにおいては、測定量(例えば、歪み)は、ブラッグ波長のシフトを引き起こす。
【0023】
この技術の1つの利点は、様々なセンサ要素がファイバの長さにわたって分布され得ることである。構造に埋め込まれたファイバの長さに沿って様々なセンサ(ゲージ)を有する3つ以上のコアを組み込むことは、このような構造の3次元的形態が正確に、典型的には1mmよりも高い精度で、決定されることを可能にする。ファイバの長さに沿って、様々な位置に、多くのFBGセンサ(例えば、3つ以上のファイバ感知コア)が配置され得る。各FBGの歪み測定から、構造の曲率がその位置において推測され得る。多くの測定位置から、全体的な3次元的形態が判定される。
【0024】
光ファイバブラッグ格子に対する代替物として、従来の光ファイバにおける固有の後方散乱が利用され得る。このようなアプローチの1つは、標準的なシングルモード通信ファイバにおけるレイリー散乱を使用するものである。レイリー散乱は、ファイバコアにおける屈折率のランダムな変動の結果として生じる。これらのランダムな変動は、格子長に沿った振幅及び位相のランダムな変化を有するブラッグ格子としてモデル化され得る。
【0025】
ラマン散乱、ブリルアン散乱、蛍光散乱などに基づく技術を使用したセンサも、本発明に従って使用され得る。
【0026】
マルチコアファイバの単一の長さにおいて延びる3つ以上のコアにおいてこの効果を使用することにより、関心対象の表面の3D形状及び動態が追跡され得る。好ましい実施形態は、FORSシステムのための光ファイバをマルチコア光ファイバとして説明しているが、他の実施形態において、孤立性の光ファイバがFORSシステムのために利用され得る。更に、システム100は、FORSシステム106を利用するものとして例示的に説明されるが、他の既知の形状センサシステム及びセンサも、本原理によるシステムのために利用され得る。
【0027】
システム100は、長手方向符号化デバイス又は当技術分野において知られる他の手段によるなどして、バルーン内に収容されたFORSシステムの光ファイバ107のセグメントを配置するように構成される。FORSシステムは、介入処置中のガイドワイヤ104の形状の判定を可能にする。例えば、バルーン血管形成中のバルーンカテーテルは、様々な構成を呈し、これはルーメン116の形状における特性変化をもたらす。
図2に図示されるように、バルーン血管形成中のバルーンカテーテルのルーメン116は、バルーンが空であるときは、比較的線形である。しかしながら、バルーンカテーテルの膨張及び加圧中は、バルーンのルーメン116の形状は、著しい変形を示す。より具体的には、バルーンカテーテルが最初に流体によって満たされるとき、ガイドワイヤルーメンは座屈し、直線的なルーメンから湾曲したルーメンへと遷移する。処置中の後の時に、バルーンが流体で満たされ、加圧されない状態にあるとき、中央ルーメンは最大曲率を示す。バルーンが加圧されると、ルーメンの曲率は減少し、ルーメン116は比較的線形の構成に戻る。
【0028】
図2及び
図3に図示されるように、ルーメン116の形状のこれらの変化は、ルーメン内のガイドワイヤの形状に対応する変化をもたらす。本発明のFORSシステム106は、介入処置中に、ガイドワイヤの形状を検知し、これらの変化を追跡する。次いで、ガイドワイヤの形状の変化は、膨張式医療器具の向き、位置、加圧及び/又は状態を含む医療器具の数多くの特性を判定するために使用され得る。例えば、バルーン血管形成中に、バルーンカテーテルのルーメン116内のガイドワイヤ104の形状は、デバイスの膨張及び収縮中のバルーンの直径を示す。ガイドワイヤ104の形状はまた、バルーンが加圧されているか又は加圧されていないかも示す。
図2に図示されるように、もしも膨張後にバルーンが加圧されていないなら、ガイドワイヤ104は湾曲しており、その一方で、もしも膨張後にバルーンが加圧されているならガイドワイヤは線形になる。本明細書において説明されるように、ガイドワイヤ104に関するFORSデータの分析は、膨張式医療器具102の位置の判定も可能にし、破裂に関するバルーンの状態も提供する。
【0029】
更には、
図4に図示される代替的な実施形態において、FORSシステムの光ファイバ107は、膨張式医療器具102の本体内に直接埋め込まれており、この様子は膨張状態において図示されている。例えば、光ファイバ107は、カテーテルルーメンの壁125内に一体化される。これらの実施形態において、FORSデータは、膨張式医療器具の形状の変化に関して直接的な情報を提供し、FORSデータは、同様に、医療器具の数多くの特性を判定すること、医療器具の状態、膨張式医療器具の位置を提供すること、及び破裂に関するバルーンの状態を提供することに利用される。
【0030】
システムは、FORSシステム106からFORSデータ111を受信し、FORSデータを分析し、膨張式医療器具の1つ又は複数の特性を判定するように構成された形状分析モジュール114を更に含む。
図1に図示されるように、一実施形態において、形状分析モジュール114は、ワークステーション101内に一体化される。しかしながら、他の実施形態において、形状分析モジュール114は、外部デバイスを備え、ワークステーション内に一体化されない。
【0031】
一実施形態において、形状分析モジュール114は、バルーン又は他の膨張式構造における光ファイバのセクションの曲率を計算することによって膨張式医療器具の特性を判定するように構成される。形状分析モジュールは、介入処置中の圧量変化の任意のシーケンスについて膨張式医療器具の特性を判定するように構成される。
【0032】
一実施形態において、形状分析モジュール114は、バルーンの曲率応答を示すプロットを、プロットよりも下方の累積面積を計算することによって分析するように構成される。この面積は、ガイドワイヤ104の形状の変化に関する情報を提供し、形状分析モジュール114が膨張式医療器具の特性を判定することを可能にする。
【0033】
形状分析モジュール114は、FORSデータを受信し、3次元的形状、形状の2次元的投影、曲率、アルファ、軸方向歪みなどを含むガイドワイヤ104の形状のパラメータを測定することによって形状の変化を判定するように構成される。形状分析モジュール114は、形状における計算された変化を使用して、バルーンの直径及び圧力の両者の即時的な仮想測定を計算するようにも構成される。形状分析モジュール114は、FORSデータに基づいて、介入処置中の膨張サイクルの回数を計算するようにも構成される。
【0034】
実際のバルーンの圧力及び形状応答は複雑な関係を有している。従って、一実施形態において、圧力変化に応答して、曲率などの測定されたパラメータを使用して、膨張式医療器具の各モデルについて較正が行われる。形状分析モジュール114は、器具の特性の較正された判定を計算するために、モデル130を使用するように構成される。追跡されている膨張式医療器具の特定のモデルに基づく較正は、同一のモデルではおそらく全ての場合にわたってパラメータが一貫しているため、膨張式医療器具の各モデルについて一度だけ必要であると思われる。
【0035】
一実施形態において、システム100は、RFID又は他の自動的検知のための手段によるなどして、膨張式医療器具102のモデルを自動的に決定するように構成される。システム100は、膨張式医療器具102のモデルを決定するために、記憶されたバルーンルックアップテーブル128を含み得る。代替的に、ユーザがインターフェース112によって特定のモデルをシステム100に入力してもよい。
【0036】
システム100は、形状分析モジュール114によって判定された特性に基づいて、膨張式医療器具102のグラフィカルなモデル及び他の画像を生成するように構成された撮像モジュール120を更に備える。一実施形態において、生成された画像のパラメータは、X線透視若しくは別の撮像モダリティを介して又はユーザ入力によって取得された情報などの追加的なデータに基づいて、更に更新される。画像は、好ましくは、ライブ画像又は術前画像に重畳される。例えば、
図5において、形状分析モジュール114によって判定されたバルーンの直径を示す重畳121が生成され、膨張式医療器具の画像の上に表示される。
図3に図示されるように、撮像モジュール120は、FORSデータ111に基づいて、ガイドワイヤ104の向きのグラフィカルな描写を生成するようにも構成される。
図11は、術中画像126に重畳された膨張式医療器具102(
図3)の視覚的な3次元的モデルを図示する。
【0037】
図1に図示されるように、一実施形態において、撮像モジュール120は、ワークステーション101内に一体化される。しかしながら、他の実施形態において、撮像モジュール120は、外部デバイスを備え、ワークステーション101内に一体化されない。
【0038】
膨張式医療器具102の画像は、リアルタイム画像又は術前画像を提供するために介入処置中に用いられる、当技術分野において知られる様々な撮像モダリティによって取得される。そのような実施形態において、ガイドワイヤ104は、患者システム及び撮像システムに対して位置合わせされる。画像は、システム100のメモリ108に記憶され、撮像モジュール120によって生成された重畳121と組み合わされてディスプレイ109上に生成される。
図5に図示された実施形態において、重畳121の幅は、形状分析モジュールによって測定されたバルーンの直径に正比例する。
【0039】
図3及び
図6に図示されるように、重畳121は色分けされてよい。例えば、
図3及び
図6における重畳は、膨張式医療器具の低圧力状態を示す緑色、及び高圧力状態を示す赤色を有する。
図6の重畳121は、施術者に対して、介入処置中に、バルーンカテーテルの加圧のリアルタイムな状態に関する明確な視覚的ガイドを提供する。重畳121の色は、施術者に対して、医療器具内の高圧力状態の存在に関する明確な警告も提供する。重畳の色マッピングは、各バルーンモデルに固有のもの(公称圧力、破裂圧力)であり得る。
【0040】
別の実施形態において、形状分析モジュール114は、FORSデータ111を分析し、3次元的ポイント追跡によって膨張式医療器具の1つ又は複数の特性を判定するように構成される。より具体的には、
図7に図示されるように、形状分析モジュール114は、医療デバイスの先端部のポイント122及び終端部のポイント124を特定するように構成される。これらのポイントは、インターフェース112を介して、ユーザによってワークステーション101に入力される。代替的には、ポイント122、124は、膨張式医療器具102の構造的及び/又は位置的な特性に基づいて、システムによって自動的に特定される。
【0041】
形状分析モジュール114は、ポイント122、124の間の直線距離を判定するように構成される。介入処置中に、形状分析モジュール114は、ポイント122、124を、それらの間の直線距離の変化について追跡する。膨張式医療器具102内での変化に応答した2つのポイント122、124間のルーメンの長さの変化は、形状分析モジュール114によって分析され、これらの変化に基づいて医療器具に関する特性が判定される。
【0042】
例えば、
図7に図示されるように、バルーンカテーテルの先端部及び終端部の2つのポイント122、124の間の距離は、バルーン血管形成中にバルーンカテーテルが膨張するにつれて減少する。次いで、距離におけるこの変化は、形状分析モジュールによって、膨張式医療器具に関する特性を判定するために利用される。例えば、バルーン血管形成処置中のバルーンカテーテルの直径は、この2つのポイントの距離を分析することによって取得される。形状分析モジュール114による判定の精度を向上するために、較正モデルが利用される。較正されたモデル130は、線形的、多項式的、指数関数的、対数的若しくは他の関係、ルックアップテーブル128又は実際のバルーンの状態に対する形状由来の計算に関係する、それらを組み合わせたいくつかの関係の形態をとる。距離変化は、3次元的ポイント追跡を利用して形状分析モジュール114によって追跡される。
【0043】
形状分析モジュール114は、FORSデータ111に基づいて破裂に関するバルーンの状態を判定するようにも構成される。より具体的には、FORSデータ111の分析によって直径及び加圧に関する膨張式医療器具102の変化率を監視することによって、破裂などの有害な事象が、これらの特性における高い変化率によって検知される。例えば、
図8は、バルーンカテーテルの破裂の前後のバルーンカテーテルの正規化された形状応答のグラフを図示する。破裂事象の後、総応答の約50%の減少が破裂後30ミリ秒以内に示されている。一実施形態において、システム100は、特定の膨張式医療器具の形状応答における減少率の閾値を有する。もしも形状応答の測定された減少率が閾値を超えるならば、このことは膨張式医療器具の破裂があったことを示す。いくつかの実施形態において、システム100は、形状分析モジュール114によって破裂が検知されたときに光又は音声信号を生じさせるように構成される。
【0044】
形状分析モジュール114は、FORSデータ111を利用して膨張式医療器具102の位置を判定するようにも構成される。バルーンルーメンの変化に基づくガイドワイヤ104の局部的な形状変化は、デバイスの膨張中の対象の周囲のエリアにおける形状変化よりもはるかに高い振幅を有する。形状分析モジュール114は、膨張が開始したことを示す入力をユーザから受信するように構成される。次いで、形状分析モジュールは、比較のために、膨張式医療器具の基準線フレームを選択する。形状分析モジュール114は、処置中の曲率又は他の形状パラメータを比較し、膨張式医療器具の位置を計算する。
【0045】
図9は、ガイドワイヤに沿ったバルーン位置の特定のための曲率変化のグラフを図示する。バルーン位置はその端部ポイントによって推定され得、この端部ポイントは、バルーンの較正によって決定されたある閾値の下まで低下したピークの前後の最初のポイントに見出される。ガイドワイヤに沿ったバルーンの中央位置は、これらのポイントの間の中間として特定される。一実施形態において、バルーンの既知の長さを使用して、先端部及び終端部のポイントの間の距離が形状分析モジュール114によって判定され、検知されたバルーン位置の精度の信頼スコアが生成される。膨張式医療器具の位置は、器具を視覚化し、追跡を目的として器具の位置をグローバル座標系内に位置合わせするために、形状分析モジュール114によって使用される。撮像モジュール120は、判定された器具の位置を使用して、膨張式医療器具102のグラフィカルな描写を生成する。別の実施形態において、バルーン位置は長手方向符号化デバイスを使用して特定される。
【0046】
FORSシステムの光ファイバが膨張式医療器具の本体内に直接埋め込まれる、
図4に図示された代替的な実施形態において、光ファイバがガイドワイヤ104内にある実施形態について説明されたものと同様のやり方によって、システム100は、FORSデータを利用して膨張式医療器具102の特性を判定する。
【0047】
図10を参照すると、介入処置のために構成された膨張式医療器具102を追跡し、器具の特性を判定するための方法140が、本原理に従って例示的に図示される。ブロック150において、ガイドワイヤ104が、膨張式医療器具のルーメン116内に位置付けられる。ブロック160において、介入処置中のガイドワイヤの形状が、FORSシステムによって判定される。
【0048】
ブロック170において、FORSシステムからのFORSデータ111が分析される。例えば、本発明のシステム100について既に説明されたように、FORSデータ111は、膨張式器具の曲率データ又は3次元的ポイント追跡データを使用した計算によって分析される。
【0049】
ブロック180において、膨張式医療器具が追跡され、膨張式医療器具の特性が、FORSシステムからのFORSデータ111に基づいて判定される。例えば、膨張式器具の直径、器具の加圧、及び器具が破裂したか否かなどを含む特性が、本発明のシステム100について既に説明されたやり方によって判定される。器具を追跡し、器具をグローバル座標系内に位置合わせするために、器具の位置も判定される。
【0050】
一実施形態において、方法は、膨張式医療器具の特性に基づいて、画像を生成する追加的なステップを有する。生成される画像は、重畳、ガイドワイヤの仮想画像、膨張式医療器具の仮想画像などである。
【0051】
図12は、本原理による、介入処置のために構成された膨張式医療器具102を追跡し、器具の特性を判定するための方法140の別の実施形態を図示する。ブロック190において、膨張式医療器具のモデルを決定するために、記憶されたルックアップテーブルが読み込まれる。ルックアップテーブルは、好ましくは、ワークステーション101のメモリ108に記憶される。ブロック200において、FORSシステム106の光ファイバ107のセグメントは、介入処置中に膨張式医療器具内に配置される。光ファイバは膨張式医療器具のルーメン内に位置付けられたガイドワイヤ内に一体化されてもよく、又は光ファイバは膨張式医療器具に直接埋め込まれてもよい。一実施形態において、膨張式医療器具のルーメン116内に位置付けられたガイドワイヤ内に光ファイバを配置するために、長手方向符号化デバイス及び方法が使用される。ブロック160において、介入処置中の膨張式医療器具内のFORSデバイスの形状が、FORSシステムによって判定される。
【0052】
ブロック170において、FORSシステムからのFORSデータ111が分析され、膨張式医療器具の特性がFORSシステムからのFORSデータ111に基づいて判定される。ブロック215において、FORSデータから判定された特性がルックアップテーブルに入力され、仮想バルーンの表示が更新される。ブロック220において、バルーンモデルパラメータが、X線透視又はユーザ入力を介してなどによって、更に更新される。ブロック230において、仮想バルーンが、バルーンセグメントにおけるFORSデバイス上への重畳として表示される。重畳は、ライブ画像又は術前画像上に表示される。
【0053】
図13は、本原理による、介入処置のために構成された膨張式医療器具102を追跡し、器具の特性を判定するための方法140の別の実施形態を図示する。ブロック240において、膨張式器具のモデル種類が、ユーザ、RFID技術、又は自動的検知のいずれかによって特定される。ブロック195において、膨張式医療器具のモデルのためのパラメータを決定するために、記憶されたモデルパラメータが読み込まれる。ブロック200において、FORSシステム106の光ファイバ107のセグメントが、長手方向符号化デバイス及び方法、又は当技術分野において知られる他の手段によって、介入処置中に膨張式医療器具内に配置される。ブロック160において、介入処置中の膨張式医療器具内のFORSデバイスの形状が、FORSシステムによって判定される。
【0054】
ブロック170において、FORSシステムからのFORSデータ111が分析され、膨張式医療器具の特性がFORSシステムからのFORSデータ111に基づいて判定される。ブロック225において、FORSデータから判定された特性が、仮想バルーンの表示を更新するために、パラメータ化されたモデルに入力される。ブロック230において、仮想バルーンが、バルーンセグメントにおけるFORSデバイス上への重畳として表示される。重畳は、ライブ画像又は術前画像上に表示される。ブロック220において、バルーンモデルパラメータが、X線透視又はユーザ入力を介してなどによって、更に更新される。
【0055】
FORSシステムによって膨張式医療器具を追跡し、その特性を判定するこれらの方法は、膨張式医療器具を利用した処置中又はそれに支援された治療中の対象者への放射線量の必要量の減少をもたらす。更には、FORSデバイスをガイドワイヤに一体化した方法は、光ファイバが埋め込まれた器具が特別に製造されることを必要とせず、FORSが標準的な膨張式医療器具において使用されることを可能にする。このことは、方法に関連する膨張式医療器具の製造のための複雑性及びコストにおいて著しい節約を提供する。
【0056】
上述の教示に照らして、修正及び変形が当業者によってなされ得ることに留意されたい。従って、開示された本開示の特定の実施形態において、添付の特許請求の範囲によって概説されるような本明細書において開示された実施形態の範囲内の変更がなされ得ることを理解されたい。
【0057】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に、以下のことを理解されたい。
a)「備える(comprising)」という語は、所与の請求項に列挙されたもの以外の要素又は動作の存在を排除するものではない。
b)ある要素に先行する「a」又は「an」という語は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。
c)特許請求の範囲における任意の参照符号はそれらの範囲を限定するものではない。
d)いくつかの「手段(means)」は、同一のアイテム、ハードウェア又はソフトウェアにより実現される構造若しくは機能によって表され得る。
e)特に示されない限り、動作の特定の順序が必要とされることは意図されない。
【0058】
FORSデータを使用して膨張式医療器具を追跡し、その特性を判定するためのシステム及び方法(これらは例示的なものであって、限定ではないことが意図される)について好ましい実施形態を説明したが、上述の教示に照らして、修正及び変形が当業者によってなされ得ることに留意されたい。従って、開示された本開示の特定の実施形態において、添付の特許請求の範囲によって概説されるような本明細書において開示された実施形態の範囲内の変更がなされ得ることを理解されたい。このように、特許法により特に要求される詳細を説明したが、特許請求され、特許証によって保護されることが望まれるものは、添付の特許請求の範囲に記載される。