(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態のケーブル配索構造は、例えば、ガイドレール等として用いられるベース部材にケーブルガイド部材が取り付けられて、ベース部材に沿って配索されるケーブルを、ベース部材に沿うケーブルの配索経路から外れないようにする。
【0012】
本実施の形態におけるケーブル配索構造は、ベース部材に沿って配索されるケーブルを、ベース部材に沿う経路から外れないように規制するものであれば、どのような装置にも用いることができる。例えば、ケーブルを移動することによりケーブルに接続されるキャリア部材を移動させる装置等に適用できる。ケーブル配索構造は、例えば、キャリア部材に接続される窓ガラスを昇降する窓ガラス昇降装置に適用できる。
本実施の形態では、ケーブル配索構造を用いる窓ガラス昇降装置としてのウインドウレギュレータに用いた例を挙げて説明する。
【0013】
<窓ガラス昇降装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施の形態に係るケーブル配索構造を用いた窓ガラス昇降装置を模式的に示す正面図であり、
図2は、
図1に示す窓ガラス昇降装置の左側面図である。
窓ガラス昇降装置10は、移動ためのベース部材として用いられるガイドレール20、ケーブル30、ケーブルガイド部材40、ガイドレール20に案内されるキャリア部材60、及び駆動部70を有する。ケーブル30はキャリア部材60及び駆動部70と接続されており、駆動部70の駆動によりケーブル30が移動し、これに伴いキャリア部材60が移動する。
【0014】
窓ガラス昇降装置10は、キャリア部材60に接続された窓ガラスWを移動させる装置である。本実施の形態の窓ガラス昇降装置10は、例えば、図示しない車両のドアのインナーパネルとアウターパネルとの間に固定され、ドアの窓(例えば窓ガラスW)を移動させて昇降する。
キャリア部材60の移動方向は、移動対象物である窓ガラスWの昇降方向を基準として規定される上下方向である。窓ガラス昇降装置10は、窓ガラスWを昇降することにより、車両においてドアパネル上部に形成される開口の開放或いは閉塞を行う。
【0015】
[ガイドレール20]
ガイドレール20は、キャリア部材60の移動を案内し、キャリア部材60を移動可能に支持する。ガイドレール20には、キャリア部材60がガイドレール20の軸周り方向に回転を抑制するリブ等の回転規制部が長手方向に設けられている。
ガイドレール20は、本実施の形態では、キャリア部材60の移動方向に長く、ほぼ同一形状の横断面が長手方向に延びるレールである。
【0016】
ガイドレール20は、一方の縁部20cと、一方の縁部20cとは反対側の縁部である他方の縁部20dと、ケーブル30の延在方向と略平行な一方の面22及び他方の面24とを有する。
ガイドレール20は、本実施の形態では、側面視して、正面側(一方の面22側に相当)の中央部が凸状となるように湾曲している。
ガイドレール20では、キャリア部材60が、他方の縁部20dに移動可能に嵌合し、他方の縁部20dに沿って、一方の面22上を移動自在に支持される。
ガイドレール20は、例えば、上下方向に延在するように配置される。ガイドレール20には、一端側、ここでは下端20a側に、ドラム74が回転可能に設けられ、他端側、ここでは上端20b側に方向転換部材80が配置される。なお、本実施の形態では、ガイドレール20の延在方向、並びに、上昇用ケーブルであるケーブル30及び下降用ケーブルであるケーブル31の移動方向はいずれも、キャリア部材60の上下方向移動に合わせた上下方向であるが、これに限らず、キャリア部材60の移動方向が上下方向とは異なる方向であれば、例えば、左右方向等どのような方向であってもよい。これらの移動方向は、移動対象物の移動方向に応じて、適宜設定することができる。
【0017】
ガイドレール20では、一方の縁部20cにおいて、ケーブルガイド部材40が、ガイドレール20の他方の面(例えば、
図1で示す背面)24側に突出するように取り付けられている。なお、ケーブルガイド部材40は、ガイドレール20に対して、ガイドレール20の被係合部202及び被接続部204を介して取り付けられる(
図3及び
図4参照)。これら被係合部202及び被接続部204の詳細については、後述するケーブルガイド部材40とともに説明する。
【0018】
[方向転換部材80]
方向転換部材80は、ガイドレール20上においてケーブル30の移動方向を転換する部材である。
方向転換部材80は、一端がキャリア部材60に接続され、他端がドラム74に接続されたケーブル(30、31)のうちキャリア部材60を上昇させる上昇用のケーブル30が掛けられる。
方向転換部材80は、具体的には、ガイドレール20の下端20a側に配置されたドラム74から上端20b側に向かって延在する上昇用のケーブル30が巻掛けられて、上昇用のケーブル30の移動方向を転換する。
【0019】
方向転換部材80は、上昇用のケーブル30の延びる方向を転換し、上昇用のケーブル30の一端側を下方に引き下げる運動が、他端側を上方に引き上げる運動へと転換される。
方向転換部材80は、例えば、上昇用のケーブル30が巻掛けられるプーリ82と、プーリ82が一端側で回転自在に取り付けられ、他端側でガイドレール20の上端20bに固定されるプーリ軸84とを有する。なお、プーリ82には、上昇用のケーブル30が掛けられる図示しないケーブル溝が形成される。具体的には、円盤状の部材であるプーリ82の円盤外周に、同形状をもつ2つのフランジが設けられており、これら2つのフランジ間の小径部がケーブル溝として周方向に延在する。プーリ82は、例えば、樹脂製である。
【0020】
プーリ軸84は、プーリ82の回転軸であり、ガイドレール20に固定されることにより、プーリ82をガイドレール20に回転自在に支持させる。なお、プーリ82の近傍に、プーリ82のケーブル溝に巻掛けられた上昇用のケーブル30が、上昇用のケーブル30の張力が弱まる等により弛むことにより、プーリ82のケーブル溝から外れて離脱することを防止する外れ止部材を設けてもよい。
【0021】
[ケーブル30、31]
ケーブル30、31は、キャリア部材60を、
図1において矢印で示す上下方向に移動させる部材である。
ケーブル30、31としては、公知のワイヤを用いることができ、例えば、金属素線及び樹脂繊維素線のうちの少なくとも一方を複数用いて撚り合わせたワイヤを用いることができる。
ケーブル30、31は、その方向が例えば方向転換部材80により転換されることが可能な、可撓性を有する。
【0022】
ケーブル30、31の一端には、キャリア部材60が接続され、他端には駆動部70が接続される。
ケーブル30は、本実施の形態では、上昇用のケーブルであり、ケーブル31は、下降用のケーブルである。
【0023】
ケーブル30は、キャリア部材60を上方に牽引するものであり、一端がキャリア部材60に連結され、上部の方向転換部材80のプーリ82に掛け回されて、他端が駆動部70のドラム74に連結されている。ケーブル30は、駆動部70と方向転換部材80との間の領域においては、ガイドレール20の一方の縁部20c側に、一方の縁部20cに沿って、張力を付与された状態で上下方向に沿って直線状に配置される。
ケーブル30は、方向転換部材80と、キャリア部材60との間の領域においては、ガイドレール20の他方の縁部20dに沿って、ガイドレール20の他方の縁部20d上に、張力を付与された状態で上下方向に沿って直線状に配置されている。
【0024】
ケーブル31は、キャリア部材60と駆動部70との間の領域に配置され、一端がキャリア部材60に接続され、キャリア部材60から下方に延在し、他端が、駆動部70のドラム74に接続されている。
【0025】
駆動部70がドラム74にケーブル30を巻くよう駆動し、ケーブル30を牽引すると、キャリア部材60は、上方に牽引されて、上昇する。このときケーブル31は、ドラム74から繰り出される。
駆動部70がドラム74にケーブル31を巻くように駆動し、ケーブル31を下方に牽引すると、キャリア部材60は、下方に牽引されて下降する。このときケーブル30はドラム74から繰り出される。
このように、キャリア部材60は、ケーブル30、31の上下方向移動によって駆動部70の駆動と連動して上下方向に移動する。
【0026】
[キャリア部材60]
キャリア部材60は、ケーブル30を介して駆動部70により移動される。
キャリア部材60は、ガイドレール20に嵌合し、ガイドレール20に案内されて、ガイドレール20の延在方向に沿って移動する。
本実施の形態では、キャリア部材60は、ウインドウレギュレータのキャリアプレートであり、窓ガラスWの下端部を保持するとともに、ガイドレール20に沿って窓ガラスWの昇降方向に案内される。
キャリア部材60は、ガイドレール20の一端側(
図1では下端20a側)と他端側(
図1では上端20b側)間で移動し、移動対象物である窓ガラスWを移動させる。
【0027】
[駆動部70]
駆動部70は、ケーブルの他端、具体的には、ケーブル30及びケーブル31の他端がそれぞれ接続される。
駆動部70は、ケーブル30、31を介してキャリア部材60を昇降移動する。
駆動部70は、電気的に駆動するモータ72と、ドラム74と、モータ72の回転運動をドラム74に伝達する例えば、ウォームギヤ等の図示しない動力伝達部とを有する。駆動部70は、モータ72を順方向と逆方向とに回転駆動し、この回転駆動によりドラム74が順方向と逆方向とに回転する。
【0028】
本実施の形態では、ドラム74は、ガイドレール20の一端側、
図1では下端20a側で回転可能に保持される。ドラム74は、駆動部70の回転駆動において、順方向の回転と、逆方向の回転とを行う。ドラム74には、ケーブル30とケーブル31とが、互いに逆向きに巻かれる。ドラム74は、回転方向によって、ケーブル30を巻き込んでケーブル30を引っ張るか、ケーブル31を巻き込んでケーブル31を引っ張る。ドラム74は、ケーブル30を巻き込むときにはケーブル31を繰り出し、ケーブル31を巻き込むときにはケーブル30を繰り出す。駆動部70は、本実施形態においては、ガイドレール20の端部に設けられているが、ガイドレール20から離れて配置されてもよい。
【0029】
[ケーブルガイド部材40]
図3は、窓ガラス昇降装置におけるケーブル配索構造の要部構成を模式的に示す斜視図であり、
図4Aは、
図3におけるA−A線断面図であり、
図4Bは
図3におけるB−B線断面図である。
ケーブルガイド部材40は、ベース部材を用いたガイドレール20に取り付けられ、ケーブル30をガイドレール20に沿って配索されるように案内する。
ケーブルガイド部材40は、ケーブル30を、ガイドレール20に沿うケーブル30の配索経路から離脱不能に、ガイドレール20とともに規制する。
【0030】
ケーブルガイド部材40は、ガイドレール20に沿って配索されるケーブル30の両端中間の直線状部302を支持する。
ケーブル30の両端は、本実施の形態では、ガイドレール20に沿って延在する方向で離間する両端であり、ドラム74と方向転換部材80とに接続される部位である。ケーブル30の両端中間の直線状部302は、ガイドレール20に沿って配索されるケーブル30において、ドラム74と方向転換部材80との間に配索される直線状の部位を意味する。
ケーブルガイド部材40は、一方の縁部42aと他方の縁部42bとを有する支持部42と、一方の縁部42a側に立設する第一立設部44と、他方の縁部42b側に立設する第二立設部46とを有する。
【0031】
支持部42は、ケーブル30がケーブル30の配索経路に配索されるように、ケーブル30を支持する。
支持部42は、面状部にケーブル30の直線状の部分の直線状部302が配索されており、ケーブル30の配索方向と交差する方向において一方の縁部42aと他方の縁部42bとが、ケーブル30の直線状部302を挟むように位置する幅を有する。
支持部42は、本実施の形態では、一方の縁部42aと他方の縁部42bを幅方向両端とし、面状部は、ケーブル30の延在方向に延びるように形成されている。面状部は、第一立設部44及び第二立設部46が延びる側の面であり、本実施形態においては、支持部42のケーブル30に面する側の面42cとなっている。
【0032】
第一立設部44は、ケーブルガイド部材40をガイドレール20に取り付ける機能を有し、第二立設部46は、ケーブルガイド部材40をガイドレール20に接続する機能を有する。
第一立設部44及び第二立設部46は、支持部42においてケーブル30を支持する面状部から立ち上がるように設けられている。
第一立設部44及び第二立設部46は、ガイドレール20にケーブルガイド部材40が取り付けられた際に、支持部42上のケーブル30の直線状部302の両側方にそれぞれ配置され、支持部42とともにケーブル30の直線状部302を3方から囲む。
【0033】
第一立設部44と第二立設部46は、第一立設部44と第二立設部46との間にケーブル30の直線状部302が配置される間隔を空けて配置されている。
第一立設部44は、ガイドレール20と係合し、第二立設部46は、ガイドレール20に接続される。
本実施の形態では、第一立設部44は、ガイドレール20の被係合部202に係合し、第二立設部46は、ガイドレール20の被接続部204に接続する。
【0034】
被係合部202及び被接続部204は、ケーブルガイド部材40が取り付けられる構成であればどのように形成されてもよいが、本実施の形態では、被係合部202及び被接続部204は、一方の縁部20cから、ガイドレール20の横方向に延びるように突設された板状部である。
【0035】
第一立設部44は、支持部42の縁部42a側から突出する第一立設部本体441と、第一立設部本体441の突出端部に接続され、ガイドレール20の被係合部202と係合する係合部442とを有する。
第一立設部本体441は、支持部42上のケーブル30の直線状部302が、一方の縁部42aから外部へ移動することによるケーブルガイド部材40からの離間を規制する。
【0036】
係合部442は、ケーブルガイド部材40がガイドレール20に取り付けられた状態でケーブル30が配索された配索状態において、ケーブル30が支持部42と当接することにより支持部42が受ける力の方向に、ガイドレール20の被係合部202と係合する。
係合部442が被係合部202に係合することにより、ケーブルガイド部材40はガイドレール20に外れないように取り付けられた状態となる。
【0037】
具体的には、本実施の形態において、ケーブルガイド部材40がガイドレール20に取り付けられた状態でケーブル30が配索された配索状態とは、ケーブルガイド部材40が支持するケーブル30は、湾曲するガイドレール20の両端20a、20b間に張設された状態である。すなわち、ケーブル30には張力がかかり、ガイドレール20において凸側の一方の面22側から他方の面24に移動する力が加わり、ケーブル30が支持部42と当接し、これにより、支持部42がケーブル30から力を受けることになる。この支持部42が受ける力の方向に、係合部442は、被係合部202に対して係合する。
【0038】
第一立設部44と第二立設部46とは、ケーブル30の延びる方向に離間して支持部42に設けられている。
本実施の形態では、第二立設部46は、ケーブル30の延びる方向に離間して、第一立設部44を挟むように、支持部42に2つ設けられている。
【0039】
係合部442は、ガイドレール20に係合することにより、ケーブルガイド部材40をガイドレール20に固定するものであればどのように構成されてもよい。
【0040】
本実施の形態では、係合部442は、第一立設部44が支持部42から延びる方向に突出する凸部444を有し、被係合部202に設けられた孔208に挿入して係合可能となっている。孔208は、被係合部202に凸部444を挿入可能に設けられている。
具体的には、係合部442は、被係合部202の第一面222と当接する第一当接部4422と、被係合部202の第二面224と当接する第二当接部4424と、先端に凸部444が設けられた弾性片4446とを有する。
【0041】
なお、被係合部202の第一面222と第二面224は、ケーブル30が配索される方向と略平行な面であり、第一面222と、第一面222と反対側の第二面224である。これら第一面222及び第二面224は、本実施の形態では、ガイドレール20の表裏面のうちの一方の面22と、他方の面24とにそれぞれ対応する。
【0042】
本実施の形態では、第一当接部4422と第二当接部4424とによる挟持方向は、レール部材、つまりは、ガイドレール20の厚み方向であり、ケーブル30の配索方向と、ガイドレール20の幅方向(ケーブルガイド部材40の縁部が離間する方向)との双方に交差する方向である。
第一当接部4422と、第二当接部4424とは、第一立設部本体441の端部(突出端部)から他の縁部42b側に向かって凹状に突出するように形成されている。
【0043】
第一当接部4422と第二当接部4424は、被係合部202を挟持可能である。
【0044】
本実施の形態の弾性片4446は、第二当接部4424に設けられ、一方の縁部42a側から他方の縁部42b側に向かって延出され、その先端に凸部444が形成されている。
【0045】
これにより、荷重を受けたケーブル30が支持部42へ移動或いは係合部442に移動しても、凸部444と孔208と係合状態は維持され、互いを係合させるだけで、ガイドレール20にケーブルガイド部材40を確実に取り付けることができる。
【0046】
特に、ケーブル30が支持部42側に移動する荷重を受けた際に、凸部444は、孔208内に挿入されて、外れない。
第一立設部44は、本実施の形態では、係合部442に、ガイドレール20の被係合部202が他方の縁部42b側から挿入されることにより、ガイドレール20に係合する。
このとき、係合部442及び被係合部202の双方は、ケーブル30の直線状部302に対して支持部42と反対側への方向に配置される。
【0047】
これにより、
図4Aに示すように、ケーブル30の直線状部302は、ガイドレール20の被係合部202、第一立設部本体441及び支持部42により、ガイドレール20の一方の縁部20cから外方に離れる方向への移動、及び、正正面(ガイドレール20の表面側)への移動を規制した状態でガイドレール20に取り付けられる。
【0048】
第二立設部46は、第一立設部44との間に直線状部302が配置される間隔を空けて支持部42の縁部42b側から突出する第二立設部本体461と、第二立設部本体461の突出端部に接続され、ガイドレール20と接続する接続部462を有する。
第二立設部46では、接続部462が、ガイドレール20の被接続部204に接続される。
接続部462は、本実施の形態では、被接続部204に対して、被接続部204に掛止して第二立設部46を吊設した状態、つまり、ケーブルガイド部材40をガイドレール20に吊設した状態に接続する。
【0049】
本実施の形態では、接続部462は、支持部42が、張力が付与されたケーブル30から力を受けることにより、加わる力の方向で被接続部204に当接して接続するように構成されている。すなわち、ケーブルガイド部材40がガイドレール20に取り付けられてケーブル30を支持する状態においては、接続部462は、ケーブル30による荷重により被接続部204を押圧することになり、被接続部204に掛止して吊り下げられた状態となっている。
【0050】
第一立設部44と第二立設部46とは、ケーブル30の延びる方向に離間して支持部42に設けられている。
本実施の形態では、第二立設部46は、ケーブル30の延びる方向に離間して、第一立設部44を挟むように、支持部42に複数設けられている。
これにより、ケーブルガイド部材40では、支持部42上に配置されたケーブル30の直線状部302は、支持部42の一方の縁部42a側の第一立設部44と、支持部42の他方の縁部42b側の第二立設部46、46との間に配置される。
【0051】
また、第一立設部44は、支持部42の上方で係合部442においてガイドレール20の被係合部202に係合し、第二立設部46、46は、支持部42の上方でガイドレール20の被接続部204に接続されている。
これにより、支持部42上のケーブル30の直線状部302は、支持部42と、第一立設部44の第一立設部本体441と、第二立設部46の第二立設部本体461と、第一立設部44の係合部442及び係合部442に係合するガイドレール20の被係合部202とによりその周囲が完全に囲まれた空間(
図3に示すケーブル収容空間S)内に配置された状態となっている。なお、
図3に示すケーブル収容空間Sは、支持部42上において、支持部42と、第一立設部44と、一つの第二立設部46との間で形成される空間のみ示すが、支持部42と、第一立設部44と、第一立設部44を挟む2つの第二立設部46、46との間にそれぞれ形成される。
【0052】
[ケーブル配索構造100の組立方法]
ケーブル配索構造100、具体的には、ケーブル配索構造100を用いた窓ガラス昇降装置10の組立は、駆動部70、方向転換部材80、キャリア部材60及びケーブル30、31が取り付けられたガイドレール20に、ケーブルガイド部材40を取り付けることにより、組み立てられる。
【0053】
すなわち、ガイドレール20では、駆動部70とキャリア部材60とを接続するケーブル30、31を、方向転換部材80に掛け回されてケーブル30が配索された配索状態となっている。このとき、ケーブル30は、ガイドレール20の一方の縁部20c側において、ガイドレール20の両端20a、20bのドラム74及び方向転換部材80の間の領域に架設されている。
【0054】
次いで、ガイドレールの一方の縁部20c側に、ケーブルガイド部材40を取り付ける。この取り付け作業において、まず、ケーブルガイド部材40の支持部42、第一立設部44及び第二立設部46との間にケーブル30の直線状部302を挿入して配置する。
【0055】
係合部442を有する第一立設部44と第二立設部46とが、ケーブル30が延びる方向に離間して支持部42に設けられているので、双方がケーブル30の延びる方向で接近して配置される構造と比較して、第一立設部44及び第二立設部46の間に挿入しやすい。次いで、第二立設部46の接続部462を被接続部204に掛止させた状態で、第一立設部44の係合部442を被係合部202に係合させて、ガイドレール20に、ケーブルガイド部材40を取り付ける。
これにより、支持部42に配置されたケーブル30の軸周り方向に、ケーブル30が離脱不能な閉構造が形成された配索構造100が組み立てられる。
【0056】
他方の面24側に凸となるように湾曲するガイドレール20の両端20a、20b間に張設されるケーブル30は、一方の面22側から他方の面24側に張力がかかり、支持部42に当接して支持部42に力が掛かる。
係合部442と被係合部202とは、ケーブル30が支持部42と当接することにより支持部42が受ける力の方向に係合する係合関係を形成しているので、互いの係合状態が強固になり互いに離脱することがない。
また、第二立設部46の接続部462は、支持部42がケーブル30から受ける力の方向に被接続部204を押圧して接続され、ケーブルガイド部材40がガイドレール20に吊り下がる状態で確実に接続した状態となる。
【0057】
このように係合部442と被係合部202とを係合させるだけでガイドレール20にケーブルガイド部材40が係合し、且つ、接続部462が被接続部204に押し付けられて吊り下げた状態で取り付けられて、容易にケーブル配索構造を実現することができる。
【0058】
また、本実施の形態のケーブル配索構造100は、ベース部を用いたガイドレール20に、ケーブルガイド部材40を取り付けて、ガイドレール20に沿って配索されるケーブル30の両端中間の直線状部302を支持する。
ケーブル30の直線状部302は、ケーブルガイド部材40において、支持部42上で、第一立設部44及び第二立設部46との間に配置され、第一立設部44の係合部442はガイドレール20の被係合部202に係合し、第二立設部46の接続部462は、ガイドレール20の被接続部204に接続されている。
【0059】
これにより、直線状部302は、支持部42、第一立設部44、第二立設部46、第一立設部44の係合部442に被係合部202で係合するガイドレール20により、3次元的に周囲を囲まれて配置された状態となっている。
【0060】
すなわち、ケーブルガイド部材40は、ベース部材、本実施の形態では、ガイドレール20とともに、ガイドレール20に取り付けられた状態でケーブル30が配索された配索状態において、支持部42に配置されたケーブル30の軸周り方向に、ケーブル30が離脱不能な閉構造を形成している。
よって、取り付けが容易であり、ケーブル30が抜けにくいケーブルガイド部材40を用いたケーブル配索構造を実現できる。
【0061】
また、本実施の形態のケーブル配索構造100におけるケーブルガイド部材40は、ガイドレール20の被接続部204に対して吊り下げて接続する構成であるため、被接続部204が湾曲する形状であっても、その湾曲形状に対応させて湾曲形状に形成する必要が無い。よって、形状が簡素化され、ケーブルガイド部材40を、樹脂等を用いて製造する際の歩留まりを良好にできる。
【0062】
なお、本実施の形態では、第一立設部44及び第二立設部46を支持部42から突出する第一立設部本体441、第二立設部本体461と、第一立設部本体441、第二立設部本体461から屈曲して設けられた係合部442及び接続部462とによりL字状に形成したが、これに限らない。第二立設部46は、ガイドレール20に吊り下げられる形状であれば、どのような形状に形成されてもよい。
【0063】
また、凸部444は、第二当接部4424側に設けたが、凸部444が、第一立設部44が支持部42から延びる方向、つまり、支持部42からの第一立設部44の立ち上がり方向に沿う方向に突出する形状であり、孔208に係合すれば、どのように設けられてもよい。例えば、凸部444は、第一当接部4422において、第一立設部44に設けてもよい。
【0064】
[ケーブルガイド部材の変形例]
図5は、本実施の形態1におけるケーブルガイド部材の変形例を示す図である。
図5に示すケーブルガイド部材200は、ケーブルガイド部材40と同様の基本的構成を有する。よって、同様の構成要素については、同名称を付してその作用効果の説明は省略する。
【0065】
ケーブルガイド部材200は、ベース部材として用いたガイドレール300に取り付けられて、ガイドレール300に沿って配索されるケーブル30の両端中間の直線状部302を支持するケーブル配索構造を構成する。
ケーブルガイド部材200は、一方の縁部212と他方の縁部214とを有する支持部210と、一方の縁部212側に立設する第一立設部220と、他方の縁部214側に立設する第二立設部230とを有する。
ケーブルガイド部材200は樹脂製であり、ケーブル30を円滑に案内する。
支持部210は、ケーブルの延びる方向に沿って湾曲した支持面210aを有し、この支持面上において配索されるケーブル30の直線状部302を支持する。
【0066】
第一立設部220と第二立設部230とは、ケーブル30が延びる方向に離間して支持部に設けられている。
第一立設部220と第二立設部230とは、第一立設部220と第二立設部230との間にケーブル30の直線状部302が配置される間隔が空くように、支持部210に立設されている。
第一立設部220は、上部にガイドレール300の被係合部310と係合する係合部240を有する。
係合部240は、他方の縁部214側に開口する開口241と、開口241を形成する第一当接部242と、第二当接部244と、先端に凸部245が設けられた弾性片246とを有する。
【0067】
係合部240の開口241には、ガイドレール300の被係合部310が挿入される。 第一当接部242及び第二当接部244は、開口241に挿入される被係合部310を挟持する。係合部240の外周壁がガイドレール300の延びる方向の被係合部310の端面と当接して、ケーブルガイド部材200がガイドレール300の延びる方向へ移動するのを抑制している。
ケーブルガイド部材200では、凸部245は、ケーブル30の延びる方向に複数並べて設けられている。
【0068】
第二立設部230は、ガイドレール300の被接続部320と接続する接続部250を有する。
接続部250は、ガイドレール300への取り付け方向に開口するU字状に形成されており、ケーブルガイド部材200では、被接続部320に吊設されるとともに、被接続部320を挟むように構成されている。
すなわち、接続部250は、U字状の上端面を形成する上面部252と、上面部252の下方、つまり支持部210側に、上面部252と対向する下面部254とを有し、上面部252が被接続部320を一面側から押圧し、下面部254は被接続部320の第二面部と対向して配置される。
また、接続部250は、支持部210の他方の端部214から垂直に立設する第二立設部本体232の上端部から第一立設部220側へ突出して設けられている。このように接続部250、つまり、第二立設部230の上端部は、第一立設部220側に突出しているので、接続部250の第一立設部220側の端部下方には、広い切り欠き空間234が形成されている。これにより、支持部210上に配置されるケーブル30は、支持部210から離れる方向への移動を規制する。
【0069】
一方、ケーブルガイド部材200が取り付けられるベース部材としてのガイドレール300には、被係合部310と被接続部320とが、第一立設部220及び第二立設部230と対応する位置に設けられている。
被係合部310及び被接続部320は、ガイドレール300の一方の端部からガイドレール300の表面と平行に突出する板状体である。被係合部310及び被接続部320は、ケーブル30が配索される方向と略平行な第一面310aと第一面310aと反対側の第二面310bとを有する。被係合部310及び被接続部320は、ガイドレール300と一体に形成されていることが好ましい。被係合部310には、凸部245に対応して凸部245を挿入可能な複数の孔318が形成されている。
ガイドレール300にケーブルガイド部材200を取り付ける際には、ケーブルガイド部材200の支持部210と、第一立設部220及び第二立設部230とにより囲まれる空間内に、ケーブル30を配置する。
【0070】
次いで、ガイドレール300の被係合部310をケーブルガイド部材200の係合部240の開口241に挿入する。同様に、ガイドレール300の被接続部320を第二立設部230の接続部250のU字状の開口内に挿入する。
このようにして、ケーブルガイド部材200は、ガイドレール300に、接続部250の上面部252が被接続部320にケーブル30の張力により押圧されることにより吊設されるとともに、係合部240は、被係合部310に係合する。係合部240と被係合部310との係合状態は、第一当接部242と第二当接部244とにより、被係合部310の第一面310aと第二面310bとを挟持しつつ、孔318に凸部245が挿入された状態である。
【0071】
このようにケーブルガイド部材200とガイドレール300とは、ケーブルガイド部材200がガイドレール300に取り付けられた状態で、ケーブル30が配索された配索状態において、ケーブル30が支持部210と当接する。これにより、ケーブル30の移動に伴い支持部210が受ける力の方向に、係合部240と被係合部310とが係合する係合関係を形成する。また、支持部210が受ける力の方向においてケーブルガイド部材200は、ガイドレール300に吊り下げられる。
また、ケーブル配索構造と同様に、支持部210上のケーブル30は、第一立設部220、第二立設部230及び、第一立設部220と係合する被係合部310により、その周囲を完全に囲まれた状態となる。すなわち、ケーブルガイド部材200とガイドレールとは、配索状態において支持部210に配置されたケーブル30の軸周り方向に、ケーブル30が離脱不能な閉構造を形成する。
よって、ケーブルガイド部材200は、ベース部材を用いたガイドレール300に取り付けられてケーブル配索構造100と同様の作用効果を有するケーブル配索構造となる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。