特許第6739478号(P6739478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739478
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】熱伝導性シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   H01L23/36 D
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-134770(P2018-134770)
(22)【出願日】2018年7月18日
(65)【公開番号】特開2020-13871(P2020-13871A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2020年4月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 慶輔
(72)【発明者】
【氏名】戸端 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑介
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−92345(JP,A)
【文献】 特開2016−121341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体の一方の面に非粘着性を有し、他方の面に粘着性を有する熱伝導性シートの製造方法であって、
バインダ樹脂に熱伝導性フィラーが含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させ、熱伝導性成形体を形成する工程と、
上記熱伝導性成形体をシート状にスライスし、成形体シートを形成する工程と、
上記成形体シートの両面に剥離フィルムを貼付して、上記成形体シートをプレスすることにより、上記成形体シートのシート本体から滲み出た上記バインダ樹脂の未硬化成分で上記成形体シートの上記両面を被覆し、上記成形体シートの上記両面に粘着性を付与する工程と、
上記成形体シートの一方の面から上記剥離フィルムを剥離して、上記一方の面から上記バインダ樹脂の未硬化成分を除去し、上記成形体シートの上記一方の面に非粘着性を付与する工程と、
上記バインダ樹脂の未硬化成分が除去された上記一方の面に、新たな剥離フィルムを貼付する工程とを有する、熱伝導性シートの製造方法。
【請求項2】
上記成形体シートの上記一方の面から上記剥離フィルムを剥離した後、上記成形体シートを大気圧雰囲気下に所定時間、静置することにより、上記成形体シートの上記一方の面から上記バインダ樹脂の未硬化成分を除去する請求項1に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項3】
上記成形体シートの上記一方の面から上記剥離フィルムを剥離した後、上記成形体シートを加熱乾燥又は減圧雰囲気下に静置することにより、上記成形体シートの上記一方の面から上記バインダ樹脂の未硬化成分を除去する請求項1に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項4】
上記一方の面に貼付される剥離フィルムの剥離強度が、上記他方の面に貼付される上記剥離フィルムの剥離強度よりも高い請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項5】
上記バインダ樹脂が液状シリコーン成分であり、上記熱伝導性フィラーが炭素繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項6】
上記の液状シリコーン成分は、主剤となるシリコーンA液成分と硬化剤が含まれるシリコーンB液成分を有し、上記シリコーンA液成分量が上記シリコーンB液成分量以上に含まれている請求項5に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項7】
上記成形体シートの厚みが、0.2〜0.5mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
【請求項8】
直径19mm、厚み0.3mmの円形の上記熱伝導性シートを、直径が20mm、縦12mmの円柱状の金属で挟んで、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した後に、温度80℃で72時間、静置し、前記円柱状の金属の一方の端面から上記熱伝導性シートがはみ出した距離が1.3mm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子部品等に貼り付け、その放熱性を向上させる熱伝導性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子等の電子部品の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品から発熱する熱をさらに効率よく放熱するために、各種熱源(例えばLSI、CPU、トランジスタ、LED等の各種デバイス)とヒートシンク(例えば放熱ファン、放熱板等)等の放熱部材との間に挟んで用いる熱伝導性シートが用いられている。
【0003】
熱伝導性シートとしては、シリコーン樹脂に無機フィラー等の熱伝導性充填材を分散含有させたものが広く使用されている。このような放熱部材においては、更なる熱伝導率の向上が要求されており、一般には、高熱伝導性を目的として、高分子マトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることにより対応している。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、柔軟性が損なわれたり、無機フィラーの充填率が高いことから粉落ちが発生したりするため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
【0004】
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維等を高分子マトリックス内に充填させることがある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合には、繊維方向に約600〜1200W/mKの熱伝導率を有する。窒化ホウ素の場合には、面方向に約110W/mK、面方向に対して垂直な方向に約2W/mK程度の熱伝導率を有しており、異方性を有することが知られている。このように炭素繊維、鱗片状粒子の面方向を熱の伝達方向であるシートの厚み方向と同じにする。即ち、炭素繊維、鱗片状粒子をシートの厚み方向に配向させることによって、熱伝導を飛躍的に向上させることができる。
【0005】
しかし、これら高分子マトリックスに熱伝導性充填剤を配合した熱伝導樹脂組成物を成形後に硬化させた硬化物をシート状にスライスする時に、均一な厚みにスライスできないと熱伝導性シートの表面に大きな凹凸部が形成され、電子部品と放熱部材との間に挟持した際に、当該凹凸部にエアーを巻き込んでしまい、優れた熱伝導が活かされないという問題があった。
【0006】
また、熱伝導組成物をスライスして熱伝導性シートを製造する方法では、スライスによって形成した熱伝導性シート表面にはタック性(粘着性)がないという問題があった。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1、2では、シリコーンのA剤とB剤の比率を変えることによって高い柔軟性を付与するとともに、プレスまたはPETフィルムに挟んで静置することによって反応に寄与しない成分をブリードさせてタック性を付与するとともに被着体への追従性、密着性を向上させ、熱抵抗を低減させている。また、この熱伝導性シートは、タック性を備えることにより、電子部品とヒートシンクとを組み立てる際の取り扱い性、作業性を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5766335号公報
【特許文献2】特許第5752299号公報
【特許文献3】特許3498823号公報
【特許文献4】特開2010−93077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、熱伝導性シートは、取り扱い性や作業性の点、あるいは電子部品と放熱部材との組み立て時の位置ズレを修正したり、一旦組み立てた後に何らかの事情で解体し、再度組み立てることを可能としたりするなどのリワーク性の点から、片面の粘着性を高くし、他面の粘着性を低くしたものが好ましい。
【0010】
そこで、熱伝導性シートをシリコーンゴムと熱伝導性フィラーとから形成するにあたり、その表面に紫外線照射によって非粘着処理を施すことが提案されている(特許文献3)。
【0011】
また、アクリル系ポリウレタン樹脂に無官能性アクリルポリマーと熱伝導性フィラーを含有させた粘着性熱伝導性シートにおいて、表面層と裏面層でアクリル系ポリウレタン樹脂と無官能性アクリルポリマーの配合比を異ならせ、両層を重ね塗りすることにより、粘着性熱伝導性シートの表裏の粘着性を異ならせることが提案されている(特許文献4)。
【0012】
しかしながら、特許文献3に記載されているように、熱伝導性シートの片面の粘着性を低くするために紫外線照射を行うと、熱伝導性を担う層が劣化することとなる。
【0013】
また、特許文献4に記載されているように、表面層と裏面層でアクリル系ポリウレタン樹脂と無官能性アクリルポリマーの配合比を異ならせ、重ね塗りする場合には、表面層と裏面層が混ざりやすいため、表面層と裏面層の粘着性を、所望通りに変えることが困難となる。
【0014】
この他、熱伝導性シートの表裏の粘着性を異ならせる方法としては、粘着性熱伝導層をアクリル系樹脂と熱伝導性フィラーから形成する場合に、その片面に非粘着性のフィルムを積層する方法も考えられるが、その場合には、フィルム面の物品への付着性が極端に低下するので、熱伝導性シートとしての作業性が劣る。
【0015】
そこで、本技術は、熱伝導性シートの一方の面に粘着性を付与し、他方の面に非粘着性を付与することにより、作業性及びリワーク性が向上された熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本技術に係る熱伝導性シートの製造方法は、シート本体の一方の面に非粘着性を有し、他方の面に粘着性を有する熱伝導性シートの製造方法であって、バインダ樹脂に熱伝導性フィラーが含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させ、熱伝導性成形体を形成する工程と、上記熱伝導性成形体をシート状にスライスし、成形体シートを形成する工程と、上記成形体シートの両面に剥離フィルムを貼付して、上記成形体シートをプレスすることにより、上記成形体シートのシート本体から滲み出た上記バインダ樹脂の未硬化成分で上記成形体シートの上記両面を被覆し、上記成形体シートの上記両面に粘着性を付与する工程と、上記成形体シートの一方の面から上記剥離フィルムを剥離して、上記一方の面から上記バインダ樹脂の未硬化成分を除去し、上記成形体シートの上記一方の面に非粘着性を付与する工程と、上記バインダ樹脂の未硬化成分が除去された上記一方の面に、新たな剥離フィルムを貼付する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、シート本体の一方の面に非粘着性を有し、他方の面に粘着性を有し、作業性及びリワーク性が向上され、ハンドリング性に優れる熱伝導性シートを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本技術が適用された熱伝導性シートを示す断面図である。
図2図2は、熱伝導性成形体をスライスする工程の一例を示す斜視図である。
図3図3は、剥離フィルムを貼付した成形体シートをプレスする工程を示す断面図である。
図4図4は、貼付した成形体シートの表面と剥離フィルムとの間に樹脂被覆層が形成される工程を示す断面図である。
図5図5は、成形体シートの一方の表面から第3の剥離フィルムを除去する工程を示す断面図である。
図6図6は、成形体シートの一方の表面から未硬化成分が除去された状態を示す断面図である。
図7図7は、半導体装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本技術が適用された熱伝導性シートの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
本技術が適用された熱伝導性シートの製造方法は、シート本体の一方の面に非粘着性を有し、他方の面に粘着性を有する熱伝導性シートの製造方法であって、バインダ樹脂に熱伝導性フィラーが含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させ、熱伝導性成形体を形成する工程(工程A)と、上記熱伝導性成形体をシート状にスライスし、成形体シートを形成する工程(工程B)と、上記成形体シートの両面に剥離フィルムを貼付して、上記成形体シートをプレスすることにより、上記成形体シートのシート本体から滲み出た上記バインダ樹脂の未硬化成分で上記成形体シートの上記両面を被覆し、上記成形体シートの上記両面に粘着性を付与する工程(工程C)と、上記成形体シートの一方の面から上記剥離フィルムを剥離して、上記一方の面から上記バインダ樹脂の未硬化成分を除去し、上記成形体シートの上記一方の面に非粘着性を付与する工程(工程D)と、上記バインダ樹脂の未硬化成分が除去された上記一方の面に、新たな剥離フィルムを貼付する工程(工程E)とを有する。
【0021】
上記工程を経て製造された熱伝導性シートは、成形体シートのシート本体に上記バインダ樹脂の反応に寄与しない未硬化成分が担持されており、プレス工程によって該未硬化成分の一部が強制的にシート表面に滲み出されている。シート表面に滲み出された未硬化成分は、剥離フィルムとの間で働く張力によってシート表面に保持され、シート表面を覆う樹脂被覆層を形成することにより、シート表面に粘着性を付与する。
【0022】
この状態からシート本体の一方の表面から剥離フィルムを取り除くと、該一方の表面を覆う未硬化成分が消失し、非粘着性が発現する。これは、プレス工程により強制的に滲み出され、剥離フィルムとの間に保持されていた未硬化成分が、剥離フィルムが除去されたことにより、シート本体内に戻るためと推察される。
【0023】
次いで、未硬化成分が消失したシート本体の一方の表面に新たな剥離フィルムを貼付する。熱伝導性シートは、該新たな剥離フィルムを剥離した後も、一方の表面にはバインダ樹脂の未硬化成分が滲み出ることなく非粘着性が保持される。したがって、上記工程を経て製造された熱伝導性シートは、シート本体の一方の面に非粘着性を有し、他方の面に粘着性を有し、作業性、取り扱い性及びリワーク性が向上される。
【0024】
[熱伝導性シートの構成]
図1に本技術が適用された熱伝導性シート1を示す。熱伝導性シート1は、少なくとも高分子マトリックス成分と熱伝導性充填剤とを含むバインダ樹脂が硬化されてなるシート本体2を有する。シート本体2の一方の面2aは、第1の剥離フィルム3が貼着されている。シート本体2の他方の面2bは、第2の剥離フィルム4が貼着されるとともに、シート本体2から滲み出たバインダ樹脂の未硬化成分によって被覆されることにより、樹脂被覆層5が形成されている。
【0025】
熱伝導性シート1の一方の面2aは、非粘着性を有し、第1の剥離フィルム3が剥離された後にも非粘着性が維持される。また、熱伝導性シート1の他方の面2bは、樹脂被覆層5が形成されることにより粘着性を有し、使用の際に第2の剥離フィルムを剥離することにより所定の位置に貼付可能とされている。
【0026】
これにより、熱伝導性シート1は、電子部品と放熱部材との組み立て時の位置ズレを修正したり、一旦組み立てた後に何らかの事情で解体し、再度組み立てることを可能としたりするなどのリワーク性に優れ、かつ非粘着性が付与された一方の面2aを有することで作業性、取り扱い性に優れる。
【0027】
[高分子マトリックス成分]
シート本体2を構成する高分子マトリックス成分は、熱伝導性シート1の基材となる高分子成分のことである。その種類については、特に限定されず、公知の高分子マトリックス成分を適宜選択することができる。例えば、高分子マトリックス成分の一つとして、熱硬化性ポリマーが挙げられる。
【0028】
前記熱硬化性ポリマーとしては、例えば、架橋ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
なお、前記架橋ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
また、これら熱硬化性ポリマーの中でも、成形加工性及び耐候性に優れるとともに、電子部品に対する密着性及び追従性の点から、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてシリコーン樹脂の種類を適宜選択することができる。
【0031】
上述した成形加工性、耐候性、密着性等を得る観点からは、前記シリコーン樹脂として、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とから構成されるシリコーン樹脂であることが好ましい。そのようなシリコーン樹脂としては、例えば、付加反応型液状シリコーン樹脂、過酸化物を加硫に用いる熱加硫型ミラブルタイプのシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、電子機器の放熱部材としては、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性が要求されるため、付加反応型液状シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0032】
前記付加反応型液状シリコーン樹脂としては、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを主剤、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンを硬化剤とした、2液性の付加反応型シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
【0033】
ここで、液状シリコーン成分は、主剤となるシリコーンA液成分と硬化剤が含まれるシリコーンB液成分を有し、シリコーンA液成分とシリコーンB液成分との配合割合としては、シリコーンA液成分量がシリコーンB液成分量以上に含まれていることが好ましい。これにより、熱伝導性シート1は、シート本体2に柔軟性を付与するとともに、プレス工程によってシート本体2の表面2a,2bにバインダ樹脂(高分子マトリックス成分)の未硬化成分を滲み出させ、他方の面2bに第2の剥離フィルム4との間で樹脂被覆層5を形成することができる。
【0034】
また、本発明の熱伝導性シートにおける前記高分子マトリックス成分の含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、シートの成形加工性や、シートの密着性等を確保する観点からは、15体積%〜50体積%程度であることが好ましく、20体積%〜45体積%であることがより好ましい。
【0035】
[熱伝導性充填剤]
熱伝導性シート1に含まれる熱伝導性充填剤は、シートの熱伝導性を向上させるための成分である。熱伝導性充填剤の種類については、熱伝導性の高い材料であれば特に限定はされず、例えば、炭素繊維等の繊維状の熱伝導性充填剤、銀、銅、アルミニウム等の金属、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、グラファイト等のセラミックス等が挙げられる。これらの繊維状の熱伝導性充填剤の中でも、より高い熱伝導性を得られる点からは、炭素繊維を用いることが好ましい。
【0036】
なお、熱伝導性充填剤については、一種単独でもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、二種以上の熱伝導性充填剤を用いる場合には、いずれも繊維状の熱伝導性充填剤であってもよいし、繊維状の熱伝導性充填剤と別の形状の熱伝導性充填剤とを混合して用いてもよい。
【0037】
前記炭素繊維の種類について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ピッチ系、PAN系、PBO繊維を黒鉛化したもの、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成されたものを用いることができる。これらの中でも、高い熱伝導性が得られる点から、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、ピッチ系炭素繊維がより好ましい。
【0038】
また、前記炭素繊維は、必要に応じて、その一部又は全部を表面処理して用いることができる。前記表面処理としては、例えば、酸化処理、窒化処理、ニトロ化、スルホン化、あるいはこれらの処理によって表面に導入された官能基若しくは炭素繊維の表面に、金属、金属化合物、有機化合物等を付着あるいは結合させる処理等が挙げられる。前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
【0039】
さらに、前記炭素繊維の平均繊維長(平均長軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、50μm〜300μmの範囲であることが好ましく、75μm〜275μmの範囲であることがより好ましく、90μm〜250μmの範囲であることが特に好ましい。
【0040】
さらにまた、前記炭素繊維の平均繊維径(平均短軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、4μm〜20μmの範囲であることが好ましく、5μm〜14μmの範囲であることがより好ましい。
【0041】
前記炭素繊維のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)については、確実に高い熱伝導性を得る点から、8以上であることが好ましく、9〜30であることがより好ましい。前記アスペクト比が8未満であると、炭素繊維の繊維長(長軸長さ)が短いため、熱伝導率が低下してしまうおそれがあり、一方、30を超えると、熱伝導性シート中での分散性が低下するため、十分な熱伝導率を得られないおそれがある。
【0042】
ここで、前記炭素繊維の平均長軸長さ、及び平均短軸長さは、例えばマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)等によって測定し、複数のサンプルから平均を算出することができる。
【0043】
また、熱伝導性シート1における前記繊維状の熱伝導性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4体積%〜40体積%であることが好ましく、5体積%〜35体積%であることがより好ましい。前記含有量が、4体積%未満であると、十分に低い熱抵抗を得ることが困難になるおそれがあり、40体積%を超えると、熱伝導性シート1の成型性及び前記繊維状の熱伝導性充填剤の配向性に影響を与えてしまうおそれがある。また、熱伝導性シート1における繊維状の熱伝導性充填剤を含む熱伝導性充填剤の含有量は、15体積%〜75体積%であることが好ましい。
【0044】
[無機物フィラー]
熱伝導性シート1は、熱伝導性充填剤として、無機物フィラーをさらに含有させてもよい。無機物フィラーを含有させることにより、熱伝導性シート1の熱伝導性をより高め、シートの強度を向上できる。前記無機物フィラーとしては、形状、材質、平均粒径等については特に制限がされず、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、球状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、針状等が挙げられる。これらの中でも、球状、楕円形状が充填性の点から好ましく、球状が特に好ましい。
【0045】
前記無機物フィラーの材料としては、例えば、窒化アルミニウム(窒化アルミ:AlN)、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素(シリコン)、酸化珪素、金属粒子等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカが好ましく、熱伝導率の点から、アルミナ、窒化アルミニウムが特に好ましい。
【0046】
また、前記無機物フィラーは、表面処理が施されたものを用いることができる。前記表面処理としてカップリング剤で前記無機物フィラーを処理すると、前記無機物フィラーの分散性が向上し、熱伝導性シートの柔軟性が向上する。
【0047】
前記無機物フィラーの平均粒径については、無機物の種類等に応じて適宜選択することができる。前記無機物フィラーがアルミナの場合、その平均粒径は、1μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましく、4μm〜5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が1μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがある。一方、前記平均粒径が10μmを超えると、熱伝導性シート1の熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0048】
さらに、前記無機物フィラーが窒化アルミニウムの場合、その平均粒径は、0.3μm〜6.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.0μmであることがより好ましく、0.5μm〜1.5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が、0.3μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがあり、6.0μmを超えると、熱伝導性シート1の熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0049】
なお、前記無機物フィラーの平均粒径は、例えば、粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
【0050】
[その他の成分]
熱伝導性シート1は、上述した、高分子マトリックス成分及び熱伝導性充填剤に加えて、目的に応じてその他の成分を適宜含むこともできる。その他の成分としては、例えば、磁性金属粉、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、微粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。また、磁性金属粉の含有量を調整することにより、熱伝導性シート1に電磁波吸収性能を付与してもよい。
[熱伝導性シートの製造工程]
【0051】
[工程A]
次いで、熱伝導性シート1の製造工程について説明する。上述したように、本技術が適用された熱伝導性シート1の製造工程は、バインダ樹脂に熱伝導性充填剤が含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させ、熱伝導性成形体を形成する工程Aを有する。
【0052】
この工程Aでは、上述した高分子マトリックス成分及び熱伝導性充填剤、適宜含有されるその他の成分を配合し、熱伝導性樹脂組成物を調製する。なお、各成分を配合、調製する手順については特に限定はされず、例えば、高分子マトリックス成分に、熱伝導性充填剤、適宜、無機物フィラー、磁性金属粉、その他成分を添加し、混合することにより、熱伝導性樹脂組成物の調製が行われる。
【0053】
次いで、炭素繊維等の繊維状の熱伝導性充填剤を一方向に配向させる。この充填剤の配向方法は、一方向に配向させることができる手段であれば特に限定はされない。例えば、中空状の型内に前記熱伝導性樹脂組成物を高剪断力下で押し出すこと又は圧入することによって、比較的容易に繊維状の熱伝導性充填剤を一方向に配向させることができ、前記繊維状の熱伝導性充填剤の配向は同一(±10°以内)となる。
【0054】
上述した、中空状の型内に前記熱伝導性樹脂組成物を高剪断力下で押し出すこと又は圧入する方法として、具体的には、押出し成型法又は金型成型法が挙げられる。前記押出し成型法において、前記熱伝導性樹脂組成物をダイより押し出す際、あるいは前記金型成型法において、前記熱伝導性樹脂組成物を金型へ圧入する際、前記熱伝導性樹脂組成物が流動し、その流動方向に沿って繊維状熱伝導性充填剤が配向する。この際、ダイの先端にスリットを取り付けると繊維状熱伝導性充填剤がより配向されやすくなる。
【0055】
中空状の型内に押出し又は圧入された前記熱伝導性樹脂組成物は、当該型の形状、大きさに応じたブロック形状に成型され、繊維状の熱伝導性充填剤の配向状態を維持したまま前記高分子マトリックス成分を硬化させることによって硬化されることにより、熱伝導性成形体が形成される。熱伝導性成形体とは、所定のサイズに切断して得られる熱伝導性シート1の元となるシート切り出し用の母材(成形体)のことをいう。
【0056】
中空状の型及び熱伝導性成形体の大きさ及び形状は、求められる熱伝導性シート1の大きさ、形状に応じて決めることができ、例えば、断面の縦の大きさが0.5cm〜15cmで横の大きさが0.5cm〜15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。
【0057】
前記高分子マトリックス成分を硬化させる方法や条件については、高分子マトリックス成分の種類に応じて変えることができる。例えば、前記高分子マトリックス成分が熱硬化樹脂の場合、熱硬化における硬化温度を調整することができる。さらに、該熱硬化性樹脂が、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とを含有するものである場合、80℃〜120℃の硬化温度で硬化を行うことが好ましい。また、熱硬化における硬化時間としては、特に制限はないが、1時間〜10時間とすることができる。
【0058】
ここで、工程Aでは、高分子マトリックス成分の全量が硬化しているわけではなく、未硬化成分が担持されている。この未硬化成分は、後述する成形体シートのプレス工程においてシート表面に滲み出て、粘着性を有する樹脂被覆層を形成する。
【0059】
[工程B]
本技術が適用された熱伝導性シート1の製造工程は、図2に示すように、熱伝導性成形体6をシート状にスライスし、成形体シート7を形成する工程Bを有する。この工程Bでは、配向した繊維状の熱伝導性充填剤の長軸方向に対して、0°〜90°の角度となるように、熱伝導性成形体6をシート状に切断する。
【0060】
また、熱伝導性成形体6の切断については、スライス装置を用いて行われる。スライス装置については、熱伝導性成形体6を切断できる手段であれば特に限定はされず、公知のスライス装置を適宜用いることができる。例えば、超音波カッターや、かんな(鉋)等を用いることができる。
【0061】
成形体シート7の厚みは、熱伝導性シート1のシート本体2の厚みとなり、熱伝導性シート1の用途に応じて適宜設定することができ、例えば0.2〜0.5mmである。
【0062】
なお、工程Bでは、熱伝導性成形体6から切り出された成形体シート7に切れ込みを入れることにより、複数の成形体シート7に小片化してもよい。
【0063】
[工程C]
本技術が適用された熱伝導性シート1の製造工程は、図3に示すように、成形体シート7の一方の面に第3の剥離フィルム8を貼付し、他方の面に第2の剥離フィルム4を貼付して、成形体シート7をプレスすることにより、成形体シート7のシート本体から滲み出たバインダ樹脂の未硬化成分で成形体シート7の両面を被覆し、成形体シート7の両面に粘着性を付与する工程Cを有する。
【0064】
第2、第3の剥離フィルム4,8は、例えばPETフィルムが用いられる。また、第2、第3の剥離フィルム4,8は、成形体シート7の表面への貼付面に剥離処理を施してもよい。
【0065】
前記プレスについては、例えば、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用して行うことができる。また、ピンチロールを使用してプレスを行ってもよい。
【0066】
前記プレスの際の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低すぎるとプレスをしない場合と熱抵抗が変わらない傾向があり、高すぎるとシートが延伸する傾向があるため、0.1MPa〜100MPaの圧力範囲とすることが好ましく、0.5MPa〜95MPaの圧力範囲とすることがより好ましい。
【0067】
ここで、上述したように、熱伝導性成形体6は、高分子マトリックス成分の全量が硬化しているわけではなく、成形体シート7は、シート本体にバインダ樹脂(高分子マトリックス成分)の未硬化成分が担持されており、図4に示すように、プレス工程によって該未硬化成分の一部が強制的にシート表面に滲み出される。シート表面に滲み出された未硬化成分は、第2、第3の剥離フィルム4,8との間で働く張力によってシート表面に保持され、シート表面を全面にわたって均一の厚さで覆う樹脂被覆層5を形成することにより、シート表面に粘着性を付与する。
【0068】
その他、プレス工程を経ることにより、成形体シートは表面が平滑化され、熱伝導性シート1の密着性を増し、軽荷重時の界面接触抵抗を軽減することができる。
【0069】
[工程D]
本技術が適用された熱伝導性シート1の製造工程は、図5図6に示すように、成形体シート7の一方の面から第3の剥離フィルム8を剥離して、一方の面からバインダ樹脂の未硬化成分を除去し、成形体シートの一方の面に非粘着性を付与する工程Dを有する。
【0070】
成形体シート7は、シート本体の一方の面から第3の剥離フィルム8を取り除くと、該一方の表面を覆う未硬化成分が消失し、非粘着性が発現する。これは、プレス工程により強制的に滲み出され、第3の剥離フィルム8との間に保持されていた未硬化成分が、第3の剥離フィルム8が除去されたことにより、シート本体内に戻るためと推察される。
【0071】
第3の剥離フィルム8の剥離後、一方の面から未硬化成分が消失するまでの間、成形体シート7は、常温、大気圧雰囲気下で静置される。また、第3の剥離フィルム8の剥離後、一方の面から未硬化成分が消失するまでには、所定時間、例えば数分〜数十分程度を要するが、これは未硬化成分を構成する高分子マトリックス成分や一方の面に滲み出た未硬化成分の量等によって前後する。
【0072】
なお、この工程Dは、成形体シート7をオーブンや工業ドライヤ等で加熱乾燥させながら静置することにより、あるいは減圧雰囲気下に静置することにより、もしくわその両方を適用した環境に静置することにより、成形体シート7の一方の面からバインダ樹脂の未硬化成分を除去してもよい。これにより、成形体シート7の一方の面からの未硬化成分の消失を促進させることが期待される。
【0073】
また、一方の面に貼付される第3の剥離フィルム8の剥離強度を、他方の面に貼付される第2の剥離フィルム4の剥離強度よりも高くしてもよい。一方の面に滲み出た未硬化成分は消失、あるいは除去されるものであり、第3の剥離フィルム8は、剥離処理を行う必要性が低く、他方の面に貼付される第2の剥離フィルム4よりも剥離強度が高くてもよい。
【0074】
[工程E]
本技術が適用された熱伝導性シート1の製造工程は、バインダ樹脂の未硬化成分が除去された成形体シートの一方の面に、第3の剥離フィルム8とは異なる第1の剥離フィルム3を貼付する工程Eを有する。これにより、図1に示すように、シート本体2の一方の面2aに非粘着性を有し、他方の面2bに粘着性を有する熱伝導性シート1が形成される。
【0075】
熱伝導性シート1は、第1の剥離フィルム3を剥離した後も、一方の表面2aにはバインダ樹脂の未硬化成分が滲み出ることなく非粘着性が保持される。したがって、上記工程を経て製造された熱伝導性シート1は、シート本体2の一方の面2aに非粘着性を有し、他方の面2bに粘着性を有し、取り扱い性、作業性及びリワーク性が向上される。
【0076】
[使用形態例]
実使用時においては、熱伝導性シート1は、第1、第2の剥離フィルムが剥離され、例えば、半導体装置等の電子部品や、各種電子機器の内部に実装される。このとき、熱伝導性シート1は、シート本体2の一方の面2aに非粘着性が付与され、他方の面2bに粘着性が付与されているため、取り扱い性に優れるとともに、電子部品と放熱部材との組み立て時の位置ズレを修正したり、一旦組み立てた後に何らかの事情で解体し、再度組み立てることを可能としたりするなどのリワーク性にも優れる。
【0077】
熱伝導性シート1は、例えば、図7に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、熱源と放熱部材との間に挟持される。図7に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導性シート1とを少なくとも有し、熱伝導性シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導性シート1を用いることによって、半導体装置50は、高い放熱性を有し、またバインダ樹脂中の磁性金属粉の含有量に応じて電磁波抑制効果にも優れる。
【0078】
電子部品51としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU、MPU、グラフィック演算素子、イメージセンサ等の各種半導体素子、アンテナ素子、バッテリーなどが挙げられる。ヒートスプレッダ52は、電子部品51の発する熱を放熱する部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱伝導性シート1は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。また熱伝導性シート1は、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。
【0079】
熱伝導性シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できることは勿論である。また、放熱部材としては、ヒートスプレッダ52やヒートシンク53以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
【0080】
[形状維持性・信頼性]
なお、熱伝導性シート1は、実使用時において第1、第2の剥離フィルム3,4を剥離する際に形状を維持するとともに、電子部品と放熱部材との間に挟持されることにより、一定荷重が掛けられる高温環境においてもクリープ挙動を抑制し長期信頼性を有することが求められる。
【0081】
このため、熱伝導性シート1は、バインダ樹脂のシリコーンA液成分とシリコーンB液成分との配合割合を適宜調整し、一定荷重が掛けられる高温環境におけるシート本体2の柔軟性を設定してもよい。
【0082】
例えば、直径が20mm、厚み0.3mmの円形の熱伝導性シート1を、直径が20mm、縦12mmの円柱状の治具で挟んで、4.0kgf/cm2の荷重が印加されるように調整した後に、温度80℃で72時間、静置して、治具の一方の端面から熱伝導性シート1がはみ出した距離が1.3mm以下とされる。これは円柱状の冶具の径(20mm)の5%以下の距離となる。
【0083】
これにより、熱伝導性シート1は、実使用時において第1、第2の剥離フィルム、3,4を剥離する際に剥離フィルム3,4に引っ張られて伸びてしまい、変形したり、また破断したりすることなく、形状を維持することができる。また、熱伝導性シート1は、一定荷重がかけられる高温環境においてクリープ挙動を抑制し、長期信頼性を維持することができる。
【実施例】
【0084】
次いで、本技術の実施例について説明する。
【0085】
[実施例1]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、17.5vol%:17.5vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.5mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0086】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0087】
サンプルを厚み0.5mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.6mmであった。
【0088】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.35℃・cm/Wであった。
【0089】
[実施例2]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、17.5vol%:17.5vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0090】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0091】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.6mmであった。
【0092】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.30℃・cm/Wであった。
【0093】
[実施例3]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、17.8vol%:17.2vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0094】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0095】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.8mmであった。
【0096】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.29℃・cm/Wであった。
【0097】
[実施例4]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、18.2vol%:16.8vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0098】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0099】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大1.0mmであった。
【0100】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.28℃・cm/Wであった。
【0101】
[実施例5]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子24体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子22体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維25体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、15.1vol%:13.9vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0102】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0103】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.7mmであった。
【0104】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.26℃・cm/Wであった。
【0105】
[実施例6]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子28体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子23体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維20体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、15.1vol%:13.9vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0106】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0107】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.9mmであった。
【0108】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.38℃・cm/Wであった。
【0109】
[実施例7]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径5μmのアルミナ粒子42体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維23体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、17.5vol%:17.5vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0110】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0111】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.9mmであった。
【0112】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.40℃・cm/Wであった。
【0113】
[実施例8]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、18.5vol%:16.5vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0114】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0115】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大1.1mmであった。
【0116】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.25℃・cm/Wであった。
【0117】
[実施例9]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、19.2vol%:15.8vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスした。プレス後に一方の面の剥離フィルムを剥がして10分間静置し、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0118】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの剥離フィルムを剥がした一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがなくなったことを確認した。その後、新しく用意した剥離フィルムをサンプルの一方の面上に置いてもタックは復元しないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にはタックがあることを確認した。
【0119】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大1.3mmであった。
【0120】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.24℃・cm/Wであった。
【0121】
[比較例1]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミ粒子23体積%及び平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、15.8vol%:19.2vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスし、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0122】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの一方の面の剥離フィルムを剥がし、一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、一方の面にはタックがないことを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動したことから、他方の面にもタックがないことを確認した。
【0123】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大0.8mmであった。
【0124】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.35℃・cm/Wであった。
【0125】
[比較例2]
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径5μmのアルミナ粒子42体積%と、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維23体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、20.3vol%:14.7vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断した。スライスして得られた成形体シートを剥離フィルムに挟み、圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件で成形体シートをプレスし、熱伝導性シートのサンプルを作製した。
【0126】
表1に、熱伝導性シートのサンプルの評価結果を示す。サンプルの一方の面の剥離フィルムを剥がし、一方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、一方の面にはタックがあることを確認した。また、サンプルの他方の面の剥離フィルムを剥がし、他方の面を45°傾けたSUS板上に載せた結果、サンプルが移動しないことから、他方の面にもタックがあることを確認した。
【0127】
サンプルを厚み0.3mm、20mmφに外形加工した熱伝導性シートを20mmφの金属で挟み、4.0kgf/cmの荷重が印加されるように調整した。温度80℃で72時間、静置した後に20mmφの金属からはみ出した熱伝導性シートの距離(はみ出し量)は最大1.6mmであった。
【0128】
サンプルをASTM−D5470に準拠した方法により1.5kgf/cmの荷重を掛けて熱抵抗を測定した結果、0.26℃・cm/Wであった。
【0129】
【表1】
【0130】
表1に示すように、プレス後にシートの一方の面の剥離フィルムを剥がして静置することにより、シートの一方の面に非粘着性を付与することができた。
【符号の説明】
【0131】
1 熱伝導性シート、2 シート本体、3 第1の剥離フィルム、4 第2の剥離フィルム、5 樹脂被覆層、6 熱伝導成形体、7 成形体シート、8 第3の剥離フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7