特許第6739489号(P6739489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6739489PAMデコーダおよびPAMデコード方法と誤り検出装置および誤り検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739489
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】PAMデコーダおよびPAMデコード方法と誤り検出装置および誤り検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20200730BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20200730BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   H04L25/03 E
   H04L1/00 C
   H04L25/49 T
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-169732(P2018-169732)
(22)【出願日】2018年9月11日
(65)【公開番号】特開2020-43480(P2020-43480A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】南 昂孝
【審査官】 吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−220756(JP,A)
【文献】 特開2017−220757(JP,A)
【文献】 特開昭49−122601(JP,A)
【文献】 特開昭50−087215(JP,A)
【文献】 特開平05−014420(JP,A)
【文献】 米国特許第05408498(US,A)
【文献】 特開昭61−043827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/03
H04L 1/00
H04L 25/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコーダ(1)であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器(2a)と、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器(2b)と、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器(2c)とを有し、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路(2)と、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路で構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第3の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路(3)とを備えたことを特徴とするPAMデコーダ。
【請求項2】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコーダ(1)であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器(2a)と、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器(2b)と、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器(2c)とを有し、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路(2)と、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORで構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第1乃至第3の0/1判別器の出力のアナログ加算値を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路(3)とを備えたことを特徴とするPAMデコーダ。
【請求項3】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコーダ(1)であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器(2a)と、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器(2b)と、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器(2c)とを有し、前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧と前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第2の基準電圧と前記第3の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路(2)と、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路で構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第1の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路(3)とを備えたことを特徴とするPAMデコーダ。
【請求項4】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器(2a)にて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器(2b)にて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器(2c)にて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第3の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とするPAMデコード方法。
【請求項5】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器(2a)にて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器(2b)にて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器(2c)にて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORにて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORにて、前記第1乃至第3の0/1判別器の出力のアナログ加算値を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とするPAMデコード方法。
【請求項6】
PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器(2a)にて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器(2b)にて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器(2c)にて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧と前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第2の基準電圧と前記第3の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第1の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とするPAMデコード方法。
【請求項7】
請求項1〜3の何れかのPAMデコーダを用いた誤り検出装置であって、
前記デコード回路(3)にてデコードされた最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)を入力として、前記最上位ビット列信号のレベル、前記最下位ビット列信号の0,1レベル、前記最下位ビット列信号の2,3レベルをそれぞれ測定するレベル測定部(22)と、
前記レベル測定部による測定の結果に基づいて誤り率を算出する誤り率算出部(23)とを備えたことを特徴とする誤り検出装置。
【請求項8】
請求項4〜6の何れかのPAMデコード方法を用いた誤り検出方法であって、
前記デコード回路(3)にてデコードされた最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)を入力として、前記最上位ビット列信号のレベル、前記最下位ビット列信号の0,1レベル、前記最下位ビット列信号の2,3レベルをそれぞれ測定するステップと、
前記測定の結果に基づいて誤り率を算出するステップとを含むことを特徴とする誤り検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅をシンボルごとに4種類に分けた4値パルス振幅変調方式(PAM4方式)によるPAM4信号を2値信号にデコードするPAMデコーダおよびPAMデコード方法と、PAMデコーダを用いた誤り検出装置およびPAMデコード方法を用いた誤り検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のディジタル通信装置は、利用者数の増加やマルチメディア通信の普及に伴い、より大容量の伝送能力が求められている。また、これらのディジタル通信装置におけるディジタル信号の品質評価の指標の一つとしては、受信データのうち符号誤りが発生した数と受信データの総数との比較として定義されるビット誤り率が知られている。
【0003】
そして、上述したディジタル通信装置において、試験対象となる光電変換部品等の被試験デバイスに対して固定データを含むテスト信号を送信し、被試験デバイスを介して入力される被測定信号と基準となる参照信号とをビット単位で比較して、被測定信号の誤り率を測定する誤り検出装置としては、例えば下記特許文献1に開示されるビット誤り測定装置が知られている。
【0004】
ところで、近年、携帯端末やクラウドコンピューティングの普及により、データ通信量は増加の一途をたどり伝送速度も高速化が著しくなっている。また、高速データ伝送に関する国際規格は、電気インターフェース、光インターフェースとともに従来のNRZ信号(2値信号)によるNRZ伝送からPAM4信号(4値信号)によるPAM4伝送へと変化している。
【0005】
そして、この種のPAM4信号の誤り率を誤り検出装置にて検出するためには、PAM4信号用のデコーダが必要になる。従来、この種のPAM4信号を2値信号にデコードするデコーダを備えた受信器としては、例えば下記特許文献2に開示される多値信号受信器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−274474号公報
【特許文献2】特開2009−231954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の誤り検出装置に用いられるPAMデコーダでは、PAM4信号のUpper信号(高レベル信号)、Middle信号(中レベル信号)、Lower信号(低レベル信号)の誤り率を同時に測定することは可能であったが、Middle信号の誤り率を測定しながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率の測定を行うことができなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、Middle信号の誤り率を測定しながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率の測定が可能なPAMデコーダおよびPAMデコード方法と誤り検出装置および誤り検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたPAMデコーダは、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコーダ1であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器2aと、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器2bと、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器2cとを有し、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路2と、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路で構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第3の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路3とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載されたPAMデコーダは、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコーダ1であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器2aと、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器2bと、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器2cとを有し、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路2と、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORで構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第1乃至第3の0/1判別器の出力のアナログ加算値を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路3とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載されたPAMデコーダは、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコーダ1であって、
前記高レベル信号を0/1判別する第1の0/1判別器2aと、前記中レベル信号を0/1判別する第2の0/1判別器2bと、前記低レベル信号を0/1判別する第3の0/1判別器2cとを有し、前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧と前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第2の基準電圧と前記第3の基準電圧が前記中電圧範囲に設定され、前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧が前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定される0/1判別回路2と、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路で構成され、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力し、前記第1の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するデコード回路3とを備えたことを特徴とする
【0012】
請求項4に記載されたPAMデコード方法は、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器2aにて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器2bにて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器2cにて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第3の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載されたPAMデコード方法は、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器2aにて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器2bにて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器2cにて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧と前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第3の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORにて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器の出力を伝送線路を介して結線したOR論理からなるワイヤードORにて、前記第1乃至第3の0/1判別器の出力のアナログ加算値を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載されたPAMデコード方法は、PAM4信号のベースラインに対して振幅レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、前記ベースラインに対する振幅レベルの大きさが異なる高レベル信号、中レベル信号、低レベル信号による3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBにデコードするPAMデコード方法であって、
第1の0/1判別器2aにて前記高レベル信号を0/1判別するステップと、
第2の0/1判別器2bにて前記中レベル信号を0/1判別するステップと、
第3の0/1判別器2cにて前記低レベル信号を0/1判別するステップと、
前記第2の0/1判別器の第2の基準電圧と前記第3の0/1判別器の第3の基準電圧で前記中レベル信号を打ち抜くように前記第2の基準電圧と前記第3の基準電圧を前記中電圧範囲に設定するステップと、
前記第1の0/1判別器の第1の基準電圧で前記低レベル信号もしくは前記高レベル信号を打ち抜くように前記第1の基準電圧を前記低電圧範囲もしくは前記高電圧範囲に設定するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第2の0/1判別器が出力する中レベル信号の判別信号を前記最上位ビット列信号として出力するステップと、
前記第1乃至第3の0/1判別器からの判別信号を入力とする論理回路にて、前記第1の0/1判別器が出力する低レベル信号もしくは前記高レベル信号の判別信号を前記最下位ビット列信号として出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載された誤り検出装置は、請求項1〜3の何れかのPAMデコーダを用いた誤り検出装置であって、
前記デコード回路3にてデコードされた最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBを入力として、前記最上位ビット列信号のレベル、前記最下位ビット列信号の0,1レベル、前記最下位ビット列信号の2,3レベルをそれぞれ測定するレベル測定部22と、
前記レベル測定部による測定の結果に基づいて誤り率を算出する誤り率算出部23とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載された誤り検出方法は、請求項4〜6の何れかのPAMデコード方法を用いた誤り検出方法であって、
前記デコード回路3にてデコードされた最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBを入力として、前記最上位ビット列信号のレベル、前記最下位ビット列信号の0,1レベル、前記最下位ビット列信号の2,3レベルをそれぞれ測定するステップと、
前記測定の結果に基づいて誤り率を算出するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、PAM4信号の高レベル信号または低レベル信号のみを打ち抜き、中レベル信号の誤り率測定をしながら、高レベル信号のみ、または低レベル信号のみの誤り率測定が可能となり、高レベル信号または低レベル信号の波形解析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るPAMデコーダの第1実施の形態の基本構成を示す図である。
図2】(a)図1のPAMデコーダにおいてPAM4信号と基準電圧と出力の関係を示す図、(b)図1のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図3】Lower Only動作時のPAMデコーダの構成図である。
図4】(a)図3のPAMデコーダにおけるPAM4信号と基準電圧と出力の関係を示す図、(b)図3のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図5】Lower Only動作時のデコード方法のフローチャートである。
図6】Upper Only動作のPAMデコーダの構成図である。
図7】(a)図6のPAMデコーダにおけるPAM4信号と基準電圧と出力の関係を示す図、(b)図6のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図8】Upper Only動作時のデコード方法のフローチャートである。
図9】0/1判別回路の役割を反転させてMiddle信号とLower信号を出力する場合のPAMデコーダの構成図である。
図10】(a)図7のPAMデコーダにおけるPAM4信号と基準電圧と出力の関係を示す図、(b)図7のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図11】0/1判別反転時のLower Only動作のデコード方法のフローチャートである。
図12】0/1判別回路の役割を反転させてMiddle信号とUpper信号を出力する場合のPAMデコーダの構成図である。
図13】(a)図9のPAMデコーダにおけるPAM4信号と基準電圧と出力の関係を示す図、(b)図9のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図14】0/1判別反転時のUpper Only動作のデコード方法のフローチャートである。
図15】本発明に係るPAMデコーダの第2実施の形態を示す図である。
図16図15のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図17】(a)本発明に係るPAMデコーダの第3実施の形態を示す図、(b)(a)のPAMデコーダの真理値表を示す図である。
図18】本発明に係るPAMデコーダを含む誤り検出装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[PAM4信号について]
まず、本実施の形態が対象とするPAM4信号について説明する。PAM4方式は、情報信号の振幅をパルス信号の系列で符号化したパルス振幅変調信号として、論理「0」および「1」から構成されるビット列を、4つの電圧レベルまたは光電力のパルス信号として変調して伝送する方式である。
【0021】
そして、PAM4方式によるPAM4信号は、振幅がシンボルごとに4種類に分けられ、図2(a)に示すように、4つの異なる振幅レベルL0,L1,L2,L3を有し、全体の振幅電圧範囲がベースライン(L0:0レベル)から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、ベースライン(L0:0レベル)に対する振幅レベルの大きさが異なるUpper信号(高レベル信号)、Middle信号(中レベル信号)、Lower信号(低レベル信号)による3つのアイパターン開口部が連続した振幅範囲の信号からなる。
【0022】
[PAMデコーダの第1実施の形態]
図1に示すように、第1実施の形態のPAMデコーダ1(1A)は、上述したPAM4信号のUpper信号(高レベル信号)、Middle信号(中レベル信号)、Lower信号(低レベル信号)を0/1判別する0/1判別回路2と、0/1判別回路2にて0/1判別した判別信号からPAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードするデコード回路3(3A)と、デコード回路3にてデコードされた最上位ビット列信号(MSB)を増幅出力する増幅器4と、デコード回路3にてデコードされた最下位ビット列信号(LSB)を増幅出力する増幅器5とを備えて概略構成される。
【0023】
0/1判別回路2は、PAM4信号が伝送される伝送線路S1に対し、3つの0/1判別器(第1の0/1判別器2a、第2の0/1判別器2b、第3の0/1判別器2c)が並列接続される。
【0024】
第1の0/1判別器2aは、PAM4信号のUpper信号の0/1を第1の基準電圧Vth1との比較によって判別する。すなわち、第1の0/1判別器2aは、図2(a)に示すように、Upper信号を第1の基準電圧Vth1で打ち抜いてUpper信号と第1の基準電圧Vth1とを比較し、Upper信号が第1の基準電圧Vth1以上であればDU=「1」を判別信号として出力し、Upper信号が第1の基準電圧Vth1以上でなければDU=「0」を判別信号として出力する。
【0025】
第2の0/1判別器2bは、PAM4信号のMiddle信号の0/1を第2の基準電圧Vth2との比較によって判別する。すなわち、第3の0/1判別器2cは、図2(a)に示すように、Middle信号を第2の基準電圧Vth2で打ち抜いてMiddle信号と第2の基準電圧Vth2とを比較し、Middle信号が第2の基準電圧Vth2以上であればDM=「1」を判別信号として出力し、Middle信号が第2の基準電圧Vth2以上でなければDM=「0」を判別信号として出力する。
【0026】
第3の0/1判別器2cは、PAM4信号のLower信号の0/1を第3の基準電圧Vth3との比較によって判別する。すなわち、第2の0/1判別器2bは、図2(a)に示すように、Lower信号を第3の基準電圧Vth3で打ち抜いてLower信号と第3の基準電圧Vth3とを比較し、Lower信号が第3の基準電圧Vth3以上であればDL=「1」を判別信号として出力し、Lower信号が第3の基準電圧Vth3以上でなければDL=「0」を判別信号として出力する。
【0027】
デコード回路3は、論理回路で構成されるもので、第1のAND(論理積)回路3a、第2のAND(論理積)回路3b、第3のAND(論理積)回路3c、OR(論理和)回路3dを備える。
【0028】
第1のAND回路3aは、第1の0/1判別器2aからの判別信号(DU)と第3の0/1判別器2cからの判別信号(DL)とを入力として論理積演算を行う。
【0029】
第2のAND回路3bは、第1の0/1判別器2aからの判別信号(DU)と第2の0/1判別器2aからの判別信号(DM)を反転した信号とを入力として論理積演算を行う。
【0030】
第3のAND回路3cは、第2の0/1判別器2aからの判別信号(DM)を反転した信号と第3の0/1判別器2cからの判別信号(DL)とを入力として論理積演算を行う。
【0031】
OR回路3dは、第1のAND回路3a、第2のAND回路3b、第3のAND回路3cからの信号を入力として論理和演算を行う。
【0032】
上述したPAMデコーダ1Aでは、第1の基準電圧Vth1を高電圧範囲H3に設定し、第2の基準電圧Vth2を中電圧範囲H2に設定し、第3の基準電圧Vth3を低電圧範囲H1に設定する。そして、PAM4信号をデコードする際には、第1の基準電圧Vth1がUpper信号の打ち抜き、第2の基準電圧Vth2がMiddle信号の打ち抜き、第3の基準電圧Vth3がLower信号の打ち抜きに用いられる。
【0033】
また、デコード回路3では、図2(b)の真理値表に示すように、第2の0/1判別器2cからの判別信号(DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力し、OR回路3dの出力を最下位ビット列信号(LSB)として出力する。なお、図2(b)において、DU=0、DM=1、DL=0のとき、DU=1、DM=0、DL=1のときはDon’t Careとして処理される。
【0034】
これにより、PAMデコーダ1Aは、PAM4信号を最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)にデコードする。
【0035】
ここで、本実施の形態において、上述したPAMデコーダ1Aは、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率測定を可能とするため、第1の基準電圧Vth1と第2の基準電圧Vth2でMiddle信号を打ち抜くように第1の基準電圧Vth1と第2の基準電圧Vth2を中電圧範囲H2に設定する。また、第3の基準電圧Vth3でLower信号もしくはUpper信号を打ち抜くように第3の基準電圧Vth3を低電圧範囲H1もしくは高電圧範囲H3に設定する。以下、本実施の形態の具体的な動作について説明する。
【0036】
[Lower Only動作(例1)]
まず、Middle信号の誤り率測定をしながら、Lower信号のみの誤り率測定を可能とするためのLower Only動作のデコード方法について図3図5を参照しながら説明する。
【0037】
この場合、PAMデコーダ1Aの0/1判別回路2は、図4(a)に示すように、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2を同じ値で中電圧範囲H2に設定する(ST1)。また、第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を低電圧範囲H1に設定する(ST2)。これにより、PAM4信号のMiddle信号が第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2で打ち抜かれ、Lower信号が第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3で打ち抜かれる。
【0038】
そして、0/1判別回路2は、図3に示すように、第1の0/1判別器2aからMiddle信号を判別信号(DU)として出力する(ST3)。また、第2の0/1判別器2bからMiddle信号を判別信号(DM)として出力する(ST4)。さらに、第3の0/1判別器2cからLower信号を判別信号(DL)として出力する(ST5)。
【0039】
次に、デコード回路3は、図4(b)の真理値表に示すように、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力する(ST6)。また、第3の0/1判別器2cからのLower信号(判別信号:DL)を最下位ビット列信号(LSB)としてOR回路3dから出力する(ST7)。
【0040】
なお、図5のフローチャートにおけるST1とST2の順序、ST3〜ST5の順序、ST6とST7の順序は図示の順序に限定されるものではない。
【0041】
[Upper Only動作(例2)]
次に、Middle信号の誤り率測定をしながら、Lower信号のみの誤り率測定を可能とするためのUpper Only動作のデコード方法について図6図8を参照しながら説明する。
【0042】
この場合、PAMデコーダ1Aの0/1判別回路2は、図6(a)に示すように、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2を同じ値で中電圧範囲H2に設定する(ST11)。また、第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を高電圧範囲H3に設定する(ST12)。これにより、PAM4信号のMiddle信号が第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2で打ち抜かれ、PAM信号のUpper信号が第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3で打ち抜かれる。
【0043】
そして、0/1判別回路2は、図5に示すように、第1の0/1判別器2aからMiddle信号を判別信号(DU)として出力する(ST13)。また、第2の0/1判別器2bからMiddle信号を判別信号(DM)として出力する(ST14)。さらに、第3の0/1判別器2cからUpper信号を判別信号(DL)として出力する(ST15)。
【0044】
次に、デコード回路3は、図6(b)の真理値表に示すように、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力する(ST16)。また、第3の0/1判別器2cからのUpper信号(判別信号:DL)を最下位ビット列信号(LSB)としてOR回路3dから出力する(ST17)。
【0045】
なお、図8のフローチャートにおけるST11とST12の順序、ST13〜ST15の順序、ST16とST17の順序は図示の順序に限定されるものではない。
【0046】
[0/1判別反転時のLower Only動作(例3)]
次に、0/1判別回路2における第1の0/1判別器2aと第3の0/1判別器2cの0/1判別の役割を反転させ、Middle信号の誤り率測定をしながら、Lower信号のみの誤り率測定を可能とするための0/1判別反転時のLower Only動作のデコード方法について図9図11を参照しながら説明する。
【0047】
この場合、PAMデコーダ1Aの0/1判別回路2は、図10(a)に示すように、第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2と第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を同じ値で中電圧範囲H2に設定する(ST21)。また、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1を低電圧範囲H1に設定する(ST22)。これにより、PAM4信号のMiddle信号が第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2と第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3で打ち抜かれ、Lower信号が第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1で打ち抜かれる。
【0048】
そして、0/1判別回路2は、図9に示すように、第1の0/1判別器2aからLower信号を判別信号(DU)として出力する(ST23)。また、第2の0/1判別器2bからMiddle信号を判別信号(DM)として出力する(ST24)。さらに、第3の0/1判別器2cからMiddle信号を判別信号(DL)として出力する(ST25)。
【0049】
次に、デコード回路3は、図10(b)の真理値表に示すように、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力する(ST26)。また、第1の0/1判別器2aからのLower信号(判別信号:DU)を最下位ビット列信号(LSB)としてOR回路3dから出力する(ST27)。
【0050】
なお、図11のフローチャートにおけるST21とST22の順序、ST23〜ST25の順序、ST26とST27の順序は図示の順序に限定されるものではない。
【0051】
[0/1判別反転時のUpper Only動作(例4)]
次に、0/1判別回路2における第1の0/1判別器2aと第3の0/1判別器2cの0/1判別の役割を反転させ、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみの誤り率測定を可能とするための0/1判別反転時のUpper Only動作のデコード方法について図12図14を参照しながら説明する。
【0052】
この場合、PAMデコーダ1Aの0/1判別回路2は、図13(a)に示すように、第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2と第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を同じ値で中電圧範囲H2に設定する(ST31)。また、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1を高電圧範囲H3に設定する(ST32)。これにより、PAM4信号のMiddle信号が第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2と第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3で打ち抜かれ、Upper信号が第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1で打ち抜かれる。
【0053】
そして、0/1判別回路2は、図12に示すように、第1の0/1判別器2aからUpper信号を判別信号(DU)として出力する(ST33)。また、第2の0/1判別器2bからMiddle信号を判別信号(DM)として出力する。さらに、第3の0/1判別器2cからMiddle信号を判別信号(DL)として出力する。
【0054】
次に、デコード回路3は、図13(b)の真理値表に示すように、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力する(ST36)。また、第1の0/1判別器2aからのUpper信号(判別信号:DU)を最下位ビット列信号(LSB)としてOR回路3dから出力する(ST37)。
【0055】
なお、図14のフローチャートにおけるST31とST32の順序、ST33〜ST35の順序、ST36とST37の順序は図示の順序に限定されるものではない。
【0056】
[PAMデコーダの第2実施の形態]
次に、PAMデコーダの第2実施の形態について図15および図16を参照しながら説明する。なお、第1実施の形態のPAMデコーダ1Aと同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図15に示すように、第2実施の形態のPAMデコーダ1(1B)は、第1実施の形態のPAMデコーダ1Aとはデコード回路の構成が相違するものである。
【0058】
すなわち、第2実施の形態のPAMデコーダ1Bのデコード回路3(3B)は、増幅回路11を備え、0/1判別回路2の3つの判別器2a,2b,2cの出力信号を結線したOR論理からなるワイヤードORで構成される。
【0059】
増幅回路11は、第1の増幅器11a、反転増幅器11b、第2の増幅器11cを備える。第1の増幅器11aは、第1の0/1判別器2aと接続され、第1の0/1判別器2aからの判別信号を増幅して出力する。
【0060】
反転増幅器11bは、第2の0/1判別器2bと接続され、第2の0/1判別器2bからの判別信号をに反転増幅して出力する。すなわち、第2の0/1判別器2bからの判別信号が「0」であれば「0」、「1」であれば「−1」に反転増幅する。
【0061】
第2の増幅器11cは、第3の0/1判別器2cと接続され、第3の0/1判別器2cから判別信号を増幅して出力する。
【0062】
そして、上記構成のPAMデコーダ1Bにおいて、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率測定を可能とする場合には、上述したPAMデコーダ1Aと同様に、0/1判別回路2は、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2を中電圧範囲H2に設定し、第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を低電圧範囲H1もしくは高電圧範囲H3に設定する。これにより、PAM4信号のMiddle信号が第1の基準電圧Vth1と第2の基準電圧Vth2で打ち抜かれ、Lower信号もしくはUpper信号が第3の基準電圧Vth3で打ち抜かれる。
【0063】
そして、PAMデコーダ1Bは、図16の真理値表に従って動作する。すなわち、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力し、増幅回路11の第1の増幅器11a、反転増幅器11b、第2の増幅器11cのアナログ加算値(DU’+XDM’+DL’)を最下位ビット列信号(LSB)としてOR回路3dから出力する。
【0064】
なお、図15において、第1の増幅器11aに接続される第1の0/1判別器2aと、反転増幅器11cに接続される第3の0/1判別器2cとを逆転して接続した構成であってもよい。
【0065】
[PAMデコーダの第3実施の形態]
次に、PAMデコーダの第3実施の形態について図17を参照しながら説明する。なお、第1実施の形態のPAMデコーダ1Aと同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図17(a)に示すように、第3実施の形態のPAMデコーダ1(1C)は、第1実施の形態のPAMデコーダ1Aとはデコード回路の構成が相違するものである。
【0067】
すなわち、第3実施の形態のPAMデコーダ1Cのデコード回路3(3C)は、論理回路として、イクスクルーシブノア回路3e、AND(論理積)回路3fを備える。
【0068】
イクスクルーシブノア回路3eは、第1の0/1判別器2aからの判別信号(DU)と第2の0/1判別器2bからの判別信号(DL)とを入力として排他的論理和(一致論理)演算を行う。
【0069】
AND回路3fは、イクスクルーシブノア回路3eからの信号と第3の0/1判別器2cからの判別信号(DL)とを入力として論理積演算を行う。
【0070】
そして、上記構成のPAMデコーダ1Cにおいて、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率測定を可能とする場合には、上述したPAMデコーダ1Aと同様に、0/1判別回路2は、第1の0/1判別器2aの第1の基準電圧Vth1と第2の0/1判別器2bの第2の基準電圧Vth2を同じ値で中電圧範囲H2に設定し、第1の基準電圧Vth1と第2の基準電圧Vth2でMiddle信号を打ち抜く。また、0/1判別回路2は、第3の0/1判別器2cの第3の基準電圧Vth3を低電圧範囲H1もしくは高電圧範囲H3に設定し、第3の基準電圧Vth3でLower信号もしくはUpper信号を打ち抜く。
【0071】
これにより、PAMデコーダ1Cは、図17(b)の真理値表に従って動作する。すなわち、Middle信号の誤り率測定をしながら、Lower信号のみの誤り率測定を可能とするためのLower Only動作を行う場合には、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力し、第3の0/1判別器2cからのLower信号(判別信号:DL)を最下位ビット列信号(LSB)としてAND回路3fから出力する。
【0072】
また、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみの誤り率測定を可能とするためのUpper Only動作を行う場合には、第2の0/1判別器2bからのMiddle信号(判別信号:DM)をそのまま最上位ビット列信号(MSB)として出力し、第3の0/1判別器2cからのUpper信号(判別信号:DL)を最下位ビット列信号(LSB)としてAND回路3fから出力する。
【0073】
なお、第3実施の形態のPAMデコーダ1Cでは、第1実施の形態のPAMデコーダ1Aよりも論理回路の構成の簡略化が図れるが、前述した例3や例4のような0/1判別回路2における第1の0/1判別器2aと第3の0/1判別器2cの役割を反転させた動作を行うことができない。
【0074】
ところで、上述した実施の形態では、論理回路やワイヤードORでデコード回路3を構成した場合を例にとって説明したが、図4図7図10図13図16図17(b)の真理値表を満たす構成であれば図示の構成に限定されるものではない。
【0075】
[誤り検出装置の構成について]
上述したPAMデコーダ1(1A,1B,1C)は、例えば図18の誤り検出装置21に採用することができる。この誤り検出装置21では、PAMデコーダ1から最上位ビット列信号(MSB)と最下位ビット列信号(LSB)が入力されると、レベル測定部22にて最上位ビット列信号(MSB)のレベル測定、最下位ビット列信号(LSB)の0,1レベル、最下位ビット列信号(LSB)の2,3レベルを測定する。そして、誤り率算出部23は、レベル測定部22にて測定された最上位ビット列信号(MSB)および最下位ビット列信号(LSB)のレベルに基づいて誤り率を算出し、その結果を表示部24に表示する。
【0076】
このように、本実施の形態によれば、第3の基準電圧Vth3を通過する信号がそのまま最下位ビット列信号(LSB)として出力されるので、Upper信号またはLower信号のみを打ち抜き、Middle信号の誤り率測定をしながら、Upper信号のみ、またはLower信号のみの誤り率測定が可能となり、Upper信号またはLower信号の波形解析が可能となる。
【0077】
以上、本発明に係るPAMデコーダおよびPAMデコード方法と誤り検出装置および誤り検出方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
1(1A,1B,1C) PAMデコーダ
2 0/1判別回路
2a 第1の0/1判別器
2b 第2の0/1判別器
2c 第3の0/1判別器
3 デコード回路
3a 第1のAND回路
3b 第2のAND回路
3c 第3のAND回路
3d OR回路
11 増幅回路
11a 第1の増幅器
11b 反転増幅器
11c 第2の増幅器
21 誤り検出装置
22 レベル測定部
23 誤り率算出部
24 表示部
Vth1 第1の基準電圧
Vth2 第2の基準電圧
Vth3 第3の基準電圧
H1 低電圧範囲
H2 中電圧範囲
H3 高電圧範囲
L0,L1,L2,L3 PAM4信号の各レベル
図1
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