【文献】
丸谷洋二、中井孝,レーザーによる熱硬化性樹脂の部分硬化の基礎実験,レーザー研究,日本,一般社団法人レーザー学会,1989年 6月28日,17巻, 6号,pp.425-428,URL,https://doi.org/10.2184/lsj.17.6_425
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の触知センサにおいて、前記第1リボン状電極それぞれは、さらに、複数個の第1接続部分を有し、前記第1接続部分それぞれは、隣接する2つの前記第1感知部分間を接続し、また前記第1感知部分それぞれの幅は前記第1接続部分それぞれの幅より大きい、触知センサ。
請求項2記載の触知センサにおいて、前記第1接続部分それぞれの前記第2方向に測った幅は、前記第1感知部分それぞれの前記第2方向に測った幅の1/2以下である、触知センサ。
請求項4記載の触知センサにおいて、前記第2リボン状電極それぞれは、さらに、複数個の第2接続部分を有し、前記第2接続部分それぞれは、隣接する2つの前記第2感知部分間を接続し、また前記第2感知部分それぞれの幅は前記第2接続部分それぞれの幅より大きい、触知センサ。
請求項4記載の触知センサにおいて、前記第2感知部分それぞれは、M個の前記第1感知部分に対してクロスオーバーして前記第2方向に延在する第2方向長さを有し、前記Mは1より大きい正の整数である、触知センサ。
請求項4記載の触知センサにおいて、前記第2感知部分それぞれの前記第1方向に平行な第2端縁は、1個の前記第1感知部分の前記第1方向に平行な前記第1端縁に整列する、触知センサ。
請求項1〜10のうちいずれか一項記載の触知センサにおいて、さらに、それぞれ前記弾性誘電層の前記第1表面及び前記第2表面に配置された第1支持層及び第2支持層を備え、前記第1リボン状電極は前記第1支持層に配置され、また前記第2リボン状電極は前記第2支持層に配置されている、触知センサ。
請求項11記載の触知センサにおいて、さらに、湾曲面基板を備え、前記第2支持層は、前記湾曲面基板上に配置され、また前記湾曲面基板に形状適合する、触知センサ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、説明目的として多数の特別な細部を記載し、本発明実施形態を完全に理解されるようにする。しかし、1つ又はそれ以上の実施形態はこれら特別な細部なしに実施できることは明らかであろう。他の場合において、周知の構造及びデバイスは図面を簡素化するため概略的に示す。
【0011】
図1は本発明の例示的実施形態による触知センサの局部的概略図である。
図1に示すように、触知センサ100は、弾性誘電層110、複数個の第1リボン状電極120、及び複数個の第2リボン状電極130を備える。弾性誘電層110の材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン樹脂、エポキシ、又はそれらの組合せがある。他の実施形態において、外部力を受けるとき圧縮変形/伸張変形を生ずることができ、また変形後に元の状態に復元できる誘電材料は、すべて弾性誘電層110を作製するのに使用することができる。弾性誘電層110の厚さは50ミクロン〜500ミクロンの範囲にわたるものとし、弾性誘電層110の硬さは30〜90のショアA硬さとすることができる。弾性誘電層110は互いに相反する第1表面112及び第2表面114を有する。第1リボン状電極120はすべて第1表面112上に配置し、第2リボン状電極130はすべて第2表面114上に配置する。換言すれば、弾性誘電層110は第1リボン状電極120と第2リボン状電極130との間に介在する。
【0012】
第1リボン状電極120及び第2リボン状電極130は双方ともに導電材料で形成され、かつ一定の形状及び輪郭を有するようパターン形成される。
図2A及び
図2Bは、本発明の例示的実施形態による触知センサにおける第1リボン状電極及び第2リボン状電極の平面概略図である。第1リボン状電極120それぞれは、第1方向D1に延在し、また第1リボン状電極120は互いに平行に配列する。第1リボン状電極120それぞれは、複数個の第1感知部分122及び複数個の第1接続部分124を有する。第1接続部分124それぞれは隣接する2つの第1感知部分122間を接続する。第1リボン状電極120それぞれは、第1接続部分124により直列的に接続される第1感知部分122によって構成された電極とすることができる。他の実施形態において、第1リボン状電極120それぞれは、第1感知部分122を直列的に接続するよう第1リボン状電極120それぞれの全長にわたり延在するワイヤを有するものとすることができ、例えば、第1接続部分124をワイヤに置換することができる。
【0013】
第2リボン状電極130それぞれは第2方向D2に延在し、また第2リボン状電極130は互いに平行に配列する。本明細書において、第1方向D1及び第2方向D2は互いに直交するが、本発明はこれに限定されない。第2リボン状電極130それぞれは、複数個の第2感知部分132及び複数個の第2接続部分134を有する。第2接続部分134それぞれは隣接する2つの第2感知部分132間を接続する。第2リボン状電極130それぞれは、第2接続部分134により直列的に接続される第2感知部分132によって構成された電極とすることができる。他の実施形態において、第2リボン状電極130それぞれは、第2感知部分132を直列的に接続するよう第2リボン状電極130それぞれの全長にわたり延在するワイヤを有するものとすることができ、例えば、第2接続部分134をワイヤに置換することができる。
【0014】
第1感知部分122それぞれは、第1方向D1に延在する第1方向長さL122を有し、この第1方向長さL122は、1個の単独第1感知部分122がN個の第2リボン状電極130に対してクロスオーバーするのに十分な長さである。Nは1より大きい正の整数である。さらに、第2感知部分132それぞれは、第2方向D2に延在する第2方向長さL132を有し、この第2方向長さL132は、1個の単独第2感知部分132がM個の第1リボン状電極120に対してクロスオーバーするのに十分な長さである。Mは1より大きい正の整数である。
図2A及び
図2Bにおいて、第1リボン状電極120それぞれにおける1個の単独第1感知部分122は、第2リボン状電極130のN個の第2感知部分132に対してクロスオーバーし、また第2リボン状電極130それぞれにおける1個の単独第2感知部分132は、第1リボン状電極120のM個の第1感知部分122に対してクロスオーバーする。さらに、N及びMの双方ともに2である。しかし、本発明の実施形態は上述のことに限定されない。1個の第1感知部分122は、1個の第2感知部分132上にオーバーラップして上述の形態に基づく1個のキャパシタンス感知ユニットCSを画定する。さらに、1個の剪断感知素子SSは、N×M個のキャパシタンス感知ユニットCSそれぞれによって画定することができる。
【0015】
第1感知部分122それぞれは、第1方向D1に平行な第1端縁122E1、及び第2方向D2に平行な第1端縁122E2を有する。第2感知部分132それぞれは、第1方向D1に平行な第2端縁132E1、及び第2方向D2に平行な第2端縁132E2を有する。この実施形態によれば、1つの第1端縁122E1は1つの第2端縁132E1に整列し、また1つの第1端縁122E2は1つの第2端縁132E2に整列する。すなわち、各第1感知部分122の端縁の一部は、1個の第2リボン状電極130における端縁の一部に整列することができる。同様に、各第2感知部分132の端縁の一部は、1個の第1リボン状電極120における端縁の一部に整列することができる。
【0016】
この実施形態によれば、第2方向D2に測った各第1感知部分122の幅W122は、第2方向D2に測った各第1接続部分124の幅W124よりも大きい。例えば、第1接続部分124の幅W124は第1感知部分122の幅W122の1/2以下とすることができる。第1接続部分124の幅W124は、第1感知部分122の幅W122の1/3、1/4、又は他の比率とすることができる。同様に、第1方向D1に測った各第2感知部分132の幅W132は、第1方向D1に測った各第2接続部分134の幅W134よりも大きい。第2接続部分134の幅W134は第2感知部分132の幅W132の1/2以下とすることができる。第2接続部分134の幅W134は、第2感知部分132の幅W132の1/3、1/4、又は他の比率とすることができる。
【0017】
この実施形態において、キャパシタンス感知ユニットCSは第1感知部分122と第2感知部分132との間のオーバーラップ面積によって画定される。第1リボン状電極120と第2リボン状電極130との間の弾性誘電層110は、伸張可能であり、また圧縮可能とすることができる。したがって、剪断感知素子SSが剪断力を受けるとき、第1リボン状電極120と第2リボン状電極130との間の相対位置は変化し得る。第1接続部分124の幅及び第2接続部分134の幅が第1感知部分122の幅及び第2感知部分132の幅に近接する場合、第1リボン状電極120が第2リボン状電極130に対して第1方向D1又は第2方向D2にシフトとするときキャパシタンス感知ユニットCSのキャパシタンス変化を正確に決定することができないおそれがある。したがって、第1接続部分124の幅W124は第1感知部分122の幅W122の1/2以下とし、また第2接続部分134の幅W134は第2感知部分132の幅W132の1/2以下とする。このようにして、キャパシタンス感知ユニットCSのキャパシタンス変化は、電極変位の範囲をより正確に反映することができる。
【0018】
図3は本発明の例示的実施形態による触知センサの断面概略図である。
図3に示すように、触知センサ200は、弾性誘電層110、第1リボン状電極120、第2リボン状電極130、第1支持層240、及び第2支持層250を備える。弾性誘電層110、第1リボン状電極120、及び第2リボン状電極130の相対配置関係、パターン設計、及び材料は、上述の実施形態で説明したのと同様であり、したがって、第1リボン状電極120及び第2リボン状電極130のレイアウト設計については
図2A及び
図2Bを参照されたい。第1支持層240は、弾性誘電層110の第1表面112上に配置し、また第2支持層250は弾性誘電層110の第2表面114上に配置する。同時に、第1リボン状電極120を第1支持層240上に配置し、また第2リボン状電極を第2支持層250上に配置する。弾性誘電層110と比べると、第1支持層240及び第2支持層250はほとんど圧縮も伸張もしそうにない。したがって、第1支持層240上に配置される第1リボン状電極120は固定ギャップを有し、また第2支持層250上に配置される第2リボン状電極130は固定ギャップを有することができる。それにもかかわらず、第1リボン状電極120と第2リボン状電極130との間の距離及び相対位置は弾性誘電層110の変形とともに変化し得る。
【0019】
この実施形態において、第1リボン状電極120を先ず第1支持層240上に作製し、また第2リボン状電極130を第2支持層250上に作製する。次に、第1リボン状電極120が配置される第1支持層240を第1表面122に取り付け、また第2リボン状電極130が配置される第2支持層250を弾性誘電層110の第2表面114に取り付けて、触知センサ200を形成する。代案として、第1リボン状電極120を第1支持層240上に作製し、また第2リボン状電極130を第2支持層250上に作製した後、弾性誘電層110は先ず第2支持層250に対するコーティングによって形成する。弾性誘電層110が硬化した後、第1支持層240を弾性誘電層110に取り付ける。加えて、弾性誘電層110が形成された後、第1リボン状電極120を弾性誘電層110上に作製し、また次いで第1支持層240を第1リボン状電極120上に形成する。すなわち、第1リボン状電極120が配置される第1支持層240は前もって作製する必要はない。その代わりに、第1リボン状電極120及び第1支持層240は弾性誘電層110上に順次に作製される。
【0020】
第1リボン状電極120が配置される第1支持層240、及び第2リボン状電極130が配置される第2支持層250は、それぞれ印刷回路板又は可撓性印刷回路板から構成することができる。代案として、第1支持層240及び第2支持層250は、それぞれガラス基板、プラスチック基板、又は他の層状物体若しくは支持特性に特徴があり、かつ第1リボン状電極120間の固定ギャップ及び第2リボン状電極130間の固定ギャップを可能にするプレート状物体とすることができる。
【0021】
図4は本発明の例示的実施形態による触知センサの断面概略図である。触知センサ300は、弾性誘電層110、第1リボン状電極120、第2リボン状電極130、第1支持層340、第2支持層350、湾曲面基板360、及び保護層370を備える。弾性誘電層110、第1リボン状電極120、及び第2リボン状電極130の相対配置関係、パターン設計、及び材料は上述の実施形態で説明したのと同様である。したがって、第1リボン状電極120及び第2リボン状電極130のレイアウト設計については
図2A及び
図2Bに示したのと同一とすることができ、また弾性誘電層110の特性は
図1の実施形態で説明したのと同一である。
【0022】
第1リボン状電極120は第1支持層340上に配置し、また第2リボン状電極は第2支持層350上に配置する。第1支持層340及び第2支持層350は、それぞれ弾性誘電層110の第1表面112及び第2表面114上に配置し、また第1表面112及び第2表面114は互いに相反する。この実施形態において、湾曲面基板360は、3次元構体を有する物体である。湾曲面基板360の外面360Sは湾曲面である。第1支持層340、第2支持層350、弾性誘電層110は、湾曲面基板360上に配置し、また外面360Sに形状適合して湾曲する。したがって、触知センサ300は、非平面設計のセンサであり、様々な分野に適用することができる。例えば、湾曲面基板360は、応力センサとして作用するようロボットのような人工知能デバイスに適用することができる。
【0023】
図4に示すように、第1支持層340は第1リボン状電極120と弾性誘電層110との間に配置し、第2リボン状電極130は第2支持層350と弾性誘電層110との間に配置する。それにもかかわらず、リボン状電極及び支持層の割り当て配置は異なる作製方法に従って変化し得る。他の実施形態において、第1リボン状電極120及び第1支持層340の割り当て配置は交換することができ、又は第2リボン状電極130及び第2支持層350の割り当て配置は交換することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、レーザー誘発性材料を湾曲面基板360上に形成することができ、また次にそのレーザー誘発性材料を硬化させて第2支持層350を形成することができる。レーザー誘発性材料は、絶縁ゲルに分散させた複数の誘発粒子を含む。本明細書において、レーザー誘発性材料として作用する絶縁ゲルの材料としては、エポキシ、ポリウレタン(PU)、環状オレフィン・コポリマー/ポリマー(COC/COP)等がある。誘発粒子は、有機金属粒子、金、銀、銅、スズ、アルミニウム、ニッケル、及びパラジウムからなる金属キレートとすることができる。誘発粒子は、さらに、窒化ゲルマニウム、硫化亜鉛、炭化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、及び3電子ボルト以上のエネルギーギャップを有する他の半導体微粒子とすることができる。さらに、誘発粒子は、絶縁ゲル内に均一に分散させることができ、またレーザー誘発性材料における0.1重量%〜30重量%の割合を占めることができる。レーザー誘発性材料は、スプレーコーティングによって湾曲面基板360上に形成することができる。したがって、第2支持層350は湾曲面基板360に沿って湾曲することができる。レーザー誘発性材料が硬化した後、表面レーザー処理を第2支持層350の表面上に実施する。表面レーザー処理のステップは、レーザービームを第2支持層350の表面における選択した領域に照射して、選択した領域にパターンを形成するステップを含む。
【0025】
次に、第2リボン状電極130を無電解めっき方法によりパターンの場所に形成することができる。本明細書において、無電解めっき方法とは、第2支持層350(及び湾曲面基板360)をめっき溶液に浸漬し、例えば、導電性金属材料をパターンの領域上に堆積させて、第2リボン状電極130を形成する。このめっき溶液は、銅めっき溶液、ニッケルめっき溶液、又は無電解めっき方法によりパターンの領域上に導電性金属材料を形成できる他のめっき溶液とすることができる。
【0026】
第2リボン状電極130を形成するステップの後、弾性誘電層110を第2リボン状電極130及び第2支持層350上に形成することができる。弾性誘電層110の材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン樹脂、エポキシ、又はそれらの組合せがある。他の実施形態において、外部力を受けるとき圧縮変形/伸張変形を生ずることができ、また変形後に元の状態に復元できる誘電材料は、すべて弾性誘電層110を作製するのに使用することができる。弾性誘電層110の厚さは50ミクロン〜500ミクロンの範囲にわたるものとし、弾性誘電層110の硬さは30〜90のショアA硬さとすることができる。弾性誘電層110は、コーティングによって第2リボン状電極130及び第2支持層350上に形成することができる。このようにして、弾性誘電層110は、第2支持層350に形状適合するよう湾曲することができる。
【0027】
この後、第2リボン状電極130及び第2支持層350の作製方法と同一の方法を採用して、弾性誘電層110上に第1リボン状電極120及び第1支持層340を形成することができる。その他に、保護層370も第1リボン状電極120及び第1支持層340上に形成することができ、これにより触知センサ300が完成する。保護層370はコーティングによって第1支持層340上に形成することができる。保護層370の材料は、ポリイミド、アクリル樹脂、又はポリウレタン(PU)等のような絶縁ポリマー材料があり得る。
【0028】
この実施形態において、弾性誘電層110、第1リボン状電極120、第2リボン状電極130、第1支持層340、第2支持層350、及び保護層370は、取り付けをすることなく湾曲面基板360上に形成される。したがって、弾性誘電層110、第1リボン状電極120、第2リボン状電極130、第1支持層340、第2支持層350、及び保護層370は、曲げ操作によって発生する応力を受けることなく、湾曲面基板360の外面360Sに沿う形状に湾曲し、これにより触知センサ300は、有利な生産量及び耐用年数をもたらすことができる。
【0029】
他の実施形態において、第1リボン状電極120は第1支持層340上に作製することができ、第2リボン状電極130は第2支持層350上に作製することができ、弾性誘電層110は前もってフィルムとして作製することができ、この後、第2支持層350、弾性誘電層110、及び第1支持層340を順次に湾曲面基板360上に取り付ける。この場合、曲げ応力に対する耐性がより大きい材料を、弾性誘電層110、第1支持層340、及び第2支持層350に選択することができ、またこうすることで有利な生産量及び耐用年数をもたらすことができる。第2支持層350、弾性誘電層110、及び第1支持層340は、順次取り付けることによって湾曲面基板360上に形成することができ、第1リボン状電極120及び第1支持層340の積層順序並びに第2リボン状電極130及び第2支持層350の積層順序は
図4に示す関係性と同一にすることができるが、
図4に示す関係性と異なるものとすることもできる。
【0030】
平面図による
図2A及び
図2Bにつき説明すると、各第1リボン状電極120における1個の単独第1感知部分122は第2リボン状電極130のN個の第2感知部分132に対してクロスオーバーし、また各第2リボン状電極130における1個の単独第2感知部分132は第1リボン状電極120のM個の第1感知部分122に対してクロスオーバーする。N及びMの双方は2である。1個の第1感知部分122は1個の第2感知部分132にオーバーラップして、上述の形態に基づいて1個のキャパシタンス感知ユニットCSを画定する。さらに、1個の剪断感知素子SSは、N×M個のキャパシタンス感知ユニットCSそれぞれによって画定することができる。剪断感知素子SSの感知動作を以下に図面につき説明する。
【0031】
図5は、本発明の例示的実施形態による剪断力を受けていない剪断感知素子の断面概略図である。剪断感知素子SSは、2個の第1感知部分122及び2個の第2感知部分132によって構成され、したがって、2×2構成で配列された4個のキャパシタンス感知ユニットCSa、CSb、CSc、及びCSdを含む。4個のキャパシタンス感知ユニットCSa、CSb、CSc、及びCSdは、それぞれ1個の第2感知部分132にオーバーラップする1個の第1感知部分122のオーバーラップ面積によって画定される。4個のキャパシタンス感知ユニットCSa、CSb、CSc、及びCSdのキャパシタンス値は、以後にC
11、C
12、C
21、及びC
22によって表すことができる。
【0032】
図6〜
図8は、本発明の例示的実施形態による剪断力を受けている剪断感知素子の断面概略図である。
図6において、剪断感知素子SSは第1方向D1に剪断力を受けていて、これにより第1感知部分122が第2感知部分132に対して距離Lだけ第1方向D1に変位する。このとき、キャパシタンス感知ユニットCSaの面積及びキャパシタンス感知ユニットCScの面積は変化せず、これによりキャパシタンスC
11及びキャパシタンスC
21は変化しない。にもかかわらず、キャパシタンス感知ユニットCSbの面積及びキャパシタンス感知ユニットCSdの面積は、電極変位につれて縮小し、これによりキャパシタンスC
12及びキャパシタンスC
22は減少する。キャパシタンスC
12の減少量及びキャパシタンスC
22の減少量は電極の変位量に比例する。このようにして、剪断感知素子SSの第1方向D1に加わる剪断力の大きさは、キャパシタンスC
11のキャパシタンスC
12に対する比によって決定することができる、又はキャパシタンスC
21のキャパシタンスC
22に対する比によって決定することができる。
【0033】
図7において、剪断感知素子SSは第2方向D2に剪断力を受けていて、これにより第1感知部分122が第2感知部分132に対して距離Wだけ第2方向D2に変位する。このとき、キャパシタンス感知ユニットCSaの面積及びキャパシタンス感知ユニットCSbの面積は変化せず、これによりキャパシタンスC
11及びキャパシタンスC
12は変化しない。にもかかわらず、キャパシタンス感知ユニットCScの面積及びキャパシタンス感知ユニットCSdの面積は、電極変位につれて縮小し、これによりキャパシタンスC
21及びキャパシタンスC
22は減少する。キャパシタンスC
21の減少量及びキャパシタンスC
22の減少量は電極の変位量に比例する。このようにして、剪断感知素子SSの第2方向D2に加わる剪断力の大きさは、キャパシタンスC
21のキャパシタンスC
11に対する比によって決定することができる、又はキャパシタンスC
22のキャパシタンスC
12に対する比によって決定することができる。
【0034】
図8において、剪断感知素子SSは斜め方向の剪断力を受けていて、これにより第1感知部分122が第2感知部分132に対して第1方向D1に距離Lだけ変位し、また第2感知部分132に対して距離Wだけ第2方向D2に変位する。このとき、キャパシタンス感知ユニットCSaの面積は変化せず、これによりキャパシタンスC
11は変化しない。にもかかわらず、キャパシタンス感知ユニットCSbの面積、キャパシタンス感知ユニットCScの面積、及びキャパシタンス感知ユニットCSdの面積は、電極変位につれて縮小し、これによりキャパシタンスC
12、キャパシタンスC
21、及びキャパシタンスC
22は減少する。キャパシタンスC
12の減少量、キャパシタンスC
21の減少量、及びキャパシタンスC
22の減少量は電極の変位量に比例する。このようにして、剪断感知素子SSの第1方向D1に加わる剪断力の大きさは、キャパシタンスC
11のキャパシタンスC
12に対する比によって決定することができる、又はキャパシタンスC
21のキャパシタンスC
22に対する比によって決定することができる。剪断感知素子SSの第2方向D2に加わる剪断力の大きさは、キャパシタンスC
21のキャパシタンスC
11に対する比によって決定することができる、又はキャパシタンスC
22のキャパシタンスC
12に対する比によって決定することができる。
【0035】
図9は、本発明の他の例示的実施形態による応力を受けていない、また応力を受けている剪断感知素子の断面概略図である。
図9につき説明すると、弾性誘電層110は、剪断感知素子SSの第1感知部分122と第2感知部分132との間に配置される。応力を受けるとき、弾性誘電層110の厚さI
0は元の状態から圧縮され、
図9に示すように、距離zだけ減少する。このような応力が加わるとき、第1リボン状電極122と第2リボン状電極132との間のキャパシタンスは増加する。さらに、距離zが増大するときキャパシタンス増加量も増える。
【0036】
図6〜
図9から分かるように、応力が剪断感知素子SSに加わるとき、第1感知部分122及び第2感知部分132は第1方向D1及び/又は第2方向D2に相対変位し、またさらに、第1リボン状電極122と第2リボン状電極132との間の厚さ方向距離も変化する。したがって、剪断感知素子SSが応力を受けるとき、水平方向に変位することに加えて、各キャパシタンス感知ユニットCSのキャパシタンスも厚さ方向への距離によって変化し得る。にもかかわらず、水平方向変位に無関係に、剪断感知素子SSにおける少なくとも1個のキャパシタンス感知ユニットCSのキャパシタンスは、変化する水平方向変位によって影響を受けない。
【0037】
例えば、
図6につき説明すると、電極が水平の第1方向D1に変位するときに、キャパシタンス感知ユニットCSa及びキャパシタンス感知ユニットCScのキャパシタンスは変化しない。したがって、剪断感知素子SSが応力を受けるとき、
図6の電極変位を生ずる場合、キャパシタンス感知ユニットCSa及びキャパシタンス感知ユニットCScのキャパシタンス変化を使用して
図9における距離zの量を決定することができる。例えば、
図7につき説明すると、電極が水平の第2方向D2に変位するときに、キャパシタンス感知ユニットCSa及びキャパシタンス感知ユニットCSbのキャパシタンスは変化しない。したがって、剪断感知素子SSが応力を受けるとき、
図7の電極変位を生ずる場合、キャパシタンス感知ユニットCSa及びキャパシタンス感知ユニットCSbのキャパシタンス変化を使用して
図9における距離zの量を決定することができる。例えば、
図8につき説明すると、電極が水平の第1方向D1及び第2方向D2に傾いて変位するときに、キャパシタンス感知ユニットCSaのキャパシタンスは変化しない。したがって、剪断感知素子SSが応力を受けるとき、
図8の電極変位を生ずる場合、キャパシタンス感知ユニットCSaのキャパシタンス変化を使用して
図9における距離zの量を決定することができる。
【0038】
例えば、
図8の電極変位を生ずる場合、距離zは以下の式、すなわち、
z=I
0−(ε/C
11)×(W132×W122)
によって得られ、
ここでεは弾性誘電層110の誘電率、C
11は
図8におけるキャパシタンス感知ユニットCSaのキャパシタンス値、W132は第2感知部分132の第1方向D1における幅、W122は第1感知部分122の第2方向D2における幅、及びI
0は応力を受ける前の弾性誘電層110の厚さである。このようにして、厚さ方向に平行に剪断感知素子SSに加わっている法線応力Fの大きさは、以下の式、すなわち、
F=E(z/I
0)
であり、Eは弾性誘電層110のヤング率である。
【0039】
さらに、
図6〜
図8における電極の水平方向変位の距離は、キャパシタンス値が電極面積に比例するので以下の式から得ることができる。距離Lは
図6及び
図8において以下の式から得ることができる。
【0040】
L=(1−C
12/C
11)×W132 又は
【0041】
L=(1−C
22/C
21)×W132
であり、上記でW132は第2感知部分132の第1方向D1における幅である。距離Wは
図7及び
図8において以下の式から得ることができ、すなわち、
W=(1−C
21/C
11)×W122、又は
W=(1−C
22/C
12)×W122
であり、W122は第1感知部分122の第2方向の幅である。
【0042】
図10は、本発明の他の例示的実施形態による触知センサにおける第1リボン状電極及び第2リボン状電極の平面概略図である。
図10において、各第1リボン状電極120Aの1個の単独第1感知部分122Aは、第2リボン状電極130AのN個の第2感知部分132Aにクロスオーバーし、各第2リボン状電極130Aの1個の単独第1感知部分132Aは、第1リボン状電極120AのM個の第1感知部分122Aにクロスオーバーする。Nは2に等しく、またMは3に等しい。1個の第1感知部分122Aは1個の第2感知部分132Aにオーバーラップし、上述の形態に基づいて1個のキャパシタンス感知ユニットCSを画定することができる。さらに、1個の剪断感知素子SSは、N×Mのそれぞれによって、例えば、2×3個のキャパシタンス感知ユニットCSによって画定することができる。
【0043】
図11は、本発明のさらに他の例示的実施形態による触知センサにおける第1リボン状電極及び第2リボン状電極の平面概略図である。
図11において、各第1リボン状電極120Bにおける1個の単独第1感知部分122Bは、第2リボン状電極130BのN個の第2感知部分132Bにクロスオーバーし、また各第2リボン状電極130Bにおける1個の単独第2感知部分132Bは、第1リボン状電極120BのM個の第1感知部分122Bにクロスオーバーする。N及びMの双方は3である。1個の第1感知部分122Bは1個の第2感知部分132Bにオーバーラップして、上述の形態に基づいて1個のキャパシタンス感知ユニットCSを画定することができる。1個の剪断感知素子SSは、N×Mのそれぞれによって、例えば、3×3個のキャパシタンス感知ユニットCSによって画定することができる。
【0044】
図12は、本発明のさらにまた別の例示的実施形態による触知センサにおける第1リボン状電極及び第2リボン状電極の平面概略図である。
図12において、複数個の第1リボン状電極120Cそれぞれは第1方向D1′に延在し、また第1リボン状電極120Cは互いに平行に配列される。複数個の第2リボン状電極130Cそれぞれは第2方向D2′に延在し、また第2リボン状電極130Cは互いに平行に配列される。ここで、第1方向D1′及び第2方向D2′は互いに交差するが、互いに直交しない。各第1リボン状電極120Cは、直列接続した複数個の第1感知部分122Cを有する。各第2リボン状電極130Cは、直列接続した複数個の第2感知部分132Cを有する。各第1リボン状電極120Cにおける1個の単独第1感知部分122Cは第2リボン状電極130CにおけるN個の第2感知部分132Cにクロスオーバーし、また各第2リボン状電極130Cにおける1個の単独第2感知部分132Cは第1リボン状電極120CにおけるM個の第1感知部分122Cにクロスオーバーする。N及びMの双方は2である。にもかかわらず、他の実施形態において、N及びMは1より大きい他の正の整数とすることができ、またN及びMは等しいものである必要はない。
【0045】
このように、
図2A、
図2B、
図10、
図11及び
図12から分かるように、第1リボン状電極及び第2リボン状電極において、N及びMは互いに等しい、又は等しくないものとして設計することができる。さらに、第1リボン状電極及び第2リボン状電極の延在方向は、互いに直交する状態又は互いに非直交状態で交差することができる。
図10における第1リボン状電極120A及び第2リボン状電極130Aは、
図3の触知センサ200及び
図4の触知センサ300のうち任意な一方に適用することができる。
図11における第1リボン状電極120B及び第2リボン状電極130Bは、
図3の触知センサ200及び
図4の触知センサ300のうち任意な一方にも適用することができる。さらに、
図12における第1リボン状電極120C及び第2リボン状電極130Cは、
図3の触知センサ200及び
図4の触知センサ300のうち任意な一方にも適用することができる。
【0046】
上述の実施形態に記載の触知センサは、圧縮応力感知を実現するのに使用でき、また剪断応力感知を実現するのにも使用でき、またひいては人間のタッチをシミュレートするのにも使用することができる。例えば、上述の実施形態の触知センサはロボットの指に適用することができる。ロボットが指で物体をピックアップするとき、物体に加わるグリップ力は触知センサにより決定することができる。触知センサが剪断力(例えば、
図6〜
図8の状況が生ずる)を感知するとき、物体が変位する(例えば、摺動する)ことを示す。このとき、ロボットは、剪断力変化が感知されなくなるまで物体をピックアップしている指のグリップ力を調整でき、これにより物体はロボットの指から滑るのを阻止され、またロボットの行為モードは人間の行為により近似するようになる。
【0047】
上述の観点から、本発明の実施形態により提供される触知センサにおいて、第1リボン状電極における1個の単独感知部分は第2リボン状電極の複数の感知部分とクロスオーバーする設計にして剪断力の応力感知を実現する。圧縮応力に加えて剪断応力も感知することができる。したがって、単に2層の電極構体の下で多次元応力感知は、本発明触知センサによって達成することができる。さらに、本発明実施形態により提供される触知センサは、取り付ける作業なしに湾曲面基板上に作製することができ、したがって、この触知センサは非平面状設計のデバイスに適用することができ、またさらに多様な用途分野に適用することができる。
【0048】
開示した実施形態に対して様々な変更及び改変を加えることができることは当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は単に例示として見なされるべきものであり、本発明の真の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって示されることを意図する。