特許第6739557号(P6739557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739557
(24)【登録日】2020年7月27日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】車両用ブレーキ液圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 11/00 20060101AFI20200730BHJP
   B60T 8/34 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   F16B11/00 A
   B60T8/34
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-568507(P2018-568507)
(86)(22)【出願日】2018年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2018004782
(87)【国際公開番号】WO2018151063
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-28510(P2017-28510)
(32)【優先日】2017年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】千葉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大日方 直人
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3627485(JP,B2)
【文献】 実開昭64−026885(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/114614(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 11/00
B60T 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ液路が設けられている基体と、制御基板を収容するハウジングと、前記ハウジングに取付けられ前記制御基板を覆うカバーと、を有する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、表側および裏側に開口部を有し前記制御基板を収納する周壁部を備え、
前記ハウジングの前記周壁部は、前記カバーを取付ける取付部を備え、
前記カバーは、前記取付部へ延びる凸部を備え、
前記周壁部の前記取付部は、接着剤が充填されると共に前記凸部が挿入される上部溝を備え、
前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に、前記カバーは前記凸部より外側にある当接部で前記取付部に当接し、
前記カバーの前記凸部と前記当接部の間、又は前記取付部の前記上部溝の少なくとも一方は、前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に前記接着剤の余剰分を溜める溜まり溝を備えており、
前記凸部は、前記凸部が挿入される上部溝の面に接する突起を更に備えている
車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
ブレーキ液路が設けられている基体と、制御基板を収容するハウジングと、前記ハウジングに取付けられ前記制御基板を覆うカバーと、を有する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、表側および裏側に開口部を有し前記制御基板を収納する周壁部を備え、
前記ハウジングの前記周壁部は、前記カバーを取付ける取付部を備え、
前記カバーは、前記取付部へ延びる凸部を備え、
前記周壁部の前記取付部は、接着剤が充填されると共に前記凸部が挿入される上部溝を備え、
前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に、前記カバーは前記凸部より外側にある当接部で前記取付部に当接し、
前記カバーの前記凸部と前記当接部の間、又は前記取付部の前記上部溝の少なくとも一方は、前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に前記接着剤の余剰分を溜める溜まり溝を備えており、
前記ハウジングは、前記基体に接するフランジを備え、
前記フランジは、前記ハウジングの周壁部から外側へ張り出しており、
前記フランジは、接着剤を介在される下部溝を備え、
前記フランジの前記基体側の面は、前記下部溝により前記下部溝より外側の外側面と内側の内側面に区分され、
前記外側面が前記基体に接したときに、前記内側面と前記基体の間に微小の隙間が確保されており、
前記接着剤の余剰分が前記微小の隙間に流れ込むようにした
車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記基体に接するフランジを備え、
前記フランジは、前記ハウジングの周壁部から外側へ張り出しており、
前記フランジは、接着剤を介在される下部溝を備え、
前記フランジの前記基体側の面は、前記下部溝により前記下部溝より外側の外側面と内側の内側面に区分され、
前記外側面が前記基体に接したときに、前記内側面と前記基体の間に微小の隙間が確保されており、
前記接着剤の余剰分が前記微小の隙間に流れ込むようにした
請求項1記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
前記下部溝を形成する面が、粗面である
請求項2又は請求項3記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアンチロックブレーキ制御を行う制御装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置のシール構造として、例えば、特許第5526096号公報(以下、特許文献1と記す。)のような技術がある。特許文献1に開示されるシール構造は、ハウジング側に溝を設け、カバー側に溝に進入する凸部を設け、溝にシール剤を充填する。この状態の溝へ凸部を進入させてシール構造を完成するというものである。
【0003】
このシール構造の場合、シール剤や接着剤がハウジングの外面にはみ出ることがある。
はみ出ると、シール剤や接着剤を拭き取る工程が必要となり、製造コストが増大する。
【0004】
製造コストの低減が求められる中、ハウジングにカバーを接合するときに、接着強度を高めつつ、接着剤がハウジングの外面から溢れることを防止できる構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5526096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置において、ハウジングにカバーを接合するときに、接着強度を高めつつ、接着剤がハウジングの外面から溢れることを防止できる構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ブレーキ液路が設けられている基体と、制御基板を収容するハウジングと、前記ハウジングに取付けられ前記制御基板を覆うカバーと、を有する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、表側および裏側に開口部を有し前記制御基板を収納する周壁部を備え、
前記ハウジングの前記周壁部は、前記カバーを取付ける取付部を備え、
前記カバーは、前記取付部へ延びる凸部を備え、
前記周壁部の前記取付部は、接着剤が充填されると共に前記凸部が挿入される上部溝を備え、
前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に、前記カバーは前記凸部より外側にある当接部で前記取付部に当接し、
前記カバーの前記凸部と前記当接部の間、又は前記取付部の前記上部溝の少なくとも一方は、前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に前記接着剤の余剰分を溜める溜まり溝
を備えており、
前記凸部は、前記凸部が挿入される上部溝の面に接する突起を更に備えている。
【0008】
請求項2に係る発明では、ブレーキ液路が設けられている基体と、制御基板を収容するハウジングと、前記ハウジングに取付けられ前記制御基板を覆うカバーと、を有する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、表側および裏側に開口部を有し前記制御基板を収納する周壁部を備え、
前記ハウジングの前記周壁部は、前記カバーを取付ける取付部を備え、
前記カバーは、前記取付部へ延びる凸部を備え、
前記周壁部の前記取付部は、接着剤が充填されると共に前記凸部が挿入される上部溝を備え、
前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に、前記カバーは前記凸部より外側にある当接部で前記取付部に当接し、
前記カバーの前記凸部と前記当接部の間、又は前記取付部の前記上部溝の少なくとも一方は、前記カバーを前記ハウジングに取付けた際に前記接着剤の余剰分を溜める溜まり溝を備えており、
前記ハウジングは、前記基体に接するフランジを備え、
前記フランジは、前記ハウジングの周壁部から外側へ張り出しており、
前記フランジは、接着剤を介在される下部溝を備え、
前記フランジの前記基体側の面は、前記下部溝により前記下部溝より外側の外側面と内側の内側面に区分され、
前記外側面が前記基体に接したときに、前記内側面と前記基体の間に微小の隙間が確保されており、
前記接着剤の余剰分が前記微小の隙間に流れ込むようにした。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記ハウジングは、前記基体に接するフランジを備え、
前記フランジは、前記ハウジングの周壁部から外側へ張り出しており、
前記フランジは、接着剤を介在される下部溝を備え、
前記フランジの前記基体側の面は、前記下部溝により前記下部溝より外側の外側面と内側の内側面に区分され、
前記外側面が前記基体に接したときに、前記内側の面と前記基体の間に微小の隙間が確保されており、
前記接着剤の余剰分が前記微小の隙間に流れ込むようにした。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記下部溝を形成する面が、粗面である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1により、カバー側の凸部が上部溝に充填した接着剤に進入する。接着剤が凸部に確実に付着するため、接着強度が高まる。
ハウジングにカバーを取付ける際に接着剤が溜まり溝に流れるため、ハウジングの外面に接着剤が溢れることがなくなる。
加えて、請求項1により、取付部の上部溝に、カバーの凸部に設けた突起が摺接するため、カバーをハウジングに取付ける際のがたつきを防止することができる。
【0012】
請求項2により、カバー側の凸部が上部溝に充填した接着剤に進入する。接着剤が凸部に確実に付着するため、接着強度が高まる。
ハウジングにカバーを取付ける際に接着剤が溜まり溝に流れるため、ハウジングの外面に接着剤が溢れることがなくなる。
加えて、請求項2により、ハウジングを基体に組付けた際に、接着剤が微小の隙間に入る。接着剤の余剰分が微小の隙間に留められるため、接着剤がハウジング内部への侵入する心配はない。
【0013】
請求項3により、ハウジングを基体に組付けた際に、接着剤が微小の隙間に入る。接着剤の余剰分が微小の隙間に留められるため、接着剤がハウジング内部への侵入する心配はない。
【0014】
請求項4により、粗面に接着剤が入り込むアンカー効果が発揮される。このアンカー効果により、接着剤が下部溝の面から剥離することを防止でき、接着剤の接着性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る2系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置の基本構成図である。
図2】2系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置の断面図である。
図3図2の3c部拡大図(接着剤の溜まり部を説明する図)である。
図4】接着剤の溜まり部の変更例を説明する図である。
図5】接着剤の溜まり部の更なる変更例を説明する図である。
図6】ハウジングとカバーの要部斜視図である。
図7図2の7b部拡大図(粗面を説明する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
なお、前輪ブレーキと後輪ブレーキの液圧を制御するものを2系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置と呼び、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキの何れか一方の液圧を制御するものを1系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置と呼ぶことにする。
【実施例】
【0017】
図1に示されるように、2系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置10は、第1マスタシリンダ12と、第1リザーバ13と、常開型電磁弁である第1入口制御弁15と、常閉型電磁弁である第1出口制御弁16と、第1ポンプ17と、第2マスタシリンダ22と、第2リザーバ23と、常開型電磁弁である第2入口制御弁25と、常閉型電磁弁である第2出口制御弁26と、第2ポンプ27と、第1・第2ポンプ17、27を駆動するモータ29と、このモータ29の駆動制御及び前記第1・第2入口制御弁15、25と前記第1・第2出口制御弁16、26の開閉制御をなす制御装置30と、基体40に設けられブレーキ液を流す第1系統のブレーキ液路A1、B1、C1、D1、E1及び第2系統のA2、B2、C2、D2、E2とを備えている。
【0018】
前記第1マスタシリンダ12は、ブレーキレバー11の操作に応じて作動液を加圧し液圧を発生する。
前記第1リザーバ13は、前輪ブレーキキャリパ14側から逃がされた作動液を一時的に貯留する。
前記第1入口弁15及び前記第1出口制御弁16は、第1マスタシリンダ12と前輪ブレーキキャリパ14の間に設けられる組付部品である。
前記第1ポンプ17は、第1リザーバ13に貯留された作動液を吸入して第1マスタシリンダ12側に戻す組付部品である。
前記第2マスタシリンダ22は、ブレーキペダル21の操作に応じて作動液を加圧し液圧を発生する。
前記第2リザーバ23は、後輪ブレーキキャリパ24側から逃がされた作動液を一時的に貯留する。
前記第2入口制御弁25及び前記第2出口制御弁26は、第2マスタシリンダ22と後輪ブレーキキャリパ24の間に設けられる組付部品である。
前記第2ポンプ27は、第2リザーバ23に貯留された作動液を吸入して第2マスタシリンダ22側に戻す組付部品である。
【0019】
第1・第2ポンプ17、27の吸入側に各々吸入弁31が設けられ、吐出側に各々吐出弁32が設けられている。
また、基体40は、第1マスタシリンダ12から延びる液路(ブレーキ配管)が接続される入口ポート12Pと、第2マスタシリンダ22から延びる液路(ブレーキ配管)が接続される入口ポート22Pと、前輪ブレーキキャリパ14へ延びる液路(ブレーキ配管)が接続される出口ポート14Pと、後輪ブレーキキャリパ24へ延びる液路(ブレーキ配管)が接続される出口ポート24Pとを備えている。
【0020】
前記ブレーキ液路A1は、入口ポート12Pから第1入口制御弁15に至る液路であり、前記ブレーキ液路B1は、第1入口制御弁15から出口ポート14Pに至る液路である。
前記ブレーキ液路C1は、ブレーキ液路B1から第1リザーバ13に至る液路であり、前記ブレーキ液路D1は、第1リザーバ13から第1ポンプ17に至る液路である。
前記ブレーキ液路E1は、第1ポンプ17からブレーキ液路A1に至る液路である。
前記ブレーキ液路A2、B2、C2、D2、E2については、説明が重複するため、説明を省略する。
【0021】
次に、車両用ブレーキ液圧制御装置10の動作を説明する。なお、ブレーキレバー11から前輪ブレーキキャリパ14までの第1系統と、ブレーキペダル21から後輪ブレーキキャリパ24までの第2系統とは、動作が同じであるため、第1系統のみを説明する。
【0022】
・ABS非作動状態:前輪がロックする心配がないときは、制御装置30で、第1ポンプ17を停止し、第1入口制御弁15を開き、第1出口制御弁16を閉じる。この状態で、ブレーキレバー11が制動側に操作されると、第1マスタシリンダ12で液圧が高められ、この液圧が第1入口制御弁15を介して前輪ブレーキキャリパ14に伝えられる。
【0023】
・ABS(減圧モード):前輪がロックしそうになると、制御装置30は、第1入口制御弁15を閉じ、第1出口制御弁16を開く。前輪ブレーキキャリパ14内の液圧は、第1出口制御弁16を介して第1リザーバ13へ逃がされる。これで前輪ブレーキキャリパ14のブレーキ液圧が減圧される。
【0024】
・ABS(保持モード):制御装置30は、第1入口制御弁15と第1出口制御弁16を共に閉じる。これによって、前輪ブレーキキャリパ14のブレーキ液圧が一定に保持される。
【0025】
・ABS(増圧モード):ブレーキ液圧を増圧する際は、制御装置30は、第1入口制御弁15を開け、第1出口制御弁16を閉じる。これによって、マスタシリンダ12で発生された液圧が、前輪ブレーキキャリパ14に伝えられる。これで前輪ブレーキキャリパ14のブレーキ液圧が増圧される。
【0026】
図2に示されるように、基体40に、第1入口制御弁としての電磁弁15及び第1出口制御弁としての電磁弁16が取付けられるとともに、第1リザーバ13が内蔵され、ブレーキ液路A1、C1などが設けられ、ブレーキ液路A1とブレーキ液路C1との間に第1ポンプ17が設けられている。
【0027】
電磁弁15及び電磁弁16は、軸方向の長さにおいて約半分程度が、基体40から突出し、これらの突出部分が樹脂製部品36に収納される。以下、樹脂製部品36をハウジング36と読み替える。電磁弁15及び電磁弁16は各々駆動用の電磁コイル33を備えている。
【0028】
ハウジング36は、表側(カバー38側)および裏側(基体40側)に開口部を有し制御基板99を収納する周壁部84を備えている。
ハウジング36内に制御基板99が配置されており、この制御基板99と電磁コイル33が端子91で電気的に接続されている。
【0029】
図2の3c部拡大図を図3(c)に示す。
図3(a)に示されるように、ハウジング36に備えるカバー38は、カバー38の外周に一方(ハウジング36側)に突出する挿入凸部38aが形成され、この挿入凸部38aに樹脂を溜める溜まり溝38bを備えているとともに、上下に延びる突起38cを備えている。そして、基板収容部85を囲う周壁部84には、カバー38を取付ける取付部36aが形成され、この取付部36aには挿入凸部38aが差し込まれると共に接着剤36bが充填される上部溝36cが形成されている。
【0030】
カバー38は、挿入凸部38aより外側に、ハウジング36側の取付部36aに当たる当接部39を備えている。
【0031】
挿入凸部38aに突起38cを設け、カバー38の取付時に突起38cが上部溝36cの内面に摺接するようにした。カバー38が水平方向に移動しようとすると、突起38cが上部溝36cの内面に当たっているため、水平方向の移動が防止される。結果、カバー38をハウジング36に取り付ける際のがたつきを防ぐことができる。
挿入凸部38aの下端部にテーパー面38fを設けることにより、挿入凸部38aの下端を先尖り形状にする。この形状であれば、挿入凸部38aが、円滑に溝36cに収容されると共に、接着剤36bを円滑に押し分ける。
【0032】
上部溝36cに接着剤36bを置き、カバー38を下げると、上部溝36cに挿入凸部38aが進入する。図3(b)に示されるように、接着剤36bは挿入凸部38aで押され、一部が周壁部84外や周壁部84内へ向かう。
図3(c)に示されるように、接着剤36bは、溜まり溝38bに流れるため、ハウジング36の外面に溢れることがなくなる。
【0033】
なお、第2溜まり溝36dを、ハウジング36側に設けることで、溜まり溝38b、36dの断面積を拡大することは望ましいことである。
【0034】
次に、変更例を、図4及び図5に基づいて説明する。
図4に示されるように、ハウジング36の取付部36aにおいて、上部溝36cに溜まり溝38bを形成しても良い。その他の構成は、図3と同じであるため、図3の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
図5に示されるように、カバー38側に溜まり溝38bを形成しても良い。その他の構成は、図3と同じであるため、図3の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
【0035】
このように、溜まり溝38bは、ハウジング36側に設けることや、カバー38側に設けることや、ハウジング36とカバー38とに跨って設けることができる。
すなわち、溜まり溝38bは、ハウジング36の取付部36aに備える上部溝36cに設けることや、カバー38の挿入凸部38aと当接部39の間に設けることができる。
溜まり溝38bは、カバー38の挿入凸部38aと当接部39の間、又は取付部36aの上部溝36cの少なくとも一方に備えられる。
【0036】
図6に示されるように、ハウジング36からカバー38側へ突出部36eが突出形成されている。この突出部36eは、カバー38の挿入凸部38aを収容する上部溝36cが形成されている取付部36aに設けられている。この突出部36eは、カバー38を固定(正確には接着固定する際の仮固定)する。以下、突出部36eを固定部36eと言う。
この固定部36eは、取付部36aからカバー38側へ延びる門型部材である。固定部36eの角穴36fに、カバー38に設けた突起38eが掛かるため固定(仮固定)される。
【0037】
カバー38は、所定ピッチで複数の突起38cを備えており、これらの突起38cが上部溝36cの外側壁面に接するため、カバー38は水平移動や、回転することなく、ハウジング36に取付けられる。
尚、実施例では、突起38cはカバー38の外面に設けたが、突起38cをカバー38の内面に設けてもよい。この場合は、突起38cは上部溝36cの内側壁面に接する。
【0038】
図2の7b部拡大図が図7(b)で示され、図7(b)の分解図が図7(a)に示される。
図7(a)に示されるように、ハウジング36の周壁部84は、基体40に当接するフランジ92を備え、このフランジ92は、周壁部84より外側に張り出しており、基体40側の面に接着剤92aを溜める下部溝92bを有している。そして、下部溝92bの底面92cが粗面92dとされている。
【0039】
接着剤92aが下部溝92bに収容されるようにしつつ、基体40にハウジング36を当てる。
すると、図7(b)に示されるように、接着剤92aは、アンカー効果により粗面92dに接着され、基体40にハウジング36が強固に接着され、界面剥離を防止できる。
【0040】
また、図7(b)において、フランジ92の基体40側の面は、下部溝92bで外側面92eと内側面92fとに区分されているが、内側面92fと基体40との間に微小な隙間92gを設けるようにした。
接着剤92aの余剰分が、微小な隙間92gに流入するため、接着剤92aがハウジング36内部へ侵入する心配が無くなる。
【0041】
図面は省略するが、本発明は、1系統対応の車両用ブレーキ液圧制御装置にも適用できる。
【0042】
尚、本発明は、自動二輪車に好適であるが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0044】
10…車両用ブレーキ液圧制御装置、36…ハウジング、36a…基体に当接するハウジング側の取付部、36b…接着剤、36c…上部溝、38…カバー、38a…カバーに設けた凸部(挿入凸部)、38b…カバーに設けた溜まり溝、38c…カバーに設けた突起、39…当接部、40…基体、84…周壁部、92…フランジ、92a…接着剤、92b…下部溝、92c…下部溝の底面、92d…粗面、92e…外側面、92f…内側面、92g…内側面と基体の間に確保された微小の隙間、99…制御基板、A1〜E1、A2〜E2…ブレーキ液路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7