(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング工程では、槽内に貯留させたセメント材料に前記固形物を所定時間浸漬させた後、前記槽から前記固形物を出して、前記固形物に付着したセメント材料を硬化させることで、前記固形物がセメント材料でコーティングされる、請求項1に記載のブロックの製造方法。
前記コーティング工程では、前記固形物に吹き付けたセメント材料を硬化させることで、前記固形物がセメント材料でコーティングされる、請求項1に記載のブロックの製造方法。
前記ブロック形成工程では、前記型枠の内部に複数の鉄筋が配置された状態でセメント材料が流し込まれることで、前記複数の鉄筋が内部に配置されたブロックが形成される、請求項1乃至4のいずれかに記載のブロックの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、陸用、海用、或いは河川用の構造体、特に自然災害防止用の構造体を構築するのに利用可能なブロックを、廃棄物を用いて形成することを特徴する。本発明のブロックから構築可能な構造体として、例えば、以下の(1)〜(4)に示す構造体があげられる(なお本発明のブロックから構築可能な構造体は、以下の(1)〜(4)に示す例に限定されない)。
(1)外海からの波を防ぐ防波堤、河川や海の水の侵入を防ぐ堤防、波のエネルギーを減衰させる消波ブロック、治水や利水目的のダム又は堰堤、土石流や土砂崩れなどを防ぐ砂防ダム又は砂防堰堤、避難用のシェルター等の自然災害防止用の構造体
(2)地面又その他の支持面に設置される基礎ブロック
(3)壁面又は砂留等に使用される法面(土羽)のブロック
(4)土台
【0025】
図1は、本発明のブロックの製造方法及び構造体の組立方法・利用方法を示すフローチャートである。
【0026】
本発明のブロックを製造する際には、固形物形成工程と、コーティング工程と、ブロック形成工程とが実施される。固形物形成工程では、廃棄物を含む材料が所定形状に固まった固形物が形成される。コーティング工程では、固形物に付着させたセメント材料を硬化させることで、固形物がセメント材料でコーティングされる。ブロック形成工程では、セメント材料でコーティングされた1又は複数の固形物を型枠内に収容しかつセメント材料を流し込んで硬化させることで、前記固形物が前記セメント材料で封じ込められたブロックが形成される。
【0027】
ブロックの製造に使用される廃棄物は、産業廃棄物及び一般廃棄物等として廃棄されるものである。該廃棄物は、例えば、廃プラスチック類、ビニール、金属くず、鉱さい、シュレッダーダスト等である。なお廃棄物は、予め粉砕処理などにより細かく砕かれていてもよく、焼却灰であってもよく、或いは発生当初のそのままの状態であってもよい。また本発明においてセメント材料とは、水硬性セメントを含む材料を意味する。当該セメント材料には、セメントに水を混ぜたセメントペースト、セメントペーストに細骨材を混ぜたモルタルペースト、セメントペーストに細骨材及び粗骨材を混ぜた生コンクリートなどが含まれる。
【0028】
以下、第1実施形態に係るブロック2、該ブロック2の製造方法、及び該ブロック2を用いた構造体について説明する。
【0029】
固形物形成工程では、例えば廃棄物100を圧縮(プレス加工)する方法によって固形物1が形成される。例えば
図2に示すように、成形容器110と、成形容器110に廃棄物100を供給する供給手段(図示せず)と、成形容器110内に収容された廃棄物100を加圧する加圧手段111とを備えた装置を用い、成形容器110内に廃棄物100を入れた後(
図2(A),(B))、廃棄物100を加圧手段111による加圧で強力に圧縮する(
図2(C))。これにより、廃棄物100が所定形状に圧縮された固形物1が形成される(
図2(D))。なお、加圧時に成形容器110をヒーター(図示せず)で外側から加熱して、廃棄物100の一部を軟化溶融させてもよい。この場合、例えば自然放冷、空冷、水冷などにより、軟化溶融した廃棄物100を常温まで降温させることで、所定形状に固まった固形物1が形成される。
【0030】
また固形物1の材料は、廃棄物100に加えて、セメント材料を含むものであってもよい。この場合、固形物形成工程では、成形容器110内で、廃棄物100とセメント材料とを混合して、該セメント材料を硬化させることで、廃棄物とセメント材料とを含む材料が所定形状に固まった固形物1が形成される。
【0031】
本実施形態では、固形物1は立方体状を呈しているが、固形物1の外形は特に限定されるものではなく、直方体、円柱状、角柱状などであってもよい。また、固形物1の寸法(高さ、横幅、奥行き)は特に限定されるものではなく、後述するブロック2の寸法や、ブロック2内に封入する固形物1の数や設置態様などに応じて適宜設定できる。
【0032】
次に、コーティング工程においては、
図3に示すように、槽120内に貯留させたセメント材料101に、固形物1を所定時間浸漬させた後、槽120から固形物1を出して、固形物1に付着したセメント材料101を硬化させることが行われる。これにより、固形物1がセメント材料101によってコーティングされる。なお、固形物1に吹き付けたセメント材料101を硬化させることで、固形物1がセメント材料101でコーティングされてもよい。或いは、固形物1の表面に流下させたセメント材料101を硬化させることで、固形物1がセメント材料101でコーティングされてもよい。また固形物1を補強するために、セメント材料101でコーティングされた固形物1を、ベルトで縛ることもできる。或いは、ベルトで縛った固形物1を、セメント材料101でコーティングすることもできる。
【0033】
次に、ブロック形成工程においては、
図4及び
図5に示すように、セメント材料101でコーティングされた複数の固形物1を型枠112内のほぼ中央位置に収容し、型枠112内にセメント材料101を流し込むことにより、複数の固形物1をセメント材料101に埋没させる。例えば、型枠112内にセメント材料101を所定高さまで予め流し込んだ後(
図4(A))、このセメント材料101の上に複数の固形物1を置く(
図4(B))。次に型枠112内にセメント材料101を複数の固形物1が覆い隠されるまで流し込むことで(
図5(A))、複数の固形物1をセメント材料101に埋没させる。そしてセメント材料101が硬化した後、型枠112を解体することで、複数の固形物1がセメント材料101に封じ込められたブロック2が得られる(
図5(B))。
【0034】
第1実施形態では、固形物1は、前後左右に複数(図示例では前後に2列、左右に4列)並設されるとともに、上下に複数段(図示例では2段)積み重ねられた状態で、セメント材料101に封じ込められている。ただし、ブロック2内における固形物1の設置態様は特に限定されない。例えば、固形物1の寸法が大きい場合には、セメント材料101でコーティングされた1つの固形物1を、セメント101で封じ込めることもできる。なお
図4(B)に示すように、型枠112内のほぼ中央位置に固形物1を配置して、型枠112内にセメント材料101を流し込めば、固形物1を均等かつ十分な厚さのセメント材料101で封じ込めることができる。これにより、固形物1をブロック2内に強固に封じ込めることができる。
【0035】
なおブロック形成工程においては、型枠112内に複数の鉄筋(図示せず)を配した状態でセメント材料101を流し込むこともできる。これにより、ブロック2の内部に複数の鉄筋が配置されるので、ブロック2を複数の鉄筋で補強できる。
【0036】
第1実施形態では、
図5(B)に示すように、ブロック2の外面には、凸部26と、該凸部26と嵌合可能な形状を呈し、且つ凸部26とは反対側に位置する凹部27とからなる組(以下、「凸部26及び凹部27の組」と記載する)が複数設けられている。詳細は後述するが、ブロック2を複数組み合わせてブロック2の構造体3(以下、単に「構造体3」という。)を形成する際に、凸部26と凹部27との嵌合により、隣接するブロック2同士を連結できる。
【0037】
第1実施形態のブロック形成工程では、
図4(A),(B)及び
図5(A)に示すように、
型枠112に、外側に向けて突き出る第一突起113と、内側に向けて突き出て、第一突起113と反対側に位置する第二突起114との組が複数設けられることで、ブロック2の外面に、凸部26及び凹部27の組を複数設けることができる。
【0038】
具体的には
図4(A),(B)に示すように、型枠112の前後左右の側面の対向する2面に第一突起113及び第二突起114が設けられていることで、
図5(B)に示すように、ブロック2の外面のうち、前後の側面20,21及び左右の側面22,23に、それぞれ凸部26及び凹部27の組を設け、上下の端面24,25に凸部26及び凹部27を設けないようにすることができる。なお、ブロック2の凸部26及び凹部27は、それぞれ前後左右に隣接して並べられたブロック2の凹部27及び凸部26と嵌合するように、各側面20〜23に配置されている。また図示例では、前後の側面20,21、及び左右の側面22,23に、凸部26及び凹部27の組が1組ずつ設けられているが、2組以上設けることもできる。例えば、2つの凸部26を前側の側面20に設け、当該2つの凸部26に嵌合可能な2つの凹部27を後側の側面21に設けることができ(つまり凸部26及び凹部27の組を前後の側面20,21に2組設けることができ)、4つの凸部26を左側の側面22に設け、当該4つの凸部26に嵌合可能な4つの凹部27を右側の側面23に設けることができる(つまり凸部及び凹部の組を左右の側面22,23に4組設けることができる)。また、各側面20〜23に凸部26と凹部27とが混在して設けることもできる。
【0039】
また第1実施形態では、
図4(A),(B)に示すように、第一突起113及び第二突起114が、型枠112の前後左右の側面20〜23の高さの全長にわたって設けられることで、ブロックの前後左右の側面に設けられる各組の凸部26及び凹部27を、ブロック2の側面20〜23の高さの全長にわたって延びるものとすることができる。なお第1実施形態では、凸部26及び凹部27は断面視で矩形状を呈しているが、凸部26及び凹部27の断面視形状は、特に限定されるものではなく、台形状、三角形状、半円状などにすることもできる。
【0040】
第1実施形態では、ブロック2は直方体(6面体)とされているが、ブロック2の外形は、特に限定されるものではなく、例えば立方体(6面体)とされていてもよい。なおブロック2が直方体とされる場合には、例えば、ブロック2の縦幅を横幅の2以上の整数倍にすることができる(例えば、ブロック2の縦幅を横幅の2倍にすることができる)。また例えば
図10や
図11に示されているように、ブロック2は、左側側面22及び/又は右側側面23が前側側面20及び後側側面21に対して直交ではなく傾斜する断面視台形状を呈していてもよい。また、ブロック2の寸法(高さ、横幅、奥行き)は特に限定されるものではなく、後述するブロック2の構造体3の寸法などに応じて適宜設定することができるが、寸法の大きい大型のブロック2を製造することで、ブロック2が丈夫かつ重量のあるしっかりとしたものとなる。このブロック2の寸法としては、例えば横幅が4m〜10m、奥行きが4m〜10m、高さが4m〜10mとすることができる。なお、ブロック2は、構造体を構築するために、高さの異なる複数種のものを用意することが好ましい。
【0041】
第1実施形態では、上述のブロック2を複数組み合せた構造体を、上述した防波堤、堤防、消波ブロック、ダム又は堰堤、砂防ダム又は砂防堰堤、シェルター、基礎ブロック、法面ブロック、土台等として用いることができる。
図6及び
図7は、ブロック2を複数組み合させることで構築される構造体の一例を示している(
図6は構造体3の斜視図であり、
図7は
図6のX1−X1に沿う断面斜視図である)。
【0042】
図6及び
図7に示す構造体3は、前後左右に複数のブロック2が並設されるとともに上下に複数のブロック2が段積みされることで、組み立てられている。
【0043】
第1実施形態では、構造体3は、複数のブロック2が凸部26及び凹部27の嵌合により連結されている。具体的には、前後及び左右に隣接するブロック2同士は、一方のブロック2の凸部26が他方のブロック2の凹部27に嵌合することにより位置ずれすることなく連結されている。第1実施形態の構造体3では、ブロック2の側面の高さ全長にわたって凹部27が設けられていることで、上からの嵌め込みでブロック同士2,2を連結できる。つまり
図8に示すように、ブロック2を下降させることで、当該ブロック2の凸部26或いは凹部27を、前後左右に隣接させる他のブロック2の凹部27或いは凸部26に嵌合させることが可能であり、ブロック2を横移動させることを要しない。したがって、前後左右に隣接させるブロック2,2同士を容易に連結できる。なおブロック2を上から嵌め込み易くするために、凹部27の横断面を、凸部26の横断面よりも大きくすることが好ましい。
【0044】
構造体3は、前後左右に並設された複数の柱状体4によって構成されている(
図9参照)。各柱状体4は、複数種の高さのブロック2により構成されている。前後左右に隣接する柱状体4,4の間で上下に隣接するブロック2,2同士の境界が上下に位置ずれるように、各注状体4を構成する複数種のブロック2は配置される。これにより各注状体4の上下に隣接するブロック2,2同士が連結されている。
【0045】
例えば図示例では、複数の柱状体4は、それぞれ高さの異なる3種のブロック2A,2B,2Cで構成されている。そして、複数の柱状体4のうち、ある柱状体4Aについては、下から高さが最も高いブロック2A、高さが次に高いブロック2B、高さが最も低いブロック2Cの順で段積みされている。他の柱状体4Bについては、下からブロック2B、ブロック2C、ブロック2Aの順で段積みされている。そして各柱状体4A,4Bは、上下に隣接するブロック2A〜2C同士の境界Bが前後左右に隣接する柱状体4との間で上下に位置ずれしている、つまり、各境界Bは、前後左右に隣接する柱状体4のいずれかのブロック2A〜2Cのいずれかの側面20〜23に面している。
【0046】
そのため、各柱状体4A,4Bにおいては、上下に隣接するブロック2A〜2Cの2つの凹部27,27に、隣接する柱状体4B,4Aのいずれか1つのブロック2A〜2Cの凸部26が嵌合し、該凸部26が上記2つの凹部27,27の繋ぎ目Jを跨ぐものとなる。また、各柱状体4A,4Bにおいては、上下に隣接するブロック2A〜2Cの2つの凸部26,26は、隣接する柱状体4B,4Aのいずれかの1つのブロック2A〜2Cの凹部27に嵌合し、当該凹部27に上記2つの凸部26,26の接続部分Cが位置する。これにより、各柱状体4A,4Bでは、上下に隣接するブロック2A〜2C同士が位置ずれすることなく連結されている。
【0047】
以上のように、上下に隣接するブロック2A〜2Cの2つの凹部27,27或いは凸部26,26が、1つのブロック2の凸部26或いは凹部27に嵌合するように、柱状体4A,4Bが組み合われることで、構造体3を構成する複数のブロック2A〜2Cは、前後、左右及び上下のいずれの方向についても位置ずれすることなく連結されている。
【0048】
また上述した3種類のブロック2A〜2Cからなる柱状体4A,4Bにより構造体3を構成する方法は、あくまでも一例である。各柱状体4の上下に隣接するブロック2同士の境界が前後左右に隣接する柱状体4との間で上下に位置ずれするのであれば、各柱状体4をどのような高さのブロック2で構成しても構わない。
【0049】
またブロック2の上側端面24及び下側端面25のうち、一方に凸部26を設け、他方に凹部27を設けてもよい。この場合、上下に隣接する2つのブロック2,2も、凸部26及び凹部27の嵌合で連結される。
【0050】
構造体3の寸法(高さ、横幅、奥行き)は特に限定されるものではなく、上述した構造体3の用途に応じて、前後及び左右に並べるブロック2の数や、上下の段積みするブロック2の数を適宜設定できる。構造体3の全体形状は特に限定されるものではなく、用途に応じた形状とすることができる。なお自然の力を緩和しながら防御するために、構造体3を、平面視で全体的に湾曲した形状とすることが好ましい。なお構造体3は、自然災害防止用の構造体・基礎ブロック・法面のブロック・土台に使用されるので、構造体3を構成する1つのブロック2は、大きく、重量物でなければならない。またブロック2,2同士の連結は、災害時等に加えられる大きな力に耐えるものでなければならない。
【0051】
構造体3は、主に海用或いは河川用の構造体として使用されるものであるが、陸用の構造体として使用されてもよい。
【0052】
図10は、構造体3を防波堤に用いた場合の例を示している。図示例では、構造体3は、平面視で扇形の弧状を呈するように複数のブロック2が組み合わされている。この構造体3は、これを構成する複数のブロック2の中に断面視台形状を呈するブロック2´が含まれていることで、全体的に湾曲した形状(具体的には平面視で扇形の弧状)を呈している。このように構造体3を湾曲した形状にすることで、外海から打ち寄せる荒波の力などの自然の力を構造体3がかわして(構造体3によって自然の力の向きを変えて)、かわした力を山等の自然の物に向けることができる。これにより、港湾や陸地等にある人工物が、自然の力によって破壊されることを防止できる。なお図示は省略するが、構造体3を砂防ダム又は砂防堰堤に用いた場合においても、構造体3が湾曲した形状を呈するように複数のブロック2を組み合わせることで、土砂崩れや土石流等の自然の力を構造体3がかわして、かわした力を自然の物(山等)に向けることができるため、自然の力によって家屋等の人工物が破壊されることを防ぐことができる。
【0053】
また
図11は、構造体3を河川の堤防に用いた場合の例を示している。図示例では、構造体3は、河川の湾曲箇所において平面視で扇形の弧状を呈するように複数のブロック2が組み合わされている。これにより、河川の湾曲箇所において、河川の流れの力(自然の力)を構造体3がかわして、かわした力を自然の物(例えば河川の中央)に向けることができるので、自然の力によって河岸にある人工物や構造体3が破壊されることを防止できる。
【0054】
なお、ブロック2が巨大になることで、ブロック2の輸送が困難になる場合には、現場まで固形物1を輸送し、現場に準備した移動式プラントで固形物1をセメント材料で封じ込めてブロック2を形成する。そして、そのまま現場にて複数のブロック2を組み合わせて構造体3を組み立てることにより、現場へのブロック2の輸送が困難であっても、構造体3を構築することができる。
【0055】
以上、第1実施形態によれば、廃棄物100を利用してブロック2が形成されるので、ブロック2の製造コストを安価に抑えることができる。したがってブロック2を用いれば、構造体3の構築に要する費用を安価に抑えることができる。特に本発明は、自然災害防止用の構造体の構築に関するものであるため、自然災害防止用の構造体の構築費用が安価になり、災害対策の事業展開を促進させて人命及び環境を守ることの一助となり得る。また、ブロック2に廃棄物100が含まれることで、日常大量に発生する廃棄物を、構造体の構築のため、さらには災害対策のために有効利用できる。
【0056】
また第1実施形態によれば、セメント材料101によって固形物1がコーティングされ、且つ、当該コーティングされた固形物1がセメント材料101で封じ込められることで、セメント材料101によって固形物1が2重に保護される。このため、ブロック2は、環境面に優れる。例えば固形物1を封じ込めるセメント材料101にひび割れ等の損傷が生じた場合には、固形物1がコーティグされていることで、固形物1が崩れたり外部に流出することが防止される。またセメント材料でコーティングされ且つ、必要に応じてベルトで縛った固形物1の1又は複数をセメント材料に封じ込めれば、固形物1の崩れや流出をより確実に防止できる。また固形物1を、廃棄物とセメント材料との混合物がセメント材料の硬化で固まったものとしても、固形物1の崩れや流出を確実に防止できる。
【0057】
なお第1実施形態では、構造体3が崩れにくいものとすべく、前後、左右、或いは上下に隣り合うブロック2,2同士を、鋼材で締結してもよい。この場合には、鋼材を通すための貫通孔をブロック2に形成する必要があるが、上記の貫通孔は、固形物1を通過しないように形成することが好ましい。このようにすれば、固形物1が貫通孔から流出することを防止できる。
【0058】
次に他の実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と相違する点について説明し、第1実施形態と共通する構成については第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0059】
図12〜
図14は、第2実施形態のブロック5を示しており、
図12はブロック5の斜視図、
図13(A)はブロック5の平面図、
図13(B)はブロック5の上側端面24の一部を拡大して示す斜視図である。
図14(A)はブロック5の底面図、
図14(B)はブロック5の下側端面25の一部を拡大して示す斜視図である。
【0060】
第2実施形態のブロック5も、第1実施形態のブロック2と同様、
図1に示す固形物形成工程、コーティング工程及びブロック形成工程が実施されることで製造されるものである。これにより、第2実施形態のブロック5も、廃棄物100を含む固形物1がセメント材料によってコーティングされ、且つ、当該コーティングされた1又は複数の固形物1がセメント材料で封じ込められた特徴を有し、セメント材料によって固形物1が2重に保護されている(
図12では、ブロック5内に設けられる固形物1の図示を省略している)。
【0061】
また、第2実施形態のブロック5は、第1実施形態のブロック2と同様に、封じ込められる固形物1は、廃棄物100を圧縮して固めたものとすることができ、或いは、廃棄物100とセメント材料との混合物をセメント材料の硬化で固めたものとすることができる。
【0062】
さらに第2実施形態のブロック5においても、セメント材料でコーティングされた固形物1を、ベルトで縛ることもでき、或いは、ベルトで縛った固形物1を、セメント材料でコーティングすることもできる。なおセメント材料によるコーティングのために、コーティング工程において、槽120内に貯留させたセメント材料に固形物1を所定時間浸漬させること、セメント材料を固形物1に吹き付けること、或いは、固形物1の表面にセメント材料を流下させることによって、固形物1にセメント材料を付着させることができる。
【0063】
さらに第2実施形態のブロック5においても、ブロック形成工程において、型枠112内に複数の鉄筋を配した状態でセメント材料を流し込むことで、複数の鉄筋をブロック5内に配置することができる。
【0064】
第2実施形態のブロック5は、直方体を呈しており、外面のうちの上下の端面24,25のみに凸部26及び凹部27が設けられており、前後左右の側面20〜23には凸部26及び凹部27は設けられていない。
【0065】
第2実施形態では、上下に隣接して配置されるブロック5同士が、凸部26及び凹部27の嵌合によって連結される(各ブロック5では、凸部26及び凹部27の形成位置が、上下に隣接して配置される他のブロック5の凹部27及び凸部26と嵌合可能な位置とされている)。
【0066】
第2実施形態において、ブロック形成工程(
図1参照)で使用される型枠は、対向する2つの側面のみに、外側に向けて突き出る第一突起及び内側に向けて突き出る第二突起を備えたものにすることができる。そして上記の型枠の内部に固形物1を配置して、型枠112内にセメント材料101を流し込んで、セメント材料101を硬化させることで、上側端面24及び下側端面25のみに凸部26及び凹部27が設けられたブロック5が形成される。
【0067】
なお
図12〜
図14に示す例では、ブロック2の上側端面24に凸部26が8つ設けられ、ブロック2の下側端面25に凹部27が8つ設けられているが、上下の端面24,25に設ける凸部26及び凹部27の数は8以外の数にすることもできる。また上下の端面24,25に凸部26と凹部27とが混在して設けられていてもよい。
【0068】
また第2実施形態では、ブロック5の縦幅5aを横幅5bの2以上の整数倍としており、
図12〜
図14は、縦幅5aを横幅5bの2倍とした場合を示している。なお、縦幅5a/横幅5bの整数値は現場毎に適宜調整されるものであり、例えば、縦幅5aを横幅5bの3倍或いは4倍とすることもできる。ブロック5の高さ5cは、現場毎に任意の値に調整され得る(つまりブロック5の高さ5cは現場毎に異なるものとされ得る)。なお各現場では、ブロック5の高さ5cを統一することが好ましい。
【0069】
図15は、第2実施形態のブロック5を用いて組み立てられた構造体6を示しており、
図15(A)は斜視図、
図15(B)は平面図である。
【0070】
第2実施形態の構造体6は、主に海用或いは河川用の構造体として使用されるものであるが、陸用の構造体として使用されてもよい。構造体6では、前後或いは左右に隣接するように並設される下位の複数のブロック5(以下、「下位の複数のブロック5」と略す)の上に、上位の第一のブロック5が跨るように配置されている。これにより、上位の第一のブロック5の縦幅5aの全体及び/又は横幅5bの全体は、下位の複数のブロック5に支持されている。例えば、ブロック5D(第一のブロック5)の縦幅5aの全体及び横幅5bの全体が、ブロック5A,5B(下位の複数のブロック5,5)に支持されている。
【0071】
そして下位の複数のブロック5の上側端面24に設けられる凸部26又は凹部27と、上位の第一のブロック5の下側端面25に設けられる凹部27又は凸部26とが嵌合することで、下位の複数のブロック5と、上位の第一のブロック5とが連結されている。例えば、ブロック5A,5B(下位の複数のブロック5)と、ブロック5D(第一のブロック5)とが連結されている。
【0072】
さらに、上位の第一のブロック5の外側に突出した下位の第二のブロック5の突出部分50の上に、上位の第三のブロック5が重ね合わされている。これにより、第一のブロック5と第三のブロック5とが前後或いは左右に隣接して、第三のブロック5の縦幅5a全体或いは横幅5b全体が第二のブロック5に支持されている。例えば、ブロック5D(第一のブロック5)の外側に突出したブロック5B(第二のブロック5)の突出部分50Bの上に、ブロック5E(第三のブロック5)が重ね合わされることで、ブロック5Dとブロック5Eとが左右に隣接して、ブロック5Eの横幅5bの全体がブロック5Bに支持されている。
【0073】
なお、上記の「第二のブロック5の突出部分50」の大きさは、縦幅5a/横幅5bの値に応じて定められる。
図15に示す例では、縦幅5aを横幅5bの2倍としていることで、「第二のブロック5の突出部分50」は、第二のブロック5の縦幅5aの1/2の範囲(半分)となる。なお例えば、縦幅5aを横幅5bの3倍とする場合には、「第二のブロック5の突出部分」は、第二のブロック5の1/3或いは2/3の大きさとなる。
【0074】
そして下位の第二のブロック5の突出部分50の上側端面24に設けられる凸部26又は凹部27と、上位の第三のブロック5の下側端面25に設けられる凹部27又は凸部26とが嵌合する。これにより、上位の第一のブロック5と共に、上位の第三のブロック5も、下位の第二のブロック5に連結されている。例えば、ブロック5D(第一のブロック5)と共に、ブロック5E(第三のブロック5)も、ブロック5B(第二のブロック5)に連結されている。
【0075】
以上のようにブロック5の連結が行われることで、構造体6を構成する複数のブロック5は、前後、左右及び上下のいずれの方向についても位置ずれすることなく連結されている。また、前後、左右及び上下に隣り合うブロック5同士は隙間無く隣接し、各ブロック5は、縦幅5aの全体及び/又は横幅5bの全体が下位のブロック5によって支持されている。
【0076】
また第2実施形態では、垂直に隣接する下位のブロック5,5の上に、垂直に隣接する上位のブロック5,5を重ね合わせることで、構造体6に屈曲部を形成できる。
図15に示す例では、垂直に隣接するブロック5B,5Cの上に、垂直に隣接するブロック5D,5Eを重ね合わせ、さらにブロック5D,5Eの上に垂直に隣接するブロック5F,5Gを重ね合わせることで、屈曲部が形成されている。
【0077】
そして例えば、構造体6に複数の屈曲部を形成することで、構造体6を湾曲した形状にすることができる(つまり複数の屈曲部によって湾曲形状が形成された構造体6を構築できる)。そして上記のように構造体6を湾曲した形状にすれば、自然の力(荒波の力等)を構造体6がかわして、かわした力を自然の物(山等)に向けることができる。
【0078】
また第2実施形態の構造体6では、ブロック5の側面に凸部26及び凹部27が設けられないため、上からの嵌め込みでブロック5,5同士を連結できる。つまり
図16に示すように、ブロック5を下降させることで、当該ブロック5の凸部26或いは凹部27を、下側に隣接させる他のブロック5の凹部27或いは凸部26に嵌合させることができ、ブロック5を横移動させることを要しない。したがって、上下に隣接させるブロック5,5同士を容易に連結できる。なおブロック5を上から嵌め込み易くするために、凹部27の横断面を、凸部26の横断面よりも大きくすることが好ましい。
【0079】
なお第2実施形態では、必ずしも、ブロック5の縦幅5aを横幅5bの2以上の整数倍にしなくてもよく、各ブロック5の縦幅5a及び横幅5bを均一にしなくてもよい。この場合でも、下位の複数のブロック5の上に、上位の第一のブロック5を跨るように配置すれば、凹部27及び凸部26の嵌合によって、下位の複数のブロック5と、上位の第一のブロック5とを連結できる。なおブロック5の縦幅5aを横幅5bの2以上の整数倍にすれば、前後、左右及び上下に隣り合うブロック5同士を隙間無く隣接させ、各ブロック5の縦幅5aの全体及び横幅5bの全体を下位のブロック5に支持させることができる。なお上述のように下位の複数のブロック5に上位の一つのブロック5を連結するためには、ブロック5の上下の端面24,25に設ける凸部26及び凹部27の数を、複数にする必要がある。
【0080】
また第2実施形態では、必ずしも、下位の複数のブロック5の上に、上位の第一のブロック5を跨るように配置する必要もない。例えば、下位の1つのブロック5の上に、上位の1つのブロック5を配置して、凹部27及び凸部26の嵌合によって、下位の1つのブロック5と上位の1つのブロック5とを連結してもよい。
【0081】
また第2実施形態においても、第1実施形態と同様、ブロック5の輸送が困難な場合には、現場まで固形物1を輸送し、現場に準備した移動式プラントで固形物1をセメント材料で封じ込めてブロック2を形成した後、そのまま現場で、複数のブロック5を組み合わせて構造体6を組み立ててもよい。
【0082】
また第2実施形態の構造体6(
図15)を構成する複数のブロック5は、凸部26及び凹部27の連結に加えて、モルタルなどの接着剤を用いて連結してもよい。
【0083】
また構造体6をより崩れにくいものとすべく、前後、左右、或いは上下に隣り合うブロック5,5同士を、鋼材で締結してもよい。またこの場合には、鋼材を通すための貫通孔が固形物1を貫通しないように、貫通孔をブロック5に形成することが好ましい。このようにすれば、固形物1が貫通孔から流出することを防止できる。
【0084】
なお構造体6は、自然災害防止用の構造体・基礎ブロック・法面のブロック・土台に使用されるので 構造体6を構成する1つのブロック2は 大きく 重量物でなければならない。またブロック5,5同士の連結は、災害時等に加えられる大きな力に耐えるものでなければならない。
【0085】
図17は、第3実施形態のブロック7を示す斜視図である。
【0086】
第3実施形態のブロック7も、第1実施形態のブロック2と同様、
図1に示す固形物形成工程、コーティング工程及びブロック形成工程が実施されることで製造されるものである。これにより、第3実施形態のブロック7も、廃棄物100を含む1又は複数の固形物1がセメント材料によってコーティングされ、且つ、当該コーティングされた固形物1がセメント材料で封じ込められた特徴を有し、セメント材料によって固形物1が2重に保護されている(
図17では、ブロック7内に設けられる固形物1の図示を省略している)。
【0087】
また、第3実施形態のブロック7は、第1実施形態のブロック2と同様に、封じ込められる固形物1は、廃棄物100を圧縮して固めたものとすることができ、或いは、廃棄物100とセメント材料との混合物をセメント材料の硬化で固めたものとすることができる。
【0088】
さらに第3実施形態のブロック7においても、セメント材料でコーティングされた固形物1を、ベルトで縛ることもでき、或いは、ベルトで縛った固形物1を、セメント材料でコーティングすることもできる。なおセメント材料によるコーティングのために、コーティング工程において、槽120内に貯留させたセメント材料に固形物1を所定時間浸漬させること、セメント材料を固形物1に吹き付けること、或いは、固形物1の表面にセメント材料を流下させることによって、固形物1にセメント材料を付着させることができる。
【0089】
さらに第3実施形態のブロック7においても、ブロック形成工程において、型枠112内に複数の鉄筋を配した状態でセメント材料を流し込むことで、複数の鉄筋をブロック7内に配置することができる。
【0090】
第3実施形態のブロック7は、直方体(6面体)を呈しており、外面に凸部26及び凹部27が設けられていない。
【0091】
第3実施形態では、ブロック形成工程(
図1参照)で、内面が平坦である型枠を使用することができる。そして上記の型枠の内部に固形物1を配置して、型枠112内にセメント材料を流し込んで、セメント材料を硬化させることで、凸部26及び凹部27が外面にないブロック7が形成される。
【0092】
第3実施形態では、ブロック7を複数組み合わせることで構造体が構築される。第3実施形態の構造体は、主に陸用の構造体として使用されるものであるが、海用或いは河川用の構造体として使用することもできる。
【0093】
図18は、第3実施形態のブロック7を組み合わせることで構築された構造体の一例を示す斜視図である。
図18に示す構造体8は、構造体8の設置面(地面)の上や既設のブロック7の上に新たなブロック7を置いていくことで構築されたものである。
図18に示す例では、構造体8は、前後左右に複数のブロック7が並設されるとともに上下に複数のブロック7が段積みされることで、組み立てられている。
【0094】
また構造体8は、前後、左右、或いは上下に並設される複数のブロック7に鋼材9を貫通させることにより、前後、左右、或いは上下に並設される複数のブロック7を鋼材9で締結することができる(
図18では、前後に並ぶ4つのブロック7を鋼材9によって締結する例を示している)。このようにすれば、構造体8を崩れにくいものにすることができる。なお鋼材9によるブロック7の締結を、前後左右上下の全ての方向で行えば、構造体8を構成する全てのブロック7が、前後、左右及び上下のいずれの方向にも連結される。このようにすれば、構造体8が崩れることを確実に防止できる。なお鋼材9による複数のブロック7の締結を行うためには、鋼材9を通すための貫通孔を各ブロック7に形成する必要があるが、各ブロック7では、貫通孔が固形物1をよけるように、貫通孔を形成することが好ましい。このようにすれば、固形物1が貫通孔から流出することを防止できる。
【0095】
またブロック7の外形は、直方体(6面体)に限定されるものではなく、例えば立方体(6面体)とされてもよい。なおブロック7が直方体とされる場合には、例えば、ブロック7の縦幅は横幅の2以上の整数倍とされる(例えば、ブロック7の縦幅は横幅の2倍とされる)。また例えば、ブロック7は、左側側面及び/又は右側側面が前側側面及び後側側面に対して直交ではなく傾斜する断面視台形状を呈していてもよい。そして該断面視台形状のブロック7を用いて構造体8を構築すれば、第1実施形態の構造体3(
図10,
図11)と同様、構造体8を湾曲した形状にすることができる。これにより、自然の力(荒波の力等)を構造体6がかわして、かわした力を自然の物(山等)に向けることができる。
【0096】
また
図18では、前後或いは左右に隣り合うブロック7が隙間無く隣接する例を示しているが、構造体8は、前後或いは左右に隣り合うブロック7の間に隙間があいたものであってもよい。また構造体8では、必ずしも上下に複数のブロック7を段積みする必要もなく、複数のブロック7を前後左右に並設したブロック層の1層のみから構造体8が構成されてもよい。
【0097】
また構造体8を構成する複数のブロック7は、モルタルなどの接着剤を用いて連結してもよい。
【0098】
なお構造体8は、自然災害防止用の構造体・基礎ブロック・法面のブロック・土台に使用されるので、ブロック7,7同士の連結は、災害時等に加えられる大きな力に耐えるものでなければならない。
【0099】
図19は、第3実施形態のブロック7を用いて構築される構造体の他の例を示す図である。
【0100】
図19に示す構造体10も、凸部26及び凹部27が設けられないブロック7を複数組み合わされて構築されたものである。構造体10では、組み合わせるブロック7として、大きさの異なる複数種のブロック7A,7B,7Cが使用されており、隣り合うブロック7,7間の隙間Sには、ブロックA,7B,7Cの中から、隙間Sの大きさに応じて選定したブロック7が設置される(
図19では、隙間S1に中型のブロック7Bを設置し、隙間S2に小型のブロック7Cを設置する例を示している)。これにより構造体10を構成する複数のブロック7は密に集積したものとなる。
【0101】
上記の構造体10も、
図18に示す構造体8と同様、凹部27及び凸部26を嵌合させることを要しないので、容易に構築できる。さらに隣り合うブロック7,7間の隙間Sに設置するブロック7が、隙間Sの大きさに応じて選定されることで、地面がぬかるんで既設のブロック7が傾くことで隙間Sが歪な空間になる場合でも、構造体10は構築可能である。
【0102】
図20は、第3実施形態のブロック7を用いて構築される構造体の他の例を示す図である。
【0103】
図20に示す構造体11も、大きさの異なる複数種のブロック7A,7B,7Cを組み合わせることで構築されたものである。
【0104】
構造体11を構築する際には、大きさの異なる複数種のブロック7A,7B,7Cを、混在させた状態で、構造体11の設置面に向けて自然落下させることで、複数種のブロック7A,7B,7Cを積み重ねることが行われる。
【0105】
上記の構築方法によれば、複数のブロック7をまとめて自然落下させる簡易な作業で構造体11が構築される。このため、非常に迅速且つ容易に構造体11を構築できる。また大きさの異なる複数種のブロック7A,7B,7Cが使用されることで、地面がぬかるんでいることで先に落下したブロック7が傾いてブロック同士の間の隙間が歪な空間になる場合でも、隙間にブロック7を入れ込み、ブロック7が密に集積した構造体11を構築できる。
【0106】
なお構造体11を構築するために、大きいブロック7が先になる順序で、複数種のブロック7A,7B,7Cを構造体11の設置面に向けて自然落下させてもよい(ブロック7A(大型)→ブロック7B(中型)→ブロック7C(小型)の順序で、ブロック7を自然落下させてもよい)。このようにしても、ブロック7,7同士の間の隙間に他のブロック7を入れ込むことができるので、ブロック7が密に集積した構造体11を構築できる(大型のブロック7A,7A同士の間の隙間に中型のブロック7B或いは小型のブロック7Cが入れ込まれ、中型のブロック7B,7B同士の間の隙間に小型のブロック7Cが入れ込まれることで、ブロック7が密に集積した構造体が構築される)。
【0107】
上記大きさの異なるブロック7A,7B,7Cを用いる構造体10,11は、海用、河川用、或いは陸用の構造体として使用される(
図19,20は、構造体10,11を海用とする場合の例を示している)。構造体10,11が海用及び河川用とされる際には、構造体10,11は、例えば、防波堤や堤防に沿って構築されて、波のエネルギーを減衰させる消波ブロックとして使用される。陸用とされる際には、構造体10,11は、例えば、土石流や土砂崩れなどを防ぐ砂防ダム又は砂防堰堤として使用される。また、構造体10,11が湾曲した形状になるようにブロック7を設置すれば、自然の力(荒波の力等)を構造体10,11がかわして、かわした力を自然の物(山等)に向けることができる。
【0108】
なお
図19,
図20では、大きさの異なる3種類のブロック7A,7B,7Cを用いて構造体10,11を構築する例を示しているが、構造体10,11を構築する大きさの異なるブロック7の種類の数は、上記例に示す3に限定されず、任意の複数とされ得る(例えば、大きさが異なる4種類、或いは5種類のブロックを用いて、構造体10,11が構築されてもよい)。
【0109】
なお、第3実施形態の構造体8,10,11は、自然災害防止用の構造体・基礎ブロック・法面のブロック・土台に使用されるので 構造体8,10,11を構成する1つのブロック7は、大きく、重量物でなければならない。
【0110】
また第3実施形態においても、第1実施形態と同様、ブロック5の輸送が困難な場合には、現場まで固形物1を輸送し、現場に準備した移動式プラントで固形物1をセメント材料で封じ込めてブロック7を形成し、現場で、複数のブロック7を組み合わせて8,10,11(
図18,
図19,
図20)を組み立ててもよい。
【0111】
以下、第1、第2、第3実施形態で共通して変更可能な事項について説明する。
【0112】
例えば第1、第2、第3実施形態において、固形物形成工程、コーティング形成、及びブロック形成工程で使用されるセメント材料を、異種とすることや、同一種とすることができる。例えば、固形物形成工程で廃棄物100に混ぜ合わせるセメント材料として、セメントペーストを使用し、コーティング工程で固形物1をコーティングするセメント材料として、セメントペースト或いはモルタルペーストを使用し、ブロック形成工程で固形物1を封じ込めるセメント材料として、生コンクリートを使用することができる。また例えば、固形物形成工程、コーティング工程、及びブロック形成工程の全てで、セメントペースト、モルタルペースト、生コンクリートのいずれか一種を使用することができる。
【0113】
また第1、第2、第3実施形態では、コーティング工程を省略し、固形物形成工程で廃棄物100を含む固形物1を形成した後、ブロック形成工程で固形物1をセメント材料で封じ込めてブロック2,5,7を形成することができる。この場合でも、固形物形成工程で、廃棄物100とセメント材料とを混合し、当該混合物に含まれるセメント材料を硬化させて固形物1を固まったものとすることで、ブロック2,5,7は環境面に優れたものとなる(例えば、ブロック2,5,7にひび割れ等の損傷が生じた場合でも、固形物1が崩れたり外部に流出することを防止できる)。