特許第6739705号(P6739705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739705
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
   A63F7/02 310C
【請求項の数】1
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-181991(P2015-181991)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-55905(P2017-55905A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
(72)【発明者】
【氏名】西ヶ谷 道雄
【審査官】 進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−084885(JP,A)
【文献】 特開2015−154861(JP,A)
【文献】 特開2014−236882(JP,A)
【文献】 特開2015−097765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口と、
該始動口への入球に起因して特別図柄の当否判定を実行する当否判定手段と、
該当否判定手段の判定の結果を報知する演出図柄表示装置と、を具備し、
前記当否判定手段の判定の結果が大当りとなると開閉可能に設けられた大入賞口を所定の態様で開放する大当り遊技を実施する弾球遊技機において、
遊技球が発射される遊技領域は、遊技球を第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第1の遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第2の遊技領域と、を備え、
該第2の遊技領域は、領域入口から分岐部を経て、第1分岐流路及び第2分岐流路に分岐され、後に両者が合流する箇所を設けた縦長の流下通路装置を備え、
該流下通路装置の前記第1分岐流路は、
遊技球を重力の方向へ流下せしめる縦流路部と、
該縦流路部の下流端から屈曲して緩やかな傾斜姿勢で遊技球を斜め横方向に案内する横流路部と、
該横流路部の下流端に設けられた前記大入賞口と、
該大入賞口の上方且つ上流位置に設けられて、前記横流路部の流路上下幅を遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に規制する規制部と、
前記大入賞口の下流側に前記第1分岐流路の流路出口と、を備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動口への入球に起因し当否判定を行い、判定が大当りの時に大当り遊技への移行を可能とする弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弾球遊技機には、始動口への入球に起因して特別図柄の変動を伴う当否判定を行い、判定結果が大当りであれば大入賞口を所定の態様で開放する大当り遊技を実施するものが主流である。
また、この種の弾球遊技機には、発射された遊技球が流下する遊技領域に、左打ち遊技領域及び右打ち遊技領域が設けられ、遊技の進行状態に応じて左打ち遊技領域を狙う左打ちをするか、右打ち遊技領域を狙う右打ちをするか打ち分けるものがある(特許文献1参照。)例えば、通常の特別図柄の抽選遊技は左打ち遊技領域で行い、大当り遊技は右打ち遊技領域で行うなど、遊技領域によって行う遊技を相違させれば、その遊技に特化した遊技領域を形成することができ、遊技性を向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−229676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近時、従来の遊技領域を左右に分ける弾球遊技機は、遊技領域に巨大な演出図柄表示装置を搭載する傾向にある。演出図柄表示装置が大きいと、該装置の遊技領域に占める割合が高くなり、その分、遊技球の流下可能な領域が限られ、躍動感のある遊技球の動きが妨げられる。そこで少しでも遊技球の流下可能な領域を広げるため、大当り遊技で使用される右打ち遊技領域に設けられる大入賞口などの入賞装置の小型化が要求される。一方、大入賞口などの入賞装置を小型にすると大当り遊技の大入賞口の入賞率が低下するのではないかといった疑念を持たせるおそれがある。
そこで本発明は前記事情に鑑み、大入賞口の小型化と、大入賞口への高い入賞率を実現して、右打ち遊技領域の省スペース化をはかり、右打ち遊技領域を有効に活用する弾球遊技機を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
遊技球が入球可能な始動口と、
該始動口への入球に起因して特別図柄の当否判定を実行する当否判定手段と、
該当否判定手段の判定の結果を報知する演出図柄表示装置と、を具備し、
前記当否判定手段の判定の結果が大当りとなると開閉可能に設けられた大入賞口を所定の態様で開放する大当り遊技を実施する弾球遊技機において、
遊技球が発射される遊技領域は、遊技球を第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第1の遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第2の遊技領域と、を備え、
該第2の遊技領域は、領域入口から分岐部を経て、第1分岐流路及び第2分岐流路に分岐され、後に両者が合流する箇所を設けた縦長の流下通路装置を備え、
該流下通路装置の前記第1分岐流路は、
遊技球を重力の方向へ流下せしめる縦流路部と、
該縦流路部の下流端から屈曲して緩やかな傾斜姿勢で遊技球を斜め横方向に案内する横流路部と、
該横流路部の下流端に設けられた前記大入賞口と、
該大入賞口の上方且つ上流位置に設けられて、前記横流路部の流路上下幅を遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に規制する規制部と、
前記大入賞口の下流側に前記第1分岐流路の流路出口と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、第2の遊技領域を第1分岐流路と第2分岐流路とに分岐し、第1分岐流路に大入賞口を設けたので、第2の遊技領域に至った遊技球が無条件に大入賞口に向かうことを防ぎ、大入賞口の開放時に遊技球が第2の遊技領域の第1分岐流路を流下するか否かといった遊技性を実現することができる。
また第1分岐流路は、縦流路部から屈曲する横流路部を設け、屈曲部の内面をなす規制部により横流路部の流路上下幅を、遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に形成しているので、効率よく遊技球の流下速度を低減することができ、横流路部の下流に設けた大入賞口への高い入賞率を実現できる。また効率よく遊技球の流下速度を低減できるので、その分、大入賞口の開口幅を必要最小限に形成することができ、大入賞口の横幅を可及的に小型にできる。
また、各分岐流路及び大入賞口を一体に備えるユニットとすることで遊技盤の組み付け作業性が良好である。
第1分岐流路と第2分岐流路は流下先で合流するように構成すれば、合流以後の流下路の省スペース化を図ることができる。尚、全ての遊技球が合流する必要はなく、第1分岐流路、第2分岐流路に各々専用の流路を併設したり、一方のみに専用の流路を併設したりすることが考えられる。こうすれば、合流した流路の下流に入賞口などを設ければ、遊技球が合流できるか否かにも興味を持つことが可能な構成となる。
【0007】
大入賞口の開口幅は、遊技規則において最小幅と最大幅とが決められておりこれらの範囲内でなければならない。また遊技規則では大入賞口の開口幅の計測基準として、大入賞口の一方の側端部に隣接して遊技球が抜けていくスペースのある場合、該大入賞口の一方の側端部と、大入賞口の上方に位置し遊技球が接触可能な障害物などの部位とを直線で結んだ延長線上に位置し、遊技球が接触可能な流路の壁面などの部位が大入賞口の他方の側端部と認識されて、その距離を測って開口幅とすることが認められている。従って、本発明の大入賞口の下流側の端部と、横流路部内の規制部とを直線で結んだ延長線上の縦流路部の側壁面との距離を開口幅とできるので、大入賞口の実際の横幅を可及的に小型化できる上、大入賞口の開口幅を規則の範囲内に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した弾球遊技機の正面図である。
図2】前記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記遊技盤の第2の遊技領域の拡大正面図である。
図4】前記第2の遊技領域に設けられた大入賞口の開放幅の計測の仕方の説明図である。
図5】前記弾球遊技機の背面図である。
図6】前記弾球遊技機の電気ブロック図である。
図7】前記弾球遊技機の遊技仕様を示す説明図である。
図8】前記弾球遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
図9】前記主制御装置で実行される特図始動入賞確認処理の制御内容を示すフローチャートである。
図10】前記主制御装置で実行される特図当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図11】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図12】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図13】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図14】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図15】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図16】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図17】前記特別遊技処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図18】前記主制御装置で実行される普図始動入賞確認処理の制御内容を示すフローチャートである。
図19】前記主制御装置で実行される普図当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図20】前記普図当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図21】前記普図当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図22】前記普図当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図23】前記主制御装置で実行される普図遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図24】前記普図遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図25】前記普図遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図26】前記弾球遊技機の時短遊技状態において演出図柄表示装置に表示される表示態様を示す図である。
図27】前記第2の遊技領域に設けられる遊技球の流下速度を減速させる手段を示す水平方向に沿う要部断面図である。
図28】本発明を適用した他の弾球遊技機の遊技盤の第2の遊技領域を示す拡大平面図である。
図29】前記弾球遊技機の電気ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を適用した弾球遊技機たるパチンコ機1を説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠10にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠10には、左側の上下の位置に設けたヒンジ101を介して、板ガラス110が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)11及び図略の内枠が開閉可能に設けてある。尚、これら前枠11及び前記内枠はシリンダ錠18により外枠10に閉鎖ロックされ、シリンダ錠18に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠11を開放する。
前枠11の板ガラス110の奥には前記内枠に保持された遊技盤2(図2)が設けてある。
【0018】
前枠11の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ112が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠11には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ113のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
【0019】
前枠11の下半部には上皿12と下皿13とが一体に形成してある。下皿13の右側には発射ハンドル14が設けてあり、該発射ハンドル14を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿12から供給された遊技球が遊技盤2に向けて発射される。また上皿12には賞球が払い出される。
下皿13は上皿12から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿13に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。
【0020】
本パチンコ機1は所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)CRが隣接してある。パチンコ機1には上皿12の右側に貸出ボタン171、精算ボタン172及び精算表示装置173が設けてある。また上皿12の中央位置には遊技者が操作可能な遊技ボタン15と、その外周を囲むようにジョグダイヤル16が設置されている。
【0021】
図2に示すように、遊技盤2には外レール201と内レール202とによって囲まれた遊技領域20が形成されている。また遊技領域20は、そのほぼ中央上方寄りの位置にセンターケース200が装着されている。これにより遊技領域20は、遊技球を所定の強度(第1の発射強度)で発射したときに遊技球が流下する左打ち遊技領域20L(特許請求の範囲に記載の第1の遊技領域に相当)と、前記所定の強度よりも強く発射した(第2の発射強度)ときに遊技球が流下する右打ち遊技領域20R(特許請求の範囲に記載の第2の遊技領域に相当)とに分けられる。尚、遊技領域20には図示しない多数の遊技釘や風車が植設されている。
センターケース200は中央に演出図柄表示装置21(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。また演出図柄表示装置21の右下方には補助表示部211が設けられている。尚、センターケース200には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。特に、左打ち遊技領域20Lの側縁を形成するケース左側縁の下半部には、左斜め上方へ向けて開口する入口より遊技球を取込み、ケース中央下方へ案内するワープ通路203が形成されている。
【0022】
センターケース200の直下には、常時入球(入賞)可能な特別図柄(以下、特図という)の第1特図始動口23Aが設置されている。第1特図始動口23Aへは、前記左打ち遊技領域20L、特にワープ通路203から流下する遊技球が入球しやすい構成である。第1特図始動口23Aは、入球により特図の当否判定が実行される起因となる入球口である。第1特図始動口23Aへの入球により特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定乱数、変動パターン決定用乱数などの複数種類の乱数が抽出され、保留記憶される。保留記憶は4つまで記憶される。これら保留記憶に基づいて普図の当否判定が実行される。
第1特図始動口23Aの直下位置には普通入賞口27が設置されている。また左打ち遊技領域20Lの下部にも2つの普通入賞口27が配置されている。
【0023】
図3及び図4に基づいて前記右打ち遊技領域20Rの詳細を説明する。右打ち遊技領域20Rは、遊技球の流下を視認可能な透明な流下通路ユニット60(特許請求の範囲に記載の流下通路装置に相当)により遊技球を流下案内するように構成されている。尚、流下通路ユニット60は前記センターケース200と一体に形成することが望ましい。
流下通路ユニット60は上端部に上方へ向かって開口する右打ち遊技領域の領域入口600を備える。領域入口600の直下流位置には、領域入口600より入球した遊技球が入球し通過可能な普通図柄(以下、普図という)の普図作動ゲート22が設けられている。普図作動ゲート22は遊技球が入球して通過することにより普図の当否抽選が実行される起因となるもので、通過により普図の当り決定用乱数、普図の当り図柄決定乱数、普図のリーチ判定用乱数、普図の変動パターン決定用乱数などの複数種類の乱数が抽出される。
尚、本実施形態では右打ち遊技領域20Rに打ち出した遊技球は全て普図作動ゲート22に通過する構成としたが、分岐部を設けて必ずしも通過しない構成にすることも考えられる。このようにすれば普図作動ゲートへの入賞を技量によって入賞率が変わるようにしたり、遊技性を発揮させることができるようになる。
【0024】
普図作動ゲート22の下流には分岐部601が設けられ、分岐部に601により第1分岐流路61と第2分岐流路62とに分岐されている。また分岐部601には、遊技球を前記第1分岐流路61へ案内する割合及び前記第2分岐流路62へ案内する割合を調整可能な振分手段である複数の調節可能な遊技釘63が設けられている。即ち、遊技釘63の角度を調整することで、第1分岐流路61又は第2分岐流路62へ遊技球が流下し易いか否かを調整可能である。
【0025】
図4に基づいて第1分岐流路61を説明する。
第1分岐流路61は、前記分岐部601から緩やかな傾斜姿勢で遊技盤に対して斜め左横方向へ遊技球Bを案内する上流路部611と、その下流端から屈曲して垂直に遊技球を流下案内する中間流路部612(特許請求の範囲に記載の縦流路部に相当)、及びその下流端から屈曲して緩やかな傾斜姿勢で遊技盤に対して斜め右横方向へ遊技球を案内する下流路部613(特許請求の範囲に記載の横流路部に相当)とで略逆コ字形をなす。このように構成された第1分岐流路61を流下することにより遊技球の流下速度が所定の速度に落とされる。
【0026】
第1分岐流路61には、上流路部611に普通電動役物(以下、普電役物という)230及び普電役物230により開閉可能な第2特図始動口23B(特許請求の範囲に記載の始動口に相当)が設けられている。
前記上流路部611は、遊技球を左斜め下方へ案内する緩やかな傾斜状で、底壁の一部が開閉可能な普電役物230の可動式の平板体からなる扉部で構成されている。即ち、前記底壁の一部に第2特図始動口23Bの開口が形成され、該開口を開閉可能な前記普電役物230の扉部により前記底壁と面一に閉じるようにしてある。
【0027】
普電役物230は、前記普図の当否抽選の結果が当りであれば、前記扉部が所定の時間開放される。
普電役物230の扉部は、遊技盤の前面側へ張出した閉鎖位置と、遊技盤内に後退した開放位置とに進退可能に設けられ、通常、前記閉鎖位置にて第2特図始動口23Bを閉じている。普電役物230の扉部は上流路部611の底壁と面一に緩やかな傾斜状に設けられており、閉鎖状態により前記中間流路部612側へ遊技球を案内可能である。
普電役物230の直下位置には第2特図始動口23Bが設けられ、普電役物230の開放時に第2特図始動口23Bへ入球可能とされている。尚、普電役物230により開閉される第2特図始動口23の開口幅は遊技球Bの直径よりも若干広めで遊技球が一つずつ入球可能な幅に形成してある。
【0028】
第2特図始動口23Bは、側壁を介して縦方向に延びる前記中間流路部612と平行に縦長に設けられている。尚、第2特図始動口23Bには中間部に遊技球の入球を検出するセンサーである第2特図始動口SW504を備え、下端には遊技球を遊技盤内に取り込む始動取り込み口を備える。
第2特図始動口23Bは、入球により第2特図の当否判定が実行される起因となる入球口である。第2特図始動口23Bへの入球により第2特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定乱数、第2特図の変動パターン決定用乱数などの複数種類の乱数が抽出される。これら乱数に応じて第2特図の当否判定が実行され、結果は大当り、小当り、ハズレのいずれかの判定がなされる。尚、本実施形態では、通常遊技時の普図の変動時間は長く、普電役物の開放時間は短時間に設定しているので、通常遊技時に右打ちしても第2特図始動口25での抽選は開始されないように設計されている。そのため、通常遊技状態では左打ちにて第1特図始動口23Aで大当りを目指すのがメインとなる。
【0029】
第2特図始動口23Bの下端部には、遊技球が接触可能な位置に、遊技球の流下を規制するように規制部64が設けられている。規制部64は、前記中間流路部612と前記下流路部613との屈曲部の内面及び下流路部613の天井を形成するように設けられ、下流路部613の流路上下幅を遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に規制するものである。
【0030】
また第1分岐流路61の下流には、下流路部613の下流端に開閉扉240(特別電動役物)により開閉可能な大入賞口24が設けられている。
前記下流路部613は、遊技球を右斜め下方へ案内する緩やかな傾斜状をなし、底壁の下流端の一部が開閉可能な可動式の平板体からなる前記開閉扉240で構成されている。即ち、前記底壁の一部に大入賞口24の開口部241が形成され、該開口部241を開閉可能な前記開閉扉240により前記底壁と面一に閉じるようにしてある。
【0031】
前記開閉扉240は、前記特図の当否判定の結果が大当りであれば、所定の開放態様で所定の時間開放される。
前記開閉扉240は、前記普電役物230の扉部と同様に、遊技盤の前面側へ張出した閉鎖位置と、遊技盤内に後退した開放位置とに進退可能に設けられ、通常、前記閉鎖位置にて大入賞口24を閉じている。開閉扉240は下流路部613の底壁と面一な緩やかな傾斜状に設けられており、閉鎖状態において大入賞口24に隣接された下流路部613の下流端末の流路出口614を経て遊技球を第1分岐流路61より送出可能である。
開閉扉240の直下位置には大入賞口24が設けられ、開閉扉240の開放時に大入賞口24へ入球可能とされている。尚、開閉扉240により開閉される大入賞口24の開口部241の開口幅は遊技球Bの直径よりも若干広めで遊技球が一つずつ入球可能な幅に形成してある。
【0032】
遊技規則において、大入賞口の開口幅は、最小幅と最大幅とが決められておりこれらの範囲内(55mmから135mmまで)でなければならない。また遊技規則では大入賞口の開口幅の計測基準として、大入賞口の一方の側端部に隣接して遊技球が抜けていくスペースのある場合、該大入賞口の一方の側端部と、大入賞口の上方に位置し遊技球が接触可能な障害物などの部位とを直線で結んだ延長線上に位置し、遊技球が接触可能な流路の壁面などの部位が大入賞口の他方の側端部と認識されて、その距離を測って開口幅とすることが認められている。
本実施形態の大入賞口24は、開口部241のその下流側の端部245と、大入賞口24の上部且つ上流側に位置する前記規制部64とを結ぶ直線Tの延長線上の前記中間流路部612の側壁面Pとの距離を開口幅Wにできるので、この開口幅Wを55mmに設定することで、開口部241の実際の開口幅が一つの遊技球が入球可能な幅であっても前記規則の範囲内と認められる。
【0033】
図3図4に示すように、第1分岐流路は、端末の前記流路出口614を経て前記第2分岐流路62の下端末と合流しており、両者の合流部602から流下通路ユニット60の下半部流路65へと連通されている。
第2分岐流路62は遊技領域の周壁に沿う緩やかな円弧状に形成されている。また第2分岐流路62には、その中間部に中間分岐621及び普通入賞口27が設けられ、中間分岐621により振り分けられた遊技球が普通入賞口27へ入球可能な構成である。このように構成すれば、第2分岐流路62に導かれても普通入賞口27への入賞を期待できるため、遊技者が落胆することはない。
前記下半部流路65も遊技領域の周壁に沿う緩やかな円弧状に形成されている。
【0034】
大入賞口24は、前記下半部流路65の遊技領域中心側の側壁に沿う縦長形状に設けられ、開口部241の直下位置には大入賞口24への入球を検出するセンサーであるカウントSW507が設けられ、更にその下流側は分岐され、左右の通路242,243を有する。
そして左通路242には、その入口に該左通路242への入球の進入を規制するためのシャッター250が開閉可能に設けられ、且つ左通路242内には遊技球が入球し通過可能なゲート式の確変口25が設けられている。確変口25は大当り遊技で遊技球が入球し通過することにより大当り遊技終了後の遊技状態を特図の当選確率を高確率とする確率変動(確変)遊技状態に移行可能とするものである。
大入賞口24の下端では左右の通路242,243の下端が合流しており、大入賞口24の下端末には、大入賞口24へ入球して何れかの通路242,243を流下した遊技球が排出SW509へ入球し通過した後に大入賞口24から排出されて遊技盤内へ取り込まれる大入賞取り込み口244が設けられている。
【0035】
このように構成され右打ち遊技領域をなす流下通路ユニット60は、その下半部流路65の下端が、遊技盤の中央下端に向かって緩やかに屈曲しており、前記中央下端側斜め下方へ向けて形成された領域出口603より遊技球を送り出す。また領域出口603の下流側にはこれより送出された遊技球が入球可能な位置に普通入賞口27が設けられている。
【0036】
図5は本パチンコ機1の裏面を示すもので、本パチンコ機1の裏面側には、前記遊技盤2を脱着可能に取付ける内枠30が収納されている。内枠30は、前記前枠11と同様に、一方の側縁(図4の右側)の上下位置が前記外枠10にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠30には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク31、タンクレール32、払出ユニット33が設けられ、払出ユニット33の中には払出機構が設けられている。この構成により、遊技盤2の入賞口に遊技球が入賞すれば球タンク31からタンクレール32を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット33により払出球流下通路を通り前記上皿12に払い出される。また、前記賞球を払い出す払出ユニット33により前記貸出ボタン171の操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
【0037】
パチンコ機1の裏面側には、主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43、発射制御装置44、電源基板45が設けられている。
主制御装置40、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43は遊技盤2に設けられ、払出制御装置41、発射制御装置44、電源基板45は内枠30に設けられている。図4では発射制御装置44が描かれていないが、払出制御装置41の下に設けてある。
【0038】
また、球タンク31の右側には、外部接続端子板38が設けてあり、外部接続端子板38により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。尚、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠側(外枠10、前枠11、内枠30から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板38を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0039】
図6は本パチンコ機1の電気的構成を示すもので、遊技の制御を司る主制御装置40を中心に、サブ制御装置として払出制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43を具備する構成である。主制御装置40、払い出し制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43においては、何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え、これら制御装置は何れもCPUにより、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因してROMに搭載しているメインルーチン及びサブルーチンからなるプログラムが開始され、各種の制御が実行される。また、主制御装置40には各種の乱数を抽出する乱数カウンタ等も備わっている。
発射制御装置44にはCPU、ROM、RAM等が設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置44にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0040】
主制御装置40は、裏配線中継端子板530及び外部接続端子板38を介して遊技施設のホールコンピュータ500と電気的に接続される。また主制御装置40には、裏配線中継端子板530や遊技盤中継端子板531を介して、前枠(ガラス枠)及び内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)501、内枠開放SW502、第1特図始動口23Aへの入球を検出する第1特図始動口SW503、第2特図始動口23Bへの入球を検出する第2特図始動口SW504、普図作動ゲート22への入球を検出する普図作動SW505、複数の普通入賞口27への入球を検出する一般入賞口SW506、大入賞口24への入球を検出するカウントSW507、確変口25への入球を検出する確変口SW508、大入賞口24からの排出を検出する排出SW509等の検出信号が入力される。
【0041】
また主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置41や、演出中継端子板532を介してサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ向けてのコマンドの出力や、図柄表示装置中継端子板533を介して第1特図表示装置28A、第1特図保留表示装置281、第2特図表示装置28B、第2特図保留表示装置282、普図表示装置29及び普図保留表示装置291等の表示制御を行なう。尚、第1特図表示装置28A、第1特図保留表示装置281、第2特図表示装置28B、第2特図保留表示装置282、普図表示装置29及び普図保留表示装置291等は、演出図柄表示装置21の補助表示部211にまとめて設けられている。
【0042】
更に主制御装置40は、遊技盤中継端子板531を介して、大入賞口ソレノイド510、普通電役ソレノイド511及びシャッターソレノイド512が接続されている。そして大入賞口ソレノイド510を制御して開閉扉240を作動させて大入賞口24を開放せしめる。また普通電役ソレノイド511を制御して普電役物230の扉部の開閉作動せしめる。更にシャッターソレノイド512を制御して確変口25への入球を左右するシャッター250を開閉作動せしめる。
主制御装置40からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や特図の大当り等の管理用の信号が外部接続端子板38を経てホールコンピュータ500に送られる。
【0043】
主制御装置40と払出制御装置41とは双方向通信が可能である。
払出制御装置41は、裏配線中継端子板530や払出中継端子板534を介して球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW520、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW522、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW523等の検出信号が入力される。また主制御装置40から送られてくるコマンドに応じて払出モータ521を稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニット端子板535を介してCRユニットCRと電気的に接続され、貸出要求信号に応じて払出モータ521を稼働させて貸球を払い出させる。精算表示装置173を介して球貸及び精算SW171,172による貸出要求、精算要求の操作信号がCRユニット60に入力され、プリペイドカードの残高表示はCRユニット60によって制御される。
【0044】
発射制御装置44は、発射を停止する発射停止SW524、発射ハンドル14に遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW525等の検出信号が入力される。払出制御装置41を介して主制御装置40から送られてくるコマンド(タッチSW525の信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドル14の回動信号及び発射停止SW524の信号に基づいて発射モータ526を制御して遊技球を発射及び停止させる。
【0045】
サブ統合制御装置42には、音量調節SWを備え、また遊技ボタン15やジョグダイヤル16の操作信号が入力される。
そしてサブ統合制御装置42は、スピーカ112を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ113の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置43へキャラクタなどを表示する演出や特図の擬似演出図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0046】
演出図柄制御装置43は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置21を構成している。演出図柄制御装置43は、サブ統合制御装置42から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置21のLCDパネルの表示を制御する。
【0047】
次にパチンコ機1の作動を説明する。
パチンコ機1は、普図作動ゲート22への入球に起因して普図の当否抽選を行い、普図表示装置29の当否の変動表示を開始する。前記抽選結果が当りであれば、表示装置29に普図の当りを確定表示して普電役物230の扉部を開放する。これにより第2特図始動口23Bへの入球が可能となる。
第1又は第2特図始動口23A,23Bへの入球があると、これに起因して乱数値が抽出され、特図の保留記憶として記憶される。そして記憶された保留記憶の乱数値に基づいて特図の当否判定を行い、第1又は第2特図表示装置28A,28Bにて特図の変動を開始するとともに演出図柄表示装置21にて特図に対応する擬似演出図柄の変動を開始する。前記当否判定の結果が大当りであれば、各表示装置28A,28B、21に大当り図柄(擬似演出大当り図柄)を確定表示して大入賞口24の開放を伴う大当り遊技(特別遊技)を実行する。
【0048】
大当り遊技に移行し、大入賞口24の確変口25への入球があれば、大当り遊技終了後には、特図の当否判定の当選確率が高確率に変更される確変遊技状態、及び特図の変動時間や普図の変動時間が短縮される時短機能と第2特図始動口23Bを開放する普電役物の開放時間を延長する開放延長機能が作動する時短遊技状態となり次回の大当りの獲得に有利な遊技状態に移行する。
確変遊技状態及び時短遊技状態は、次に大当りが発生するまで、又は当否判定に伴う特図の変動回数(=当否判定の実行回数)が所定の回数(例えば100回)に達するまで継続され、これを期限に、通常の遊技状態に戻す構成である。
勿論、確変遊技状態及び時短遊技状態の継続回数はこれに限らず、20000回として、実質次回の当りを約束する構成でもよいし、確変遊技状態は50回で時短遊技状態は100回として別々の変動回数を設定する構成でもよい。実質次回までなら確変遊技状態になった地点でもう一度当りを得られることが確定するため一度の当りに複数回の当りを期待することができる。別々の変動回数の場合は、当りを得られず確変遊技状態が終了しても、直ぐ通常遊技状態に移行するのではなく時短遊技状態に移行するため、確変遊技状態時に比べて期待度は下がるものの、期待感を維持しながら遊技することができる。
【0049】
図7は本パチンコ機1の遊技仕様を示し、特図の大当り確率は、通常の低確率時に「400分の1」で、確変の高確率時では「40分の1」である。
大当り遊技終了後に確変に移行する率(突入率)は「70%」である。確変の突入率は大当り発生時の大当り図柄に応じて大入賞口24内のシャッター250を制御することでなされる。即ち、シャッター250の動作で確変口25に入球しやすい状態と、入球しにくい状態とを設ける。
時短回数は100回である。
賞球は、第1及び第2特図始動口23A、23Bへの入球時は「3個」、一般入賞口27などの入球時は「10個」、大入賞口24への入球時は「13個」である。
大入賞口24の規定入球数は「9個」である。
普図の当り確率は、通常の低確率時に「500分の1」で、時短の高確率時では「1分の1」である。
普図の変動時間は、通常遊技状態では「6.2秒」で、時短遊技状態では「0.6秒」である。
普電役物230(第2特図始動口23B)の規定入球数は「9個」である。
【0050】
以下、主制御装置40(厳密には、そのCPU)が実行するプログラム処理に基づいて作動の詳細を説明する。
先ず図8を参照して前記プログラム処理の「メインルーチン」の概要を説明する。「メインルーチン」は本処理(S100〜S111,S115)と残余処理(S112)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0051】
前記S100の処理において正常割り込みなら(S100:yes)、初期乱数更新処理(S101)、特図の大当り決定用乱数の更新処理(S102)、特図の大当り図柄決定用乱数の更新処理(S103)、普図の当り決定用乱数の更新処理(S104)、普図の当り図柄決定用乱数の更新処理(S105)、特図のリーチに関するリーチ判定用乱数の更新処理(S106)、特図及び普図の変動パターンに関する変動パターン決定用乱数の更新処理(S107)、入賞確認処理(S108)、当否判定処理(S109)、各出力処理(S110)、不正監視処理(S111)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S112)をループ処理する。
【0052】
次に主制御装置40が実行するプログラム処理で、本発明に関わりの深い当否判定処理(S109)を中心に、入賞確認処理(S108)や各出力処理(S110)の一部のサブルーチンについて説明する。
尚、本実施形態のパチンコ機1は、普電役物の開放延長が機能していないと第2特図始動口23Bへの入球が望めないので、通常遊技状態において左打ち遊技により第1特図始動口23Aを狙い大当り遊技を目指す。
図9に示す「特図始動入賞確認処理」は、第1特図始動口23A、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したときに抽出される当否乱数等の種々の乱数値を、保留記憶として主制御装置40に格納(記憶)する。そして各特図始動口23A,23Bへの入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置42に送信する処理となる。以後、第1特図始動口23Aに遊技球が入球したときに格納される第1特図の保留記憶を第1保留記憶、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したときに格納される第2特図の保留記憶を第2保留記憶とする。尚、本実施形態における記憶可能な保留記憶数は第1保留記憶数、第2保留記憶数ともに4個ずつである。
【0053】
本「特図始動入賞確認処理」は、先ず、S200の処理において前記第1特図始動口SW503により第1特図始動口23Aへの入球を検出したか否か判定する。入球が無ければ(S200:no)、S204の処理に移行する。入球が有れば(S200:yes)、S201の処理において主制御装置40に格納されている第1保留記憶が満杯(=4個)であるか否かを確認する。満杯であれば(S201:yes)、S204に進み、満杯でなければ(S201:no)、S202の処理において第1特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、抽出された各種の乱数を第1保留記憶として記憶する。
続くS203の処理で加算した第1保留記憶数の値を示す第1保留数コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0054】
次に、S204の処理では、第2特図始動口SW504により第2特図始動口23Bへの入球を検出したか否か判定する。入球が無ければ(S204:no)、リターンする。入球が有れば(S204:yes)、S205の処理において主制御装置40に格納されている第2保留記憶が満杯(=4個)であるか否かを確認する。満杯であれば(S205:yes)リターンし、満杯でなければ(S205:no)、S206の処理において第2特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、抽出された各種の乱数値を第2保留記憶として記憶する。
続くS207の処理で加算した第2保留記憶数の値を示す第2保留数コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0055】
図10乃至図13は「特図当否判定処理」のフローチャートを示す。この処理において第1特図の当否判定と第2特図の当否判定は個別に実行され、且つ第2特図の保留記憶があるときは第2特図の当否判定が優先して実行される。尚、第1特図と第2特図の当否判定はほぼ同じ処理であり、以下の説明では、必要があれば両者を区別するが、それ以外は第1特図及び第2特図を区別せずに単に「特図」とする。
図10に示すように「当否判定処理」は、先ず、S300の処理において役物連続作動装置の作動を確認して大当り遊技中であるか否かを確認し、大当り遊技中でなければ(S300:no)、S301の処理において特図が変動中であるか否かを確認する。変動中でなければ(S301:no)、S302の処理において特図の確定図柄が確定表示中であるか否かを確認する。尚、役物連続作動装置が作動中(S300:yes)であれば「特別遊技処理」に移行する。
【0056】
前記S302の処理で特図の確定図柄が表示中でなければ(S302:no)、図11に示すように、S310の処理において特図の保留記憶があるか確認する。特図の保留記憶があれば(S310:yes)、S311の処理において保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う。該シフト処理により保留記憶のうちで最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。
特図の保留記憶がなければ(S310:no)、「特別遊技処理」に移行する。
【0057】
次にS312の処理で、確変フラグを確認して現在の遊技状態が前記確変遊技状態であるか確認する(確変フラグが「1」であれば確変中)。確変中であれば(S312:yes)、S313の処理において確変時の当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り決定用乱数とを対比して、所定の高確率に基づいて大当りか否か当否判定を行う。
確変中でなければ(S312:no)、S314の処理において通常確率の当否判定用テーブルと前記大当り決定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う。
【0058】
続くS315の処理では、前記S313又はS314の処理の当否判定が大当りか否かの確認を行う。該S315の処理は特許請求の範囲に記載の「当否判定手段」に相当する。
大当りであれば(S315:yes)、S316の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する。
続くS317の処理では、前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて、特図の大当り図柄の変動時間等といった変動パターンを決定する。
【0059】
変動パターンの決定後、S318で大当り設定処理を行う。この処理では、前記決定された大当り図柄に基づき、例えば、大当り遊技終了後の確変遊技への移行や時短遊技への移行、演出図柄表示装置21で実行される大当り遊技のオープニング演出の時間の設定、エンディング演出の時間等の設定がなされる。
次いて、S319の処理において当該大当りと判定された現時点の遊技状態に係る情報、すなわち遊技状態情報を、サブ統合制御装置42に送信する処理を行う。つまり、S315での判定結果が大当りとなった現時点の遊技状態が、通常遊技状態(低確率遊技状態)なのか確変遊技状態(高確率遊技状態)なのか、についての情報の送信処理を実行する。
【0060】
前記S315の処理において、大当りでなくハズレであれば(S315:no)、S320の処理において特図のハズレ図柄の変動時間等といった変動パターンを決定する。続くS321の処理においてハズレ設定処理を行う。
【0061】
前記S319の処理又はS321の処理の後、S322の処理では、第1又は第2特図表示装置28A,28Bの図柄変動開始制御を行い、サブ統合制御装置42へ図柄の変動開始コマンド、図柄指定コマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行する。変動開始コマンド、図柄指定コマンドには特図の変動パターン、特図の当否判定の判定結果などが含まれる。
【0062】
前記図10のS301の処理で特図の変動中のときは(S301:yes)、図12に示すように、S330の処理において図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S330:yes)、S331の確定図柄表示処理において、第1又は第2特図表示装置28A,28Bの特図の変動表示を終了させる制御を行う。その後、「大当り決定処理」へ移行する。
【0063】
前記図10のS302の処理で特図の確定図柄を表示中であれば(S302:yes)、図13のS340の処理に移行して、確定図柄表示時間が終了したか確認する。確定図柄表示時間が終了していなければ(S340:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、確定図柄表示時間が終了したことを確認すると(S340:yes)、S341の確定図柄表示終了の処理により第1又は第2特図表示装置28A,28Bの特図の確定図柄表示を終了させる制御を行い、サブ統合制御装置42へ特図に対応する擬似演出図柄の確定表示を終了させるようにコマンドを送信する。
【0064】
続いてS342の処理において特図の図柄が大当りになる組合せであるか確認し、大当りになる組合せであったときは(S342:yes)、S343の処理で確変フラグが「1」であれば(S343:yes)、S344の処理において確変フラグに「0」をセットする。次に、S345の処理で時短フラグが「1」であれば(S345:yes)、S346の処理で時短フラグに「0」をセットする。これらの処理により大当り遊技(特別遊技)中での確変及び時短に関する遊技状態を通常状態にリセットする。
【0065】
続くS347の処理において条件装置の作動を開始させる。尚、条件装置は特図の当否判定が大当りとなり大当り図柄が確定表示されることにより作動して大当り遊技の開始条件を成立させるものであり、且つ、大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置である。続く348の処理において、役物連続作動装置の作動を開始するとともに、S349の処理において、大当り開始演出処理を行ない、「特別遊技処理」へ移行する。
【0066】
前記S342の処理で、大当りになる組合せでなければ(S342:no)、S350の処理で確変フラグが「1」であるか確認し、確変フラグが「1」であれば(S350:yes)、S351の処理において確変の継続期間をカウントする確変カウンタを減算し、減算した後の確変カウンタが「0」であるか否かを確認する。確変カウンタが「0」であれば(S351:yes)S352の処理において確変フラグを「0」にリセットする。
続くS353の処理で時短フラグが「1」であれば(S353:yes)、S354の処理において時短の継続期間をカウントする時短カウンタを減算し、減算した後の時短カウンタが「0」であるか否かを確認する。時短カウンタが「0」であれば(S354:yes)、S355の処理において時短フラグを「0」にリセットする。
続くS356の状態指定コマンド送信処理では、遊技状態を示す確変フラグや時短フラグの情報等を含む状態指定コマンドを、サブ統合制御装置42へ送信する。その後、「特別遊技処理」に移行する。
【0067】
図14に示す「特別遊技処理」は、先ず、S400の処理において前記役物連続作動装置が作動中か否かを確認し、作動中であれば(S400:yes)、S401の処理で大入賞口24が開放中か否かを確認する。役物連続作動装置が作動中でなければ(S400:no)リターンする。
前記S401の処理で大入賞口24が開放中でなければ(S401:no)、S402の処理で大当り遊技のインターバル中か否かを確認し、インターバル中でなければ(S402:no)、S403の処理で特図大当り終了演出中か否かを確認し、大当り終了演出中でなければ(S403:no)、S404の処理で大当り開始演出時間が経過したか否かを確認し、大当り開始演出時間の経過を確認すれば(S404:yes)、S405の大入賞口開放処理で第1ラウンドの大入賞口24を開放してリターンする。
【0068】
前記S401の処理で大入賞口開放中であれば(S401:yes)、図15に示すように、大入賞口24に入賞があったか否か(規定入賞数)の確認(S410)、又は大入賞口24の開放時間が終了したか否かを確認して(S411)、いずれか確認できれば大入賞口24を閉鎖し(S412)、大当りインターバル処理を実行して(S413)、リターンする。
【0069】
前記S402の処理で大当りのインターバル中であれば(S402:yes)、図16に示すように、S420の処理において大当りインターバル時間が経過したか否かを確認し、経過していれば(S420:yes)、最終ラウンド(例えば第15ラウンド)であるか否かを確認し(S421)、最終ラウンドであれば、(S421:yes)、大当り終了演出の処理(S422)を実行し、この処理でサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
一方、最終ラウンドでなければ、(S421:no)、大入賞口24の開放処理(S423)により第2ラウンドの大入賞口24の開放を実行してリターンする。
【0070】
前記S403の処理で大当り終了演出中であれば(S403:yes)、図17に示すように、大当り終了演出時間が経過したか否かを確認し(S430)、該時間の経過を確認すれば(S430:yes)、役物連続作動装置の作動を停止する処理(S431)を実行し、条件装置の作動を停止する処理(S432)を実行する。
【0071】
続く、S433の処理において確変口25への入球があったか否かを確認し、確変口25への入球があれば(S433:yes)、確変遊技の繰り返し回数(100回)を設定し(S434)、確変フラグに「1」をセットする(S435)。これにより大当り遊技終了後に確変遊技が付与される。
次にS436の処理では時短設定があるか否かを確認し、時短設定があれば(S436:yes)、時短遊技の繰り返し回数(100回)を設定し(S437)、時短フラグに「1」をセットする(S438)。これにより大当り遊技終了後に開放延長遊技が付与される。その後、特図の大当り終了コマンド送信の処理(S439)を実行し、この処理でサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
【0072】
大当り遊技終了後、確変遊技状態及び時短遊技状態に移行すると、普電役物の開放延長が機能して第2特図始動口23への入球が容易になるので、右打ち遊技を行い、普図の当選による普電役物230の開放から第2特図始動口23Bを狙い大当り遊技を目指す。
【0073】
次に普図の抽選に関する処理を説明する。
図18に示す「普図始動入賞確認処理」は、先ず、S500の処理において前記普図作動SW505により普図作動ゲート22への入球を検出したか否か判定する。入球が無ければ(S500:no)、リターンする。入球が有れば(S500:yes)、S501の処理において主制御装置40に格納されている普図の保留記憶が満杯(=4個)であるか否かを確認する。満杯であれば(S501:yes)、リターンし、満杯でなければ(S501:no)、S502の処理において普図の当り決定用乱数、当り図柄決定用乱数、リーチ図柄決定用乱数、はずれ図柄決定用乱数などの各種乱数を抽出し、抽出された各種乱数が保留記憶として主制御装置40のメモリに記憶される(最大4つ)。続くS503の処理で普図保留表示装置291の表示制御、及びサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ普図保留数のコマンドを送信する。
【0074】
図19に示す「普図当否判定処理」は、S600の処理において普電役物230が作動中か否かを確認し、作動していなければ(S600:no)、S601の処理において普図が変動中か否かを確認し、変動中でなければ(S601:no)、S602の処理において確定図柄が表示されているか否かを確認する。尚、普電役物230が作動中(S600:yes)であれば「普図遊技処理」に移行する(図23参照)。
【0075】
前記S602の処理で確定図柄が表示中でなければ(S602:no)、図20に示すように、S610の処理において普図の保留記憶があるか否かを確認し、普図の保留記憶があれば(S610:yes)、S611の処理において普図の保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う。該シフト処理により普図の保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。普図の保留記憶がなければ(S610:no)、「普図遊技処理」に移行する。
【0076】
前記普図保留記憶シフト処理の次にS612の処理において現在の遊技状態が普図の確変中(高確率)であるか確認する。確変中であれば(S612:yes)、S613の処理において確変の当否判定用テーブルで普図の当否判定を行う。確変中でなければ(S612:no)、通常確率(低確率)の当否判定用テーブルで普図の当否判定を行う(S614)。そしてS615の処理では、前記S613又はS614の処理における普図の判定結果が当りであるか否かを確認する。
【0077】
前記S615の処理において普図の当否判定の結果が当りであれば(S615:yes)、S616の処理において前記対象となる普図の保留記憶の普図当り図柄決定用乱数に基づいて普図当り図柄を決定し、前記対象となる普図の保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて当りの変動パターンを決定する(S617)。
一方、普図の当否判定の結果が当りでなければ(S615:no)、S618の処理においてハズレの変動パターンを決定する。
次にS619の処理において普図表示装置29の変動開始、及びサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ普図変動開始コマンドを送信し、「普図遊技処理」に移行する。
【0078】
前記S601の処理において普図の図柄変動中のときは(S601:yes)、図21に示すように、S620の処理において図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S620:yes)、S621の確定図柄表示設定処理により普図表示装置29の確定図柄表示、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ普図に対応する擬似図柄を確定表示させるようにコマンドを送信する。
続いてS622の処理において確定表示された普図が当りになる組合せであるか否か確認し、当りになる組合せであったときは(S622:yes)、S623の普図当り開始演出処理によりサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「普図遊技処理」に移行する。
【0079】
前記S602の処理で確定図柄表示中であれば(S602:yes)、図22に示すように、S630の処理において確定図柄の表示時間が経過したことを確認すると(S630:yes)、S631の確定図柄表示終了処理において普図表示装置29の確定図柄表示の終了、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ擬似図柄の表示を終了させるようにコマンドを送信し、「普図遊技処理」へ移行する。
【0080】
図23に示すように「普図遊技処理」は前記「メインルーチン」(図8)の各出力処理(S110)のサブルーチンである。先ず、S700の処理において普電役物230が開放作動中かであるか否かを確認する。普電役物230が開放中でなければ(S700:no)、S701の処理において普図当り終了演出中か否かを確認し、普図当り終了演出中でなければ(S701:no)、S702の処理において普図当り開始演出時間が経過したか否かを確認し、普図当り開始演出時間が経過していることが確認できれば(S702:yes)、S703の処理において普電役物230を開放してリターンする。
【0081】
前記S700の処理で普電役物230が開放中であれば(S700:yes)、図24に示すように、普電役物230に9個(規定入賞数)の入賞があったか否かの確認(S710)、又は普電役物230の開放時間が終了したか否かを確認して(S711)、いずれか確認できれば、S712の処理において普電役物230を閉鎖し、普図当り演出終了処理を実行して(S713)、リターンする。
【0082】
前記S701の処理で普図当り終了演出中であれば(S701:yes)、図25に示すように、S720の処理において前記普図当り終了演出時間が経過(終了)したか否かを確認し、経過していれば(S720:yes)、S721の普図当り終了コマンド送信の処理を実行し、この処理でサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43に普図当り終了コマンドを送信し、普図当り遊技を終了してリターンする。
【0083】
大当り遊技終了後、確変遊技状態及び時短遊技状態に移行すると、図26に示すように、演出図柄表示装置21において、右打ち遊技を行うことを促す演出表示が行われる。
演出図柄表示装置21には、表示画面の上半部に、遊技状態が確変遊技状態及び時短遊技状態である「達吉RUSH」へ移行し、右打ち遊技を行うことを促す右打ちコメント700が表示される。そして、表示画面の下半部中央にはメインキャラクターの「くまの達吉」が満面の笑みで表示され、表示画面の右下端には3桁の同一数字からなる擬似大当り図柄702が表示される。
【0084】
本実施形態のパチンコ機1によれば、遊技領域20の右打ち遊技領域20Rを流下通路ユニット60とし、且つセンターケース200の側縁沿いに一体に形成したので、遊技盤2の組み付け作業性が良好である。尚、必ずしも流下通路ユニット60をセンターケース200と一体に形成する必要はなく、両者を個別に成形して、一連に連結する構成としてもよい。
また流下通路ユニット60は、第1分岐流路61と第2分岐流路62とに分岐し、第1分岐流路61に大入賞口24を設けたので、大当り遊技の大入賞口の開放時に遊技球が第1分岐流路61を流下するか否かといった遊技性を実現することができる。特に、第1分岐流路61と第2分岐流路62とに分岐部601に振分手段たる遊技釘63を設け、該遊技釘63の調整により、振り分け率を変化させることが可能になり、遊技球が第1分岐流路61を流下するか否かといった遊技性をより高めることができる。
【0085】
更に第1分岐流路61は、緩やかな傾斜姿勢で遊技盤に対して斜め横方向へ遊技球を案内する上流路部611と下流路部613を備え、且つ、縦に遊技球を流下案内する中間流路部612から屈曲する下流路部613には、屈曲部の内面および天井をなす規制部64により下流路部613の流路上下幅を遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に形成しているので、効率よく遊技球の流下速度を低減することができ、下流路部613の下流に設けた大入賞口への高い入賞率を実現できる。また効率よく遊技球の流下速度を低減できるので、その分、大入賞口24の開口幅を必要最小限に形成することができ、大入賞口24の横幅を可及的に小型にできる。尚、2個の遊技球が並列して通過できない寸法にすることにより、遊技球が流路内で引っ掛かることも防止することができる。
下流路部613の遊技球が流下する流路底壁の一部を、大入賞口24を開閉する開閉扉240で構成したので、スムーズな遊技球の移動を妨げず、また独立して大入賞口24を設けなくてよく、その分、小型化に最適である。
【0086】
更にまた、略逆コ字形をなす第1分岐流路61には、そのコ字形の内部空間に普電役物230及び第2特図始動口23を設けたのでスペースを有効活用できる。更に第2特図始動口23の下端を中間流路部612と下流路部613との屈曲部の内面及び下流路部613の天井をなす規制部64として有効に活用できる。これにより、第1分岐流路61は、形状により大入賞口24への流下速度を一定にさせるとともに、その形状を利用して普電役物など他の役物や入賞口を配置することができ、スペースに無駄のない構成とすることができる。
以上により、大入賞口24の小型化と、大入賞口24への高い入賞率を実現して、右打ち遊技領域20Rの省スペース化をはかり、右打ち遊技領域20Rを有効に活用するパチンコ機を提供することができる。
【0087】
本実施形態の大入賞口24への高い入賞率を実現する構成として、第1分岐流路61の下流路部613において、大入賞口24に対応する位置に遊技球の流下速度を減速させる機構を設けることが望ましい。
図27に前記機構の一例を示し、図は下流路部613の大入賞口24に対応する位置での水平断面を示すもので、下流路部613には、大入賞口24に対応する位置に遊技球の流下速度を減退させる複数の流下速度減退部605が設けられている。流下速度減退部605は、下流路部613の遊技盤側の内壁面及びガラス枠側の内壁面よりそれぞれ流路内へ断面ほぼ半円状に突出する突条部からなり、前記各内壁面の縦方向に沿ってそれらの全高にわたって設けられている。
一方の前記内壁面の流下速度減退部605は、大入賞口24の開閉扉240の上流側の端末部に対応する位置及び下流側の端末部に対応する位置それぞれ設けられている。そして他方の前記内壁面の流下速度減退部605は前記一方の側の2条の流下速度減退部605の中間中央に対応する位置に1条設けられている。
【0088】
下流路部613にはその上流側から下流側へ向け、遊技盤側の内壁面とガラス枠側の内壁面とに交互に流下速度減退部605を設けたので、流下する遊技球Bは各流下速度減退部605に接触して蛇行することとなり、流下速度が減速される。
また、流下速度減退部605は大入賞口24の開閉扉240に対応する位置に複数の遊技球を滞留させることが可能で、開閉扉240の開放によりこれらを大入賞口24内へ入球させることができる。
尚、下流路部613と同様に、上流路部611の第2特図始動口23Bの普電役物230に対応する位置に前記流下速度減退部を設けることが望ましい。流下速度減退部を設けることにより、流下速度を一定にすることができるため、どのような流下路の形状でも対応ができるようになる。
【0089】
次に図28図29に基づいて本発明の他の実施形態を説明する。本実施形態のパチンコ機は、右打ち遊技領域20Rをなす流下通路ユニット60Aに第1大入賞口24Aと第2大入賞口24Bとを設けた構成である。尚、本実施形態の基本構成は先の実施形態のそれとほぼ同じで、相違点を中心に説明する。また図において、同一部材は同一符号で表し、それらの説明を省略する。
図28に示すように、流下通路ユニット60Aには、略逆コ字形をなす第1分岐流路61のコ字形の内部空間に第1大入賞口24Aが設けられている。即ち、第1分岐流路61の上流路部611には、その底壁の一部が開閉可能な可動式の平板体からなる第1開閉扉240Aで構成され、底壁の一部に設けられた第1大入賞口24Aの開口を第1開閉扉240Aにより前記底壁と面一に閉じるようにしてある。
【0090】
第1開閉扉240Aは、遊技盤の前面側へ張出した閉鎖位置と、遊技盤内に後退した開放位置とに進退可能に設けられ、通常、前記閉鎖位置にて第1大入賞口24Aを閉じている。第1開閉扉240Aは上流路部611の底壁と面一に緩やかな傾斜状に設けられており、閉鎖状態により第1分岐流路61の中間流路部612側へ遊技球を案内可能である。
第1大入賞口24Aは、第1開閉扉240Aの開放時に入球可能とされている。尚、第1大入賞口24Aの開口幅は遊技球の直径よりも若干広めで遊技球が一つずつ入球可能な幅に形成してある。
【0091】
第1大入賞口24Aは、縦方向に延びる第1分岐流路61の中間流路部612に沿って縦長に設けられている。尚、第1大入賞口24Aには中間部に遊技球の入球を検出する第1カウントSW513を備え、下端には遊技球を遊技盤内に取り込む大入賞取り込み口を備える。
【0092】
第1大入賞口24Aの下端部には、遊技球が接触可能な位置に、遊技球の流下を規制するように規制部64が設けられている。規制部64は、前記中間流路部612と第1分岐流路61の下流路部613との屈曲部の内面及び下流路部613の天井を形成するように設けられ、下流路部613の流路上下幅を遊技球の直径よりも大きい寸法で且つ2個の遊技球が並列して通過できない寸法に規制するものである。
【0093】
また第1分岐流路61の下流路部613にはその下流端に第2開閉扉240Bにより開閉可能な第2大入賞口24Bが設けられている。
下流路部613は、その底壁の下流端の一部が開閉可能な可動式の平板体からなる第2開閉扉240Bで構成されている。即ち、前記底壁の一部に第2大入賞口24Bの開口が形成され、これを開閉可能な前記第2開閉扉240Bにより前記底壁と面一に閉じるようにしてある。
【0094】
第2開閉扉240Bは、前記第1開閉扉240Aと同様に、遊技盤の前面側へ張出した閉鎖位置と、遊技盤内に後退した開放位置とに進退可能に設けられ、通常、前記閉鎖位置にて第2大入賞口24Bを閉じている。前記開閉扉は下流路部613の底壁と面一な緩やかな傾斜状に設けられており、閉鎖状態において第2大入賞口24Bに隣接された下流路部613の下流端末の流路出口614を経て遊技球を第1分岐流路61より送出可能である。
第2大入賞口24Bは、第2開閉扉240Bの開放時に入球可能とされている。尚、第2大入賞口24Bの開口幅は遊技球の直径よりも若干広めで遊技球が一つずつ入球可能な幅に形成してある。
【0095】
第2大入賞口24Bは流下通路ユニット60Aの下半部流路65の側壁に沿う縦長形状に設けられ、開口部241の直下位置には第2大入賞口24Bへの入球を検出するセンサーである第2カウントSW514が設けられ、更にその下流側は分岐され、左右の通路242,243を有する。
そして左通路242には、その入口に該左通路242への入球の進入を規制するためのシャッター250が開閉可能に設けられ、且つ左通路242内には遊技球が入球し通過可能なゲート式の確変口25が設けられている。
第2大入賞口24Bの下端では左右の通路242,243の下端が合流しており、第2大入賞口24Bの下端末には、何れかの通路242,243を流下した遊技球が排出SW509へ入球し通過した後に第2大入賞口24Bから排出されて遊技盤内へ取り込まれる大入賞取り込み口244が設けられている。
【0096】
このように構成され右打ち遊技領域をなす流下通路ユニット60Aの下流には、流下通路ユニット60Aの領域出口603より送出された遊技球が入球可能な位置に、開閉可能な普電役物230及び普電役物230により入球可能な状態又は入球困難な状態に切り替えられる第2特図始動口23が設けられている。
【0097】
図29は本実施形態のパチンコ機の電気ブロックを示すもので、本パチンコ機は、第1及び第2大入賞口24A,24Bを有する分、主制御装置40には、遊技盤中継端子板531を介して、第1大入賞口24Aへの入球を検出する第1カウントSW513、第2大入賞口24Bへの入球を検出する第2カウントSW514等の検出信号が入力される。
更に、主制御装置40には、遊技盤中継端子板531を介して、第1大入賞口ソレノイド(SOL)515、第2大入賞口ソレノイド(SOL)516が接続されている。そして第1大入賞口ソレノイド515を制御して第1開閉扉240Aを作動させて第1大入賞口24Aを開放せしめる。また第2大入賞口ソレノイド516を制御して第2開閉扉240Bを作動させて第2大入賞口24Bを開放せしめる。
【0098】
第1及び第2の大入賞口24A,24Bを有する本実施形態のパチンコ機は、大当り遊技において、通常のラウンドでは第1大入賞口24Aを所定の開放態様にて開放するようになし、所定のラウンドにて第2大入賞口24Bを所定の開放態様にて開放するようになし、該所定のラウンドにおいて確変を獲得できるか否かの遊技性を展開することが望ましい。
また、第1大入賞口24Aに対応する前記上流路部611及び第2大入賞口24Bに対応する前記下流路部613にはそれぞれ、前記図27に示す複数の流下速度減退部605を設けることか望ましい。
【0099】
本実施形態によれば、先の実施形態と同様の作用効果が得られ、第1及び第2大入賞口24A,24Bの小型化と、第1及び第2大入賞口24A,24Bへの高い入賞率を実現して、右打ち遊技領域20Rの省スペース化をはかり、右打ち遊技領域20Rを有効に活用するパチンコ機を提供することができる。特に第2大入賞口24Bは、大当り遊技の遊技状態に関与する確変口25を備えるため、高い入賞率が求められるが、略逆コ字形をなす第1分岐流路61の下流に配置することにより、流下速度が一定になり、安定した入賞を望むことが可能となっている。
【0100】
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、パチンコ機台内に所定数の遊技球が封入され、封入された遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射するとともに、発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を再度発射することで内部の所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行う封入式パチンコ機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
2 遊技盤
20 遊技領域
20L 左打ち遊技領域(第1の遊技領域)
20R 右打ち遊技領域(第2の遊技領域)
200 センターケース(ケース部)
21 演出図柄表示装置
22 普図作動ゲート(作動ゲート)
23A 第1特図始動口(始動口)
23B 第2特図始動口(始動口)
230 普通電動役物
24 大入賞口
24A 第1大入賞口
24B 第2大入賞口
240 開閉扉
240A 第1開閉扉
240B 第2開閉扉
40 主制御装置(当否判定手段)
60,60A 流下通路ユニット(流下通路装置)
600 領域入口
601 分岐部
61 第1分岐流路
611 上流路部
612 中間流路部(縦流路部)
613 下流路部(横流路部)
614 流路出口
62 第2分岐流路
63 遊技釘(振分手段)
64 規制部
図1
図2
図3
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