(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなペンシル型の塗布用容器にあっては、鏡を見ながら化粧をする際に、軸筒が邪魔になって塗布先が見難く、改善が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、鏡を見ながら化粧をする際に容器が邪魔にならず塗布先が見やすく、使用性を向上できる液状化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による液状化粧料容器は、液状化粧料を収容する収容部を内部に有する容器本体と、筒状に構成されて容器本体の先端側に位置し筒孔が収容部に連通する先筒と、容器本体及び先筒内に配置され液状化粧料を送るための中継芯と、を備え、中継芯は、後端が収容部内に位置すると共に、先端が先筒の先端の開口から突出して塗布部を形成し、先筒は、その先端側に、容器本体の軸心に対して傾斜した傾斜部を有し、中継芯は、
先端側に形成される小径部と、当該小径部より後側に形成され小径部より大径の大径部と、を有し、中継芯の小径部が、傾斜部の筒孔に倣
うように曲げられて傾斜し、傾斜部において、開口のうち容器本体の軸心に近い側を形成する前端部が、開口のうち容器本体の軸心に遠い側を形成する前端部より、傾斜部の軸心に対する垂直断面を基準として前側に位置していることを特徴としている。
【0007】
このような液状化粧料容器によれば、容器本体の先端側の先筒が、容器本体の軸心に対して傾斜する傾斜部を有する構成のため、鏡を見ながら化粧をする際に容器が邪魔にならず塗布先が見やすく、使用性を向上できる。
【0008】
ここで、本発明者は、傾斜した中継芯が液状化粧料を含浸すると、傾斜する前の状態に戻るように反り返る特性を有し、傾斜部内では筒孔に倣って傾斜しているが、先筒の先端の開口から突出する塗布部にあっては、傾斜する前の状態に戻るように反ってしまうことを見出した。そして、このように塗布部が反った状態では、傾斜部の軸心から塗布部の軸心がずれてしまい(偏心してしまい)、塗布がし難い(描き難い)ことを見出した。
【0009】
そこで、本発明による液状化粧料容器では、傾斜部において、開口のうち容器本体の軸心に近い側を形成する前端部が、開口のうち容器本体の軸心に遠い側を形成する前端部より、傾斜部の軸心に対する垂直断面を基準として前側に位置するという構成を採用することによって、傾斜部のうち中継芯が反ろうとする側の前端部が前側に延びており、当該前側に延びている前端部によって、塗布部の反りを抑えることができる。従って、塗布部が反っていない状態で、使用者は鏡を見ながら塗布に供することができる。その結果、使用性を一層向上できる。
【0010】
ここで、上記作用・効果を奏する具体的な構成としては、先筒の先端面が、傾斜部の軸心に対する垂直断面に対して前傾する傾斜面であるという構成が挙げられる。
【0011】
また、上記作用・効果を奏する具体的な構成としては、傾斜部において、容器本体の軸心に近い側に、前側に突出する突出部を有する構成も挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、鏡を見ながら化粧をする際に容器が邪魔にならず塗布先が見やすく、且つ、使用性を向上できる液状化粧料容器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による液状化粧料容器の好適な実施形態について
図1〜
図10を参照しながら説明する。
図1〜
図7は、本発明の第1実施形態を、
図8〜
図10は、本発明の第2実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
先ず、
図1〜
図7に示す第1実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図、
図2は、
図1からキャップを取り外した正面図、
図3〜
図6は、先筒を示す各図、
図7は、中継芯の組み込み前の状態を示す正面図であり、本実施形態の液状化粧料容器は、液状化粧料を被塗布部に塗布する際に用いられるものである。
【0017】
図1及び
図2に示すように、液状化粧料容器100は、容器外形を構成する容器本体1及び先筒2と、
図1に示すように、容器本体1内に収容された中綿3と、容器本体1及び先筒2内に収容されると共に先筒2の先端の開口2aから突出する中継芯4と、中継芯4の先端部分である塗布部4a(詳しくは後述)を保護すべく容器本体1の先端側に着脱自在に装着されたキャップ5と、備える。
【0018】
容器本体1は、例えばPP等から形成され、先細の段付き円筒状に構成される。容器本体1の後端の開口は、尾栓6を容器本体1に装着することにより閉じられ、容器本体1の外周面の段差部より後側に形成された内部空間が、液状化粧料を収容するための収容部1aとされる。そして、収容部1aに、液状化粧料を含浸した中綿3が充填される。中綿3は、例えばポリエステル等から形成され、その後端に配置されたアジャスター7によりそのサイズが調節可能とされる。
【0019】
中綿3に含浸される液状化粧料を、ここでは、特に好ましいとして、アイライナー化粧料とし、液状化粧料容器をアイライナー化粧料容器としているが、液状化粧料を例えばアイブロウや、ヘアマスカラ等の他の液状化粧料とすることもできる。
【0020】
先筒2は、中継芯4を保持するホルダとして機能するものであり、例えばPP等から形成され、筒状に構成される。先筒2は、
図3及び
図5に示すように、容器本体1の軸心C1と同軸に位置し概ね直線状に延びる基部2bと、基部2bの先端から湾曲するようにして(折れ曲がるようにして)傾斜する傾斜部2cと、を備える。
【0021】
基部2bは、軸心C1に沿って円筒が先細となる先細円筒部2dと、先細円筒部2dの後端に対して段差面2eを介して連設され小径とされた小径円筒部2fと、を備える。
【0022】
小径円筒部2fは、容器本体1の先端部内に挿入される部分であり、その外周面の対向する位置に、
図3、
図5及び
図6に示すように、コの字状に切り欠くことにより筒内外を連通し、後部が片持ち支持されたバネ部2g,2gが設けられる。このバネ部2gの先端側で外周側の凸部2hが、容器本体1の先端部の内周面に当接する部分であり、バネ部2gの先端側で内周側の端部が、中継芯4を係合するための係合端部2iとされる。
【0023】
傾斜部2cは、
図3〜
図5に示すように、先細円筒部2dの先端に傾斜して続き円筒状を成し、その軸心C2が容器本体1の軸心C1に対して傾斜している。
【0024】
この傾斜部2cにあっては、
図3及び
図5に示すように、その先端の開口2aのうち容器本体1の軸心C1に近い側を形成する前端部2xが、開口2aのうち容器本体1の軸心C1に遠い側を形成する前端部2yより、傾斜部2cの軸心C2に対する垂直断面Dを基準として前側に位置している。
【0025】
具体的には、先筒2の先端面が、傾斜部2cの軸心C2に対する垂直断面Dに対して前傾する傾斜面2mとされている。
【0026】
中継芯4は、軸状に構成され、
図1に示すように、容器本体1及び先筒2内に配置される。この中継芯4は、毛細管現象を発現できるものであり、例えば、アクリル、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維を樹脂で接着したものを研磨加工したものや、シート状の合成繊維を打ち抜き加工したものや、ポリウレタンポーラスを金型で成形したもの等、種々のものを採用できる。
【0027】
中継芯4は、先筒2に組み込まれる前は、
図7に示すように、直線状に軸心に沿って延在している。中継芯4は、先端側が小径部4bとして軸心方向に沿って延び、この小径部4bより後側が大径の大径部4cとなっている。大径部4cの軸心方向途中には、先筒2の係合端部2iが進入するための溝4dが一対対向して形成される。
【0028】
そして、上記のような材質から成り直線状に延在する中継芯4は、曲げられた状態で液状化粧料を含浸すると、曲げられた部分が元の形状に戻るように反る特性を有する。
【0029】
このような中継芯4は、
図1に示すように、その先端側が、先筒2の基部2bの筒孔に内挿され、中継芯4の先端側の小径部4bが、傾斜部2cの筒孔2jに倣うように曲げられて(湾曲して)傾斜している。そして、中継芯4の先端部は、先筒2の開口2aから突出し、この突出部分が塗布部4aとされる。この塗布部4aは、所謂チップと呼ばれているものと同様な機能を果たす。
【0030】
このような中継芯4を有する先筒2は、その基部2bの小径円筒部2fが、容器本体1の先端部の筒孔に内挿され、その段差面2eが、容器本体1の先端面に当接した状態で、先筒2のバネ部2gの凸部2h(
図6参照)が、容器本体1の内周面に当接し圧接されることにより、容器本体1に装着されると共に、この圧接によりバネ部2gが内側に押圧され、その係合端部2i(
図6参照)が、中継芯4の溝4d(
図7参照)に進入することにより、先筒2に対して中継芯4が装着される。また、この状態で、先筒2の筒孔が容器本体1の収容部1aに連通し、中継芯4の後端部が、収容部1a内に位置し中綿3に差し込まれた状態となる。
【0031】
すなわち、
図1及び
図2に示す液状化粧料容器100が得られる。
【0032】
このような本実施形態によれば、容器本体1の先端側の先筒2が、容器本体1の軸心C1に対して傾斜する傾斜部2cを有しているため、鏡を見ながら化粧をする際に容器が邪魔にならず塗布先が見やすく、使用性を向上できる。
【0033】
ところで、
図1及び
図2に示す液状化粧料容器100にあっては、中綿3に含浸された液状化粧料が、中継芯4の毛細管現象により中継芯4に吸い上げられて先端の塗布部4aへ送られ、中継芯4が液状化粧料を含浸した状態となる。
【0034】
すると、中継芯4は、その曲げられた小径部4bが、傾斜する前の元の状態に戻ろうとする。
【0035】
しかしながら、本実施形態では、前述したように、傾斜部2cにおいて、
図1及び
図5に示すように、その先端の開口2aのうち容器本体1の軸心C1に近い側を形成する前端部2xが、開口2aのうち容器本体1の軸心C1に遠い側を形成する前端部2yより、傾斜部2cの軸心C2に対する垂直断面Dを基準として前側に位置し、先筒2の先端面が、傾斜部2cの軸心C2に対する垂直断面Dに対して前傾する傾斜面2mとされているため、傾斜部2cのうち中継芯4が反ろうとする側の前端部2xが前側に延びており、当該前側に延びている前端部2xによって、塗布部4aの反りを抑えることができる。従って、塗布部4aが反っていない状態で、使用者は鏡を見ながら塗布に供することができる。その結果、使用性を一層向上できる。
【0036】
図8は、本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器の先筒を示す正面図、
図9は、
図8の左側面図、
図10は、
図9のX-X矢視図である。
【0037】
この第2実施形態の液状化粧料容器が第1実施形態の液状化粧料容器と違う点は、傾斜部2cを有する先筒2に代えて、
図8〜
図10に示すような傾斜部12cを有する先筒12を用いた点である。
【0038】
この先筒12の傾斜部12cにあっては、第1実施形態と同様に、その先端の開口12aのうち容器本体1の軸心C1に近い側を形成する前端部12xが、開口12aのうち容器本体1の軸心C1に遠い側を形成する前端部12yより、傾斜部12cの軸心C2に対する垂直断面Dを基準として前側に位置する構成に変わりはないが、その具体的な構成が異なっている。
【0039】
すなわち、第2実施形態では、傾斜部12cにおいて、容器本体1の軸心C1に近い側に、前側に突出する突出部12zを有している。より具体的には、傾斜部12cのうち中継芯4が反ろうとする側の前端部12xが前側に延びて突出部12zを形成し、ひさし状に構成されている。そして、この突出部12zによって、塗布部4aの反りを抑えることができる。従って、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
【0040】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、容器本体1の収容部1a内に液状化粧料を含んだ中綿3を収容し、中綿3から液状化粧料を中継芯4を通して当該中継芯4先端の塗布部4aへ送る中綿式の液状化粧料容器に対する適用を述べているが、収容部1a内に液状化粧料を直接充填し、この液状化粧料を中継芯4を通して塗布部4aへ供給する液状化粧料容器に対しても適用できる。
【0041】
また、上記実施形態においては、先筒2(12)は基部2bと傾斜部2c(12c)を有する構成となっているが、先筒全体が傾斜部であっても良い。また、先筒2,12と容器本体1を一体品としても良い。
【0042】
また、塗布部4aを有する中継芯4を、例えば毛筆やブラシ等の形態に代えても良い。
【0043】
また、液状化粧料容器を、押出機構により液状化粧料を押し出す液状化粧料容器や、使用者の押圧力により液状化粧料を押し出すことができるチューブやソフトボトル等のスクイーズタイプの液状化粧料容器としても良い。