特許第6739711号(P6739711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739711
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-29748(P2016-29748)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-144143(P2017-144143A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
(72)【発明者】
【氏名】海野 達也
(72)【発明者】
【氏名】中谷 竜二
(72)【発明者】
【氏名】本田 昌弘
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−253787(JP,A)
【文献】 特開2003−111913(JP,A)
【文献】 特開2001−231965(JP,A)
【文献】 特開2016−007507(JP,A)
【文献】 特開2002−085714(JP,A)
【文献】 特開2003−159420(JP,A)
【文献】 特開2013−081786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口への入球に起因して遊技者にとって有利な特別遊技を行うか否かの当否判定を実施する当否判定手段と、
前記当否判定に伴い演出図柄を変動表示した後に停止表示せしめて前記当否判定の結果を報知せしめる演出図柄表示装置と、
前記演出図柄の表示を制御する演出図柄制御手段と、を備えた遊技機において、
前記演出図柄は、前記当否判定の結果を報知するべく順次に変動を停止する第1演出図柄群、第2演出図柄群、及び第3演出図柄群からなる当否報知部と、少なくとも前記第1演出図柄群と第2演出図柄群とに付随して表示される装飾画像部と、で構成され、
前記演出図柄制御手段は、前記当否報知部の表示制御を行う当否報知部制御手段と、前記装飾画像部の表示制御を行う装飾画像部制御手段と、を備え、
前記装飾画像部制御手段は、前記第1演出図柄群及び前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部を、第1装飾画像データ又は第2装飾画像データのいずれかから表示可能となし、
前記第1演出図柄群に付随する装飾画像部を、前記第1演出図柄群の変動表示中には前記第1装飾画像データにより表示を行うようにし、変動停止表示として前記第2装飾画像データによる表示への切り替えを実行可能となし、
且つ前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部を、前記第2演出図柄群の変動表示中には前記第2装飾画像データにより表示を行うようにし、変動停止表示として前記第1装飾画像データによる表示への切り替えを実行可能としたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記当否報知部は、前記第3演出図柄群を中心に、これを挟むように前記第1演出図柄群及び前記第2演出図柄群が配置され、
前記第1装飾画像データからなる装飾画像部と、前記第2装飾画像データからなる装飾画像部とでは、前記第3演出図柄群を中心に互いに相反する方向性を有する画像構成とされ、
前記第1演出図柄群に付随する装飾画像部及び前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部をそれぞれ、各前記演出図柄群の変動表示中には前記第3演出図柄群とは逆向きの方向性を有する前記第1装飾画像データ又は前記第2装飾画像データにより表示せしめ、各前記演出図柄群の変動停止表示中には前記第3演出図柄群へ向けた方向性を有する前記第2装飾画像データ又は前記第1装飾画像データから表示せしめることを可能とした遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機、特に遊技球の始動口への入球に起因して遊技者にとって有利な特別遊技を行うか否かの当否判定を実施する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機(パチンコ機)は、遊技球が始動口へ入球することに起因して複数種類の乱数値が抽出され、乱数値に基づいて大当りとなるか否かの当否判定を行ない、判定結果が大当りであれば大入賞口を開放して賞球の獲得に有利な大当り遊技状態に移行するものが主流である。
【0003】
また、この種の遊技機は、液晶表示器等の演出図柄表示装置を用い、演出図柄を変動せしめ、後に確定表示することで前記当否結果を報知する演出が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
更には、前記演出図柄として、当否判定を示唆するために用いられる数字や文字だけではなく、人物や動物などのキャラクタが付された態様のものがある(例えば、特許文献2。)。
【0004】
このように、演出図柄として数字や文字の他にこれらと対応するキャラクタを設ければ、変動開始時から多数のキャラクタを登場させることで演出を華やかにすることができるとともに、リーチ演出や大当り演出などに停止表示されたキャラクタを関連させることができ、演出力の向上を図ることができる。
また、特許文献2のように複数の演出モードを設け、選択された演出モードに応じて異なる演出図柄を表示するように構成すれば、これにより、遊技状態が変化していなくても、遊技機の印象を変更することができ、長時間の遊技でも遊技者を飽きさせない効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−024143号公報
【特許文献2】特開2015−186719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャラクタが付された演出図柄を、各演出モードに対応した多数の種類の態様を備えることは、画像データの増大を意味し、遊技機の記憶領域の圧迫や画像製作上の作業量の増大などを招いていた。
そこで本発明は前記事情に鑑み、演出図柄のデザインの質や各演出モードのパターン数を落とすことなく、画像データ量を軽減することができる遊技機を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
始動口への入球に起因して遊技者にとって有利な特別遊技を行うか否かの当否判定を実施する当否判定手段と、
前記当否判定に伴い演出図柄を変動表示した後に停止表示せしめて前記当否判定の結果を報知せしめる演出図柄表示装置と、
前記演出図柄の表示を制御する演出図柄制御手段と、を備えた遊技機において、
前記演出図柄は、前記当否判定の結果を報知するべく順次に変動を停止する第1演出図柄群、第2演出図柄群、及び第3演出図柄群からなる当否報知部と、少なくとも前記第1演出図柄群と第2演出図柄群とに付随して表示される装飾画像部と、で構成され、
前記演出図柄制御手段は、前記当否報知部の表示制御を行う当否報知部制御手段と、前記装飾画像部の表示制御を行う装飾画像部制御手段と、を備え、
前記装飾画像部制御手段は、前記第1演出図柄群及び前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部を、第1装飾画像データ又は第2装飾画像データのいずれかから表示可能となし、
前記第1演出図柄群に付随する装飾画像部を、前記第1演出図柄群の変動表示中には前記第1装飾画像データにより表示を行うようにし、変動停止表示として前記第2装飾画像データによる表示への切り替えを実行可能となし、
且つ前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部を、前記第2演出図柄の群変動表示中には前記第2装飾画像データにより表示を行うようにし、変動停止表示として前記第1装飾画像データによる表示への切り替えを実行可能としたことを特徴とする。
前記第1演出図柄群、前記第2演出図柄群、及び前記第3演出図柄群はそれぞれ、例えば「1〜9」などの複数種類の数字や文字等の演出図柄で構成することが望ましい。
前記第1演出図柄群に付随する装飾画像部及び第2演出図柄群に付随する装飾画像部はそれぞれ、各演出図柄群に応じて共通の装飾画像部を表示することが望ましい。これに限らず、各演出図柄群の演出図柄毎に複数種類の装飾画像部を表示するようにしてもよい。尚、数字や文字等の当否の識別用の図柄部と装飾画像部で1つの演出図柄とする構成でもよい。
前記第1演出図柄群、前記第2演出図柄群、及び前記第3演出図柄群の変動及び停止は、3つの図柄群が全て停止した状態が「確定停止」とされ、第1又は第2演出図柄群が停止状態で第3演出図柄群が変動中の場合は、第1又は第2演出図柄群は「仮停止」とされる。そこで、第1演出図柄群に付随する装飾画像部の前記第2装飾画像データによる表示への切り替え、及び第2演出図柄群に付随する装飾画像部の前記第1装飾画像データによる表示への切り替えは、前記「仮停止」で実施することが望ましい。これに限らず、前記切り替えを前記「確定停止」で実施してもよい。
【0008】
この発明によれば、第1装飾画像データと第2装飾画像データを使い分けることで、第1演出図柄群、第2演出図柄群の各々の変動表示、停止表示を異なる装飾画像部にて演出することができ、且つ変動表示時と停止表示時とで互いに異なる装飾画像データを使用することにより、第1演出図柄群と第2演出図柄群とでデータを共用しているように見えず、あたかも演出図柄群毎に専用の装飾画像部を備えているように華やかに見せることができる。このように、装飾画像用のデータとして少なくとも第1装飾画像データと第2装飾画像データを備える構成でよく、ハード面の記憶容量を軽減することができる上、ソフト面でも装飾画像の製作等の作業効率を向上することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、
請求項1に記載の遊技機において、
前記当否報知部は、前記第3演出図柄群を中心に、これを挟むように前記第1演出図柄群及び前記第2演出図柄群が配置され、
前記第1装飾画像データからなる装飾画像部と、前記第2装飾画像データからなる装飾画像部とでは、前記第3演出図柄群を中心に互いに相反する方向性を有する画像構成とされ、
前記第1演出図柄群に付随する装飾画像部及び前記第2演出図柄群に付随する装飾画像部をそれぞれ、各前記演出図柄群の変動表示中には前記第3演出図柄群とは逆向きの方向性を有する前記第1装飾画像データ又は前記第2装飾画像データにより表示せしめ、各前記演出図柄群の変動停止表示中には前記第3演出図柄群へ向けた方向性を有する前記第2装飾画像データ又は前記第1装飾画像データから表示せしめることを可能とした。
例えば、第3演出図柄群を中心にその左右両側にそれぞれ第1演出図柄群、第2演出図柄群を設け、第1演出図柄群、第2演出図柄群の変動表示中はこれらに付随する装飾画像部を第3演出図柄群とは逆方向の外向きの装飾画像部を表示し、停止表示により各装飾画像部を内向きに切り替えることが望ましい。
【0010】
この発明によれば、第1演出図柄群及び第2演出図柄群が停止した段階(第2停止段階)にて、両端の装飾画像部が中央の第3演出図柄群に向いた態様になるため、自然に遊技者の関心を第3演出図柄群に向けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を適用した遊技機の正面図である。
図2】前記遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記遊技機の背面図である。
図4】前記遊技機の電気ブロック図である。
図5】前記遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
図6】前記主制御装置で実行される特図始動入賞確認処理の制御内容を示すフローチャートである。
図7】前記主制御装置で実行される特図当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図8】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図9】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図10】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図11】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図12】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図13】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図14】前記特別遊技処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図15】前記遊技機の演出表示の変動時において演出図柄表示装置に表示される第1の演出表示態様を示す図である。
図16】前記遊技機のサブ制御装置で実行される装飾画像部表示制御処理1の制御内容を示すフローチャートである。
図17】本発明を適用した他の遊技機のサブ制御装置で実行される装飾画像部表示制御処理2の制御内容を示すフローチャートである。
図18】前記遊技機の演出表示の変動時において演出図柄表示装置に表示される第2の演出表示態様を示す図である。
図19】前記遊技機の演出表示の変動時において演出図柄表示装置に表示される第3の演出表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を適用した弾球遊技機たるパチンコ機1を説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠10にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠10には、左側の上下の位置に設けたヒンジ101を介して、板ガラス110が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)11及び図略の内枠が開閉可能に設けてある。尚、これら前枠11及び前記内枠はシリンダ錠18により外枠10に閉鎖ロックされ、シリンダ錠18に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠11を開放する。
前枠11の板ガラス110の奥には前記内枠に保持された遊技盤2(図2)が設けてある。
【0017】
前枠11の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ112,112が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向を向上させる。また前枠11には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ113のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
【0018】
前枠11の下半部には上皿12と下皿13とが一体に形成してある。下皿13の右側には発射ハンドル14が設けてあり、該発射ハンドル14を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿12から供給された遊技球が遊技盤2に向けて発射される。また上皿12には賞球が払い出される。
下皿13は上皿12から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿13に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。
【0019】
本パチンコ機1は所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)CRが隣接してある。パチンコ機1には上皿12の右側に貸出ボタン171、精算ボタン172及び精算表示装置173が設けてある。また上皿12の中央位置には遊技者が操作可能な遊技ボタン15と、その外周を囲むようにジョグダイヤル16が設置されている。
【0020】
図2は遊技盤2を示し、遊技盤2には外レール201と内レール202とによって囲まれた略円形の遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、その中央部にセンターケース200が装着されている。
センターケース200は中央に演出図柄表示装置21(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。またセンターケース200には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
【0021】
センターケース200の左側位置には普通図柄(以下、単に普図という)の普図作動ゲート(普図作動口)22が設置されている。
センターケース200の直下には特別図柄(以下、単に特図という)の当否判定を実行するための始動口として、常時入球(入賞)可能な第1特図始動口23、チューリップ式普通電動役物からなる第2特図始動口24とが上下位置に設置されている。
【0022】
第2特図始動口24は普通電動役物(以下、単に普電役物という)の開放時にのみ入球(入賞)可能である。普電役物は、遊技球が普図作動ゲート22を通過したことに起因して実行される普図の抽選で当りとなると所定時間開放する。
【0023】
第1及び第2特図始動口23,24の直下位置には、開閉板にて開閉される大入賞口25が配置されている。大入賞口25は特図の大当りからの特別遊技において開閉する特別入賞装置である。
【0024】
また第1及び第2特図始動口23,24の左側位置には、複数の普通入賞口27が配置され、遊技領域20の最下部にはアウト口203が設けられている。
尚、遊技盤2の遊技領域20には、多数の遊技釘や風車が植設されている。
【0025】
遊技盤2の右下部には遊技領域20外に、特図が変動表示される特図表示装置28、普図が変動表示される普通図柄表示装置29、特図の保留記憶が表示される特図保留数表示装置281、及び普図の保留記憶が表示される普図保留数表示装置291が配設されている。
【0026】
図3に示すように、パチンコ機1の裏側は、前記遊技盤2を脱着可能に取付ける内枠30が収納されている。内枠30は、前記前枠11と同様に、一方の側縁(図3の右側)の上下位置が前記外枠10にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠30には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク31、タンクレール32、払出ユニット33が設けられ、払出ユニット33の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤2の入賞口に遊技球が入賞すれば球タンク31からタンクレール32を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット33により払出球流下通路を通り前記上皿12に払い出される。また、本実施形態では前記賞球を払い出す払出ユニット33により前記貸出ボタン171の操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
【0027】
パチンコ機1の裏側には、主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43、発射制御装置44、電源基板45が設けられている。
【0028】
主制御装置40、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43は遊技盤2に設けられ、払出制御装置41、発射制御装置44、電源基板45は内枠30に設けられている。図3では発射制御装置44が示されていないが、払出制御装置41の下に設けてある。
【0029】
また、球タンク31の右側には、外部接続端子板38が設けてあり、外部接続端子板38により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。尚、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠側(外枠10、前枠11、内枠30)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板38を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0030】
図4は本パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図で、遊技の制御を司る主制御装置40を中心に、サブ制御装置として払出制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43を具備する構成である。主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43においては、何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え、これら制御装置は何れもCPUにより、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因してROMに搭載しているメインルーチン及びサブルーチンからなるプログラムが開始され、各種の制御が実行される。
発射制御装置44にはCPU、ROM、RAM等が設けられていない。しかしこれに限るわけではなく、発射制御装置44にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0031】
主制御装置40は、裏配線中継端子板530及び外部接続端子板38を介して前記遊技施設のホールコンピュータ500と電気的に接続される。また主制御装置40には、裏配線中継端子板530や遊技盤中継端子板531を介して、前枠(ガラス枠)11及び内枠30が開放しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)501、内枠開放SW502、第1特図始動口23への入球を検出する第1始動口SW503、第2特図始動口24への入球を検出する第2始動口SW504、普図の作動ゲート22への入球を検出する普通図柄作動SW505、普通入賞口26への入球を検出する複数の入賞口SW506,507、大入賞口25への入球を検出するカウントSW508等の検出信号が入力される。
【0032】
また主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置41、サブ統合制御装置42や演出図柄制御装置43へ向けてのコマンドの出力や、図柄表示装置中継端子板533を介して特図表示装置28、特図保留数表示装置281、普通図柄表示装置29及び普図保留数表示装置291の表示制御を行なう。
【0033】
更に主制御装置40は、遊技盤中継端子板531を介して大入賞口ソレノイド509を駆動して大入賞口25を開放作動せしめる。また普電役物の普電役物ソレノイド510を駆動して第2特図始動口24の普電役物を開閉する。
主制御装置40からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板38を経てホールコンピュータ500に送られる。
【0034】
主制御装置40と払出制御装置41とは双方向通信が可能である。
払出制御装置41は、裏配線中継端子板530や払出中継端子板534を介して球タンク31が空状態になったことを検出する球切れSW520、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW522、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW523等の検出信号が入力される。主制御装置40から送られてくるコマンドに応じて払出モータ521を稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニット端子板535を介してCRユニットCRと電気的に接続され、貸出要求信号に応じて払出モータ521を稼働させて貸球を払い出させる。精算表示装置173を介して球貸及び精算SW171,172による貸出要求、精算要求の操作信号は、CRユニットCRに入力され、プリペイドカードの残高表示はCRユニットCRによって制御する。
【0035】
発射制御装置44は、発射停止SW524、発射ハンドル14に遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW525等の検出信号が入力される。払出制御装置41を介して主制御装置40から送られてくるコマンド(タッチSW525の信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドル14の回動信号及び発射停止SW524の信号に基づいて発射モータ526を制御して遊技球を発射及び停止させる。
【0036】
サブ統合制御装置42には、演出ボタン15やジョグダイヤル16が操作されたときの操作検出信号が入力される。
そしてサブ統合制御装置42は、スピーカ112を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ113の点灯、消灯等を制御する。更にサブ統合制御装置42は演出図柄制御装置43へキャラクタなどを表示する装飾画像や特図に対応する擬似演出図柄等の演出表示の表示態様のコマンドを送信する。
【0037】
演出図柄制御装置43は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置21を構成している。演出図柄制御装置43は、サブ統合制御装置42から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置21のLCDパネルの表示を制御する。
【0038】
次にパチンコ機1の作動を説明する。
パチンコ機1は、作動ゲート22への入球に起因して普図の当否抽選を行い、普図表示装置29の当否の変動表示を開始する。前記抽選結果が当りであれば、表示装置29に普図の当りを確定表示して前記普電役物を開放する。これにより第2特図始動口24への入賞が可能となる。
第1又は第2特図始動口23,24への入賞があると、これに起因して乱数値が抽出され、該乱数値に基づいて特図の当否抽選を行い、特図表示装置28及び演出図柄表示装置21の図柄変動を開始する。抽選結果が大当りであれば、各表示装置28,21に大当り図柄を確定表示して大入賞口25の開放を伴う大当り遊技(特別遊技)を実行する構成である。
【0039】
また大当り遊技終了後に、大当りとなった特図(大当り図柄)に応じて、特図の当選確率が高確率に変更される確変遊技状態や、普図の変動時間を短縮するとともに第2特図始動口24の開放時間を延長する時短遊技状態など大当り遊技の移行に有利な遊技状態に移行可能である。尚、確変遊技状態や時短遊技状態は次回の大当りが発生するまで、又は特図オ変動回数をカウントしてその変動回数が所定の回数(例えば100回)に達することで通常の遊技状態に戻る。
【0040】
以下、作動の詳細を主制御装置40、演出図柄制御装置43等で実行されるプログラム処理に基づいて説明する。
図5は主制御装置40で実行される「メインルーチン」のフローチャートを示し、「メインルーチン」は本処理(S100〜S110,S115)と残余処理(S111)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0041】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期値乱数更新処理(S101)、第1又は第2特図の当否判定用の乱数値である大当り決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S102)、第1又は第2特図の大当り図柄決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S103)、普図の当り決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S104)、第1又は第2特図のリーチに関するリーチ判定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S105)、第1又は第2特図の変動パターン(変動時間)に関する変動パターン決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S106)、入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)、各出力処理(S109)、不正監視処理(S110)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S111)をループ処理する。
【0042】
次に、本発明に関わりの深い入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)及び各出力処理(S109)の一部のサブルーチンについて説明する。
尚、本実施形態のパチンコ機1は、普電役物の開放延長が機能していないと第2特図始動口24への入球が望めないので、通常遊技状態において第1特図始動口23を狙い大当り遊技を目指す。
【0043】
図6に示す「特図始動入賞確認処理」は、第1特図始動口23、第2特図始動口24に遊技球が入球したときに抽出される当否乱数等の種々の乱数値を、保留記憶として主制御装置40に格納(記憶)する。そして各特図始動口23,24への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43に送信する処理となる。本実施形態における記憶可能な保留記憶数は4個である。
【0044】
本「特図始動入賞確認処理」は、先ず、前記第1始動口SW503により第1特図始動口23への入球を検出したか否か、又は前記第2始動口SW504により第2特図始動口24への入球を検出したか否かを判定する(S200)。入球が無ければ(S200:no)、リターンする。第1又は第2特図始動口23,24への入球が有れば(S200:yes)、主制御装置40に格納されている特図の保留記憶の数が満杯か否かを確認する(S201)。満杯であれば(S201:yea)、リターンする。
保留記憶が満杯でなければ(S201:no)、特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、抽出された各種の乱数を特図の保留記憶として記憶し、保留記憶数を示す保留記憶カウンタに1を加算する(S202)。
次に加算した保留記憶カウンタの値を示す保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43に送信する(S203)。
【0045】
図7乃至図10は「特図当否判定処理」のフローチャートを示し、この処理において特図の当否判定は個別に実行される。
図7に示すように「特図当否判定処理」は、先ず、役物連続作動装置の作動を確認して大当り遊技中であるか否かを確認し(S300)、大当り遊技中でなければ(S300:no)、特図が変動中であるか否かを確認する(S301)。変動中でなければ(S301:no)、特図の確定図柄が確定表示中であるか否かを確認する(S302)。尚、役物連続作動装置が作動中(S300:yes)であれば「特別遊技処理」に移行する。
【0046】
前記S302の処理で特図の確定図柄が表示中でなければ(S302:no)、図8に示すように、特図の保留記憶があるか確認する(S310)。特図の保留記憶があれば(S310:yes)、保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う(S311)。該シフト処理により保留記憶のうちで最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。
特図の保留記憶がなければ(S310:no)、「特別遊技処理」に移行する。
【0047】
次に、確変フラグを確認して現在の遊技状態が前記確変遊技状態であるか確認する(確変フラグが「1」であれば確変中)(S312)。確変中であれば(S312:yes)、確変時の当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り決定用乱数とを対比して、所定の高確率に基づいて大当りか否か当否判定を行う(S313)。
確変中でなければ(S312:no)、通常確率の当否判定用テーブルと前記大当り決定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う(S314)。
【0048】
前記S313又はS314の処理の当否判定が大当りか否かの確認を行う(S315)。該S315の処理は特許請求の範囲に記載の「当否判定手段」に相当する。
大当りであれば(S315:yes)、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する(S316)。
次に、前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて、特図の大当り図柄の変動時間等といった変動パターンを決定する(S317)。
【0049】
変動パターンの決定後、大当り設定処理を行う(S318)。この処理では、前記決定された大当り図柄に基づき、例えば、大当り遊技終了後の確変遊技への移行や時短遊技への移行、演出図柄表示装置21で実施される大当り遊技のオープニング演出の時間の設定、エンディング演出の時間等の設定がなされる。
【0050】
前記S315の処理において、大当りでなくハズレであれば(S315:no)、特図のハズレ図柄の変動時間等といった変動パターンを決定する(S319)。その後、ハズレ設定処理を行う(S320)。
【0051】
前記S318の処理又はS320の処理の後、当否判定後の保留記憶の情報(例えば当否判定実行後の保留記憶の減少を示す情報など)をサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43に送信する処理を行う(S321)。
続いて、特図表示装置28の図柄変動開始制御を行い、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ図柄の変動開始コマンド、図柄指定コマンドを送信し、「特別遊技処理1」へ移行する(S322)。尚、前記変動開始コマンド、図柄指定コマンドには特図の変動パターン、特図の当否判定の判定結果などが含まれる。
【0052】
前記図7のS301の処理で特図の変動中のときは(S301:yes)、図9に示すように、図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S330:yes)、特図表示装置28の特図の変動表示を終了させる制御を行い、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ特図に対応する演出図柄の変動表示を終了させるようにコマンドを送信する(S331)。その後、「特別遊技処理」へ移行する。
【0053】
前記図7のS302の処理で特図の確定図柄を表示中であれば(S302:yes)、図10に示すように、確定図柄表示時間が終了したか確認する(S340)。確定図柄表示時間が終了していなければ(S340:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、確定図柄表示時間が終了したことを確認すると(S340:yes)、特図表示装置28の特図の確定図柄表示を終了させる制御を行い、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ特図に対応する演出図柄の確定表示を終了させるようにコマンドを送信する(S341)。
【0054】
続いて特図の図柄が大当りになる組合せであるか否かを確認し(S342)、大当りになる組合せであったときは(S342:yes)、確変フラグが「1」であれば(S343:yes)、確変フラグに「0」をセットする(S344)。次に、時短フラグが「1」であれば(S345:yes)、時短フラグに「0」をセットする(S346)。これらの処理により大当り遊技(特別遊技)中での確変及び時短に関する遊技状態を通常状態にリセットする。
【0055】
続いて条件装置の作動を開始させる(S347)。尚、条件装置は特図の当否判定が大当りとなり大当り図柄が確定表示されることにより作動して大当り遊技の開始条件を成立させるものであり、且つ、大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置である。更に役物連続作動装置の作動を開始するとともに(S348)、大当り開始演出処理を行ない(S349)、「特別遊技処理」へ移行する。
【0056】
前記S342の処理で、大当りになる組合せでなければ(S342:no)、確変フラグが「1」であるか確認し(S350)、確変フラグが「1」であれば(S350:yes)、確変の継続期間をカウントする確変カウンタを減算し、減算した後の確変カウンタが「0」であるか否かを確認する(S351)。確変カウンタが「0」であれば(S351:yes)、確変フラグを「0」にリセットする(S352)。
続いて時短フラグが「1」であれば(S353:yes)、時短の継続期間をカウントする時短カウンタを減算し、減算した後の時短カウンタが「0」であるか否かを確認する(S354)。時短カウンタが「0」であれば(S354:yes)、時短フラグを「0」にリセットする(S355)。
続いて遊技状態を示す確変フラグや時短フラグの情報等を含む状態指定コマンドを、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ送信する(S356)。その後、「特別遊技処理」に移行する。
【0057】
図11に示す「特別遊技処理」は先ず、役物連続作動装置が作動中か否かを確認し、作動中であれば(S400:yes)、大入賞口25が開放中か否かを確認する(S401)。役物連続作動装置が作動中でなければ(S400:no)リターンする。
前記S401の処理で大入賞口25が開放中でなければ(S401:no)、大当り遊技のインターバル中か否かを確認し(S402)、インターバル中でなければ(S402:no)、特図大当り終了演出中か否かを確認し(S403)、大当り終了演出中でなければ(S403:no)、大当り開始演出時間が経過したか否かを確認し(S404)、大当り開始演出時間の経過を確認すれば(S404:yes)、大入賞口開放処理で第1ラウンドの大入賞口25を開放し(S405)、リターンする。
【0058】
前記S401の処理で大入賞口開放中であれば(S401:yes)、図12に示すように、大入賞口25に9個(規定入賞数)の入賞があったか否かの確認(S410)、又は大入賞口25の開放時間が終了したか否かを確認して(S411)、いずれか確認できれば(S410又はS411:yes)、大入賞口25を閉鎖し(S412)、大当りインターバル処理を実行して(S413)、リターンする。
【0059】
前記S402の処理で大当りのインターバル中であれば(S402:yes)、図13に示すように、大当りインターバル時間が経過したか否かを確認し(S420)、経過していれば(S420:yes)、最終ラウンド(例えば第15ラウンド)であるか否かを確認し(S421)、最終ラウンドであれば、(S421:yes)、大当り終了演出の処理を実行し(S422)、この処理でサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
一方、最終ラウンドでなければ、(S421:no)、次のラウンドの大入賞口25の開放を実行してリターンする(S423)。
【0060】
前記S403の処理で大当り終了演出中であれば(S403:yes)、図14に示すように、大当り終了演出時間が経過したか否かを確認し、該時間の経過を確認すれば(S430:yes)、役物連続作動装置の作動を停止する処理を実行し(S431)、更に条件装置の作動を停止する処理を実行する(S432)。
【0061】
続いて前記大当り図柄に応じて大当り遊技終了後に確変とする設定があるか否かを確認し(S433)、確変の設定があれば(S433:yes)、確変遊技の繰り返し回数(100回)を設定し(S434)、更に確変フラグに「1」をセットする(S435)。これにより大当り遊技終了後に確変遊技が付与される。
次に前記大当り図柄に応じて時短設定があるか否かを確認し(S436)、時短設定があれば(S436:yes)、時短遊技の繰り返し回数(100回)を設定し(S437)、時短フラグに「1」をセットする(S438)。これにより大当り遊技終了後に開放延長遊技が付与される。その後、特図の大当り終了コマンド送信の処理(S439)を実行し、この処理でサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
【0062】
次に本発明の要旨である特図の変動に伴い演出図柄表示装置21で実施される演出表示に関する説明をする。
図15(a)に示す演出表示は演出図柄の変動中を示すもので、演出図柄として第1演出図柄群61、第2演出図柄群62及び第3演出図柄群63のからなる当否報知部を有する。これらが変動後に停止して確定表示されることで特図の当否判定の結果が報知される。
各演出図柄群61,62,63はそれぞれ、例えば「1」〜「9」の複数の数字で構成され、変動時にこれらの数字が順に高速で入れ替わり、変動停止によりこれらの数字の1つが停止表示される。
【0063】
第1演出図柄群61、第2演出図柄群62及び第3演出図柄群63は、演出図柄表示装置21の表示画面に横並びに略直線上に配置され、表示画面の左側の位置に第1演出図柄群61が、右側の位置に第2演出図柄群62が配置され、両者61,62で挟むように中央に第3演出図柄群63が配置されている。
第1演出図柄群61、第2演出図柄群62及び第3演出図柄群63は、特図の当否判定に伴い一斉に変動を開始する。その後、最初に左側の第1演出図柄群61が変動を停止し、次に右側の第2演出図柄群62が変動を停止する。この時、両者61,62の数値が揃えばリーチ状態となる(図15(b)参照)。
そして最後に中央の第3演出図柄群63の変動が停止し、3つの数値が揃えば大当りとなる。
【0064】
本実施形態では少なくとも、第1演出図柄群61と第2演出図柄群62にはそれぞれ、これらに付随して装飾画像部71,72が表示される。
装飾画像部71,72はそれぞれ、第1装飾画像データ又は第2装飾画像データのいずれか一方の画像データから表示される。
図例では、第1装飾画像データとして斜め左向きのファイティングポーズをなす空手家の達吉の画像データで構成されている。一方、第2装飾画像データとして斜め右向きのガッツポーズをなす空手家の達吉の画像データで構成されている。第1装飾画像データからなる装飾画像部と、前記第2装飾画像データからなる装飾画像部とでは、前記第3演出図柄群を中心に互いに相反する方向性を有する構成をなす。
【0065】
第1演出図柄群61の変動中、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71は第1装飾画像データによる左向きのファイティングポーズの達吉の装飾画像部71Aが表示されている。
一方、第2演出図柄群62の変動中、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72は第2装飾画像データによる右向きのガッツポーズの達吉の装飾画像部72Bが表示されている。
よって、第1及び第2演出図柄群61,62の変動中は、これらに付随する装飾画像部71A、72Bはそれぞれ、第3演出図柄群63を中心にこれとは逆向き(外向き)の方向性を有し、互いに相反する方向の装飾画像が表示される。
【0066】
その後、図15(b)に示すように、第1演出図柄群61の変動が停止すると、これに付随する装飾画像部71は、第2装飾画像データからなる装飾画像部71Bに切り替えられ、斜め右向きのガッツポーズの達吉、即ち第3演出図柄群63に向けた装飾画像が表示される。
次に、第2演出図柄群62の変動が停止すると、これに付随する装飾画像部72は、第1装飾画像データからなる装飾画像部72Aに切り替えられ、斜め左向きのファイティングポーズの達吉、即ち第3演出図柄群63に向けた装飾画像が表示される。
【0067】
図例では、第1演出図柄群61及び第2演出図柄群62が同一の演出図柄である「6」で停止表示され、リーチ状態を示すもので、この場合、遊技者の関心は第3演出図柄群63の停止表示となり、更には第1演出図柄群61及び第2演出図柄群62に付随する装飾画像部71B、72Aが変動表示中の第3演出図柄群63向き(内向き)に表示されているので、自然に遊技者の目線を第3演出図柄群63へ向けさせるとともに、遊技者の大当りへの期待感を高めることとなる。
【0068】
このように演出表示を行う制御処理は、図16に示すように、演出図柄制御装置43により実行される「装飾画像部表示制御処理1」(装飾画像部制御手段)により行われる。
この処理では先ず、図略ではあるが演出図柄制御装置43の当否報知部制御処理(当否報知部制御手段)により特図の当否判定に伴い第1、第2及び第3演出図柄群61,62,63の変動が開始され、第1演出図柄群61が変動表示中であるか否かを確認する(S500)。変動表示中であれば(S500:yes)、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71を第1装飾画像データによる装飾画像部71Aにて設定表示する処理を行い(S501)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部71Aが表示される。
【0069】
一方、前記S500の処理で変動表示中でなければ(S500:no)、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71を第2装飾画像データによる装飾画像部71Bへ切り替え設定表示する処理を行い(S502)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部71Bが表示される。
【0070】
次に、第2演出図柄群62が変動表示中であるか否かを確認する(S503)。変動表示中であれば(S503:yes)、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72を第2装飾画像データによる装飾画像部72Bに設定表示する処理を行い(S504)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部72Bが表示される。
【0071】
一方、前記S503の処理で変動表示中でなければ(S503:no)、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72を第1装飾画像データによる装飾画像部72Aへ切り替え設定表示する処理を行い(S505)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部71Bが表示される。
前記装飾画像部表示制御処理1や前記当否報知部制御処理は演出図柄制御装置43に限らず、サブ統合制御装置42で実施する構成でもよい。
【0072】
本実施形態によれば、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71及び第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72をそれぞれ、演出図柄群61,62に変動表示中と停止表示中とで第1装飾画像データと第2装飾画像データとを使い分けるようにしたので、第1演出図柄群61、第2演出図柄群62の各々の変動表示、停止表示を異なる装飾画像部71A,71B,72A,72Bにて表示演出することができ、且つ変動表示時と停止表示時とで互いに異なる装飾画像データを使用することにより、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71と第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72とでデータを共用しているように見えず、あたかも演出図柄群毎に専用の装飾画像部を備えているように華やかに見せることができる。このように、少なくとも装飾画像データとして第1装飾画像データと第2装飾画像データを備える構成でよく、ハード面の記憶容量を軽減することができる上、ソフト面でも装飾画像の製作等の作業効率を向上することができる。即ち、演出図柄の質や各演出パターン数を落とすことなく、画像データ量を軽減することができる。尚、装飾画像データは、キャラクタの静止画だけでなく、一連の動作を行う動画の画像データとしても考えられているため、その場合のデータの軽減量はより大きなものとなる。
【0073】
また、第1演出図柄群61及び第2演出図柄群62が停止した段階において、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71B及び第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72Aがそれぞれ中央の第3演出図柄群63に向かう内向きの態様になるため、自然に遊技者の関心を第3演出図柄群62に向けさせることができる。特にリーチ状態においては、遊技者にとってリーチ状態の成立が分りやすくなる上、大当りへの期待感を向上させることができる。
尚、本実施形態では、第2演出図柄群62の停止時に、これに付随する装飾画像部72をリーチ状態であるか否かに拘わらず、第1装飾画像データによる装飾画像部72Aに切り替える構成としたが、リーチ状態にのみ切り替える構成でもよい。
【0074】
次に本発明を適用した他の実施形態を説明する。先の実施形態では、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71と第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72とを互いに第3演出図柄群63へ向けた内向きに停止表示する構成としたが、これに限らず、本実施形態では、リーチ状態において、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71と第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72とを同一表示(同一向き)の装飾画像で停止表示する構成としたものである。
尚、基本構成は先の実施形態のそれと同一で、相違点を中心に説明する。
【0075】
図17に示すように、演出図柄制御装置43により実行される「装飾画像部表示制御処理2」の処理で、先ず、特図の当否判定に伴い第1演出図柄群61が変動表示中であるか否かを確認する(S520)。変動表示中であれば(S520:yes)、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71を第1装飾画像データによる装飾画像部71Aに設定表示する処理を行い(S521)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部71Aが表示される。
【0076】
一方、前記S520の処理で変動表示中でなければ(S520:no)、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71を第2装飾画像データによる装飾画像部71Bへ切り替え設定表示する処理を行い(S522)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部71Bが表示される。
【0077】
次に、特図の当否判定に伴い第2演出図柄群62が変動表示中であるか否かを確認する(S523)。変動表示中であれば(S523:yes)、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72を第2装飾画像データによる装飾画像部72Bにて設定表示する処理を行い(S524)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部72Bが表示される。
【0078】
一方、前記S523の処理で変動表示中でなければ(S523:no)、リーチ状態であるか否かを確認する(S525)。リーチ状態であれば(S525:yes)、前記S524の処理に移行して、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72を第2装飾画像データによる装飾画像部72Bにて設定表示する処理を行う。
一方、前記S525の処理でリーチ状態でなければ(S525:no)、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72を第1装飾画像データによる装飾画像部72Aへ切り替え設定表示する処理を行い(S526)、これにより演出図柄表示装置21に装飾画像部72Aが表示される。
前記装飾画像部表示制御処理1や前記当否報知部制御処理は演出図柄制御装置4342に限らず、サブ統合制御装置42で実施する構成でもよい。
【0079】
図18(a)に示すように、第1演出図柄群61の変動中、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71は第1装飾画像データによる左向き(外向き)のファイティングポーズの達吉の装飾画像部71Aが表示されている。
一方、第2演出図柄群62の変動中、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72は第2装飾画像データによる右向き(外向き)のガッツポーズの達吉の装飾画像部72Bが表示されている。
よって、第1及び第2演出図柄群61,62の変動中は、これらに付随する装飾画像部71A、72Bはそれぞれ、第3演出図柄群63を中心にこれとは逆向き(外向き)の方向性を有し、互いに相反する方向の装飾画像が表示される。
【0080】
その後、図18(b)に示すように、第1演出図柄群61の変動が停止すると、これに付随する装飾画像部71は、第2装飾画像データからなる装飾画像部71Bに切り替えられ、右向きのガッツポーズの達吉、即ち第3演出図柄群63に向けた(内向き)装飾画像が表示される。
次に、第2演出図柄群62の変動が停止し、且つ第1演出図柄群61及び第2演出図柄群62が同一の演出図柄で停止表示されたリーチ状態であれば、第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72は、切り替えられずに第2装飾画像データからなる右向き(外向き)のガッツポーズの達吉、即ち第3演出図柄群63と逆向きのままの装飾画像部72Bが表示される。
【0081】
本実施形態によれば、先の実施形態と同様の作用効果が得られる上、変動停止した第1演出図柄群61と第2演出図柄群62とが同一の演出図柄からなるリーチ状態で、第1演出図柄群61に付随する装飾画像部71及び第2演出図柄群62に付随する装飾画像部72が同一の装飾画像になるため、遊技者にとってリーチ状態の成立が分りやすくなり、遊技者の大当りへの期待感を高めることとなる。普段は向き合う形になって変動が停止していくため、第2演出図柄群62が変動停止した段階で向き合っていないだけで、遊技者は直感的にいつも(ハズレ)と違うことを察知することができる。
これは、同一の演出図柄が停止しない時にも行なう事が考えられ、その場合は先読み判定機能を用いてリーチが成立する変動の前の変動で、このような停止態様を連続して見せることにより大当りへの期待度を高めることも考えられる。
【0082】
尚、前記の各実施形態において、図15図18図19(a)に示すように、第1装飾画像データとして単一の左向きのファイティングポーズの達吉71A,72Aにて構成し、第1及び第2演出図柄群の図柄61,62(「1〜9」)に拘わらず共通に、同一の装飾画像を表示する一方、第2装飾画像データとして単一の斜め右向きのガッツポーズの達吉71B,72Bにて構成し、第1及び第2演出図柄群の図柄(「1〜9」)に拘わらず共通に、同一の装飾画像を表示する構成としたが、これに限らず、図19(b)に示すように、第1装飾画像データ及び第2装飾画像データとしてそれぞれに複数種類の装飾画像を有する構成とし、第1演及び第2演出図柄群の図柄61,62(「1〜9」)に応じて複数種類の装飾画像を切り替えるようにしてもよい。例えば、演出図柄が「6」であればファイティングポーズの達吉とし、演出図柄が「4」であれば空手家の熊吉等とするなど。この場合、前記前者の実施形態では第1及び第2演出図柄群の停止時には各装飾画像のキャラクタが異なっていても内向きの画像とする。一方、前記後者の実施形態においては、リーチ状態において各装飾画像のキャラクタの方向性を同一とする。
【0083】
更に第1装飾画像データ及び第2装飾画像データにはそれぞれ装飾画像に方向性を持たせないデータとしておき、表示する都度に、プログラム処理(VDP)等により方向性を持った装飾画像にアレンジして表示する構成としてもよい。例えば、第1装飾画像データをファイティングポーズの達吉とする一方、第2装飾画像データをガッツポーズの達吉で構成する。第1演出図柄群の変動中はこれに付随する装飾画像部として、第1装飾画像データのファイティングポーズの達吉を外向きに表示する一方、第2演出図柄群の変動中はこれに付随する装飾画像部として、第2装飾画像データのガッツポーズの達吉を外向きに表示する。そして、第1演出図柄群の停止時はこれに付随する装飾画像部を、第2装飾画像データのガッツポーズの達吉に切り替えて内向きに表示し、第2演出図柄群の停止時にはこれに付随する装飾画像部を、第1装飾画像データのファイティングポーズの達吉に切り替えて内向きに表示するようになす。尚、前記後者の実施形態では、リーチ状態において、第1演出図柄群の停止時はこれに付随する装飾画像部を第2装飾画像データのガッツポーズの達吉に切り替えて内向きに表示するが、第2演出図柄群の停止時にはこれに付随する装飾画像部を切り替えずに外向きのガッツポーズの達吉を維持するようになす。
【0084】
また、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、パチンコ機では、前記第1演出図柄群、前記第2演出図柄群、及び前記第3演出図柄群の変動及び停止は、3つの図柄群が全て停止した状態が「確定停止」とされ、第1又は第2演出図柄群が停止状態で第3演出図柄群が変動中の場合は、第1又は第2演出図柄群の停止は「仮停止」とされる。そこで、各演出図柄群に付随する装飾画像部の他の装飾画像データによる表示への切り替えを行うタイミングを、前記「仮停止」での実施に限らず、前記「確定停止」で実施してもよい。
また前記各実施形態では第3演出図柄群には装飾画像部を設けていないが、勿論、第3演出図柄群に付随して装飾画像部を設けてもかまわない。この場合、前記第1又は第2装飾画像データから選択表示することが望ましい。
また、第1及び第2演出図柄群の変動中はどちらも第1又は第2装飾画像データを用い、変動停止する時のみ第1演出図柄群は他方の装飾画像データを、第2演出図柄群はそのままとする構成も考えられる。これならば、変動中は同じ装飾画像データを用い、変動停止の時だけ異なる装飾画像データを用意すれば済む。無論、逆の構成で変動表示中だけ異なる装飾画像データを備え、変動停止時は同じ装飾画像データを用いる構成でもよい。
また、装飾画像データとして、第3の画像データを備え、予告演出として第1、第2の他方に切り替わるのではなく第3装飾画像データに切り替わるという演出も考えられる。これならば、変動表示中、または変動停止表示において、普段と異なる画像データに切り替わることにより、瞬時に大当りへの期待度が高くなったことを報せることができる。
また、演出モードを複数備える遊技機において演出モードによって装飾画像データを用いる対象を入れ替えることが考えられる。例えば、第1演出図柄群は変動表示時には第1装飾図柄データで変動停止時には第2装飾図柄データ、第2演出図柄群は変動表示時には第2装飾図柄データで変動停止時には第1装飾図柄データとする演出モードAと、第1演出図柄群は変動表示時には第2装飾図柄データで変動停止時には第1装飾図柄データ、第2演出図柄群は変動表示時には第1装飾図柄データで変動停止時には第2装飾図柄データとする演出モードBと、第1演出図柄群は変動表示時には第1装飾図柄データで変動停止時も第1装飾図柄データ、第2演出図柄群は変動表示時には第2装飾図柄データで変動停止時には第1装飾図柄データとする演出モードC・・・・というように2つの装飾図柄データの用い方のパターンで多数の演出モードを設けたりすることが考えられ、演出力を向上させることができる。
更に、パチンコ機台内に所定数の遊技球が封入され、封入された遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射するとともに、発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を再度発射することで内部の所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行う封入式パチンコ機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
2 遊技盤
20 遊技領域
21 演出図柄表示装置
23 第1特図始動口(始動口)
24 第2特図始動口(始動口)
25 大入賞口
40 主制御装置(当否判定手段)
42 演出図柄制御装置(演出図柄制御手段、当否報知部制御手段、装飾画像部制御手段)
61 第1演出図柄群(当否報知部)
62 第2演出図柄群(当否報知部)
63 第3演出図柄群(当否報知部)
71 第1演出図柄群61に付随する装飾画像部
72 第2演出図柄群62に付随する装飾画像部
71A,72A 第1装飾画像データによる装飾画像部
71B,72B 第2装飾画像データによる装飾画像部
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