(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である、
請求項1に記載の細胞培養用基材。
前記ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養用基材。
ジオール単位中に前記環状アセタール骨格を有するジオール単位を実質的に含まないその他のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂をさらに含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞培養用基材。
【背景技術】
【0002】
これまでに、マウス、サル、霊長類などの動物の細胞培養技術は様々な態様の物が検討されている。とりわけ、医学、再生医療、生化学などの分野において、細胞培養技術は基本技術である。細胞培養技術は、医学や生化学の分野では医薬品の開発や病態メカニズムの解明などに用いられる。また、細胞培養技術は、再生医療の分野においては胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell:ES細胞)、人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cell:iPS細胞)の培養や分化、皮膚や臓器、歯骨などの機能性組織細胞の培養などに用いられている。
【0003】
このような細胞培養は、通常、一定の容器の中で栄養成分である培養液と共に培養される。
【0004】
細胞は、その性状から、培養液の中で浮遊した状態で培養される浮遊性細胞と、容器に付着した状態で培養される付着性細胞に大きく2分される。動物細胞の多くは、物質に付着して生育される接着依存性を有する付着性細胞であり、一般に生体外の浮遊状態では長期間生存することができない。したがって、付着性細胞の培養には、細胞が付着するための物質として基材が必要とされる。
【0005】
そのような付着性細胞の培養に用いられる基材(細胞培養用基材)として、ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、フラスコなどが一般的である。細胞培養用基材としては、形状を保つのに必要な機械強度に加え、細胞や内部の観察のために透明であることが求められる。
【0006】
培養における細胞の種類や培地成分により異なるが、一般的に、細胞培養用基材に用いられる樹脂として、表面処理をしていない樹脂は付着性細胞が付着しにくいことが知られており、特にポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂などは細胞が付着しにくいことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ここで細胞培養用基材に用いられる樹脂として、ポリスチレンが一般的である。ただし、細胞培養基材にポリスチレンを用いたとしても、培養における細胞の種類や培地成分により異なるが、付着性細胞は、表面処理をしていないポリスチレン成形体に付着しにくい。そこで、ポリスチレン成形体の表面に低温プラズマ処理、コロナ放電処理などを施し、親水性を付与したものが市販されている。これらの器具は、付着性細胞の培養に広く使用されている。
【0008】
そこで、ゼラチン、コラーゲンなどの動物由来の細胞外マトリックスや、ファイブロネクチン、ラミニンなどの動物由来の接着因子、ポリ−L−リジンなどのポリマーをポリスチレン成形体の培養面にコートし、細胞の接着性、増殖性を高めることができる。
【0009】
たとえば、ポリスチレン製容器の培養面にゼラチン溶液を加えて培養面を完全に覆うようにし、室温で1時間以上放置した後、ゼラチン溶液を捨てることで、ゼラチンコートすることができる(例えば、非特許文献1参照)。ゼラチンコートやコラーゲンコートを施すことで、細胞の接着性、増殖性が高まることが知られており、ポリスチレン製の容器にゼラチンやコラーゲンでコートした製品が市販されている。
【0010】
また、ポリ−L−リジンやポリ−D−リジンなどのポリリジンを容器の培養面にコートすることで細胞の接着性が高くなることが知られており、特に神経細胞の培養に適している(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
一方、細胞培養用基材の支持体としては、上述したポリスチレン製以外にガラス製、ポリプロピレン製、ポリエステル製、ポリメチルメタクリレート製なども例示されている(例えば、特許文献3、4、5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、ポリスチレン製の支持体を用いた基材は、細胞の種類によっては、これらの基材上では細胞の付着が不十分であったり、増殖は認められるもののその増殖が不十分であったり、細胞の増殖形態が悪かったりする場合がある。特に、一般的に、生体から採取した細胞を初めて培養する初代培養においてはそれが顕著である。
【0015】
また、ポリスチレン製以外の支持体を用いた基材は、それを用いるために細胞接着用のコート処理が必要である。また、コート処理が必要となるため、コストが高くなる。
【0016】
他にも、たとえば非特許文献1に示される細胞培養用基材となるゼラチンは、たとえばウシあるいはブタの皮膚を原料として製造される。しかしながら、近年、牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫などの問題により、医学や再生医療などを考慮する場合には動物由来であるゼラチンやコラーゲンの使用が困難になる。さらに、生化学分野などであっても、使用済みゼラチン溶液やコラーゲン溶液、ゼラチンやコラーゲンコートされた容器の廃棄には、環境への漏出措置を考慮する必要があるため、使用が困難となってきている。
【0017】
一方、特許文献2に示されるポリリジンは、細菌による発酵または化学合成で製造されるため、動物由来成分を含まず、医学や再生医療に用いることが容易であるとともに、使用済みポリリジン溶液やポリリジンコートされた容器の廃棄も容易である。しかし、ポリリジンは不安定であるため、ポリリジンで容器をコートした場合、ポリリジンの効果は室温保存で2週間、4℃でも1か月で失活する。また、この不安定さにより、ポリリジンでコートした培養器具を滅菌することもできない。したがって、ポリリジンをあらかじめコートした培養器具を市販しようとした場合、無菌環境下でポリリジンをコートしなければならないとともに、コート後の保存管理も難しい。また、コストの問題もある。
【0018】
本発明の目的は、コート処理せずに、付着性細胞を優れた水準で増殖させることができる細胞培養用基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂を細胞培養基材として用いることで、細胞を優れた水準で増殖させることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0020】
すなわち、本発明は、
[1]
ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含み、
前記ジオール単位中1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位である、
細胞培養用基材。
[2]
前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、一般式(1)
【化1】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を示す。)
で表されるジオール、および一般式(2)
【化2】
(式中、R
1は前記と同様であり、R
3は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す)
で表されるジオールから選ばれる少なくとも一つのジオールに由来するジオール単位である、
[1]に記載の細胞培養用基材。
[3]
前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である、
[1]または[2]に記載の細胞培養用基材。
[4]
前記ジオール単位が環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のその他のジオール単位をさらに含み、
前記その他のジオール単位が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる1種以上のジオールに由来するジオール単位である、
[1]〜[3]のいずれかに記載の細胞培養用基材。
[5]
前記ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位である、
[1]〜[4]のいずれかに記載の細胞培養用基材。
[6]
ジオール単位中に前記環状アセタール骨格を有するジオール単位を実質的に含まないその他のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂をさらに含む、
[1]〜[5]のいずれかに記載の細胞培養用基材。
[7]
前記その他のポリエステル樹脂をさらに含み、
前記その他のポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂である、
[6]に記載の細胞培養用基材。
[8]
前記細胞培養用基材が、表面処理された基材である、
[1]〜[7]のいずれかに記載の細胞培養用基材。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の細胞培養用基材を備える、
細胞培養用容器。
[10]
ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含む基材上で細胞を培養する工程を有し、
前記ジオール単位中1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位である、
細胞培養方法。
[11]
前記細胞を培養する工程が、前記基材上に播種された前記細胞を培養する工程である、
[10]に記載の細胞培養方法。
[12]
前記細胞培養用基材が、表面処理された基材である、
[10]または[11]に記載の細胞培養方法。
[13]
前記細胞が、付着性細胞である、
[10]〜[12]のいずれかに記載の細胞培養方法。
[14]
細胞の培養における基材としての使用であって、
前記基材は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含み、
前記ジオール単位中1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位である、
基材としての使用。
に関するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る細胞培養用基材によれば、コート処理せずに、付着性細胞を優れた水準で増殖させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の実施の形態に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0024】
<細胞培養用基材>
本実施形態の細胞培養用基材(以下、単に「基材」ともいう。)は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含む。そのポリエステル樹脂(以下、「本実施形態のポリエステル樹脂」ともいう。)において、ジオール単位中1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位である。
【0025】
本実施形態の細胞培養用基材によれば、細胞を優れた水準で増殖させることができる。この要因は、次のように推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)。本実施形態の細胞培養用基材は、環状アセタール骨格を有するジオール単位を1〜80モル%含むポリエステル樹脂を含むことにより、付着性細胞を優れた水準で増殖させることができる。これは、環状アセタール骨格を有するジオール単位の構造部分が、付着性細胞との親和性に優れることで細胞に対する付着性が向上し、細胞の増殖性に寄与していると推察される。
【0026】
また、本実施形態の細胞培養用基材によれば、動物由来成分を含むコーティングを含まないため、安全である。さらに、基材がコート処理されていないため、基材の管理が容易である。
【0027】
環状アセタール骨格を有するジオール単位は、下記の一般式(1)で表されるジオールおよび(2)で表されるジオール(以下、「化合物」ともいう。)から選ばれる少なくとも一つのジオールに由来するジオール単位であることが、樹脂の強度や透明性、加工性など容器成形の観点から好ましい。
【化3】
【化4】
一般式(1)及び(2)において、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を示す。
【0028】
一般式(1)および(2)であらわされる化合物は、それぞれ上記環状アセタール骨格を有するジオール単位に由来するジオールとして各々単独で使用してもよいが、両者を混合して使用することもできる。
【0029】
一般式(1)および(2)であらわされる化合物は、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下、「スピログリコール」ということがある)、および、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン(以下、「ジオキサングリコール」ということがある)が、入手容易性、成形性などの観点から好ましい。
【0030】
本実施形態の細胞培養用基材に含まれるポリエステル樹脂において、環状アセタール骨格を有するジオール単位は、全ジオール単位中の1〜80モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましく、さらに好ましくは20〜50モル%である。環状アセタール骨格を有するジオール単位が1モル%以上であることにより、細胞接着性がより十分に発現する傾向にあり、80モル%以下であることにより、ポリエステル樹脂の結晶性が高くなりすぎず、透明性に優れ、細胞観察への支障を抑制できる傾向にある。すなわち、本実施形態のポリエステル樹脂は、全ジオール単位は環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位(以下、「その他のジオール単位」ともいう。)を含むことが好ましい。その他のジオール単位を含むことにより、柔軟性、成形性など構造体としての特性に優れるものとなる傾向にある。
【0031】
その他のジオール単位としては特に制限はされないが、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、イソソルビド、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環族ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び上記芳香族時ヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
【0032】
本実施形態の細胞培養用基材の機械的性能、経済性等の観点から、本実施形態のポリエステル樹脂は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位をさらに含むことが好ましく、エチレングリコールに由来するジオール単位を含むことがより好ましい。例示したジオール単位は1種を単独で使用することもでき、複数種を併用することもできる。
【0033】
本実施形態の細胞培養用基材に含まれるポリエステル樹脂において、ジカルボン酸単位としては、特に制限はされないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びそれらのエステル化物が挙げられる。
【0034】
本実施形態の細胞培養用基材の機械的性能、経済性等の観点から、本実施形態のポリエステル樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位を含むことが好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸または2,7−ナフタレンジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位を含むことがより好ましい。例示したジカルボン酸は1種を単独で使用することもでき、複数種を併用することもできる。
【0035】
本実施形態で用いる細胞培養用基材には、ジオール単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を実質的に含まないその他のポリエステル樹脂(以下、「その他のポリエステル樹脂」ともいう。)やポリエステル樹脂以外の樹脂をさらに含んでいてもよい。これらの樹脂としては、特に制限はされないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸変性PET、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性PET、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチルシクロブタンー1,4−シクロヘキサンジメタチルテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメルテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル等の環状アセタール骨格を有するジオール単位を含まないポリエステル樹脂類、ポリカーボネート樹脂類、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂が挙げられる。ここで、「環状アセタール骨格を有するジオール単位を実質的に含まない」とは、全ジオール単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位が1モル%未満であることを意味する。当然に、その他のポリエステル樹脂には、環状アセタール骨格を有するジオール単位を全く含まないものも含まれる。
【0036】
細胞接着の観点から、本実施形態の細胞培養用基材は、その他のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂をさらに含むことができる。
【0037】
本実施形態の細胞培養用基材は、その他のポリエステル樹脂をさらに含む場合には、透明性や相溶性の観点から、その他のポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる1種以上の樹脂であると好ましい。
【0038】
例示したその他のポリエステル樹脂やポリエステル樹脂以外の樹脂は1種を単独で使用することもでき、複数種を併用することもできる。
【0039】
<細胞培養用基材の製造方法>
本実施形態の細胞培養用基材の製造方法は、例えば、ジカルボン酸と環状アセタール骨格を有するジオールとを重合してポリエステル樹脂を重合する工程(重合工程)と、ポリエステル樹脂を成形して基材を得る工程(成形工程)とを有する。本実施形態の細胞培養用基材の製造方法によれば、基材の製造におけるコーティング工程が必要とされないため、基材の製造及び管理が容易である。
【0040】
重合工程は、ジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むジオールとを重合するものであれば特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法または溶液重合法を挙げることができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、また重合に用いる重合触媒、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来公知のものを用いることができる。
【0041】
上記エステル交換触媒としては、例えば、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、またエステル化触媒としては、例えば、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、さらにエーテル化防止剤としては、例えば、アミン化合物が挙げられる。
【0042】
上記重合触媒としては、例えば、ゲルマニウム、アンチモン、スズ、チタン等の化合物が例示される。また熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸等の各種リン化合物が挙げられる。
【0043】
さらに、重合工程において、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤などの各種添加剤、成形助剤を添加してもよい。添加方法は特に限定されないが、樹脂の重合反応を添加剤等の存在下で行い含有させる方法、または重合工程において重合装置から抜き出しを行う前の溶融状態の樹脂に添加剤等を添加する方法、樹脂をペレット化した後に添加剤等をドライブレンドする方法、更にそのドライブレンドしたものを押出機等で溶融混練する方法、押出機等を用いて溶融した樹脂に添加剤を添加する方法が採用される。
【0044】
本実施形態で用いる細胞培養用基材の形状は、ディッシュ、マイクロプレート、フラスコなど、培養に用いるものであれば特に制限されない。
【0045】
本実施形態で用いる細胞培養用基材は、全体を均一またはほぼ均一に本実施形態のポリエステル樹脂から構成してもよいが、少なくとも細胞を付着させて培養する面(以下、「細胞培養面」ともいう。)に本実施形態のポリエステル樹脂が露出していればよく、他の樹脂と混合したり、他の構造部が異なる種類の樹脂やガラス、金属などであってもよい。
【0046】
本実施形態の細胞培養器は、本実施形態の細胞培養用基材を備える。細胞培養器は、本実施形態の細胞培養用基材で構成されていてもよく、本実施形態のポリエステル樹脂を膜状に成形し、異なる種類の樹脂やガラス、金属などからなる培養器に貼りつけた細胞培養用基材を備えていてもよい。
【0047】
また、本実施形態で用いる細胞培養用基材は、本実施形態のポリエステル樹脂を網状や球形や糸状、管状に成形し、異なる種類の樹脂やガラス、金属からなる容器に投入して用いてもよい。
【0048】
本実施形態の細胞培養用基材は、より優れた水準で増殖させる観点から表面処理された基材であると好ましい。基材は、細胞を播種する前に表面処理を施すことができる。表面処理の方法は当業者に周知の方法でよく、たとえばγ線、プラズマ処理、電子線、紫外線、エチレンオキサイドガス(EOG)で処理することや、アルコール、過酸化水素水、次亜塩素酸類、界面活性剤、抗生物質、酸、アルカリなどの薬剤を用いて処理することができる。
【0049】
これらの中でも、表面処理は、γ線、プラズマ、及び紫外線で処理することが、より優れた水準で細胞を増殖させる観点から好ましく、紫外線で処理することがより好ましい。紫外線による表面処理を施す場合、紫外線の強度と照射時間は相関関係にあるため一概に規定することはできないが、たとえば紫外線の強度が0.1〜2.0mW/cm
2である場合、紫外線の照射時間は1〜180分であるのが好ましい。
【0050】
<細胞培養方法>
本実施形態の細胞培養方法は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含む基材上で細胞を培養する工程(培養工程)を有する。そのポリエステル樹脂において、ジオール単位中1〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位である。
【0051】
培養工程は、本実施形態の細胞培養用基材上に播種された細胞を培養する工程とすることが好ましい。
【0052】
培養工程において、細胞培養用基材は、上述した表面処理された基材であることが好ましい。
【0053】
培養工程において、細胞は、本発明の作用効果をより確実に奏する観点から付着性細胞であると好ましい。
【0054】
本実施形態の細胞培養用基材は、幅広い細胞、特に付着性細胞に使われ、たとえば、動物、昆虫、植物、菌類等の細胞、酵母や細菌類が挙げられるが、特に限定されるものではない。動物細胞の由来として例えば、ヒト、サル、アフリカミドリザル、マウス、ラット、チャイニーズハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウシ等の哺乳類や、ニワトリなどの鳥類、カエル、イモリ、サンショウウオなどの両生類、ゼブラフィッシュ、メダカ、ウナギ、金魚、ティラピア、ミノウなどの魚類が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0055】
本実施形態の細胞培養用基材で培養に用いる細胞は、ヒトや動物の組織から培養された短期培養細胞である線維芽細胞や間葉系幹細胞であってもよく、また、樹立された株化細胞であってもよい。短期培養細胞としては、哺乳動物の線維芽細胞が好ましく、ヒトの線維芽細胞や、ES細胞やiPS細胞の生育にフィーダー細胞として用いるマウスの線維芽細胞が特に好ましい。株化細胞としては、HeLa細胞株(ヒト子宮頸部癌細胞)、Vero細胞株(アフリカミドリザル正常腎細胞)、3T3細胞株(マウス胎仔線維芽細胞)、PMEF細胞(マウス胚線維芽細胞)、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣由来細胞)、MDCK(イヌ腎由来細胞)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。細胞を培養するための細胞播種量、培養時間、培養温度、培地等は特に限定されるものではなく、通常行われる条件に従えばよい。
【0056】
本実施形態の基材としての使用は、細胞の培養における基材としての使用である。また、その基材は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含む、ポリエステル樹脂を含む。さらに、そのジオール単位中1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位である。
【実施例】
【0057】
次に、本実施形態を実施例および比較例をもってより具体的に説明する。ただし、本実施形態はこれらの実施例および比較例によって何ら制限されるものではない。
【0058】
本実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET RT553C。
(2)スピログリコール変性PET(ポリエステル1):三菱ガス化学(株)製、商品名:ALTESTER S4500(ポリエチレンテレフタレート樹脂のジオール成分であるエチレングリコールの45モル%をスピログリコールで置換)。
(3)ジオキサングリコール変性PET(ポリエステル2):特開2014−205773号実施例記載のポリエステルDと同様の方法で製造。(ポリエチレンテレフタレート系樹脂のジオール成分であるエチレングリコールの30モル%をジオキサングリコールで置換)。
(4)NDCA、スピログリコール変性PET(ポリエステル3):特開2014−205773号実施例記載のポリエステルDと同様の方法で製造。(ポリエチレンテレフタレート系樹脂のジオール成分であるエチレングリコールの30モル%をスピログリコールで置換し、ジカルボン酸成分であるテレフタル酸の50モル%を2,6−ナフタレンジカルボン酸で置換)。
(5)ポリスチレン製ディッシュ(無処理ディッシュ(表面処理なし)):AGCテクノグラス(株)製、IWAKIブランド、径60mm、品種コード:1010−060。
(6)ポリスチレン製ディッシュ(組織培養用ディッシュ(付着性細胞用表面処理済み)):AGCテクノグラス(株)製、IWAKIブランド、径60mm、品種コード:3010−060。
(7)ポリスチレン製ディッシュ(コラーゲンType1コート(ブタ由来)):AGCテクノグラス(株)製、IWAKIブランド、径60mm、品種コード:4010−010。
【0059】
参考例1(細胞培養用基材調製方法)
PET、ポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3については、住友重機械工業製射出成形機(型式:SE130DU)を用いて径50mm、高さ3mmの円盤状の射出成形体を得た。これらPET、ポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3については、射出成形体を(5)ポリスチレン製ディッシュ(無処理ディッシュ(表面処理なし)に設置して用いた。射出成形体の底部に少量の滅菌済みワセリンを塗布することでディッシュ下部に接着させた。ポリスチレン、付着性細胞用表面処理を行ったポリスチレン、コラーゲンコート処理を行ったポリスチレンについては、それぞれ(5)、(6)、(7)に記載のディッシュをそのまま用いた。
【0060】
参考例2(細胞培養方法)
参考例1で調製した細胞培養用基材に3,000細胞/cm
2となるように細胞を播種し、10%FBSおよび抗生物質(100μg/mLカナマイシン、50ユニット/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン)を添加したDMEM培地(gibco製)を培地として5%CO
2大気下、37℃にて3日間培養を行った。
【0061】
参考例3(細胞生育状態評価方法)
細胞の生育は、alamarBlue試験にて評価した。参考例2で培養したディッシュから培養液を除去し、DPBS(+)で洗浄後、DMEM培地4.5mLとalamarBlue溶液(ライフテクノロジーズ製)0.5mLを添加した。5%CO
2大気下、37℃、遮光条件下にて所定時間静置後、培地の吸光度を測定した。モニター波長を573nm、リファレンス波長を605nmとし、モニター波長の吸光度からリファレンス波長の吸光度を減じた値を発色値として細胞生育状態の評価に用いた。細胞の種類や生育状況、継代数による影響なく評価するため、後述の比較例2に示す(6)ポリスチレン製ディッシュ(組織培養用ディッシュ(付着性細胞用表面処理済み))での値を100%とした相対値で評価した。
【0062】
実施例1
(スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材の原料として(2)スピログリコール変性PET(ポリエステル1)を用いて参考例1に従って細胞培養用基材を製造し、参考例2に従って細胞にヒト線維芽細胞を用いて培養を行った。参考例3に従って細胞生育状態を評価した結果、同時に実施したポリスチレン製組織培養用ディッシュを用いた場合と比較した結果を表1に示す。
【0063】
実施例2
(スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたPMEF細胞の培養)
細胞にマウス胚性線維芽細胞(ミリポア製、PMEF細胞)を用いる他は、実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0064】
実施例3
(ジオキサン変性ポリエステル樹脂を用いたPMEF細胞の培養)
細胞培養用基材の原料として(3)ジオキサングリコール変性PET(ポリエステル2)を用いる他は、実施例2と同様に実施した結果を表1に示す。
【0065】
実施例4
(NDCA、スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材の原料として(4)NDCA、スピログリコール変性PET(ポリエステル3)を用いる他は、実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0066】
実施例5
(紫外線照射したスピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材を1.8mW/cm
2の紫外線で20分間照射した他は実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。また、
図1に、細胞生育状態を評価した際の写真を示す。なお、下記に写真を撮影する際に用いた装置を示す。以下、写真を撮影する際は同様の装置を用いた。
・倒立位相差顕微鏡(Nikon TE200)
・写真撮影装置(Nikon DS−L1)
【0067】
実施例6
(紫外線照射したNDCA,スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材を1.8mW/cm
2の紫外線で20分間照射した他は実施例4と同様に実施した結果を表1に示す。また、
図2に、細胞生育状態を評価した際の写真を示す。
【0068】
実施例7
(プラズマ処理したスピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材に酸素プラズマ処理(100W、30秒)を施た他は実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0069】
実施例8
(プラズマ処理およびγ線照射したスピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材に酸素プラズマ処理(100W、30秒)を施し、25kGyのγ線を照射した他は実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0070】
実施例9
(プラズマ処理したNDCA,スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材に酸素プラズマ処理(100W、30秒)を施した他は実施例4と同様に実施した結果を表1に示す。
【0071】
実施例10
(プラズマ処理およびγ線照射NDCA,スピログリコール変性ポリエステル樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞播種前に細胞培養用基材に酸素プラズマ処理(100W、30秒)を施し、25kGyのγ線を照射した他は実施例4と同様に実施した結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
比較例1
(無処理ポリスチレン樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材に(5)ポリスチレン製ディッシュ(無処理ディッシュ(表面処理なし))を用いる他は実施例1と同様に行った結果を表2に示す。また、
図3に、細胞生育状態を評価した際の写真を示す。
【0074】
比較例2
(組織培養用ポリスチレン樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材に(6)ポリスチレン製ディッシュ(組織培養用ディッシュ(付着性細胞用表面処理済み))を用いる他は実施例1と同様に行った結果を表2に示す。また、
図4に、細胞生育状態を評価した際の写真を示す。
【0075】
比較例3
(コラーゲンコートポリスチレン樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材に(7)ポリスチレン製ディッシュ(コラーゲンType1コート(ブタ由来))を用いる他は実施例1と同様に行った結果を表2に示す。また、
図5に、細胞生育状態を評価した際の写真を示す。
【0076】
比較例4
(PET樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材に(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる他は実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
【0077】
比較例5
(紫外線照射PET樹脂を用いたヒト皮膚線維芽細胞の培養)
細胞培養用基材に(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる他は実施例5と同様に行った結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1〜10はいずれも、少なくとも比較例2と比べて細胞生育状態が良好であり、さらに動物由来成分であるコラーゲンコートを行った比較例3と比べても同等以上である。
【0080】
本出願は、2015年9月25日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2015−187846号)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。