【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、人工股関節置換術について、臼蓋カップコンポーネントをハンマリングにより設置する際に、ハンマリングにより発生する音の周波数を分析し、周波数が連続して一定値を示したときに、臼蓋カップコンポーネントを十分な固定性をもって的確に設置したと判断するシステムを構築した。該システムは人工股関節のみならず、人工肩関節置換術において、グレノイドコンポーネントをハンマリングにより設置する際にも利用することができる。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 人工股関節又は人工肩関節置換術において、寛骨又は肩甲骨若しくは上腕に骨頭の受け側コンポーネントを設置する際に、コンポーネントが固定性をもって的確に設置されたことを表示することにより、コンポーネント設置時のコンポーネント周辺の損傷を防止するシステムであって、
(i) コンポーネント設置のためのハンマリング時に発生する音を集音するマイク、
(ii) マイクにより集音された音の周波数スペクトラムを求める手段、
(iii) (ii)で求めた周波数スペクトラムからピーク周波数を求める処理手段、
(iv) (iii)で求めたピーク周波数を記憶する記憶手段、及び
(v) (iii)の処理手段の制御信号に基づき警報を発するアラーム表示手段、を備え、
前記処理手段は、求めたピーク周波数を前記記憶手段に記憶された過去のピーク周波数と比較し、ピーク周波数が一定に達した場合に前記アラーム表示手段に警告を表示させる、
システム。
[2] さらに、ピーク周波数の変化のトレンドを表示する手段を備えた、[1]のシステム。
[3] ピーク周波数が0.1〜9.0KHzで収束した場合に警告を表示させる、[1]又は[2]のシステム。
[4] 連続したハンマリングにより得られたピーク周波数が3回連続で±0.1kHzの範囲に入った場合に、ピーク周波数が一定に達したと判断する、[1]〜[3]のいずれかのシステム。
[5] 人工股関節又は人工肩関節置換術において、寛骨又は肩甲骨若しくは上腕に骨頭の受け側コンポーネントを設置する際に、コンポーネントが固定性をもって的確に設置されたことを表示することにより、コンポーネント設置時のコンポーネント周辺の損傷を防止するシステムであって、
(i) コンポーネント設置のためのハンマリング時に発生する音を集音するマイク、
(ii) マイクにより集音された音の周波数スペクトラムを求める手段、
(iii) (ii)で求めた周波数スペクトラムからピーク周波数を求める処理手段、
(iv) (iii)で求めたピーク周波数を記憶する記憶手段、及び
(v) (iii)の処理手段の制御信号に基づき警報を発するアラーム表示手段を備えているシステムにおいて実行されるプログラムであって、
マイクに人工股関節又は人工肩関節置換術中のハンマリング時の発生音を集音させるステップと、
前記集音される発生音の周波数スペクトラムを求めるステップと、
処理手段に、求められた周波数スペクトラムからピーク周波数を求めさせるステップと、
記憶手段に、求められたピーク周波数を上書き記憶させるステップと、
前記処理手段に、求めたピーク周波数を前記記憶手段に記憶されたピーク周波数と比較し、ピーク周波数が同じであれば、前記記憶手段に上書きするとともに,カウンタ値を歩進させるステップと、
さらに前記処理手段に、前記カウンタ値が所定回数に達した時、アラーム表示手段に警告を表示させるステップを実行させる、コンポーネント設置時のコンポーネント周辺の損傷を防止するためのプログラム。
[6] ピーク周波数が0.1〜9.0KHzで収束した場合に警告を表示させる、[5]のプログラム。
[7] 連続したハンマリングにより得られたピーク周波数が3回連続で±0.1kHzの範囲に入った場合に、ピーク周波数が一定に達したと判断する[5]又は[6]のプログラム。
[8] 人工股関節又は人工肩関節置換術において、寛骨又は肩甲骨若しくは上腕に骨頭の受け側コンポーネントを設置する際に、コンポーネントが固定性をもって的確に設置されたことを表示することにより、コンポーネント設置時のコンポーネント周辺の損傷を防止するための方法であって、
(i) コンポーネント設置のためのハンマリング時に発生する音を集音するマイク、
(ii) マイクにより集音された音の周波数スペクトラムを求める手段、
(iii) (ii)で求めた周波数スペクトラムからピーク周波数を求める処理手段、
(iv) (iii)で求めたピーク周波数を記憶する記憶手段、及び
(v) (iii)の処理手段の制御信号に基づき警報を発するアラーム表示手段を備えているシステムを用いて、
集音した人工股関節又は人工肩関節置換術中のハンマリング時の発生音の周波数スペクトラムを求めるステップと、
前記処理手段に、求められた周波数スペクトラムからピーク周波数を求めさせるステップと、
前記記憶手段に、求められたピーク周波数を上書き記憶させるステップと、
前記処理手段に、求めたピーク周波数を前記記憶手段に記憶されたピーク周波数と比較し、ピーク周波数が同じであれば、前記記憶手段に上書きするとともに、カウンタ値を歩進させるステップと、
さらに前記処理手段に、前記カウンタ値が所定回数に達した時、アラーム表示手段に警告を表示させるステップを含む方法。
[9] ピーク周波数が0.1〜9.0KHzで収束した場合に警告を表示させる、[8]の方法。
[10] 連続したハンマリングにより得られたピーク周波数が3回連続で±0.1kHzの範囲に入った場合に、ピーク周波数が一定に達したと判断する[8]又は[9]の方法。