特許第6739772号(P6739772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6739772抗菌・抗ウイルス組成物、水溶液、石鹸類、衛生用品、住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用抗菌・抗ウイルス剤、台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤、化粧品、ウエットティッシュおよびおしぼり
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  • 特許6739772-抗菌・抗ウイルス組成物、水溶液、石鹸類、衛生用品、住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用抗菌・抗ウイルス剤、台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤、化粧品、ウエットティッシュおよびおしぼり 図000006
  • 特許6739772-抗菌・抗ウイルス組成物、水溶液、石鹸類、衛生用品、住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用抗菌・抗ウイルス剤、台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤、化粧品、ウエットティッシュおよびおしぼり 図000007
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  • 特許6739772-抗菌・抗ウイルス組成物、水溶液、石鹸類、衛生用品、住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用抗菌・抗ウイルス剤、台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤、化粧品、ウエットティッシュおよびおしぼり 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739772
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】抗菌・抗ウイルス組成物、水溶液、石鹸類、衛生用品、住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用抗菌・抗ウイルス剤、台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤、化粧品、ウエットティッシュおよびおしぼり
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/44 20060101AFI20200730BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20200730BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20200730BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20200730BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20200730BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20200730BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20200730BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20200730BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 9/10 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 9/30 20060101ALI20200730BHJP
   C11D 9/50 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   A01N47/44
   A01P1/00
   A01P3/00
   A01N59/16 Z
   A01N25/02
   A47K7/00 G
   A47K7/00 101
   A61K8/19
   A61K8/23
   A61K8/43
   C11D3/04
   C11D3/26
   C11D3/48
   C11D9/10
   C11D9/30
   C11D9/50
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-533656(P2019-533656)
(86)(22)【出願日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2019015791
(87)【国際公開番号】WO2019230210
(87)【国際公開日】20191205
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2018-104885(P2018-104885)
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513055698
【氏名又は名称】VBジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】團 克昭
(72)【発明者】
【氏名】岡山 明子
(72)【発明者】
【氏名】藤波 克之
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−325083(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115062(WO,A1)
【文献】 特表2001−508041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VOSO、K11H[(VO)(SbW33]及びNa[SbW33]のうちの少なくとも1種と、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩とを含む抗菌・抗ウイルス組成物。
【請求項2】
細胞芽胞に対する殺菌効果を有する請求項1記載の抗菌・抗ウイルス組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液。
【請求項4】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む石鹸類。
【請求項5】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む衛生用品。
【請求項6】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む住居用洗剤
【請求項7】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む台所用洗剤。
【請求項8】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む衣料用洗剤
【請求項9】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む住居用抗菌・抗ウイルス剤
【請求項10】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む台所用抗菌・抗ウイルス剤
【請求項11】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む衣料用抗菌・抗ウイルス剤。
【請求項12】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含む化粧品。
【請求項13】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含むウエットティッシュ。
【請求項14】
請求項1または2記載の抗菌・抗ウイルス組成物を含むおしぼり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌活性および抗ウイルス活性を有する抗菌・抗ウイルス組成物及びこの抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生意識の高まりにより、台所回り等の衛生状態を向上させるために抗菌性物質を日用品等に含有させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、インフルエンザ等の感染症の予防等のために抗ウイルス活性を有する抗ウイルス性物質を日用品等に含有させることが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、主としてタオル等の繊維製品を用いた貸しおしぼりや、紙や不織布を用いた使い捨ておしぼり等のおしぼりは、使用される環境や保管される環境によっては細菌やウイルスが付着し、増殖する虞がある。従って、おしぼりにおいても、衛生管理や感染症予防対策は重要な課題である。
【0004】
このような細菌やウイルスに対してパラベンや高濃度のアルコールを用いることも考えられるが、肌荒れの原因となる場合もあった。そこで、特許文献3には、ε−ポリリジン及びソルビン酸のアルカリ金属塩の水溶液を用いた防カビ効果を有する使い捨ておしぼりが記載されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、化粧品においては、製造時および使用時の細菌、カビ等の雑菌混入による変質を防止するためにパラベンよりも皮膚に対して低刺激性の抗菌剤が検討されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−139164号公報
【特許文献2】特開2009−155262号公報
【特許文献3】特開2009−149575号公報
【特許文献4】特開2008−63271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、抗菌性物質を水溶液とするために110〜180℃の高温で処理する工程があるため、工程が煩雑となり、また製造コストがかかるという問題があった。また、特許文献2では、シリカ含有粒子または/およびアルミナ含有粒子を水に分散させた懸濁液を用いているため、使用時に攪拌が必要など、抗ウイルス剤として使用するための手間がかかるものであった。
【0008】
また、特許文献3の使い捨ておしぼりは、使用環境及び保管環境によっては種々の細菌及びウイルスが付着し増殖する虞があるため、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有することが望まれる。
【0009】
また、貸しおしぼりは、飲食店、ショールーム、オフィス、理美容院などのレンタル先で用いられ、レンタル先で利用客に提供されている。また、貸しおしぼりは使用された後に回収され、洗浄された後に再び使用される。洗浄においては厚生労働省の「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」が定められ、洗浄後の細菌数が基準値以下であることが求められている。
【0010】
しかし、貸しおしぼりは様々な環境で使用されるため、貸しおしぼりに種々の細菌やウイルスが付着し繁殖する虞があった。従って、貸しおしぼりにおいては、特定の細菌やウイルスだけでなく、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有することが求められる。
【0011】
また、特許文献4の抗菌剤においても抗菌スペクトルが十分ではなく、種々の細菌に対する抗菌活性を有することが求められる。
【0012】
ここで、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有する組成物を得ることを目的として、特定の細菌に対する抗菌活性を有する化合物や特定のウイルスに対する抗ウイルス活性を有する化合物を複数配合することが考えられる。しかし、これらの化合物を任意に選択して複数配合すると、配合した化合物同士が反応したり、各化合物の抗菌活性や抗ウイルス活性が阻害されたりすることが多いため、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有する組成物を得ることは困難であった。
【0013】
本発明の目的は、簡便な工程により製造することができ、取り扱いが容易であり、さらに種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有する抗菌・抗ウイルス組成物及びこの組成物を含む水溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、文献5(英国王立化学会誌ジャーナルオブマテリアルケミストリー2005年15巻4773−4782ページ)に記載された特定の金属酸化物クラスター化合物及び特定の抗菌剤を選択すると、簡便な工程により製造することができ、取り扱いが容易であり、化合物同士が反応せず、かつ、各化合物が有する抗菌活性や抗ウイルス活性が阻害されないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明によれば、
(1) VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]及びNa9[SbW933]のうちの少なくとも1種と、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩とを含む抗菌・抗ウイルス組成物、
(2) (1)の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係るおしぼりの製造工程を示すフローチャートである。
図2】第2の実施の形態に係るおしぼりの製造工程を示すフローチャートである。
図3】第3の実施の形態に係るおしぼりの製造工程を示すフローチャートである。
図4】実施例3の抗ウイルス活性の測定における蛍光顕微鏡による観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液について説明する。本発明の抗菌・抗ウイルス組成物は、VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]及びNa9[SbW933]のうちの少なくとも1種と、ポリヘキサメチレンビグアナイド(以下、「PHMB」ということがある。)またはその塩とを含み、本発明の水溶液は前記抗菌・抗ウイルス組成物を含む。
【0018】
ここで、本発明の水溶液はVOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]及びNa9[SbW933]のうちの少なくとも1種と、PHMBまたはその塩とをそれぞれ所定の割合で処方したものである。
【0019】
VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]及びNa9[SbW933]は、polyoxometalates(PM化合物)と呼ばれる金属酸化物クラスターに属する化合物である。ここで、PM化合物は、ポリ酸イオンを有する金属酸化物クラスター化合物であり、PM化合物に属する各化合物は、文献5(ジャーナルオブマテリアルケミストリー、15巻、4773−4782ページ、2005年、英国王立化学会)に記載されているように抗菌活性や抗ウイルス活性など、それぞれに特有の生物活性を有する。なお、ポリ酸とは、遷移金属元素(W(VI)、V(V)など)によって構成される金属酸化物クラスター化合物をいい、金属原子などに酸素原子が、通常4又は6配位した四面体又は八面体を基本単位として、この基本単位が稜又は頂点を介して結合した構造を有するものである。
【0020】
また、PHMBは、式(1)
【化1】

で表される化合物である。ここで、上記式(1)中、nは2〜18の整数を示し、nは12であることが好ましい。
【0021】
また、PHMBは無臭・低刺激であり、世界30か国で工業用抗菌剤として利用されている安全な化合粒であり、また、不揮発性のため効果が落ちにくい化合物である。さらに、次亜塩素酸等とは異なり、金属・ゴムを腐蝕させないため、製造工程における工場の設備のメンテナンスを容易なものとすることができる化合物である。
【0022】
なお、PHMBは公知の方法により製造することができる。また、PHMBは、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等との塩として用いることもでき、入手が容易である点で塩酸塩として用いることが好ましい。
【0023】
また、特開2018−35280号公報の段落[0009]や特開2016−160245号公報の段落[0009]にはPHMBは単独では細菌芽胞に対して殺菌効果を示さない旨が記載されている。そのため、PHMBと共に用いる化合物を任意に選択したとしても細菌芽胞に対する殺菌効果が得られるか否かの予測は不可能であると考えられるが、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物および水溶液ではPHMBと上記のPM化合物を共に用いることにより芽胞に対しても殺菌効果を有する。
【0024】
また、上記の特開2018−35280号公報及び特開2016−160245号公報ではPHMBを含む組成物のpHを12.5以上にしていることに加え、特開2017−176606号公報の段落[0027]や特開2018−44077号公報の段落[0014]ではPHMBを含む組成物のpHをアルカリ領域の範囲としない場合には効果が得にくい旨が記載されているが、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液はPHMBと上記のPM化合物を共に用いることにより極端な酸性・極端なアルカリ性でない限りは、pHに依存せず効果を発揮する。
【0025】
本発明において用いられる化合物の配合比は特に限定されないが、K11H[(VO)3(SbW9332]の1モルに対しVOSO4は好ましくは0.1〜20モル、さらに好ましくは4〜8モル、Na9[SbW933]は好ましくは0.1〜30モル、さらに好ましくは10〜20モル、PHMBは好ましくは0.1〜30モル、さらに好ましくは1〜5モルである。
【0026】
また、VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]、Na9[SbW933]及びPHMBをモル比で5.5:1:17.3:2.3の割合で使用することが特に好ましい。
【0027】
本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を水に溶解させて水溶液として用いる場合には、抗菌・抗ウイルス組成物を構成する各化合物が最低有効濃度以上となるように水溶液を調製する。本発明の水溶液中において各化合物の濃度は、VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]、Na9[SbW933]及びPHMBについてそれぞれ1〜50、10〜300、50〜1500、1〜100μg/mLであることが好ましく、20〜40、50〜150、500〜1300、5〜15μg/mLであることがさらに好ましい。また、本発明の水溶液中における抗菌・抗ウイルス組成物を構成する各化合物の濃度は、VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]、Na9[SbW933]及びPHMBについてそれぞれ25、115、1000、10μg/mLであることが特に好ましい。
【0028】
また、本発明の水溶液のpHは、特に限定されないが、3〜10であることが好ましく、4〜9であることがより好ましい。
【0029】
ここで、VOSO4、K11H[(VO)3(SbW9332]、Na9[SbW933]及びPHMBをモル比で5.5:1:17.3:2.3となるように配合した本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液のMIC(最小発育阻止濃度)は、表1に示すものとなる。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示すように、本発明の水溶液に含まれる抗菌・抗ウイルス組成物の濃度が低い場合であっても細菌・真菌(カビ)・ウイルス等の微生物の発育を阻止することができ、また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液は広い抗菌スペクトルを有する。即ち、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液は幅広い菌種に対して活性を有する。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対しても活性を有する。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液は、水溶液として安定であり、長期間の保存も可能である。
【0032】
また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物は、200℃までの高温に対しても抗菌、抗ウイルス活性を保持することができ、高温となった場合でも比較的安定である。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を構成する各化合物は、化合物同士が反応せず、かつ、各化合物が有する抗菌活性や抗ウイルス活性が阻害されない。また、これらは人体に対して肌荒れ等を起こさない安全性の高い化合物である。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物は、人体に蓄積しない安全性の高い化合物である。
【0033】
また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液に含まれる化合物は、環境規制の対象外である化合物であり、また、製造工程が煩雑ではなく、製造にかかるコストを抑制することができる。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液は、後述するおしぼりの基材としてのタオル等に汚れが付着していても効果が低減しにくく、さらに不揮発性であるため効果が低減しにくい。
【0034】
本発明の抗菌・抗ウイルス組成物および水溶液は、他の薬剤、保湿剤、香料等の成分を含有させてもよい。保湿剤としてはフルボ酸、ヒアルロン酸、ローヤルゼリー、グリセリン、ダイズエキス等が挙げられる。香料としては、特に限定されないが、たとえば、シトラス、ペパーミント、ラベンダー、クロモジ、ニオイコブシ、ヒノキ、スギ、モミ等の香りを有する香料成分が挙げることができ、これらの香りを有するアロマオイル等を用いることができる。本発明の抗菌・抗ウイルス組成物および水溶液の抗菌、抗ウイルス活性、防カビ性能は他の薬液や保湿剤等により阻害されない。
【0035】
また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物またはこの組成物を含む水溶液は、紙製おしぼり、不織布製おしぼりおよび布製おしぼりなど公知のおしぼりに含有させてもよいし、化粧水や乳液等の化粧品に含有させてもよい。また、ハンドソープ等の石鹸類に含有させてもよいし、マスクや綿棒等の衛生用品に含有させてもよい。さらに、トイレや浴槽、キッチン、食器、衣服等に用いる住居用洗剤、台所用洗剤、衣料用洗剤等に含有させてもよい。また、自動車の排気フィルターに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含有させてもよいし、エアコンのフィルターに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物またはこの組成物を含む水溶液を含有させてもよい。
【0036】
また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液をスプレー容器に充填して住居等の床や壁、住居に設置されたテーブル等のタイル、金属、プラスチック、ガラス、木等により構成される住居内の固定物及び家具等に用いる住居用抗菌・抗ウイルス剤として使用してもよい。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液をスプレー容器に充填してトイレや浴槽、キッチン、衣服等に用いる台所用抗菌・抗ウイルス剤、衣料用抗菌・抗ウイルス剤として用いてもよい。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物またはこの組成物を含む水溶液を防カビ剤として用いてもよい。なお、上述のように本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液は他の薬剤等の成分の効能を阻害せず、また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液の抗菌、抗ウイルス活性は他の薬剤等により阻害されないため、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液に他の薬剤等を含有させてもよい。
【0037】
次に、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液をおしぼりに適用する場合について説明する。本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液をおしぼりに適用する場合には、例えば、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液をおしぼりの基材に含有させることができる。ここで、おしぼりの基材としては、タオル、不織布、紙等を用いることができる。タオルの素材としては、綿等が用いられる。また、基材に所定量以上の水分を含ませることでおしぼりとすることができる。
【0038】
以下、本発明の第1の実施の形態に係るおしぼりの製造方法について説明する。本実施の形態のおしぼりにおいては、基材として主にタオルが用いられる。また、本実施の形態のおしぼりは、レンタル先で使用され、使用されたタオルを回収するいわゆる貸しおしぼりである。また、本実施の形態におけるおしぼりの洗浄は、厚生労働省の「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」を満たすように行われる。
【0039】
図1は、第1の実施の形態に係るおしぼりの製造工程を示すフローチャートである。飲食店等で使用された後に回収されたタオルを洗濯機のクリーニング槽に入れ、洗剤を投入して本洗を行い(ステップS1)、低速脱水を所定時間行う(ステップS2)。ここで、本洗は60℃以上の所定温度、中水位にて、10分以上の所定時間行う。
【0040】
次に清浄な水を用いてクリーニング槽を高水位とし、所定温度で所定時間1回目のすすぎを行い(ステップS3)、低速脱水を所定時間行う(ステップS4)。さらに、清浄な水を用いてクリーニング槽を高水位とすると共に、遊離塩素が250ppmとなるようにさらし粉または次亜塩素酸ナトリウムを加え、所定温度で所定時間2回目のすすぎを行い(ステップS5)、低速脱水を所定時間行う(ステップS6)。
【0041】
その後、清浄な水を用いてクリーニング槽を中水位とすると共に、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を加え、所定温度で所定時間3回目のすすぎを行う(ステップS7)。
【0042】
3回目のすすぎを終了すると、高速脱水を所定時間行う(ステップS8)。これによりタオルに所定量の水分を含ませることができ、さらにタオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させることができる。また、タオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させた後にタオルに所定の形状を付与することにより、おしぼりとすることができる。ここで、タオルを折り曲げたり、タオルを巻くことでタオルに所定の形状を付与することができる。また、所定の形状とした後に、フィルム等により包装してもよい。
【0043】
クリーニング槽から排出される本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液等を含む排水は、微生物処理法により排水処理を行う処理槽に集められる。
【0044】
この第1の実施の形態によれば、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有するおしぼりを製造することができる。また、有機溶媒ではなく水溶液を用い、かつ、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を用いるため、人体に対する肌荒れ等の影響を防ぐことができる。
【0045】
また、優れた抗菌活性及び優れた抗ウイルス活性を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液は防カビ効果も有し、防カビ効果を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含む排水は、微生物処理法を行う処理槽の微生物(バクテリア)に対して死滅させる等の悪影響を及ぼさない。
【0046】
なお、第1の実施の形態に係るおしぼりの製造方法においては、3回目のすすぎの際にタオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させる構成としたが、タオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させることができる構成であれば、どの工程でタオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させてもよい。例えば、1回目のすすぎの際や2回目のすすぎの際にタオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含有させてもよいし、高速脱水の後に後述する図2のステップS21に示す処理のように本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を入れたタオル浸漬槽にタオルを浸漬させることによりタオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を浸漬させてよい。また、タオルに所定の形状を付与した後に、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を噴霧すること等により本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含有させる構成としてもよい。
【0047】
次に第2の実施の形態に係るおしぼりの製造方法について説明する。なお、この第2の実施の形態に係るおしぼりの製造方法は、基材として第1の実施の形態において用いた回収されたタオルに代えて、新品のタオルを用いる構成に変更したものである。従って、第1の実施の形態と同一の構成についての詳細な説明は省略し、異なる部分のみについて詳細に説明する。
【0048】
新品のタオルをクリーニング槽に入れ、所定温度、所定の水位でドラムを回転させずに数分間予洗を行う(ステップS11)。次に、糊抜き剤及び洗練浸透剤を投入し本洗を80℃等の所定温度、所定水位にて、10分以上の所定時間行い(ステップS12)、60℃等の所定温度でクールダウンを所定時間行う(ステップS13)。
【0049】
次に、ステップS14〜S17に示すすすぎ及び低速脱水を行うが、これらの処理は図1のフローチャートのステップS3〜6に示す処理とそれぞれ同様であるため説明は省略する。
【0050】
その後、清浄な水を用いてクリーニング槽を所定水位とすると共に、ニッカノン(日華化学(株)社製)を1g/Lと成るように加え、所定温度で所定時間3回目のすすぎを行い(ステップS18)、高速脱水を所定時間行う(ステップS19)。
【0051】
次に、高速脱水を終えたタオルをクリーニング槽から取り出し、乾燥機にて80℃において所定時間乾燥させる(ステップ20)。その後、タオルに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含有させる(ステップS21)。ここで、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含有させる方法としては、特に限定されないが、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を溶解させた水溶液にタオルを浸漬させる方法や、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を溶解させた水溶液をタオルに噴霧する方法を例示することができる。
【0052】
浸漬させる場合には、例えば、攪拌機能を備えたタオル浸漬槽に清浄な水と本発明の抗菌・抗ウイルス組成物とを入れて攪拌し、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を溶解させた水溶液を得た後に、クリーニング槽から取り出したタオルをタオル浸漬槽に浸漬させる。このとき、水溶液中における本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を構成する各化合物の濃度は、それぞれ数μg/mL以上であることが好ましい。また、タオル浸漬治具を取り付けたクレーンを用いて浸漬させてもよい。また、タオルに浮力防止錘を付けて水溶液に浸漬させてもよい。次に、タオル浸漬槽において水溶液をタオルに十分浸透させた後に、タオルをタオル浸漬槽から取り出して持ち上げ、水溶液がタオルから滴下するまで放置する。その後、プレス機を用いてタオルを数分間プレスする。
【0053】
次に、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含有させたタオルに所定の形状を付与し、包装機を用いてタオルをフィルムで包装することにより(ステップS22)、本実施の形態に係るおしぼりを製造することができる。なお、この実施の形態で用いるフィルムの水蒸気透過率は、所定値以下であることが好ましい。
【0054】
クリーニング槽から排出される本発明の抗菌・抗ウイルス組成物等を含む排水は、微生物処理法により排水処理を行う処理槽に集められる。
【0055】
この第2の実施の形態に係るおしぼりの製造方法によれば、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有するおしぼりを製造することができる。また、有機溶媒ではなく水溶液を用い、かつ、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を用いるため、人体に対する肌荒れ等の影響を防ぐことができる。
【0056】
また、優れた抗菌活性及び優れた抗ウイルス活性を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液は防カビ効果も有し、防カビ効果を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液を含む排水は、微生物処理法を行う処理槽の微生物(バクテリア)に対して死滅させる等の悪影響を及ぼさない。
【0057】
なお、上述の第1及び第2の実施の形態において用いる洗濯機としては特に限定されない。1つのクリーニング槽を有する洗濯機を用いてもよいし、予洗・本洗・すすぎ等をそれぞれ単独槽で行うバッチ式洗濯機を用いてもよいし、予洗用・本洗用・すすぎ用等の複数の浴槽を並列に設け、タオル等の洗濯対象物を浴槽間で移動させながら洗濯を行う連続式洗濯機を用いてもよい。
【0058】
また、上述の第1及び第2の実施の形態におけるおしぼりの製造工程は一例であり、基材の種類や色に応じて適宜変更してもよい。
【0059】
次に第3の実施の形態に係るおしぼりの製造方法について説明する。なお、この第3の実施の形態に係るおしぼりの製造方法は、基材として第1の実施の形態において用いたタオルに代えて、紙や不織布等を用いる構成に変更したものである。
【0060】
まず、紙や不織布からなるロール状の基材と包装フィルムとがおしぼり製造機にセットされる(ステップS31)。次に、おしぼり製造機により基材は所定のサイズに折られ、折られた基材の上下から本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液が噴霧される(ステップS32)。そして、おしぼり製造機が備える回転刃により基材が所定のサイズにカットされ(ステップS33)、カットされた基材がフィルムにより包装されることにより(ステップS34)、本実施の形態のおしぼりを製造することができる。
【0061】
この第3の実施の形態によれば、種々の細菌に対する抗菌活性及び種々のウイルスに対する抗ウイルス活性を有するおしぼりを製造することができる。また、有機溶媒ではなく水溶液を用い、かつ、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いるため、人体に対する肌荒れ等の影響を防ぐことができる。また、優れた抗菌活性及び優れた抗ウイルス活性を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。
【0062】
また、第3の実施の形態においては、基材として紙や不織布を用いるため、優れた抗菌活性及び優れた抗ウイルス活性を有する使い捨てのおしぼりを製造することができる。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物は防カビ効果も有し、防カビ効果を有する組成物をおしぼりに安価で含有させることができる。
【0063】
また、第3の実施の形態に係るおしぼりの製造方法より製造されたおしぼりは、日本清浄紙綿類工業会の紙おしぼりの衛生基準を満たすものとなる。
【0064】
なお、この第3の実施の形態により製造されるおしぼりとしては、ステップS33において所定のサイズにカットされた基材を1枚ずつ個装してもよいし、ステップS33において所定のサイズにカットされた基材を複数枚ボトル等のパッケージ内に収納し、このパッケージから1枚ずつ取り出し可能な構成とした所謂ウェットティッシュとしてもよい。
【0065】
1枚ずつ取りだし可能な構成とする場合には、パッケージに設けられた取出し口から1枚ずつ取り出すのに適した折り方や巻き方により基材に形状を付与することが好ましい。
【0066】
また、上述の各実施の形態においては、おしぼりに本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または含む水溶液を含有させる構成としたが、さらにおしぼりに他の薬剤等の成分を含有させてもよい。この場合には、例えば、第3の実施の形態において本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液にさらに他のおしぼり薬液や保湿剤等を加えて噴霧する。保湿剤としてはフルボ酸、ヒアルロン酸、ローヤルゼリー、グリセリン、ダイズエキス等が挙げられる。本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液は他のおしぼり薬液や保湿剤等の効能を阻害せず、また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液の抗菌、抗ウイルス活性、防カビ性能は他のおしぼり薬液や保湿剤等により阻害されない。
【0067】
また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液を化粧品に適用する場合には、抗菌・抗ウイルス組成物または水溶液に水、アルコール類、油剤、保湿剤、美白剤、紫外線防止剤、抗しわ剤、ピーリング剤、香料、着色料、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、増粘剤pH調整剤等の化粧品原料から選ばれる任意の成分を混合・撹拌することにより化粧品を製造することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及び均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0069】
(実施例1:MRSAに対する抗菌活性測定)
本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液(VOSO4:25μg/mL、K11H[(VO)3(SbW9332]:115μg/mL、Na9[SbW933]:1000μg/mL、PHMB:10μg/mL)を1/20濃度のNutrient Brothで希釈し、検体希釈液(検体の5000倍希釈液)10mLに試験菌液を0.1mL加え、試験液とした。この試験液を所定のサイズの抗菌試験用標準布(綿)(一般社団法人 繊維評価技術協議会)に接種し、試験を開始した。
【0070】
ここで、試験菌液は、試験菌(Staphylococcus aureus,IID 1677(MRSA))をNutrient Agar (Difco)で37℃、16〜20時間培養した後、1/20濃度のNutrient Broth (Difco)に浮遊させ、菌数が106〜107/mLとなるように調製したものを用いた。
【0071】
試験液を37℃で保存し、開始時(接種直後)、及び18時間後の試験液を菌数測定用培地上で直ちに10倍に希釈し、試験液中の生菌数を用いて測定した。なお、菌数測定用培地は、SCDLP寒天培地(日本製薬株式会社製)を混釈平板培養法により35℃±1℃で2日間培養した。
【0072】
また、対照として、1/20濃度のNutrient Brothに試験菌液を0.1mL加えたものを上記と同一のサイズの抗菌試験用標準布(綿)(一般社団法人 繊維評価技術協議会)に接種し、同様に試験を行った。開始時(接種直後)、18時間後について生菌数の測定を行った。結果を表2に示す。なお、測定は本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液および対照についてそれぞれ3回ずつ行った。
【0073】
【表2】
【0074】
表2に示すように、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いた場合には、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いない場合に比べてMRSAの生菌数を抑制することができ、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液の抗MRSA効果が示された。
【0075】
(実施例2:セレウス菌に対する抗菌活性測定)
本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液(VOSO4:25μg/mL、K11H[(VO)3(SbW9332]:115μg/mL、Na9[SbW933]:1000μg/mL、PHMB:10μg/mL)を1/20濃度のNutrient Brothで希釈し、検体希釈液(検体の5000倍希釈液)10mLにセレウス菌を加え、所定のサイズの抗菌試験用標準布(綿)(一般社団法人 繊維評価技術協議会)に接種した。セレウス菌としては、Bacillus cereus IFO13494(セレウス菌)の1菌株を用いた。なお、この測定はJIS L 1902:2008「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」における10定量試験の10.1菌液吸収法に基づいて検体の抗菌力試験を行った。この抗菌力試験においては、また、検体に対する高圧蒸気滅菌(121℃、15分間)は行わなかった。
【0076】
また、対照として、1/20濃度のNutrient BrothにBecillus cereus IFO13494(セレウス菌)の1菌株加えたものを上記と同一のサイズの抗菌試験用標準布(綿)(一般社団法人 繊維評価技術協議会)に接種し、同様に試験を行った。開始時(接種直後)、18時間後について生菌数の測定を行った。結果を表3に示す。
【0077】
また、セレウス菌に代えて、セレウス菌芽胞(Becillus cereus IFO13494(セレウス菌,芽胞))を用いた試験も同様に行い、対照試験についても同様に行った。セレウス菌芽胞の接種直後及び18時間培養後の試験片中の生菌数を測定し、表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
表3に示す結果より本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いた場合には、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いない場合に比べてセレウス菌及びセレウス菌(芽胞)の生菌数を抑制することができ、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液の抗セレウス菌効果が示された。
【0080】
(実施例3:インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性測定)
本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液(VOSO4:25μg/mL、K11H[(VO)3(SbW9332]:115μg/mL、Na9[SbW933]:1000μg/mL、PHMB:10μg/mL)を1/20濃度のNutrient Brothで希釈し、検体希釈液(検体の5000倍希釈液)に所定のサイズの抗菌試験用標準布(綿)(一般社団法人 繊維評価技術協議会)を添加し、試験検体を得た。次に、この試験検体をインフルエンザウイルスの溶液に37℃において5分浸漬した。そして、インフルエンザウイルスの溶液から試験検体を取り出し、抗ウイルス液に浸漬した。抗ウイルス液から試験検体を取り出した後、蛍光標識ウイルス抗体を用いて処理を行い、蛍光顕微鏡により観察を行った。蛍光顕微鏡による観察結果を図4(a)に示す。また、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液の代わりに水を用いた以外同様の手順にて対照実験を行った。対照実験の蛍光顕微鏡による観察結果を図4(b)に示す。なお、図4(a)(b)において、黒くなっていない部分が蛍光が観察されている領域であり、蛍光が観察される領域にはインフルエンザウイルスが存在することが示される。
【0081】
図4(a)(b)に示す結果より本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いた場合には、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物を含む水溶液を用いない場合に比べてインフルエンザウイルスほぼ観察されず、本発明の抗菌・抗ウイルス組成物及び水溶液の抗インフルエンザウイルス効果が示された。
図1
図2
図3
図4