特許第6739781号(P6739781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6739781水硬性組成物用分散保持剤、水硬性組成物用分散保持剤の使用方法、及び水硬性組成物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739781
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】水硬性組成物用分散保持剤、水硬性組成物用分散保持剤の使用方法、及び水硬性組成物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/26 20060101AFI20200730BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20200730BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20200730BHJP
   C04B 103/40 20060101ALN20200730BHJP
【FI】
   C04B24/26 F
   C04B24/26 B
   C08F220/28
   C08F290/06
   C04B103:40
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-81867(P2016-81867)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190270(P2017-190270A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 章宏
(72)【発明者】
【氏名】有賀 静佳
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−190424(JP,A)
【文献】 特開昭55−110171(JP,A)
【文献】 特開2009−091452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 24/26
C08F 220/28
C08F 290/06
C04B 103/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化1で示される単量体Aと、下記の化2で示される単量体Bとから得られるビニル共重合体を含有し、水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤と併用されることを特徴とする水硬性組成物用分散保持剤。
【化1】
【化2】
(化1及び化2において、
,R:水素原子、メチル基又は化3で示される有機基
p:0又は1
X:下記の化4で示される有機基
Y:下記の化5で示される有機基
:水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属)
【化3】
(化3において、
r:0又は1
:水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属)
【化4】
(化4において、
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基
m:1〜10の整数
:ヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基)
【化5】
(化5において、
s:0〜4の整数
t:0または1
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基
n:0〜300の整数
:水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基(但し、n=0のときはRは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基))
【請求項2】
請求項1記載の単量体Aと、請求項1記載の単量体Bと、これらの単量体と共重合可能な他の単量体Cとから得られるビニル共重合体を含有することを特徴とする水硬性組成物用分散保持剤。
【請求項3】
化4中のRが、下記の化6で示される有機基である請求項1又は2記載の水硬性組成物用分散保持剤。
【化6】
(化6において、
:ヘテロ原子を有する場合のある炭素数1〜22のアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基
u:0〜2の整数
:水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属)
【請求項4】
化6中のRが、炭素数1〜6のアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の水硬性組成物用分散保持剤。
【請求項5】
単量体Aが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2〜4塩基性カルボン酸無水物との縮合物である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の水硬性組成物用分散保持剤。
【請求項6】
ビニル共重合体が、質量平均分子量8000〜200000のものである請求項1〜5のいずれか一つ記載の水硬性組成物用分散保持剤。
【請求項7】
ビニル共重合体が、全構成単位中に単量体A由来の構成単位を1〜99モル%及び単量体B由来の構成単位を1〜99モル%(合計100モル%)割合で有するものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載の水硬性組成物用分散保持剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用分散保持剤を、水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤と併用することを特徴とする水硬性組成物用分散保持剤の使用方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用分散保持剤、及び水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤を、水硬性組成物に配合することを特徴とする水硬性組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水硬性組成物用分散保持剤、水硬性組成物用分散保持剤の使用方法、及び水硬性組成物の調製方法に関する。モルタルやコンクリート等の水硬性組成物の調製に各種の分散剤が広く用いられている。しかし、一般に分散剤を用いて水硬性組成物を調製すると、スランプロス(流動性の経時的低下)が大きく、作業性及び施工性が低下する。本発明はスランプロスを充分に防止できる水硬性組成物用分散保持剤、水硬性組成物用分散保持剤の使用方法、及び水硬性組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、それ自体がスランプロス防止性能を有するものとして、水溶性ビニル共重合体から成る水硬性組成物用分散剤が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。ところが、これら従来の提案では、調製した水硬性組成物のスランプロスを充分に防止できないという問題がある。そこで、水硬性組成物用分散剤にスランプロス防止剤を併用したものも提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、この従来提案でも、依然として調製した水硬性組成物のスランプロスを充分に防止できないという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−285140号公報
【特許文献2】特開平1−226757号公報
【特許文献3】特開平10−67549号公報
【特許文献4】特開2003−335562号公報
【特許文献5】特開2003−34565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、混練から長時間経過した後でも、水硬性組成物の流動性を保つことができ、しかも硬化遅延の少ない水硬性組成物用分散保持剤、水硬性組成物用分散保持剤の使用方法、及び水硬性組成物の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、分子中にカルボキシル基を有する特定の単量体と、分子中にポリアルキレングリコール残基を有する特定の単量体と、更に必要な場合にはこれらの単量体と共重合可能な他の単量体とを共重合して得られるビニル共重合体が水硬性組成物用分散保持剤として正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の化1で示される単量体Aと、下記の化2で示される単量体Bとから得られるビニル共重合体を含有することを特徴とする水硬性組成物用分散保持剤に係る。また本発明は、下記の化1で示される単量体Aと、下記の化2で示される単量体Bと、これらの単量体と共重合可能な他の単量体Cとから得られるビニル共重合体を含有し、水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤と併用されることを特徴とする水硬性組成物用分散保持剤に係る。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
化1及び化2において、
,R:水素原子、メチル基又は下記の化3で示される有機基
p:0又は1
X:下記の化4で示される有機基
Y:下記の化5で示される有機基
:水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属
【0010】
【化3】
【0011】
化3において、r:0又は1
:水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属
【0012】
【化4】
【0013】
化4において、
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基
m:1〜10の整数
:ヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基
【0014】
【化5】
【0015】
化5において、
s:0〜4の整数
t:0または1
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基
n:0〜300の整数
:水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基(但し、n=0のときはRは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基)
また、本発明の別の態様の水硬性組成物用分散保持剤の使用方法は、前記水硬性組成物用分散保持剤を、水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤と併用することを特徴とする。
また、本発明の別の態様の水硬性組成物の調製方法は、前記水硬性組成物用分散保持剤、及び水溶性ビニル共重合体を含む水硬性組成物用分散剤を、水硬性組成物に配合することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る水硬性組成物用分散保持剤(以下、本発明の分散保持剤という)には、前記の化1で示される単量体Aと、前記の化2で示される単量体Bとから得られるビニル共重合体(以下、ビニル共重合体Pという)を含有するものと、かかる単量体Aと、かかる単量体Bと、これらと共重合可能な他の単量体Cとから得られるビニル共重合体(以下、ビニル共重合体Qという)を含有するものとが含まれる。
【0017】
先ず、ビニル共重合体Pについて説明する。ビニル共重合体Pは、単量体Aと、単量体Bとから得られるビニル共重合体であり、双方の割合等は特に制限されないが、全構成単位中に、単量体A由来の構成単位を1〜99モル%及び単量体B由来の構成単位を1〜99モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量が8000〜200000のビニル共重合体が好ましい。
【0018】
単量体Aを示す前記の化1において、Rは水素原子、メチル基又は前記の化3で示される有機基、pは0または1、Xは前記の化4で示される有機基、Mは水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属である。化3において、rは0又は1、Mは水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属であるが、化3で示される有機基は、具体的にはカルボキシル基又はメチレンカルボキシル基である。
【0019】
また化4において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは1〜10の整数、Rはヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素である。
【0020】
化4において、AOのオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられるが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。これらは、1種であっても、2種以上であってもよい。mは1〜10の整数であるが、1〜5の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。Rはヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基であり、これらの炭素数に特に制限はない。ヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシル基、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。またヘテロ原子を有する場合のある芳香環基としては、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等が挙げられる。更にヘテロ原子を有する場合のある不飽和炭化水素基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、これらの前後にカルボニル基やイミノ基を有する基が挙げられるが、下記の化6で示される有機基が好ましい。
【0021】
【化6】
【0022】
化6において、Rはヘテロ原子を有する場合のある炭素数1〜22のアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基、uは0〜2の整数、Mは水素原子、有機アンモニウム基、有機基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属である。
【0023】
化6において、Rはヘテロ原子を有する場合のある炭素数1〜22のアルキレン基、芳香族基又は不飽和炭化水素基であり、ヘテロ原子を有する場合のあるアルキレン基、芳香環基又は不飽和炭化水素基については化4のRについて前記した通りであるが、Rは、これらのうちで炭素数1〜22のものであり、好ましくは炭素数1〜6のものである。
【0024】
化1、化3、化6において、M、M、Mは水素原子、アンモニウム基、有機アミン基、アルカリ金属又は1/2当量のアルカリ土類金属である。これらは1種であっても、2種以上であってもよい。アンモニウム基としては、アンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基等が挙げられる。また有機アミン基としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、トリメチルアミン基、トリエチルアミン基等のアルキルアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基、ピリジニウム基、ルチジニウム基等の芳香族アミン基が挙げられる。更にアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。そしてアルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。但し、アルカリ土類金属の場合は1/2当量である。
【0025】
以上説明した単量体Aの具体例としては、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸等が挙げられ、またヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリル酸エステル等の末端に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルと、2〜4塩基性カルボン酸無水物との縮合物が挙げられる。かかる縮合物は、末端に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルと2〜4塩基性カルボン酸無水物との縮合により得られる。縮合に用いることができる不飽和カルボン酸エステルとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また縮合に用いることができる2〜4塩基性カルボン酸無水物としては、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキシル1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。単量体Aとしては、かかる縮合物の1種又は2種以上を用いることができるが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2〜4塩基性カルボン酸無水物との縮合物が好ましい。
【0026】
前記の縮合物は公知の方法で得ることができる。これには例えば、無溶媒下で末端に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルと2〜4塩基性カルボン酸無水物を加熱撹拌する方法、溶媒及び縮合剤存在下で末端に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルと2〜4塩基性カルボン酸無水物を縮合させる方法等がある。
【0027】
単量体Bを示す前記の化2において、Rは水素原子、メチル基又は前記の化3で示される有機基、Yは前記の化5で示される有機基である。化5において、sは0〜4の整数、tは0または1、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜300の整数、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。但し、n=0のときはRは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。
【0028】
化5中のRとしては、1)水素原子、2)メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、2−メチル−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘプチル基、2−ブチル−オクチル基、2−ペンチル−ノニル基、2−ヘキシル−デシル基、2−ヘプチル−ウンデシル基、2−オクチル−ドデシル基、2−ノニル−トリデシル基、2−デシル−テトラデシル基、2−ウンデシル−ペンタデシル基、2−ドデシル−ヘキサデシル基等の炭素数1〜22のアルキル基、3)ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、ヘキサデセノイル基、エイコセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数1〜22の脂肪族アシル基が挙げられる。なかでもRとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の脂肪族アシル基が好ましい。
【0029】
化5中のAOについては化4中のAOについて前記した通りであり、nは0〜300の整数であるが、(AO)nとしては、0〜160個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基が好ましい。
【0030】
以上説明した単量体Bの具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸メチルメタクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、α−アリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、−メタリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン等が挙げられる。
【0031】
化2で示される単量体Bとしては、1種又は2種以上を用いることができるが、2種以上を用いるのが好ましく、なかでも化5中のnが0〜8の場合の単量体Bと化5中のnが9〜160の場合の単量体Bとの2種を含むものが好ましく、より具体的には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルから選ばれる1種又は2種以上の単量体Bと他の単量体Bを含むものが好ましい。
【0032】
次に、ビニル共重合体Qについて説明する。ビニル共重合体Qは、前記した単量体A及び単量体Bの他に、これらと共重合可能な他の単量体Cを共重合させたものである。かかる他の単量体Cとしては、1)アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、2)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のアクリル酸系単量体、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、メチルエステル、エチルエステル、無水物等、3)(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メタスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、スチレン、スチレンスルホン酸等が挙げられる。なかでも、他の単量体Cとしては、アクリル酸系単量体が好ましい。
【0033】
ビニル共重合体P及びQにおいて、用いる全単量体中、単量体Aの割合は1〜99モル%とするのが好ましく、50〜90モル%とするのがより好ましい。また単量体Bの割合は1〜99モル%とするのが好ましく、1〜55モル%とするのがより好ましい。更に他の単量体Cの割合は、50モル%以下とするのが好ましく、25モル%以下とするのがより好ましく、10モル%以下とするのが特に好ましい。
【0034】
ビニル共重合体P及びQの質量平均分子量は、8000〜200000のものが好ましく、9000〜150000のものがより好ましく、10000〜100000のものが特に好ましい。尚、本発明において質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCという)によるポリエチレングリコール換算の値である。
【0035】
本発明の分散保持剤に供するビニル共重合体P及びQは、公知の方法で得ることができる。これには例えば、溶媒として水を用いたラジカル重合、溶媒として有機溶媒を用いたラジカル重合、溶媒を用いないラジカル重合等が挙げられる。かかるラジカル重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物のように、重合反応温度下において分解し、ラジカル発生するものが挙げられ、また適宜還元剤を一緒に用いたレドックス開始剤が挙げられる。得られるビニル共重合体の質量平均分子量を所望の範囲のものとするため、連鎖移動剤を用いることもできる。かかる連鎖移動剤としては、ビニル共重合体の分子量の調整ができるものであれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。具体的には、1)メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等のチオール系連鎖移動剤、2)四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物、3)α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物、4)2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコールやイソプロパノール等の第2級アルコール、5)亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等の低級酸化物やその塩等が挙げられる。ビニル共重合体P及びQは、以上説明したラジカル重合の他に、アニオン重合やカチオン重合によっても得ることができ、これらの重合に用いる開始剤としては、アルカリ金属、ブチルリチウム、グリニャール試薬、金属アルコキシド、三フッ化ホウ素等のルイス酸、硫酸等のブレンステッド酸等が挙げられるが、無溶媒又は水溶媒中でのラジカル重合により得る方法が好ましい。
【0036】
本発明の分散保持剤は、水硬性組成物、例えばモルタルやコンクリートの調製時に混和剤として使用するものであり、これを用いて調製したモルタルやコンクリートのスランプロスを充分に防止する。モルタルやコンクリートの調製に用いる材料に特に制限はなく、例えば結合材としては、1)普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、2)高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメント、3)アルミナセメント等が挙げられる。また水/結合材比も特に制限はないが、水/結合材比は20〜70%のものが好ましく、35〜65%のものがより好ましい。更にモルタルやコンクリートの調製に用いる他の分散剤の種類にも特に制限はないが、併用する分散剤としてはオキシカルボン酸やその塩、ポリカルボン酸系や芳香族スルホン酸系のものから選ばれる一つ又は二つ以上が好ましい。モルタルやコンクリートの調整にはAE剤、消泡剤、凝結遅延剤、硬化促進剤、収縮低減剤、増粘剤等の添加剤を用いることもできる。本発明の分散保持剤の使用量は、これも特に制限はないが、結合材100質量部に対し、固形分換算で、通常は0.005〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.5質量部とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の分散保持剤によると、水硬性組成物のスランプロスを充分に防止できる。本発明の分散保持剤を、水硬性組成物用分散剤として従来提案されている前記したような水溶性ビニル共重合体と併用すると、双方の効果が相まって、水硬性組成物に経時的にも優れた流動性を付与できる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の構成をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
【0039】
試験区分1(単量体Aの合成)
・単量体(A−5)の合成
ヒドロキシエチルアクリレート127.7g、トリメリット酸無水物192.1g、4−メトキシフェノール0.64g、ピリジン300mLを温度計、撹拌機、空気導入管を備えた反応容器に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、乾燥した空気を5mL/分の流量で吹き込みながら、昇温し、80℃の温度で、8時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてピリジンを留去し、ヒドロキシエチルアクリレートとトリメリット酸のモノエステル体(A−5)を得た。
【0040】
・単量体(A−6)の合成
ヒドロキシプロピルアクリレート130.1g、コハク酸無水物110.1g、フェノチアジン0.13gを温度計、撹拌機、空気導入管を備えた反応容器に仕込み、乾燥した空気を3mL/分の流量で吹き込みながら昇温し、100℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、ヒドロキシプロピルアクリレートとコハク酸のモノエステル体(A−6)を得た。
【0041】
試験区分2(ビニル共重合体の合成)
・実施例1{ビニル共重合体(EX−1)の合成等}
イオン交換水29.2g、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン174.2gを温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃とした。次に3.5%過酸化水素水10.8gを3時間かけて滴下すると共に、イオン交換水174.2gに2−アクリロイロキシエチルコハク酸15.2gとヒドロキシエチルアクリレート28.3gを懸濁させた水溶液を3時間かけて滴下し、またイオン交換7.3gにL−アスコルビン酸1.0gとメルカプトエタノール0.8gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、2時間65℃を維持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6に調整すると共に、イオン交換水にて濃度を40%に調整して反応物の水性液を得た。この反応物をビニル共重合体(EX−1)とした。
【0042】
・実施例2{ビニル共重合体(EX−2)の合成}
イオン交換水206.5g、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=23)オキシエチレン151.7g、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸23.3gとヒドロキシエチルアクリレート19.4g、3−メルカプトプロピオン酸2.3gを実施例1と同様の反応容器に仕込み、攪拌しながら雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃とした。3.0%過硫酸ナトリウム28.0g水溶液を加え反応を開始した。反応を開始してから3時間後、3.0%過硫酸ナトリウム6.8g水溶液を加え、3時間70℃を保持し、重合反応を終了した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6に調整すると共に、イオン交換水にて濃度を40%に調整して反応物の水性液を得た。この反応物をビニル共重合体(EX−2)とした。
【0043】
・実施例3{ビニル共重合体(EX−3)の合成}
イオン交換水27.9g、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン173.0gを実施例1と同様の反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃とした。次に3.5%過酸化水素水10.8gを3時間かけて滴下すると共に、イオン交換水173.0gに2−アクリロイロキシエチルコハク酸43.2gを懸濁させた水溶液を3時間かけて滴下し、またイオン交換6.1gにL−アスコルビン酸0.9gと3−メルカプトプロピオン酸0.7gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、2時間65℃を維持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6に調整すると共に、イオン交換水にて濃度を40%に調整して反応物の水性液を得た。この反応物をビニル共重合体(EX−3)とした。
【0044】
・実施例4{ビニル共重合体(EX−4)の合成}
イオン交換水36.4g、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン173.5gを実施例1と同様の反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃とした。次に4.0%過酸化水素水9.8gを3時間かけて滴下すると共にイオン交換水164.8gに2−アクリロイロキシエチルコハク酸15.2gとヒドロキシエチルアクリレート26.0gとアクリル酸2.2gを溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、またイオン交換7.8gにL−アスコルビン酸0.9gと3−メルカプトプロピオン酸1.1gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、2時間65℃を維持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6に調整すると共に、イオン交換水にて濃度を40%に調整して反応物の水性液を得た。この反応物をビニル共重合体(EX−4)とした。
【0045】
・実施例5〜9{ビニル共重合体(EX−5)〜(EX−9)の合成}
実施例1〜4の場合と同様にして、但し用いた単量体の種類や量等を表1記載のように変えて、ビニル共重合体(EX−5)〜(EX−9)を合成した。
【0046】
・比較例1{ビニル共重合体(CE−1)の合成}
イオン交換水242.8g、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン370.0g、アクリル酸0.7gを実施例1と同様の反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃とした。次に4.3%過硫酸ナトリウム水溶液48.8gを3.5時間かけて滴下すると共に、イオン交換水21.6gにアクリル酸18.7gを溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、またイオン交換46.7gにメルカプトエタノール0.7gを溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、2時間60℃を維持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6に調整すると共に、イオン交換水にて濃度を40%に調整して反応物の水性液を得た。この反応物をビニル共重合体(CE−1)とした。
【0047】
・比較例2{CE−2の調整}
グルコン酸ナトリウムをイオン交換水にて濃度40%に調整した。
【0048】
以上で合成した各ビニル共重合体について、その組成及び質量平均分子量を表1にまとめて示した。尚、各ビニル共重合体については、その水性液から水を除去した後に、重水にて5%となるように溶液を調整し、300MHzのNMRにて測定を行って、各単量体が重合されていることを確認した。また質量平均分子量はGPCによりポリエチレングリコール換算で示した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1において、
A−1:2−アクリロイロキシエチルコハク酸
A−2:2−メタクリロイロキシエチルコハク酸
A−3:2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸
A−4:2−アクリロイロキシエチルフタル酸
A−5:ヒドロキシエチルアクリレートとトリメリット酸のモノエステル
A−6:ヒドロキシプロピルアクリレートとコハク酸のモノエステル
M−1:α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン
M−2:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=23)オキシエチレン
M−3:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレン
M−4:α−メタリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=113)オキシエチレン
M−5:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=9)オキシエチレン
M−6:ヒドロキシエチルアクリレート
M−7:アクリル酸メチル
M−8:ヒドロキシプロピルアクリレート
C−1:アクリル酸
C−2:メタクリル酸
【0051】
試験区分3(水硬性組成物用分散剤としての評価)
・コンクリートの調製
55Lの強制二軸ミキサーに普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、比重=3.16)、細骨材(大井川水系砂、比重=2.58)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.68)を順次投入して5秒間空練りした後、目標スランプが21±1.5cm及び空気量が4.5±0.5%の範囲となるよう、高性能AE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11、以下HP−11という)を普通ポルトランドセメントに対し0.6〜0.8%、試験区分2で合成したビニル共重合体(EX−1)〜(EX−9)及び(CE−1)、(CE−2)の20%水溶液を普通ポルトランドセメントに対し0.1〜0.3%、AE剤(竹本油脂社製の商品名AE−300)を普通ポルトランドセメントに対し0.005%、消泡剤(竹本油脂社製の商品名AFK−2)を普通ポルトランドセメントに対し0.001%となるよう、練混ぜ水と共に投入し、90秒練混ぜた。かくして調製したコンクリートの単位量等を表2にまとめて示した。
【0052】
【表2】
【0053】
・評価
練り混ぜ直後から30分間隔で、静置した各コンクリートのスランプフロー、空気量、24時間後の圧縮強度及びブリーディング率を次のように測定し、結果を表3にまとめて示した。
【0054】
・スランプフロー:練り混ぜ直後及び30分間隔で、静置した各コンクリートについて、JIS−A1150に準拠して測定した。
・空気量:練り混ぜ直後及び30分間隔で、静置した各コンクリートについて、JIS−A1128に準拠して測定した。
・圧縮強度:JIS−A1108に準拠し、供試体寸法を直径100mm×高さ200mmとし、材齢24時間で測定した。
・ブリーディング率:JIS−A1123に準拠して測定した。
【0055】
【表3】
【0056】
表3において、
HP−11の添加割合(%):HP−11の有り姿での普通ポルトランドセメントに対する質量%
ビニル共重合体の添加割合(%):試験区分2で合成したビニル共重合体等の20%水性液の普通ポルトランドセメントに対する質量%
【0057】
表1や2に対応する表3の結果からも、本発明の分散保持剤によると、硬化遅延を起こすことなく、水硬性組成物の流動性を長時間に亘って保持することができる。