特許第6739949号(P6739949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6739949-防眩性フィルム及び表示装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6739949
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】防眩性フィルム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20200730BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20200730BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20200730BHJP
【FI】
   G02B5/02 C
   G02F1/1335
   C08J7/04 ZCFD
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-43399(P2016-43399)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161587(P2017-161587A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 沙織
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−282772(JP,A)
【文献】 特開2013−076785(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047687(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0106377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00− 5/136
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
C08F301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防眩層本体と、複数の粒子とを含む防眩層を備え、
前記粒子が、樹脂粒子であり、
前記粒子を形成している樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であり、
前記粒子の10%圧縮弾性率が、4500N/mm以上であり、
前記粒子の下記の圧縮回復率が、50%以上であり、
前記粒子の平均粒子径が、1μm以上、15μm以下である、防眩性フィルム。
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【請求項2】
前記粒子が、表面に親水性基を有する、請求項1に記載の防眩性フィルム。
【請求項3】
前記防眩層中に含まれる前記粒子において、前記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が存在しないか、又は、前記粒子の全個数100%中、前記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が0.1%以下の個数で存在する、請求項1又は2に記載の防眩性フィルム。
【請求項4】
前記粒子の屈折率が、1.5以上、1.7未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
【請求項5】
前記粒子が、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有するか、又は有さず、
前記粒子が、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する場合には、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の全体積100体積%中、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の前記防眩層本体の表面から突出している部分の体積が50体積%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
【請求項6】
前記防眩層のヘイズが、2%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
【請求項7】
支持フィルムを備え、
前記支持フィルムの表面上に前記防眩層が配置されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
【請求項8】
表示装置の表示部の表面上に配置されて用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
【請求項9】
表示部と、
請求項1〜のいずれか1項に記載の防眩性フィルムとを備え、
前記表示部の表面上に前記防眩性フィルムが配置されている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を含む防眩層を備える防眩性フィルムに関する。また、本発明は、上記防眩性フィルムを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置は、テレビやコンピュータ等の様々な分野で利用されている。上記表示装置が屋外又は照明器具の近くで用いられると、太陽光や外部光が表示部に映り込み、視認性が悪化する。このため、外部光の映り込みを防止するために、上記表示装置に防眩性フィルムが用いられている。上記防眩性フィルムは、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、透明基材上に、低屈折率コーティング剤の塗布によって低屈折率層が設けられた反射防止フィルムが開示されている。上記低屈折率コーティング剤は、組成物Aと組成物Bとの共重合体と、平均粒子径0.5〜200nmの中空シリカゾルとを含む。上記組成物Aは、特定の一般式(1)で示される有機珪素化合物、又はこの有機珪素化合物の重合体を含む。上記組成物Bは、特定の一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基含有珪素化合物、又はこのパーフルオロポリエーテル基含有珪素化合物の重合体を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−265866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている防眩性フィルムをタッチパネルに用いた場合には、タッチパネルの手又はタッチペンでの操作時に、防眩性フィルムに擦り傷が生じることがある。また、特許文献1に記載されている従来の防眩性フィルムでは、光の散乱が均一ではなく、色むらが発生することがある。
【0006】
本発明の目的は、耐擦傷性を高めることができ、更に光の散乱を均一にすることで色むらを低減することができる防眩性フィルムを提供することである。また、本発明は、上記防眩性フィルムを用いた表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の広い局面によれば、防眩層本体と、複数の粒子とを含む防眩層を備え、前記粒子の10%圧縮弾性率が、4500N/mm以上であり、前記粒子の圧縮回復率が、50%以上であり、前記粒子の平均粒子径が、1μm以上、15μm以下である、防眩性フィルムが提供される。
【0008】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記粒子が、表面に親水性基を有する。
【0009】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記防眩層中に含まれる前記粒子において、前記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が存在しないか、又は、前記粒子の全個数100%中、前記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が0.1%以下の個数で存在する。
【0010】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記粒子の屈折率が、1.5以上、1.7未満である。
【0011】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記粒子が、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有するか、又は有さず、前記粒子が、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する場合には、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の全体積100体積%中、前記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の前記防眩層本体の表面から突出している部分の体積が50体積%以下である。
【0012】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記粒子が、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である。
【0013】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記粒子が、樹脂粒子である。
【0014】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記防眩層のヘイズが、2%以下である。
【0015】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記防眩性フィルムは、支持フィルムを備え、前記支持フィルムの表面上に前記防眩層が配置されている。
【0016】
本発明に係る防眩性フィルムのある特定の局面では、前記防眩性フィルムは、表示装置の表示部の表面上に配置されて用いられる。
【0017】
本発明の広い局面によれば、表示部と、上述した防眩性フィルムとを備え、前記表示部の表面上に前記防眩性フィルムが配置されている、表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る防眩性フィルムは、防眩層本体と、複数の粒子とを含む防眩層を備え、上記粒子の10%圧縮弾性率が、4500N/mm以上であり、上記粒子の圧縮回復率が、50%以上であり、上記粒子の平均粒子径が、1μm以上、15μm以下であるので、耐擦傷性を高めることができ、更に光の散乱を均一にすることで色むらを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る防眩性フィルムを示す模式的断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る防眩性フィルムを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
先ず、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る防眩性フィルムを示す模式的断面図である。図2は、本発明の第2の実施形態に係る防眩性フィルムを示す模式的断面図である。なお、図1,2において、防眩層及び粒子の大きさ、厚み、形状及び添加量等は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
【0023】
図1に示す防眩性フィルム1は、複数の粒子11を含む防眩層2を備える。防眩性フィルム1は、単層であり、防眩層2のみから構成されている。防眩性フィルム1は、防眩層2である。防眩性フィルム1は、防眩性を有する。防眩性フィルム1は、光透過性を有するフィルムであることが好ましい。
【0024】
防眩層2は、第1の表面2a及び第2の表面2bを有する。第1の表面2aと、第2の表面2bとは、互いに対向している。
【0025】
防眩層2は、粒子11と、防眩層本体12とを含む。防眩層本体12は、防眩層2における粒子11を除く部分である。防眩層本体12は、光透過性の高い材料により形成されていることが好ましい。
【0026】
粒子11の全体が防眩層本体12内に配置されており、粒子11は防眩層本体12の表面から突出していない。防眩層2は、一方の表面に突出部を有し、第1の表面2aに突出部を有する。防眩層2は、他方の表面(第2の表面)に突出部を有さない。防眩層は、他方の表面(第2の表面)に突出部を有していてもよい。
【0027】
粒子は、防眩層本体の表面から突出していない部分と、防眩層本体の表面から突出している部分とを有していてもよい。粒子は、防眩層本体の一方の表面から突出している部分を有していてもよい。粒子は、防眩層本体の第1の表面のみから突出していてもよい。粒子は、防眩層本体の第2の表面から突出していなくてもよい。
【0028】
図2に示す防眩性フィルム1Aは、防眩層2と支持フィルム21とを備える。防眩性フィルム1Aは、多層であり、2層以上の構造を有する。支持フィルム21の表面上に、防眩層2が配置されている。防眩層2は、第2の表面2b側から、支持フィルム21の表面上に配置されている。防眩性フィルム1Aにおける防眩層2は、図1に示す防眩層2である。
【0029】
防眩層2は、第2の表面2b(突出していない表面)側から、支持フィルム21の表面上に配置されている。この場合に、支持フィルム21は、表示装置に組み込まれてもよい。防眩層2は、第1の表面2a(突出している表面)側から、支持フィルム21の表面上に配置されていてもよい。この場合に、支持フィルム21は、表示装置に組み込まれてもよく、防眩性フィルム1Aの使用時に、支持フィルム21が剥離されてもよい。
【0030】
支持フィルム21は、フィルム層のみの単層構造であってもよく、フィルム層に加えて保護層及び粘着層等を有する2層以上の多層構造であってもよい。
【0031】
粒子は、防眩層本体の表面から突出している部分を有さないことが好ましい。防眩層は、一方の表面に突出部を有することが好ましい。該突出部の内側に、粒子が配置されていることが好ましい。粒子は、防眩層の第1の表面及び第2の表面の内の少なくとも一方の表面に突出部を有することが好ましく、防眩層の第1の表面及び第2の表面の内の一方のみの表面に突出部を有することが好ましい。
【0032】
上記突出部は、防眩性フィルムに高い防眩性を付与する。防眩性フィルムをタッチパネル等に用いた際に、上記突出部を有する防眩層の表面は、表示部上に防眩性フィルムが配置されている場合に表示部側とは反対の面であることが好ましく、使用者が視認及び操作する側の面であることが好ましい。上記突出部を有さない防眩層の表面は、表示部上に防眩性フィルムが配置されている場合に表示部側の面であることが好ましい。上記突出部を有さない防防眩層の表面は、上記防眩性フィルムをタッチパネル等に用いた際に、タッチパネル等に搭載される搭載面であることが好ましい。
【0033】
上記粒子は、上記防眩層本体の表面から突出している部分を有するか、又は有さない。粒子の脱離をより一層抑え、防眩性フィルムの防眩性をより一層高める観点からは、上記粒子が、上記防眩層本体の表面から突出している部分を有する場合には、上記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の全体積100体積%中、上記防眩層本体の表面から突出している部分を有する粒子の上記防眩層本体の表面から突出している部分の体積は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。また、防眩性フィルムの防眩性をより一層高め、色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子は、上記防眩層において、均一に分散していることが好ましく、粒子同士が凝集していないことが好ましい。上記防眩層は、凝集した粒子を含まないことが好ましく、上記防眩層内において、粒子同士が接触していないことが好ましい。
【0034】
防眩性フィルムの視認性をより一層高める観点からは、上記防眩性フィルムのヘイズは、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。上記防眩性フィルムのヘイズの下限は特に限定されない。上記防眩性フィルムのヘイズは0%以上であってもよい。
【0035】
防眩性フィルムの視認性をより一層高める観点からは、上記防眩層のヘイズは、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下である。上記防眩層のヘイズの下限は特に限定されない。上記防眩層フィルムのヘイズは0%以上であってもよい。
【0036】
上記防眩性フィルム及び上記防眩層のヘイズは、例えば、ヘイズメーター(東京電色社製「TC−H3PDK」)により測定できる。
【0037】
以下、本発明の他の詳細を説明する。
【0038】
[防眩層]
本発明に係る防眩性フィルムは、粒子を含む防眩層を備える。
【0039】
上記防眩層における上記粒子を除く部分である防眩層本体は、高い光透過性を有することが好ましく、樹脂により形成されていることが好ましい。
【0040】
上記防眩層の材料は、硬化性化合物を含むことが好ましい。上記硬化性化合物としては、熱硬化性化合物及び活性エネルギー線硬化性化合物等が挙げられる。
【0041】
上記熱硬化化合物としては、例えば、フェノール化合物、エポキシ化合物、尿素化合物、メラミン化合物、ウレタン化合物、ポリイミド化合物及び不飽和ポリエステル化合物等が挙げられる。上記活性エネルギー線硬化性化合物は、光硬化性化合物であることが好ましく、紫外線硬化性化合物であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリルモノマー又は(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリルモノマーの重合体であることがより好ましい。
【0042】
上記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレートを挙げることができる。上記多官能(メタ)アクリルモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリロイル」の用語は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
【0044】
また、上記活性エネルギー線硬化性化合物に、光重合開始剤、光増感剤、レベリング剤、希釈剤等を添加してもよい。
【0045】
また、上記熱硬化性化合物を用いる場合に、上記熱硬化性化合物に、熱硬化剤、レベリング剤、希釈剤等を添加してもよい。
【0046】
防眩性フィルムをより一層薄くする観点から、上記防眩層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【0047】
[粒子]
上記粒子の10%圧縮弾性率は、4500N/mm以上である。上記粒子の圧縮回復率は、50%以上である。上記粒子の平均粒子径は、1μm以上、15μm以下である。
【0048】
本発明では、上述した構成が備えられているので、耐擦傷性を高めることができ、更に光の散乱を均一にすることで色むらを低減することができる。
【0049】
色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の含有量は、上記防眩層100重量%中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0050】
上記10%圧縮弾性率は、粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率である。耐擦傷性を十分に高める観点から、上記粒子の10%圧縮弾性率は、4500N/mm以上である。耐擦傷性をより一層高める観点からは、上記粒子の10%圧縮弾性率は、好ましくは5000N/mm以上、より好ましくは5500N/mm以上であり、好ましくは10000N/mm以下、より好ましくは8000N/mm以下である。
【0051】
上記粒子の10%圧縮弾性率は、以下のようにして測定できる。
【0052】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重20mNを60秒かけて負荷する条件下で粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0053】
10%圧縮弾性率(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:粒子の半径(mm)
【0054】
耐擦傷性を十分に高める観点からは、上記粒子の圧縮回復率は、50%以上である。耐擦傷性をより一層高める観点からは、上記粒子の圧縮回復率は、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上である。上記粒子の圧縮回復率の上限は特に限定されない。上記粒子の圧縮回復率は100%以下であってもよい。
【0055】
上記粒子の圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0056】
試料台上に粒子を散布する。散布された粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、粒子の中心方向に、粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0057】
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0058】
色むらを十分に低減する観点からは、上記粒子の平均粒子径は、1μm以上、15μm以下である。色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の平均粒子径は、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下である。
【0059】
上記平均粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の最大径を算術平均することにより求められる。
【0060】
色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の平均粒子径の上記防眩層の厚みに対する比(粒子の平均粒子径/防眩層の厚み)は、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.02以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1未満、更に好ましくは0.5以下である。
【0061】
防眩層中における粒子の分散性をより一層高め、光の散乱をより一層均一にして、色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子は、表面に親水性基を有することが好ましい。上記親水性基の好ましい例としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基及びカルボキシル基等が挙げられる。
【0062】
上記粒子の表面に親水性基を導入する方法としては、例えば、金属カップリング剤、乳化剤、高分子分散剤等で粒子の表面を被覆もしくは修飾する方法等が挙げられる。
【0063】
光の散乱をより一層均一にして、色むらをより一層低減する観点からは、上記防眩層中に含まれる上記粒子において、上記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が存在しないことが好ましい。また、上記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が存在する場合、光の散乱をより一層均一にして、色むらをより一層低減する観点からは、上記防眩層中に含まれる上記粒子において、上記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子の全個数100%中、上記粒子の平均粒子径に対して、平均粒子径が2倍以上である粒子が0.1%以下の個数で存在することが好ましく、0.01%以下の個数で存在することがより好ましい。
【0064】
光の散乱をより一層均一にして、色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下である。上記粒子の粒子径のCV値の下限は特に限定されない。上記CV値は1%以上であってもよい。
【0065】
上記粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0066】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:粒子の粒子径の標準偏差
Dn:粒子の粒子径の平均値
【0067】
防眩性フィルムの反射光強度低減効果をより一層良好にする観点からは、上記粒子の屈折率は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.53以上、更に好ましくは1.55以上であり、好ましくは1.7未満、より好ましくは1.65未満、更に好ましくは1.63未満である。
【0068】
上記粒子の屈折率は、以下のようにして測定できる。
【0069】
粒子と同一組成の厚み約1μmのフィルムを作製する。フィルムの表面を#400のサンドペーパーで荒らした後、艶消しの黒色塗料を塗布する。その後、分光光度計(島津製作所社製「UV−3101PC」)を用いて、光の入射角5°での光波長380〜780nmの片面の反射率スペクトルを測定する。得られた反射率スペクトルの光波長550nmにおけるフィルムの反射率の値を粒子の反射率とする。フィルムの反射率の測定により得られた光波長380〜780nmの片面の反射率スペクトルを、光学特性計算ソフト(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製「WVASE32」)を用いて解析し、フィルムの屈折率を算出し、これを粒子の屈折率とする。
【0070】
光の散乱をより一層均一にして、色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の正反射率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
【0071】
上記粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、及び有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよい。上記シェルが無機シェルであってもよい。金属粒子を除く粒子が好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子がより好ましい。本発明の効果により一層優れることから、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子が特に好ましい。
【0072】
耐擦傷性をより一層高め、光の散乱をより一層均一にして色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子は、樹脂粒子であることが好ましい。
【0073】
上記粒子の材料としては、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、シリコーン化合物及びエポキシ化合物等が挙げられる。耐擦傷性をより一層高め、光の散乱をより一層均一にして色むらをより一層低減する観点からは、上記粒子の材料は、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることが好ましい。
【0074】
上記粒子の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。
【0075】
上記粒子の硬度及び平均粒子径を好適な範囲に容易に制御できるので、上記粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0076】
上記粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0077】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル、等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α−オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0078】
上記架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4−ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル系単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シリコーン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキジメチルビニルシシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルジビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端変性シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0079】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0080】
上記粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、上記粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0081】
[支持フィルム]
本発明に係る防眩性フィルムは、支持フィルムと、上記支持フィルムの表面上に配置された上記防眩層とを備えていてもよい。
【0082】
上記支持フィルムは、1層の単層フィルムから構成されていてもよく、2層以上の多層フィルムから構成されていてもよい。上記多層フィルムの場合には、保護層、粘着層及び剥離層等から構成されていてもよい。
【0083】
上記支持フィルムは、高い光透過性を有することが好ましい。上記支持フィルムの材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、お及びセルロースナノファイバー等が挙げられる。支持フィルムは、樹脂により形成されていることが好ましい。上記支持フィルムの材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0084】
また、上記支持フィルムには、各種添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、各種安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、カップリング剤、滑剤又は着色剤等が挙げられる。
【0085】
[表示装置]
本発明に係る防眩性フィルムは、表示装置の表示部の表面上に配置されて好適に用いられる。
【0086】
本発明に係る表示装置は、表示部と、上述した防眩性フィルムとを備え、上記表示部の表面上に上記防眩性フィルムが配置されている。
【0087】
上記表示装置としては、特に限定されず、液晶ディスプレイ等の公知の表示装置を用いることができる。上記防眩性フィルムは、タッチパネル用の表示装置に対して好適に用いることができる。
【0088】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0089】
(実施例1)
(粒子1の合成)
ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部に過酸化ベンゾイル20重量部を加えて、均一に溶解するまで攪拌し、モノマー混合液を得た。分子量約1700のポリビニルアルコールを純水に溶解させた2重量%水溶液4000重量部を、反応釜に入れた。この中に、得られたモノマー混合液を入れ、4時間攪拌することで、モノマーの液滴が所定の粒径になるように、粒径を調整した。この後、90℃の窒素雰囲気下で9時間反応を行い、粒子を得た。得られた粒子を熱水、メタノール及びアセトンのそれぞれにて各数回洗浄した後、分級操作を行って粒子1を得た。粒子1の平均粒子径は6.9μmであった。
【0090】
(粒子2の合成)
ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部の代わりに、ジビニルベンゼン(純度96%)800重量部とアクリロニトリル200重量部とを用いたこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子2を得た。粒子2の平均粒子径は7.2μmであった。
【0091】
(粒子3の合成)
ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部の代わりに、ジビニルベンゼン(純度96%)500重量部とテトラメチロールメタンテトラメタクリレート500重量部とを用いたこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子3を得た。粒子3の平均粒子径は7.2μmであった。
【0092】
(粒子4の合成)
分級操作を行わなかったこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子4を得た。粒子4の平均粒子径は8.3μmであった。
【0093】
(粒子5の合成)
分級操作により、平均粒子径が比較的大きい粒子を選別したこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子5を得た。粒子5の平均粒子径は14.5μmであった。
【0094】
(粒子Aの合成)
ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部の代わりに、ポリエチレングリコールジメタクリレート1000重量部を用いたこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子Aを得た。粒子Aの平均粒子径は6.5μmであった。
【0095】
(粒子Bの合成)
ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部の代わりに、ジビニルベンゼン(純度57%)800重量部とビニルトリメトキシシラン200重量部とを用いたこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子Bを得た。粒子Bの平均粒子径は7.0μmであった。
【0096】
(粒子Cの合成)
分級操作により、平均粒子径が比較的大きい粒子を選別したこと以外は粒子1の合成と同様にして、粒子Cを得た。粒子Cの平均粒子径は16.0μmであった。
【0097】
(実施例1)
(防眩性フィルムの作製)
ジペンタエリストールペンタ及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亜合成社製「アロニックスM402」)100重量部と、トルエン90重量部と、シクロヘキサノン10重量部とを混合し、混合液を得た。得られた混合液に対して、上記粒子1を10重量部分散させて、防眩性フィルム用粒子混合液を調製した。
【0098】
厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材(支持フィルム)上に、防眩性フィルム用粒子混合液をバーコーターにて塗工した。このとき、粒子混合液の塗工量は、塗工層(防眩層)の乾燥後の厚みが10μm(0.01mm)となるように調整した。乾燥後、高圧水銀灯にて紫外線を500mJ/cmで照射して、塗工層を硬化させることにより、防眩性フィルムを作製した。
【0099】
(実施例2)
粒子1を粒子2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0100】
(実施例3)
粒子1を粒子3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0101】
(実施例4)
粒子1を粒子4に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0102】
(実施例5)
粒子1を粒子5に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0103】
(比較例1)
粒子1を粒子Aに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0104】
(比較例2)
粒子1を粒子Bに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0105】
(比較例3)
粒子1を粒子Cに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩性フィルムを作製した。
【0106】
(比較例4)
防眩性フィルムの作製の際、粒子を添加せずに、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
【0107】
(評価)
(1)粒子の平均粒子径
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の最大径を算術平均することにより求めた。
【0108】
(2)粒子の10%圧縮弾性率
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、上述した方法で、粒子の10%圧縮弾性率を測定した。
【0109】
(3)粒子の圧縮回復率
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、上述した方法で、粒子の圧縮回復率を測定した。
【0110】
(4)粒子の屈折率
島津製作所社製分光光度計「UV−3101PC」を用いて、上述した方法で、粒子の屈折率を測定した。
【0111】
(5)防眩性フィルムのヘイズ
東京電色社製ヘイズメーター「TC−H3PDK」を用いて、得られた防眩性フィルムのヘイズを測定した。
【0112】
(6)凹凸性
ミツトヨ社製の表面粗さ測定機「SV30000S4」を用いて、得られた防眩層の凹凸性の評価を測定した。凹凸性を以下の基準で判定した。
【0113】
[凹凸性の判定基準]
A:防眩層の表面の凸状の最上部の高さと防眩層の表面の凹状の最下部の高さとの差の絶対値が、粒子の平均粒子径に対して30%以上50%未満
B:防眩層の表面の凸状の最上部の高さと防眩層の表面の凹状の最下部の高さとの差の絶対値が、粒子の平均粒子径に対して10%以上30%未満
C:防眩層の表面の凸状の最上部の高さと防眩層の表面の凹状の最下部の高さとの差の絶対値が、粒子の平均粒子径に対して0%以上10%未満
【0114】
(7)耐擦傷性評価
得られた防眩性フィルムの表面をスチールウール(日本スチールウール社製「ボンスター♯0000」)により250g/cmで20回擦り、傷の有無を目視にて観察した。耐擦傷性を以下の基準で判定した。
【0115】
[耐擦傷性の判定基準]
○:傷なし
△:僅かに傷あり
×:傷あり
【0116】
(8)色むら評価
得られた防眩性フィルムについて、蛍光灯の光の映り込み(ぎらつき)具合を評価した。この評価は目視にて確認した。色むらを以下の基準で判定した。
【0117】
[色むらの判定基準]
○○:ぎらつきがほぼ無し
○:ぎらつきが少ない
△:ぎらつきがある
×:ぎらつきが多い
【0118】
結果を下記の表1に示す。
【0119】
【表1】
【符号の説明】
【0120】
1,1A…防眩性フィルム
2…防眩層
2a…第1の表面
2b…第2の表面
11…粒子
12…防眩層本体
21…支持フィルム
図1
図2