特許第6740003号(P6740003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6740003
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】リレー用防振台装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 45/04 20060101AFI20200730BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20200730BHJP
   B61L 19/06 20060101ALN20200730BHJP
【FI】
   H01H45/04 A
   F16F15/04 F
   !B61L19/06
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-103868(P2016-103868)
(22)【出願日】2016年5月25日
(65)【公開番号】特開2017-212085(P2017-212085A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 慧
(72)【発明者】
【氏名】増田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】村本 隆明
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−179708(JP,U)
【文献】 特開平10−223111(JP,A)
【文献】 特開2002−328144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/04
H01H 49/00、50/00
H02B 1/04− 1/056
H02B 1/20
F16F 15/02、 15/04
B61L 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から伝播してくる振動を減衰し、リレーを屋外の設備に設置して使用可能にするリレー用防振台装置であって、
前記設備に固定されるベース板と、
前記ベース板に着脱可能に据え付けられる支持台と、
前記リレーが接続されるジャック盤を保持するためのフレーム体と、
前記支持台と前記フレーム体の間に介装されている防振部材と、
を備え、
前記支持台と前記フレーム体は、前記ジャック盤に繋がれ、そのジャック盤を介して前記リレーに接続されたケーブルの一部分を固定するためのケーブル固定部が設けられており、
前記支持台には、前記フレーム体を挟む配置に前記ケーブル固定部が対を成して設けられており、その対を成すケーブル固定部は互いに平行であって前記ベース板とも平行な棒状部分を有しており、
前記フレーム体には、前記支持台に設けられた一対のケーブル固定部の棒状部分と垂直であって前記ベース板とは平行な棒状部分を有する前記ケーブル固定部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするリレー用防振台装置。
【請求項2】
前記支持台に設けられた一対のケーブル固定部は、垂直姿勢で前記支持台に固設されていることを特徴とする請求項に記載のリレー用防振台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継電切替リレーなど屋内用のリレーを屋外の設備に設置するのに用いるリレー用防振台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に1つの停車場(駅や操車場)には1つの連動装置が備えられており、連動装置が構内の転轍機と信号機の動作を制御している。
この連動装置を新たな装置に入れ替える場合、新たな装置による制御が適正に行われるか試験を行うため、従来は軌道の近傍にある器具箱に旧装置による制御と新装置による制御を切り替えるための切替スイッチを設置し、試験を行う直前に作業員が切替スイッチを操作するという手法が取られていた。この試験は所定期間に複数回行われ、新たな装置による制御が適正であることが確認された後に、新旧装置の入れ替えがなされる。
【0003】
ところで、駅構内には多くの器具箱が数kmに亘る範囲に設けられており、試験の度に各器具箱に作業員を派遣しなければならないので、切替スイッチを使用した試験は煩わしいものであった。
そこで、作業員が操作する切替スイッチに代えて継電切替リレーを器具箱に設置し、その継電切替リレーを連動装置がある機器室から遠隔操作することで新旧装置の切り替えを行って、新たな装置による制御が適正に行われるか試験する手法について検討した。
その結果、軌道近傍の器具箱に継電切替リレーを設置して使用する場合、列車走行時の振動による誤作動を防ぐ対策が必要になることが分かった。なお、地震などによる振動の影響を排除する技術としては、例えば、特許文献1の防振台などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−71574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、継電切替リレーは屋内で使用した実績はあるものの、屋外での使用実績はない。また、従来、屋外で使用するために開発された防振性の高いリレーは存在するものの、現存の屋外用リレーの中には継電切替リレーとするのに適したものはなく、新たなリレーを設計して製造すると大幅なコストアップを招く。
そこで、本発明者らは屋内用の継電切替リレーを器具箱に設置して使用できるようにするための防振台を新たに考案することとした。
【0006】
本発明の目的は、屋内用のリレーを屋外の設備に設置して使用可能にするためのリレー用防振台装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
外部から伝播してくる振動を減衰し、リレーを屋外の設備に設置して使用可能にするリレー用防振台装置であって、
前記設備に固定されるベース板と、
前記ベース板に着脱可能に据え付けられる支持台と、
前記リレーが接続されるジャック盤を保持するためのフレーム体と、
前記支持台と前記フレーム体の間に介装されている防振部材と、
を備え、
前記支持台と前記フレーム体は、前記ジャック盤に繋がれ、そのジャック盤を介して前記リレーに接続されたケーブルの一部分を固定するためのケーブル固定部が設けられており、
前記支持台には、前記フレーム体を挟む配置に前記ケーブル固定部が対を成して設けられており、その対を成すケーブル固定部は互いに平行であって前記ベース板とも平行な棒状部分を有しており、
前記フレーム体には、前記支持台に設けられた一対のケーブル固定部の棒状部分と垂直であって前記ベース板とは平行な棒状部分を有する前記ケーブル固定部が少なくとも1つ設けられているようにした。
【0008】
かかる構成のリレー用防振台装置は、支持台とフレーム体の間に防振部材が介装された構造を有しているので、このリレー用防振台装置を用いてリレー(例えば、継電切替リレー)を屋外の設備(例えば、器具箱)に設置した場合に、列車の走行による振動など外部からの振動がフレーム体に伝達されないようになっており、フレーム体に保持されているジャック盤に接続されたリレーに振動を作用させないようにすることができる。
また、フレーム体に保持されているジャック盤を介してリレーに接続したケーブルの一部分をケーブル固定部に固定することで、外部からの振動がケーブルを通じてリレーに伝達され難くすることができる。
【0009】
つまり、このリレー用防振台装置を用いれば、屋内用のリレー(継電切替リレー)を屋外の設備(器具箱)に設置して使用する場合でも、列車の走行による振動など外部からの振動によってリレーが誤作動することはない。
従って、このリレー用防振台装置は、屋内用のリレーを屋外の設備に設置して使用するための装置として有効に利用することができる。
【0010】
また支持台に設けられたケーブル固定部と、フレーム体に設けられたケーブル固定部は、互いに垂直な棒状部分を有しているので、何れか固定し易い向きのケーブル固定部にケーブルを固定することができる。
また、向きが異なる両方のケーブル固定部(支持台とフレーム体のケーブル固定部)にケーブルを固定すれば、そのケーブルをリレー用防振台装置に好適に拘束することができる。
【0011】
また、望ましくは、
前記支持台に設けられた一対のケーブル固定部は、垂直姿勢で前記支持台に固設されているようにする。
一対のケーブル固定部が垂直に立設されて支持台に固設されていれば、支持台をベース体から外して持ち上げる際にその一対のケーブル固定部を把持部として好適に使うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、屋内用のリレーを屋外の設備に設置して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の継電切替リレー用防振台装置を示す説明図であり、上面図(a)と、正面図(b)と、側面図(c)である。
図2】継電切替リレーが取り付けられている継電切替リレー用防振台装置を示す斜視図である。
図3】継電切替リレー用防振台装置によって継電切替リレーを所定の設備に設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るリレー用防振台装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
図1(a)は、本実施形態の継電切替リレー用防振台装置100の上面図、図1(b)はその正面図、図1(c)はその側面図である。
図2は、継電切替リレー1が取り付けられている継電切替リレー用防振台装置100を示す斜視図である。図3は、継電切替リレー用防振台装置100に取り付けられた継電切替リレー1にケーブルCが接続されている状態を示す斜視図である。
継電切替リレー用防振台装置100は、屋内用の継電切替リレー1を屋外の設備に設置するのに用いる装置である。
本実施形態では、この継電切替リレー用防振台装置100を用いて、器具箱Bに継電切替リレー1を設置する。
器具箱Bは、駅構内または線路沿線の信号設備の近くにある屋外設備であり、器具箱Bの中に各種機器類が設置されて配線されている。
【0016】
本実施形態の継電切替リレー用防振台装置100は、図1図3に示すように、器具箱Bの棚板の上面に固定されるベース板10と、ベース板10に着脱可能に据え付けられる支持台20と、継電切替リレー1が取り付けられるフレーム体30と、支持台20とフレーム体30の間に介装されている防振部材40等を備えている。
また、支持台20には、継電切替リレー1に接続されたケーブルCの一部分を固定するためのケーブル固定部25が設けられており、フレーム体30には、継電切替リレー1に接続されたケーブルCの一部分を固定するためのケーブル固定部35が設けられている。
【0017】
ベース板10は、例えば金属製の平板状の部材であり、皿ねじ11によって器具箱Bの棚板に固定されている。なお、皿ねじ11の頭部はベース板10の上面と面一になっている。
【0018】
支持台20は、例えば金属板がハット曲げ成形されてなる台状の部材であり、スタッドボルト21およびナット22によってベース板10に取り付けられている。
具体的に、支持台20がベース板10に当接する両側部にダルマ穴20aが形成されており、そのダルマ穴20aに挿通されたスタッドボルト21の上端側にナット22を螺着して、支持台20をベース板10に取り付けている。こうすることで、スタッドボルト21やナット22を外すことなく、ナット22を少し緩めるようにして、ベース板10から支持台20を簡便に取り外すことが可能になっている。
そして、ベース板10を器具箱Bに残すように、支持台20とフレーム体30と防振部材40を含む装置本体をベース板10から取り外し、装置本体を移動させることが可能になっている。
また、この支持台20の両側部には、側面視して略コ字形状を呈する金属製の棒状部材であるケーブル固定部25が設けられている。
このケーブル固定部25は、フレーム体30を挟む配置に対を成して設けられており、その対を成すケーブル固定部25は互いに平行であってベース板10とも平行な棒状部分を有している(図1参照)。
【0019】
フレーム体30は、例えば金属製の枠状部材であり、ベース板10と平行に配されるフレーム底部31と、フレーム底部31に垂直に立設されたフレーム前面部32とを有している。このフレーム前面部32に継電切替リレー1を取り付けるための開口部32aが設けられている。本実施形態では4つの継電切替リレー1を取り付けるため、4つの開口部32aが設けられている。
また、フレーム体30における開口部32aの下側には、上面視して略コ字形状を呈する金属製の棒状部材であるケーブル固定部35が設けられている。
このケーブル固定部35は、支持台20に設けられた一対のケーブル固定部25の棒状部分と垂直であって、ベース板10とは平行な棒状部分を有している(図1参照)。
【0020】
防振部材40は、例えばシリコーン樹脂材料などからなる防振性能・緩衝性能を有する弾性部材であり、本実施形態では略樽型に成形したαGEL(登録商標)からなる防振部材40を用いた。
具体的に、支持台20の上面の四隅に防振部材40を載置し、その4つの防振部材40の上にフレーム体30を載置するように、支持台20とフレーム体30の間に防振部材40を配設している。なお、防振部材40は所定の取付具によって支持台20の上面とフレーム体30の下面に着設されており、支持台20とフレーム体30を連結するように配設されている。
この防振部材40を支持台20とフレーム体30の間に介装することによって、列車走行時の振動が器具箱Bからフレーム体30に伝達されないようになっている。
【0021】
このような継電切替リレー用防振台装置100において、図2に示すように、フレーム体30(フレーム前面部32)の開口部32aからジャック盤のコネクタ部1aがケーブル固定部35のある面側に突き出るように、フレーム体30にジャック盤が係合されており、そのフレーム体30に保持されたジャック盤に継電切替リレー1の端子を挿し込んで取り付けて、継電切替リレー1がフレーム体30に取り付けられるようになっている。
また、図3に示すように、継電切替リレー用防振台装置100のフレーム体30に保持されているジャック盤のコネクタ部1aに複数のケーブルCを繋いで、そのジャック盤(コネクタ部1a)を介して複数のケーブルCを継電切替リレー1に接続して、その継電切替リレー1を動作可能な状態とすることができる。
【0022】
そして、ジャック盤(コネクタ部1a)を介して継電切替リレー1に接続した複数のケーブルCを束ね、そのケーブルCの束の一部分をケーブル固定部35,25に固定して使用する。
本実施形態では、結束バンドKで複数のケーブルCを束ねつつ、そのケーブルCをフレーム体30のケーブル固定部35に固定した。更に、別の箇所で複数のケーブルCを結束バンドKで束ねて、そのケーブルCを支持台20のケーブル固定部25に固定した。
ここでは、継電切替リレー1が取り付けられているジャック盤のコネクタ部1aに接続したケーブルCがコネクタ部1aから垂れ下がらないようにそのケーブルCを支持するために、ケーブルCの一部分をケーブル固定部35,25に固定している。
こうしてコネクタ部1aに接続したケーブルCを、コネクタ部1aから垂れ下がらないように支持することで、コネクタ部1aにケーブルCの重量による負荷が掛からないようにしている。
【0023】
また、ケーブルCの一部分をケーブル固定部35,25に固定することで、その固定した箇所でのケーブルCの移動を規制し、列車走行時の振動がケーブルCを通じて継電切替リレー1に伝達され難くしている。
特に、支持台20に設けられたケーブル固定部25と、フレーム体30に設けられたケーブル固定部35は、互いに垂直な棒状部分を有しているので、その両方にケーブルCを固定すれば、そのケーブルCの移動を規制するように継電切替リレー用防振台装置100にケーブルCを好適に拘束することができる。
【0024】
以上のように、この継電切替リレー用防振台装置100は、支持台20とフレーム体30の間に防振部材40が介装された構造を有しているので、列車走行時の振動が器具箱Bからフレーム体30に伝達されないようになっており、フレーム体30に取り付けられた継電切替リレー1に列車走行時の振動を作用させないようにすることができる。
また、フレーム体30に取り付けられた継電切替リレー1に接続した複数のケーブルCの束の一部分をケーブル固定部35,25に固定することで、列車走行時の振動がケーブルCを通じて継電切替リレー1に伝達され難くすることができる。
【0025】
このような継電切替リレー用防振台装置100を用いれば、屋内用の継電切替リレー1を器具箱Bに設置して使用する場合でも、列車走行時の振動によって継電切替リレー1が誤作動することはない。つまり、この継電切替リレー用防振台装置100は、継電切替リレー1を屋外の設備に設置して使用するのに適した機能を有している。
このように、本実施形態の継電切替リレー用防振台装置100は、継電切替リレー1を屋外の設備に設置して使用するための装置として有効に利用することができる。
【0026】
また、本実施形態の継電切替リレー用防振台装置100は、ベース板10を器具箱Bに残すように、支持台20とフレーム体30と防振部材40を含む装置本体をベース板10から容易に取り外すことができるので、狭隘な器具箱Bの中から継電切替リレー1を装置本体ごと移動させ、器具箱Bの外で各種調整作業を行うことができる。
なお、継電切替リレー1を装置本体ごと移動させる場合、継電切替リレー1(コネクタ部1a)に接続されたケーブルCの束の一部分は装置本体におけるケーブル固定部35,25に固定されているので、その移動をスムーズに行うことができる。またその際、支持台20に垂直に立設されたケーブル固定部25を把手(把持部)のように掴むことで、継電切替リレー1を装置本体ごと移動させ易くなっている。
【0027】
なお、以上の実施の形態においては、継電切替リレー用防振台装置100のフレーム体30に4つの継電切替リレー1を取り付ける場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フレーム体30に取り付ける継電切替リレー1の数は任意である。
例えば、継電切替リレー用防振台装置100のフレーム体30に1〜3つの継電切替リレー1を取り付けて使用してもよく、また、取り付ける継電切替リレー1の数に応じたサイズのフレーム体30を形成してもよい。
【0028】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 継電切替リレー(リレー)
1a コネクタ部
10 ベース板
11 皿ねじ
20 支持台
20a ダルマ穴
21 スタッドボルト
22 ナット
25 ケーブル固定部
30 フレーム体
31 フレーム底部
32 フレーム前面部
32a 開口部
35 ケーブル固定部
40 防振部材
100 継電切替リレー用防振台装置(リレー用防振台装置)
B 器具箱(設備)
C ケーブル
K 結束バンド
図1
図2
図3