(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置であって、
前記制御装置は、
チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行する制御を行い、
前記減圧停止工程において、前記チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間間隔における気圧の差より小さい場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置。
液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置の制御方法であって、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行し、
前記減圧停止工程において、チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差に基づいて算出された所定時間後の予測気圧と、当該所定時間後において前記気圧検出手段により検出された実測気圧と、の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間後に設定されている許容範囲以上である場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような方法で被包装物に含まれる液体の沸騰を検出する場合、包装袋の膨張を検出する機構や包装袋内の被包装物の温度を検出する機構を別途設ける必要があり、真空包装装置の構成が複雑になっていた。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、包装袋内の被包装物に含まれる液体の沸騰をより簡単な構成で検出できる真空包装装置、および、真空包装装置の制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置であって、
前記制御装置は、
チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行する制御を行
い、
前記減圧停止工程において、前記チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間間隔における気圧の差より小さい場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置である。
【0008】
請求項2に記載のものは、
液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置であって、
前記制御装置は、
チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行する制御を行い、
前記減圧停止工程において、チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差に基づいて算出された所定時間後の予測気圧と、当該所定時間後において前記気圧検出手段により検出された実測気圧と、の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間後に設定されている許容範囲以上である場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置である。
【0009】
請求項3に記載のものは、
液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置の制御方法であって、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行し、
前記減圧停止工程において、前記チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間間隔における気圧の差より小さい場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置の制御方法である。
【0010】
請求項4に記載のものは、液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、前記チャンバー内の気圧を検出する気圧検出手段と、前記チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、
チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値と許容範囲が記憶され、脱気装置、投入口閉成装置及び封止装置を制御すると共に、気圧検出手段により検出した気圧の変動を監視する制御装置と、を備えた真空包装装置の制御方法であって、
液体が含まれた被包装物が収納され、且つ前記被包装物投入口が開放された前記包装袋を前記チャンバー内に収容した状態で、前記脱気装置により当該チャンバー内を減圧する減圧工程と、
前記気圧検出手段により検出された前記チャンバー内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて前記チャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程と、
前記チャンバー内が減圧された状態で、前記投入口閉成装置により前記被包装物投入口を閉じ、前記封止装置により閉状態の当該被包装物投入口を封止する封止工程と、
前記封止工程の後、減圧されたチャンバー内を大気開放して大気圧に戻す大気開放工程と、
を実行
し、
前記減圧停止工程において、チャンバー内の気圧の変動は、所定時間間隔を開けて検出された前記チャンバー内の気圧の差に基づいて算出された所定時間後の予測気圧と、当該所定時間後において前記気圧検出手段により検出された実測気圧と、の差であって、この差が、前記判断基準値の対応する前記所定時間後に設定されている許容範囲以上である場合に減圧を停止することを特徴とする真空包装装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、気圧の変動に基づいて
チャンバー内の減圧を停止するため、包装袋の膨張を検出する機構や包装袋内の被包装物の温度を検出する機構を別途設ける必要がなく、真空包装装置の構成が簡単になる。また
、包装袋の膨張を検出する場合のように、チャンバー内に包装体をセットする際に包装袋内の空気を手で押し出す手間が不要になり、包装袋をチャンバー内に容易にセットすることができる。そして
、液体が包装袋から吹き零れる不具合や、気化して発生した気体が脱気装置に悪影響を及ぼす不具合を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
真空包装装置1は、
図1および
図2に示すように、液体が含まれた被包装物を収容した包装袋Bを収納するチャンバー2、該チャンバー2内を減圧して包装袋B内の脱気を行う脱気装置3、チャンバー2の内部に設けられ、包装袋Bの被包装物投入口Baを閉じる投入口閉成装置5、包装袋Bの被包装物投入口Baを封止するシール用ヒーター6(本発明における封止装置に相当)、及び、脱気装置3と投入口閉成装置5とシール用ヒーター6とを制御する制御装置7等を備えている。また、真空包装装置1は、
図2に示すように、電源スイッチ32、真空包装する際の各種の設定を行う設定スイッチ33等の各種操作スイッチ、チャンバー2内の気圧(圧力)を検出する気圧検出センサ34(本発明における気圧検出手段に相当)、及び、蓋部2bの開閉状態を検出する蓋開閉検出センサ(アッパーチャンバーリミットスイッチ)35等を備えている。
【0016】
チャンバー2は、上面に包装袋Bを載置可能な本体部2aと、該本体部2aを上方から閉塞する蓋部2bとから構成された耐圧容器である。このチャンバー2は、蓋部2bを上下方向に回動して開閉可能とし、蓋部2bと本体部2aとの当接部分にシール材(図示せず)を設けてチャンバー2内の気密性を維持できるように構成されている。また、本体部2aには吸引口9が穿設されている。この吸引口9は脱気装置3と接続されており、脱気装置3を駆動するとチャンバー2内の空気が吸引口9から吸引されてチャンバー2内が減圧されるように構成されている。
【0017】
投入口閉成装置5は、本体部2a側に設けられた下側閉成ブロック10と、蓋部2bの下面側に設けられた上側閉成ブロック11とを対向する状態で備えている。本実施形態における下側閉成ブロック10は、閉成用シリンダ12の駆動により昇降可能に構成されている。一方、上側閉成ブロック11は、蓋部2bに固定されている。この下側閉成ブロック10を閉成用シリンダ12の駆動により上昇させると、上側閉成ブロック11との間に包装袋Bを挟持して被包装物投入口Baを閉成することができる。
【0018】
また、本実施形態における下側閉成ブロック10は、脱気装置3及び投入口閉成用電磁弁14の制御により駆動されるように構成されている。具体的に説明すると、
図1に示すように、閉成用シリンダ12は、投入口閉成駆動流路13を介して脱気装置3と接続されている。より詳しくは、投入口閉成駆動流路13の一方の端部に閉成用シリンダ12が接続されている。この投入口閉成駆動流路13の他方の端部は、三方弁で構成された投入口閉成用電磁弁14の接続口の1つと接続されている。また、投入口閉成用電磁弁14の残りの接続口のうち一方の接続口は、脱気装置3の一部(後述する閉成分岐ポート25)と接続され、他方の接続口は、大気中に開放されている。そして、このような構成では、投入口閉成用電磁弁14を操作して、投入口閉成駆動流路13と脱気装置3とを連通させた状態で、投入口閉成駆動流路13を介して閉成用シリンダ12内を脱気装置3により吸気させると、閉成用シリンダ12が下側閉成ブロック10を上昇させて上側閉成ブロック11に圧接させる。また、投入口閉成用電磁弁14を操作して、投入口閉成駆動流路13を介して閉成用シリンダ12内を大気開放させると、閉成用シリンダ12が下側閉成ブロック10を上側閉成ブロック11から下方へ離間させる。
【0019】
さらに、下側閉成ブロック10の上側閉成ブロック11側(上部)および上側閉成ブロック11の下側閉成ブロック10側(下部)には、シール用ヒーター6がそれぞれ設けられている。これにより、上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持した状態でシール用ヒーター6を通電させると、閉成された状態の被包装物投入口Baが加熱圧着されて封止される。なお、シール用ヒーターは、下側閉成ブロックの上部および上側閉成ブロックの下部の両方に設ける必要は無く、少なくとも一方に設けられていればよい。
【0020】
また、下側閉成ブロック10の袋挟持面(上面)および上側閉成ブロック11の袋挟持面(下面)には、袋貼着部15がそれぞれ設けられている。この袋貼着部15は、耐熱性および粘着性を有するゲル状シート(例えばシリコンゴム製のシート)で構成されており、該袋貼着部15を包装袋Bの表面へ貼着して、挟持状態の包装袋Bの被包装物投入口Baがずれる不都合、ひいては挟持状態の包装袋Bが上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間から抜ける不都合を阻止できるように構成されている。なお、袋貼着部15は、シール用ヒーター6からずれた位置(具体的には、シール用ヒーター6よりも蓋部2bの回動中心側(
図1中、右側)にずれた位置)に配置されている。
【0021】
次に、脱気装置3について説明する。
脱気装置3は、油回転真空ポンプ16と、該油回転真空ポンプ16とチャンバー2とを連通可能な状態で接続する吸気流路18とを備えている。吸気流路18の途中には、油回転真空ポンプ16とチャンバー2との連通を許容したり閉止したりする真空電磁弁(真空弁)19が設けられている。また、吸気流路18のうち真空電磁弁19と油回転真空ポンプ16との間に位置する箇所には、閉成分岐ポート25が設けられている。この閉成分岐ポート25に投入口閉成用電磁弁14の接続口の1つが接続されている。さらに、吸気流路18のうち真空電磁弁19とチャンバー2との間に位置する箇所には、真空開放弁(外気導入弁)27と接続された真空開放分岐ポート26が設けられている。すなわち、この真空開放弁27を操作して、真空開放分岐ポート26を大気開放することで、チャンバー2内を減圧状態から大気圧に戻せるように構成されている。
【0022】
なお、油回転真空ポンプ16は、油を満たした円筒形のステーター中にローターを回転可能な状態で備え、該ローターには当該ローターの半径方向へスライド可能な複数の翼板を放射状に配置し、翼板の先端をステーターの内壁へ付勢している(いずれも図示せず)。そして、ステーターの内壁とローターの外周面と隣り合う翼板とで囲まれた空間に吸気流路からの空気を導入して油により気密状態とし、この空間の容積をローターの回転により変化させながら空間内の空気を放出口16a(
図1参照)から外部へ放出するように構成されている。
【0023】
制御装置7は、
図2に示すように、真空包装装置1の制御を行うワンチップマイクロコンピュータ30と、各信号の入出力処理を行うインターフェイス回路31等から構成されている。ワンチップマイクロコンピュータ30は、真空包装装置1における各部の制御を行うほか、気圧検出センサ34により検出されたチャンバー2内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて被包装物に含まれる液体(例えば、水)が沸騰したことを検出するように構成されている。インターフェイス回路31には、真空包装装置1の操作パネル(図示せず)に設けられた電源スイッチ32、設定スイッチ33等の各種操作スイッチ、気圧検出センサ34、及び、蓋開閉検出センサ35からの信号が入力される。また、インターフェイス回路31からは、油回転真空ポンプ16、真空電磁弁19、投入口閉成用電磁弁14、真空開放弁27、シール用ヒーター6、各種報知音を発するブザー36、及び、各種状態を表示する表示器37に制御信号が出力される。
【0024】
次に、上記した構成からなる真空包装装置1において被包装物を真空包装する手順について
図3〜
図6を用いて説明する。
図3は、減圧工程における真空包装装置の概略図である。
図4は、減圧停止工程における真空包装装置の概略図である。
図5は、封止工程における真空包装装置の概略図である。
図6は、大気開放工程における真空包装装置の概略図である。なお、真空包装開始前の状態(常態)では、油回転真空ポンプ16を駆動せず、真空電磁弁19、投入口閉成用電磁弁14の全接続口を閉状態とし、真空開放弁27を開状態とする。また、投入口閉成駆動流路13内および閉成用シリンダ12内が減圧されておらず、下側閉成ブロック10が下降した状態とする。
【0025】
まず、液体が含まれた被包装物を入れた包装袋Bをチャンバー2内にセットするセット工程(又は準備工程)を行う。セット工程では、蓋部2bを開けた状態で、作業員が包装袋Bを本体部2a上に載せるとともに被包装物投入口Baを下側閉成ブロック10上に載せる。このとき、被包装物投入口Baは開放されている。包装袋Bをセットした後、手で蓋部2bを閉じると、蓋開閉検出センサ35が蓋部2bの閉成状態を検出して制御装置7に信号を送る。
【0026】
制御装置7が蓋部2bの閉成状態の検出信号を受信したならば、減圧工程に移行する。減圧工程では、液体が含まれた被包装物が収納され、且つ被包装物投入口Baが開放された包装袋Bをチャンバー2内に収容した状態で、制御装置7がチャンバー2内の減圧操作を制御する。具体的には、
図3に示すように、真空電磁弁19を開くとともに真空開放弁27を閉じ、投入口閉成用電磁弁14のうち大気開放側の接続口および投入口閉成駆動流路13側の接続口を開く一方、閉成分岐ポート25側の接続口の閉状態を維持して、下側閉成ブロック10を下降した状態のままにする。各電磁弁14,19、真空開放弁27の操作が終了したならば、油回転真空ポンプ16を駆動してチャンバー2内の減圧を開始し、包装袋B内の脱気を行う。この際、チャンバー2内の気圧(圧力)は、気圧検出センサ34により検出され、制御装置7に電気信号として送られる。
【0027】
そして、制御装置7(ワンチップマイクロコンピュータ30)は、チャンバー2内を減圧しつつ、チャンバー2内の気圧の変動を監視し、この気圧の変動に基づいて包装袋Bの被包装物に含まれる液体が沸騰したことを検出する。本実施形態における液体の沸騰検出は、所定時間間隔を開けて検出されたチャンバー2内の気圧の差に基づいて行われる。具体的には、
図7に例示される気圧の変化を表すグラフに基づいて説明する。なお、
図7における横軸は時間(s)であり、縦軸は圧力(kPa)である。また、破線は、チャンバー2内において液体の沸騰が起こらない場合、すなわち、チャンバー2内に液体が含まれる被包装物が収容されていない場合において、チャンバー2内を減圧したときの気圧の変化
(言い換えると、チャンバー内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧に関する判断基準値)を表している。さらに、実線は、チャンバー2内において液体の沸騰が起こる場合、すなわち、チャンバー2内に液体が含まれる被包装物が収容されている場合において、チャンバー2内を減圧したときの気圧の変化を表している。
【0028】
図7に示すように、チャンバー2内に液体が含まれる被包装物が収容されている場合において、気圧を下げていくと、ある気圧で被包装物に含まれる液体が沸騰するため、気圧の変化が少なくなる。具体的には、時間t1における気圧P1と、時間t1から所定の時間が経過した時間t2における気圧P2との気圧差ΔP1が、チャンバー2内において液体の沸騰が起こらない場合における時間t1と時間t2との間の気圧差ΔP2よりも小さくなる。これにより、被包装物に含まれる液体が沸騰したことを検出することができる。すなわち、制御装置7は、所定の時間間隔を開けて気圧検出センサ34により測定されたチャンバー2内の気圧から気圧差を算出し、予め記憶された沸騰が起こらない場合の気圧
(言い換えると、前記判断基準値の対応する前記所定時間間隔における気圧の差)、或いは、沸騰する前の状態において測定されたチャンバー2内の気圧の変化から計算により予測された沸騰が起こらない場合の気圧差と比較して、所定の値以上に小さい値の場合に被包装物に含まれる液体が沸騰したと判定する。
【0029】
被包装物に含まれる液体が沸騰したことを検出したならば、当該沸騰検出に基づいて脱気装置3によるチャンバー2内の減圧を停止する減圧停止工程に移行する。具体的には、
図4に示すように、真空電磁弁19を閉じるとともに、真空開放弁27の閉状態を維持する。このため、チャンバー2内は、減圧された減圧状態が維持される。また、投入口閉成用電磁弁14の開閉状態を維持し、下側閉成ブロック10を下降した状態のまま維持する。
【0030】
真空電磁弁19が閉じたならば、封止工程に移行する。封止工程では、制御装置7が被包装物投入口Baの閉成操作、及び、閉状態の被包装物投入口Baの封止操作を制御する。具体的には、
図5に示すように、真空開放弁27の閉状態を維持するとともに真空電磁弁19の閉状態を維持して、チャンバー2内の減圧状態を保ったまま、投入口閉成用電磁弁14のうち大気開放側の接続口を閉じるとともに投入口閉成駆動流路13側の接続口および閉成分岐ポート25側の接続口を開いて、油回転真空ポンプ16により閉成用シリンダ12内を吸気することで下側閉成ブロック10を上昇させる。これにより、上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bが挟持されて被包装物投入口Baが閉成される。被包装物投入口Baを閉成したならば、この状態でシール用ヒーター6に通電して被包装物投入口Baを閉成状態で加熱してヒートシール(封止)する。
【0031】
被包装物投入口Baのヒートシールが終了したならば、大気開放工程に移行する。大気開放工程では、減圧されたチャンバー2内を大気開放して大気圧に戻すように制御する。具体的には、まず、シール用ヒーター6の通電を停止し、被包装物投入口Baの冷却時間が経過するまで投入口閉成装置5による挟持状態を維持する。そして、冷却時間の経過後、
図6に示すように、投入口閉成用電磁弁14のうち閉成分岐ポート25側の接続口を閉じるとともに大気開放側の接続口を開いて、閉成用シリンダ12内を大気開放することにより下側閉成ブロック10を下降させて上側閉成ブロック11から離間させ、封止状態の包装袋Bの挟持を解除する。さらに、真空開放弁27を開いてチャンバー2内を大気開放し、油回転真空ポンプ16の駆動が停止した後で、ブザー36から報知音を発生させて真空包装の終了を報知する。これにより、被包装物を包装袋B内に真空包装することができる。
【0032】
このように、
前記した真空包装装置1では、チャンバー2内の気圧の変動に基づいて液体が沸騰したことを検出するため、包装袋Bの膨張を検出する機構や包装袋B内の被包装物の温度を検出する機構を別途設ける必要がなく、真空包装装置1の構成が簡単になる。また、実際に沸騰したタイミングを検出できるため、液体の種類や温度により沸騰する気圧が変わったとしても、正確に沸騰を検出できる。さらに、包装袋Bの膨張を検出する場合のように、包装袋Bのサイズが異なることによる検出誤差もないため、沸騰の検出がより正確になる。加えて、包装袋Bの膨張を検出する場合のように、チャンバー内に包装体Bをセットする際に包装袋B内の空気を手で押し出す手間が不要になり、包装袋Bをチャンバー内に容易にセットすることができる。そして、沸騰を検出したことに基づいて脱気装置3によるチャンバー2内の減圧を停止するため、液体が沸騰し過ぎて、液体が包装袋Bから吹き零れる不具合や、気化して発生した気体が脱気装置3に悪影響を及ぼす不具合を抑制できる。
【0033】
ところで、上記した第1の実施形態では、液体の沸騰が所定時間間隔を開けて検出されたチャンバー2内の気圧の差に基づいて検出されたが、これには限られない。例えば、所定時間間隔を開けて検出されたチャンバー2内の気圧の差に基づいて算出された所定時間後の予測気圧と、当該所定時間後において気圧検出センサ34により検出された実測気圧と、の差に基づいて、液体の沸騰を検出するようにしても良い。具体的には、
図8に例示される気圧の変化を表すグラフに基づいて説明する。なお、
図8における横軸は時間(s)であり、縦軸は圧力(kPa)である。また、破線は、チャンバー2内において液体の沸騰が起こらない場合、すなわち、チャンバー2内に液体が含まれる被包装物が収容されていない場合において、チャンバー2内を減圧したときの気圧の変化を表している。さらに、実線は、チャンバー2内において液体の沸騰が起こる場合、すなわち、チャンバー2内に液体が含まれる被包装物が収容されている場合において、チャンバー2内を減圧したときの気圧の変化を表している。
【0034】
制御装置7は、
図8に示すように、チャンバー2内の被包装物に含まれる液体が沸騰する前の状態における時間t1において気圧検出センサ34により検出された気圧P1と、時間t1から所定の時間が経過した時間t2において気圧検出センサ34により検出された気圧P2から、時間t2から所定の時間が経過した時間t3における予測気圧P3′を直線近似により算出する。そして、実際に時間t2から所定の時間が経過した時間t3において気圧検出センサ34により検出された実測気圧P3と、予測気圧P3′との差ΔP′を算出する。この差ΔP′が所定の値(
判断基準値の対応する前記所定時間t3
後に設定されている許容範囲(
具体的には、予測気圧P3′と時間t3における沸騰が起こらない場合の気圧との差より大きい値))より小さければ、液体が沸騰していない、或いは、液体の沸騰が十分でないと判定し、差ΔP′が所定の値(許容範囲)以上であれば、液体が沸騰したと判定する。すなわち、液体の沸騰が検出される。
【0035】
また、気圧検出センサ34により検出された気圧により液体の沸騰を検出する方法は、上記した各実施形態に例示された方法に限られず、種々の方法を採用することができる。例えば、チャンバー2内において液体の沸騰が起こらない場合の時間に対する気圧の値
(判断基準値)をあらかじめ制御装置7に記憶しておき、気圧検出センサ34により逐次検出される気圧との差を算出し、この差が所定の値以上になれば、液体が沸騰したと判定することもできる。すなわち、例えば
図7における破線の値と実線の値との差を逐次算出し、この差に基づいて液体が沸騰したと判定することもできる。
【0036】
さらに、上記した実施形態では、下側閉成ブロック10の上下動を油回転真空ポンプ16の駆動により制御したが、これには限られない。例えば、パルスモーター等を備え、制御装置を用いてパルスモーターを駆動することで、下側閉成ブロックを上下動させるように構成しても良い。また、上記した実施形態では、液体が沸騰したことを検出した後、すぐに減圧停止工程に移行したが、これには限られない。液体が沸騰したことを検出した後、すぐに減圧を停止せず、例えば所定時間のタイマーを作動させ、このタイマーの後に減圧を停止する工程に移行しても良い。その他、液体が沸騰したことを検出した後、所定の動作を行い、その後、減圧を停止する工程に移行しても良い。これらの場合のように、液体の沸騰検出の後、すぐに減圧を停止する工程に移行しない場合でも、液体の沸騰検出をきっかけとして行う一連の動作の中にチャンバー内の減圧を停止する工程が含まれていれば、本発明における、沸騰検出に基づいて脱気装置によるチャンバー内の減圧を停止する減圧停止工程に含まれる。
【0037】
そして、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。