(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記揺動スライド機構は、前記一対のホルダのスライド移動を案内するために前記ベースフレームに装着されて、前記穿孔軸線の前後方向の前側に配設された前側ガイドと、前記穿孔軸線の前後方向の後側に配設された後側ガイドとを有するガイド装置を備え、
前記前側ガイドは、前記後側ガイドよりも大きな摺動力を許容するように摺動面積が大きく設定されるとともに、前記穿孔軸線の前方への応力を支持するように前記ベースフレームに装着されている請求項1に記載のセントラライザ装置。
【背景技術】
【0002】
この種の穿孔機械には、穿孔力を伝達するロッド等の伝達部材を回転摺動可能に案内するセントラライザ装置が装備される(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のセントラライザ装置は、
図14に要部を一部破断して示すように、ガイドシェル3先端のフートパッド6に、一対のホルダ8を備える。
【0003】
一対のホルダ8は、
図15に示すように、ロッド2の左右に配置され、穿孔軸線CLと直交方向に設けられた支軸9まわりに回動可能に支持される。一対のホルダ8は、ホルダ基端側に下方に突設されたピン13を有し、このピン13が、油圧シリンダ15の駆動により、同図中の左右方向にリンク14を介して押圧されることで、支軸9を中心にロッド2との対向方向に開閉可能になっている(
図15(a)、(b)参照)。
【0004】
一対のホルダ8は、
図14に示すように、穿孔軸線CLと同軸上に、それぞれ円形の小径部10、大径部11および段付部12を有する。
図15(a)に示す、一対のホルダ8が閉じた状態のときに、小径部10の内周面は、ロッド2の外周面を案内可能に挿通するように設定されている。穿孔作業時には、油圧シリンダ15を伸長して一対のホルダ8を閉じ、小径部10でロッド2を案内することでロッド2の振れを防止して穴曲がりを抑制する。
【0005】
なお、ホルダ8が閉じた状態のときに、大径部11の内周面は、スリーブ4の外周面を把持するように設定され、ロッド交換作業時には、油圧シリンダ15を一旦短縮してホルダ8を開く。次いで、大径部11および段付部12にスリーブ4が当接するように位置決めし、その後に、油圧シリンダ15を伸長して一対のホルダ8を閉じスリーブ4を把持する。そして、この状態でネジを緩めてスリーブ4とシャンクロッド(不図示)を切り離し、新たなロッド2を継ぎ足して螺着する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1記載のセントラライザ装置では、ホルダ8を閉じてロッド2を案内する際に、ロッド2の軸線と穿孔軸線CLとが一致することを前提としている。そのため、穿孔作業中に、穴曲がり等により、ロッド2の軸線が穿孔軸線CLからずれるような外力がロッド2に作用すると、片側のホルダ8の面圧が過大となり、そちら側にだけ異常摩耗が進行するという問題がある。また、ロッド2に作用する外力が油圧シリンダ15の推力よりも大きい場合は、ホルダ8がロッド2で押圧されて開いてしまい、ロッド2の案内状態が不安定になるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、穿孔作業中にロッド等の伝達部材に外力が作用した場合であっても、支持部材の異常摩耗が発生せず、伝達部材の案内状態を安定に保ち得るセントラライザ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るセントラライザ装置は、穿孔機械のガイドシェル先端に設けられて穿孔軸線に沿って穿孔力を伝達する伝達部材を案内するセントラライザ装置であって、ベースフレームと、該ベースフレームに前記穿孔軸線に沿った枢軸まわりに揺動可能に設けられた一対のクランプアームと、該一対のクランプアームの先端側に揺動スライド機構を介して設けられて前記一対のクランプアームの揺動に伴う開閉動作によって前記伝達部材を案内する一対のホルダと、前記一対のクランプアームの基端側相互に架け渡されるとともに前記穿孔軸線に沿った支軸により自身両端がそれぞれ前記基端側に連結されて自身の伸縮により前記一対のクランプアームを揺動させる油圧シリンダと、を備え、前記揺動スライド機構は、前記一対のクランプアームの揺動に応じて前記一対のホルダを前記穿孔軸線に対して直交する方向にスライド移動可能に支持しており、前記一対のホルダが閉止時において、前記油圧シリンダ両端の支軸間の距離は、前記一対のクランプアーム相互の枢軸間の距離よりも大きく設定されている。
【0010】
本発明の一態様に係るセントラライザ装置によれば、一対のクランプアームの揺動に伴う一対のホルダの開閉動作によって伝達部材を案内できる。さらに、揺動スライド機構は、一対のクランプアームの揺動に応じて一対のホルダを穿孔軸線に対して直交する方向にスライド移動可能に支持しており、ホルダの閉止時において、油圧シリンダ両端の支軸間の距離は、一対のクランプアーム相互の枢軸間の距離よりも大きく設定されているので、自動調心機能を奏する。
【0011】
すなわち、本発明の一態様に係るセントラライザ装置によれば、揺動スライド機構は、一対のクランプアームの揺動に応じて一対のホルダを穿孔軸線に対して直交する方向にスライド移動可能に支持しているので、穿孔作業中に、伝達部材に対してその軸線が穿孔軸線からずれるような外力が作用すると、一対のホルダは、伝達部材の案内状態を維持しながら伝達部材の変位方向へと追従することができる。そして、一対のホルダが閉止時において、油圧シリンダ両端の支軸間の距離は、一対のクランプアーム相互の枢軸間の距離よりも大きく設定されているので、後述する作用機序により、伝達部材を穿孔軸線へと戻すように復元力が発生する。したがって、ホルダに片側のみの面圧が過剰となって異常摩耗が発生することはなく、伝達部材の案内状態は常に安定する。
【0012】
ここで、本発明の一態様に係るセントラライザ装置において、前記揺動スライド機構は、前記一対のホルダのスライド移動を案内するために前記ベースフレームに装着されて、前記穿孔軸線の前後方向の前側に配設された前側ガイドと、前記穿孔軸線の前後方向の後側に配設された後側ガイドとを有するガイド装置を備え、前記前側ガイドは、前記後側ガイドよりも大きな摺動力を許容するように摺動面積が大きく設定されるとともに、前記穿孔軸線の前方への応力を支持するように前記ベースフレームに装着されていることは好ましい。
【0013】
すなわち、穿孔作業中は、伝達部材には、ドリフタの打撃機構によって発生する衝撃力が伝播されるところ、セントラライザ装置は、伝達部材を案内するものであって、把持している訳ではない。そのため、この衝撃力が直接作用することは無いものの、衝撃力の影響から逃れることは不可能である。これに対し、本発明の一態様に係るセントラライザ装置では、一対のホルダは、揺動スライド機構のガイド装置によってスライド移動に案内され、穿孔軸線に対して直交する方向に移動する構造なので、このガイド装置には衝撃力の一部が伝達される場合が生じ得る。
【0014】
そこで、本発明の一態様に係るセントラライザ装置において、揺動スライド機構のガイド装置を、穿孔軸線の前後方向の2箇所の位置のベースフレームに設けた前側ガイドおよび後側ガイドを有する構成とし、前側ガイドが、後側ガイドよりも大きな摺動力を許容するように摺動面積を大きく設定し、かつ、穿孔軸線の前方への応力を支持するようにベースフレームに装着すれば、ドリフタの打撃機構によって発生する衝撃力に対応する構造として好適である。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明によれば、穿孔作業中にロッド等の伝達部材に外力が作用した場合であっても、支持部材の異常摩耗が発生せず、案内状態を安定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一態様に係るセントラライザ装置を備えた穿孔機械の一実施形態であるクローラドリルの斜視図である。
【
図2】
図1に示す、第1実施形態のセントラライザ装置の側面図であって、同図では、ドリフタが後方位置にある状態を示している。
【
図3】第1実施形態のセントラライザ装置の側面図であって、同図では、ドリフタが前方位置にある状態を示している。
【
図4】第1実施形態のセントラライザ装置の斜視図である(ツースの傾斜面は便宜的にストレート形状のものを表している)。
【
図5】第1実施形態のセントラライザ装置を一部透視的に示した側面図である。
【
図7】
図5のB−B線断面図であって、ツースと伝達部材の当接箇所のみB´方向からの矢視であり、同図(a)は、セントラライザ装置の開放状態、(b)は、セントラライザ装置の閉止状態を示している。
【
図8】第1実施形態のセントラライザ装置の自動調心機能を説明する模式図である。
【
図9】第1実施形態のセントラライザ装置の自動調心機能を説明する模式図である。
【
図10】第1実施形態のセントラライザ装置の自動調心機能を説明するグラフである。
【
図11】第1実施形態のセントラライザ装置の自動調心機能を説明するグラフである。
【
図12】本発明に係るセントラライザ装置の第2実施形態を示す模式図であり、同図は、揺動スライド機構の他のリンク構成を示す。
【
図13】第2実施形態のセントラライザ装置の自動調心機能を説明する模式図である。
【
図14】従来の穿孔機械のセントラライザ装置の一例を説明する図(同図(a)は(b)でのZ−Z断面図、(b)は装置後方から見た図(一部破断))である。
【
図15】
図14の要部(G矢視)の説明図であり、同図(a)は一対のホルダが閉じた状態を示し、(b)は開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一態様に係るセントラライザ装置を備えた穿孔機械の一実施形態であるクローラドリルについて図面を適宜参照しつつ説明する。本明細書においては、
図2での左方向を前方、右方向を後方として説明をする。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のセントラライザ装置110は、クローラドリル100に装備される。クローラドリル100は、クローラで走行可能な走行台車171と、走行台車171上の車体前部に設けられたオペレータキャビン172と、車体前部の側方から起伏自在に張り出す作業ブーム173等の周知の構成を備える。
作業ブーム173の先端には、ガイドシェル101が設けられている。ガイドシェル101には、ドリフタ102が公知の送り機構によって前進後退可能に搭載されている。ガイドシェル101の先端には、ケーシング107を介してフートパッド108およびサクションキャップ109が設けられている。
【0019】
ドリフタ102には、公知の打撃機構と回転機構が設けられ、回転機構の前方には、穿孔軸線CLと同軸にシャンクロッド103が装着されている。シャンクロッド103の先端には、
図2に示すように、スリーブ104を介してロッド105が螺着される。また、ロッド105の先端にはビット116が螺着される。これらシャンクロッド103〜ビット106からなる構成部材が、穿孔力(打撃機構で発生する衝撃と回転機構で発生する回転)を破砕対象である岩盤へと穿孔軸線CL(
図5、
図6等参照)に沿って伝達する「伝達部材」である。なお、各図では、穿孔軸線CLを水平とした姿勢を示している。
【0020】
図2〜
図4に示すように、ガイドシェル101とケーシング107の間には、セントラライザ装置110が設けられる。セントラライザ装置110は、ベースプレート(前)112、ベースプレート(後)113、およびフレームメンバー114からなるベースフレーム111内の左右に、一対のクランプアーム120が左右対称に設けられている。一対のクランプアーム120は、穿孔軸線CLに沿って平行に設けられた水平方向の枢軸124を軸線として、油圧によりロッドが伸縮駆動される油圧シリンダ150の伸縮に応じて開閉動作可能に設けられている。
【0021】
ベースプレート(前)112には、
図7(a)に示すように、伝達部材が干渉することなく挿通可能な内径切欠部112aが設けられている。ベースプレート(前)112の上部には、保持プレート115が着脱可能に設けられており、保持プレート115には伝達部材が干渉することなく挿通可能な内径切欠部115aが形成されている。
【0022】
クランプアーム120は、アームボディ121およびアームスライダ122を有する。アームスライダ122には、後述する、略丸棒状のアームスライドガイド135に形成された二面幅からなるガイド部135aが摺動するスライド面123が凹の溝形状により形成されている。
【0023】
一対のアームボディ121の下方、すなわち、枢軸124を中央にしてスライド面123とは反対側の基端部には、油圧シリンダ150が基端側相互を繋ぐように架け渡されている。本実施形態では、油圧シリンダ150のロッド先端が、穿孔軸線に沿った支軸であるロッドピン151によって軸支され、シリンダ本体の基端部が、穿孔軸線に沿った支軸である油圧シリンダピン152によって軸支されている。
【0024】
図6に示すように、ホルダ130は、穿孔軸線に沿って配置されるホルダボディ131と、ホルダボディ131の外側面に外方に向けて張り出すように形成された前側支持腕133および後側支持腕134とを有する。ホルダボディ131は、前側支持腕133、および後側支持腕134とは反対側に、後述するツース160を装着するツース装着面132を有する。ツース装着面132の中央部には、十文字形状を呈した位置決め溝132aが形成されている。
【0025】
ツース装着面132には、ツース160が着脱可能に装着される。ツース160は、ロッド105側に形成された傾斜面161と、ホルダボディ131側に形成されたホルダ当接面162とを有する。傾斜面161は、小径当接面161a、大径当接面161b、および段付面161cを有する。
ホルダ当接面162には、位置決め凸条162aが形成されている。
図4および
図7に示すように、片側のホルダボディ131に対して、一対のツース160を、傾斜面161同士が対向するように上下に装着することで、穿孔軸線に開口するVブロックが構成される。
【0026】
前側支持腕133と後側支持腕134には、アームスライドガイド135が装着されている。アームスライド135は、自身軸線が穿孔軸方向に沿って配置された丸棒状の部材であり、穿孔軸方向の中央部に形成された二面幅からなるガイド部135aと、ガイド部135aの前端側に形成された保持部(前)135bと、後端側に形成された保持部(後)135cとを有する。
【0027】
保持部(前)135bは、アームスライドガイド保持孔(前)133bに回動可能に装着され、保持部(後)135cは、アームスライドガイド保持孔(後)134aに回動可能に装着されている。ガイド部135aの二つの面は、対向するスライド面123と相互に摺動可能にそれぞれ設けられている。これにより、スライド面123とアームスライドガイド135とは、本発明の揺動スライド機構における「すべり回転対偶」を構成している。
【0028】
図4に示すように、ベースフレーム111には、穿孔軸線の前後に、ガイド装置140が設けられている。本実施形態では、ベースプレート(前)112の後面には、前側ガイドとして、一対のホルダスライドガイド(前)141が装着され、ベースプレート(後)113の前面には、後側ガイドとして、ホルダスライドガイド(後)144が装着されている。
【0029】
ホルダスライドガイド(前)141は、
図5に示すように、横断面が矩形の固定部142と、固定部142に連結されたガイド部143とを有する。固定部142がベースプレート112に装着される。ガイド部143は、円筒状の軸部からなり、中空円筒状のスライド内壁133aと相互に摺動可能に設けられている。ガイド部143の軸線は、穿孔軸線CL上で穿孔軸線CLと交わる直交軸であって水平方向に延びている。
【0030】
ホルダスライド(後)144は、
図7(a)に示すように、自身軸方向の中央に、横断面が方形の固定部145が形成され、その両端に円筒状のガイド部146が一対形成されている。固定部145は、ベースプレート113に装着されている。ガイド部146は、円筒状の軸部からなり、スライド孔136と相互に摺動可能に設けられている。ガイド部146の軸線は、ホルダスライドガイド(前)141の軸線と平行であり、上下方向の下方に設けられることで、穿孔軸線とはねじれの関係にある。
【0031】
ここで、
図5に示すように、ガイド部143の直径は、ガイド部146の直径よりも大きく設定され、ホルダスライドガイド(前)141は、ホルダスライドガイド(後)144よりも大きな摺動力に耐え得るようになっている。
また、ホルダスライドガイド(前)141に後方から前方への応力が作用する場合は、固定部142がこの応力を支持するところ、本実施形態では、固定部142とベースプレート112との当接面積を確保しているため、応力集中によるホルダスライドガイド(前)142の破損が防止されている。
【0032】
このように、本実施形態のセントラライザ装置110は、一対のクランプアーム120の揺動に応じて一対のホルダ130を穿孔軸線CLに対して直交する方向にスライド移動可能に支持する「揺動スライド機構」を備えている。
すなわち、
図7に示すように、油圧シリンダ150の伸縮によって一対のクランプアーム120が揺動すると、一対のクランプアーム120の揺動動作は、ガイド装置140に案内された一対のホルダ130の水平方向(穿孔軸線CLを中央として穿孔軸線CLと直交する方向)への移動動作に変換される。そして、ホルダ130に装着されてVブロックを構成するツース160は、一対のホルダ130の水平方向への移動によって開閉し、伝達部材の案内(または把持)と開放とを切り替えることができる。
【0033】
さらに、本実施形態のセントラライザ装置110においては、一対のクランプアーム120相互の枢軸124同士の軸間距離(以下、「枢軸間距離」ともいう)と、油圧シリンダ150両端の二つの支軸の軸間距離、すなわち、ロッドピン151と油圧シリンダピン152との軸間距離(以下、「油圧シリンダ支軸間距離」ともいう)とを、ホルダ130が閉じた状態において、油圧シリンダ支軸間距離が枢軸間距離よりも大きく設定している。本実施形態のセントラライザ装置110によれば、これにより、自動調心機能を奏する。
【0034】
以下、本実施形態のセントラライザ装置110における自動調心機能の作用機序(メカニズム)について説明する。
図8および
図9は、セントラライザ装置110が、伝達部材(同図ではロッド105)を穿孔軸線CLと一致するようにセンタリングしている状態を模式的に示している。
仮に、センタリングされる伝達部材が穿孔軸線CLからX軸方向にずれている場合、伝達部材をセンタリングする際には
図9に示す様になる。同図において、移動した後の節をそれぞれA'、C'、D'、F'とする。αとβの関係を考えると、
tan(θ
1−α)=(a−X)/b
tan(θ
1+β)=(a+X)/b
である。
【0035】
ここで、F
(θ)=b×tanθを考えると、
図10より、tan関数の傾きの違いにより、α>βとなる。許容するX軸方向のずれから、リンクのパラメータa、bを決定することができる。伝達部材がずれていた時の油圧シリンダ150の長さLを考えると、C'F'のX軸方向の距離G、およびY軸方向の距離Hは、
G=d+c
x+f
x
H=c
y−f
y
と表すことができる。
【0036】
三角形の性質から、c
x、c
y、f
x、f
yをそれぞれ求めると、
c
x=L
2 sin(θ
2−α)
c
y=L
2 cos(θ
2−α)
f
x=L
2 sin(θ
2+β)
f
y=L
2 cos(θ
2+β)
と表すことができる。そのため、
G=d+L
2 (sin(θ
2−α)+sin(θ
2+β))
H=L
2 (cos(θ
2−α)−cos(θ
2+β))
となる。
【0037】
θ
2−α=θ'
2−α'
θ
2+β=θ'
2+α'
θ'
2=θ
2+(β−α)/2
α'=(α+β)/2
と置くと、G,Hはそれぞれ、
G=d+L
2 (sin(θ'
2−α')+sin(θ'
2+α'))
H=L
2 (cos(θ'
2−α')−cos(θ'
2+α'))
となる。
【0038】
加法定理より、
G=d+2L
2 sinθ'
2 cosα'
H=2L
2 sinθ'
2 sinα'
となる。そのため、油圧シリンダ150の長さLは、
L
2=G
2+H
2
L
2=d
2+4L
2 sinθ'
2 cosα'+4L
22 sin
2θ'
2 cos
2α'+4L
22 sin
2θ'
2 sin
2α'
L
2=d
2+4L
2 sinθ'
2 cosα'+4L
22 sin
2θ'
2 (cos
2α'+sin
2α')
L
2=d
2+4L
2 sinθ'
2 cosα'+4L
22 sin
2θ'
2
となる。
【0039】
α=β=0の時の油圧シリンダ150の長さをL
0とすると、
L
02=d
2+4L
2 sinθ'
2 +4L
22 sin
2θ'
2
L
2−L
02=4L
2 sinθ'
2( cosα'−1)
三角関数の性質から、cosα<1である。
【0040】
以上のことから、L
2−L
02の値は、θ'
2>0の場合、負の値となる。そのため、L
0>Lであり、油圧シリンダ150の長さをL
0の状態まで伸ばそうとすると、力のつり合いから、自動調芯機能が働く。また、
図9及び
図11より、Hの正負が逆転すると、力の向きが逆転するため、cy>fyである必要があり、cy=L
2cos(θ'
2−α'),fy=L
2cos(θ'
2+α')から、θ'
2>0が必要条件であることが導出できる。
【0041】
以下、本実施形態のセントラライザ装置110で穿孔作業を行う場合を説明する。
本実施形態は、スリーブ104およびロッド105からなる径差のある伝達部材を用いて穿孔作業を行う場合である。
図2は、ドリフタ102がガイドシェル101の後方にあり、打撃機構、回転機構、および送り機構を作動させて岩盤にさく孔を行う状態を示している。
【0042】
このとき、セントラライザ装置110では、油圧シリンダ150が伸長し、クランプアーム120が穿孔軸線CL側へと揺動している。クランプアーム120が穿孔軸線CL側へと揺動すると、ホルダ130が穿孔軸線CLに向けて水平方向に移動して閉止状態となり、小径当接面161aがロッド105の外周面と点接触する。
【0043】
小径当接面161aによって形成されるVブロックの内接円の直径は、ホルダ130の閉止状態において、ロッド105を前後移動および回転することを許容するように設定されている。そのため、ロッド105は、小径当接面161aによって案内され、ロッド105の振れが防止されて穴曲がりが抑制される。
【0044】
図3、
図6および
図7は、ロッド105の1本分の穿孔作業が終了して新たなロッドを継ぎ足す場合を示している。
新たなロッドを継ぎ足す場合は、ドリフタ102を前進させ、スリーブ104が段付面161cに当接するように位置決めしてから、
図7(b)に示すように、油圧シリンダ150を伸長してホルダ131を閉止状態として大径当接面161bをスリーブ104の外周面と点接触させる。大径当接面161bによって形成されるVブロックの内接円の直径は、ホルダ130の閉止状態において、スリーブ104を把持するように設定されているので、スリーブ104は大径当接面161bによって把持される。
【0045】
この状態でネジ緩めを行い、スリーブ104とシャンクロッド103を切り離してからドリフタ102を後方に退避させ、公知のロッドチェンジャによって新たなロッド105を穿孔軸線CL上に搬送し、シャンクロッド103およびスリーブ104と螺着する。
セントラライザ装置110を開放して、ドリフタ102を前進させてビット106を着岩させてから、セントラライザ装置110を閉止してロッド105を案内可能な状態としてからドリフタ102を作動させて穿孔作業を再開する。
【0046】
ここで、穿孔作業中は、ビット106が破砕帯を通過する等によって穴曲がり発生し易い状況下では、ロッド105には、ロッド105の軸線が穿孔軸線CLからずれるような外力が作用する場合がある。
【0047】
このとき、本実施形態のセントラライザ装置110では、ホルダ130は、上述した揺動スライド機構により、ロッド105の案内状態を維持しながら変位方向へと追従し、それに伴い、ロッド105を穿孔軸線CLへと戻すように復元力が発生する。したがって、本実施形態のセントラライザ装置110によれば、片側のホルダ130のツース160のみの面圧が過剰となって異常摩耗が発生することはなく、ロッド105の案内状態は常に安定する。
【0048】
また、穿孔作業中は、ロッド105には、ドリフタ102の打撃機構によって発生する衝撃力が伝搬されるところ、その衝撃力の一部が、ツース160を介してホルダ130に伝わる場合が生じる。このとき、ガイド装置140は、ホルダスライドガイド(前)141とホルダスライドガイド(後)144から構成されるが、軸線が穿孔軸線CLと直交するレイアウトを採用するホルダスライドガイド141の方がこの衝撃力の影響を受けることになる。
【0049】
これに対し、本実施形態のセントラライザ装置110によれば、ガイド装置140は、ガイド部143が、ガイド部146よりも摺動面が大きく設定されているので、ロッド105から伝わった衝撃力が作用して摺動力が増大しても許容することが可能である。
また、本実施形態のセントラライザ装置110によれば、ガイド装置140は、固定部142とベースプレート112との当接面積を確保しているため、ホルダスライドガイド(前)141に、後方から前方へと衝撃力が作用しても応力集中による破損のおそれがない。
【0050】
なお、本実施形態のセントラライザ装置110においては、上述した通り、ロッド105から伝達される衝撃力の大部分は、ツース160およびホルダ130を経てホルダスライドガイド(前)141で受ける構造となっているところ、ホルダ130とクランプアーム120の結合箇所は、「すべり回転対偶」なので、ホルダ130内を伝搬する衝撃力は、クランプアーム120側には殆ど伝わらない。したがって、精密機器である油圧シリンダ150が、ドリフタ102の衝撃力の影響によって破損することはない。
【0051】
図12および
図13は、本発明の第2実施形態を示した模式図である。なお、上記第1実施形態の構成と対応する箇所には、同一の符号を付してある。
図12および
図13に示すように、第2実施形態は、揺動スライド機構の派生型であり、第1実施形態の揺動スライド機構と比較すると、油圧シリンダ150がガイド面150mに沿って軸方向にスライド移動可能とされ、リンクが2節から3節に増えており、部材同士が摺動する「すべり回転対偶」の箇所は、2箇所から4箇所(符号151s、152s、124s、124s)に増えている。そのため、第2実施形態の揺動スライド機構は、構成としては複雑化しているものの、第2実施形態においても、第1実施形態同様に、自動調心機能は発揮されるようになっている。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明に係るセントラライザ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しなければ、その他の種々の変形や各構成要素を変更することが許容されることは勿論である。